特許第5732405号(P5732405)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5732405
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】スラリ搬送用の耐摩耗性管継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 57/00 20060101AFI20150521BHJP
   B65G 53/30 20060101ALI20150521BHJP
   F16L 43/00 20060101ALI20150521BHJP
   F15D 1/02 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
   F16L57/00 B
   B65G53/30 Z
   F16L43/00
   F15D1/02 C
【請求項の数】21
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2011-546528(P2011-546528)
(86)(22)【出願日】2010年1月20日
(65)【公表番号】特表2012-516413(P2012-516413A)
(43)【公表日】2012年7月19日
(86)【国際出願番号】AU2010000051
(87)【国際公開番号】WO2010085839
(87)【国際公開日】20100805
【審査請求日】2013年1月16日
(31)【優先権主張番号】2009900306
(32)【優先日】2009年1月28日
(33)【優先権主張国】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】511182323
【氏名又は名称】ドイグ、スコット
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100066692
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 皓
(74)【代理人】
【識別番号】100072040
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100123180
【弁理士】
【氏名又は名称】白江 克則
(74)【代理人】
【識別番号】100072822
【弁理士】
【氏名又は名称】森 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100089897
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 正
(74)【代理人】
【識別番号】100137475
【弁理士】
【氏名又は名称】金井 建
(74)【代理人】
【識別番号】100160266
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100140028
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 義光
(74)【代理人】
【識別番号】100166349
【弁理士】
【氏名又は名称】帯包 浩司
(72)【発明者】
【氏名】ドイグ、スコット
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平5−116756(JP,A)
【文献】 特開昭59−17419(JP,A)
【文献】 中国実用新案公告第0995913(CN,U)
【文献】 実開昭64−20594(JP,U)
【文献】 仏国特許出願公開第2566875(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 57/00
F16L 43/00
B65G 53/30
F15D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐摩耗性管継手であって、使用時、第1直状管片と流体連通する入口端と、使用時、第2直状管片と流体連通する出口端とを有する形式のものにおいて、該管継手には、
スラリまたは配管内流体を第1直状管片から受け取り第2偏心径違い継手内へ送るように構成された、流体流れ方向に断面積が連続的に増加する第1偏心径違い継手と、
スラリまたは流体を第1偏心径違い継手から受け取り第2直状管片へ送るように構成された、流体流れ方向に断面積が連続的に減少する第2偏心径違い継手と、
スラリまたは配管内流体の流れを、第2偏心径違い継手に流入する前に撹乱するために、第1偏心径違い継手内に配置された流れ撹乱装置と
が含まれ、
前記流れ撹乱装置がプローブまたはロッド状の形態であり、かつ前縁で終わる第1端部を有し、それにより、使用時、該前縁は、スラリまたは配管内流体が管継手通過時に最初に遭遇する流れ撹乱装置部分となる、耐摩耗性管継手。
【請求項2】
前記第1偏心径違い継手がストレート側とテーパ側とを有し、かつ、使用時、第1直状管片の第1側と整合するように位置決めされ、前記第1直状管片が中心軸線を有し、該中心軸線より下の高さのところに流れ撹乱装置が配置され、前記高さは、前記第1偏心径違い継手のストレート側から測定されたものである、請求項1記載の耐摩耗性管継手。
【請求項3】
前記第1偏心径違い継手がストレート側とテーパ側とを有し、かつ、使用時、第1直状管片の第1側と整合するように位置決めされ、前記第1直状管片が中心軸線を有し、該中心軸線の高さのところに流れ撹乱装置が配置され、前記高さは、前記第1偏心径違い継手のストレート側から測定されたものである、請求項1記載の耐摩耗性管継手。
【請求項4】
前記流れ撹乱装置が細長のプローブまたはロッド状器具の形式を有する、請求項1から請求項3までのいずれか一項記載の耐摩耗性管継手。
【請求項5】
前記流れ撹乱装置は、断面が円筒形、多角形、3角形、楕円形のいずれかである、請求項1から請求項4までのいずれか一項記載の耐摩耗性管継手。
【請求項6】
前記流れ撹乱装置が不一様な断面を有する、請求項1から請求項5までのいずれか一項記載の耐摩耗性管継手。
【請求項7】
前記流れ撹乱装置が流体を噴射する装置を含んでいる、請求項1から請求項6までのいずれか一項記載の耐摩耗性管継手。
【請求項8】
前記流体を噴射する装置が、凝集剤を噴射する装置である、請求項7記載の耐摩耗性管継手。
【請求項9】
更に、流れ撹乱装置を管継手内の定位置に固定するための固定装置が含まれる、請求項1から請求項8までのいずれか一項記載の耐摩耗性管継手。
【請求項10】
前記第1偏心径違い継手がストレート側とテーパ側とを有し、該ストレート側が、使用時、第1直状管片の第1側と整合するように位置決めされる、請求項1から請求項9までのいずれか一項記載の耐摩耗性管継手。
【請求項11】
前記第2偏心径違い継手がストレート側とテーパ側とを有し、該ストレート側が、使用時、第2直状管片の第1側と整合するように位置決めされる、請求項1から請求項10までのいずれか一項記載の耐摩耗性管継手。
【請求項12】
更に、第1偏心径違い継手と第2偏心径違い継手との間に移行管片が配置されており、該移行管片が、第1直状管片の断面積より大きい断面積を有し、これにより、移行管片内では、スラリまたは配管流体の速度が、第1直状管片内でのスラリまたは配管流体の速度より低速となる、請求項1から請求項11までのいずれか一項記載の耐摩耗性管継手。
【請求項13】
前記移行管片が直状の移行管片である、請求項12記載の耐摩耗性管継手。
【請求項14】
前記流れ撹乱装置は、全部または一部が第1偏心径違い継手内に配置され、かつ一部が直状移行管片内へ延びている、請求項13記載の耐摩耗性管継手。
【請求項15】
前記移行管片がベンド片であり、これにより、使用時、スラリまたは配管流体は、第1偏心径違い継手からベンド片へ流入し通過するさい、第2偏心径違い継手へ送られる前に、変向せしめられる、請求項12記載の耐摩耗性管継手。
【請求項16】
前記流れ撹乱装置は、全部または一部が第1偏心径違い継手内に配置され、かつ一部がベンド片内へ延びている、請求項15記載の耐摩耗性管継手。
【請求項17】
第1と第2の偏心径違い継手がストレート側とテーパ側とを有し、第1と第2の偏心径違い継手の各々のテーパ側が、使用時、ベンド片の曲率中心の最も近くに配置され、ストレート側が曲率中心から離れたところに配置される、請求項15記載の耐摩耗性管継手。
【請求項18】
前記管継手が第1偏心径違い継手内への流れ撹乱装置の挿入深さを調節する装置を含む、請求項1から請求項17までのいずれか一項記載の耐摩耗性管継手。
【請求項19】
前記流れ撹乱装置の最大挿入深さは、第1偏心径違い継手の断面積マイナス流れ撹乱装置前縁の断面積が、第1直状管片の断面積より大きい箇所での深さと決定される、請求項18記載の耐摩耗性管継手。
【請求項20】
前記流れ撹乱装置が、その長さの一部または全長にわたって中空である、請求項1から請求項19までのいずれか一項記載の耐摩耗性管継手。
【請求項21】
前記管継手が、PVC,PTFE,ヴァイトン、ゴム、シリコーン、ポリエチレン、ポリスチレン、アルミニウムとその合金、ニッケルとその合金、銅とその合金、鋳鉄、軟鋼、ステンレス鋼、およびチタンとその合金からなる群から選択される材料で作られる、請求項1から請求項20までのいずれか一項記載の耐摩耗性管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラリを一つの箇所から他の個所へ運搬する管に使用するのに適した耐摩耗性の管継手に関するものである。本発明は、更に、管内を搬送されるスラリの流れ方向を変更する非−直状管片、つまり「エルボ」に関するものである。
【背景技術】
【0002】
閉導管または閉配管を通して浮動固体粒子を運ぶ可動流体を含むスラリの搬送は、鉱業、エネルギー産業、化学工業、それらの関連工業の分野では、以前から知られていた。スラリ用配管が使用中に摩耗に曝されることは周知ある。スラリ用配管は、しばしば、端部と端部をつないだ直状管片同様、直状管片または直管片を互いに種々の角度で結合する非−直線状のベンドまたは「エルボ」をも有しており、これにより、配管内を搬送される材料流の方向を変更できる。浮動固体粒子を運ぶ可動流体が変向を強制される場合、浮動固体粒子の運動方向を変えるよりも、流体流の方向を変えるほうが容易である。スラリ形態で搬送される粒子状材料が摩耗作用を有する場合、スラリ流の変向時に、エルボ側壁内面に摩耗が生じることは、よく知られている。これは、浮動固体粒子がそれまでの直線的な進路のまま移動を続けて、エルボ内壁に衝突し、侵食または摩耗を発生させる傾向があるためである。摩耗による損傷が十分にひどくなれば、エルボの交換または補修が必要になる。
【0003】
スラリ搬送用の非−直線状の管片、つまりエルボの侵食を低減または防止する試みは、これまでに種々行われてきた。幾つかの試みは、エルボの形状変向に基づいている。例えば特許文献1には、入口軸線と整合する軸線を有する拡大渦室を備えたエルボが開示されている。この渦室に材料を集めて渦を形成することで、渦室内に集めた材料−のソフト−プラグ−をそらせることにより、搬送材料がエルボ壁に衝突するのが防止される。また、特許文献2に開示されているエルボの場合、入口と出口の間のエルボ区間が入口と出口との断面積より少なくとも1.5:1の割合で大きい断面積を有している。これは、内部を搬送される材料によって生じるエルボ壁の摩耗を低減しようという試みである。特許文献3および特許文献4に開示されているベンドまたはエルボでは、被搬送材料が、搬送システム壁の侵食防止のために、材料のクッションを形成するようになっている。更に、特許文献5に開示されている管には、管の内壁と一体鋳造された複数波形部が設けられている。これらの波形部は、前記管の上部と下部とに180度未満の角度で設けられている。
【0004】
この問題に対処するさいに最も普通に採用される手法は、エラストマー材料製のライナーを管のエルボ部分の内部に配置して、材料粒子の衝撃を吸収するか、またはエルボ部分を、管の残りの部分より高い耐摩耗性または耐食性を有する材料を用いて製造するかである。そのような解決策の例は、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10に記載されている。これらの特許に開示されている処置は、主として、ライナーを構成する材料の選択や、エルボにライナーを装着する形式の点で互いに異なっている。エルボに別個のライナーを取り付けて使用する場合、構成材料の費用に応じて比較的高価になることがあり、また長期にわたる場合、かなりの摩耗が生じるのを阻止できない。また、ライナーの除去とその後の装着は、容易ではなく、費用もかかり、またライナーに接近するには配管を外さねばならず、そのために生産に損失が生じる恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,387,914号明細書
【特許文献2】米国特許第4,995,645号明細書
【特許文献3】米国特許第4,641,864号明細書
【特許文献4】米国特許第4,767,243号明細書
【特許文献5】米国特許第1,518,705号明細書
【特許文献6】米国特許第4,199,010号明細書
【特許文献7】米国特許第4,554,721号明細書
【特許文献8】米国特許第4,733,889号明細書
【特許文献9】米国特許第3,350,832号明細書
【特許文献10】米国特許第1,246,189号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の理由から、耐摩耗性および耐食性が改善されたスラリ搬送管および配管用の管継手を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様によれば、使用時、第1直状管片と流体連通する入口端と、使用時、第2直状管片と流体連通する出口端とを有する耐摩耗性管継手が提供され、該管継手には、
第1直状管片からのスラリまたは配管内の流体を受け取り、第2偏心径違い継手へスラリまたは配管内流体を送出するように構成された第1偏心径違い継手と、
第1偏心径違い継手からのスラリまたは流体を受け取り、第2直状管片へスラリまたは流体を送出するように構成された第2偏心径違い継手と、
スラリまたは流体が第2偏心径違い継手に流入する前に、スラリまたは配管内流体の流れを撹乱するために、第1偏心径違い継手内に配置された流れ撹乱装置とが含まれている。
【0008】
一形式では、第1直状管片が中心軸線を有し、この中心軸線より下方の或る高さのところに流れ撹乱装置が配置される。本発明のこの形式は、地面に対して事実上平行に延びる管継手の場合に好都合である。あるいはまた、第1直状管片が中心軸線を有し、この中心軸線の高さに流れ撹乱装置が配置される。本発明のこの形式は、地面に対して事実上直角に延びる管継手の場合に、好都合である。
一形式では、流れ撹乱装置が細長のプローブまたはロッド状の装置の形式を有している。流れ撹乱装置は、断面が、円筒形、多角形、三角形、楕円形のいずれかでよい。流れ撹乱装置は不一様な断面を有していてもよい。
好ましくは、流れ撹乱装置は、管継手を流過するスラリまたは配管内流体内へ流体を噴射する装置を含むことができる。このようにして、噴射流体をスラリまたは配管流体内へ混入できる。
【0009】
一形式では、流れ撹乱装置が、前縁で終わる第1端部を有し、これにより、使用時、前縁は、スラリまたは配管流体が管継手を通るさいに最初に遭遇する流れ撹乱装置部分となる。管継手は、更に管継手内での流れ撹乱装置の位置を固定するための固定手段を含んでいる。
一形式では、第1偏心径違い継手は、中心軸線と平行の側(均一径連続側)とテーパ側(径傾斜側)とを有し、該平行の側は、使用時、第1直状管片の第1側と整合するように配置される。同じように、第2偏心径違い継手も、中心軸線に平行の側(均一径連続側)とテーパ側(径傾斜側)を有し、該平行の側は、使用時、第2直状管片の第1側と整合するように配置される。
【0010】
一形式では、管継手は、更に、第1偏心径違い継手と第2偏心径違い継手との間に配置された移行管片を含み、該移行管片が第1直状管片の断面より大きい断面を有し、これにより、スラリまたは配管流体の速度が、移行管片内では、第1直状管片内でより低速となる。流れ撹乱装置は、第1偏心径違い継手内に全部または一部を配置でき、移行管片内へ一部が延びている。
移行管片は、直状移行管片である。あるいはまた、移行管片は、ベンド片であってもよく、その場合は、使用時、スラリまたは配管内流体は、第2偏心径違い継手へ送られる前に、第1偏心径違い継手からベンド片へ流入し通過するさいに変向される。
【0011】
一形式では、第1と第2の偏心径違い継手の各々が、中心軸線に平行な側とテーパ側とを有し、使用時、テーパ側が、ベンド片の曲率中心に最も近くなるように配置される一方、該平行な側は、曲率中心から離れたところに配置される。
一形式では、管継手は、第1偏心径違い継手内の流れ撹乱装置の挿入深さを調節する装置を含んでいる。一形式では、流れ撹乱装置の最大挿入深さは、第1偏心径違い継手の断面積から流れ撹乱装置前縁の断面積を減じた値が、第1直状管片の断面積より大きい箇所のところと決められる。
【0012】
一形式では、流れ撹乱装置は、該装置の長さの一部または全長に沿って中空である。
管継手は、ポリマー材料、例えばPVC、PTFE、バイトン(viton)、ゴム、シリコーン、ポリエチレン、ポリエステルのいずれかで作られるか、または金属材料、例えばアルミニウムとその合金、ニッケルとその合金、銅とその合金、鋳鉄、軟鉄、ステンレス鋼、チタンとその合金のいずれかで作ることができる。
本発明の第2態様によれば、耐摩耗性の管継手が提供され、該継手は、ここに添付図面を参照して説明され、図面で示される。
以下で、本発明の理解をより容易にするために、本発明の一実施例を添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】エルボ形式での本発明による管継手の第1実施例の側面図。(実施例1)
図2図1のA−A線に沿った断面図。
図3図1の一部の拡大図で、流れ撹乱装置の前縁を示す図。
図4】例1による試験用に使用された配管回路の図。
図5図1によるエルボの実施例の別形式の側面図。流れ撹乱装置が或る角度を付して配置されている。
図6図5のA−A線に沿った断面図。
図7】本発明の管継手の第2実施例の側面図。この場合、管継手は、直線状で、流体噴射装置を含んでいる。(実施例2)
図8図6の流体噴射装置の拡大詳細図。
図9】本発明の管継手の第3実施例の側面図。この場合、管継手は、直線状だが移行管片を含んでいない。(実施例3)
図10図9の流れ撹乱装置の拡大詳細図。
図11】本発明の管継手第4実施例の側面図。この場合、流れ撹乱装置の断面は不一様である。(実施例4)
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の耐摩耗性エルボの実施例を、特にスラリを搬送する配管について説明するが、スラリの搬送は一例にすぎない。例として、以下で詳細に説明する複数実施例の場合、スラリは、液体中で浮動する固体粒子を含んでいる。本明細書全般にわたって、「スラリ」の用語は、固体状の粒子または類似物質を内包する流体を指し、「流体」の用語はガス状または液状の流体を意味することができる。本発明の管継手は、また固体状の粒子または類似物質を内包しない単純な配管内流体を搬送する配管に使用できることも理解できよう。他に定義されていない場合には、ここで用いるすべての技術用語および科学用語は、本発明が所属する技術分野の当業者が、通常、理解するのと同じ意味である。図面には、類似部材には等しい符号が付されている。
【0015】
本明細書全体にわたって使用される「管」の用語は流体またはスラリを或る個所から他の個所へ搬送するのに適した導管を言う。「流体」は、ガスまたは液体でよい。管の断面は円筒形だが、このことは重要ではない。管は、断面が多角形、長方形、方形、楕円形でもよい。「管片」とは「管」の一断片のことである。「管継手」とは、管路の途中に間挿される管片を言う。管継手は、取り外し可能なまたは除去可能な管片、または間挿後、例えば溶接によって定位置に接合される管片である。
「エルボ」の用語は、スラリの流れ方向を変更するのに使用される管または導管の非−直線状部分を言う。「ベンド片」とは曲線状またはアーチ状の管片を言う。
「径違い継手」とは、不等寸法の2つの管または管片を結合するのに用いる管継手を言う。径違い継手は、後述するように、同心的または偏心的である。
「同心径違い継手」とは、不等寸法の管の入口端と出口端とが共通の中心軸線を有する場合に、不等寸法の管(または管片)を結合するのに使用される截頭円錐形の管継手を言う。
【0016】
「偏心径違い継手」という用語は、2つの不等寸法の小さいほうの管(または管片)の中心軸線が、大きいほうの管(または管片)の中心軸線と整線しない場合に、2つの不等寸法の管(または管片)を結合するのに使用する管継手をいう。偏心径違い継手は、「中心軸線と平行な側」と「テーパ側」とを有し、テーパ側が平行な側から一定角度で離間してゆくため、継手の一端の断面は他端の断面より大きい。使用時、中心軸線と平行な側は、2つの不等寸法の管(または管片)の一方の側と整合するよう位置決めされる。偏心径違い継手が、2つの直状管片を互いに結合するのに使用される場合は、2つの直状管片の中心軸線は、2つの不等寸法の管(または管片)の寸法差に相応する距離だけずれることになる。
本発明全体を通じて使用される「摩耗」という用語は、機械的手段によって管体の表面からの物質の望ましくない除去を意味している。本発明全体を通して使用される「侵食」という用語は、表面のところを通過する物質の流れによる摩耗を意味している。
【実施例1】
【0017】
図1を参照すると、本発明の第1実施例による耐摩耗性管継手10が、管を通過するスラリの流れ方向を変更するエルボの形式で示されている。エルボ10は、入口端12と出口端14とを有している。エルボを経て搬送される液体とスラリの浮動固体粒子とは図示されていないが、スラリの全体的な流れ方向は、入口端12から出口端14へ向かう方向である。図1に示した実施例では、エルボは、スラリの流れ方向を90度の角度で変向する。エルボを通過するスラリ流のこの変向角度は、スラリ配管に要求される具体的な変向角度に応じて種々変更できることを理解すべきだが、他方、45度または90度でスラリ流を変向させるエルボを使用するのが、配管設計での慣例である。
【0018】
使用時、エルボ10は、その入口端12を適当なコネクタを用いて第1直状管片16に結合される。図1に示した実施例では、フランジ20がエルボ10の入口端12と出口端14の各々に備えられており、これにより、入口端12を第1直状管片16に結合し、出口端14を、同じように、第2直状管片18に結合するのが容易になる。スラリ流がエルボを通過するさいの圧力の全体的な変化を避けるには、第1と第2の直状管片16,18の寸法を合致させる。より詳しく言えば、第1直状管片16の内径断面積を、第2直状管片18の内径断面積と等しくする。この構成を用いることにより、エルボへの流入時のスラリ速度は、エルボ流出時のスラリ速度と等しくなる。この速度を、以後、「配管内速度」と呼ぶ。
【0019】
図1を参照すると、エルボ10は3つの主要部を有している。すなわち、エルボ10は第1偏心径違い継手22を備え、該径違い継手は、スラリを第1直状管片16から受け取って管のベンド片24へ送るように構成されている。ベンド片は第1直状管片16より寸法が大きい。スラリは、第2偏心径違い継手26へ送出される前に、ベンド片24を通るさい変向される。第2偏心径違い継手26は、ベンド片24からスラリを受取って、第2直状管片18へ送出するように構成されている。
図1から容易に分かるように、第1と第2の偏心径違い継手22,26の各々は、不等寸法の管片を結合するために使用されている。第1偏心径違い継手22は、より小さい口径の第1直状管片16を、より口径の大きいベンド片24に結合するために使用され、第2偏心径違い継手26は、より大きい口径のベンド片24を、より小さい口径の第2直状管片18に結合するために使用されている。それぞれの場合、図2からよく分かるように、2つの不等寸法の管片の小さいほうの管片の中心軸線は、大きいほうの管片の中心軸線と整線していない。
【0020】
使用時、スラリの配管内速度の初速は、第1偏心径違い継手22へ流入すると減速される。配管内速度の減速の理由は、断面積が増すためである。スラリが第1偏心径違い継手22の長さに沿って移動するにつれて、断面積は増し続け、スラリ速度は減速し続ける。スラリがベンド片24に沿って移動するさいのスラリ速度は、実質的に一定である。なぜなら、ベンド部分24の断面積は、長さに沿って一様だからである。この一定の速度は、以後、「移行速度」と呼ぶ。スラリ速度は、スラリが第2偏心径違い継手26を通過するにつれて、移行速度から配管内速度に戻る。速度が増す理由は、断面積が縮小するためである。スラリ速度は、したがって、スラリ流が第2直状管片18へ流入する時までには、配管内速度に戻っている。
【0021】
既出の背景技術のところで説明したように、先行技術のスラリ用エルボの内側側壁の摩耗は、浮動固体粒子が、それまでの直線的な移動路に沿って移動し続け、エルボの内壁に衝突しがちなために発生することが分かっている。本発明のエルボを用いることで達せられる摩耗の低減は、一部は、移行速度が配管内速度より低いためである。しかし、より重要な点は、本発明が、少なくとも部分的に次の考察に基づいている点である。すなわち、スラリがスラリ配管に沿って運ばれるさい、浮動固体粒子が移動する流体内で重力の作用で分離される傾向があり、その結果、配管の所与の断面にわたって測定した場合、スラリの有効密度が局所的に変化するということである。使用時、エルボの配向には関係なく、密度のより高い区域が生じる。したがって、通常の配管内の流れ状況のさい、断面で見ると、流体内の浮動固体粒子は、重力の作用を受けて、スラリ内で複数の擬似−層に分離され、これらの層が、配管の所与の断面の最下部へ向かっては有効高密度区域を形成し、配管の所与の断面の最上部へ向かっては有効低密度区域へ移行する。
【0022】
本発明の新しい重要な一特徴は、エルボ10内に流れ撹乱装置40が配置される点である。流れ撹乱装置40の機能は、スラリが第1偏心径違い継手22への流入直後、かつまたベンド部分24への流入前に、スラリ内の粒子の流れを撹乱することである。理論は別にして、流れ撹乱装置40は、また下流に低圧の区域を作り出し、この低圧区域が、スラリの混合を促進させる流れパターンを作り出すと理解される。図2を参照すると、第1直状管片16は、該管片16を通過するスラリまたは流体の全体的流れ方向と整合する中心軸線21を有している。図2の場合、第1直状管片16の中心軸線に対する流れ撹乱装置40の配置高さは、阻害装置40が、最大の固体密度を有するスラリ内擬似−層に最大の撹乱を与えることができる高さである。流れ撹乱装置40は第1直状管片16の中心軸線より下方の高さに配置できるが、その高さは配管内を搬送されるスラリの密度とエルボの角度とに依存する。この撹乱によりスラリの均等度が改善され、ベンド片24の内面への粒子の衝突が、より均等に分配される。
【0023】
図1の実施例では、流れ撹乱装置40が細長の円筒状プローブまたはロッド状部材の形式を有している。流れ撹乱装置40は、断面が多角形、三角形、楕円形のいずれかであり、また断面が、図11に示すように、流れ撹乱装置40の長さに沿って変化してもよい。所望とあれば、流れ撹乱装置は、その長さの一部または全部にわたって中空でもよい。流れ撹乱装置40は、前縁42で終わる第1端部41を有している。前縁42は、エルボ10を搬送されるスラリが最初に遭遇する流れ撹乱装置40部分である。所望とあれば、前縁42は、阻害装置またはエルボの残りの部分より高い耐摩耗性の材料で構成してもよい。前縁に耐摩耗性材料を用いる場合には、種々の形式があるが、例えば、ステライト(STELLITE)またはセラミック(CERAMIC)等の適当な表面硬化成分で前縁を被覆することが挙げられる。エルボの実施例試験(詳しくは後述する)では、流れ撹乱装置40の前縁42に対する摩耗は、衝撃の大きい区域に過大な摩耗は見られなかった。
【0024】
第1偏心径違い継手22は、中心軸線と平行の側28とテーパ側30とを有している。図1および図2から最もよく分かるが、平行の側28は、使用時、第1直状管片16の第1側32と整合するように配置される。同じように、第2偏心径違い継手26も、平行の側28とテーパ側30とを有している。エルボ10内に流れ撹乱装置40が配置されていない場合には、第1偏心径違い継手22の長さに沿って断面積が漸増することで、該継手22の長さに沿って搬送されるさい、スラリ速度が漸減し、ベンド片24への流入時には移行速度に達する。流れ撹乱装置40が配置されている場合は、第1偏心径違い継手22の全断面積内で、流れ撹乱装置自体が占める断面積の働きにより局所的な減速が生じる。この理由から、流れ撹乱装置40の前縁42は、第1直状管片16内に位置すべきではない。
【0025】
エルボ10は、流れ撹乱装置を定位置に固定するための固定部材43を備えている。流れ撹乱装置40の位置は変更できるが、その場合、第1偏心径違い継手2内に全部または一部を配置し、管継手10がエルボの場合には、ベンド片24内に一部が延びるようにする。図1に示した実施例では、固定部材43は、液密のシール部材およびロック部材、例えばネジアダプタの形式を有し、これによって、流れ撹乱装置40の取り外しや交換が、第1と第2の直状管片16,18からエルボ10を外すことなく可能である。
図5の実施例でも、類似の部材には等しい符号が付されており、固定部材43は、第1偏心径違い継手22の、中心軸線と平行の側28に沿って定位置に固定されている。この実施例では、固定部材43が適度に湾曲した溶接プレートの形式を有し、該プレートが、更に、第1偏心径違い継手22の中心軸線と平行の側28に対する流れ撹乱装置40の角度を調節する部材を備えている。これによって、或る角度に流れ撹乱装置40を設定することで、該部材40のそばを通過するさい、より多くのスラリ層の撹乱が補助され、流れ撹乱装置40の下流での混合が促進される。
【0026】
所望とあれば、エルボ10は、第1偏心径違い継手22への流れ撹乱装置40の挿入深さ45を調節する装置を備えることができる。例えば、その挿入深さ調節装置は、選択した挿入深さに阻害装置の位置を調節可能に固定するロック装置と、エルボからの流体の流出を防止するシール部材とを含むパッキング押さえでよい。これにより、流れ撹乱装置40の前縁42は、所望通りに、第1直状管片16のより近くか、またはベンド片24のより近くに移動させることができる。最良の成績を得るには、流れ撹乱装置40の前縁42の最大挿入深さは、第1偏心径違い継手22の断面積から前縁42の断面積を減じた値が、第1直状管片16の断面積より大となる個所と決められる。スラリ速度の最大の減速が生じるのは、この深さである。
【0027】
第2偏心径違い継手26の、中心軸線と平行の側28は、使用時、第2直状管片18の第1側34と整合するように配置される。第1と第2の偏心径違い継手22,26の各々のテーパ側30は、エルボ10の曲率中心の最も近くに配置され、他方、該平行の側28は、曲率中心から離れたところに配置される。この配置を利用するのは、流体がベンド片24に出入するさい、ベンド片内に生じる乱流を低減するためである。スラリが、一方の側に偏った流れでベンド片24に流入するという事情がある場合は、テーパ側30は、ベンド片24内での渦流生成が最小化されるように配向すべきである。
【実施例2】
【0028】
次に、図7および図8には、本発明の耐摩耗性管継手10の第2実施例が示されている。類似の部分には等しい符号が付されている。この実施例では、耐摩耗性管継手が、直状管片110の形式に構成されている。この実施例の場合、スラリの全体的な流れ方向は入口端12から出口端14へ向かっている。また、この実施例では、管片110は直線状であり、管片を通過するスラリの全体的な流れ方向は、変向されない。使用時、管継手110は、入口端12を適当なコネクタ、例えば図7に示すフランジ20を介して第1直状管片16に結合され、同じように、管継手10の出口端14は、第2直状管片18に結合される。スラリが管継手を通過するさい全体的な圧力変化が生じないように、第1と第2の直状管片16,18は寸法が合致させてある。より詳しく言えば、第1直状管片16の内径断面積が第2直状管片18の内径断面積と等しい。この構成を利用することで、管継手110に流入するさいのスラリの配管内速度は、スラリが管継手を出るさいの速度と等しくなる。
【0029】
図7を参照すると、管継手110は、3つの主要部分を有している。すなわち、第1偏心径違い継手22は、第1直状管片16からスラリを受け取り、直状移行管片112へ送出し、該移行管片は、第1直状管片16より寸法(および断面積)が大きい。このため、スラリは、移行管片112への流入時に配管内速度から移行速度に減速され、その後で再び、移行管片112を出て第2偏心径違い継手26を通過するさい、移行速度から配管内速度へと加速される。第2偏心径違い継手26は、直状管片112からスラリを受け取り、第2直状管片18へ送出するように構成されている。
【0030】
流れ撹乱装置40は、第1実施例との関連で既に説明したのと類似の形式で、スラリが第1偏心径違い継手22を通過し直状移行管片112へ流入するさい、スラリ内の粒子の流れを撹乱するように、直状管継手110内に配置される。本発明の管継手のこの第2実施例を使用することにより、摩耗は低減されるが、これは、配管内速度から移行速度への、また移行速度から配管内速度への速度変化と結びついた、流れ撹乱装置40の配置による圧力降下によって、スラリが管継手110を通過するさい、スラリの混合が生じるからである。この結果、浮動固体粒子が均等化されるが、そうでない場合には、該浮動粒子は、可動流体内で重力の作用を受けて分離されがちであり、その結果、配管の所与の断面にわたって測定してスラリの有効密度に局所的な変動が生じる。撹乱により、直状移行管片112の内部および下流でスラリの均等性が改善され、その結果、管内面への粒子の衝突が、より一様に分配される。
【0031】
この第2実施例の場合、定位置に流れ撹乱装置40を固定する装置43が、第1偏心径違い継手22内に配置されるが、流れ撹乱装置40の長さは、直状移行管片112内へ延びるように、十分に長くされている。流れ撹乱装置40の位置は、第1偏心径違い継手22内に全部または一部が配置されるかに応じて変更できる。また、流れ撹乱装置は、混合を必要とするスラリ流に対する撹乱の度合い応じて直状移行管片112内へ部分的に挿入できるが、同じように、流れ撹乱装置40全体を第1偏心径違い継手22内へ配置することも許される。
図7および図8を参照すると、流れ撹乱装置40は、更にスラリ内へ流体を噴射する装置114を備えており、これにより、例えば、スラリを運ぶ流体またはスラリが管継手110を通過するさい、凝集剤を添加できる。これにより、管継手は、沈降濃縮器または清澄器(図示せず)用の入口管として使用できる。本発明の管継手を使用することで、スラリを運ぶ流体内またはスラリ内へ噴射された流体は、流れ撹乱装置40の下流で、スラリを運ぶ流体またはスラリの間に良好に混合される。このように、流体は、流れ撹乱装置40を介して乱流区域内へ噴射され、乱流区域内で混合が促進される。
【実施例3】
【0032】
図9および図10には、本発明の耐摩耗性管継手の第3実施例が示されている。この図でも類似部材には等しい符号が付されている。この実施例の場合も、耐摩耗性管継手は、直状管片110の形式を有しており、スラリ流の全体の方向は入口端12から出口端14へ向かっている。使用時、管継手110は、その入口端12が何らかの適当なコネクタを用いて第1直状管片16に結合されるが、この実施例では、ゴム・クランプ形式のシール部材と組み合わされたバンド・ストラップが用いられている。管継手10の出口端14も、同じように、第2直状管片18に結合されている。スラリがエルボを流れるさい、全体の圧力変化を避けるために、第1と第2の直状管片16,18の寸法が合わされている。より詳しく言うと、第1直状管片16の内径断面積が、第2直状管片18の内径断面積と等しくされている。この構成を使用することで、スラリが管継手110に流入するさいのスラリ配管内速度は、管継手を流出するさいの速度と等しくなる。
【0033】
図8を参照すると、管継手110の主要部分は2つのみである。すなわち、第1偏心径違い継手22が第2偏心径違い継手26からスラリを受け取るように構成されている。この実施例では、流れ撹乱装置40は第1偏心径違い継手22内に配置されている。また、この実施例では、定位置に流れ撹乱装置を固定するための固定装置43が、第1偏心径違い継手22内に配置され、図5に示した実施例の場合と類似の形式で第1偏心径違い継手2の、中心軸線と平行の側に沿って定位置に固定されている。この第3実施例では、固定装置43が、同じように、第1偏心径違い継手22の、中心軸線と平行の側28に対して流れ撹乱装置40の角度を調節する装置を備えている。これによって、流れ撹乱装置40のそばを通過する、より多くのスラリ層の撹乱が補助される。
【実施例4】
【0034】
図11には、本発明の耐摩耗性管継手10の第4実施例が示されている。この図でも、類似の部材には等しい符号が付されている。この実施例では、使用時、管継手10は、その入口端12が第1直状管片16に溶接接合され、管継手10の出口端14は、同じように第2直状管片18に接合されている。
既述の実施例のいずれの場合も、流れ撹乱装置40の長さが変更可能なことを理解されたい。一形式では、流れ撹乱装置40の長さは、第1偏心径違い継手22の、中心軸線と平行の側28の長さと等しい。あるいはまた、流れ撹乱装置40の長さは、第1偏心径違い継手22の、平行の側28の長さの75%または50%または25%を下回らない値とするのがよい。
この管継手または管片は、ポリマー材料、例えばPVC,PTFE,バイトン、ゴム、シリコーン、ポリエチレン、ポリスチレンのいずれかで作ることができ、あるいはまた、金属材料、例えばアルミニウムとその合金、ニッケルとその合金、銅とその合金、鋳鉄、軟鋼、ステンレス鋼、チタンとその合金のいずれかで作ることができる。
【0035】
次の例は、本発明の一実施例を更に説明するためのものである。以上の例で説明した流れ速度、寸法、スラリ密度は説明のためのものに過ぎず、以上の開示の観点から、本発明の枠内で種々の変更態様が可能である。所期の効果が流れ撹乱装置によって得られることを確認するために行った試験の詳細を以下で説明する。その成績が摩耗の有意な低減を示していることは、当業者には明らかだろう。
【0036】
例1:
スラリ430リットルを、撹拌スラリ戻しタンクに用意し、複数ベンドを有する配管ループにポンプで通して、図4に示すような構成の異なるベンド片を試験した。スラリは、流体である水が固体として砂とガーネットとを含有する形で作られた。スラリ全体の密度は2.41kg/lで、固体はスラリのほぼ18重量%に相当した。第1配管部分に流入時のスラリ配管内速度は、2.65メートル毎秒に設定した。
配管の呼び口径は40mmだった。管の外径は48.30mmで、壁厚は3.8mmであり、この結果、呼び内径は40.85mmだった。第1直状管片のところで測定したエルボの断面積は、したがって1309.97平方ミリメートルだった。
【0037】
ベンド片の呼び口径は50mmだった。またベンド片の外径は60.30mmであり、壁厚は3.91mm、ベンド片の内径は52.48mmだった。ベンド片の断面積は2163.11平方ミリメートルだった。移行速度(スラリがベンド部分を通過するさいの速度)は1.61メートル毎秒だった。
流れ撹乱装置は呼び直径が15.10mmだった。結果として、断面積は179.08平方ミリメートルとなる。流れ撹乱装置は、前縁のところで2.33メートル毎秒の速度になると計算された箇所に配置された。流れ撹乱装置の前縁の挿入深さは、第1偏心径違い継手の内径が43.54mmのところに設定した。
【0038】
試験の前に、エルボの内面を異なる色の複数塗料層で塗装した。スラリは、合計206時間にわたり配管内を流動させた。試験は、摩耗の兆候を調べるために、92時間の連続流動後に、一時中断した。そのさい、試験時に流れ撹乱装置を配置した場合には、塗料層の損耗は最小であることが観察された。試験は再開され、更に355時間行った。試験が終わって、配管内面の摩耗の兆候を再度調べた。試験時に流れ撹乱装置を配置した場合、他の条件は等しくして阻害装置なしの場合に比して損耗した塗料層は、最小であり、幾らか剥層されただけだった。
流れ撹乱装置なしで試験を反復した。同じ持続時間での試験が終了した後、ベンド部分内部の複数塗料層のすべての損耗が観察された。摩耗の最も大きな区域はベンド片の内側側壁に観察された。
最初の試験の成績は、入口を経て受け取ったスラリが九十度にわたって変向し上方へ垂直に流れるように、エルボを垂直配置した場合について測定した成績である。
【0039】
以上、本発明の複数好適実施例を詳細に説明したが、本発明が先行技術に勝る幾つかの長所を有することは明らかだろう。それらの長所には以下の点が含まれている:
a)粒子が第1直状管片から第1偏心径違い継手を経てベンド部分へ移動するさい、粒子速度が顕著に減速され、その結果、ベンド部分内壁の摩耗および侵食が低減すること、
b)構成が比較的簡単であり、したがって比較的低コストであること、
c)エルボを配管から外したり、エルボを2部分に分割する必要なしに、流れ撹乱装置を交換可能なこと、
d)混合度の高い区域で流体またはスラリ内へ凝集剤を噴射することが可能なこと、
e)高価な、または手の込んだ多層ライニングの使用が低減されること。
【0040】
本発明の基本概念から逸脱することなしに、多くの変化形および変更態様を作製可能であることが、関連技術の精通者には明らかであろう。例えば、スラリまたは流体を、第1偏心径違い継手から第1ベンド片を経て、第1ベンド片と異なる角度で配置された第2ベンド部分へ流入させ、その後で第2偏心径違い継手内へ流入させることもできる。そのような変更態様および変化形は、すべて本発明の範囲内のものと考えられ、本発明の本質は既述の説明と特許請求の範囲によって決定されるものである。
【0041】
幾つかの先行技術の刊行物を本明細書に引用したが、この引用は、それらの文書のいずれかが、当該技術分野、またはオーストラリア、または他の何処かの国で一般的な共通の知識の一部となっているということを認めるものではない。本発明についての陳述および説明の場合、文脈上、専門用語または必要な含意を表現するため他の要求がある場合を除いて、「含む」という用語は、包含する意味で使用している。言い換えると陳述された特徴の存在を具体的に示すが、本発明の種々の実施例に別の特徴の存在または追加を妨げるものではない。
図1.3】
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図2
図4