特許第5732350号(P5732350)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5732350
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
   B23F 5/22 20060101AFI20150521BHJP
   B23F 23/12 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
   B23F5/22
   B23F23/12
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-182853(P2011-182853)
(22)【出願日】2011年8月24日
(65)【公開番号】特開2012-115978(P2012-115978A)
(43)【公開日】2012年6月21日
【審査請求日】2014年6月16日
(31)【優先権主張番号】特願2010-252500(P2010-252500)
(32)【優先日】2010年11月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104662
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智司
(72)【発明者】
【氏名】土持 幸次
【審査官】 山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−025333(JP,A)
【文献】 特開平04−269137(JP,A)
【文献】 特開2000−141129(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0209179(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23F 23/00−23/06,23/12,
B23F 5/00, 5/16, 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホブを保持する第1保持部材と、ワークを保持する第2保持部材と、前記第1保持部材に保持されたホブを軸中心に回転させる第1駆動モータを備えた第1駆動手段と、前記第2保持部材に保持されたワークを軸中心に回転させる第2駆動モータを備えた第2駆動手段と、前記第1駆動モータの回転位置がその回転原点にあることを検出して第1検出信号を送信する第1検出手段と、前記第2駆動モータの回転位置がその回転原点にあることを検出して第2検出信号を送信する第2検出手段と、前記各駆動モータの作動を制御する制御手段とを有し、前記ホブによりワークに対して歯切り加工を行う工作機械であって、前記第1駆動モータの回転速度と前記ホブの回転速度が異なる速度、又は前記第2駆動モータの回転速度とワークの回転速度とが異なる速度に設定された工作機械において、
前記制御手段は、
前記各駆動モータを停止させる際、前記各駆動モータの回転速度とこれに対応するホブ又はワークの回転速度との速度比と、前記各検出手段から送信される各検出信号とを基に、前記各駆動モータの回転位置と前記ホブ及びワークの回転位置とがそれぞれその回転原点に一致するときの検出信号を認識し、前記各駆動モータ,ホブ及びワークの回転位置がそれぞれその回転原点と一致するように該各駆動モータを停止させるように構成されていることを特徴とする工作機械。
【請求項2】
ホブを保持する第1保持部材と、ワークを保持する第2保持部材と、前記第1保持部材に保持されたホブを軸中心に回転させる第1駆動モータを備えた第1駆動手段と、前記第2保持部材に保持されたワークを軸中心に回転させる第2駆動モータを備えた第2駆動手段と、前記第1駆動モータの回転位置がその回転原点にあることを検出して第1検出信号を送信する第1検出手段と、前記第2駆動モータの回転位置がその回転原点にあることを検出して第2検出信号を送信する第2検出手段と、前記各駆動モータの作動を制御する制御手段とを有し、前記ホブによりワークに対して歯切り加工を行う工作機械であって、前記第1駆動モータの回転速度と前記ホブの回転速度が異なる速度、又は前記第2駆動モータの回転速度とワークの回転速度とが異なる速度に設定された工作機械において、
前記制御手段は、
停止させた前記各駆動モータを再度回転させて前記ワークの加工を再開する際、事前に前記各駆動モータを回転させて、前記各駆動モータの回転速度とこれに対応するホブ又はワークの回転速度との速度比と、前記各検出手段から送信される各検出信号とを基に、前記各駆動モータの回転位置と前記ホブ及びワークの回転位置とがそれぞれその回転原点に一致するときの検出信号を認識し、前記各駆動モータ,ホブ及びワークの回転位置がそれぞれその回転原点と一致するように該各駆動モータを停止させて、前記各駆動モータ,ホブ及びワークの回転位置を位置合わせした後、前記各駆動モータを回転させて該ワークの加工を再開するように構成されていることを特徴とする工作機械。
【請求項3】
前記第1駆動手段は、前記第1駆動モータとホブとが連結された連結状態と、これらの連結が解除された連結解除状態との間で切換可能に構成され、
前記制御手段は、
前記各駆動モータを停止させて前記第1駆動手段を前記連結解除状態とする際、前記各速度比及び各検出信号を基に、前記各駆動モータの回転位置と前記ホブ及びワークの回転位置とがそれぞれその回転原点に一致するときの各検出信号を認識し、前記各駆動モータ,ホブ及びワークの回転位置がそれぞれその回転原点と一致するように該各駆動モータを停止させた後、前記第1駆動手段を前記連結解除状態とするように構成されていることを特徴とする請求項1記載の工作機械。
【請求項4】
請求項2に記載した工作機械において、
該工作機械は、更に、第1駆動モータの回転位置を検出する回転位置検出手段を備え、
前記第1駆動手段は、前記第1駆動モータとホブとが連結された連結状態と、これらの連結が解除された連結解除状態との間で切換可能に構成され、
前記制御手段は、更に、前記第1駆動モータを停止したときの回転位置であって、前記回転位置検出手段によって検出される回転位置と、第1駆動モータと前記ホブとの間の回転速度比、及び停止時の前記第1駆動モータの回転位置から算出される前記ホブの停止時の回転位置とを記憶する回転位置記憶手段を備えてなり、
更に、前記制御手段は、前記連結解除状態にある前記第1駆動手段を前記連結状態として前記ワークの加工を再開する際、連結前に、前記第1駆動モータの回転位置が前記回転位置記憶手段に格納された第1駆動モータの回転位置と一致するように該第1駆動モータを駆動して停止させ、
ついで、前記第1駆動手段を前記連結状態にして、前記各駆動モータを回転させるとともに、前記速度比並びに前記第1及び第2検出信号と、前記連結解除状態とされた時における前記ホブの回転位置と、回転停止時における前記第1駆動モータの回転位置とを基に、前記各駆動モータの回転位置と前記ホブ及びワークの回転位置とがそれぞれ回転原点となるときの第1及び第2検出信号を認識して、前記各駆動モータ,ホブ及びワークの回転位置がそれぞれそれらの回転原点と一致するように該各駆動モータを停止させて、前記各駆動モータ,ホブ及びワークの回転位置を位置合わせした後、該ワークの加工を再開するように構成されていることを特徴とする工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホブ及びワークをそれぞれ軸中心に回転させて歯切り加工を行う工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
前記工作機械として、例えば、特開2004−25333号公報に開示されたホブ盤が知られている。このホブ盤は、ベッドと、水平方向たるX軸方向に移動自在にベッド上に設けられたコラムと、コラムの前面に上下方向たるZ軸方向に移動自在に支持されたサドルと、サドルに配設されたホブヘッドと、軸中心に回転自在に且つX軸方向に垂直な水平方向(Y軸方向)と平行にホブヘッドによって支持され、ホブが同軸に装着されるホブ軸と、ギア列を介してホブ軸を軸中心に回転させるホブ軸駆動用モータと、水平回転自在にベッド上に設けられ、ワークが同軸に装着されるワークテーブルと、直接ワークテーブルを水平回転させるテーブル駆動用モータとを備える。
【0003】
そして、このようなホブ盤では、ホブ軸駆動用モータの回転力がギア列を介しホブ軸に伝達されてこのホブ軸がホブとともに回転し、テーブル駆動用モータの回転力が直接ワークテーブルに伝達されてこのワークテーブルがワークとともに回転する。その際、ホブ及びワークは、ホブの位相とワークの位相とが合うように回転する。この後、コラムがX軸方向にワークに接近するように移動せしめられるとともに、サドルがZ軸方向に移動せしめられ、ホブによってワークが加工される。
【0004】
ここで、ホブの位相とワークの位相とを合わせるには、例えば、ホブ軸駆動用モータの回転位置が回転原点にあることを検出する検出センサと、テーブル駆動用モータの回転位置が回転原点にあることを検出する検出センサとから得られる各検出信号を基に、ホブ軸駆動用モータの回転位置をその回転原点に、テーブル駆動用モータの回転位置をその回転原点にそれぞれ一致させるとともに、ホブの回転位置をその回転原点に、ワークの回転位置をその回転原点にそれぞれ一致させてから、これら各回転原点を基準にホブ及びワークを所定の回転速度で回転させることで両者の位相が合わせられる。尚、前記回転原点とは、その回転方向において基準となる回転角度位置を意味し、前記ホブ軸駆動用モータ及びホブについては所定の同じ回転角度位置がこれらの回転原点であり、同様に、テーブル駆動用モータ及びワークについても所定の同じ回転角度位置がこれらの回転原点となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−25333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、歯切り加工を行う際には、1工程で加工が終了する場合だけでなく、荒加工と仕上加工との2工程に分けて加工を行うなど、複数の工程で加工を行う場合がある。そして、この場合、2工程目においても、ホブの位相とワークの位相とが合った状態でワークを加工する必要があり、このためには、1工程目の終了時に、ホブの位相とワークの位相とが合った状態でホブ及びワークの回転を停止させたり、2工程目の開始時に、ホブの位相とワークの位相とが合った状態にして加工する必要がある。
【0007】
しかしながら、ホブ軸駆動用モータの回転力がギア列を介してホブ軸に伝達される上記従来のホブ盤では、ホブ軸駆動用モータの回転位置のみからホブの回転位置を判断すると、1工程目の終了時に、ホブの位相とワークの位相とが合った状態でホブ及びワークの回転を停止させたり、2工程目の開始時に、ホブの位相とワークの位相とが合った状態にすることができない場合がある。
【0008】
即ち、前記ギア列の速度比が1対1のときのように、ホブ軸駆動用モータの回転速度とホブの回転速度とが同じであるときには問題ないものの、前記ギア列の速度比が1対1でないときのように、ホブ軸駆動用モータの回転速度とホブの回転速度とが異なるときには、ホブ軸駆動用モータの回転位置が回転原点と一致することが検出されても、そのときのホブの回転位置は回転原点と一致していない場合がある。
【0009】
例えば、ホブ軸駆動用モータの回転速度とホブの回転速度との速度比を2対1とすると、ホブ軸駆動用モータの回転位置がその回転原点と一致すると検出されたとき、ホブの回転位置はその回転原点と一致する場合と、回転原点から180°ずれた位置となっている場合がある。
【0010】
そして、このように、ホブの回転位置が回転原点からずれると、ホブの位相とワークの位相とがずれた状態となり、このまま2工程目の加工を行うと、例えば、1工程目で加工,形成された歯部が毀損される恐れがあるし、ホブに大きな負荷が掛かってホブが破損する恐れもある。
【0011】
尚、ホブ軸駆動用モータの回転速度とホブの回転速度とが異なるときには、ホブの回転位置が回転原点にあることを検出する検出センサを設け、この検出センサから得られる検出信号を基にホブの回転位置が回転原点と一致するか否かを認識するようにすれば、ホブ軸駆動用モータの回転速度とホブの回転速度とが異なっていても、ホブの回転位置が回転原点と一致するか否かを確実に認識することができ、上述のような不都合が生じるのを防止可能であるが、このような検出センサを設けることが物理的に困難な場合もあるし、検出センサを設けることで製造コストが上昇するという問題もある。
【0012】
本発明は、以上の実情に鑑みなされたものであって、ホブを用いた加工を行なうための工作機械であって、ワークを再加工する際に、ホブとワークの位相ずれが生じるのを確実に防止することができる工作機械の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するための本発明は、
ホブを保持する第1保持部材と、ワークを保持する第2保持部材と、前記第1保持部材に保持されたホブを軸中心に回転させる第1駆動モータを備えた第1駆動手段と、前記第2保持部材に保持されたワークを軸中心に回転させる第2駆動モータを備えた第2駆動手段と、前記第1駆動モータの回転位置がその回転原点にあることを検出して第1検出信号を送信する第1検出手段と、前記第2駆動モータの回転位置がその回転原点にあることを検出して第2検出信号を送信する第2検出手段と、前記各駆動モータの作動を制御する制御手段とを有し、前記ホブにより前記ワークに対して歯切り加工を行う工作機械であって、前記第1駆動モータ回転速度と前記ホブの回転速度とが異なる速度、又は前記第2駆動モータの回転速度とワークの回転速度とが異なる速度に設定された工作機械において、
前記制御手段は、
前記各駆動モータを停止させる際、前記各駆動モータの回転速度とこれに対応するホブ又はワークの回転速度との速度比と、前記各検出手段から送信される各検出信号とを基に、前記各駆動モータの回転位置と前記ホブ及びワークの回転位置とがそれぞれ回転原点に一致するときの検出信号を認識し、前記各駆動モータ,ホブ及びワークの回転位置がそれぞれ回転原点と一致するように該各駆動モータを停止させるように構成されていることを特徴とする工作機械に係る。
【0014】
この発明によれば、制御手段は、各駆動モータを停止させる際、第1駆動モータの回転速度とホブの回転速度との速度比、及び/又は第2駆動モータの回転速度とワークの回転速度との速度比と、各検出手段から送信される各検出信号とを基に、各駆動モータの回転位置とホブ及びワークの回転位置とがそれぞれその回転原点に一致するときの検出信号を認識し、各駆動モータ,ホブ及びワークの回転位置がそれぞれその回転原点と一致するように各駆動モータを停止させる。
【0015】
したがって、第1駆動モータの回転速度とホブの回転速度、及び/又は第2駆動モータの回転速度とワークの回転速度とが異なる場合であっても、第1駆動モータの回転位置とホブの回転位置を回転原点に一致させ、また、第2駆動モータの回転位置とワークの回転位置を回転原点に一致させた状態で、各駆動モータを停止させることができる。
【0016】
このため、例えば、この後、ワークに仕上加工を施すなど、更にワークを加工する際に、各駆動モータ,ホブ及びワークの各回転位置を再度回転原点に合わせるといった追加の動作を要することなく、次の加工を実施することができる。また、ホブとワークとの間の位相ずれを確実に防止することができ、前工程で加工,形成された歯部が次工程の加工によって毀損されるという問題や、ホブに大きな負荷が掛かってホブが破損するという問題が生じるのを防止することができる。更に、新たな部品を特に設けることなく、このような問題が生じるのを防止することができる。
【0017】
尚、前記制御手段は、前記各駆動モータの停止時ではなく、前記ワークの再加工前に、事前に前記各駆動モータを回転させた後、前記各駆動モータの回転速度とこれに対応するホブ又はワークの回転速度との速度比と、前記各検出手段から送信される各検出信号とを基に、前記各駆動モータの回転位置と前記ホブ及びワークの回転位置とがそれぞれその回転原点に一致するときの検出信号を認識し、前記各駆動モータ,ホブ及びワークの回転位置がそれぞれそれらの回転原点と一致するように該各駆動モータを停止させて、前記各駆動モータ,ホブ及びワークの回転位置を位置合わせした後、前記各駆動モータを再回転させて該ワークの再加工を行なうように構成されていても良い。
【0018】
この場合には、各駆動モータ,ホブ及びワークの回転位置をそれぞれ回転原点に合わせた後、ワークの加工を再開するので、第1駆動モータの回転位置とホブの回転位置とが回転原点からずれ、また、第2駆動モータの回転位置とワークの回転位置とが回転原点からずれた状態で各駆動モータが停止したとしても、ホブとワークとの間の位相を合わせた状態で加工を再開することができる。
【0019】
したがって、上記と同様、前工程で加工,形成された歯部が次工程の加工によって毀損されるという問題や、ホブに大きな負荷が掛かってホブが破損するという問題が生じるのを防止することができる。
【0020】
また、前記第1駆動手段が、前記第1駆動モータとホブとが連結された連結状態と、これらの連結が解除された連結解除状態との間で切換可能に構成されている場合、前記制御手段は、前記各駆動モータを停止させて前記第1駆動手段を前記連結解除状態とする際、前記各速度比及び各検出信号を基に、前記各駆動モータの回転位置と前記ホブ及びワークの回転位置とがそれぞれその回転原点に一致するときの各検出信号を認識し、前記各駆動モータ,ホブ及びワークの回転位置がそれぞれその回転原点と一致するように該各駆動モータを停止させた後、前記第1駆動手段を前記連結解除状態とするように構成されていても良い。
【0021】
このようにすれば、第1駆動モータの回転位置とホブの回転位置とがこれらの回転原点と一致し、第2駆動モータの回転位置とワークの回転位置とがこれらの回転原点と一致した状態で各駆動モータを停止させ、その状態で第1駆動モータとホブとの連結を解除することができるので、再度、第1駆動モータとホブとを連結した際、第1駆動モータ及びホブの回転位置が変わっていなければ、第1駆動モータ及びホブは、その回転位置が回転原点と一致した状態になる。したがって、加工を再開する際に、各駆動モータ,ホブ及びワークの各回転位置を再度回転原点に合わせるといった追加の動作を要することなく、直ちに加工を再開することができる。
【0022】
一方、前記制御手段は、前記各駆動モータの停止時ではなく、前記連結解除状態にある前記第1駆動手段を前記連結状態にして、前記ワークを再加工する際に、上記のような回転原点合わせ動作を行なわせるように構成されていても良い。
【0023】
この場合、前記工作機械は、更に、第1駆動モータの回転位置を検出する回転位置検出手段を備え、前記制御手段は、更に、前記第1駆動モータを停止したときの回転位置であって、前記回転位置検出手段によって検出される回転位置と、第1駆動モータと前記ホブとの間の速度比、及び停止時の前記第1駆動モータの回転位置から算出される前記ホブの停止時の回転位置とを記憶する回転位置記憶手段を備えて構成され、更に、前記制御手段は、前記連結解除状態にある前記第1駆動手段を前記連結状態として前記ワークの加工を再開する際、連結前に、前記第1駆動モータの回転位置が前記回転位置記憶手段に格納された第1駆動モータの回転位置と一致するように該第1駆動モータを駆動して停止させ、ついで、前記第1駆動手段を前記連結状態にして、前記各駆動モータを回転させるとともに、前記速度比並びに前記第1及び第2検出信号と、前記連結解除状態とされた時における前記ホブの回転位置と、回転停止時における前記第1駆動モータの回転位置とを基に、前記各駆動モータの回転位置と前記ホブ及びワークの回転位置とがそれぞれ回転原点となるときの第1及び第2検出信号を認識して、前記各駆動モータ,ホブ及びワークの回転位置がそれぞれそれらの回転原点と一致するように該各駆動モータを停止させて、前記各駆動モータ,ホブ及びワークの回転位置を位置合わせした後、該ワークの加工を再開するように構成される。
【0024】
このようにすれば、第1駆動モータの回転位置とホブの回転位置とが回転原点からずれ、また、第2駆動モータの回転位置とワークの回転位置とがその回転原点からずれた状態で各駆動モータが停止した後、第1駆動モータとホブとの連結が解除されたとしても、これらを再連結してワークを再加工する際に、ホブとワークとの間の位相を合わせた状態で加工を再開することができる。
【0025】
尚、前記第1駆動手段が前記連結状態と連結解除状態との間で切換可能に構成されている場合の一例としては、ホブを含む複数の工具がタレットに装着され、このタレットに装着された複数の工具の内、所定の加工位置に割り出された工具を第1駆動モータによって回転可能とする場合が挙げられる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明に係る工作機械によれば、ワークを再加工する際に、ホブとワークの位相を確実に一致させることができ、位相ずれによって加工不良が生じるのを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1実施形態に係る工作機械の概略構成を一部ブロック図で示した斜視図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る工作機械の概略構成を一部ブロック図で示した模式図である。
図3】第2実施形態に係るタレットなどの概略構成を示した正面図である。
図4】第2実施形態に係るホブホルダなどの概略構成を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の具体的な実施形態について、添付図面に基づき説明する。
【0029】
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る工作機械1は、円筒状をしたホブHを軸中心に回転自在に保持するホブ保持体11と、円筒状をしたワークWを軸中心に回転自在に保持するワーク保持体15と、ホブ保持体11に保持されたホブHを軸中心に回転させるホブ駆動機構20と、ワーク保持体15に保持されたワークWを軸中心に回転させるワーク駆動機構26と、ホブ保持体11に保持されたホブHとワーク保持体15に保持されたワークWとの間に送りを与える送り機構(図示せず)と、ホブ駆動機構20,ワーク駆動機構26及び送り機構(図示せず)の作動を制御する制御装置30とを備えて構成される。
【0030】
前記ホブ保持体11は、両端が突出するようにホブHの中心穴内に嵌挿されたホブ軸12と、ホブ軸12の両端を軸中心に回転自在に保持する保持部材13とから構成され、前記ワーク保持体15は、軸中心に回転自在に設けられる主軸16と、主軸16の先端に装着され、主軸16と同軸となるようにワークWの一端を把持するチャック17とから構成される。尚、ホブH及びワークWは、これらの軸線が直交するように保持されている。
【0031】
前記ホブ駆動機構20は、駆動モータ21と、駆動モータ21の回転力をホブ軸12に伝達する伝達機構22とから構成されており、この伝達機構22は、駆動モータ21の出力軸21aに設けられた原動プーリ23と、ホブ軸12の一端に設けられた従動プーリ24と、これらのプーリ23,24間に掛け渡された駆動ベルト25とからなる。駆動モータ21の回転力は、原動プーリ23,駆動ベルト25及び従動プーリ24を介してホブ軸12に伝達され、ホブHが当該ホブ軸12とともに回転する。
【0032】
また、前記原動プーリ23及び従動プーリ24は、原動プーリ23の回転速度(即ち、駆動モータ21の回転速度)と従動プーリ24の回転速度(即ち、ホブHの回転速度)との比である速度比が1対1でないように構成されており、これにより、ホブHは、駆動モータ21の回転速度とは異なる回転速度で回転する。
【0033】
前記ワーク駆動機構26は、駆動モータ27と、駆動モータ27の出力軸と主軸16の後端とを接続するカップリング(図示せず)とから構成されており、駆動モータ27の回転力によって主軸16がチャック17及びワークWとともに回転する。また、駆動モータ27の回転速度と主軸16(ワークW)の回転速度とは同一になっている。
【0034】
また、前記駆動モータ21,27には、当該駆動モータ21,27の回転位置(回転角度位置)を検出するロータリエンコーダ28,29がそれぞれ付設されている。
【0035】
前記送り機構(図示せず)は、例えば、前記ホブ軸12の軸線及び主軸16の軸線の双方と直交する方向と、主軸16の軸線方向とに前記保持部材13及び主軸16を相対移動させてホブH及びワークWを相対移動させる。
【0036】
前記制御装置30は、駆動モータ21,27の回転位置が回転原点にあることを検出する回転原点検出部31と、前記駆動モータ21の回転速度とホブHの回転速度との速度比、及び駆動モータ27の回転速度とワークWの回転速度との速度比(1対1)を記憶する速度比記憶部32と、駆動モータ21,27及び送り機構(図示せず)を制御する駆動制御部33とを備える。尚、回転原点検出部31及びロータリエンコーダ28,29が、前述の第1検出手段及び第2検出手段に相当する。
【0037】
前記回転原点検出部31は、前記ロータリエンコーダ28によって検出される駆動モータ21の回転位置を基に、駆動モータ21の回転位置がその回転原点に一致したとき、これを検出して第1検出信号を送信するとともに、前記ロータリエンコーダ29によって検出される駆動モータ27の回転位置を基に、駆動モータ27の回転位置がその回転原点に一致したとき、これを検出して第2検出信号を送信する。尚、駆動モータ21,27、ホブH及びワークWの各回転原点はそれぞれ任意に設定されるものであり、駆動モータ21とホブHは同じ回転角度位置が回転原点に設定され、同様に駆動モータ27とワークWは同じ回転角度位置が回転原点に設定される。
【0038】
前記駆動制御部33は、駆動モータ21によりホブ軸12及びホブHを回転させ、駆動モータ27により主軸16,チャック17及びワークWを回転させるとともに、送り機構(図示せず)により、軸中心に回転するホブH及びワークWを相対移動させて、ワークWに歯切り加工を施す。その際、駆動制御部33は、ホブH及び駆動モータ21の回転位置をそれぞれ回転原点に一致させ、ワークW及び駆動モータ27の回転位置をそれぞれ回転原点に一致させた後、これら各回転原点を基準にして、ホブH及びワークWを所定の回転速度で回転させることで、ホブHの位相とワークWの位相とが合わされる。
【0039】
また、駆動制御部33は、回転中の駆動モータ21,27を停止させる際、駆動モータ21については、速度比記憶部32に格納された駆動モータ21とホブHとの間の速度比と、回転原点検出部31から送信される第1検出信号とを基に、駆動モータ21の回転位置とホブHの回転位置とがそれぞれその回転原点に一致するときの第1検出信号を認識して、駆動モータ21の回転位置とホブHの回転位置とがそれぞれその回転原点と一致するように停止させるとともに、駆動モータ27については、速度比記憶部32に格納された駆動モータ27とワークWとの間の速度比と、回転原点検出部31から送信される第2検出信号とを基に、駆動モータ27の回転位置とワークWの回転位置とがそれぞれその回転原点に一致するときの第2検出信号を認識して、駆動モータ27の回転位置とワークWの回転位置とがそれぞれその回転原点と一致するように停止させる。これにより、駆動モータ21,27、ホブH及びワークWの回転位置は、それぞれその回転原点と一致する。
【0040】
例えば、駆動モータ21の回転速度とホブHの回転速度との速度比が2対1である場合、駆動モータ21が1回転した時点でホブHは1/2回転しか回転せず、駆動モータ21が2回転してホブHが1回転するため、2つ毎に得られる第1検出信号が、駆動モータ21の回転位置とホブHの回転位置とがそれぞれその回転原点に一致するときの第1検出信号となる。駆動制御部33は、このような第1検出信号を認識して駆動モータ21の回転位置とホブHの回転位置とがそれぞれその回転原点と一致するように駆動モータ21を停止させる。また、駆動モータ27とワークWとの間の速度比は1対1であるため、駆動モータ27をその回転位置が回転原点と一致するように停止させれば、ワークWの回転位置は、必ず回転原点と一致する。
【0041】
以上のように構成された第1実施形態の工作機械1によれば、駆動制御部33による制御の下、駆動モータ21,27によりホブH及びワークWを軸中心に回転させるとともに、送り機構(図示せず)によりホブH及びワークWを接触させた状態で相対移動させることで、ワークWが加工される。このとき、ホブH及びワークWは、それぞれの回転原点を基準に回転している。
【0042】
そして、回転中の駆動モータ21,27を停止させる際には、速度比記憶部32に格納された速度比と、回転原点検出部31から送信される各検出信号とを基に、駆動モータ21とホブHの回転位置がそれぞれその回転原点と一致するときの第1検出信号を認識するとともに、駆動モータ27とワークWの回転位置がそれぞれその回転原点に一致するときの第2検出信号を認識して、駆動モータ21,27、ホブH及びワークWの回転位置がそれぞれその回転原点と一致するように当該駆動モータ21,27を停止させる。
【0043】
したがって、第1実施形態の工作機械1によれば、駆動モータ21の回転速度とホブHの回転速度とが異なる場合であっても、駆動モータ21とホブHの回転位置をそれぞれ回転原点に一致させた状態で駆動モータ21を停止させることができる。尚、駆動モータ27については、その回転速度とワークWの回転速度とが同一であるため、当然に、駆動モータ27の回転位置とワークWの回転位置とがそれぞれ回転原点に一致した状態で、当該駆動モータ27が停止される。
【0044】
このため、例えば、この後、ワークWに仕上加工を施すなど、更にワークWを加工する際には、駆動モータ21,27、ホブH及びワークWの各回転位置を再度それぞれの回転原点に合わせるといった追加の動作を要することなく、次の加工を実施することができる。また、ホブHとワークWとの間の位相ずれを確実に防止することができ、前工程で加工,形成された歯部が次工程の加工によって毀損されるという問題や、ホブHに大きな負荷が掛かってホブHが破損するという問題が生じるのを防止することができる。更に、新たな部品を特に設けることなく、このような問題が生じるのを防止することができる。
【0045】
尚、上例では、駆動モータ21,27を停止させる際に、駆動モータ21,27、ホブH及びワークWの回転位置をそれぞれその回転原点に一致させた状態で停止させるようにしたが、これら駆動モータ21,27、ホブH及びワークWを任意の回転位置で停止させた後、歯切り加工を再開する際に、駆動モータ21,27、ホブH及びワークWの回転位置をそれぞれその回転原点に一致させる位置合わせ動作を行なわせてから加工を再開するようにしても良い。
【0046】
即ち、前記駆動制御部33は、歯切り加工を再開する前に、駆動モータ21,27を回転させるとともに、駆動モータ21及びホブHについては、速度比記憶部32に格納された駆動モータ21とホブHとの間の速度比と、回転原点検出部31から送信される第1検出信号とを基に、駆動モータ21とホブHの回転位置がそれぞれその回転原点と一致するときの第1検出信号を認識して、駆動モータ21とホブHの回転位置をそれぞれその回転原点に一致させて停止させ、駆動モータ27及びワークWについても同様に、速度比記憶部32に格納された駆動モータ27とワークWとの間の速度比と、回転原点検出部31から送信される第2検出信号とを基に、駆動モータ27とワークWの回転位置がそれぞれその回転原点と一致するときの第2検出信号を認識して、駆動モータ27とワークWの回転位置をそれぞれその回転原点に一致させて停止させ、この後、駆動モータ21,27を再駆動してホブHとワークWとを所定の回転速度で回転させ、当該ホブH及びワークWを送り機構(図示せず)により適宜相対移動させてワークWを加工する。
【0047】
このようにすれば、駆動モータ21,27、ホブH及びワークWがそれぞれその回転原点と一致しない任意の回転位置に停止していても、ホブHとワークWとの位相を合わせた状態で加工を再開することができる。
【0048】
したがって、上記と同様、前工程で加工,形成された歯部が次工程の加工によって毀損されるという問題や、ホブHに大きな負荷が掛かってホブHが破損するという問題が生じるのを防止することができる。
【0049】
(第2実施形態)
図2乃至図4に示すように、本発明の第2実施形態に係る工作機械2は、円筒状をしたホブHを軸中心に回転自在に保持するホブホルダ51と、旋削工具Sを保持する旋削工具ホルダ55と、回転工具Tを軸中心に回転自在に保持する回転工具ホルダ56と、ホブホルダ51に保持されたホブH及び回転工具ホルダ56に保持された回転工具Tを軸中心に回転させる回転駆動機構60とを有する刃物台50と、前記ワーク保持体15と、前記ワーク駆動機構26と、ホブH,旋削工具S及び回転工具TとワークWとの間に送りを与える前記送り機構(図示せず)と、回転駆動機構60,ワーク駆動機構26及び送り機構(図示せず)の作動を制御する制御装置70とを備えて構成される。尚、この第2実施形態において、上記第1実施形態に係る工作機械1と同じ構成要素については同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0050】
前記刃物台50は、前記ホブホルダ51,旋削工具ホルダ55,回転工具ホルダ56及び回転駆動機構60の他、多角柱状に形成され、外周面に複数のホルダ51,55,56が着脱自在に取り付けられるタレット57と、タレット57をその軸中心に矢示方向に回転自在に支持する刃物台本体(図示せず)と、タレット57をその軸中心に回転させて、所定のホルダ51,55,56(ホブH、工具S,T)を加工位置に割り出す割出機構(図示せず)などを備える。
【0051】
前記ホブホルダ51は、両端が突出するようにホブHの中心穴内に嵌挿されたホブ軸52と、ホブ軸52の両端を軸中心に回転自在に保持する保持部材53とから構成され、ホブH及びワークWの軸線が直交するようにホブHを保持する。
【0052】
前記回転駆動機構60は、前記タレット57の内部空間57a内に前記刃物台本体によって支持された駆動モータ61と、ホブホルダ51に設けられ、駆動モータ61の回転力をホブ軸52に伝達する伝達機構62と、回転工具ホルダ56に設けられ、駆動モータ61の回転力を回転工具Tに伝達する伝達軸66とから構成されており、加工位置に割り出されたホブホルダ51の伝達機構62又は回転工具ホルダ56の伝達軸66と駆動モータ61の出力軸61aとを係合させて当該駆動モータ61の回転力を伝達する。
【0053】
前記伝達機構62は、前記保持部材53の内部空間53a内に軸中心に回転自在に支持された第1回転軸63及び第2回転軸64と、ホブ軸52の一端に設けられたギア65とからなる。第1回転軸63は、一端が駆動モータ61の出力軸61aと係合し、他端にギア63aが設けられ、第2回転軸64は、ギア63aと噛合するギア64aを一端に備えるとともに、ギア65と噛合するギア64bを他端に備える。駆動モータ61の回転力は、第1回転軸63、ギア63a,64a、第2回転軸64、ギア64b,65を介してホブ軸52に伝達され、ホブHが当該ホブ軸52とともに回転する。
【0054】
また、前記ギア63a,64a,64b,65は、原動側のギア63aの回転速度と従動側のギア65の回転速度との速度比が1対1でないように構成されており、これにより、ホブHは、駆動モータ61の回転速度とは異なる回転速度で回転する。
【0055】
尚、前記駆動モータ61には、当該駆動モータ61の回転位置を検出するロータリエンコーダ67が付設されている。また、ホブホルダ51及び回転工具ホルダ56は、それぞれ割出機構(図示せず)によって加工位置以外の位置に割り出される時には、駆動モータ61と第1回転軸63(ホブH)及び伝達軸66(回転工具T)との連結がそれぞれ解除される。このとき、第1回転軸63及び伝達軸66は、その一端が回転規制部材58と係合してその回転が規制される。
【0056】
前記制御装置70は、駆動モータ61,27の回転位置が回転原点にあることを検出する回転原点検出部71と、駆動モータ61の回転速度とホブHの回転速度との速度比、及び駆動モータ27の回転速度とワークWの回転速度との速度比(1対1)を記憶する速度比記憶部72と、駆動モータ61,27、送り機構(図示せず)及び割出機構(図示せず)を制御する駆動制御部73とを備える。尚、回転原点検出部71及びロータリエンコーダ67,29が、前述の第1検出手段及び第2検出手段に相当する。
【0057】
前記回転原点検出部71は、前記ロータリエンコーダ67によって検出される駆動モータ61の回転位置を基に、駆動モータ61の回転位置がその回転原点と一致したとき、これを検出して第1検出信号を送信する。尚、前記第2検出信号については上述した第1の実施形態の場合と同様である。また、駆動モータ61,27、ホブH及びワークWの各回転原点はそれぞれ任意に設定されるものであり、駆動モータ61とホブHは同じ回転角度位置が回転原点に設定され、同様に駆動モータ27とワークWは同じ回転角度位置が回転原点に設定される。
【0058】
前記駆動制御部73は、上述の第1の実施形態と同様、駆動モータ61によりホブ軸52及びホブHを回転させ、駆動モータ27により主軸16,チャック17及びワークWを回転させるとともに、送り機構(図示せず)によりホブH及びワークWを相対移動させることによって、ワークWに歯切り加工を施す。
【0059】
また、駆動制御部73は、前記加工位置にホブHを割り出してこれを用いた加工を実行後、工具交換指令やタレット回転指令を受け付け、ホブHとは異なる工具S,Tを加工位置に割り出して、次の加工を実行する際、以下のように駆動モータ61,27及び割出機構(図示せず)を制御する。
【0060】
即ち、駆動モータ61については、速度比記憶部72に格納された駆動モータ61とホブHとの間の速度比と、回転原点検出部71から送信される第1検出信号とを基に、駆動モータ61の回転位置とホブHの回転位置とがそれぞれその回転原点に一致するときの第1検出信号を認識して、駆動モータ61の回転位置とホブHの回転位置とがそれぞれその回転原点と一致するように停止させる。一方、駆動モータ27については、速度比記憶部72に格納された駆動モータ27とワークWとの間の速度比と、回転原点検出部71から送信される第2検出信号とを基に、駆動モータ27の回転位置とワークWの回転位置とがそれぞれその回転原点に一致するときの第2検出信号を認識して、駆動モータ27の回転位置とワークWの回転位置とがそれぞれその回転原点と一致するように停止させる。この後、割出機構(図示せず)によりタレット57を回転させて他の工具S,Tを加工位置に割り出し、第1回転軸63と駆動モータ61の出力軸61aとの係合状態(連結)を解除する。
【0061】
例えば、駆動モータ61の回転速度とホブHの回転速度との速度比が3対1である場合、駆動モータ61が1回転した時点でホブHは1/3回転しか回転せず、駆動モータ61が3回転してホブHが1回転するため、3つ毎に得られる第1検出信号が、駆動モータ61の回転位置とホブHの回転位置とがそれぞれその回転原点に一致するときの第1検出信号となる。駆動制御部73は、このような第1検出信号を認識して駆動モータ61の回転位置とホブHの回転位置とがそれぞれその回転原点と一致するように駆動モータ61を停止させた後、タレット57を回転させる。
【0062】
以上のように構成された第2実施形態の工作機械2によれば、前記加工位置にホブHが割り出された状態で、駆動制御部73による制御の下、ホブH及びワークWは、それぞれの回転原点を基準に回転し、当該ワークWはこのような状態で加工される。
【0063】
そして、ホブHを用いた加工を終了して、他の工具S,Tを用いた加工を実行するために、回転中の駆動モータ61,27を停止させる際には、速度比記憶部72に格納された速度比と、回転原点検出部71から送信される各検出信号とを基に、駆動モータ61とホブHの回転位置がそれぞれその回転原点と一致するときの第1検出信号を認識するとともに、駆動モータ27とワークWの回転位置がそれぞれその回転原点と一致するときの第2検出信号を認識して、駆動モータ61,27、ホブH及びワークWの回転位置がそれぞれその回転原点と一致するように当該駆動モータ61,27を停止させる。この後、割出機構(図示せず)によりタレット57を回転させてホブHと駆動モータ61との連結を解除する。
【0064】
このように、第2実施形態に係る工作機械2によれば、上述した第1の実施形態に係る工作機械1と同様の効果が奏され、また、この他に、次のような効果も奏される。即ち、駆動モータ61とホブHとを、それぞれその回転原点と一致した状態で停止させるとともに、この状態で駆動モータ61とホブHとの連結を解除するようにしたので、再度、駆動モータ61とホブHとを連結する際には、ホブHは前記回転規制部材58によってその回転が規制されているため、駆動モータ61の回転位置が変わっていなければ、駆動モータ61とホブHとを連結後、駆動モータ61,27、ホブH及びワークWの各回転位置を再度それぞれの回転原点に合わせるといった追加の動作を要することなく、直ちに次の加工を実施することができる。
【0065】
尚、駆動モータ61については、他の工具S,Tを用いた加工を実行後、当該駆動モータ61を停止する際に、上記と同様にして、これをその回転位置が回転原点と一致するように停止させると良い。或いは、他の工具S,Tを用いた加工を実行後、当該駆動モータ61を任意の回転位置に停止させた後、当該駆動モータ61とホブHとを再連結する前に、事前に、駆動モータ61の回転位置を回転原点と一致させるようにしても良い。
【0066】
また、上例では、タレット57を回転させてホブHとは異なる工具S,Tを加工位置に割り出す前に、駆動モータ61,27、ホブH及びワークWの回転位置をそれぞれその回転原点と一致させるようにしたが、タレット57を回転し、ホブHを加工位置に割り出して、駆動モータ61とホブHとを再連結した後、駆動モータ61,27、ホブH及びワークWの回転位置をそれぞれその回転原点に合わせるようにしても良い。
【0067】
この場合、前記制御装置70は、連結を解除したときの駆動モータ61及びホブHの回転位置を記憶する回転位置記憶部74を更に備え、前記駆動制御部73は、連結を解除したときの駆動モータ61及びホブHの回転位置を当該回転位置記憶部74に格納する。尚、駆動モータ61の回転位置は、ロータリエンコーダ67の検出値から認識することができ、ホブHの回転位置は、ロータリエンコーダ67の検出値と、速度比記憶部72に格納された駆動モータ61とホブHとの間の速度比とを基に認識することができる。
【0068】
そして、駆動制御部73は、他の工具S,Tが加工位置に割り出された状態から、ホブHを再度加工位置に割り出して駆動モータ61とホブHとを再連結する際、以下のように制御する。
【0069】
即ち、ホブHを加工位置に割り出す前に、回転位置記憶部74に格納された駆動モータ61の回転位置を読み出し、駆動モータ61の回転位置が読み出した回転位置(連結解除したときの回転位置)となるように、駆動モータ61を駆動する。ついで、割出機構(図示せず)によりタレット57を回転させてホブHを加工位置に割り出し、第1回転軸63と駆動モータ61の出力軸61aとを連結する。
【0070】
この後、駆動モータ61を回転させるとともに、速度比記憶部72に格納された駆動モータ61とホブHとの間の速度比、回転位置記憶部74に格納された連結解除時の駆動モータ61及びホブHの回転位置と、回転原点検出部71から送信される第1検出信号とを基に、駆動モータ61の回転位置とホブHの回転位置とが回転原点に一致するときの第1検出信号を認識して、当該駆動モータ61の回転位置とホブHの回転位置とがそれぞれその回転原点と一致したとき、当該駆動モータ61を停止する。
【0071】
一方、駆動モータ27についても同様にこれを駆動して回転させ、速度比記憶部72に格納された駆動モータ27とワークWとの間の速度比と、回転原点検出部71から送信される第2検出信号とを基に、駆動モータ27の回転位置とワークWの回転位置とが回転原点に一致するときの第2検出信号を認識して、当該駆動モータ27の回転位置とワークWの回転位置とがそれぞれその回転原点と一致したとき、当該駆動モータ27を停止する。
【0072】
そして、このようにして、駆動モータ61とホブHの回転位置をそれぞれその回転原点に一致させ、駆動モータ27とワークWの回転位置をそれぞれその回転原点に一致させた後、駆動モータ61,27をそれぞれ所定の回転速度で回転させるとともに、ホブH及びワークWを送り機構(図示せず)により相対移動させて当該ワークWを加工する。
【0073】
このような実施形態によれば、上述した第1の実施形態に係る工作機械1と同様の効果が奏され、この他に、次のような効果が奏される。即ち、駆動モータ61とホブHとを連結後、ワークWを加工する前に、駆動モータ61,27、ホブH及びワークWの回転位置をそれぞれその回転原点に一致させるようにしたので、駆動モータ61及びホブHの回転位置が回転原点からずれた状態で停止し、その連結が解除されても、ホブHを用いた加工を再開する際には、ホブHとワークWとの位相を合わせた状態で加工を再開することができる。
【0074】
以上、本発明の具体的な実施形態について説明したが、本発明の採り得る具体的な態様は、何らこれに限定されるものではない。
【0075】
上例では、速度比記憶部32に、駆動モータ21とホブHとの間の速度比、及び駆動モータ27とワークWとの間の速度比の両方を格納し、速度比記憶部72に、駆動モータ61とホブHとの間の速度比、及び駆動モータ27とワークWとの間の速度比の両方を格納するようにしたが、駆動モータ27とワークWとの間の速度比が1対1であるため、駆動モータ21とホブHとの間の速度比や、駆動モータ61とホブHとの間の速度比のみを格納するようにしても良い。
【0076】
この場合、駆動制御部33,73は、ホブH及びワークWを停止させるに当たり、速度比記憶部32,72に格納された速度比と、回転原点検出部31,71から送信される第1検出信号とを基に、駆動モータ21,61の回転位置とホブHの回転位置とがそれそれ回転原点となるときの第1検出信号を認識して、駆動モータ21,61の回転位置とホブHの回転位置とがそれぞれ回転原点に一致するように停止させるとともに、回転原点検出部31,71から送信される第2検出信号を基に、駆動モータ27の回転位置とワークWの回転位置とがそれぞれ回転原点に一致するように停止させる。
【0077】
また、上例において、ワークWの回転速度を駆動モータ27の回転速度とは異なる回転速度としても良い。この場合、駆動モータ21とホブHとの間で用いた手法と同様の手法によって、駆動モータ27とワークWの回転位置をそれぞれその回転原点に一致させることができる。
【符号の説明】
【0078】
1 工作機械
11 ホブ保持体
12 ホブ軸
13 保持部材
15 ワーク保持体
16 主軸
17 チャック
20 ホブ駆動機構
21,27 駆動モータ
22 伝達機構
26 ワーク駆動機構
28,29 ロータリエンコーダ
30 制御装置
31 回転原点検出部
32 速度比記憶部
33 駆動制御部
図1
図2
図3
図4