特許第5732379号(P5732379)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5732379
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】チェーン連結用リンク
(51)【国際特許分類】
   F16G 15/04 20060101AFI20150521BHJP
   B66C 1/18 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
   F16G15/04 Z
   B66C1/18 F
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-261460(P2011-261460)
(22)【出願日】2011年11月30日
(65)【公開番号】特開2013-113400(P2013-113400A)
(43)【公開日】2013年6月10日
【審査請求日】2014年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000129367
【氏名又は名称】株式会社キトー
(74)【代理人】
【識別番号】100105223
【弁理士】
【氏名又は名称】岡崎 謙秀
(72)【発明者】
【氏名】木村 悟
【審査官】 広瀬 功次
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公開第02448315(GB,A)
【文献】 英国特許出願公開第01305945(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16G 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のU型リンクからなり、前記U型リンクの両腕の一方の端部に連結用腕部を、他方の端部に溝形状部を有する連結用溝形腕部を設け、U型リンクの連結用腕部をお互いに他方のU型リンクの連結用溝形腕部に嵌装し、前記連結用腕部および前記連結用溝形腕部に設けた貫通孔に連結軸を挿通して前記一対のU型リンクを連結するチェーン連結用リンクであって、前記連結用溝形腕部の外周部外縁の外径を前記連結用腕部の外周部外縁の外径より大きくし、前記連結用腕部の外周と吊り荷との接触を防止するようにしたことを特徴とするチェーン連結用リンク。
【請求項2】
前記連結用溝形腕部は、前記溝を挟んで外側に位置する外側腕部と内側に位置する内側腕部とを有し、前記外側腕部または前記内側腕部のいずれか一方の外部外縁の外径を前記連結用腕部の外周部外縁の外径より大きくしたことを特徴とする請求項1記載のチェーン連結用リンク。
【請求項3】
前記連結用腕部、前記外側腕部および前記内側溝部の前記貫通孔の長さ方向の厚さが以下のとおりとなっていることを特徴とする請求項2に記載のチェーン連結用リンク。
前記連結用腕部の厚さ>前記外側腕部の厚さ>前記内側腕部の厚さ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チェーンスリング等においてチェーンをフック等の吊り金具に連結したり、またチェーン同志を連結する際に使用されるチェーン連結用リンクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、楕円環状のリンクを連接して構成されるチェーン等を連結するチェーン連結用リンクとして、一対のU型リンクの両腕の一方にチェーンに挿着する連結用腕部を、他方に溝形状部を有する連結用溝形腕部を設け、U型リンクの連結用腕部をお互いに他方の連結用溝形腕部の溝部に嵌装し、両腕部に設けた貫通孔に連結軸を挿通し、U型リンクを環状に連結するチェーン連結用リンクは公知である。(特許文献1及び2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭63−35861号公報
【特許文献2】実開昭57−167937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1に記載された従来のチェーン連結用リンクは、連結軸の中間部に設けられた小径部に、U形金具1の腕の軸孔の直径よりも僅かに大きい外径を有するばねカラーを嵌設し、かつばねカラーの内面と前記小径部との間に間隙が設けられることで、簡単な操作でばねカラーを装着できるというものであり、また、特許文献2に記載されたチェーン連結リンクは、連結軸の中間部に固定する抜止環(カラー)の断面形状を楕円形状に形成して、その短軸長さを前記連結軸の外径より小さくし、長軸長さを前記連結軸の外径より大きくすることで、U状杆に高負荷が作用した状態で、これら各U状杆間にねじり作用が作用した場合であっても、前記抜止環が弾性限界を越えて塑性変形するのを防止し、連結軸の不用意な抜出しを防止するというものであり、いずれもカラーや抜止環の改良に関するもので、上記した構造のチェーン連結用リンクにおいて、使用環境に着目し対応した強度改善に関する技術はいまだ存在しない。
【0005】
一方、金属材料技術の進歩により、チェーンの強度アップが図かられ、その結果チェーンの小型化が実現し、それに伴ないチェーンを連結するチェーン連結用リンクも小型化されてきている。
【0006】
上記従来技術において説明した通り、チェーン連結用リンクは、一対のU型リンクの両腕の一方にチェーンに挿着する連結用腕部を、他方に溝形状部を有する連結用溝形腕部を設け、U型リンクの連結用腕部をお互いに他方の連結用溝形腕部に嵌装し、腕部に設けた貫通孔に連結軸を挿通し、U型リンクを環状に連結する構成のものであり、連結用リンクにチェーンを連結するには、連結する楕円環状のチェーンリンクに連結用リンクの連結用腕部を挿通した後に連結リンク同士を連結軸で連結する。そのため、チェーンを構成するチェーンリンクが小型化されると、連結リンクの連結用腕部も小型化しないとチェーンリンクに挿通できないので、その結果として、チェーン連結用リンクの連結用腕部も小型化し、チェーン連結用リンク全体が小型化されてきた。
【0007】
しかし従来のチェーン連結用リンクにおいては、前記した通り、使用環境に着目した連結リンクの小型化に伴う強度確保、特に疲労強度についての改善は未だ行われていない。
【0008】
荷役用として使用されるチェーンスリングは、多様な工事現場、作業現場等過酷な使用環境で使用されるものであり、使用中にチェーン連結用リンクが荷物、スリング用金具、構造物や障害物等に接触又は衝突して磨耗したり、変形及び損傷することで強度が低下すると、チェーンスリング装置全体の使用強度が低下し、そのため連結用リンクの強度確保はチェーンの小型化に伴う喫緊な課題となってきている。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するため、チェーン連結用リンクの連結用腕部の外周に磨耗や傷等による変形の発生を防止し、連結用リンクの連結用腕部の強度向上、特に疲労強度向上を実現できる連結リンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明は、一対のU型リンクからなり、前記U型リンクの両腕の一方の端部に連結用腕部を、他方の端部に溝形状部を有する連結用溝形腕部を設け、U型リンクの連結用腕部をお互いに他方のU型リンクの連結用溝形腕部に嵌装し、前記連結用腕部および前記連結用溝形腕部に設けた貫通孔に連結軸を挿通して前記一対のU型リンクを連結するチェーン連結用リンクであって、前記連結用溝形腕部の外周部外縁の外径を前記連結用腕部の外周部外縁の外径より大きくし、前記連結用腕部の外周と吊り荷との接触を防止するようにしたことを特徴とする。
【0011】
また、前記連結用溝形腕部は、前記溝を挟んで外側に位置する外側腕部と内側に位置する内側腕部とを有し、前記外側腕部または前記内側腕部のいずれか一方の外部外縁の外径を前記連結用腕部の外周部外縁の外径より大きくしたことを特徴とする。
また、前記連結用腕部、前記外側腕部および前記内側溝部の前記貫通孔の長さ方向の厚さが以下のとおりとなっていることを特徴とする。
前記連結用腕部の厚さ>前記外側腕部の厚さ>前記内側腕部の厚さ
【発明の効果】
【0012】
本発明は、一対のU型リンクからなり、前記U型リンクの両腕の一方の端部に連結用腕部を、他方の端部に溝形状部を有する連結用溝形腕部を設け、U型リンクの連結用腕部をお互いに他方のU型リンクの連結用溝形腕部に嵌装し、前記腕部に設けた貫通孔に連結軸を挿通して前記一対のU型リンクを連結するチェーン連結用リンクであって、前記連結用溝形腕部の外周で前記連結用腕部の外周と吊り荷等との接触を防止するように、前記連結用溝形腕部の外周を前記連結用腕部の外周より大きくした構成としたことで、連結用溝形腕部の外周が連結用腕部の外周より貫通孔径方向外方に突出しているので、作業中にチェーン連結用リンクが吊り荷や他の金具等に接触したり、衝突したりする場合であっても、連結用腕部より外側に突出している連結用溝形腕部の外周が吊り荷等と接触し、連結用腕部と吊り荷等との接触、衝突が回避できるので、連結用腕部の磨耗、変形(傷、打痕)等の発生を防止することができ、また、U型リンクの外側の連結用溝形腕部の外周を大きくすることでU型リンクの強度を増加することができるので、チェーン連結用リンク小型化に伴う強度の改善を図ることができる。
【0013】
また、連結用溝形腕部の磨耗限界の目安を連結用腕部の外周とすることで、工事現場等における保守管理が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のチェーン連結用リンクの正面図。
図2図1の右側面図。
図3図1のA−A矢視断面図。
図4図1のB−B矢視断面図。
図5図1の他の形態の矢視断面図。
図6図1の他の形態の矢視断面図。
図7】(a)は図2、(b)は図4の部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図において、1はチェーン連結用リンクで、一対のU型リンク1a、1bから構成されている。U型リンクの1a、1bの両腕の一方の端部は、チェーンに挿着する連結用腕部2a、2bであり、他方の端部は、連結用腕部2a、2bが嵌装される溝部3a、3bを有するU字状の連結用溝形腕部4a、4bで、それぞれの外側腕部4a、内側腕部4a及び外側腕部4b、内側腕部4bから構成される。5は連結軸、6はカラー、7a、7bは連結用腕部2aと連結用溝形腕部4a1、4a及び連結用腕部2bと連結用溝形腕部4b1、4bに貫通して設けられた貫通孔である。本実施の形態では、図7(a)(b)に示す通り、連結用溝形腕部4a、4bの外周の貫通孔径方向の外径aが、連結用腕部2a、2bの外周の貫通孔径方向の外径bより大きく設定されている。
【0016】
一対のU型リンク1a、1bを連結する場合は、一方のU型リンク1a、1bの連結用腕部2a、2bを他方のU型リンクの連結用溝形腕部4a、4bの溝部3a、3bに嵌合させ、連結用溝形腕部4a、4bの内側に図示しない連結軸5の抜け止め手段が設けられたカラー6を装着し、貫通孔7a、7bを一致させ、連結軸5を嵌挿することで、一対のU型リンク1a、1bは連結され、チェーン連結用リンク1が組立てられる。
【0017】
本発明は、一対のU型リンク1a、1bからなり、U型リンクの両腕の一方の端部に連結用腕部2a、2bを、他方の端部に溝形状部3a、3bを有する連結用溝形腕部4a、4bを設け、U型リンク1a、1bの連結用腕部2a、2bをお互いに他方のU型リンク1b、1aの連結用溝形腕部4b、4aに嵌装し、前記腕部2a、2b、4a、4bに設けた貫通孔7a、7bに連結軸5を貫通して前記一対のU型リンク1a、1bを連結するチェーン連結用リンクにおいて、前記連結用溝形腕部4a、4bの外周部外縁の外径aを前記連結用腕部2a、2bの外周部外縁の外径bより大きく設定し、前記連結用腕部2a、2bと吊り荷、他の金具、構造物や障害物等との接触または衝突を防止するようにした構成としたことで、作業中にチェーン連結用リンク1が吊り荷等に接触したり、衝突したりする場合であっても、連結用溝形腕部4a、4bの外周部が連結用腕部2a、2bの外周部の外縁より突出しているので、連結用溝形腕部4a、4bの外周が吊り荷等と接触し、連結用腕部2a、2bは吊り荷等との接触、衝突が回避でき、連結用腕部2a、2bの磨耗、変形(傷、打痕)等の発生を防止することができる。また、U型リンク1a、1bの連結用溝形腕部4a、4bの外周部外縁の外径を大きくすることでU型リンク1a、1bの強度を増加することができ、さらに、連結用溝形腕部4a、4bの磨耗限界の目安を連結用腕部2a、2bの外径とすることで、作業現場等における保守管理が容易となる。カラー6の外径は、図の通り連結用腕部2a、2bより大きく、連結用溝形腕部4a、4bより小さい。連結用溝形腕部4a、4bの外側腕部4a、4bと内側腕部4a、4bの外周部外縁の外径は等しく、内側腕部4a、4bの貫通孔7a、7bの貫通方向の厚さより、外側腕部4a、4bの同厚さの方が厚く、連結腕部2a、2bの厚さの方が、さらに厚くなっている。
【0018】
図5及び図6は他の実施例で、図5は連結用溝形腕部4a、4bの外側腕部4a、4bを連結用腕部2a、2bより図の通り大きくした形態である。
【0019】
図6は連結用溝形腕部4a、4bの内側腕部4a、4bを連結用腕部2a、2bより図の通り大きくした形態である。
【符号の説明】
【0020】
1 チェーン連結用リンク
1a、1b U型リンク
2a、2b 連結用腕部
3a、3b 溝
4a、4b 連結用溝形腕部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7