(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記集積機構は、ループ状のシート部を設けたローラと、該集積機構に搬送された紙幣のガイドと、を備え、前記ループ状のシート部と前記ガイドとが重なり合うように配置されている
請求項1〜3のいずれか一つに記載の紙幣取扱装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0012】
図1は、現金自動取引装置(ATM)の外観斜視図である。現金自動取引装置1は、利用者から入金(投入)された紙幣を内部に保管するとともに、内部に保管されている紙幣を利用者へ出金(放出)するもので、上部正面板1aと、装置筐体1bと、内部に設けた金庫筐体1cと、紙幣取扱装置100と、カード・明細票処理機構201と、顧客操作部202とを備えている。また、現金自動取引装置1によっては、通帳を処理する通帳処理装置と、硬貨を処理する硬貨処理装置とを有するものもある。
【0013】
紙幣取扱装置100は、紙幣を処理するもので、装置筐体1bの内部に設けられている。紙幣取扱装置100の下部には紙幣が保管される紙幣収納庫が設けられている。紙幣収納庫は装置筐体1bとは別に、鉄板(例えば、厚さ数十mm)で形成された金庫筐体1cで囲まれている。現金自動取引装置1のセキュリティを高めるために、金庫筐体1cは、装置筐体1bより堅固な構造で形成されていることが好ましい。
【0014】
装置前側(正面側)の表面に設置された上部正面板1aには、利用者が紙幣の投入及び放出を行うための開口部1dと、カードの挿入及び排出及び明細票の放出がされるカード・明細票スロット1eが設けられている。開口部1dの紙幣の厚み方向の大きさは利用者の手が入る程度に確保することが好ましい。開口部1dの内側には、紙幣取扱装置100のうち、紙幣の投入及び放出される入出金口ユニットが設けられている。また、カード・明細票スロット1eの内側には、カード・明細票処理機構201が設けられている。
【0015】
カード・明細票処理機構201は、カード・明細票スロット1eを介して利用者のカードを処理したり、取引明細票を印字して放出したりするもので、現金自動取引装置1の上部右側に内蔵されている。顧客操作部202は、取引の内容を表示および入力するもので、上部正面板1aの上部左側に設けられている。
【0016】
図2は、現金自動取引装置200の制御ブロック図を示す。現金自動取引装置200内には、装置100、カード・明細票処理機構201、顧客操作部202、係員操作部203、紙幣取扱外部とのデータ送受信を行う外部インターフェース部204、各装置の基本情報やプログラム等を記憶する記憶部205、上記各部に電力を供給する電源部206、及びこれら各部を制御する本体制御部210が実装される。
【0017】
図3は、紙幣取扱装置100の構成を示す側面図である。紙幣取扱装置100は、利用者が入出金時に紙幣の出し入れを行う入出金口ユニット101と、取引中の紙幣を一時的に保管する一時保管ユニット102と、入金された紙幣及び出金する紙幣の種別及び真偽を確かめる鑑別ユニット103と、入金された紙幣及び出金する紙幣を保管する収納庫104と、各ユニット間で紙幣を運搬する搬送路105と、各ユニットや搬送路に設けられたセンサ情報や、鑑別ユニット103で判別した紙幣の情報(金種、紙幣サイズ、紙幣の搬送中の姿勢、紙幣間隔)の処理等、各部を制御する制御部106とを有する。
【0018】
次に、紙幣取扱装置100の動作について説明する。紙幣取扱装置100の基本処理は、主に、入金処理、収納処理、出金処理がある。
【0019】
入金処理は、入出金口ユニット101より入金された紙幣を装置内に搬送する処理である。最初に、入出金口ユニット101から繰り出された紙幣は、搬送路105を経由して鑑別ユニット103に搬送され、紙幣の種別及び真偽が判別される。上記判別の結果、受入可能と判断された紙幣は、後搬送路105aを経由して一時保管ユニット102に搬送される。一方、受入不可能と判断された紙幣は、前搬送路105bを経由して入出金口ユニット101に搬送される。ここで、鑑別ユニット103による判定の結果、受入不可能と判断された紙幣を入出金口ユニット101に搬送して利用者に返却する処理を、入金リジェクト処理と呼ぶ。
【0020】
収納処理は、入金が確定した後に、一時保管ユニット102に一時的に収納された紙幣を、搬送路105aを経由して、鑑別ユニット103で紙幣の状態(搬送姿勢や、紙幣間隔など)を再判別し、収納庫104に収納する処理である。上述の入金処理及び収納処理により、入金取引が完了する。
【0021】
出金処理は、収納庫104に保管されている紙幣を必要な枚数だけ放出し、利用者に対して提供する処理である。収納庫104から繰出された紙幣は、搬送路106及び鑑別ユニット103を経由して、入出金口ユニット101に搬送される。鑑別ユニット103では、金種の確認や紙幣の搬送状態等を判別し、出金に適した紙幣であるかを確認している。
【0022】
以下、
図4〜
図6を用いて、入出金口ユニット101の構成について、詳細に説明する。
図4は、入出金口ユニット101の構成を示す側面図である。入出金口ユニット101は、出金処理及び入金リジェクト処理における集積動作のガイドとなるスタックガイド13及び集積ガイド17と、入出金口ユニットの紙幣収納部を二つに分割する動作板14と、集積された紙幣の長手方向の下端を揃えるための底板15と、出金処理及び入金リジェクト処理において紙幣を集積するための集積機構と、入金処理において紙幣を分離するための分離機構と、取引内容に応じて開閉する上板23と、底板15に設けられ、紙幣の長手方向の端(下端)を支えるための下端支持部材24と、を備える。
【0023】
動作板14は、図示しない移動手段により、紙幣取扱装置100の正面側(図中右側)又は背面側(図中左側)に移動する。また、動作板14により二つに分割された紙幣収納部のうち、紙幣取扱装置100の背面側の紙幣収納部(第一の紙幣収納部S1)は、出金処理や入金リジェクト処理時に、入出金口ユニット101に返却するために、一枚ずつ送られた紙幣を収納する。一方、紙幣取扱装置100の正面側の紙幣収納部(第二の紙幣収納部S2)は、利用者から受け入れた入金紙幣を収納する。
【0024】
次に、集積機構の具体的構成について説明する。集積機構は、図示しない駆動手段により駆動するループシートローラ16と、ループシートローラ16と対向して互いに重なり合うように配置される集積ガイド17と、第一の紙幣収納部S1に紙幣を送り出すために回転する駆動ローラ18と、当該駆動ローラと圧接して従動回転する従動ローラ19と、を備えている。また、集積機構に紙幣を搬送するための搬送路21は、通過する紙幣を検出するための通過センサ22を備えている。入出金口ユニット101に搬送された紙幣は、搬送路21を経由して集積ガイド17に導かれ(矢印A参照)、第一の紙幣収納部S1に集積される。第一の紙幣収納部S1は、スタックガイド13、動作板14、底板15、及び上板23で形成された空間であり、動作板14が移動することによって容積を拡大及び縮小することが可能である。
【0025】
ループシートローラ16は、紙幣に対して搬送方向と逆向きの力を作用させ停止させる機能を有するループ部161と、紙幣を第一の紙幣収納部S1に移動させるシート部162と、を設けている。なお、ループシートローラ16は、弾性部材(例えば、ゴムやプラスチック材)で形成されていることが望ましい。また、
図4では、ループ部161とシート部162との組み合わせ(以下、ループシートという)を120゜間隔で3箇所設けているが、この数に限定するものではない。さらに、ループ部161を設けずに、例えばシート部162の作用により、紙幣を停止させる構成としても良い。
【0026】
ループシートローラ16と集積ガイド17とが重なり合う量δは、ループシートローラ16の軸16pに設けた図示しない位相板との位置関係により定められる。ループシートローラ16と集積ガイド17とが重なり合うことにより、集積機構に紙幣が搬送される際に、ループシートローラ16のループシートが所定の位置で停止する(以下、このループシートローラ16の停止位置を集積待機位置と呼ぶ)。ループシートローラ16は、集積機構に紙幣が搬送される度に回転し、いずれかのループシートが集積待機位置に存在する。
【0027】
次に、分離機構の具体的構成について説明する。分離機構は、第二の紙幣収納部S2に収納された紙幣を一枚ずつ繰り出すためのローラであるピックローラ31と、フィードローラ32と、ゲートローラ33と、を備えている。紙幣を分離する際には、以下の処理が行われる。最初に、動作板14が紙幣取扱装置100の正面方向に移動することにより、分離対象となる紙幣がピックローラ31に押付けられ、図示しないセンサにより押付力を検知する位置(押圧検知位置)まで移動し停止する。このとき、紙幣はピックローラ31に一定の押付力で押しつけられる。この押付状態でピックローラ31が回転することにより、紙幣が分離され、矢印Bの方向に搬送される。なお、動作板14の押圧検知位置は、第二の紙幣収納部S2に収納された紙幣の量に応じて変化する。
【0028】
次に、
図5を用いて、下端支持部材24について説明する。下端支持部材24は、サイズの小さな紙幣が集積機構側に傾いた状態で集積されても倒れないように、紙幣の長手方向の端(下端)を支えることが可能な位置に設けられている。具体的には、下端支持部材24の位置から集積ガイド17までの距離を集積幅Wとした場合、紙幣が倒れずに集積するための集積幅Wの閾値W1は、取り扱う紙幣の短手方向の最小寸法lminより決定される。すなわち、紙幣の許容倒れ角をφ(0°<φ<90°)とすると、W1=lmin×cosφとなり、W<W1となる位置に下端支持部材24を設けることにより、集積後の紙幣は許容倒れ角φ以下に倒れることはない。すなわち、集積ガイド17と下端支持部材24との距離を紙幣の最小寸法lminより短くさせることが望ましい。
【0029】
また、下端支持部材24は、動作板14が第二の紙幣収納部S2に収納された紙幣を分離機構側へ移動させる際に妨げになってはならない。例えば、下端支持部材24を弾性部材(例えば、ゴムやプラスチック材)で形成し、動作板14で押されて移動する紙幣に対しては退避可能な程度に変形し、傾いて滑ろうとする紙幣に対しては、下端支持部材24を乗り越えることなく支える構成とすることが望ましい。具体例として、下端支持部材24に薄いプラスチックシートを用いた場合、プラスチックシートの厚み方向が動作板14の動作方向となり、底板15からプラスチックシートの先端が突出するように底板15に固定される。この構成では、プラスチックシートの剛性によって、動作板14の動作で強く押されれば、プラスチックシートがたわんで退避し、動作板14で押される紙幣の動きを阻害することはない。また、集積空間S1にある紙幣が滑って倒れようとする場合は、プラスチックシートには紙幣の重さによる程度の小さい荷重しかかからないため、たわみが小さく紙幣を支えることができる。
【0030】
図6は、入出金口ユニット101の構成を表す上面図である。動作板駆動モータ26に対して駆動制御の信号を送信する制御部106は、動作板駆動モータ26の回転量を逐一記憶する記憶部106mと、動作板駆動モータ26の回転量や、回転速度を決定するための演算部106cとを備えている。また、動作板駆動モータ26と動作板14とは、ゴム等の弾性部材製のベルト20を介して接続されており、動作板駆動モータ26の駆動が動作板14に伝達される。制御部106の制御により、紙幣取扱装置100の起動時に、動作板14は予め決められた初期位置に移動する。その後、制御部106の記憶部106mに動作板駆動モータ26の回転履歴を記憶することにより、動作板14の位置を把握することを可能としている。
【0031】
以下、
図7〜
図11に示した入出金口ユニット101の集積機構の側面図を用いて、入出金口ユニット101における集積動作について詳細に説明する。なお、集積される紙幣を進入する順にP1、P2、P3、…PNとして説明する。
【0032】
図7は、1枚目の紙幣P1が第一の紙幣収納部S1に搬送される前の状態を示す図である。ループシートローラ16は、上述した集積待機位置で停止している。このとき、ループシートローラ16のループ部161は、搬送される紙幣P1と接触しないことにより、紙幣のジャムを防止する。
【0033】
図8は、1枚目の紙幣P1が第一の紙幣収納部S1に搬送される状態を示す図である。搬送路21を通過した1枚目の紙幣P1は、駆動ローラ18による搬送力によって、ループシートローラ16のループ部161と集積ガイド17との間に搬送される。上述の通り、ループ部161と集積ガイド17とは重なり合っているが、紙幣が搬送されることにより、ループ部161は撓むことになる。また、ループ部161は、弾性部材により形成されているため、1枚目の紙幣P1は座屈することは無く挟持される。その後、駆動ローラ18と従動ローラ19の挟持点から1枚目の紙幣P1の下端が抜けた時、1枚目の紙幣P1は停止しているループ部161と集積ガイド17から受ける搬送抵抗力によって停止する。また、1枚目の紙幣P1の上端は、集積リブ11に接触することにより、2枚目の紙幣P2が第一の紙幣収納部S1に搬送されても、紙幣が倒れ込むのを防止する。
【0034】
図9は、2枚目の紙幣P2が第一の紙幣収納部S1に搬送される前の状態を示す図である。2枚目の紙幣P2の先端が通過センサ22により検知されると、ループシートローラ16は図中X方向(装置前面側)に120°回転し、次のループ部161が集積待機位置へ到達した状態で停止する。ループシートローラ16が回転する際に、シート部162と1枚目の紙幣P1の下端とが1回以上接触することにより、1枚目の紙幣P1は、図中Z方向に放出される。
【0035】
図10は、2枚目の紙幣P2が第一の紙幣収納部S1に搬送される状態を示す図である。
2枚目の紙幣P2は、1枚目の紙幣P1と同様に、ループシートローラ16のループ部161と集積ガイド17との間に搬送され、ループ部161と集積ガイド17とにより挟持された状態が搬送が停止する。その際、集積済みの1枚目の紙幣P1と集積リブ11との接触点において、2枚目の紙幣P2の先端が、1枚目の紙幣P1と接触する。そして、集積済みの1枚目の紙幣P1が動作板14方向に移動することで、2枚目の紙幣P2の先端が集積リブ11と集積済みの1枚目の紙幣P1の間に入り込む。
【0036】
図11は、3枚目の紙幣P3が第一の紙幣収納部S1に搬送される前の状態を示す図である。3枚目の紙幣P3の先端が通過センサ22により検知されると、ループシートローラ16はX方向(装置前面側)に120°回転し、次のループ部161が集積待機位置へ到達した状態で停止する。ループシートローラ16が回転する際に、シート部162と2枚目の紙幣P2の下端とが1回以上接触することにより、2枚目の紙幣P2は、図中Z方向に放出される。その後、3枚目の紙幣P3が、1枚目の紙幣P1及び2枚目の紙幣P2と同様の手順で集積される。
【0037】
以上の動作を、N枚目の紙幣PNが第一の紙幣収納部S1に搬送されるまで、繰り返される。制御部106は、集積枚数に応じて、第一の紙幣収納部S1を集積に適した広さに保つように動作板14を移動させる。
【0038】
上述したような集積動作が出金処理の集積動作である場合、第二の紙幣収納部S2には紙幣が収納されていない。そのため、動作板14は集積機構の近傍に移動させた状態として、搬送される紙幣の枚数に応じて、動作板14を分離機構側に移動させることに問題は無い。すなわち、第一の紙幣収納部S1の容積を適切とした状態で搬送された紙幣を集積することが可能である。しかし、入金リジェクト処理の集積動作である場合、第二の紙幣収納部S2に収納された紙幣の分離も行われているため、
図17に示すように、動作板14が分離機構のピックローラ31の近傍にあり、第一の紙幣収納部S1の容積が大き過ぎる場合がある。このような場合、紙幣サイズの小さい紙幣は、第一の紙幣収納部S1内で倒れ、その後の動作で紙幣を座屈させたり、紙幣が動作板の下に入り込み紙幣が抜き取りにくくなったり、座屈したり入り込んだ紙幣により動作不良を起こす可能性がある。
【0039】
以下、
図12〜
図15に示した入出金口ユニット101の集積機構の側面図と、
図16に示したフローチャートを用いて、紙幣の入金処理及び入金リジェクト処理時における入出金口ユニット101における集積動作について詳細に説明する。なお、
図16の各ステップのうち、ステップS101〜S106、S116〜S117を入金処理、ステップS107〜S115を入金リジェクト処理とする。
【0040】
利用者によって、入金される紙幣が第二の紙幣収納部S2に投入された後、動作板14が押圧検知位置に移動し、
図12に示すように、第二の紙幣収納部S2に収納された紙幣のうち、最も分離機構側の紙幣とピックローラ31とを接触した状態にさせる(ステップS101)。また、ループシートローラ16を回転させ、ループ部161が集積待機位置に到達した状態にさせる(ステップS102)。なお、ステップS101とステップS1012の順序は問わず、いずれかの処理が完了する前に、もう一方の処理が開始されても良い。
【0041】
ステップS101及びステップS102の完了後、ピックローラ31をの駆動させることにより、第二の紙幣収納部S2に収納された紙幣の分離を開始する(ステップS103)。紙幣の分離中、図示しないセンサが動作板14の押付力を検知しなくなった場合(ステップS104:N)、ピックローラ31を回転させた状態を維持しつつ、動作板14を押圧検知位置まで移動し停止する(ステップS105)。
【0042】
1枚目の入金リジェクトが発生した場合(ステップS106:Y、ステップS107:N)、ループシートローラ16を集積待機位置まで回転させ、搬送される入金リジェクト紙幣を集積させるために、集積待機位置まで回転する(ステップS108)。その後、1枚目の入金リジェクト紙幣P1が搬送路21を経由して、ループシートローラ16のループ部161と集積ガイド17とで挟持される。なお、入金処理の際、1枚目の入金リジェクト紙幣が集積機構に搬送されるまでは、原則として集積機構に紙幣は存在しないが、仮に、ループ部161と集積ガイド17で挟持している紙幣がある場合、第一の紙幣収納部S1に紙幣を放出する。
【0043】
2枚目の入金リジェクト紙幣P2が発生した場合(ステップS106:Y、ステップS107:Y)、動作板14が下端支持部材24よりも集積機構側(装置後方)の所定の位置(入金リジェクト紙幣受止位置14a)より、分離機構側(装置前方)に存在するか判断する(ステップS109)。第二の紙幣収納部S2に投入された紙幣が多いことにより、動作板14が入金リジェクト紙幣受止位置14aより集積機構側に存在する場合(ステップS109:N)、動作板14を移動させなくても1枚目のリジェクト紙幣P1が倒れることはない。一方、第二の紙幣収納部S2に投入された紙幣が少なく、動作板14が入金リジェクト紙幣受止位置14aより集積機構側に存在する場合(ステップS109:Y)、
図13に示すように、動作板14を下端支持部材24よりも集積機構側(装置後方)に移動させ、入金リジェクト紙幣受止位置14aで停止させる(ステップS110)。また、第二の紙幣収納部S2に収納された紙幣は、動作板14による押圧が無くなるため、ピックローラ31で繰出した場合に、ジャムが発生する可能性がある。そのため、ピックローラ31の駆動を停止させる(ステップS111)。なお、動作板14の移動の停止とピックローラ31の停止はどちらが先でも良いが、ジャム防止を考慮した場合、動作板14の移動の開始はピックローラ31の駆動の停止よりも先に行われることが望ましい。
【0044】
その後、
図14に示すように、ループシートローラ16を次の集積待機位置まで120°回転することにより、1枚目の入金リジェクト紙幣P1を第一の紙幣収納部S1に放出する(ステップS112)。ループシートローラ16により放出された1枚目の入金リジェクト紙幣P1は、入金リジェクト紙幣受止位置14aにて停止している動作板14により受け止められる。また、搬送路21を経由して搬送された2枚目の入金リジェクト紙幣P2は、ループシートローラ16のループ部161と集積ガイド17とで挟持される。
【0045】
このとき、第一の紙幣収納部S1に放出された1枚目の入金リジェクト紙幣P1が、動作板14で跳ね返り、集積機構側に倒れ込むとしても、2枚目の入金リジェクト紙幣P2により受け止められることにより、自重により紙幣の上端が底板15に接触するまで倒れこむことはない。
【0046】
1枚目の入金リジェクト紙幣P1を第一の紙幣収納部S1に放出した後、第二の紙幣収納部S2に収納された紙幣を分離させるため、
図15に示すように、動作板14を再度押圧検知位置まで移動させるとともに(ステップS113、S114)、ピックローラ31の駆動を再開させる(ステップS115)。この場合、第一の紙幣収納部S1の容積は拡大するが、1枚目の入金リジェクト紙幣P1は、その下端が下端支持部材24によって支持される。そのため、動作板14が入金リジェクト紙幣受止位置14aに存在していた場合と同様に、紙幣の上端が底板15に接触するまで倒れ込むことはない。
【0047】
第二の紙幣収納部S2に収納された紙幣が全て分離された後(ステップS116)、ピックアップローラ31の回転を停止させる(ステップS117)。
【0048】
以上の構成及び処理により、紙幣収納部の容積が拡大された場合であっても、入金リジェクト紙幣を確実に集積することを可能としている。
【0049】
本実施例では、2枚目の入金リジェクト紙幣P2が第一の紙幣収納部に搬送された場合のみ、動作板14を入金リジェクト紙幣受止位置14aまで移動させているが、1枚目の入金リジェクト紙幣P1の場合、ループシートローラ16のループ部161と集積ガイド17に狭持された状態で停止するに過ぎず、2枚目の入金リジェクト紙幣P2が搬送されてから、紙幣P1が第一の紙幣収納部S1に放出されるためである。また、3枚目以降の入金リジェクト紙幣の場合、既に第一の紙幣収納部S1に集積された入金リジェクト紙幣が下端支持部材24よりも装置後部の集積機構側に存在し、当該入金リジェクト紙幣が入金リジェクト紙幣受止位置14aまで後退した動作板14と同様の役割を果たし、紙幣の上端が底板15まで倒れ込む可能性が低いからである。なお、確実に紙幣の上端が底板15まで倒れ込むことを防止させるために、3枚目以降の入金リジェクト紙幣においても、2枚目の入金リジェクト紙幣P2と同様の処理を実行しても良い。
【0050】
また、紙幣の下端と底板15との摩擦力が十分な大きさであり、下端支持部材24がなくとも紙幣の上端の倒れこみを防ぐことが可能であれば、下端支持部材24は無くても良い。この場合、第一の紙幣収納部S1に紙幣を収納させるためには、上述した通り、第一の紙幣収納部S1の集積幅WをW<W1となるように、動作板14を移動させる。