【文献】
O.GOETZE et al.,”13C-methacetin breath test as a quantitative liver function test in patients with chronic hepatitis C infection:continuous automatic molecular correlation spectroscopy compared to isotopic ratio mass spectrometry",Alimentary Pharmacology & Therapeutics Vol.26,2007年,pp.305-311
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0060】
多くの例示的な態様および実施形態を上述したが、当業者には特定の修正、置換、添加および組み合わせを認める。したがって、以下の添付の請求項およびすべてのこの修正、置換、添加および組み合わせを含む請求項は、本発明の範囲内である。
【0061】
以下の説明において、本発明の様々な態様を説明する。説明のために、特定の配置および詳細を本発明の理解のために提供する。しかし、当業者は、本発明が個々に存在する特定の詳細がなくても実践できる。さらに、既知の特徴は本発明を曖昧にすることがないように除去または簡便にする。
【0062】
一実施形態において、肝臓疾患を評価する方法を提供し、該方法が同位体標識化メタセチンまたはその塩もしくは誘導体の水溶液を被検体に投与した後の被検体の呼気におけるメタセチン若しくはメタセチンの塩または誘導体の代謝生成物の同位体割合の変化を測定するステップを備え、ここでメタセチンまたはその塩もしくは誘導体が溶液に実質的に溶解する。
【0063】
用語「実質的に溶解」は、溶液に90%以上のメタセチンまたはメタセチンの塩もしくは誘導体が溶解していることを含む。用語「実質的に溶解」は、溶液に99%以上のメタセチンまたはメタセチンの塩もしくは誘導体が溶解していることを含む。ここで用いるメタセチンは、保存剤の有無にかかわらず滅菌または濾過した水のような溶媒における予めつくったおよび/または予め準備したメタセチンの任意の溶液を含む。
【0064】
他の実施形態において、肝臓疾患を評価する方法を提供し、該方法が同位体標識化メタセチン、その塩または誘導体を水溶液の形態で被検体に投与した後の被検体の呼気におけるメタセチンまたはメタセチンの塩もしくは誘導体の代謝生成物をオンラインでモニタリングするステップを備える。被検体は、正常な酵素(例えば、肝臓に関連する酵素)活性を示す。この方法はさらに、呼気中のCO
2をモニタリングするステップを備える。この方法はさらに、呼気中のCO
2をモニタリングすることによって得た少なくとも一つの呼気に関連するパラメータと組み合わせたメタセチンの代謝生成物をモニタリングすることによって得た少なくとも一つの呼気に関連するパラメータを分析するステップを備える。この方法はさらに、少なくとも一つの生理学的および/または医学的パラメータと組み合わせてメタセチンの代謝性生物をモニタリングすることによって得た少なくとも一つの呼気関連パラメータを分析するステップを備える。生理学的および/または医学的パラメータには、年齢、性別、体重、身長、血液に関連するパラメータ、肥満度指数(BMI)、胴囲、医学的治療関連パラメータまたはそれら組み合わせがある。
【0065】
当該方法はさらに、肝臓疾患のフォローアップを含み、ここでこの方法が同位体標識化メタセチン、その塩もしくは誘導体を被検体に投与した後の被検体の呼気におけるメタセチン、またはメタセチンの塩もしくは誘導体の代謝性生物のオンラインでのモニタリングするステップを所定時間後に繰り返すステップを備える。
【0066】
さらに他の実施形態において、同位体標識化メタセチン、その塩または誘導体を被検体に投与した後の被検体の呼気におけるメタセチン、その塩または誘導体の代謝生成物のピーク高さおよび/またはピークが見られる時間および/またはそれら組み合わせを測定する方法を提供する。
【0067】
ここで、いくつかの実施形態に係る
13C−メタセチン呼気検査PDR(投与回復百分率)曲線を参照する。この曲線は、呼気において測定した%投与量/時間で示す
13C−メタセチンの代謝率を示す。曲線のピーク(矢印で示す)は、0.4時間後に現れる。PDRピーク高さは、23.5%投与量/時間である。
【0068】
さらに他の実施形態において、肝臓疾患を評価する方法を提供し、該方法が同位体標識化メタセチン、またはその塩もしくは誘導体を被検体に投与した後の被検体の呼気におけるメタセチン若しくはメタセチンの塩または誘導体の投与回復百分率(PDR)として当業界で既知の代謝率の傾きを測定するステップを備える。
【0069】
さらに他の実施形態において、肝臓疾患を評価する方法を提供し、この方法が同位体標識化オクタン酸、またはその塩もしくは誘導体を被検体に投与した後の被検体の呼気におけるオクタン酸またはオクタン酸の塩もしくは誘導体の代謝生成物をオンラインでモニタリングするステップを備える。
【0070】
他の実施形態において、非アルコール性脂肪性肝炎および非アルコール性脂肪肝間の診断を区別する方法を提供し、この方法が同位体標識化オクタン酸、またはその塩もしくは誘導体を被検体に投与した後の被検体の呼気におけるオクタン酸、またはオクタン酸の塩もしくは誘導体の代謝生成物をモニタリングするステップを備え、この場合かかる方法が非アルコール性脂肪性肝炎を有する被検体および正常な肝臓機能を有する被検体に比べて非アルコール性脂肪肝を有する被検体におけるより高い程度の代謝に基づく。
【0071】
他の実施形態において、肝臓疾患を評価する方法を提供し、この方法が同位体標識化オクタン酸、またはその塩もしくは誘導体を被検体に投与した後の被検体の呼気におけるオクタン酸、またはオクタン酸の塩もしくは誘導体の代謝生成物を連続的にモニタリングするステップを備える。この方法は、被検体における非アルコール性脂肪肝および非アルコール性脂肪性肝炎の状態を区別するのに用いる。この方法はさらに、呼気中のCO
2をモニタリングするステップを備える。この方法はさらに、呼気中のCO
2をモニタリングすることによって得た少なくとも一つの呼気に関連するパラメータと組み合わせたオクタン酸の代謝生成物をモニタリングすることによって得た少なくとも一つの呼気に関連するパラメータを分析するステップを備える。この方法はさらに、少なくとも一つの生理学的および/または医学的パラメータと組み合わせてオクタン酸の代謝生成物をモニタリングすることによって得た少なくとも一つの呼気関連パラメータを分析するステップを備える。生理学的および/または医学的パラメータには、年齢、性別、体重、身長、血液に関連するパラメータ、肥満度指数(BMI)、胴囲、医学的治療関連パラメータまたはそれら組み合わせがある。装置はさらに、呼気中のCO
2をモニタリングすることによって得た少なくとも一つの呼気に関連するパラメータと組み合わせた標識化メタセチン、またはメタセチンの塩もしくは誘導体の代謝生成物の同位体レベルをモニタリングすることによって得た少なくとも一つの呼気に関連するパラメータを分析するのに適合したプロセッサを含む。
【0072】
さらに他の実施形態において、同位体標識化オクタン酸、その塩または誘導体を被検体に投与した後の被検体の呼気におけるオクタン酸、その塩または誘導体の代謝生成物のピーク高さおよび/またはピークが見られる時間および/またはそれら組み合わせを測定する方法を提供する。
【0073】
さらに他の実施形態において、同位体標識化オクタン酸、またはその塩もしくは誘導体を被検体に投与した後の被検体の呼気におけるオクタン酸、またはオクタン酸の塩もしくは誘導体の代謝率の傾きの測定方法を提供する。
【0074】
ここで、いくつかの実施形態に係る
13C−オクタン酸塩呼気検査PDR(投与回復百分率)曲線を参照する。この曲線は、呼気において測定した%投与量/時間で示す
13C−オクタン酸塩の代謝率を示す。曲線のピークは、0.475時間後に現れる(矢印で示す)。PDRピーク高さは、20.5%投与量/時間である。
【0075】
図3は、いくつかの実施形態に係る
13C−オクタン酸塩呼気検査CPDR(蓄積PDR)曲線を示す。曲線は、呼気において測定した%で示す代謝した標識化
13C−オクタン酸塩の量を示す。同様の曲線は、
13C−メタセチンまたはあらゆる他の適切な物質のような他の物質を測定することによって生成した。
【0076】
いくつかの実施形態によると、呼気検査方法は、様々な肝臓疾患(HCV,NASH等)における脂肪症の程度を区別するために提供し、この方法が被検体の呼気におけるメタセチンの代謝生成物および早期の脂肪症における増加または誘起した代謝の検出をモニタリングすることによって肝臓疾患を評価するステップを備える。脂肪症のレベルは、0,1および2を含む。脂肪症は、肝臓疾患に関連する。
【0077】
いくつかの実施形態によると、肝臓疾患のフォローアップ用の呼気検査方法を提供し、この方法が被検体の吐気におけるメタセチンの代謝生成物をモニタリングすることによって肝臓疾患の第1評価を行うステップと、所定時間後に被検体の吐気におけるメタセチンの代謝生成物をモニタリングすることによって肝臓疾患の第2評価を行うステップとを備える。他の実施形態において、所定時間後の被検体の吐気におけるメタセチンの代謝生成物をモニタリングすることによって肝臓疾患の第2評価を行うステップは、何回も繰り返すことができる。
【0078】
いくつかの実施形態によると、肝臓疾患および正常な酵素活性を有する被検体を検出する呼気検査方法を提供し、この方法が被検体の吐気におけるメタセチン代謝生成物をモニタリングすることによって被検体の肝臓疾患を評価するステップを備える。
【0079】
いくつかの実施形態において、NAFLDで苦しむ被検体におけるNASHおよびNAFLを区別するおよび/または健康対照およびNAFLもしくはNASH患者を区別する呼気検査方法を提供し、この方法が被検体の吐気におけるオクタン酸、その塩、エステルもしくは誘導体の代謝生成物をモニタリングすることによって肝臓疾患を評価するステップを備える。一つの実施形態において、NASHおよびNAFLの診断区別は、NASHを有する被検体および健康被検体と比較してNAFLを有する被検体における肝臓疾患の増加に基づく。
【0080】
いくつかの実施形態によると、肝臓疾患、肝臓機能、代謝能を評価するおよび/または肝臓健康および/または肝臓損傷を評価する呼気検査方法を提供し、これはさらに、「ほとんどすべての」肝臓が試験食を迅速かつ効果的に代謝する正常な程度の機能を有するように肝臓をチャレンジし得る試験食を被検体に投与するステップを備える。
【0081】
いくつかの実施形態によると、ここで提供する肝臓疾患、肝臓機能、代謝能を評価するおよび/または肝臓健康および/もしくは肝臓損傷の程度を評価するあらゆる呼気検査方法はさらに、呼気中のCO
2を例えばカプノグラフによってモニタリングするステップを備える。これは、肝臓検査評価に対する非関連変数を取り込む代謝率および/またはCO
2生成における検査長さおよび変動を最少にすることができる。
【0082】
他の実施形態において、本発明は、肝臓機能および/健康度を評価する方法に関連する。他の実施形態において、本発明は、肝臓機能を検査する方法に関連する。他の実施形態において、本発明は肝臓機能をモニタリングする方法に関連する。他の実施形態において、本発明は肝臓機能をフォローアップする方法に関連する。
【0083】
他の実施形態において、肝臓応答の原動力の定量的表示を提供する呼気検査パラメータを分析することによって肝臓機能および/または健康度を評価する方法を提供する。他の実施形態において、基質の投与後の傾き、ピーク時間、ピーク高さ/時間および他の適切なパラメータを計算し、提供する。
【0084】
他の実施形態において、肝臓疾患を評価する装置を提供し、この装置が被検体の呼気における標識化メタセチンまたはメタセチンの塩もしくは誘導体の代謝生成物の同位体レベルをオンラインでモニタリングするのに適合した1個以上のセンサーと、連続モードで1個以上のセンサーのサンプル測定に適応したコントローラーとを含む。この装置は、脂肪症のレベル間を区別するのに用いる。
【0085】
他の実施形態において、肝臓疾患を評価する装置を提供し、この装置が標識化オクタン酸またはオクタン酸の塩もしくは誘導体の代謝生成物内の同位体レベルをモニタリングするのに適合した1個以上の呼気センサーと、連続モードで1個以上のセンサーのオンラインサンプル測定に適合したコントローラーとを含む。この装置は、被検体における非アルコール性脂肪肝および非アルコール性脂肪性肝炎状態を区別するのに用いる。
【0086】
ここで説明するあらゆる装置は、連続モードで1個以上のセンサーのサンプル測定に適合する一方、被検体を呼気サンプリングの間装置に連結する。用語「装置に連結する」は、鼻カニューレを介しての連結を意味する。この装置は、呼気サンプルを自動的に収集し、分析するのに適合し得る。
【0087】
ここで説明するあらゆる装置はさらに、呼気中のCO
2をモニタリングするのに適合したカプノグラフセンサーのような1個以上のセンサーを含む。この装置はさらに、呼気中のCO
2をモニタリングすることによって得た少なくとも一つの呼気関連パラメータと組み合わせたメタセチンおよび/またはオクタン酸またはそれらのいずれかの塩もしくは誘導体のような標識化物質の代謝生成物内の同位体レベルをモニタリングすることによって得た少なくとも一つの呼気に関連するパラメータを分析するのに適合したプロセッサを含む。プロセッサは、呼気検査中被検体のCO
2吐気/生成における変化を収集する。
【0088】
ここで説明するあらゆる装置はさらに、少なくとも一つの生理学的および/または医学的パラメータと組み合わせたメタセチンおよび/またはオクタン酸またはそれらの塩もしくは誘導体のような物質の代謝生成物をモニタリングすることによって得た少なくとも一つの呼気に関連するパラメータを分析するのに適合したプロセッサを備える。生理学的および/または医学的パラメータには、例えば、年齢、性別、体重、身長、血液関連パラメータ、肥満度指数(BMI)、胴囲、医療関連パラメータ、それら組み合わせまたはいずれかの関連パラメータがある。
【0089】
いくつかの実施形態によると、分単位の時間でオンサイトの正確な結果を提供する改良された呼気検査分析器を提供し、低コスト、低体積および重量、持ち運びできる装置として実装することができる。いくつかの実施形態によると、装置は、検査の開始から患者の呼気の多数のサンプルを連続的に収集および分析することによってオンラインで機能することができる十分な感度を有し、限定することはないが数分単位の短時間内で得られた最終的な結果等のリアルタイムのアウトプットを処理する。
【0090】
かかる呼気検査分析器は、限定することはないが、代謝または臓器機能不全等の様々な障害の検出に適しており、特定の検査センターまたは中央実験室へサンプルを送る必要なしにリアルタイムで結果を与えるため、医師のオフィスまたはヘルスケア施設における任意他の注意地点を訪問する中で患者へ診断情報を提供するのに用いることができる。
【0091】
ほかの実施形態において、肝臓疾患の評価用キットを提供し、このキットは、同位体標識化メタセチンまたはその塩もしくは誘導体と、同位体標識化メタセチンまたはその塩もしくは誘導体を実質的に溶解するに十分な量の水とを含み、ここで同位体標識化メタセチンまたはその塩もしくは誘導体および水は互いに直接接触しない。このキットはさらに、同位体標識化メタセチンまたはその塩もしくは誘導体および水を混合させる手段を有する。
【0092】
他の実施形態において、肝臓疾患の評価用キットを提供し、このキットは、同位体標識化メタセチンまたはその塩もしくは誘導体の水溶液を含み、ここで標識化メタセチンまたはその塩もしくは誘導体が水にほとんど溶解する。
【0093】
一つの実施形態において、水溶性形態のメタセチンまたはその塩もしくは誘導体を提供する。他の実施形態において、水溶性形態のメタセチンは、未処理のメタセチンと比較してメタセチンの吸収を促進する。他の実施形態において、メタセチンの吸収が活性または非活性である。
【0094】
用語「メタセチンの形態」には、いくつかの実施形態によると、組成物、複合体、混合物、組合せ物、化合物、製剤、メタセチンを含む内包複合体等がある。
【0095】
用語「水溶性形態のメタセチン」には、いくつかの実施形態によると、メタセチン単独よりも大きな水溶解度を有するメタセチンの形態である。
【0096】
他の実施形態において、本発明はまた、一つ以上の製薬的に許容し得るキャリアまたは賦形剤とともに所定量の水溶性形態のメタセチン、またはその塩もしくは誘導体を含む医薬組成物に関する。
【0097】
一つの実施形態において、水溶性形態のメタセチン、その塩または誘導体を製造する方法を提供し、この方法は、水に錯化剤を溶解するステップと、メタセチン、塩またはその誘導体を加えるステップとを備える。
【0098】
他の実施形態において、本発明は、肝臓機能および/または健康度を検査するのに用いる医薬組成物の製造への水溶性形態のメタセチン、塩またはその誘導体の使用に関する。
【0099】
いくつかの実施形態によると、ここで説明するような、検出、モニタリング、区別、評価、測定、分類、定量化等は、ここに記載した装置、呼気収集システム、分析器ユニット、較正装置、アルゴリズムおよび方法のいずれか、および/または例示的な実施形態として、米国特許第6186958号、第6491643号、第6656127号、第20030216660号、第20010021815号において開示された器具、呼気収集システム、分析器ユニット、較正装置、アルゴリズム、および方法のいずれかによって確立される。
【0100】
より詳細には、この装置、器具および方法は、肝臓機能を評価するのに用いることができる代謝肝臓機能検査に対して用いることができる。いくつかの実施形態によると、特定の化合物を経口的または静脈内に投与することによって、化合物を血液から肝臓によって直接代謝または除去し、次いで代謝生成物を血液内に放出し、胆汁、尿、唾液または呼気に排せつする。いくつかの実施形態による方法は、血清に時間が経っても残留する投与生成物の量または生成される代謝生成物の量および/または生成物が排せつされ、肝臓代謝機能の潜在的な正確な測定を付与する割合を測定するステップを含む。いくつかの化合物を用いて、ヨードシアニングリーン、ガラクトース、アミノピリン、カフェイン、リドカイン、フェニルアラニンおよびメタセチン[N−(4−メトキシフェニル)アセトアミド]を含む肝臓代謝機能をこの方法で測定する。モノエチルグリシンエキシロイド(MEGX)に対するリドカインの肝臓代謝のそれまでの研究は、a.低下した代謝が肝臓線維症の増加および肝硬変の悪化に伴って見られ、b.改良した代謝が内在する肝臓疾患の成功治療で見られ、c.肝臓移植を待つ安定な肝硬変を有する患者の未来的な非代償性肝臓に発展するリスクがある正確な予測を立証した。肝臓検査は、急性または慢性肝臓疾患を有する患者集団を狙いとする。これは、肝炎Cに感染した人、NASHまたはアルコール性に関連した肝臓疾患を有する患者、肝臓移植した患者を含む。肝臓によってすべて(またはほとんどすべて)代謝した物質を投与することによって、少なくとも呼気検査処理中肝臓機能を分析する。
【0101】
一つの実施形態によると、分子量の異なる2個の化学的に同じガスの比を測定することができる非常に高感度のガス分析器を備える呼気検査分析器を提供する。ガス分析器は、患者の呼気において存在し得る少量の同位体標識化ガスを測定できる。
【0102】
かかる呼気分析器用の各タイプの検査に対する多くの異なる操作モードがあり、ここで分析をオンラインでリアルタイムに行う一方、患者がその後の分析用の呼気を提供し続ける。共通の操作モードにおいて、呼気検査分析器は、ベースラインの読み取りを得るために、同位体標識化物質を投与する前の患者の呼気を示し、その組成物の全呼気からの同位体標識化ガスの割合について患者の呼気を分析する。同位体標識化物質の投与後の少なくとも1個以上の同様の分析は、時間内の医学的状態の指標を提供する。時間は、患者の呼気の第1感知および第2感知間の最後の感知までの時間と定義する。この特性は、すべての検査と異なる呼気分析であり、非常に短時間において分析する。
【0103】
代案の操作モードにおいて、同位体標識化物質の投与後かつ物質の同位体標識化副生成物の生成終了前に分析を連続的に行い、分析器は、組成物の全呼気ガスにおける同位体標識化ガスの割合のサンプルからサンプルの変化を比較し、これにより物質の同位体標識化副生成物の生成終了前にガス組成物における割合における変化をすぐに検出して医学的状態の指標を提供する。
【0104】
いくつかの実施形態において、呼気サンプルを分析する少なくとも2個のモードがある。分析器は、個々の吐気の分析を行うか、または前述したように患者から連続的に収集した患者の呼気の多数のサンプルに対しオンラインで分析を行う。さらに、患者の息を呼気収集チャンバーと呼ぶ収集用の貯蔵器内に吐き、その後サンプル測定チャンバーへ様々な方法で移動させる分析器を説明する。ここで説明する方法の利点は、分析器が個々の呼気の代わりに測定用の呼気の平均サンプルを引き込んで正確性を高める点である。他の利点は、分析用に多くの安定した呼気のみを収集することができる点である。
【0105】
さらなる実施形態によると、患者の第1吐気および同位体標識化物質の患者への投与後の患者の体内に発生した同位体標識化生成物に対する患者の第2吐気を分析する呼気分析器を提供する。患者の第1吐気および第2吐気を分析することによって、少なくとも第2呼気が物質を投与した患者の吐気であり、分析器が第1呼気の吐気および第2呼気の吐気の間の時間内に異なる第2呼気の吐気後の時間内の医学的状態の指標を提供する。
【0106】
さらなる実施形態によると、ここで説明する呼気検査分析器は呼気分析チャンバー、患者から呼気分析チャンバーまで吐気ガスを運搬する呼気注入管、および呼気分析チャンバーにおけるガスを分析し、患者の第1呼気による吐気の第1分析および患者の第2呼気の第2分析を行うガス分析操作器を有し、少なくとも第2呼気は、同位体標識化物質の患者の投与後の吐気である。
【0107】
さらに、患者の吐気から収集したサンプルを分析する実施形態に対して、分析器はまた分離チャンバー、または呼気注入管の一部、または呼気分析チャンバーの一部となる呼気収集チャンバーを組み込むことを理解できる。後者の場合、ガスサンプルの分析は、呼気収集チャンバーにおいて効果的に行う。
【0108】
さらなる実施形態によると、ここで説明する呼気検査分析器を提供し、患者の第1呼気が同位体標識化物質の投与前に吐かれ、患者の第2呼気が同位体標識化物質の投与後に吐かれる。
【0109】
さらなる実施形態によると、ここで説明した呼気検査分析器を提供し、患者の第1呼気および第2呼気の両方が同位体標識化物質を患者に投与した後に吐かれる。
【0110】
さらなる実施形態によると、同位体標識化物質の投与後に患者の体内で生成した同位体標識化生成物に対する患者の呼気を分析する呼気検査分析器を提供する。分析器は、患者の呼気の少なくとも2個の連続するサンプルを分析することによって患者に存在する医学的状態の指標を提供し、少なくとも2個の連続する患者呼気のサンプルは、少なくとも1個の前者のサンプルの分析後に少なくとも1個の後者のサンプルを有する。
【0111】
さらなる実施形態によると、個々で説明する呼気検査分析器を提供するもので、呼気分析チャンバーと、患者の呼気ガスを呼気分析チャンバーに運ぶ呼気入口管と、呼気分析チャンバー内のガスを分析し、患者の呼気の少なくとも2個の連続するサンプルの分析を行うように走査するガス分析器とを含み、患者の呼気の少なくとも2個の連続するサンプルには、少なくとも1個の前者のサンプルの分析後に吐かれた少なくとも1個の後者のサンプルを有する。
【0112】
さらなる実施形態によると、患者の呼気で検出し得る同位体標識化物質の生成物の患者への投与の前後で患者の吐いた呼気を分析する呼気検査分析器を提供し、生成物が患者の呼気で検出される前に生起する患者の吐いた呼気の第一分析と、生成物を患者の呼気で検出し得た後に生起する患者の吐いた呼気の第二の分析とを含む。分析器は、第2呼気が吐かれた後の時間内に医学的状態の指標を提供し、第1呼気の吐気および第2呼気の吐気の間の時間で異ならない。
【0113】
他の実施形態によると、患者を装置にオンラインで連結しながら患者に投与した同位体標識化物質の生成物に対して、患者の第1吐気および患者の吐いた後の第2またはそれ以後の吐気をオンラインでモニタリングするか、または患者を装置に連結するかまたは連続的に装置にオンラインで吐気しながら上述した呼気をモニタリングし、医学的状態の指標を付与する呼気検査分析器を提供する。呼気を分析する患者は、第1吐気のモニタリングから呼気を吐いた後の第2またはそれ以後のモニタリングまでを連続的に装置にオンラインで連結する。
【0114】
実施形態にしたがってさらに、患者を装置にオンラインで連結しながら呼気分析チャンバー、患者から呼気分析チャンバーまで吐かれた息を運搬する呼気注入管、および呼気分析チャンバーにおけるガスを分析するのに操作するガス分析器含むここで説明した呼気検査分析器を提供する。
【0115】
さらに、他の実施形態において、ここで説明したような患者を装置に連結しながら呼気分析チャンバー、患者から呼気分析チャンバーまで吐かれた息を運搬する呼気注入管、および呼気分析チャンバーにおけるガスを分析し、医学的状態の指標を付与するように操作するガス分析器を含む呼気検査分析器を提供する。
【0116】
他の実施形態において、ここで説明したような患者が装置に呼気しながら呼気分析チャンバー、患者から呼気分析チャンバーまで吐かれた息を運搬する呼気注入管、および呼気分析チャンバーにおけるガスを分析し、医学的状態の指標を付与するように操作するガス分析器を含む呼気検査分析器を提供する。
【0117】
さらに他の実施形態において、患者を持ち運び可能な呼気注入装置に接続するここで説明した呼気検査分析器を提供する。
【0118】
さらに他の実施形態において、患者から取ったサンプルを分析する医学的サンプル分析器を提供し、サンプルの採取または分析のいずれかがサンプルの分析結果によって画定した時点で自動的に終了する。
【0119】
他の実施形態によると、同位体標識化物質の患者への投与後、患者体内に発生した同位体標識化生成物に対する患者の呼気のサンプルを分析する呼気検査分析器をさらに提供し、サンプルの採取または分析のいずれかがサンプルの分析の結果によって画定される時点で自動的に終了する。
【0120】
他の実施形態において、患者から採取したサンプルを分析し、患者から採取したサンプルを受け取るサンプル注入口およびサンプルを分析する分析装置を含むここで説明する医学的サンプル分析器を提供し、分析がサンプルの分析結果によって画定される時点で自動的に終了する。
【0121】
ここで説明し、呼気分析チャンバー、患者から呼気分析チャンバーまで吐かれた息を運搬する呼気注入管、および呼気分析チャンバーにおけるガスを分析する用に操作するガス分析器を含む呼気検査分析器を提供し、患者からのサンプルの分析がサンプルの分析結果によって画定される時点で自動的に終了する。
【0122】
他の実施形態によると、ここで説明する呼気検査分析器を提供し、ガス分析器がガス放電ランプ、または非連続的なスペクトルを放出する赤外線源を含む。
【0123】
他の実施形態によると、ここで説明する呼気検査分析器を提供し、連続的なサンプルの分析結果が曲線に一致し、患者の医学的状態の指標が曲線を微分することによって画定する。
【0124】
他の実施形態によると、患者の第1吐気および同位体標識化物質を患者に投与した後の患者の体内に発生した同位体標識化生成物に対する患者の第2吐気を分析する呼気検査の方法を提供し、患者の第1呼気の第1分析を行うステップと、患者の第2呼気の第2分析を行うステップと、少なくとも第2呼気が物質を患者に投与後に吐かれ、第2呼気を吐いた後の時間内の医学的状態の指標を提供し、第1呼気の吐気および第2呼気の吐気の間の時間の差異はない。
【0125】
さらに、他の実施形態において、患者に投与した同位体標識化物質の生成物に対した患者が吐いた呼気を分析する呼気検査の方法を提供し、生成物を患者の呼気において検出する前に患者の吐いた呼気の第1分析を行うステップと、生成物が患者の呼気において検出し得た後の患者の吐気の第2分析を行うステップと備え、第2呼気の吐気後の時間内の医学的状態の指標を提供し、第1呼気の吐気および第2呼気の吐気の違いがない。
【0126】
さらに、すべての上述した実施形態は患者の第1吐気および第2呼気を分析する呼気分析器を開示するが、これらの実施形態の操作は、少なくとも患者の第1呼気から収集した第1サンプルおよび患者の第2呼気から収集した第2サンプルを分析する呼気に対するのに等しく妥当であるのを理解されたい。
【0127】
さらに、この呼気検査分析器はまた、医師のオフィスにおいて容易に適用できる程度に十分に小さく、そのコストは環境が経済的に正当である程度十分に低い。
【0128】
特定の物質、化合物および/組成物は、(例えば、呼気検査の目的のために)、経口、静脈、鼻、直腸内に、点眼薬で、組み込み装置を用いて、または他の適切な形で投与する。しかし、当業者には、被検体に物質を投与する方法が、現在既知であっても将来開発されたものであっても、本発明に適用できることは明らかに理解できる。物質(例えば化合物)は、肝臓によって直接代謝または除去され、代謝生成物はその後血液内に放出され、胆液、尿、唾液、または吐気において排出される。時間後の血清内に残った投与生成物の量または生成した代謝生成物の量および/もしくはこの生成物が排出された率の測定は、肝臓代謝機能の正確な測定を提供する。
【0129】
いくつかの実施形態によると、呼気検査は、肝臓代謝を測定するための安全で非侵襲的な手段を提供する
13C標識化物質を用いる。
13Cは、安定で非放射性の同位体であり、肝臓による
13Cへの代謝後に放出されるように検査基質の分子内の特定の位置内に組み込むことができる。
13C化合物は、経口投与され、肝臓により迅速に吸収および代謝され、その後
13CO
2が、予め定めた時間内に吐かれた呼気において測定できる。
【0130】
一つの実施形態において、ここで示すような所定時間は、10〜60分である。他の実施形態において、所定時間は0.5〜5分である。他の実施形態において、所定時間は10〜120分である。他の実施形態において、所定時間は1〜10分間である。他の実施形態において、所定時間は5〜15分間である。他の実施形態において、所定時間は10〜30分間である。他の実施形態において、所定時間は15〜45分である。他の実施形態において、所定時間は30〜60分である。他の実施形態において、所定時間は1〜2時間である。他の実施形態において、所定時間は1.5〜3時間である。
【0131】
他の実施形態において、所定時間は3〜4時間とすることができる。
【0132】
一つの実施形態において、所定時間は測定間で異なる。化合物の肝臓代謝は、吐気における
13C/
12Cの比を測定することによって評価する。いくつかの実施形態によると、吐いたCO
2における
13Cおよび
12Cの検出、区別および分類は、米国特許第6186958号、第6491643号、第6656127号、第2003216660号および第20010021815号において開示されたいずれかの装置、呼気収集システム、分析装置、較正装置、アルゴリズムおよび方法によって達成される。いくつかの実施形態によると、持ち運び可能なオフィスを基にしたシステムは、連続的に吐気を感知および収集し、患者の鼻カニューレを通るオンラインでリアルタイムのCO
2を分析し、したがって臨床的な肝臓病学におけるフォローアップ方法を提供する。いくつかの実施形態によると、この検査は、
13CO
2/
12CO
2の比における1/1000程度の臨床的な変動の正確な検出を必要とする感度および正確性を提供するように設計する。
【0133】
炭素−13は、いくつかの実施形態によるとこの呼気検査で最も普通に用いられる同位体置換原子であるが、他の原子を限定することはないが、炭素−13の代わりにまたは加えて炭素―14、窒素―15および酸素―18等用いる。
【0134】
一つの実施形態によると、肝臓機能または肝臓容量または肝臓健康度または肝臓損傷評価は、P450酵素活性をモニタリングすることによるか、または他の適切な方法によって行う。他の実施形態において、肝臓疾患の重症度および解毒活性は、
13CO標識化アミノピリン、メタセチン、クエン酸カフェインの投与によって、または他の適切な方法(検査する特定の機能に依存する)および
13CO
2の増加したレベルの呼気検出によって評価する。
【0135】
一つの実施形態によると、
13C標識化ガラクトースの投与による機能的な肝臓容量の定量化および
13CO
2の増加レベルの呼気検出を行う。
【0136】
肝臓機能を定量化するメタセチン呼気検査の評価は、肝臓疾患を有する人々と正常な集団を区別するのを困難にするこれまでに報告されたイントラおよびインター変動が、単位時間ごとの肝臓によって行われる腸の吸収率、その結果メタセチンの量に影響を与える決定因子に起因し得る。これらの例において、
13CO
2の最大生成率は、腸吸収率に影響されるのみならず、肝臓による最大代謝率によって影響されるので、正常な集団において低い価値を与える。これは、動的対応も与える。
【0137】
いくつかの実施形態によると、肝臓ミトコンドリア活性の測定は、
13C標識化オクタン酸の投与、および
13CO
2の増加したレベルの呼気の検出によって評価される。
【0138】
いくつかの実施形態によると、肝臓ミトコンドリア機能効率は、
13C標識化ケトイソカプロン酸の投与、および
13CO
2の増加したレベルの呼気の検出によって評価する。
【0139】
繊維性肝臓疾患の診断
いくつかの実施形態によると、呼気検査方法は、線維症のレベル間、例えば線維症肝臓疾患の0,1,2レベル(例えば、限定することはないが、METAVIR,ISHAKまたはKnodellまたはBrunt線維症スコア)を区別するために提供し、該方法が被検体の吐気におけるメタセチンの代謝生成物をモニタリングすることによって肝臓機能を評価するステップを備える。別の実施形態において、呼気検査方法は、線維症がレベル0からレベル1まで進行するとき、被検体の肝臓機能の増加に基づいた線維症肝臓疾患のレベルをモニタリングするために提供し、該方法が被検体の吐気におけるメタセチン代謝生成物をモニタリングすることによって肝臓機能の第1評価を行うステップと、所定時間後被検体の吐気におけるメタセチンの代謝生成物をモニタリングすることによって肝臓機能の第2評価を行うステップとを備える。他の実施形態において、所定時間後に被検体の吐気におけるメタセチンの代謝生成物をモニタリングすることによって肝臓機能の第2評価を行うステップは、複数回繰り返す。
【0140】
一つの実施形態において、用語「複数」は、1より大きい任意の数を意味する。他の実施形態において、用語「複数」は、2より大きい任意の数を意味する。他の実施形態において、用語「複数」は、3より大きい任意の数を意味する。
【0141】
他の実施形態において、線維症肝臓疾患のレベル0,1,2の区別は、レベル0および2を有する被検体と比較してレベル1を有する被検体における肝臓機能の増加に基づいている。他の実施形態において、被検体は、慢性肝炎C、BもしくはNAFL/NASHまたは他のいずれかのタイプの慢性肝炎疾患で苦しむ。
【0142】
さらに他の実施形態において、メタセチン呼気検査を用いて、1個の閾値を用い、またグレード6のみの検出用第2閾値を適用して、Ishak線維症スコアの線維症グレード5(肝臓病学において不完全な肝硬変として分類される)またはIshrak線維症スコアのグレード6(肝臓病学において明らかな肝硬変)を有する患者の群を検出することによって肝硬変を検出する。
【0143】
さらに他の実施形態において、メタセチン呼気検査を用いて、特定レベルの線維症および/または炎症で苦しむ可能性を提供するスコアを付与する。
【0144】
他の実施形態において、線維症の肝臓疾患のレベル0,1,2の区別は、メタセチンおよびオクタン酸呼気検査またはそれら誘導体からのデータの組み合わせに基づいている。
【0145】
さらに他の実施形態において、NAFLおよびNASH疾患の区別は、同じ患者に異なる日に行ったメタセチンおよびオクタン酸またはその誘導体の呼気検査からのデータの組み合わせに基づいている。
【0146】
さらに他の実施形態において、正常およびNAFLまたは正常およびNASH疾患の区別は、同じ患者に異なる日に行ったメタセチンおよびオクタン酸、またはそれら誘導体の呼気検査からのデータの組み合わせに基づいている。例えば、患者が正常の範囲でオクタン酸代謝レベルを有するが正常の範囲よりも低いメタセチン代謝レベルを有すれば、これは患者がNASHで苦しむことを意味する。
【0147】
さらに他の実施形態において、NAFLおよびNASH疾患の区別は、同じ患者で異なる日および他の医学的情報(年齢、BMI等)で行ったメタセチンおよびオクタン酸またはその誘導体の呼気検査からのデータの組み合わせに基づいている。
【0148】
さらに他の実施形態において、正常およびNAFLまたは正常およびNASH疾患の区別は、同じ患者に異なる日および他の医学的情報(年齢、BMI等)で行ったメタセチンおよびオクタン酸、またはそれら誘導体の呼気検査からのデータの組み合わせに基づいている。
【0149】
肝臓疾患のフォローアップ
いくつかの実施形態によると、肝臓疾患のフォローアップ用呼気検査方法を提供し、該方法が被検体の吐気におけるメタセチンの代謝生成物をモニタリングすることによって肝臓機能の第1評価を行うステップと、所定時間後被検体の吐気におけるメタセチンの代謝生成物をモニタリングすることによって肝臓機能の第2評価を行うステップとを備える。他の実施形態によると、所定時間後に被検体の吐気におけるメタセチンの代謝生成物をモニタリングすることによって肝臓機能の第2評価を行うステップは、複数回繰り返す。他の実施形態において、フォローアップが肝臓疾患の進行のフォローアップを含む。他の実施形態において、フォローアップが、例えば限定することはないが、急性および/または慢性肝臓疾患に苦しむ被検体等の肝臓疾患の悪化のフォローアップを含む。他の実施形態において、フォローアップが肝臓疾患の改善のフォローアップを含む。
【0150】
他の実施形態において、用語「肝臓疾患」は、いずれかの肝臓に関連する疾患、機能不全、損傷、移植、移植、脂肪蓄積、増加した代謝、減少した代謝およびその他を意味する。
【0151】
脂肪性肝臓疾病の患者における疾病活性およびフォローアップの評価
いくつかの実施形態によると、オクタン酸塩呼気検査に基づいたスコアが、例えば標準的な統計的回帰技術を用いてNAFLD患者におけるグレード活性に用いるNASスコアのような肝臓病学活性スコアと相関するのを誘導する(NASスコアに関するさらなる情報は例えば、Kleiner D.E., et.al. Nonalcoholic Steatohepatitis Clinical Research Network. Design and validation of a histological scoring system for nonalcoholic fatty liver disease. Hepatology. 2005 Jun;41(6):1313-21; and at: http://www.medicalcriteria.com/criteria/gas_nafld.htmにおいて見られ、その内容を参照してここに援用する)。
【0152】
いくつかの実施形態によると、NAFLD患者における肝臓疾患のフォローアップ用の呼気検査方法を提供し、該方法が被検体の吐気におけるオクタン酸塩の代謝生成物をモニタリングすることによって肝臓機能の第1評価を行うステップと、所定時間後に被検体の吐気におけるオクタン酸塩の代謝生成物をモニタリングすることによって肝臓機能の第2評価を行うステップとを備える。他の実施形態によると、所定時間後に被検体の吐気におけるオクタン酸塩の代謝生成物をモニタリングすることによって肝臓機能の第2評価を行うステップは、複数回繰り返す。他の実施形態において、フォローアップが疾病の活性変化のフォローアップを含む。他の実施形態において、フォローアップがNAFLD患者の管理用の「サロゲートマーカー」または「終点」としてのオクタン酸塩呼気検査を用いるステップを含む。
【0153】
いくつかの実施形態によると、アルコール性肝臓疾病(ALD)の患者における肝臓疾患のフォローアップ用の呼気検査方法を提供し、この方法が被検体の吐気におけるオクタン酸塩の代謝生成物をモニタリングすることによって肝臓機能の第1評価を行うステップと、所定時間後に被検体の吐気におけるオクタン酸塩の代謝生成物をモニタリングすることによって肝臓機能の第2評価を行うステップとを備える。他の実施形態によると、所定時間後に被検体の吐気におけるオクタン酸塩の代謝生成物をモニタリングすることによって肝臓機能の第2評価を行うステップは、複数回繰り返す。他の実施形態において、フォローアップが疾病の活性変化のフォローアップを含む。他の実施形態において、フォローアップがNAFLD患者の管理用の「サロゲートマーカー」または「終点」としてのオクタン酸塩呼気検査を用いるステップを含む。
【0154】
肝臓疾患を有する被検体のスクリーニング
いくつかの実施形態において、肝臓疾患および正常な酵素活性を有する被検体を検出する呼気検査方法を提供し、この方法が被検体の吐気におけるメタセチンの代謝生成物をモニタリングすることによって被検体の肝臓機能を評価するステップを備える。他の実施形態において、該方法はさらに、所定時間後に被検体の吐気におけるメタセチンの代謝生成物をモニタリングすることによって肝臓機能の第2評価を行うステップを備える。他の実施形態において、所定時間後に被検体の吐気におけるメタセチンの代謝生成物をモニタリングすることによる肝臓機能の第2評価を行うステップは、複数回繰り返す。他の実施形態において、正常な酵素活性が正常なアラニンアミノトランスフェラーゼ値を含む。
【0155】
NAFL対NASHの診断
オクタン酸、中鎖脂肪酸、およびそれらの塩は、呼気検査によって肝臓ミトコンドリアβ(ベータ)酸化を評価する信頼できる基質である。肝臓ミトコンドリア−β酸化は、NAFLDの病原体において役割を果たす。増大した脂質過酸化および/または肝臓細胞損傷および/または代謝サイクルにおける不完全は、NASHおよびNAFL間およびこれら疾患おおび健康な肝臓間において異なる。したがって、肝臓ミトコンドリアベータ酸化の評価に基づいてNASHおよびNAFLおよび健康な人を区別できる検査の必要性に関する解決法がある。
【0156】
いくつかの実施形態によると、NAFLDに苦しむ被検体におけるNASHおよびNAFLを区別する呼気検査方法を提供し、この方法が被検体の呼気におけるオクタン酸、塩、エステルまたはそれら誘導体の代謝生成物をモニタリングすることによって肝臓機能/健康度を評価するステップを備える。一つの実施形態において、NASHおよびNAFLの診断の区別は、NASHを有する被検体と比較してNAFLを有する被検体におけるオクタン酸またはその誘導体の肝臓機能または代謝の増加に基づく。
【0157】
他の実施形態において、NASHおよびNAFL診断の区別の前にNAFLDを診断できる。他の実施形態において、NAFLDの高い可能性を超音波手段により示すことができる。他の実施形態において、NAFLD以外の肝臓疾病を、NASHおよびNAFLの診断区別の前に除外する。他の実施形態において、NAFLD以外の肝臓疾病を、血液検査によってNASHおよびNAFLの診断区別の前に除外する。他の実施形態において、血液検査が生化学的血清検査を含む。他の実施形態において、それぞれの患者のほかの特性の使用を、肥満度指数(BMI)、特定の血液パラメータ、血圧、胴囲、年齢、性別等の呼気検査データと組み合わせて、肝臓健康度の評価を改良する。他の実施形態において、NAFLおよび/またはNASHを健康な肝臓を有する患者から区別する。
【0158】
さらに他の実施形態において、上昇したOBTを、簡単な非アルコール性脂肪肝(NAFL)の診断の補助として用いる。
【0159】
さらに他の実施形態において、上昇したOBTを、簡単なアルコール性脂肪肝(AFL)の診断の補助として用いる。
【0160】
修正した呼気検査
ここで説明するように、同位体標識化オクタン酸、オクタン酸の塩または誘導体(限定することはないがオクタン酸塩)を用いて肝臓疾患を画定する。
【0161】
13CO
2の形態における
13Cの脂肪酸(オクタン酸塩)代謝および放出は、ベータ酸化、
13C標識化アセチルコエンンザイムA(AcCoA)の生成およびトリカルボン酸サイクル(TCAサイクル)におけるその後の
13Cの放出を含む多重ステップを必要とする。不適切なTCA機能は、AcCoAの蓄積を導く。ケトン体生成または脂質生成となり、呼気検査において検出されない代案の経路がAcCoAに対して存在することは既知である。
【0162】
TCAサイクルで継続する標識化オクタン酸塩の割合対ケトン体を生成する標識化オクタン酸の割合は、被検体の生理学的状態に依存する。例えば、餓死/断食状態において、オキサル酢酸が必要(グルコース合成/グルコース新生において細胞によって用いる)であり、TCAプロセスを非効率的にする。TCAサイクル経路をとる標識化オクタン酸塩の量および代案の経路をとる標識化オクタン酸の量の比を変える(時には予測不可)のは、呼気検査の正確性に影響を与える。
【0163】
いくつかの実施形態によると、オクタン酸塩呼気検査の診断の正確性を増すために以下のステップをそれぞれ互いに独立または組み合わせて提供する。
a.TCAサイクルの飽和を避けるためオクタン酸塩の低投与量(100mgの範囲等)を用いる
b.代謝状態が食物の消費による変化に対して安定でなく感度が低いことを確実にする8時間以上の断食後に患者を検査する
c.検査食は、グルコースおよび
13Cオクタン酸塩を含む
d.検査食は、オキサル酢酸の給源であるアスパラギン酸を付与するアスパルテーム(および
13Cオクタン酸塩)を含む
e.前記bおよび/またはcの代わりにグルコース/アスパルテームを検査の前に投与する
f.ケトン生成経路を遮断/減少させる薬品の使用(例えば、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤)
g.ケトン体生成を13C−オクタン酸塩呼気検査と組み合わせた生化学検査で測定(ケトン尿および/またはプラズマ血清ケトン体濃度)して検査の診断正確性を改良する
h.血液における13C−オクタン酸塩のトレースを探る
【0164】
用語「TCAサイクル」は、細胞呼吸の一部として酸素を用いるすべての生存細胞における重要な酵素触媒化学反応であるトリカルボン酸サイクルまたはKrebsサイクルとしても知られているクエン酸サイクルを意味する。真核生物において、クエン酸サイクルは、ミトコンドリアのマトリックスにおいて起こる。TCAサイクルに関する更なる情報は、http://en.wikipedia.org/wiki/Citric_acid_cycleにおいて見られ、参照して全体をここに援用する。
【0165】
用語「AcCoA」は、多くの生化学反応に用いる代謝において重要な分子であるアセチルコエンザイムAを意味する。その主な用途は、アセチル基内の炭素原子をエネルギー生成に対して酸化するTCAサイクルに運搬することにある。AcCoAに関する更なる情報は、http://en.wikipedia.org/wiki/Acetyl-CoAにおいて見られ、参照して全体をここに援用する。
【0166】
いくつかの実施形態によると、検査の診断正確性の改善(例えばステップgにおいて)は、例えば、測定した13C副生成物が低くケトン体が非常に高いと、これはベータ酸化が正常だがTCAサイクルが不良であることを示す。この状況は、重要な臨床意義を有する。
【0167】
NASH患者における検出
他の実施形態において、正常な被検体において観察される結果の範囲内であるオクタン酸塩呼気検査結果に基づいたNASH患者の検出における評価方法を提供する。NASHの患者および正常な人々の区別は、メタボリックシンドロームおよび/または患者がNASHに苦しむことを意味する異常な肝臓酵素(上昇したALT)を有する臨床症候を有する患者の提示に基づく。したがって、メタボリックシンドローム(例えば、メタボリックシンドロームの診断に対するNIH:http://www.nhlbi.nih.gov/health/dci/Diseases/ms/ms_diagonosis.html)に苦しむおよび/または異常な肝臓酵素を有する(および/または随意的に特定の場合において、正常な酵素を有する)患者の群において、正常な被検体において観察される範囲のオクタン酸塩呼気検査/ベータ酸化の値が、上昇したオクタン酸塩呼気検査での人々よりも疾病の進行段階を示し(最少または細胞損傷がない脂肪肝を有する患者において検出される)、NASHの分類に役立つ。超音波および/またはCTおよび/またはMRIを追加補助として用いて、正常およびNASHを区別することができる。
【0168】
他の実施形態において、予測スコアを生成する患者の人口学的かつ臨床データと組み合わせたオクタン酸塩呼気検査の結果に基づいて、NASH、脂肪症(NAFL)および正常な区別を支援する方法を提供する。一つの好ましい実施形態において、スコアを複数回の分析から得る。(複数回の分析は、当業界で既知の標準的な技術であり、更なる情報は、例えばhttp://en.wikipedia.org/wiki/Multivariate_analysisにおいて見られる)
【0169】
他の実施形態において、予測スコアを生成する患者の人口学的かつ臨床データと組み合わせたオクタン酸塩呼気検査の結果に基づいて、NASH、脂肪症(NAFL)および正常な区別を支援する方法を提供する。一つの好ましい実施形態において、標的人口における疾患を予測するスコアはLogistic Regressionを用いて誘導する(Logistic Regressionは、当該技術における標準的な既知の方法であり、さらなる情報は例えばhttp://en.wikipedia.org/wiki/Logistic regressionで見られる)。
【0170】
肝臓のチャレンジ
肝臓は、非常に高い代謝能を有する臓器である。標準的な肝臓容量の一部は、生理学的タスクを達成するのに十分であることはよく知られている。理想的には、医師が肝臓容量、正常に機能する細胞の割合、またはあらゆる他の関連するパラメータの定量評価を得る。
【0171】
いくつかの実施形態によると、肝臓機能を評価するための呼気検査方法を提供し、この方法が被検体に投与後にメタセチンの代謝生成物をモニタリングするステップを含む、同位体標識化物質および活性検査は、「ほぼすべての」肝臓が活性検査を代謝する正常な機能を有するように行う。
【0172】
他の実施形態において、用語「活性化」は、肝臓活性、例えば限定することはないが砂糖、アルコールおよび他の物質を誘起するいずれかの物質の用途を意味する。
【0173】
いくつかの実施形態によると、肝臓機能の評価用呼気検査方法を提供し、この方法が被検体に肝臓機能を評価するのに必要な最小量の基質を投与後、基質の代謝生成物をモニタリングするステップを備え、投与が「ほとんどすべての」肝臓が活性検査を代謝するのに正常な程度の機能を有するように肝臓を変化させる。他の実施形態において、基質が同位体標識化基質からなる。他の実施形態において、基質が同位体標識化物質および非同位体標識化物質からなる。他の実施形態において、投与量は75mgより高い。他の実施形態において、投与量は85mgよりも高い。他の実施形態において、投与量は75〜100mgである。他の実施形態において、投与量は100mgよりも高い。
【0174】
一つの実施形態において、用語「モニタリング」は、複数の測定を行うことを意味する。他の実施形態において、複数の測定を行うことを実施して、特定の基質の代謝率を得る。
【0175】
一つの実施形態において、用語「ほとんど全ての」は、活性化なしに基質を単独で投与した後に評価できるより大きな割合の肝臓細胞を意味する。
【0176】
他の実施形態において、用語「チャレンジ」は、活性化なしに誘起されるものより大量の肝臓細胞の活性を誘起することを意味する。他の実施形態において、用語「チャレンジ」は、肝臓機能を評価するのに必要な最小量の同位体標識化基質を与えるよりも多量の肝臓細胞の活性を誘起することを意味する。
【0177】
他の実施形態において、用語「基質」は、肝臓で代謝を受けるあらゆる材料を意味する。他の実施形態において、用語「基質」はメタセチンを意味する。他の実施形態において、用語「基質」は、例えば、限定することはないがメタセチンおよびオクタン酸、その塩または誘導体の組み合わせを意味する。
【0178】
一つの実施形態において、同日または異なる日のミクロソーム機能とともにベータ酸化/ミトコンドリア機能の評価方法を提供し、ここで第1基質を投与し、その代謝率を評価するときに第2基質を投与する。これは、異なる肝臓疾病および/または代謝状態および/または肝臓細胞のベータ酸化/ミトコンドリア機能に衝撃を与える脂肪を評価でき、またこれら細胞がその生理学的タスクを以下に行うかを評価することができる。「オンライン」の連続的な分析は、これらの手順を行うことができる。1個の基質を他のものの後に投与する非限定的な実施例は米国特許第2005020931号において開示されている。
【0179】
一つの実施形態において、2個の基質(またはそれ以上)を異なる同位体で標識化し、平行して評価できるようにする(例えば
13Cおよび
14Cで標識化する)。
【0180】
他の実施形態において、2個の基質(またはそれ以上)の少なくとも一つの基質を呼気検査によって測定し、他のものは限定することはないが皮膚を随意的に通過する染色によって(例えば、ヨードシアングリーン検査)測定する。
【0181】
一つの実施形態において、同じ同位体で標識化した2個の基質(またはそれ以上)を呼気検査によって測定し、それらの平均代謝を評価する。
【0182】
一つの実施形態において、第1基質の第2基質の代謝に対するトレースの衝撃を収集するアルゴリズムを提供する。他の実施形態において、アルゴリズムは経験的および他のモデルに基づく。同様に、他の実施形態によると、両方の基質を同時に投与するとき、第1基質の代謝時における第2基質の衝撃を収集する方法を提供する。
【0183】
メタセチンの製剤
肝臓または13C−メタセチンのような化合物を代謝する肝臓における特定の酵素の最大能力およびその代謝率を評価するため、全量を肝臓にできるだけ速くかつ完全に運搬する。典型的な酵素動力学の観点において、これはゼロ次の動力学であり、一次の動力学ではない。これは、基質(13C−メタセチン)の量が飽和でない健康被検体(すなわち、より多くの13C−メタセチンを健康被検体に送達すると反応率が同じである)の場合であり、これは13C−メタセチンを速く吸収されるべきであるためである。ゼロ次の動力学において、検査基質の量は、代謝する酵素の最大能力を超えず、したがって生成物の生成率は、酵素の最大機能能力の正確な測定となる。反応が一次の反応である場合、例えば、患者が重度な肝臓疾患であるとき、健康被検体が飽和でない基質量は、重度な肝臓疾患の患者に対して飽和である。
【0184】
メタセチンおよびメタセチン
13Cの溶解度
炭素の安定な同位体の使用は、一般的な物理的および化学的な特性を変えないので、メタセチン−
13Cでのすべての研究をメタセチン(未標識)に適用し、逆も同様である。いくつかの実施形態によると、用語「メタセチン」は、同位体標識化メタセチンを意味する。いくつかの実施形態によると、用語「同位体標識化メタセチン」は、
13C標識化メタセチンを意味する。いくつかの実施形態によると、用語「
13C標識化メタセチン」は、メタセチン−メトキシ
13Cを意味する。いくつかの実施形態において、用語「メタセチン」は、同位体標識化および非同位体標識化メタセチンの組み合わせを意味する。
【0185】
メタセチンの水(室温の水道水)への溶解は、75mg〜150mgの濃度であっても困難である。さらに、13C−メタセチンは、溶解をさらに困難にする微結晶および/または顆粒体を形成する。一般的には経口投与に用いる75mgを50〜200mlの水道水に使用するが、ほとんどの場合100%の溶解を確実にするのは困難である。どのように胃の酸環境下で分解を受けるか、または溶液から沈殿するかは確かに知られておらず、著しく変動し得る。
【0186】
他の変数は、不溶および可溶両方のメタセチンが吸収を始める小腸に入る時間の長さである。吸収された化合物が門脈血に入り、代謝のため肝臓に送られる。不溶画分は、吸収が起こる前に腸および膵液において溶液を待つ必要がある。したがって、腸吸収の相は、比較的長く、ゼロ次の動力学より一次に近い肝臓へ送達され、肝臓で正常な酵素レベルより低く区別する能力を減少させ、そのため肝臓機能が損失する。また、インターおよびイントラ患者変化(患者が疾病のさらに進行した状態であるときのいずれの場合も)に影響を与える未制御の変数を導く。正しい投与形態は吸収を改善する。
【0187】
先行技術において、溶解を容易にするために、メタセチンを温かい紅茶のキャップに溶解することが提案された。しかし、紅茶は、検査に対する紅茶材料の効果に関連するほかの変化を誘起する。例えば、紅茶(または紅茶における一つ以上の材料)は吸収動力学に影響を与え、最も重要なことには、肝臓代謝に影響を与える。
【0188】
加えて、種々の紅茶が異なるpH値、一般的には2〜7を有する。紅茶のpHはまた、温度に依存する。さらに、その置換基(メトキシおよびアセタンイジン)によるメタセチン環は、SN1およびSN2のような求核反応に対して活性である。熱動力学的考察によって、高温の紅茶は13C−メタセチン環の化学組成を修飾する。
【0189】
水道水はフッ素、リン酸塩および塩素イオンのような特定のイオンを有することも既知である。水道水に存在するこれらイオンは、例えば、メタセチン環との反応により酵素活性検査の結果に影響を与える。
【0190】
もちろん、肝臓の酵素活性を評価するときとくに望ましくない。
【0191】
一つの実施形態において、呼気検査用の貯蔵安定なメタセチン組成物を提供し、該組成物が水に実質的に溶解するメタセチンまたはその塩もしくは誘導体を有し、組成物はメタセチン生成物(アニシジン)をほぼ含まない。
【0192】
ひとつの実施形態において、水溶性形態のメタセチンまたはその塩もしくは誘導体を提供する。他の実施形態において、水溶性形態のメタセチンは未処理のメタセチンと比べてメタセチンの吸収を容易にする。他の実施形態において、メタセチンの吸収が活性または非活性である。他の実施形態において、肝臓に完全に送達するように適合した水溶性形態のメタセチン、その塩または誘導体を提供する。他の実施形態において、肝臓に未処理のメタセチンを送達するのに必要な時間よりも短時間で肝臓に完全に送達するように適合した水溶性形態のメタセチン、その塩または誘導体を提供する。他の実施形態において、用語「完全に」は70〜100%を意味する。他の実施形態において、用語「完全に」は80〜100%を意味する。他の実施形態において、用語「完全に」は90〜100%を意味する。
【0193】
いくつかの実施形態によると、用語「メタセチンの形」は、組成物、錯体、混合物、組み合わせ、化合物、製剤、メタセチンを含む包含錯体等である。
【0194】
いくつかの実施形態によると、用語「水溶性形態のメタセチン」は、メタセチンそのものよりも大きな水溶解度を有するメタセチンの形である。
【0195】
他の実施形態において、水溶性形態のメタセチンはキャリア分子と組み合わせたメタセチンを含む。
【0196】
他の実施形態において、水溶性形態のメタセチンは、メタセチンの錯体を含む。他の実施形態において、水溶性形態のメタセチンは内包錯体を含む。
【0197】
いくつかの実施形態によると、用語「メタセチンの錯体」は、非共有化学結合を介した錯化剤に可逆的に関連するメタセチンを意味する。
【0198】
他の実施形態によると、用語「メタセチンの錯体」は、錯化剤の3次元ネットの内側に含まれ得るメタセチン、その塩または誘導体を意味する。
【0199】
いくつかの実施形態によると、用語「メタセチンの内包錯体」は、錯化剤の内側空洞に含まれ得るメタセチン、その塩または誘導体を意味する。
【0200】
いくつかの実施形態によると、用語「錯化剤」は、メタセチンに可逆的に関連する物質(例えば、限定することはないが、ポリマー、シクロデキストリンなど)を意味する。
【0201】
一つの実施形態において、水溶性形態のメタセチンは、水において実質的な濃度(70%(w/v))を達成できる。一つの実施形態において、水溶性形態のメタセチンは水において実質的に80%〜90%(w/v)以上の濃度を達成することができる。一つの実施形態において、水溶性形態のメタセチンは、水において実質的な濃度(90%超え(w/v))を達成する。一つの実施形態において、水溶性形態のメタセチンは水において99%(w/v)以上の濃度を達成する。
【0202】
一つの実施形態において、メタセチンおよび錯化剤のモル比は、1対1〜3の間である。他の実施形態において、メタセチンおよび錯化剤のモル比は、1対1〜2の間である。他の実施形態において、メタセチンおよび錯化剤のモル比は、1対約1.5である。
【0203】
他の実施形態において、メタセチンおよびヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリンのモル比は1対1である。他の実施形態において、メタセチンおよびヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリンのモル比は1対1.7である。他の実施形態において、メタセチンおよびヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリンのモル比は1対1〜3である。他の実施形態において、メタセチンおよびヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリンのモル比は1対1〜2の間である。他の実施形態において、メタセチンおよびヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリンのモル比は1対1.5〜2の間である。
【0204】
他の実施形態において、錯化剤は未置換または置換シクロデキストリンを含む。他の実施形態において、シクロデキストリンはベータ−シクロデキストリンを含む。
【0205】
他の実施形態において、置換したシクロデキストリンには、アルキル化、ヒドロキシアルキル化シクロデキストリンまたはそれら組み合わせがある。他の実施形態において、ヒドロキシアルキル化シクロデキストリンには、ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロでキストリン、ヒドロキシエチル−ベータ−シクロデキストリン、メチル−ベータ−シクロデキストリン、グルコース−ベータ−シクロデキストリン等、またはそれら組み合わせがある。他の実施形態において、ヒドロキシアルキル化シクロデキストリンには、ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリンがある。他の実施形態において、ベータ−シクロデキストリンには、2−ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリンがある。
【0206】
シクロデキストリンは、通常それぞれアルファ、ベータまたはガンマシクロデキストリンと呼ぶ6,7または8グルコピラノース単位を有する環状オリゴ糖である。これら天然の化合物は、比較的硬いドーナツ型の構造を有し、天然の錯化剤として用いる。これら化合物の独特な構造は、隣接するグルコピラノース単位のC
2およびC
3ヒドロキシ基間の分子内水素結合に対する安定性を有する。分子は、小さい開口の周りに整列したより大きくまたより反応性のC
6ヒドロキシルの周りに位置するC
2およびC
3ヒドロキシルと円環面の形を取る。水素結合したC
2およびC
3ヒドロキシルに対向するC
6ヒドロキシルの配置は、酸素結合を空隙内の近接位置に押し進め、電子の豊富な疎水性内部をもたらす。この疎水性空隙のサイズは、シクロデキストリンを形成するグルコピラノース単位の数の関数である。天然のシクロデキストリンの溶解度は非常に低く、これはシクロデキストリンが効果的な錯化剤となるのを防ぐ。2,3および6ヒドロキシル部位での化学的置換は穏やかに溶解度を増す。化学的置換度並びに置換に用いる基の性質は、水性媒体におけるシクロデキストリンの最終的な最高濃度を画定する。空隙の大きさは、シクロデキストリンを錯体形成に用いる際の主要決定因子である。「フィット」は、シクロデキストリンの良好な組み込みを達成するのに臨界的である。6−グルコピラノース単位化合物またはアルファ−シクロデキストリンは、多くの分子を受け入れることができない小さい空隙を有する。8−グルコピラノース単位化合物またはガンマ−シクロデキストリンは、いくつかの場合において、組み込むべきいくつかの分子より大きい空隙を有し、シクロデキストリン疎水性電荷が錯化を容易にするために効果的に相互作用できない。疎水性分子は、水を置換することによってシクロデキストリンの空隙内に組み込む。この反応は、水による分子の反発力によるのが望ましい。これは、シクロデキストリン内の被検体の分子を効果的にカプセル化して、分子を水溶性にする。水溶性錯体をより大容積の水性溶媒で希釈する場合、このプロセスを逆にし、溶液内に被検体の分子を放出する(The Source. (1991). Water-Soluble Complexes, Part 1 : Cyclodextrins- What are they? Vol.
7 No. 3 、参照してここに援用する)。
【0207】
いくつかの実施形態によると、75mgのメタセチンを10〜60%のシクロデキストリンの水5mlに溶解する。いくつかの実施形態によると、15mgのメタセチンを10〜50%のシクロデキストリンの水75mlに溶解する。いくつかの実施形態によると、15mgのメタセチンを20〜50%のシクロデキストリンの水75mlに溶解する。いくつかの実施形態によると、15mgのメタセチンを30〜50%のシクロデキストリンの水75mlに溶解する。いくつかの実施形態によると、15mgのメタセチンを35〜45%のシクロデキストリンの水75mlに溶解する。いくつかの実施形態によると、75mgのメタセチンを45%のシクロデキストリンの水5mlに溶解する。
【0208】
いくつかの実施形態において、メタセチンおよびシクロデキストリンのモル比が1対1〜3の間である。いくつかの実施形態において、メタセチンおよびシクロデキストリンのモル比が1〜2の間である。いくつかの実施形態において、メタセチンおよびシクロデキストリンのモル比が1対約1.5である。
【0209】
いくつかの実施形態によると、ここで説明する錯化剤はポリマーを含む。他の実施形態において、ポリマーにはポリビニルピロリドン、ヒドロキシアルキルセルロース、ポリエチレングリコール、ラウレス硫酸ナトリウム、Tween−80、それら誘導体またはそれら組み合わせがある。
【0210】
いくつかの実施形態によると、メタセチンおよびポリマーの比は臨界的でなく、メタセチンの所望の最終的な投与量に依存する。いくつかの実施形態によると、錯体が、該錯体の全重量によってメタセチンの10〜50質量%である。他の実施形態によると、錯体は、錯体の全重量によってメタセチンの10〜20質量%である。他の実施形態によると、錯体は、該錯体の全重量によってメタセチンの15〜25質量%である。他の実施形態によると、錯体は、該錯体の全重量によってメタセチンの20〜30質量%である。他の実施形態によると、錯体は、該錯体の全重量によってメタセチンの30〜40質量%である。
【0211】
いくつかの実施形態によると、水溶性形態のメタセチンは有機溶媒を含む。他の実施形態において、有機溶媒には非毒性有機溶媒がある。他の実施形態において、水溶性形態のメタセチンには、有機溶媒に予備溶解したメタセチンがある。
【0212】
いくつかの実施形態によると、水溶性形態のメタセチンは、乾燥固体、粒子、粉末、微粒子等の形がある。他の実施形態において、水を投与前に加える。
【0213】
メタセチンおよびメタセチン−
13Cの安定性
いくつかの実施形態によると、ここに記載した水溶性形態のメタセチンは、メタセチンを安定化させ、メトキシ基の損失または他の分解の証明を防止する。
【0214】
いくつかの実施形態によると、メタセチン−
13Cは水に安定で、メトキシ基の損失または他の分解の証明を受けない。
【0215】
化合物としてのシクロデキストリンは、他の化学物質の可溶化に有用であることが知られているが、ヒドロキシプロピルベータシクロデキストリンへのメタセチンの溶解度は予測できず、アルファおよびガンマシクロデキストリンのような他のデキストリンは、それらの一般的な溶解特性に関して既知であり、メタセチンの溶解において効果的でない。
【0216】
分子の安定性の潜在的増強を示す予期せざる結果は、いくつかの実施形態によって、メタセチンの構造を酸化しやすくする。
【0217】
他の実施形態において、本発明はまた製剤組成物に関連し、所定量の水溶性形態のメタセチン、その塩または誘導体を、一つ以上の製薬的に許容し得るキャリアまたは賦形剤とともに含む。
【0218】
他の実施形態において、製剤組成物は限定することはないが、液体、溶液、ゲル、固体、粒子、粉末、微粒子等のいずれかの形がある。
【0219】
製薬敵に許容し得る賦形剤には、水、結合剤、希釈剤、崩壊剤、安定剤、保存剤、滑剤、香味料、芳香剤、甘味料および製剤技術の分野で既知の他の賦形剤がある。キャリアおよび賦形剤には、ヒドロキシプロピルセルロース、ラクトース、微結晶セルロース、炭酸カルシウム、デンプン、コロイド状二酸化ケイ素、グリコール酸デンプンナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリゾン、および製剤技術の分野で既知の他の賦形剤がある。
【0220】
随意的には、いくつかの実施形態によると、製剤組成物には、メタセチンに加えて一つ以上の活性成分を含む組み合わせた製品がある。
【0221】
固体投与形態の製剤組成物は、いくつかの実施形態において、メタセチンの即時放出の錠剤、気泡タブレットまたは分散タブレットおよびカプセルである。
【0222】
製剤組成物は、製剤技術の分野で既知の方法によって調製する。
【0223】
現在の投与形態、特にメタセチンの水溶液とは逆に、いくつかの実施形態によると、所定量のメタセチンすべてを、食道をすばやく開け胃に入る小さなボーラスとして送達させ、胃液による希釈が起こる。他の実施形態において、ボーラスの希釈は、メタセチンの沈殿を起こさず、吸収のために腸にすばやく送達される。
【0224】
一つの実施形態において、錯化剤、例えばヒドロキシプロピルベータシクロデキシトリンがメタセチンの溶解度を維持するため、高濃度が腸粘膜と接触し、より敏速な吸収を確実にする。
【0225】
したがって、水溶性形態のメタセチンの投与は、よりゼロ次の動力学に近づき、機能的な肝臓能に対する検査がより均一となる。
【0226】
一つの実施形態において、さらに水溶性形態のメタセチン、その塩または誘導体の製造方法を提供し、該方法が錯化剤を水に溶解するステップと、メタセチン、その塩または誘導体を加えるステップとを備える。他の実施形態において、この方法はさらに、混合物を約20℃〜100℃の範囲の温度で攪拌するステップを備える(例えば、限定することはないが、メタセチン、その塩または誘導体を錯体に入れ、溶解するまで約20℃〜30℃の範囲内の温度で攪拌する)。他の実施形態において、錯化剤を用い、または錯体に20〜100℃の範囲における温度で挿入する。
【0227】
他の実施形態において、この方法はさらに適切な方法、例えば、限定することはないが、凍結乾燥、スプレー乾燥、流動床乾燥、静電オーブン、および他の適切な方法を含む。
【0228】
他の実施形態において、この方法はさらに水溶性形態のメタセチンをカプセル化するステップを含む。いくつかの実施形態によると、カプセル(敏速、遅延または制御放出)を飲み込み、胃内の胃液に溶解し、小さなボーラスとして腸にすばやく入る。他のバージョンにおいて、カプセルを腸溶コーティングし、また腸に入る後まで溶解しない。カプセルの分解は、メタセチンを吸収表面に即座にかつ高濃度で送達し、肝臓への薬物を送達する門脈において高濃度となる。
【0229】
他の実施形態において、本発明は、肝臓機能の検査に用いる製剤組成物の製造への水溶性形態のメタセチン、その塩または誘導体の使用に関する。
【0230】
いくつかの実施形態において、水溶性形態のメタセチンをここで参照するあらゆる方法に用いることができる。他の実施形態において、水溶性形態のメタセチンを、肝臓機能を評価するあらゆる検査に用いることができる。他の実施形態において、水溶性形態のメタセチンを、肝臓機能を評価するあらゆる呼気検査に用いることができる。いくつかの例示的な実施形態によると、水溶性形態のメタセチンは、例えば以下の文献において開示されたように、肝臓機能を検査する当業者に既知のあらゆる方法に用いることができる。B. Braden, d. Faust, u. Sarrazin, s. Zeuzem, c. F. Dietrich, w. F. Caspary & c. Sarrazin,
13C-methacetin breath test as liver function test inpatients with chronic hepatitis C virus infection, Aliment Pharmacol Ther 2005; 21 : 179-185 and Klatt S, Taut C, Mayer D, et al. Evaluation of the
I3C-methacetin breath test for quantitative liver function testing, Z Gastroenterol 1997; 35: 609-14であり、ここに参照して援用する。
【実施例】
【0231】
メタセチン溶液−2週間/3ヶ月安定性結果
1. 検査材料
1−1.スポンサーから供与されたメタセチン,PPG−400およびtween−80を
1−2.ラウリル硫酸ナトリウム(SLS):HPLCに対する分析グレード
1−3.水:0.2μフィルタ後のHPLCグレード
1−4.アセトニトリル:HPLCグレード
1−5.メタノール:HPLCグレード
1−6.滅菌水におけるメタセチン
2.製剤調製
【0232】
最初の3個のアイテムにおいて、75mgメタセチン/200ml溶媒を含む製剤を調製した
2−1.製剤−1:76.04mgメタセチン;62.94mgSLS;水で最終体積200mL
2−2.製剤−2:75.87mgメタセチン;4mL PPG−400;水で最終体積200mL
2−3.製剤−3:76.66mgメタセチン;4mL tween−80;水で最終体積200mL
第4製剤において、75mgメタセチン/100mL溶媒を調製した:
2−4.製剤−4:75.01mgのメタセチン:70°C滅菌水において溶解させ最終体積100ml
3.保管状態
【0233】
最初の3個の製剤溶液は、光から保護した室温で保管した。第4溶液は、インキュベータにおいて3ヶ月40℃で保管した。
4.分析前のサンプル調製
【0234】
各検査間で、製剤サンプルを以下の方法に従って分析した:
分析方法:
HPLC状態:
カラム:Inertsil ODS-2.5μ,250×4.6mm
カラム温度:30℃
検出器:240nmでのUV
流量:0.9mL/min
注射体積:15μL
ランタイム:9分
流動相:30:70 ACN:H
2O
ブランク:M.P.
【0235】
サンプルを約37ppm(1000mlにおける37mg)の濃度まで希釈し、同じ濃度の標準的な溶液に対して分析した。標準物がスポンサー(Adrich428264batch:UI2335)から供与された。純度100%を計算に用いた。
5.メタセチン標準溶液調製
【0236】
製剤に用いるメタセチンサンプルをHPLC画定に対する標準として用いる。
【0237】
37〜38mg/100mLのメタノールを含むストック溶液が室温で少なくとも1週間安定であるとわかった。ストック溶液を、HPLC分析前に流動相の溶液において10倍に希釈した。
6.製剤におけるメタセチンのアッセイ
【0238】
アッセイを、Analyst SOP No.05−001−03およびにスポンサーから供与されたHPLC方法に従って行った。
7.結果
【0239】
表1で得られた結果は、最初の3つの製剤において、メタセチンが室温で2週間安定であり、第4の製剤は3ヶ月安定であることを示す。
【0240】
【表1】
滅菌水におけるメタセチンの1回投与の再現性および安定性
表2は、75mg/100mlの
13Cメタセチンのサンプル調製剤の再現性および安定性を示す(Analyst Research Laboratories)
【0241】
【表2】
シクロデオキシリンにおけるメタセチンの安定性
1.製剤調製
【0242】
175mgのメタセチンを5mlのシクロデキストリンに有する製剤を調製した。
2.メタセチン標準溶液の調製
【0243】
メタセチン水溶液を4再現で〜500ppmの濃度で研究室において調製した。メタセチン含有量を調製日に逆相UV検出HPLC方法によって確定した。サンプルを分析に必要な時間室温で保管し、調製した標準溶液に対して分析した。
3.結果
【0244】
表3で得た結果は、新たな調剤でのメタセチンが室温で5週間安定であることを示した。
【0245】
【表3】
【0246】
「肝臓機能障害」の重症度を評価する「生理学的ノイズ」
本発明の他の好ましい実施形態は、肝臓動的機能反応/曲線における生理学的変動(生理学的ノイズとも呼ぶ)の大きさおよび/またはレベルに由来した新しいパラメータを加えることを提案する。
【0247】
驚くべきことに、正常な被検体または中程度の肝臓損傷を有する患者において、観察した
13C−メタセチン呼気検査PDR(投与回復百分率)曲線が進行した疾病の患者(例えば、チャイルドピュー分類BまたはCとして分類される進行した肝硬変を有する患者において)において比較的滑らかであり、該曲線が全体的に妨げられた「肝臓機能」または「肝臓機能不全」を示すノイズを含むことを見出した。全肝臓機能は、肝臓細胞内への血流および細胞内の代謝並びに副生成物の排除に依存することを挙げるのが重要である。
【0248】
進行した疾病の患者においては、代謝レベルが異なる処理でのP450活性の誘起により高い(グラフの高さ)ままで、正常の値内である一方、重度の疾病をこれらの患者におけるノイズの現れによって検出することができる。
【0249】
以下はこの現象を説明する2個の実施例である。ここで、2つの
13C−メタセチン呼気検査PDR(投与回復百分率)曲線を示す
図4を参照する。曲線410は、正常(高い)値を有する肝硬変の患者を示し、曲線420は、健康な対照群を示す。両曲線(曲線410および曲線420)の最大高さは類似しているが、曲線420が比較的滑らかであり、曲線410は顕著な変動を示す。代謝の大きさ、代謝率PDR,蓄積代謝、CPDRだけではなく、動的応答、例えばPDRピーク時間および高さをモニタリングするメタセチン呼気検査から得た豊富な情報および「生理学的ノイズ」は、呼気検査がこれら因子によって影響され、肝臓細胞代謝プロセスに正に影響されないので、門脈圧亢進症/HPLG(肝静脈圧勾配)およびシャント数を評価することも可能にする。
【0250】
HVPG(肝静脈圧勾配)は肝臓疾病の患者に信頼できる予後スコアを提供することが最近の研究によって示された。HVPG検査の問題は、それらが侵襲的および高価であることである。
【0251】
肝臓疾病が進行すると、組織および血管における変化が起こることがよく知られている。とくに、これはシャントの生成を含む。最近の研究は、シャント検査が予後スコアとして高い価値があることを示す (Everson GT, Shiffman ML, et al, Aliment Pharmacol Ther. 2008 May;27(9):798-809 and http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/182669977ordinalpos
= l&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_RVDocSum、ここに全体を参照して援用する)。
【0252】
本発明の他の好ましい実施形態は、メタセチン呼気検査を用いてHVPG/門脈圧亢進症およびシャントを評価する。この理由は、メタセチンが高い肝臓抽出率(例えば、当業界で既知であるように0.8以上)の薬剤であり、このため肝臓への血流に依存する。肝硬変の患者における肝臓の組織学的変化および血液力学的変化および門脈圧亢進症の関係が最近示された[Kumar M. et al, Aliment Pharmacol Ther. 2008 May;27(9):771-9、ここに全体を参照して援用する]。シャントに対するメタセチンの感度は近年A. Gasbarriniグループ(Catholic大学、ローマ、イタリア)によってAASLD007で示された。
【0253】
ここで用いる用語「生理学的ノイズ」は、いくつかの実施形態によって、呼気検査曲線のような曲線、例えば同位体標識化メタセチン、その塩もしくは誘導体または他の適切な化学物質の投与回復百分率(PDR)曲線および/またはデルタ過剰ベースライン(DOB)曲線の大きさ、振幅、頻度および/または変動数として規定し得るものを指す。
【0254】
肝臓機能不全スコア
本発明の好ましい実施形態は、個々の肝臓機能不全の重症度/疾患の重症度を定量的および定性的に評価するのに用いる「肝臓機能不全スコア」と呼ぶ新しいスコアと、これをコンピュータで計算するためのアルゴリズムとを提供する。
【0255】
(i)肝硬変、重度の線維症および/または重度な炎症等の疾患の重症度の第1/予備評価、肝臓保管の評価
【0256】
(ii)個人をフォローアップし、「終点」および「サロゲートマーカー」として機能を果たして経時で患者の状態における変化を評価し、とくに治療をモニタリングする
【0257】
(iii)予後の情報を提供するおよび/または以下の少なくとも一つを予測する
【0258】
死亡率
【0259】
血管静脈瘤、脳病、合成機能の低下、高いビリルビンを含む合併症
【0260】
門脈圧亢進症
【0261】
肝臓移植の必要性;および/または
【0262】
SBP(突発性細菌性腹膜炎)
【0263】
いくつかの実施形態によると、本発明の目的は、呼気検査から直接得たデータに加えて、患者の人口学的情報を含む信頼あるスコアを提供することにある。人口学的情報を下記に用いることができる。
【0264】
(i)呼気検査に影響を与えるインター患者因子を補償する;および/または
【0265】
(ii)疾病に影響を与え、呼気検査のデータとともに疾病の重症度および/または状態の信頼できる予測を提供することができる因子を処理する。この情報は、以下のリストからの任意の一つ以上のアイテムに関連する(および/または任意の他の関連する情報):
【0266】
身長および体重
【0267】
年齢
【0268】
性別
【0269】
喫煙習慣
【0270】
疾患原因
【0271】
限定することはないが、メタセチンの代謝経路に衝撃を与え得るシャント、門脈圧亢進症、脳病、ビリルビン、浮腫および/または腹水、非代償性肝硬変、特定の薬品の消費等の機能不全に関する既知の情報;および
【0272】
チャイルドターコッテピュー(CTP)またはMELDスコアのような肝臓疾患重症度を評価する共通のスコア
【0273】
アルゴリズムにおける臨床情報の利用の非限定的な例は、ユーザが「非代償性肝硬変」に苦しむことが既知であるときのみ「「生理学的ノイズ」パラメータが「肝臓機能不全スコア」に寄与するアルゴリズムを使用することで、そうでなければ軽度の肝臓疾患を有する患者の能力を劣化させる場合がある。ロジスティック回帰分析技術を用いると、驚くべきことに、生理学的ノイズが、進行した肝臓疾患に寄与しながら無症状の患者の性質のみに負の作用を有することを見出し、正常から致命的な疾患の幅広い重症度を有する群を評価する。
【0274】
スコア構造−例示的な実施形態によると、スコアを確立スコアとして構築し、疾患の確率(特定疾患の検出用のロジスティック回帰に由来する;言い換えれば、患者の二値分類)に対するか、または一連のパラメータのライナー組み合わせのような一般的なスコアとして0〜1の値を提供する。このスコアは、任意他の適切な生物統計学的で、数学的な方法および/または任意他の方法によって構築することができる。
【0275】
いくつかの実施形態によると、本発明の目的は、標準的な呼気検査から直接得たデータに加えて、以下の少なくとも一つに由来した情報を有するパラメータを含む信頼できるスコアを提供することである。
【0276】
「生理学的ノイズ」
【0277】
早期のピークの現れ−肝臓細胞内の代謝および血流の両方によって影響されるピークの早期位置を、アルゴリズムの因子および/またはアルゴリズムを用いるための基準として考慮することができる;および
【0278】
パラメータの値対これらの正常と判断される値−アルゴリズムを特定パラメータの寄与がその値に依存するエキスパートディシジョンシステムとして構築することができる。したがって、特定パラメータの値は機能が正常であることを強く示すか、または重度の疾病(例えば、肝臓機能不全)であることを示す場合、アルゴリズムにおける寄与は、ボーダーラインの値を有する他のパラメータよりも高い。
【0279】
ここで、肝臓疾患を検出するための例示的なアルゴリズム500のフローチャートを示す
図5を参照し、慢性肝臓疾患の患者における肝硬変を検出および/または疾患重症度を評価するのに用いる。アルゴリズム500は、エキスパートシステムとして随意的に実施することができる。
【0280】
ブロック502に呼気検査の結果を付与する。この結果は、ピークまでの時間、生理学的ノイズ、20分のような特定の時間でのPDR(投与回復百分率)のような一つ以上のパラメータおよび/または任意他のパラメータを含む。ブロック504において、一つ以上の結果を、年齢のような人口学的データに従うおよび/またはアルゴリズム500に適する数値範囲に準拠させてって随意に規格化する。
【0281】
ブロック506に人口学的データを付与する。人口学的データには、患者の年齢、性別、病歴および/またはその他のような一つ以上のパラメータがある。ブロック508において、人口学的データの一つ以上のパラメータを随意にモデル化して、該デモデータに基づいて患者の肝臓疾患傾向を反映する数的指標をつくる。
【0282】
ブロック510〜516は、呼気検査結果および人口学的データに関連した例示的なパラメータを示す。各パラメータは、随意に設計した2個の数値的閾値:上限の閾値および下限の閾値であり、この場合上限の閾値を超えた値はパラメータが臨床的に正常であることを示し、下限の閾値を超えた値はパラメータが臨床的に問題あることを示し、2個の閾値間の値は重要でないと考えられる。上限の閾値は、下限の閾値を有するボックス以上に位置するボックスの内側の図において示す。
【0283】
図に示す閾値は、説明のためだけに示す。1個またはそれ以上の閾値を用いる。
【0284】
上限の閾値は、下限の閾値よりも必ずしも高い数値でない。ブロック510および512のもののようないくつかのパラメータは、下限の閾値よりも数字的に低い上限の閾値を含む。すなわち、かかるパラメータは、高い値の場合臨床的に問題であり、低い値の場合臨床的に正常であると考えられる。
【0285】
呼気検査結果に起因するブロック510は、10分の上限閾値および60分の下限閾値を有する「時間ピーク」パラメータを示す。
【0286】
呼気検査結果に起因するブロック512は、0.2の上限閾値および0.8の下限閾値を有する「生理学的ノイズ」パラメータを示す。
【0287】
呼気検査結果に起因するブロック514は、35の上限閾値および8の下限閾値を有する「20分でのPDR」パラメータを示す。
【0288】
人口学的データおよび呼気検査データに起因するブロック516は、0.7の上限閾値および0.3の下限閾値を有する「モデル化人口学的および呼気検査」のパラメータを示す。このモデルは、ロジスティックまたはリニア回帰を用いて誘導されて、例えば参照標準(生検等)と相関させることができる。
【0289】
ブロック518〜524において、−1〜+1間の値を、それぞれブロック510〜516の各パラメータに指定する。0の値は、値がこのパラメータの閾値間であるパラメータを指定する。520〜524において、0〜−1の間の負の値を、値が下限閾値を超えるパラメータを指定し、それらが臨床的に問題のあるパラメータを意味する。正確な負の値は、下限閾値からの偏移度によって画定する。逆に、0〜1の正の値は、上限閾値を超える値のパラメータを指定し、臨床的に正常なパラメータであることを意味する。正確な正の値は、上限閾値からの偏移度に従って画定する。1または−1の値に近いと、結果がより重要となる;例えば518において、閾値は、閾値からの距離にかかわらず+1または−1となる。
【0290】
ブロック526において、ブロック518〜524で指定した値を、総和、乗算、平均、軽量および/または任意他の適切な数学的方法のような数学的方法を用いて単一の指数に組み合わせる。
【0291】
例示的なアルゴリズム500は、2個のアウトプットを生ずる。第1アウトプットをブロック532に示し:肝臓機能不全スコアである。肝臓機能不全スコアは、患者の肝臓の臨床的状態を示す前のブロック526で作成された指標か、またはこの指標の修正とすることができる。
【0292】
第2アウトプットをブロック530に示し:患者の肝臓疾病/疾患の確率である。この確率は、前のブロック528において生じ、ブロック56の指数が0〜1の範囲に一致する。値0は、現在の患者が肝臓疾患によって影響を受けた確率が高いことを示す一方、値1は、現在の患者が肝臓疾患によって影響を受けている確率が高いことを示す。なお、確率の値は、2個の閾値と比較する:上限の閾値および下限の閾値であり、ここで上限の閾値を超える確率の値は患者の疾患が臨床的に正常であることを示し、下限の閾値を超える値は患者の疾患が臨床的に問題であることを示す。
【0293】
メタセチンの貯蔵安定組成物
いくつかの実施形態によると、貯蔵安定メタセチン組成物を提供する。既知の安定した量のメタセチンを有するメタセチン溶液の組成物を提供する重要性をここで説明する。異なる製剤を選択する自由度は、肝臓呼気検査の性質によって限定され、異なる成分が生体利用効率だけでなく肝臓への望ましくない作用によるメタセチンの実際の代謝にも影響を与える(患者は、これらの問題/議論を克服するほど正確に速い8時間後の検査を行う)。
【0294】
用語「メタセチン組成物」または「メタセチンの組成物」は、いくつかの実施形態によると、メタセチン、例えば、限定することはないが、水溶液におけるメタセチンを含む製剤または薬物形態を意味する。いくつかの実施形態によると、用語「メタセチン組成物」または「メタセチンの組成物」はまた、「メタセチン調剤」または「メタセチンの調剤」を意味する。メタセチン組成物は、例えば、1回投与量のメタセチンを含む。メタセチン組成物は、例えば、メタセチンの1回診断投与量を含む。
【0295】
制御した微生物製剤
いくつかの実施形態によると、
13C−メタセチン溶液の制御された微生物製剤を提供する。
【0296】
13C−メタセチン溶液は、微生物成長を阻害しない(「チャレンジ検査」を行い、化学保存剤の種類の添加物の利用に関する前段落で示した必要性を満たすには)ので、製剤の調製用の特定のプロセスを開発する。
【0297】
従って、いくつかの実施形態によると、本発明の目的は、保存剤を用いることなくボトル内にメタセチン溶液を微生物制御されたまたは無菌で調製および充填する方法を提供することにある。これは、溶液を経口投与(PO)し、限定された微生物負荷がTotal Aerobic Microbial Count(Bacteria)<10
3(例えば<10
2)cfu/ボトル、全酵母およびかび(Fungi)<10
3cfu/ボトル(例えば<10
2)および大腸菌は存在しないように許可されることに基づく。
【0298】
制御プロセスを行い、微生物負荷(微生物制限検査)を調製中モニタリングし、溶液を0.8および0.2ミクロンの2層の加圧滅菌したポリエーテルスルホン濾過器を用いてろ過し、密封機械の濾過ゾーンを換気システムとの直接接触からマスクした。利用した容器およびキャップを2.5Mradのガンマ放射線および滅菌剤としての酸化エチレン(受け入れるべき特定のプロセスパラメータ)を利用して滅菌した。
【0299】
メタセチンの制御溶解
一般に、メタセチン溶液のような化学溶液の保存期間特性は、制限がある。pHの特定の変化がメタセチン製薬生成物の調製および保管の間に起こることを観察した。また、
13C−メタセチンが加速および大気条件での保管の間副生成物(劣化材料)に分解することを観察した。主な劣化物の一つは、p−アニシジンとして化学的に画定される。劣化物の外観は、少なくとも3つの主な問題の存在を示す。
【0300】
1)メタセチン濃度が保管中に未知の範囲まで減少する。患者が呼気検査の前にメタセチンを摂取すると、体内に摂取したメタセチンの量が未知で、従って所定量のメタセチンに基づく呼気検査の結果が正確ではないか、または間違っている。
【0301】
2)アニシジン(p−アニシジン)のような副生成物が
13C−メタセチンそのものよりも高いpH(より塩基的な特性)を有する。したがって、p−アニシジンが低濃度で現れる場合でも、この材料が正味の値でpHの修正をすることができる。さらに、pHがアニシジン(p−アニシジン等)のような副生成物の存在の結果として増加し、p−アニシジンへの更なる変化のために
13C−メタセチンの分解を加速する可能性がある。
【0302】
3)アニシジン(p−アニシジン等)のようないくつかの副生成物は、毒性材料と考えられ、その製薬組成物における存在は望ましくない。
【0303】
したがって、本発明の目的の一つは、いくつかの実施形態によると、活性材料(メタセチン)の分解速度を低くすることである。
【0304】
驚くべきことに、溶液中のメタセチンの安定性が溶解条件に依存することを見出した。したがって、いくつかの実施形態によると、メタセチンの制御された溶解方法を提供する。メタセチンは、溶液において80℃以上までの短時間加熱後安定と見られる。メタセチンは室温(約25℃)で水によく溶解しない;微粒化または親液性(凍結乾燥)技術が組み込まれても長い溶解時間がかかる。したがって、本発明の実施形態によると、メタセチンの溶液を温水への溶解によって調製する。比較的長い加熱時間でもメタセチンの分解は無視し得るものになることを見出した。例えば、わずか0.018%のメタセチンが80℃で3時間加熱後に分解することを見出した。
【0305】
しかし、メタセチンの分解が加熱後短時間で無視し得るけれども、分解が一定時間後に一層顕著になることがわかった。言い換えれば、加熱から一定時間後、分解副生成物がメタセチン溶液において無視できると考えられない量で見られる。したがって、メタセチンの加熱は、もちろん望ましくないメタセチンの分解に対し遅延作用を有する場合がある。
【0306】
驚くべきことに、メタセチンを室温で長い混合処理によって水に溶解すると、温水での混合とは逆に、アニシジン、例えばp−アニシジンのようなメタセチンの分解副生成物(40℃での加速安定検査で測定)が減少するかまたは長時間後でも存在しないことがわかった。これは、p−アニシジンが少量でさえも安全上の懸念を導くので、重要である(後述する実施例Bも参照)。
【0307】
制御パッキング
【0308】
驚くべきことに、パッキング構造が調剤の物理的および化学的安定性に対して臨界があることがわかった;言い換えれば、パッキング構造は、(i)長時間の安定性を保証する;(ii)吸収/吸着作用の両方を避ける(例えば、容器の壁に対し);および(iii)メタセチンの分解および副生成物の発現を避けるために重要である。
【0309】
回避のパラメータは、メタセチン溶液の貯蔵中のpHの増加およびアニシジン、例えばp−アニシジンのような副生成物の出現である。
【0310】
調剤の長期貯蔵寿命を保証するパッキング構造は、ポリプロピレン密閉システムおよびポリエチレンライナーを有する琥珀色の熱可塑性ポリエステル樹脂(PET)からなる。
【0311】
本発明のほかの実施形態において、PETボトルからなるメタセチン溶液パッケージを提供する。
【0312】
いくつかの実施形態によると、本発明の目的の一つは、室温で妥当な貯蔵寿命を有するメタセチン薬品形態を得ることである。
【0313】
いくつかの実施形態によると、精製水150mL(ミリリットル)に溶解した75mg(ミリグラム)の活性成分、
13C−メタセチンを有するメタセチン製剤を提供する。いくつかの実施形態によると、微生物の汚染から生成物を保護するための保存剤の利用はない。いくつかの実施形態によると、化学変化が生成物の調製または貯蔵中に起こっても、pHを維持することができる緩衝液成分を利用しない。
【0314】
特定のpH変化がメタセチン医製生成物の調製および貯蔵中に起こり得ることを観察した。加えて、
13C−メタセチンが加速したおよび大気条件での貯蔵中に単一の主な劣化材料に系統的に分解することを観察した。前述したように、主な劣化物はp−アニシジンとして化学的に画定される。
【0315】
したがって、本発明の目的の一つは、いくつかの実施形態によると、活性材料(メタセチン)の分解速度を低くすることである。
【0316】
驚くべきことに、組成物をガラスまたはPET(熱可塑性ポリエステル樹脂)ボトルのいずれかで貯蔵保管する場合、貯蔵寿命特性に大きな違いがあり、またPETがより良く機能することを見出した。したがって、すべてのその後の実験を両タイプの容器において行った。
【0317】
調製相において、
13C−メタセチンが水性媒体に可溶な化合物であることが既知であるが、前もって溶媒を加熱することなく溶解し、均一な溶液を調製するのは難しい。いくつかの実施形態によると、メタセチンの「1回投与」の調製は、温水にメタセチンを混合しし、均質な溶液が得られた後、該溶液を室温に戻し、単一投与ボトルに充填するステップを含む。
【0318】
制御pH
標準的な調製におけるメタセチンの劣化(温水にメタセチンを溶解し、ガラスボトルに貯蔵することに基づいた)は、例えば約8から10までのpHの上昇によって達成することを観察した。したがって、3個の異なる緩衝液(pH3.5,4.5および4.5)で溶液を安定化させることを試みた。40℃での加速した安定性検査は、このアプローチがメタセチン溶液を安定化しないように見られることを示す(室温での溶解によって調製したときでも)。
【0319】
13C−メタセチンの分解における随意的なメカニズムは、中程度に低いまたは中程度に高いpHでのアミド加水分解である(メタセチンは二次アミドである)。これらのpH値で、メタセチンは、その形成における酸およびアミン反応物に転換し、以下の反応に従う;
【化2】
【0320】
この経路によって、p−アニシジンがメタセチンの分解における主な劣化物である(例えば、Organic Chemistry, N. Allinger, M. Cava, D. DeJongh, C. Johnson, N Lebel and C. Stevens)。
【0321】
ガラス容器(例えば、ホウケイ酸塩)は、出血機構によって、ケイ酸ナトリウムおよびアルカリ金属酸化物(ガラス成分)のトレースを水性媒体へ放出する。これらの塩の加水分解は、さらにメタセチン(アミド)を前駆体に分解するpH増加を促す。p−アニシジンの発現がpHの増加をもたらすことを観察した。
【0322】
後述するように、低いpH緩衝液がメタセチン溶液への安定性を参照しないことを実証した。
【0323】
溶液のpHを特定の範囲を超えて修正することができないプラスチックボトルは、その貯蔵可能期間の間メタセチン溶液パラメータを維持する。
【0324】
実施例A−異なる容器および緩衝液におけるメタセチン1回投与の安定性
緩衝溶液の利用は、化学的変化が処方中に起こってもpH値を特定の範囲に固定することができる。これは、所定のpHを有する調製した緩衝溶液を利用し、その後調剤に添加することによって行う。利用した緩衝溶液の説明および安定プログラム間の結果のまとめを以下の段落において示す。
【0325】
表4は、利用した緩衝液組成、得られたpH値、調製時のPETおよびガラス容器におけるp−アニシジンの濃度、並びに安定性の脈打つ場所の機能をまとめる。驚くべきことに、固定したpH値が組成物のさらなる品質を低下させることがわかった。加えて、精製水中のpHは確定した傾向なしに高い変動を有することが観察された。さらに、pH電極メモリ効果は、
13C−メタセチン溶液におけるように0.05%の濃度のような精製水における低濃度の溶質を測定するとき影響を有する。
【0326】
【表4】
【0327】
表4からわかるように、精製水において、とくにメタセチン溶液をPET容器において維持したが、p−アニシジン濃度は時間とともに最低になった。
【0328】
いくつかの実施形態によると、用語「精製水」は、以下のUSP23モノグラフにおいて開示されたような精製水(PW)を意味する。
【0329】
「精製水は、蒸留、イオン交換処理、逆浸透、または他の適切な方法によって得る。水道水に関して米国環境保護庁(EPA)の規則を満たす水から準備する。添加物質を含まない。」
【0330】
PWの微生物純度に関しては、モノグラフ(法的に実施可能なセクション)が飲料水に対するEPA規則に従うべきPWのみを意味する。EPA規則は、バクテリアの大腸菌に対してとくに限定される。USP23の情報セクションにおいて、水の成分の微生物制御に対する操作を説明し、以下のように述べている。
【0331】
「飲料水に用いることができる全微生物(好気的な)数は1ml当たり500コロニー形成単位(cfu)である。精製水に対する一般的なガイドラインが100cfu/mlである。」
【0332】
1996年11月以降のUSP23Supplement5は、全バクテリア数に対する方法を説明する。これは以下のように述べている:
【0333】
「1mLサンプルの従属栄養性プレート数は、摂氏30〜35度の温度で48時間(最低)培養する生菌寒天を用いる」
【0334】
1996年11月15日、前者の無機化学検査(カルシウム、硫黄、塩化物、アンモニアおよび二酸化炭素)を3段階の伝導性検査で置換した。導電性制限は、pH依存であるが、例えばpH7.0で、伝道度は5.8マイクロジーメンス/cm未満である。酸化物質に対する前者の検査は、0.05mg/Lの全有機炭素(TOC)で置換した。TOCは、炭素で測定した水において存在する有機分子の直接的な分子である。この新しい検査は、研究室の作業よりも装置を用いて水をインラインで連続的にモニタリングすることができる。
【0335】
「精製水」に関連するより多くの情報は、http://www.edstrom.com/Resources.cfm?doc_id=174において見られ、ここに全体を参照して援用する。
【0336】
実施例B−メタセチンの溶解条件
API(メタセチンのような活性薬剤成分)を溶解する熱的サイクルをプロセスから排除するかまたは少なくとも低下するかどうかを評価した。冷却ボルテックスおよび国際的な製薬規則によって許容することができ、またAPIの溶解の改善を援助できる賦形剤の援助を利用する。手順の要約は以下のパラグラフにおいて説明する。
【0337】
試行実験を、API(メタセチン)を精製水に溶解させながら加熱段階をなくすために行った。調製における加熱および冷却段階は、商業スケールの調製を考えると、製造装置の効率的な利用なしに時間消費操作を備える。
【0338】
したがって、API溶解を改善する代案の方法を試した。APIを溶解でき、医薬調製物への利用に承認し得る溶媒をこのタスクで用いた。
【0339】
調製物の精製水の30容積%を代案の溶媒によって置換した。各調製物の溶解時間を記録した。
【0340】
表5は、用いた溶媒、溶解に適用した熱的条件(調製温度)、および水性媒体へのAPI(メタセチン)の完全な溶解に必要な時間を示す。
【0341】
【表5】
【0342】
最終濃度は、研究中の溶媒よりも高いが、水性媒体を55℃で短時間加熱する際に、メタセチンの容易な溶解は、腑形剤として溶媒を利用して再現することができない。利用した溶媒はこの種類の調製物に最も一般的なものであることに留意されたい。したがって、温度勾配を利用して、調製物にメタセチンを完全に溶解する。製造過程の制御検査をこの段階で用いる。UV特異性吸収分析方法を、サンプルのさらなる操作なしに、固体が調製物に完全に溶解することを確認するために用いる。
【0343】
驚くべきことに、メタセチンの精製水溶液を55℃(摂氏)で調製すると、p−アニシジンが見られないことを見出した。p−アニシジンは、メタセチン溶液をガラス容器で貯蔵する最終段階でのみ見られた。p−アニシジンは、最終段階でさえ、メタセチン溶液をプラスチック容器で貯蔵する場合に見られた。
【0344】
あるいはまた、室温20〜25℃での長い溶解を利用する。表6は、25℃でメタセチンを溶解した後の特定の時間にPET、ガラスおよびガラスタイプA容器で保持したメタセチン溶液におけるp−アニシジン濃度をまとめる。p−アニシジンは、ガラス容器にメタセチン溶液を貯蔵した最終段階でのみ見られた。p−アニシジンは、メタセチン溶液をPET容器に貯蔵した最終段階でさえ全く見られなかった。
【0345】
【表6】
【0346】
したがって、本発明のいくつかの実施形態によると、メタセチン溶液の短時間加温はメタセチン分子の即時劣化を起こさないことを画定する。しかし、劣化副生成物(p−アニシジン等)が加熱の二次効果として最終段階で見られる。
【0347】
生成物の分解に含まれる潜在的な化学機構は、アミド機構のHofmann転位に従属する。PW水に存在し得るトレースである次亜塩素酸型のアニオンの存在は、
13C−メタセチンの分解において役割を果たす。この場合、メタセチンの分解前に次亜塩素酸イオンのトレースを塩化物種に転位させるために、過酸化水素水(H
2O
2)による水性媒体の代案の方法および処理(メタセチン分解を防止する)を用いる。本明細書では、次亜塩素酸塩を塩化物に還元する一方、過酸化水素を遊離の酸素に酸化する。
【0348】
メタセチンの安定性に対する過酸化水素の効果を評価する研究を行った。
【0349】
メタセチンAPIおよび30%H
2O
2を用いて0.00002%の濃度を付与する[150mLボトルにおける30マイクロリットル(μl)のH
2O
2]ように実験を行った。
【0350】
最初のステップは、30%H
2O
2を沸騰した精製水(PW)に混合し、メタセチンの溶解後室温(RT)まで冷却するステップである。
【0351】
溶液をガラスボトルに充填し、加速条件(acc)およびRT条件下に置いた。
【0352】
加速条件下のメタセチン溶液の安定性の結果(最長2ヶ月)を表7にまとめる。
【0353】
【表7】
【0354】
最大0.96%のp−アニシジンを加速した安定性条件下でH
2O
2を加えたメタセチン溶液において検出した。
【0355】
上述のデータに基づいて、H
2O
2はメタセチン溶液の安定性を改善しなかった。
【0356】
実施例C−微生物成長
表8は、本発明の実施形態によると、メタセチン組成物(製剤)に播種してその特性を調べるための微生物を示す。溶媒/標的は、コロニーの発展に利用した成長溶媒である。
【0357】
【表8】
【0358】
表9は、本発明の実施形態によると、多くのコロニーが対照の膜およびメタセチン組成物(製剤)を置いた検査膜において観察されるチャレンジ検査を示す。因子の差異は、対照膜上の回復および検査膜上の回復間の比から得られる。因子は約1であることが観察される。
【0359】
驚くべきことに、メタセチン組成物(製剤)は、本発明の実施形態によると、微生物の成長を阻害しないことを見出した。因子は、1.4〜1.5またはそれ以上であり、この場合は異なり、これは、メタセチン組成物が微生物の成長を阻害することを意味する。メタセチンおよびバクテリア間の相互作用は検出されない。メタセチン溶液に存在し得る微量のバクテリア(ここで画定した閾値未満)は、メタセチンに影響を与えない。
【0360】
【表9】
【0361】
インスリン抵抗の評価用オクタン酸塩
インスリン抵抗(IR)および非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)またはより重度な肝臓疾患−非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)への進行は、多くの患者において共存し、相互関連する症候群であり;IRおよびNAFLDおよび代謝症候群間の関係がある。
【0362】
インスリン抵抗は、グルコース×インスリン/405に由来したHOMA(恒常性モデル評価)の比較的簡単な技術で評価し得る一方、インスリン抵抗を調査し、定量化する究極の判断基準は所謂「高インスリン正常血糖クランプ」であり、低血糖を起こすことなく増大したインスリンレベルを補償するのに必要なグルコース量を測定するためである。クランプ検査は、複雑で、高価で、危険もあり、さらなるツールがインスリン抵抗を評価するのに必要である。
【0363】
インスリン抵抗は、末梢および/または肝臓である。肝臓IRは、グリコーゲン合成および解糖における変化をもたらす。さらなる潜在的な肝臓への影響は、肝臓における脂肪酸の合成および代謝における変化である[Foufelle F, Ferre P. (2002) New perspectives in the regulation of hepatic glycolytic and lipogenic genes by insulin and glucose: a role for the transcription factor sterol regulatory element binding protein- Ic. Biochem J 366:377-391、ここに全体を参照して援用する]。
【0364】
加えて、IRは炭水化物代謝から脂肪酸ベータ酸化に向かうシフトを生起する[Randle PJ, Garland PB, Hales CN, Newsholme EA. (1963) The glucosefatty acid cycle: its role in insulin sensitivity and the metabolic disturbances in diabetes mellitus. Lancet 1:785-789、ここに全体を参照して援用する]。
【0365】
メタボリックシンドロームに苦しむ59人の患者における予備調査は、オクタン酸塩ハイライトがHOMA R>0.6,p<0.01と相関することを示す。
【0366】
本発明の他の好ましい実施形態は、インスリン抵抗との関連でベータ酸化を評価するツールとしてのオクタン酸塩呼気検査の使用である。
【0367】
脂肪組織および骨格筋(末梢)または肝臓のいずれかにおける細胞のインスリンへの感度の低下がインスリン抵抗(IR)として定義される。
【0368】
IRは、代謝経路変化に関連するかまたはこれを生起し、いくつかは、正常にまたは部分的にインスリンに対して敏感なままで、従って高いインスリンレベルによって活性化(例えば脂肪酸合成)される一方、他の経路(例えば、脂肪酸酸化またはグルコース新生)は代わりに過剰活性または機能障害になる。
【0369】
したがって、インスリン抵抗を異常な、増加したベータ酸化によって検出し、本発明のさらに他の実施形態によりオクタン酸の正常な代謝よりも高いことによって検出できる。
【0370】
本発明のさらに他の実施形態において、オクタン酸代謝における変化をモニタリングすることによって治療によるIRの変化を評価する方法がある。