特許第5732402号(P5732402)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東レフィルム加工株式会社の特許一覧

特許5732402太陽電池裏面保護シート用ポリオレフィン系樹脂多層フィルム
<>
  • 特許5732402-太陽電池裏面保護シート用ポリオレフィン系樹脂多層フィルム 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5732402
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】太陽電池裏面保護シート用ポリオレフィン系樹脂多層フィルム
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/049 20140101AFI20150521BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
   H01L31/04 562
   B32B27/32 E
【請求項の数】4
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2011-543011(P2011-543011)
(86)(22)【出願日】2011年9月15日
(86)【国際出願番号】JP2011071073
(87)【国際公開番号】WO2012043248
(87)【国際公開日】20120405
【審査請求日】2013年12月20日
(31)【優先権主張番号】特願2010-218606(P2010-218606)
(32)【優先日】2010年9月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000222462
【氏名又は名称】東レフィルム加工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091384
【弁理士】
【氏名又は名称】伴 俊光
(72)【発明者】
【氏名】谷口 幸司
(72)【発明者】
【氏名】中垣 昇
(72)【発明者】
【氏名】奥山 太
(72)【発明者】
【氏名】田中 茂
【審査官】 山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−243679(JP,A)
【文献】 特開平11−261085(JP,A)
【文献】 特開2004−223925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/04−31/056、31/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池の封止材として用いられている樹脂と熱接着される層であるA層/B層/C層の3層構成からなるフィルムであって、A層がポリエチレン100重量部に対して、融点が140℃〜170℃の範囲にあるポリプロピレン系樹脂を50〜500重量部を混合した樹脂組成物からなり、前記A層のポリエチレンが、直鎖状低密度ポリエチレン、又は高圧法低密度ポリエチレン、あるいはこれらの混合樹脂からなり、B層が着色化剤の添加量が5〜50重量%であるポリプロピレン系樹脂組成物からなり、C層がポリプロピレン系樹脂組成物からなることを特徴とする太陽電池裏面保護シート用ポリオレフィン系樹脂多層フィルム。
【請求項2】
前記B層のポリプロピレン系樹脂組成物において、ポリプロピレン系樹脂が、ホモポリプロピレン、エチレンとプロピレンとのランダムもしくはブロック共重合体から選ばれる少なくとも一種以上の樹脂、あるいは、これらの樹脂とポリエチレンとの混合樹脂からなり、ポリエチレンの含有量が樹脂成分全体の30重量%未満である樹脂からなることを特徴とする、請求項に記載の太陽電池裏面保護シート用ポリオレフィン系樹脂多層フィルム。
【請求項3】
ポリオレフィン系樹脂多層フィルムの少なくとも1つ以上の層に紫外線吸収剤を添加していることを特徴とする、請求項1または2に記載の太陽電池裏面保護シート用ポリオレフィン系樹脂多層フィルム。
【請求項4】
多層フィルムの少なくとも1つ以上の層に光安定剤を添加していることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の太陽電池裏面保護シート用ポリオレフィン系樹脂多層フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池裏面保護シート用ポリオレフィン系樹脂多層フィルムに関するものである。更に詳しくは太陽電池の製造工程において、ガラスラミネート工程などで加熱圧着された際に、発電セルやバスバーと呼ばれる集電電極などの配線部材の影響によりフィルムが薄く変形することで発電セルやバスバーが透けるということがない程度に耐熱性、隠蔽性に優れ、太陽電池の封止材として用いられているエチレン・酢酸ビニル共重合樹脂などの樹脂との熱接着力が高い太陽電池裏面シート材料に適したポリオレフィン系樹脂多層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンや、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂フィルムは、適度な強度を有し、透明性、ヒートシール性、防湿性、耐薬品性、低温衝撃強度などに優れているため食品、飲料、医薬・医療品、産業資材、生活資材等の各種包装材料として幅広く使用されている。また近年、太陽光発電のための太陽電池モジュールの裏面保護シートの部材に、軽量性と防湿性と高耐電圧特性からポリオレフィン系樹脂フィルムが使用されるようになっており、該ポリオレフィン系樹脂フィルムには太陽電池モジュールの性能向上や長期信頼性のための様々な特性が要求されるようになってきた。
【0003】
これらのポリオレフィン系樹脂フィルムへの要求特性に関しては、発電セルの封止材であるエチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(以下EVAと略称する)との熱接着性と、熱接着時の圧力による変形を抑えるための耐熱性という、相反する特性が要求されている。
【0004】
例えば特許文献1には、太陽電池モジュール裏面シートとして、密度0.940〜0.970g/cmのポリエチレン系樹脂に紫外線遮断剤や酸化防止剤を添加したフィルムを用いる方法が開示されているが、本処方ではEVAとの熱接着性は優れているものの耐熱性は不十分であり、太陽電池モジュールの製造工程における、ガラスラミネート時の熱と圧力の影響でフィルムが変形することでフィルムが部分的に薄くなり発電セルやバスバーなどの配線が透けたり、耐電圧特性が低下する問題がある。
【0005】
また、特許文献2には、太陽電池の電極部のハンダ突起部による耐貫通性を改善する目的で、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂を積層したフィルムシートを含む太陽電池モジュール裏面保護シートについて記載されているが、単にポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂を共押出で積層しただけでは、積層した界面で容易に剥離することから、太陽電池モジュール裏面保護シートとして使用する際の制約が大きい。
【0006】
特許文献2で示されたポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂を積層したシートよりも耐熱性に優れ、発電セルの封止材として用いられているEVAなどの樹脂との熱接着力が高いシートの実現にあたり、ポリプロピレン系樹脂層とポリエチレン系樹脂層の界面密着力を改善するという課題を解決するポリオレフィン系樹脂多層フィルムの開発が望まれていた。また、発電セルの封止材として用いられているEVAには、紫外線を遮断する目的から、有機系紫外線吸収剤が添加されている。しかしながら、この有機系紫外線吸収剤の添加量は、製造元によって異なっており、数年の使用で有機系紫外線吸収剤が失活してしまう問題がある。その為、太陽電池モジュール裏面保護シートとしても紫外線に対する耐光性が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−261085号公報
【特許文献2】特開2004−223925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は上記した問題点を解決することにある。すなわち、本発明の目的は、太陽電池裏面保護シートとして、太陽電池モジュールの製造工程において、ガラスラミネート工程などで加熱圧着された際に、バスバーなどの配線部材の影響で変形することによりフィルムが薄くなりバスバーなどの配線部材が透けることがない程度に耐熱性、隠蔽性が優れ、発電セルの封止材として用いられているEVAなどの樹脂との熱接着力が高く、かつ、層間の密着力に優れた太陽電池裏面保護シート用ポリオレフィン系樹脂多層フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る太陽電池裏面保護シート用ポリオレフィン系樹脂多層フィルムは、太陽電池の封止材として用いられている樹脂と熱接着される層であるA層/B層/C層の3層構成からなるフィルムであって、A層がポリエチレン100重量部に対して、融点が140℃〜170℃の範囲にあるポリプロピレン系樹脂を50〜500重量部を混合した樹脂組成物からなり、前記A層のポリエチレンが、直鎖状低密度ポリエチレン、又は高圧法低密度ポリエチレン、あるいはこれらの混合樹脂からなり、B層が着色化剤の添加量が5〜50重量%であるポリプロピレン系樹脂組成物からなり、C層がポリプロピレン系樹脂組成物からなることを特徴とするポリオレフィン系樹脂多層フィルムからなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るポリオレフィン系樹脂多層フィルムは、ガラスラミネート工程などで加熱圧着された際にバスバーなどの配線部材の影響でフィルムが薄くなることがない程度に耐熱性に優れ、発電セルの封止材として用いられているEVAなどの樹脂との熱接着力が高く、層間の密着力に優れるため、とくに、太陽電池裏面保護シート材料に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】耐熱性試験のために作製した疑似モジュールの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明について、望ましい実施の形態とともに詳細に説明する。
本発明に係るポリオレフィン系樹脂多層フィルムにおいて、A層で用いられるポリエチレンとしては、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、あるいはこれらの混合樹脂からなる。
【0013】
直鎖状低密度ポリエチレンとは、エチレンとα− オレフィンとの共重合体であり(以下LLDPEと略称する)、炭素原子数4〜20、好ましくは4〜8のα−オレフィンの共重合体であることが好ましく、具体的には、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどとの共重合体が挙げられる。これらのα−オレフィンは、単独で、または組み合わせて用いることができ、特に、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが、重合生産性から好ましく用いられる。
【0014】
本発明で用いられるLLDPEの融点は、110〜130℃の範囲であることが好ましい。融点が130℃以下であることでEVAとの熱接着性に優れ、110℃以上とすることでEVAと熱融着させたときに、シートの厚みが低減せず、部分放電電圧を保持することができるため好ましい。
【0015】
また、該LLDPEの密度については、0.90g/cm以上のものが好ましいが、0.94g/cmよりも密度が高くなるとポリプロピレン系樹脂との分散性が低下して、金属ロールやゴムロールとの擦過において、樹脂が脱落し易く白粉発生の要因となり得るため、0.94g/cm以下のものが好ましい。
【0016】
本発明において、LLDPE中のα−オレフィンの含量は、好ましくは0.5〜10モル%、更に好ましくは2.0〜8.0モル%である。α−オレフィン含量を0.5〜10モル%と調整することで、LLDPEの密度を0.90g/cm以上0.94g/cm以下の範囲とすることができる。
【0017】
本発明で用いられるLLDPEの190℃の溶融指数(以下、MFRと略称する)は、好ましくは0.5〜10.0g/10分、より好ましくは1.0〜5.0g/10分である。MFRが0.5g/10分より小さくなると、フィルム製膜時に、他層との積層ムラを生じ易くなる。またMFRが10.0g/10分より大きくなると、キャスト時のハンドリング性不良や結晶化度増大による脆化が生じやすくなる。
【0018】
本発明で用いられるLLDPEは、従来のマルチサイト触媒による重合方法や、シングルサイト触媒(カミンスキー触媒、メタロセン触媒)を用いた重合方法により製造することができる。
【0019】
高圧法低密度ポリエチレン(以下、LDPEと略称する)は、LLDPEと同じ、従来のマルチサイト触媒による重合方法や、シングルサイト触媒(カミンスキー触媒、メタロセン触媒)を用いた重合方法により製造することができる。
【0020】
LDPEの密度は、0.90〜0.93g/cmの範囲であることが好ましい。密度を0.90g/cm以上とすることで優れたフィルムの滑り性が確保でき、加工時のフィルム取り扱い性が良くなるので好ましい。一方、0.93g/cm以下とすることで、ポリエチレンとポリプロピレン系樹脂との分散性を向上させる効果を発現しやすい。
【0021】
上記LLDPEにLDPEを混合することは、ポリエチレンとポリプロピレン系樹脂との分散性を向上させ、A層内の凝集破壊強度が向上するので好ましく、ポリエチレン全体に対しLDPEを3〜30重量%混合することが好ましい。
【0022】
本発明のA層に、密度が0.94〜0.97g/cmの高密度ポリエチレン(以下、HDPEと略称する)を用いた場合は、フィルムの腰、及び耐カールに優れる反面、加工時のロール摩擦によってHDPEが脱落し白粉を発生させるため、フィルムを汚したり、傷を付けるなどの問題が起こる場合があり、融点がLLDPEやLDPEと比べ高い分、EVAとの熱接着を行う際の加熱温度を高めに設定するなどの注意が必要である。
【0023】
次に、本発明のA層において、ポリエチレン100重量部に対して、ポリプロピレン系樹脂を50〜500重量部混合することが必要である。ポリプロピレン系樹脂を50〜500重量部混合することで、耐熱性が向上するとともに、B層との密着力を高くすることができる。ポリプロピレン系樹脂が500重量部を越えると、EVAとの密着性が不十分となり、50重量部よりも少ないと耐熱性及びB層間の密着力向上の効果が低下する。
【0024】
本発明でいう耐熱性とは、太陽電池裏面保護シートとして用いた際に、加工工程で実施する130〜170℃のガラスラミネートなどに耐えうることをいう。より具体的には、前述の通り、バスバーなどの配線を組み込んだ太陽電池モジュールの製造工程において、太陽電池裏面保護シートを構成している樹脂がガラスラミネートなどの際の熱と圧力によって変形するが、初期の厚みを80%以上維持することが重要である。初期の厚みを保持することで、バスバーなどの配線部材が透けることなく意匠性に優れた太陽電池モジュールとすることができる。また、絶縁破壊電圧や、部分放電電圧などの耐電圧は樹脂の固有値であり、フィルムの厚みと比例関係にあることから、処理前の厚みを担保していることで、初期設計時の電気特性が維持される為、耐熱性は極めて重要である。
【0025】
加工温度が130〜150℃の場合には、ポリプロピレン系樹脂の含有量は50〜250重量部の範囲であることが好ましく、更には100〜200重量部が好ましい。また、加工温度が150〜170℃の場合は、ポリプロピレン系樹脂の含有量が250〜500重量部の範囲であることが好ましく、中でも300〜450重量部の範囲であることが更に好ましい。
【0026】
ポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・プロピレンブロック共重合体を挙げることができるが、耐熱性、滑り性やフィルムのハンドリング性、ポリエチレンとの分散性等の点からエチレン・プロピレンブロック共重合体、及びホモポリプロピレンが最も好ましい。
【0027】
エチレンとプロピレンの共重合体を用いる場合、エチレン含有量は1〜15モル%の範囲のものが好ましい。エチレン含有量が1モル%よりも少ない場合は、LLDPEまたはLDPE、あるいはこれらの混合樹脂への分散性が低下して、金属ロールやゴムロールとの擦過において樹脂が脱落しやすく白粉発生の要因となることがあり、また、EVAとの接着力が低下することがある。一方、15モル%を越えると、EVAと熱融着させたときに、シート厚みが低減し、部分放電電圧が低下することがある。
【0028】
尚、前記ポリプロピレン系樹脂の230℃でのMFRは1.0〜15g/10分の範囲が好ましい。MFRが1.0g/10分よりも小さい場合は、製膜工程において口金の吐出巾よりもフィルム幅が低下(ネックダウン)し、フィルムの安定製造が難しくなるため好ましくない。また、MFRが15g/10分よりも大きい場合は、結晶化速度が増し、脆くなるため好ましくない。
【0029】
ポリプロピレン系樹脂の融点は、140℃〜170℃の範囲にあり、融点がこの範囲にあることにより、耐熱性をはじめ、滑り性やフィルムのハンドリング性、耐カール性、EVAとの熱接着性を向上することが可能になる。融点を140℃以上とすることで、A層は耐熱性に優れ、太陽電池用裏面シートとしてEVAと熱融着させたときに、シートの厚みが低減したり、部分放電電圧が低下するといった不具合を抑えることができる。融点を170℃以下とすることで、EVAとの優れた密着力を確保することができる。
【0030】
また、ポリエチレンに非相溶のポリプロピレン系樹脂を混合することで、フィルム表面に凹凸が生じ、滑り性に優れるという効果ももたらす。これによって、製膜やスリット時に、巻き易く加工性に優れる。一方、滑り性が悪い場合は、スリットなどで混入したエアーが抜けにくい為に、抜けなかったエアーによってフィルム形状が部分的に変形したり、場合によってはフィルム同士がブロッキングし、剥がす際に傷がつく場合がある。
【0031】
本発明におけるA層の表面平均粗さRaとしては、0.10〜0.30μmであることが、加工時のフィルムのハンドリング機能を満足させるので好ましい。
【0032】
本発明におけるA層には、フィルムの取扱い性、滑り性を改善させる目的で平均粒子径1〜5μmの無機または有機粒子を、A層の樹脂成分に対し0.1〜10重量%添加してもよい。無機粒子としては、たとえば、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウムなどの無機粒子や、有機粒子として、スチレン、シリコーン、アクリル酸、メタクリル酸などの架橋有機粒子などを用いることができる。中でもケイ酸アルミニウムの無機粒子の使用が樹脂への分散性から好ましい。平均粒子径が1μm未満ではフィルムの滑り性が向上する効果が低く、また、平均粒子径が5μmより大きいと、粒子がフィルムから脱落して汚染や、傷の原因となるため注意が必要である。
【0033】
また、A層樹脂成分に対し、有機化合物の滑剤を0.1〜10重量%添加することができる。有機化合物の滑剤としては、ステアリン酸アミド、ステアリン酸カルシウム等を挙げることができる。
【0034】
次に、本発明におけるB層は、着色化剤を含有するポリプロピレン系樹脂組成物からなる。ここでいうポリプロピレン系樹脂組成物とは、ポリプロピレン系樹脂がホモポリプロピレン、エチレンとプロピレンとのランダムもしくはブロック共重合体から選ばれる少なくとも一種以上の樹脂、あるいはこれらの樹脂とポリエチレンとの混合樹脂からなり、ポリエチレンの含有量が樹脂成分全体の30重量%未満であるものが耐熱性の点から好ましい。
【0035】
ポリプロピレン系樹脂としてエチレンとプロピレンの共重合体を用いる場合、エチレン含有量は15モル%以下であるものが耐熱性の点から好ましい。
【0036】
また、フィルムに強度を付与したい場合には、必要に応じて結晶核剤を添加することもできる。この場合は、α晶の結晶核剤が好ましく、具体的にはソルビトール系、シクロペンタジエン系の結晶核剤を挙げることができる。
【0037】
ポリプロピレン系樹脂の230℃でのMFRは1.0〜15g/10分の範囲であることが、A層および後記するC層との共押出時の積層性から好ましい。MFRが1.0g/10分よりも小さい場合は、製膜工程において、口金から溶融押出したフィルムがネックダウンし、フィルムの幅方向の厚みむらが悪化したりして、安定製膜が難しくなるため好ましくない。また、MFRが15g/10分よりも大きい場合は、結晶化速度が増し、脆くなるため好ましくない。
【0038】
本発明のB層で用いられる着色化剤は、酸化チタン、硫酸バリウム、カーボンブラック、フタロシアニン系化合物など、無機系、有機系いずれの着色剤をも挙げることができる。その中でも、酸化チタン粒子が最も好ましく、結晶型として、ルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型などが知られており、優れた白色度と耐候性および光反射性などの特性からルチル型が好ましい。
【0039】
本発明で用いられる酸化チタンは、光触媒作用によって樹脂を劣化させる可能性があることから、光触媒作用を抑制する目的で、表面被覆処理されていることが好ましく、その組成は限定されないが、酸化ケイ素やアルミナ、または酸化亜鉛などの無機酸化物であることが好ましい。表面被覆剤の被覆方法についても特に限定されたものではなく、公知の方法で得られた酸化チタン粒子を使用することができる。
【0040】
更に、酸化チタン粒子の安定化の目的から、例えばヒンダードアミン系などの光安定剤を樹脂中に添加することもできる。但し、この際には酸化チタン粒子の二次凝集を招かないよう選定することが重要である。
【0041】
本発明で用いられる着色化剤粒子の平均粒子径は0.2〜0.7μmのものが好ましく、可視光の反射率を高める目的においては、0.25〜0.35μmのものがより好ましい。また、太陽電池用裏面保護シートとして用いたときに、放熱性を付与する為に赤外光の反射率を高めることが好ましく、平均粒子径が0.35〜0.7μmのものがより好ましい。必要に応じて、この2種類の粒子径を混ぜることで、可視光、及び赤外光の反射率を高めることができるため好ましい。平均粒子径が0.2μmより小さいと、酸化チタン粒子などは活性度が高くなり樹脂劣化を招く要因となり好ましくない。また、平均粒子径が0.7μmを越えると樹脂への分散性が悪化して、フィルム製造時に用いるフィルタの目詰まりの原因となるため好ましくない。
【0042】
また、本発明で用いられるB層の着色化剤の添加量は、その比重によって左右されるものの、5〜50重量%の範囲であることが必要であり、中でも10〜30重量%の範囲がより好ましい。添加量を5重量%以上とすることで十分な白色化と光反射効果が得られ、バスバーなどの配線材料の透けがなく意匠性に優れたものとすることができる。一方、50重量%を上限とすることは、これ以上添加しても白色化、隠蔽性は向上せず、また着色化剤が樹脂へ十分分散し、安定した製膜性を確保することができることによる。
【0043】
また、B層には、本フィルムを製膜する際に発生するスリット屑などを回収原料として用いることもできる。具体的には、スリット屑などをペレタイズし、本フィルムのB層に5〜70重量%添加することが、経済性が優れるため好ましいが、このときB層中のポリプロピレン系樹脂がホモポリプロピレン、エチレンとプロピレンとのランダムもしくはブロック共重合体から選ばれる少なくとも一種以上の樹脂、あるいはこれらの樹脂とポリエチレンとの混合樹脂からなり、ポリエチレンの含有量が樹脂成分全体の30重量%未満とすることが耐熱性を維持する上で好ましい。該ペレタイズの方法は、断裁したものを溶融押出後、カッティングする方法が一般的であるが、本方法に限定されるものではない。
【0044】
次に、本発明におけるC層は、ポリプロピレン系樹脂組成物からなり、B層同様にホモポリプロピレン、エチレンとプロピレンとのランダムもしくはブロック共重合体などのポリプロピレン系樹脂から選ばれる1種以上の樹脂を主成分とし、ポリプロピレン系樹脂が70重量%以上含有されることが、耐熱性の点から好ましいが、耐熱性をはじめ、滑り性やフィルムのハンドリング性、耐傷付き性、耐カール性の点からホモポリプロピレン単独が最も好ましい。ポリプロピレン系樹脂の融点は、150℃〜170℃の範囲であることが、耐熱性をはじめ、滑り性やフィルムのハンドリング性、耐傷付き性、耐カール性の点から好ましい。融点を150℃以上とすることで耐熱性に優れ、太陽電池用裏面シートとしてEVAと熱融着させたときの温度と圧力によってシートの厚みが低減したり、部分放電電圧が低下することがなく好ましい。融点が170℃を越えるものとして高立体規則性のホモポリプロピレンがあり、その際、B層との結晶化度の差が大き過ぎて、フィルムのカールが大きくなって巻き取り性に問題が生じたり、また、他基材との接着性も低下することがあるので注意が必要である。
【0045】
該ポリプロピレン系樹脂の230℃でのMFRは1.0〜15g/10分の範囲が好ましい。MFRが1.0g/10分よりも小さい場合は、製膜工程においてネックダウンし、フィルムの安定製造が難しくなることがある。また、MFRが15g/10分よりも大きい場合は、結晶化速度が増し、脆くなることがありいずれも製膜工程で注意が必要である。
また、フィルムに強度を付与したい場合には、必要に応じて結晶核剤を添加することもできる。この場は、α晶の結晶核剤が好ましく、具体的にはソルビトール系、シクロペンタジエン系の結晶核剤を挙げることができる。該結晶核剤の添加量は樹脂に対して0.1〜3.0重量%の範囲で選択できる。
【0046】
本発明のポリオレフィン系多層樹脂フィルムを太陽電池裏面保護シート材料として使用する際には、A層、B層、及びC層に変色防止、強度維持の点から、公知の酸化防止剤を添加することが好ましい。酸化防止剤としては、フェノール系、芳香族アミン系、チオエーテル系、リン系などがあり、少量配合で効果を高めるため、2種以上のものを併用するのが好ましい。例えば、フェノール系とリン系の併用は好ましく、リン−フェノール系酸化防止剤を挙げることができる。本酸化防止剤としては、住友化学製“SumilizerGP”を添加することが、押出時の熱安定性や耐候性が向上するので好ましい。添加量は各層の樹脂に対して、0.05〜0.35重量%の範囲が好ましい。添加量が0.05重量%未満では効果が低く、0.35重量%を超えると分散性が悪化する場合がある。
【0047】
また、本発明のおけるA層、B層、及びC層の少なくとも1つ以上の層には、太陽電池裏面保護シート材料に使用する際には、変色防止、耐候性向上の点から、上述した以外に他の添加剤を含むものであってもよい。
【0048】
上記他の添加剤としては、光安定剤、紫外線吸収剤、熱安定剤を挙げることができる。光安定剤としては、樹脂中の光劣化開始の活性種を捕捉し、光酸化を防止するものを用いることができる。具体的には、ヒンダードアミン系化合物、ヒンダードピペリジン系化合物、およびその他等から選択される1種類または2種類以上を組み合わせたものを使用することができる。中でもヒンダードアミン系化合物を用いることが好ましい。特にB層に光安定剤を0.5〜5.0重量%の範囲で混合すると、着色化剤に酸化チタンを所用した際に該酸化チタンが安定化し、長期耐候性が付与されるので好ましい。添加量が0.5重量%未満では、光安定剤としての効果が不十分であり、また5.0重量%を超えるとブリードアウトや酸化チタンなどの無機粒子の凝集の原因となることがある。
【0049】
上記紫外線吸収剤としては、太陽光中の有害な紫外線を吸収して、分子内で無害な熱エネルギーへと変換し、樹脂中の光劣化開始の活性種が励起されるのを防止するものを用いることができる。具体的には、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サルチレート系、アクリルニトリル系、金属錯塩系、ヒンダードアミン系、および、超微粒子酸化チタン(粒子径:0.01μm〜0.06μm)あるいは超微粒子酸化亜鉛(粒子径:0.01μm〜0.04μm)等の無機系等の紫外線吸収剤からなる群から選択される少なくとも1種類以上のものを使用することができる。
【0050】
また、上記熱安定剤としては、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、および、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト等のリン系熱安定剤、8−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンとの反応生成物等のラクトン系熱安定剤を挙げることができる。また、これらを1種類または2種類以上を用いることもできる。中でも、リン系熱安定剤およびラクトン系熱安定剤を併用して用いることが好ましい。
【0051】
上記紫外線吸収剤、熱安定剤等の混合物の含有量としては、各層の樹脂組成に対して、0.01〜10.0重量%の範囲内が好ましい。
【0052】
また、本発明のフィルムには必要に応じて、難燃剤を添加することができる。難燃剤としては特に限定されるものではなく、有機難燃剤、無機難燃剤など公知の技術が適用できる。有機難燃剤の例としては、塩素原子や臭素原子を分子中に1個以上含むもの、例えば塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、ヘキサクロロエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、パークロロペンタシクロデカン、四塩化無水フタル酸などや、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート等の芳香環を有しかつ該芳香環に直接ハロゲン原子が結合していないモノマーやポリマー、1,1,2,2−テトラブロモエタン、1,4−ジブロモブタン、1,3−ジブロモブタン、1,5−ジブロモペンタン、α−ブロモ酪酸エチル、1,2,5,6,9,10−ヘキサブロモシクロデカン等の芳香環を持たないものが挙げられる。
【0053】
また、無機難燃剤の例としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの水酸化無機塩、リン酸アンモニウム、リン酸亜鉛などのリン酸化物、赤リン、三酸化アンチモンや膨張黒鉛などが挙げられる。
【0054】
有機難燃剤及び無機難燃剤の単独、又は混合物の配合量は、各層の樹脂に対して5〜30重量%の範囲が好ましい。添加量が5重量%未満では添加効果がなく、30重量%をこえると分散性が悪化したり、難燃剤による着色が起こる場合がある。
【0055】
本発明のフィルムの厚みは、用いられる太陽電池の構造によって変わるものの、10〜200μmの範囲が好ましく、更に、20〜150μmの範囲がフィルム製造面や、他基材とのラミネート加工性から好ましい。
【0056】
本発明のフィルムはA層/B層/C層から構成されており、その積層比は特に限定されないが、A層、C層がそれぞれ5〜20%、B層が90〜60%の範囲であることが好ましい。上述の通り、A層/B層/C層とすることで、着色化剤を含有するB層を、A層、およびC層で挟むことにより、製造時の口金における、粒子を大量に含む樹脂分解物の付着を抑制し、分解物が脱落することによる工程汚染や、フィルムの傷といった品質問題を回避できる。
【0057】
本発明のフィルムのヤング率の値としては、300〜1000MPaの範囲であることが、製膜時の巻き取り性やラミネートなどの二次加工時の取り扱い性の点で好ましい。
【0058】
本発明のフィルムを太陽電池裏面保護シートとして用いる場合、A層が太陽電池の入射面側になるように構成する。入射面側に使用する充填材であるEVAとA層が接することで、優れた熱接着性を有することができる。
【0059】
また、C層に易接着処理を施すことが、他素材との接着剤による接着性を向上させる目的から好ましく、易接着処理としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、化学処理などの方法が挙げられるが、中でも低コストなコロナ放電処理が好ましい。このときの濡れ張力は、35〜55mN/mの範囲であることが好ましい。
【0060】
本発明のフィルムは、他基材と接着剤や熱融着などの方法でラミネートして用いることができる。他基材としては、アルミ箔、紙、熱可塑性樹脂フィルムなどを挙げることができる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体などのスチレン系樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸エステル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミドおよびこれらを主たる成分とする共重合体、またはこれら樹脂の混合等を挙げることができる。特に本発明においては、寸法安定性や機械的特性が良好である点よりポリエステルが好ましく、特に二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムと略称する)が好ましい。
【0061】
上記本発明のフィルムとPETフィルムとを積層した太陽電池裏面保護シートのA層面側の560nmでの光反射率は85%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。A層面の560nmでの反射率が85%以上であることにより、太陽電池の発電効率が上がり好ましい。
【0062】
以下、本発明のポリオレフィン系樹脂多層フィルムを製造する方法を具体的に説明する。なお、本発明のフィルムの製造方法はこれに限定されるものではない。
【0063】
A層に使用する樹脂として、融点110℃〜130℃の範囲のLLDPE100重量部に、ポリプロピレン系樹脂50〜500重量部を混合した樹脂混合物を用いる。
【0064】
B層に使用する樹脂としては、融点が140℃〜170℃の範囲のポリプロピレン系樹脂に着色化剤として、ルチル型の酸化チタン5〜50重量%と、酸化防止剤として、“SumilizerGP”を0.05〜0.35重量%の範囲で混合した樹脂混合物を用いる。
【0065】
C層に使用する樹脂としては、融点が150〜170℃のポリプロピレン系樹脂を用いた。このようにして用意した樹脂を各々単軸の溶融押出機に供給し、それぞれ220〜280℃の範囲にて溶融する。そしてポリマー管の途中に設置したフィルタを通して異物や、粗大無機粒子などを除去した後、マルチマニホールド型のTダイあるいはTダイ上部に設置したフィードブロックにて、A層/B層/C層型の3種3層積層を行いTダイより回転金属ロール上に、C層側を金属ロール面側にして吐出して未延伸フィルムを得る。この際、回転金属ロールは表面温度が20〜60℃に制御することが、C層の金属ロールへの粘着をおこさず、結晶性を高めるので好ましい。また、溶融ポリマーを金属ロールに密着させるため、非金属ロール側からエアーを吹き付ける方法や、ニップロールを使用することが好ましい。
【0066】
このように得られた本発明のフィルムのC層には、他基材と貼り合わせるために空気中または窒素ガス、炭酸ガスの1種以上の雰囲気中でコロナ放電処理を行い、表面の濡れ張力を35mN/m以上にして巻き取る。
【0067】
本発明のポリオレフィン系樹脂多層フィルムは、太陽電池裏面保護シートに好適に用いることができる。太陽電池裏面保護シートとしては、例えば、厚みが25〜250μmの耐加水分解性PETフィルム(東レ(株):“ルミラー”X10S)と本発明のポリオレフィン系多層積層フィルムを公知の接着剤を用いてドライラミネートしたものとして使用することができる。
【実施例】
【0068】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、特性は以下の方法により測定、評価を行った。
(1)フィルム厚みおよび厚み構成比率
フィルム厚みは、ダイヤルゲージ(ピーコック社製、RIGHTUP DIAL GAUGE)を用い、JIS K7130(1992年)A−2法に準じて、フィルムの任意の10ヶ所について厚さを測定した。その平均値を10で除してフィルム厚みとし、μm単位の少数点以下を四捨五入した。また、積層フィルムの場合の各層の厚みは、積層フィルムをエポキシ樹脂に包埋しフィルム断面をミクロトームで切り出し、該断面を偏光顕微鏡(ニコン社製、ECLIPSE(エクリプス)E400 POL)で200倍の倍率で観察し、積層各層の厚み比率を求めた。
【0069】
(2)密度測定方法
密度は、(ASTM) D1505にて測定した。
【0070】
(3)MFRの測定方法
LLDPE、LDPEの溶融指数(MFR)は、ASTM D1238に則り190℃、2.16kgにて、また、ホモポリプロピレン、エチレン・プロピレンブロック共重合体、エチレン・プロピレンランダム共重合体のMFRは230℃ 2.16kgにて測定した。
【0071】
(4)融点測定
使用する樹脂の融点を示差走査熱量計(島津製作所製、DSC−60)を用いて、20℃から10℃/分の速度で昇温し、300℃まで加熱した際の融解ピークの最も高いピーク温度を融点とした。
【0072】
(5)太陽電池バックシートの製造方法
二軸延伸ポリエステルフィルム(東レ(株)製 、“ルミラー”X10S 125μm)に2液硬化タイプ接着剤(大日本インキ化学工業(株)製、LX−903/KL−75=8/1)を固形分塗布厚み6μmで塗布し、80℃で乾燥後に、本発明のポリオレフィン系樹脂多層フィルムのC層側のコロナ処理面と重ね合わせて、1対の加圧ロール間に通して積層体を作成した。該積層したフィルムは、温度40℃にて72時間エージングを実施し、接着剤層の硬化反応を促し、太陽電池裏面保護シートとした。
【0073】
(6)反射率
(5)で得られた太陽電池裏面保護シートのA層面について、分光光度計(日立製作所製 U−3410)に、φ60積分球(日立製作所社製、130−0632)および10度傾斜スペーサーを取り付けた状態で560nmの絶対反射率を3回測定した平均値を求めて反射率とした。合否判断として、反射率が85%以上を合格、85%未満を不合格とした。
【0074】
(7)耐熱性試験
図1に示すように、(5)で作成した太陽電池裏面保護シートFを用いて、太陽電池裏面保護シートFのA層がEVAの層Bと接するように、ガラス板A/EVA(サンビック(株)製、PV−45FR00S 450μm)の層B/銅板C(2mm幅×厚さ0.6mm)/EVAの層B(450μm)/ポリオレフィン系樹脂多層フィルムDと二軸延伸PETフィルムEとからなる太陽電池裏面保護シートFを図1に示す順に積層し、(株)エヌ・ピー・シー製、太陽電池モジュールラミネーター(LM−50X50−S)に設置後、真空時間4分、制御時間1分、プレス時間15分、温度140℃の条件にて加熱圧着した。圧着後、室温冷却し、疑似モジュールを作成した。
【0075】
上記方法で各水準10枚作成し、太陽電池裏面シート側から2000lxのLED光源(スワン電器社製、レディックエグザーム LEDデスクライトLEX−951WH Garage)を用いた反射光による目視観察した。透けの判定として、下記の基準により、銅板の色が全くみえないものを合格とし、銅板の色が部分的にでも目視できるものは透けていると判定した。
++:10枚全てで銅板の透けがない。
+ :10枚中1枚銅板の透けがある。
− :10枚中2枚以上銅版の透けがある
【0076】
(8)厚み観察
(7)で得られた疑似モジュール積層体のガラス面側のEVAに予め片刃で亀裂を入れた後、裏面シート側から再度片刃を用いて切断した。その後、銅板に重なった部分の切断面を偏光顕微鏡(ニコン社製、ECLIPSE(エクリプス)E400 POL)で200倍の倍率で観察し、フィルムの全体の厚みを処理前後で比較し、下記の基準により判定した。
++:厚み変化が−5%未満
+ :厚み変化が−5%以上−20%未満
− :厚み変化が−20%以上
【0077】
(9)EVAとの熱接着強度測定
(7)で作成した疑似モジュールを用いて、太陽電池裏面シートとEVAの接着強度を下記の通り測定した。
裏面シート側から15mm幅にてサンプルカットを実施し、太陽電池裏面シート/EVA層間にて剥離し、室温条件下にてORIENTEC社製テンシロンPTM−50を用いて、剥離角度180°、剥離スピード300mm/minで剥離し、接着強度を評価して、下記の基準により判定した。
++:剥離強度が70N/15mm以上
+ :剥離強度が70N/15mm未満、40N/15mm以上
− :剥離強度が40N/15mm未満。
−−:ポリオレフィン系樹脂多層フィルムの積層界面で剥離する。
【0078】
(10)アイスーパー照射144時間後の色調変化測定
(5)で作成した太陽電池裏面保護シートを50mm×50mmの大きさにサンプルカットし、本試験片をアイスーパーUVテスター(岩崎電気株式会社製)(照射強度:100mW/cm2、照射距離:240mm)にて、144時間行い、耐候性試験後の色差ΔEを、分光測色計(コニカミノルタ製 CM−5)を用いて測定した。測定結果から、下記の基準により判定した。
++:ΔEが、3.0未満
+ :ΔEが、3.0以上5.0以下
− :ΔEが、5.0以上
【0079】
以下、本発明の実施例、及び比較例について説明する。
(酸化チタンマスタバッチAの製造方法)
融点162℃、密度0.900g/cmのホモポリプロピレン40重量%と、無機酸化物で表面処理された平均粒子径200nmのルチル型酸化チタン(堺化学工業社製、FTR−700)60重量%を二軸押出機にて240℃で溶融混練した後、ストランドカットし、酸化チタンマスタバッチAを製造した。
【0080】
(酸化チタンマスタバッチBの製造方法)
融点122℃、密度0.922g/cm、MFR7g/10分LLDPE40重量%と無機酸化物で表面処理された平均粒子径200nmのルチル型酸化チタン(堺化学工業社製、FTR−700)60重量%を二軸押出機にて210℃で溶融混練した後、ストランドカットし、酸化チタンマスタバッチBを製造した。
【0081】
(ヒンダードアミン系光安定剤マスタバッチAの製造方法)
融点122℃、密度0.922g/cm、MFR7g/10分LLDPE90重量%とヒンダードアミン系化合物(チバジャパン製 チヌビン(登録商標)622−LD)10重量%を二軸押出機にて210℃で溶融混練した後、ストランドカットし、ヒンダードアミン系光安定剤マスタバッチを製造した。
【0082】
(ヒンダードアミン系光安定剤マスタバッチBの製造方法)
融点162℃、密度0.900g/cmのホモポリプロピレンとヒンダードアミン系化合物(チバジャパン製 チヌビン(登録商標)622−LD)10重量%を二軸押出機にて240℃で溶融混練した後、ストランドカットし、ヒンダードアミン系光安定剤マスタバッチを製造した。
【0083】
(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤マスタバッチAの製造方法)
融点122℃、密度0.922g/cm、MFR7g/10分LLDPE90重量%とベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバジャパン製 チヌビン(登録商標)326)10重量%を二軸押出機にて210℃で溶融混練した後、ストランドカットし、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤マスタバッチを製造した。
【0084】
(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤マスタバッチBの製造方法)
融点162℃、密度0.900g/cmのホモポリプロピレンとベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバジャパン製 チヌビン(登録商標)326)10重量%を二軸押出機にて240℃で溶融混練した後、ストランドカットし、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤マスタバッチを製造した。
【0085】
(ナノ亜鉛チタンマスタバッチAの製造方法)
融点122℃、密度0.922g/cm、MFR7g/10分LLDPE90重量%と平均粒径0.02μmの酸化亜鉛粒子(堺化学製 NANOFINE(登録商標)100−LP)10重量%を二軸押出機にて210℃で溶融混練した後、ストランドカットし、ヒンダードアミン系光安定剤マスタバッチを製造した。
【0086】
(ナノ亜鉛チタンマスタバッチBの製造方法)
融点162℃、密度0.900g/cmのホモポリプロピレン90重量%と平均粒径0.02μmの酸化亜鉛粒子(堺化学製 NANOFINE(登録商標)100−LP)10重量%を二軸押出機にて240℃で溶融混練した後、ストランドカットし、ヒンダードアミン系光安定剤マスタバッチを製造した。
【0087】
(実施例1)
A層に使用する樹脂として、融点127℃、密度0.940g/cm、MFR5.0g/10分のLLDPE80重量部に対し、融点112℃、密度0.912g/cm、MFR4.0g/10分のLDPEを20重量部(ポリエチレン合計100重量部)、及びポリプロピレン系樹脂として、融点150℃、密度0.900g/cm、MFR7g/10分のエチレン含有量4モル%のエチレン・プロピレンランダム共重合体(以下、EPCと略称する)100重量部を混合した樹脂混合物を用いた。
【0088】
B層に使用する樹脂としては、融点が160℃、密度0.90g/cm、MFR7g/10分のホモポリプロピレン(以下、H−PPと略称する)100重量部に対して、酸化チタンマスタバッチA30重量部を混合した樹脂混合物を用いた。着色化剤である酸化チタンの添加量は13.8重量%である。
【0089】
また、C層に使用する樹脂として、融点160℃、密度0.900g/cm、MFR4.0g/10分、エチレン含有量7モル%のエチレン・プロピレンブロック共重合樹脂(以下、B−PPと略称する)を用いた。
【0090】
このようにして用意したA層、B層、C層の樹脂混合物を各々単軸の溶融押出機に供給し、それぞれ260℃にて溶融してA層/B層/C層型のマルチマニホールド型のTダイに導き、30℃に保たれたキャスティングドラム上に押し出し、非ドラム面側から25℃の冷風を吹き付けて冷却固化して、各層の厚み構成比率がA層/B層/C層=10%/80%/10%であるフィルム厚み150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。
【0091】
該多層フィルムのC側にコロナ放電処理を行い、表面の濡れ張力を40mN/mとして巻き取った。
【0092】
本発明で得たサンプルフィルムのコロナ処理面と二軸延伸ポリエステルフィルム(東レ(株)製、“ルミラー”X10S 125μm)を2液硬化タイプ接着剤(大日本インキ化学工業(株)製、LX−903/KL−75=8/1)を固形分塗布厚6μmで塗布、乾燥し、積層体を作成した。
【0093】
積層したフィルムは、温度40℃にて72時間エージングを実施し、接着剤層の硬化反応を促し、本発明の太陽電池裏面保護シートとした。
【0094】
本フィルムをEVAと熱接着を行い、耐熱性を含む総合評価結果を表1に示した。表から明らかなように、本発明のフィルムは、太陽電池裏面保護シートとして必要な要件を全てクリアしていた。
【0095】
(実施例2)
A層に使用する樹脂として、融点112℃、密度0.912g/cm、MFR4g/10分のLDPE100重量部に対し、融点150℃、密度0.900g/cm、MFR7g/10分、エチレン含有量4モル%のEPC150重量部の樹脂混合物を用いた。
【0096】
B層に使用する樹脂としては、融点が150℃、密度0.900g/cm、MFR7g/10分、エチレン含有量4モル%のEPC100重量部に対して、融点が160℃、密度0.900g/cm、MFR4g/10分、エチレン含有量7モル%のB−PP100重量部、及び酸化チタンマスタバッチA20重量部を混合した樹脂混合物を用いた。着色化剤である酸化チタンの添加量は5.5重量%である。
【0097】
C層に使用する樹脂として、融点160℃、密度0.900g/cm、MFR4g/10分、エチレン含有量7モル%のB−PP100重量部に対して、融点162℃、密度0.900g/cm、MFR7g/10分のH−PPを100重量部混合した樹脂混合物を用いた。
【0098】
このようにして用意したA層、B層、C層の樹脂混合物を各々単軸の溶融押出機に供給し、それぞれ260℃にて溶融してA層/B層/C層型のマルチマニホールド型のTダイに導き、30℃に保たれたキャスティングドラム上に押し出し、非ドラム面側から25℃の冷風を吹き付けて冷却固化して、各層の厚み構成比率がA層/B層/C層=10%/80%/10%であるフィルム厚みが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。
【0099】
該多層フィルムのC層の片面にコロナ放電処理を行い、表面の濡れ張力を40mN/mとして巻き取った。フィルムを実施例1と同じ方法で太陽電池裏面保護シートとした。本フィルムは、表1に示したように本発明の必要な要件を全てクリアしていた。
【0100】
(実施例3)
A層に使用する樹脂として、融点127℃、密度0.940g/cm、MFR5g/10分のLLDPE70重量部に対し、融点112℃、密度0.912g/cm、MFR4g/10分のLDPEを30重量部(ポリエチレン合計100重量部)、及びポリプロピレン系樹脂として、融点150℃、密度0.900g/cm、MFR7g/10分のエチレン含有量4モル%のEPC200重量部を混合した樹脂混合物を用いた。
【0101】
B層に使用する樹脂としては、融点が160℃、密度0.90g/cm、MFR4g/10分、エチレン含有量7モル%のB−PP100重量部に対して、酸化チタンマスタバッチA48重量部を混合した樹脂混合物を用いた。着色化剤である酸化チタンの添加量は19.5重量%である。
【0102】
また、C層に使用する樹脂として、融点150℃、密度0.900g/cm、MFR7g/10分、エチレン含有量4モル%のEPCを用いた。
【0103】
このようにして用意したA層、B層、C層の樹脂混合物を各々単軸の溶融押出機に供給し、それぞれ260℃にて溶融してA層/B層/C層型のマルチマニホールド型のTダイに導き、30℃に保たれたキャスティングドラム上に押し出し、非ドラム面側から25℃の冷風を吹き付けて冷却固化して、各層の厚み構成比率がA層/B層/C層=20%/60%/20%であるフィルム厚みが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。
【0104】
該多層フィルムのC層にコロナ放電処理を行い、表面の濡れ張力を40mN/mとして巻き取った。フィルムを実施例1と同じ方法で太陽電池裏面保護シートとした。 本フィルムは、表1に示したように本発明の必要な要件を全てクリアしていた。
【0105】
(実施例4)
A層に使用する樹脂として、融点127℃、密度0.940g/cm、MFR5g/10分のLLDPE97重量部に対し、融点112℃、密度0.912g/cm、MFR4g/10分のLDPEを3重量部(ポリエチレン合計100重量部)、及びポリプロピレン系樹脂として、融点164℃の密度0.900g/cm、MFR3g/10分のH−PP50重量部の樹脂混合物を用いた。
【0106】
B層に使用する樹脂としては、融点が160℃、密度0.900g/cm、MFR7g/10分のH−PP100重量部に対して、酸化チタンマスタバッチA100重量部を混合した樹脂混合物を用いた。着色化剤である酸化チタンの添加量は30.0重量%である。
【0107】
C層に使用する樹脂として、融点162℃、密度0.900g/cm、MFR7g/10分のH−PPを用いた。
【0108】
このようにして用意したA層、B層、C層の樹脂混合物を各々単軸の溶融押出機に供給し、それぞれ260℃にて溶融してA層/B層/C層型のマルチマニホールド型のTダイに導き、30℃に保たれたキャスティングドラム上に押し出し、非ドラム面側から25℃の冷風を吹き付けて冷却固化して、各層の厚み構成比率がA層/B層/C層=10%/70%/20%であるフィルム厚みが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。
【0109】
該多層フィルムのC層にコロナ放電処理を行い、表面の濡れ張力を40mN/mとして巻き取った。フィルムを実施例1と同じ方法で太陽電池裏面保護シートとした。本フィルムは、表1に示したように本発明の必要な要件を全てクリアしていた。
【0110】
(実施例5)
A層に使用する樹脂として、融点127℃、密度0.940g/cm、MFR5g/10分のLLDPE100重量部に対し、ポリプロピレン系樹脂として、融点160℃、密度0.900g/cm、MFR4g/10分、エチレン含有量7モル%のB−PP200重量部の樹脂混合物を用いた。
【0111】
B層に使用する樹脂としては、融点が150℃、密度0.900g/cm、MFR7g/10分、エチレン含有量4モル%のEPC100重量部に対して、酸化チタンマスタバッチA300重量部を混合した樹脂混合物を用いた。着色化剤である酸化チタンの添加量は45.0重量%である。
【0112】
C層に使用する樹脂として、融点162℃、密度0.900g/cm、MFR7g/10分のH−PP100重量部に対して、融点が150℃、密度0.900g/cm、MFR7g/10分、エチレン含有量4モル%のEPC100重量部の樹脂混合物を用いた。
【0113】
このようにして用意したA層、B層、C層の樹脂混合物を各々単軸の溶融押出機に供給し、それぞれ260℃にて溶融してA層/B層/C層型のマルチマニホールド型のTダイ導き、30℃に保たれたキャスティングドラム上に押し出し、非ドラム面側から25℃の冷風を吹き付けて冷却固化して、各層の厚み構成比率がA層/B層/C層=10%/70%/20%であるフィルム厚みが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。フィルムを実施例1と同じ方法で太陽電池裏面保護シートとした。本フィルムは、表1に示したように本発明の必要な要件を全てクリアしていた。
【0114】
(実施例6)
A層に使用する樹脂として、融点131℃、密度0.956g/cm、MFR4g/10分のHDPE100重量部に対し、ポリプロピレン系樹脂として、融点164℃の密度0.900g/cm、MFR3g/10分のH−PP50重量部の樹脂混合物を用いた。
【0115】
B層に使用する樹脂としては、融点が160℃、密度0.900g/cm、MFR7g/10分のH−PP100重量部に対して、酸化チタンマスタバッチA25重量部を混合した樹脂混合物を用いた。着色化剤である酸化チタンの添加量は12.0重量%である。
【0116】
C層に使用する樹脂として、融点160℃、密度0.900g/cm、MFR4g/10分、エチレン含有量7モル%のB−PPを用いた。
【0117】
このようにして用意したA層、B層、C層の樹脂混合物を各々単軸の溶融押出機に供給し、それぞれ260℃にて溶融してA層/B層/C層型のマルチマニホールド型のTダイに導き、30℃に保たれたキャスティングドラム上に押し出し、非ドラム面側から25℃の冷風を吹き付けて冷却固化して、各層の厚み構成比率がA層/B層/C層=10%/70%/20%であるフィルム厚みが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。フィルムを実施例1と同じ方法で太陽電池裏面保護シートとした。
【0118】
本フィルムは、表1に示したように本発明の必要な要件を全てクリアしていた。ただし、A層にLDPEや、LLDPEに較べて融点の高いHDPEを処方しているため、ガラスラミネート試験後の、A層とEVAの接着性が若干劣る結果となった。
【0119】
(実施例7)
実施例1のフィルムを、260℃の単軸溶融押出機を用いて溶融した後、ペレタイズしたものを回収原料とした。
【0120】
B層に使用する樹脂としては、融点150℃、密度0.900g/cm、MFR7g/10分、エチレン含有量4モル%のEPC100重量部に対して、前記回収原料を50重量部、酸化チタンマスタバッチA21重量部を混合した樹脂混合物を用いた。着色化剤である酸化チタンの添加量は13.8重量%である。また、A層、C層については、実施例1と同処方、同組成のポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。フィルムを実施例1と同じ方法で太陽電池裏面保護シートとした。本フィルムは、表1に示したように本発明の必要な要件を全てクリアしていた。
【0121】
(実施例8)
B層に使用する樹脂としては、融点150℃、密度0.900g/cm、MFR7g/10分、エチレン含有量4モル%のEPC100重量部に対して、融点が112℃、密度0.912g/cm、MFR4g/10分のLDPEを50重量部、酸化チタンマスタバッチA21重量部を混合した樹脂混合物を用いた。着色化剤である酸化チタンの添加量は7.4重量%である。また、A層、C層については、実施例1と同処方、同組成のポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。フィルムを実施例1と同じ方法で太陽電池裏面保護シートとした。
【0122】
本フィルムは、表1に示したように本発明の必要な要件を全てクリアしていた。
ただし、B層のポリプロピレン系樹脂において、ポリエチレンの含有量が32重量%であり、耐熱性が若干劣る結果となった。
【0123】
(実施例9)
A層に使用する樹脂として、融点127℃、密度0.940g/cm、MFR5g/10分のLLDPE100重量部に対し、ポリプロピレン系樹脂として、融点150℃、密度0.900g/cm、MFR7g/10分のエチレン含有量4モル%のEPC350重量部を混合した樹脂混合物を用いた。また、B層、C層については、実施例1と同処方、同組成のポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。フィルムを実施例1と同じ方法で太陽電池裏面保護シートとした。本フィルムは、表1に示したように本発明の必要な要件を全てクリアしていた。
【0124】
(実施例10)
A層に使用する樹脂として、融点127℃、密度0.940g/cm、MFR5g/10分のLLDPE100重量部に対し、ポリプロピレン系樹脂として、融点160℃、密度0.900g/cm、MFR4g/10分、エチレン含有量7モル%のB−PP500重量部を混合した樹脂混合物を用いた。また、B層、C層については、実施例1と同処方、同組成のポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。フィルムを実施例1と同じ方法で太陽電池裏面保護シートとした。本フィルムは、表1に示したように本発明の必要な要件を全てクリアしていた。
【0125】
(実施例11)
A層に使用する樹脂として、融点150℃、密度0.900g/cm、MFR7g/10分のエチレン含有量4モル%のEPC100重量部に対して、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤マスタバッチA100重量部を混合した樹脂混合物を用いた。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の添加量は5.0重量%である。
【0126】
B層に使用する樹脂としては、融点が160℃、密度0.90g/cm、MFR7g/10分のH−PP35重量部に対して、酸化チタンマスタバッチA30重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤マスタバッチB65重量部を混合した樹脂混合物を用いた。着色化剤である酸化チタンの添加量は13.8重量%、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の添加量は5.0重量%である。
【0127】
また、C層に使用する樹脂として、融点160℃、密度0.900g/cm、MFR4g/10分、エチレン含有量7モル%のB−PPを用いた。
このようにして用意したA層、B層、C層の樹脂混合物を各々単軸の溶融押出機に供給し、実施例1と同様に、各層の厚み構成比率がA層/B層/C層=10%/80%/10%であるフィルム厚みが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。
【0128】
該多層フィルムのC層の片面にコロナ放電処理を行い、表面の濡れ張力を40mN/mとして巻き取った。フィルムを実施例1と同じ方法で太陽電池裏面保護シートとした。
【0129】
本フィルムをEVAと熱接着を行い、耐熱性を含む総合評価結果を表1に示した。表から明らかなように、本発明のフィルムは、太陽電池裏面保護シートとして必要な要件を全てクリアしていた。
【0130】
(実施例12)
A層に使用する樹脂として、融点127℃、密度0.940g/cm、MFR5g/10分のLLDPE70重量部に対し、融点112℃、密度0.912g/cm、MFR4g/10分のLDPEを20重量部、及びポリプロピレン系樹脂として、融点150℃、密度0.900g/cm、MFR7g/10分のエチレン含有量4モル%のEPC100重量部、ナノ酸化亜鉛マスタバッチA10重量部を混合した樹脂混合物を用いた。ナノ酸化亜鉛の添加量は0.5重量%である。
【0131】
B層に使用する樹脂としては、融点が160℃、密度0.90g/cm、MFR7g/10分のH−PP2.5重量部に対して、酸化チタンマスタバッチA30重量部、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤マスタバッチB65重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤マスタバッチB32.5重量部を混合した樹脂混合物を用いた。着色化剤である酸化チタンの添加量は13.8重量%、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の添加量は5.0重量%、ヒンダードアミン系光安定剤の添加量は2.5重量%である。
【0132】
また、C層に使用する樹脂として、融点160℃、密度0.900g/cm、MFR4g/10分、B−PPを用いた。
【0133】
このようにして用意したA層、B層、C層の樹脂混合物を各々単軸の溶融押出機に供給し、実施例1と同様に、各層の厚み構成比率がA層/B層/C層=10%/80%/10%であるフィルム厚みが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。
【0134】
該多層フィルムのC層の片面にコロナ放電処理を行い、表面の濡れ張力を40mN/mとして巻き取った。フィルムを実施例1と同じ方法で太陽電池裏面保護シートとした。
【0135】
本フィルムをEVAと熱接着を行い、耐熱性を含む総合評価結果を表1に示した。表から明らかなように、本発明のフィルムは、太陽電池裏面保護シートとして必要な要件を全てクリアしていた。
【0136】
(実施例13)
A層に使用する樹脂として、融点127℃、密度0.940g/cm、MFR5g/10分のLLDPE20重量部に対し、融点112℃、密度0.912g/cm、MFR4g/10分のLDPEを20重量部、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤マスタバッチA10重量部、ナノ酸化亜鉛マスタバッチA50重量部、及びポリプロピレン系樹脂として、融点150℃、密度0.900g/cm、MFR7g/10分のエチレン含有量4モル%のEPC100重量部、を混合した樹脂混合物を用いた。ヒンダードアミン系光安定剤の添加量は0.5重量%、ナノ酸化亜鉛の添加量は2.5重量%であった。
【0137】
B層に使用する樹脂としては、融点が160℃、密度0.90g/cm、MFR7g/10分のH−PP61重量部に対して、酸化チタンマスタバッチA30重量部、ヒンダードアミン系光安定剤マスタバッチB6.5重量部、及びナノ酸化亜鉛マスタバッチB32.5重量部を混合した樹脂混合物を用いた。着色化剤である酸化チタンの添加量は13.8重量%、ヒンダードアミン系光安定剤の添加量は0.5重量%、ナノ酸化亜鉛の添加量は2.5重量%である。
【0138】
また、C層に使用する樹脂として、融点160℃、密度0.900g/cm、MFR4g/10分、エチレン含有量7モル%のB−PPを用いた。
【0139】
このようにして用意したA層、B層、C層の樹脂混合物を各々単軸の溶融押出機に供給し、実施例1と同様に、各層の厚み構成比率がA層/B層/C層=10%/80%/10%であるフィルム厚みが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。
【0140】
該多層フィルムのC層の片面にコロナ放電処理を行い、表面の濡れ張力を40mN/mとして巻き取った。フィルムを実施例1と同じ方法で太陽電池裏面保護シートとした。
【0141】
本フィルムをEVAと熱接着を行い、耐熱性を含む総合評価結果を表1に示した。表から明らかなように、本発明のフィルムは、太陽電池裏面保護シートとして必要な要件を全てクリアしていた。
【0142】
(実施例14)
A層に使用する樹脂として、融点127℃、密度0.940g/cm、MFR5g/10分のLLDPE70重量部に対し、融点112℃、密度0.912g/cm、MFR4g/10分のLDPEを20重量部、ヒンダードアミン系光安定剤マスタバッチA10重量部、及びポリプロピレン系樹脂として、融点150℃、密度0.900g/cm、MFR7g/10分のエチレン含有量4モル%のEPC100重量部を混合した樹脂混合物を用いた。ヒンダードアミン系光安定剤の添加量は0.5重量%である。
【0143】
B層に使用する樹脂としては、融点が160℃、密度0.90g/cm、MFR7g/10分のH−PP93.5重量部に対して、酸化チタンマスタバッチA30重量部、ヒンダードアミン系光安定剤マスタバッチB6.5重量部を混合した樹脂混合物を用いた。着色化剤である酸化チタンの添加量は13.8重量%、ヒンダードアミン系光安定剤の添加量は0.5重量%である。
【0144】
また、C層に使用する樹脂として、融点160℃、密度0.900g/cm、MFR4g/10分、エチレン含有量7モル%のB−PPを用いた。
【0145】
このようにして用意したA層、B層、C層の樹脂混合物を各々単軸の溶融押出機に供給し、実施例1と同様に、各層の厚み構成比率がA層/B層/C層=10%/80%/10%であるフィルム厚みが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。
【0146】
該多層フィルムのC層の片面にコロナ放電処理を行い、表面の濡れ張力を40mN/mとして巻き取った。フィルムを実施例1と同じ方法で太陽電池裏面保護シートとした。
【0147】
本フィルムをEVAと熱接着を行い、耐熱性を含む総合評価結果を表1に示した。表から明らかなように、本発明のフィルムは、太陽電池裏面保護シートとして必要な要件を全てクリアしていた。
【0148】
(実施例15)
A層に使用する樹脂として、融点127℃、密度0.940g/cm、MFR5g/10分のLLDPE60重量部に対し、融点112℃、密度0.912g/cm、MFR4g/10分のLDPEを20重量部、ヒンダードアミン系マスタバッチマスタバッチA10重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤マスタバッチA10重量部、及びポリプロピレン系樹脂として、融点150℃、密度0.900g/cm、MFR7g/10分のエチレン含有量4モル%のEPC100重量部を混合した樹脂混合物を用いた。ヒンダードアミン系光安定剤の添加量は0.5重量%、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の添加量は0.5重量%である。
【0149】
B層に使用する樹脂としては、融点が160℃、密度0.90g/cm、MFR7g/10分のH−PP87重量部に対して、酸化チタンマスタバッチA30重量部、ヒンダードアミン系光安定剤マスタバッチB6.5重量部、及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤マスタバッチB6.5重量部を混合した樹脂混合物を用いた。着色化剤である酸化チタンの添加量は13.8重量%、ヒンダードアミン系光安定剤の添加量は0.5重量%、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の添加量は0.5重量%である。
【0150】
また、C層に使用する樹脂として、融点160℃、密度0.900g/cm、MFR4g/10分、エチレン含有量7モル%のB−PPを用いた。
【0151】
このようにして用意したA層、B層、C層の樹脂混合物を各々単軸の溶融押出機に供給し、実施例1と同様に、各層の厚み構成比率がA層/B層/C層=10%/80%/10%であるフィルム厚みが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。
【0152】
該多層フィルムのC層の片面にコロナ放電処理を行い、表面の濡れ張力を40mN/mとして巻き取った。フィルムを実施例1と同じ方法で太陽電池裏面保護シートとした。
【0153】
本フィルムをEVAと熱接着を行い、耐熱性を含む総合評価結果を表1に示した。表から明らかなように、本発明のフィルムは、太陽電池裏面保護シートとして必要な要件を全てクリアしていた。
【0154】
(比較例1)
A層およびC層に使用する樹脂として、融点127℃、密度0.940g/cm、MFR5g/10分のLLDPE100重量部に対して、融点150℃、密度0.900g/cm、MFR7g/10分、エチレン含有量4モル%のEPC20重量部の樹脂混合物を用いた。
【0155】
B層に使用する樹脂としては、融点が116℃、密度0.912g/cm、MFR4g/10分のLDPE100重量部に対して、酸化チタンマスタバッチB30重量部の樹脂混合物を用いた。着色化剤である酸化チタンの添加量は13.8重量%である。このようにして用意した樹脂を各々単軸の溶融押出機に供給し、それぞれ260℃にて溶融押出を行い、30℃に保たれたキャスティングドラム上に押し出し、非ドラム面側から25℃の冷風を吹き付けて冷却固化して、各層の厚み構成比率がA層/B層/C層=10%/80%/10%であるフィルム厚みが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。
【0156】
該多層フィルムの一方のA層にコロナ放電処理を行い、表面の濡れ張力を40mN/mとして巻き取った。
【0157】
本発明で得たサンプルフィルムのコロナ処理面と二軸延伸ポリエステルフィルム(東レ社製“ルミラー”X10S 125μm)を2液硬化タイプ接着剤(大日本インキ化学工業(株)製LX−903/KL−75=8/1)を固形分塗布厚6μmで塗布、乾燥し、積層体を作成した。
【0158】
積層したフィルムは、温度40℃にて72時間エージングを実施し、接着剤層の硬化反応及び接着剤層内の発泡を促し、本発明の太陽電池裏面保護シートとした。本フィルムはA層ポリプロピレン系樹脂の含有量が少なく、またC層に相当する部分もポリエチレンを主体とする樹脂からなり、またB層がLDPEであるため、耐熱性が劣り、厚み変化が20%以上あり、銅板の透けが2枚以上認められた。各比較例の結果を表2に示す。
【0159】
(比較例2)
A層は比較例1と同処方とした。B層に使用する樹脂を、融点160℃、密度0.900g/cm、MFR7g/10分のH−PP100重量部に対して、酸化チタンマスタバッチAを30重量部混合した樹脂混合物を用いた。着色化剤である酸化チタンの添加量は13.8重量%である。
【0160】
C層樹脂に使用する樹脂として、融点127℃、密度0.940g/cm、MFR5g/10分のLLDPE100重量部に対し、融点150℃、密度0.900g/cm、MFR7g/10分、エチレン含有量4モル%のEPC50重量部を混合した樹脂混合物を用いた。このようにして用意した樹脂を各々単軸の溶融押出機に供給し、それぞれ260℃にて溶融押出を行い、マルチマニホールド型のTダイにて、A層/B層/C層=10%/70%/20%であるフィルム厚みが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。フィルムを実施例1と同じ方法で太陽電池裏面保護シートとした。
【0161】
本フィルムは、耐熱性試験においては銅板の透けなど発生しなかったが、接着性において、EVAとの接着性は優れるものの、ポリプロピレン主体となるB層と、ポリプロピレン系樹脂が20重量部と少なくポリエチレン主体となるA層の界面で容易に剥離してしまった。
【0162】
(比較例3)
A層に使用する樹脂として、融点150℃、密度0.900g/cm、MFR5g/10分、エチレン含有量4モル%のEPCを用いた。B層に使用する樹脂は、比較例2のB層と同処方とした。また、C層は融点160℃、密度0.900g/cm、MFR7g/10分のH−PPを用いた。
【0163】
このようにして用意したA層、B層、C層の樹脂混合物を各々単軸の溶融押出機に供給し、それぞれ260℃にて溶融してA層/B層/C層型のマルチマニホールド型のTダイに導き、30℃に保たれたキャスティングドラム上に押し出し、非ドラム面側から25℃の冷風を吹き付けて冷却固化して、各層の厚み構成比率が A層/B層/C層=10%/80%/10%であるフィルム厚みが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。本フィルムを実施例1と同じ方法で太陽電池裏面用保護シートとした。本フィルムは、A層にポリエチレンが添加されていないため、EVAと十分な密着力が認められなかった。
【0164】
(比較例4)
A層およびC層に使用する樹脂として、融点127℃、密度0.940g/cm、MFR5g/10分のLLDPE100重量部に対して、融点150℃、密度0.900g/cm、MFR7g/10分、エチレン含有量4モル%のEPC550重量部を混合した樹脂混合物を用いた。B層に使用する樹脂として、比較例2のB層と同処方とした。
【0165】
このようにして用意したA層、B層、C層の樹脂混合物を各々単軸の溶融押出機に供給し、それぞれ260℃にて溶融してA層/B層/C層型のマルチマニホールド型のTダイに導き、30℃に保たれたキャスティングドラム上に押し出し、非ドラム面側から25℃の冷風を吹き付けて冷却固化して、各層の厚み構成比率がA層/B層/C層=10%/80%/10%であるフィルム厚みが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。本フィルムを実施例1と同じ方法で太陽電池裏面保護シートとした。
【0166】
本フィルムは、EVAとの接着性試験において、A層のポリプロピレン系樹脂の添加量が550重量部と多いために、A層とEVAで界面剥離し、十分な接着強度が得られなかった。
【0167】
(比較例5)
A層に使用する樹脂として、融点127℃、密度0.940g/cm、MFR5g/10分のLLDPE100重量部に対して、融点150℃、密度0.900g/cm、MFR7g/10分、エチレン含有量4モル%のEPC100重量部を混合した樹脂混合物を用いた。
【0168】
B層の樹脂組成として、融点160℃、密度0.900g/cm、MFR7g/10分のH−PP100重量部に対して、酸化チタンマスタバッチAを3重量部を混合した樹脂混合物を用いた。
【0169】
C層に使用する樹脂として、融点160℃、密度0.900g/cm、MFR4g/10分、エチレン含有量7モル%のB−PPを用いて、実施例1と同製法で太陽電池裏面保護シートを得た。着色化剤である酸化チタンの添加量は1.7重量%である。
【0170】
本フィルムは、酸化チタンの濃度が少ないために、耐熱性試験前から銅板の透けが認められたので好ましくないと判断した。
【0171】
(比較例6)
比較例5において、B層の酸化チタンマスタバッチAを600重量部にした以外は、同処方、同製法の太陽電池用裏面保護シートを得た。着色化剤である酸化チタンの添加量は51.4重量%である。
【0172】
本フィルムは、フィルム製造工程において酸化チタンの濃度が高い為に凝集物が多発し、凝集物が口金につまり穴あきが発生したため、フィルムを採取することができなかった。
【0173】
(比較例7)
A層は実施例1と同処方とした。B層に使用する樹脂としては、融点が116℃、密度0.912g/cm、MFR4g/10分のLDPE100重量部に対して、酸化チタンマスタバッチB30重量部の樹脂混合物を用いた。着色化剤である酸化チタンの添加量は13.8重量%である。C層は比較例5と同処方とした。このようにして用意した樹脂を各々単軸の溶融押出機に供給し、それぞれ260℃にて溶融押出を行い、マルチマニホールド型のTダイにて、A層/B層/C層=10%/70%/20%であるフィルム厚みが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。フィルムを実施例1と同じ方法で太陽電池裏面保護シートとした。本フィルムは、耐熱性試験においては銅板の透けが発生した。更に、B層とC層の界面で剥離が認められた。
【0174】
(比較例8)
A層、及びB層は実施例1と同処方とした。C層に使用する樹脂としては、融点が116℃、密度0.912g/cm、MFR4g/10分のLDPEを用いた。このようにして用意した樹脂を各々単軸の溶融押出機に供給し、それぞれ260℃にて溶融押出を行い、マルチマニホールド型のTダイにて、A層/B層/C層=10%/70%/20%であるフィルム厚みが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。フィルムを実施例1と同じ方法で太陽電池裏面保護シートとした。本フィルムは、EVAとの接着性試験において、B層とC層の界面での剥離が認められた。
【0175】
(比較例9)
A層に使用する樹脂として、融点127℃、密度0.940g/cm、MFR5g/10分のLLDPE100重量部に対して、融点150℃、密度0.900g/cm、MFR7g/10分、エチレン含有量4モル%のEPC600重量部を混合した樹脂混合物を用いた。
【0176】
B層は実施例1と同処方とした。C層は使用する樹脂として、融点160℃、密度0.900g/cm、MFR4g/10分、エチレン含有量7モル%のB−PPを用いた。このようにして用意した樹脂を各々単軸の溶融押出機に供給し、それぞれ260℃にて溶融押出を行い、マルチマニホールド型のTダイにて、A層/B層/C層=20%/70%/10%であるフィルム厚みが150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。フィルムを実施例1と同じ方法で太陽電池裏面保護シートとした。本フィルムは、EVAとの接着性試験において、A層とEVAの密着力が低かった。
【0177】
【表1】
【0178】
【表2】
【符号の説明】
【0179】
A:ガラス板
B:EVAの層
C:銅板
D:ポリオレフィン系樹脂多層フィルム
E:二軸延伸PETフィルム
F:太陽電池裏面保護シート
図1