【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の発明は、内部を少なくとも1方向に液が流れることが可能な流管と、該流管内を上流側と下流側とに仕切るように設けた担体封入部と、液流によって該担体封入部内に懸濁若しくは分散可能に封入され生体物質若しくは生体を吸着し、結合し、捕獲し若しくはそれらと反応することが可能な複数の拡散可能担体と、該担体封入部への液導入時の該担体封入部の上流側境界の近傍に設けられて前記担体を拡散させる乱流を生成することが可能な乱流生成部材とを有する拡散可能担体封入流管である。
【0016】
ここで、「担体」としては、液体中の生体物質または生体を吸着、反応、結合若しくは捕獲可能な不溶性の固体であって、その形状は、例えば、粒子状、または不定形状であり、その大きさは、液中に拡散可能な大きさ、すなわち、液流によって液中に分散または懸濁可能な大きさであって、流速に依存するが、「懸濁可能な大きさ」とは、例えば、粒径が数ナノメートルから数百マイクロメートルの大きさであって、好ましくは、数ナノメートルから数十マイクロメートルである。ここで、「分散可能」とは液流が加えられている間だけ液中に懸濁可能であることをいい、液体の速さに応じて異なるが、例えば、数百マイクロメートルから数ミリメートルの大きさである。「拡散可能」であるためには、前記担体封入部の大きさは、少なくとも前記拡散可能担体の体積よりも十分に大きい容積、例えば、少なくとも前記拡散可能担体の体積の2倍に形成する必要がある。
【0017】
担体の材料としては、ゴム、シリコーン、セルロース、ナイロン等の繊維物質や樹脂、非磁性粒子若しくは磁性粒子等の金属等で形成されゲル、多孔質体、含水性のものを含む不溶性の固体である。該担体には、生体物質若しくは生体の吸着、反応、結合若しくは捕獲のための官能基等の生体物質を含む化学物質が設けられている。該担体の表面には、例えば、抗原、抗体、酵素、基質、レセプター、His-tag等のアフィニティリガンドや、アフィニティタグ等の物質等が設けられている。
【0018】
「担体の封入」とは、担体が一定領域内に閉じ込められて、その領域外に出られない状態をいう。
【0019】
「生体物質」には、例えば、核酸等の遺伝物質、タンパク、糖、糖鎖、ペプチド、色素等の生体高分子または低分子を含み、「生体」には、細菌、細胞、ウィルス、プラスミド等を含む。
【0020】
「生体物質若しくは生体を吸着し、結合し、捕獲し若しくはそれらと反応する」は、例えば、共有結合、化学吸着による場合の他、物理吸着または電気的相互作用による捕獲による場合、または、該担体に固定して設けられている結合物質との特異的反応、その他の方法で反応若しくは結合する。また、該担体を、多孔性部材、凹凸性部材、繊維質性部材で形成することによって、生体物質、生体を含む各種物質との反応能力や結合能力を高めるようにしても良い。生体物質若しくは生体との間の反応または結合のために、相補的な生体物質若しくは生体を担体に固定しておくためには、前記担体には、官能基を発現または生成するようにする。そのためには、例えば、「ポリアミド系高分子」からなる、絹等、ナイロン(3−ナイロン、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、7−ナイロン、12−ナイロン等)、PPTA(ポリパラフェニレンテレフタルアミド)等の全芳香族ポリアミド、や、ヘテロ環含有芳香族ポリマー等が有するペプチド結合を加水分解することで、生体物質の固定に用いる官能基を発現または生成させる。生体物質と結合可能な官能基には、例えば、カルボキシル基−COOH、アミノ基−NH
2、またはその誘導基がある。ここで、生体物質の固定に適した多孔の径は、例えば、数μm以下である。
【0021】
「流管」は、内部を液体が流れることが可能な管であって、例えば、カラム、ノズルに装着して用いるチップ状管も含む。ここで、「チップ状管」とは、前記吸引吐出に用いられる部材に装着され又は装着可能な装着用開口部および液体の流入および流出が可能な口部を有し、内部に担体を収容可能な流管である。チップ状管は、太管および細管を有するのが好ましいが、太径管および細径管のような典型的なチップ形状をもつ場合に限られない。この場合、細管の先端に口部が、太管の上側に装着用開口部が設けられるのが好ましい。前記チップ状管の容積は、例えば、数μLから数100μL程度以上の液体を扱うことが可能であるのが好ましい。
【0022】
流管の材料は、光学的観測を可能にするために透光性の素材が好ましい。チップ状容器の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル等の樹脂、ガラス、金属、金属化合物等がある。サイズは、例えば、細管において数μLから数100μLの液体を収容可能な大きさである。
【0023】
「担体封入部」とは、担体を液流によって分散または懸濁可能に封入する流管の一部領域であって、該担体封入部内には、該担体が内部で移動可能となるような空間が設けられている。担体封入部の上流側および下流側境界は担体の通過は不能であるが液体が通過可能となるように後述するメッシュ状薄膜が流管を仕切るように設けられている。
【0024】
「乱流生成部材」は、流管の断面積を狭めて液流の流速を高めて前記担体封入部内の前記担体を拡散させることが可能な乱流を生成する部材である。該部材は、該流管を仕切るように設けられ流れ方向に貫通する孔または溝を有する板状部材である。通常の担体封入用のフィルタとは異なり、該貫通する孔や溝は封入される拡散可能担体が該孔や溝に侵入可能であって、進入した担体が目詰まりや吸着が生じない大きさおよび形状をもつように形成される。該乱流生成部材の構造、例えば、板の形状、厚さ、貫通孔の個数、方向、断面形状、その開口部の面積、その配置等は、流管の構造(例えば、一方向の流れか双方向の流れ、流れ方向の垂直断面が一定内径の円形かどうか、流れ方向に沿って変化するような内径をもつ円形かどうか、例えば、チップ状管かどうか)、担体、流速、溶液の性質、処理目的に基づいて定められる。通常は、乱流生成部材の厚さ、すなわち、貫通孔や溝の深さは、前記貫通孔や溝内に進入することができる前記拡散可能担体の個数または体積と関係する。
【0025】
流管が、チップ状管のように双方向の流れをもち、吸引口と吐出口が1の口部を介して行われる場合には、該乱流生成部材は、前記担体が封入された前記担体封入部にそれを通って液体が吸引される場合に担体を分散または懸濁させ、該担体封入部から、それを通って液体が吐出される場合には、液体が円滑に吐出されるものが好ましい。
【0026】
ここで、液が一方向に流れるような流管の場合には、前記上流側と下流側とは固定されているが、液が双方向に流れる場合には、上流側と下流側の位置が入れ替わることになる。液が前記担体封入部に導入される場合に該担体封入部の上流側境界の近傍(例えば、境界に接してまたは所定の間隔を空けて、またはその境界の内側若しくは外側に)に設けられた乱流生成部材は、液が該担体封入部から同じ境界を通って排出される場合には、前記乱流生成部材は、液の排出時の前記担体封入部の下流側境界の近傍、に設けられていることになる。流管がチップ状管の場合がこれにあたり、液は該担体封入部を通過せずに折り返すことになる。担体封入部を液が双方向に通過するように流れる場合には、前記担体封入部の両側の境界の近傍に前記乱流生成部材を設けることになる。なお、該乱流生成部材の素材は、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリアセタール(POM)、ポリスチレン(PS)等の樹脂である。
【0027】
第2の発明は、前記担体封入部の上流側および下流側の両境界は、内部に封入された前記担体が液流によって移動可能となる空間を有するように前記流管に沿って間隔を空けて設けられ、各々前記担体の通過を阻止するが液体を通過可能とするメッシュ状薄膜を有する拡散可能担体封入流管である。
【0028】
ここで、メッシュ状薄膜は、前記担体は通さないが液体を略無抵抗で通すことができる目詰まりしにくい開口以外の面積が小さく、例えば、厚さが10μm程度の薄形部材であって、前記担体の粒径よりも小さいポア径または目開きをもつ。メッシュ状薄膜を流管に取り付けるには、弾性体で形成したOリングで上下から挟むようにして流管の内壁に径方向に付勢して取り付ける。さらに好ましくは、1のOリング枠の厚さ方向の中間位置で、中央の円形の孔を仕切るように張設することによって一体化したOリングメッシュを取り付ける。これによって、前記流管の内壁面に径方向に付勢して確実かつ容易に取り付けることができる。メッシュ状薄膜、Oリングメッシュは、例えば、ナイロン、ポリエステルによって形成する。
【0029】
なお、前記乱流生成部材は、前記メッシュ状薄膜で仕切られた境界の近傍で、前記担体封入部内で該境界に接するように設けられる。
【0030】
第3の発明は、前記内壁面に、内側方向に突出する突出部、上流側に向かって先細りの傾斜面または上流側に向かって内側方向に突設された段差を設け、前記メッシュ状薄膜または前記乱流生成部材を、上流側と下流側に該流管を仕切るように該流管に係止して保持している拡散可能担体封入流管である。
【0031】
ここで、「段差」は、内壁から内側方向に一様な高さで、または前記口部に向かって一様な厚さで突出若しくは突設するように形成する場合のみならず、高さに高低差または厚さに差を設けて形成するようにしても良い。前記「突出部」または「段差」の内側方向への突出若しくは突設の高さが一様で大きい場合には封入部としてスペーサ用部材を挟んで前記担体を支持させるのが好ましい。これによって、担体全体に対する液体の通過を円滑に行うことができる。
【0032】
第4の発明は、前記流管はチップ状管であって、少なくとも気体の吸引吐出が行われるノズルまたはノズルに装着される部材に着脱可能に装着された装着用開口部、および前記気体の吸引吐出によって液体の流入および流出が可能な口部を有し、前記担体封入部は、前記チップ状管の内部を装着用開口部側と口部側とに仕切るように設けられ、前記乱流生成部材は、前記担体封入部の口部側境界の近傍に、前記チップ状管を仕切るように設けられた拡散可能担体封入流管である。
【0033】
ここで、「ノズルに装着される部材」には、例えば、他のチップまたはアダプタ等がある。「チップ」とは、太径管及び該太径管と連通し前記太径管よりも細く形成された細径管を有し、太径管には、ノズルに装着され又は装着可能な装着用開口部を有し、細径管には、気体の吸引吐出によって液体の流入および流出が可能な口部を有するものである。
前記乱流生成部材は、前記口部側境界の近傍(例えば、境界に接しまたは所定の間隔を空けて、または境界の内側もしくはその外側)に設け、前記口部からの前記液流から乱流を生成して該担体封入部内に導入する。
【0034】
第5の発明は、前記担体封入部の前記装着用開口部側および前記口部側の両境界は、内部に封入された前記担体が液流によって移動可能となる空間を有するように前記チップ状管の前記装着用開口部と前記口部とを結ぶ軸線方向に沿って間隔を空けて設けられ、前記担体封入部の前記装着用開口部側および口部側の境界は、各々メッシュ状薄膜が前記チップ状管を仕切るように設けられた担体封入流管である。
【0035】
ここで、前記メッシュ状薄膜は、担体の粒径よりも小さいポア径または目開きをもち、前記担体封入部は、前記口部側および装着用開口部側の2つのメッシュ状薄膜および前記チップ状管の内壁で囲まれた領域に形成されている。前記口部に近い側の前記メッシュ状薄膜の前記担体封入部の近傍に前記乱流生成部材が、前記チップ状管の内部の前記装着用開口部と前記口部との間を仕切るように設けられた。
【0036】
第6の発明は、前記乱流生成部材は、前記担体封入部の上流側境界の内側に設けられるとともに、板状に形成され、その厚さ方向に沿った1または2以上の貫通孔または貫通溝を有し、前記貫通孔または貫通溝の開口面積が、前記担体封入部への液の導入時に該担体封入部内の前記担体を前記上流側境界から下流側境界にまで移動させることができる流速を生じさせる大きさをもつ拡散可能担体封入流管である。
【0037】
今、前記流管または担体封入部の流れ方向に垂直な断面積を「S
0」、前記乱流生成部材の貫通孔(溝)の開口面積を「S
t」とし、流管を通過する液体の速度を「v
0」とし、前記乱流生成部材中での液体の流速を「v
t」とすると、簡単な近似では、S
0・v
0=S
t・v
tおよびS
0>S
tから、|v
t|>|v
0|ということになり、該乱流生成部材の貫通孔等内に入り込みまたは該乱流生成部材に接近した担体に液流によって大きな運動量、したがって速度を与えて、この担体が下流側境界にまで達する程度の大きさになることが必要である。しかしながら、あまり|v
t|が大きいと、標的と担体との接触時間が短くなって、標的と担体との間で一定の反応時間を必要とする場合に、最適な反応性を得ることができなくなるおそれがあり、乱流生成部材の形状、標的や担体に基づいて最適反応性を得るように決定されることになる。なお、板面には少なくとも2本の線対称軸線を有するのが好ましい(第8の発明)。
【0038】
第7の発明は、前記チップ状管は前記担体封入部が設けられた太管、該太管より細く形成された細管、および太管と細管との移行部からなり、前記装着用開口部は前記太管に形成され、前記口部は細管の先端に形成され、前記メッシュ状薄膜および乱流生成部材を前記移行部に設けられた拡散可能担体封入流管である。
【0039】
なお、前記太管の上側には、さらに前記担体封入部から流入した液体を貯溜可能な貯溜部を設け、前記装着用開口部は前記貯溜部の上側に設けるようにしても良い。これによって、液体を担体収容部よりも上側に液を移動することができるので、前記担体封入部を通過させて、前記細管や担体収容部の容量以上の液を前記担体と接触させることができる。その際、貯溜部としては、前記担体収容部よりも太く形成された最太管を設けるのが好ましい。すると、前記太管と最太管との間の段差や傾斜面、または/および、前記担体収容部を有する太管と細管との間の段差や傾斜面を利用して、前記メッシュ状薄膜や乱流生成部材を係止させて確実に保持することができる。
【0040】
第8の発明は、前記流管の流れ方向に垂直な断面は円形であり、前記乱流生成部材は、前記流管に嵌合可能な円板と、該円板の中心軸線が通り、その径方向に沿って延びる長孔状の開口部をもち該円板の厚さ方向に沿って貫通する中央貫通孔と、該中央貫通孔の両側に径方向に沿って対称に設けられた円形の開口部をもち前記円板の厚さ方向に沿って貫通する2つの周辺貫通孔とを有する拡散可能担体封入流管である。
【0041】
なお、これらの貫通孔は、担体の大きさよりも大きく形成されているので前記担体がこの貫通孔を通過しまたは入ることは可能である。また、板面は2本の線対称軸を有することになり2つの前記径方向は直交する。
【0042】
第9の発明は、前記装着用開口部と前記口部との間で前記チップ状管の内壁面を仕切るように、該内壁面に、内側方向に突出する突出部、口部に向かって先細りの傾斜面または口部に向かって内側方向に突設する段差をチップ状管の軸方向に沿って相互に離間して少なくとも2箇所に設け、これらの突出部、傾斜面または段差の内の少なくとも1を用いて前記乱流生成部材または前記メッシュ状薄膜を前記チップ状管に設けた拡散可能担体封入流管である。
【0043】
第10の発明は、気体の吸引吐出を行う1または複数連のノズルを有するノズルヘッドと、該ノズルを介して気体の吸引吐出を行う吸引吐出機構と、前記ノズルまたはノズルに装着される部材に装着されまたは装着可能な装着用開口部および前記気体の吸引吐出によって液体の流入および流出が可能な口部、該装着用開口部側と口部側とに仕切るよう設けられた担体封入部、液流によって該担体封入部内に懸濁若しくは分散可能に封入され液中の生体物質若しくは生体を吸着し、結合し、捕獲し若しくはそれらと反応することが可能な拡散可能担体、前記担体封入部の口部側境界の近傍に設けられて前記担体を拡散させる乱流を生成する乱流生成部材を有する拡散可能担体封入チップと、種々の液体を収容しまたは収容可能な液収容部群を設けたステージと、前記ノズルヘッドを前記液収容部群に相対的に移動させる移動手段と、前記ノズルの吸引吐出の量、スピード、回数、時間または位置を、前記担体、拡散可能担体封入チップ若しくは乱流生成部材の構造、液体中に存在する生体物質若しくは生体の種類、濃度、液体の量、該液体の収容位置を含む座標位置からなる物質条件、および、処理内容に基づいて制御する制御部とを有する拡散可能担体封入流管処理装置である。
【0044】
ここで、「処理内容」とは、例えば、反応、洗浄、移送、分注、分離、抽出、加熱、冷却、清澄、測定、混合、乖離、溶出、攪拌等、またはこれらの一連の処理を、処理目的に応じて、所定順序または所定時間スケジュールに従って、重複を含みながら組み合わせたものである。「時間」には、吸引吐出の持続時間またはタイミングを含む。持続時間またはタイミングを設定することによって、間欠的、連続的または断続的な吸引吐出の設定を可能にする。
【0045】
「反応」処理の場合には、例えば、前記物質条件に応じて、該当する試薬が収容されている容器位置において、前記条件で定まる前記吸引吐出を所定のスピードで、前記細管の担体封入部の容積の例えば、80パーセントの液量で吸引吐出を繰り返す制御がされる。その吸引吐出の回数についても前記物質条件に応じて定めた制御を行う。「洗浄」処理の場合には、例えば、前記物質条件に応じて、洗浄液が収容されている容器位置において、前記吸引吐出を該処理に応じて定まる所定のスピードで、吸引吐出を所定回数繰り返すという制御がされる。同様にして、前記処理に応じた吸引吐出の制御がなされる。「スピード」としては、例えば、扱う物質がDNAの場合にはそのサイズが、タンパクに比べて小さいので、DNA同士の遭遇性を高めるためには、スピードを上げる必要があるが、反応性(結合性、吸着性等)を高めるためには、反応(結合、吸着)時間の長短に応じて、スピードを下げまたは上げるのが好ましい。また、担体は、チップにより試料液の吸引を行ない乱流を生成して、懸濁または分散させて試料中に含まれる対象物質と効率良く接触させることができる。また、従来のクロマトグラフィーでの分離の場合には、吸着容量、いわゆるダイナミックキャパシティは、流速に反比例し、吸着速度は低下するが、吸引吐出速度を制御することによって、バッチ吸着に近い吸着容量を実現できる。
【0046】
「チップの構造」には、チップの形状を含み、「拡散可能担体封入チップの構造」には、該チップ状管の形状、封入された拡散可能担体の形状、種類、性質、または乱流生成部材の構造も含む。「生体物質若しくは生体の種類」に応じて吸引吐出の動作を定めるとは、例えば、DNA等の遺伝物質のように、タンパクのサイズよりも一般に小さい場合には、扱う液量は小さく、また、スピードは速い方が扱いやすいことになる。これは、サイズが小さければ小さいほど、一般に遭遇性が低くなるからである。
【0047】
第11の発明は、気体の吸引吐出を行う1または複数連のノズルまたは該ノズルに装着された部材に、装着用開口部および気体の吸引吐出によって液体の流出入が可能な口部、該装着用開口部側と口部側とに仕切るよう設けられた担体封入部、液流によって該担体封入部内に懸濁若しくは分散可能に封入され液中の生体物質若しくは生体を吸着し、結合し、捕獲し、若しくはそれらと反応することが可能な拡散可能担体、および前記担体封入部の口部側境界の近傍に仕切るように設けられて前記担体を拡散させる乱流を生成する乱流生成部材を有する拡散可能担体封入チップを前記装着用開口部を介して装着する装着工程と、
該拡散可能担体封入チップについて、前記担体、拡散可能担体封入チップ若しくは乱流生成部材の構造、液体中に存在する生体物質若しくは生体の種類、濃度、液体の量、該液体の収容位置を含む座標位置からなる物質条件、および、処理内容に基づいて、前記ノズルの吸引吐出の量、スピード、回数、時間または位置で、外部に設けた液収容部内に収容されている液体の吸引または吐出を行う吸引吐出工程とを有する拡散可能担体封入流管処理方法である。
【発明の効果】
【0048】
第1の発明、第10の発明または第11の発明によれば、流管内またはチップ状管内の担体封入部に拡散可能担体を封入し、担体封入部への液流の導入の際に、乱流生成部材により液流から乱流を生成することによって、前記拡散可能担体を前記担体封入部内で液中に効率良く懸濁または分散させることで、液体に含有する生体物質や生体からなる標的と前記拡散可能担体との間または試薬や洗浄液との間の遭遇の均等性をより高めて、標的や試薬または洗浄液と該拡散可能担体とに関し反応、結合、吸着や捕獲を効率良く行なって処理を促進させることができる。
【0049】
さらに、流管内またはチップ状管内に封入された拡散可能担体と、吸引した液体中の生体物質や生体からなる標的や試薬若しくは洗浄液との間の反応、結合または吸着に必要な時間に応じた速度をもつような乱流を提供することによって、標的または種々の試薬や洗浄液との間の最適な反応、結合、吸着、捕獲または洗浄を行なうことができる。
【0050】
標識化された標的が保持された担体を測定する際に、効率良くかつ確実に洗浄することで、信頼性の高い測定を行なうことができる。
【0051】
簡単な構造で、乱流を生じさせることで、拡散可能担体を液中に容易に分散または懸濁させることができるので、製造費用を削減することができる。
【0052】
第2の発明または第5の発明によれば、前記拡散可能担体が移動可能となる空間を空けてメッシュ状薄膜で該流管を仕切るように設けている。したがって、担体の通過は阻止するが、液体についてはほぼ無抵抗で通過させることができるので、乱流生成部材以外では、液流のスピードが減速することはないので、乱流生成部材の形状に忠実な乱流を生成することができるので信頼性が高い。
【0053】
第3の発明によれば、段差、傾斜面または突出部によって前記乱流生成部材およびメッシュ状薄膜を液の流れによって脱着することなく確実に前記流管に係止して保持することができるとともに、メッシュ状薄膜を着脱可能に取り付けることができるので、目詰まりや汚染があった場合の交換が容易である。高い信頼性を得ることができる。
【0054】
第4の発明によれば、流管としてチップ状管を用いるとともに、乱流生成部材を前記担体封入部の口部側境界に設けている。したがって、装置全体をコンパクトに形成することができるとともに、前記口部を通して繰り返して液の吸引吐出を行なうことが可能である。したがって、同一の液を繰り返して乱流生成部材を通過させて、より効率的に乱流を前記拡散可能担体に加えることができる。そのため、担体と標的との反応、結合、吸着等の処理、担体と試薬との反応、結合等の処理、洗浄処理を促進することができるとともに、迅速な自動化処理を行なうことができる。
【0055】
第6の発明によれば、前記乱流生成部材として、板状に形成され、前記貫通孔の板面の開口面積が、前記担体封入部への液の導入時に該担体封入部内の担体を上流側境界から下流側境界にまで移動させることができる程度の流速を生じさせる大きさをもつようにしている。したがって、液の流れが該乱流生成部材によって大きく妨げられることなく安定した吸引吐出動作を行なうことができるとともに、拡散可能担体の担体封入部内での拡散に必要な程度の流速が得られて、担体との間の遭遇均等性、担体との反応性、結合性、吸着性に優れ、かつ洗浄に適した乱流を得ることができる。
【0056】
第7の発明によれば、担体封入部が設けられた太管の他に該太管より細く形成した細管を設けることで、細管の先端の口部が外部に設けた多数の少量の液を収容する液収容部に挿入可能とし、細管を移動させることで複数の液収容部との間で液のやり取りを円滑に行なうことができるとともに、前記太管内には、前記担体が液中で十分に拡散することができる容量を与えることができる。また、前記太管と細管との間の移行部の段差や斜面を利用して前記メッシュ状薄膜および前記乱流生成部材を確実に係止保持することができる。
【0057】
なお、前記太管の一部に担体封入部を設け、または、太管と連通する最太管を設けることで、液を担体封入部を通過させるように処理することができるので、吸引した液体と前記担体との接触による反応や結合等をより一層効率良く行なうことができることになる。
【0058】
第8の発明によれば、板面の中心軸を通るように1の貫通孔が形成され、この貫通孔と他の2つの貫通孔の開口部が、板面上で、2本の直交する線対称軸をもつように配置されているので、担体封入部内には、乱流が到達しない領域が生ずるような非対象性に基づく偏りが生じて、担体が非開口部付近に固まったりせずに、担体を満遍なく効率良く拡散させることができる。
【0059】
第9の発明によれば、メッシュ状薄膜および乱流生成部材をチップ状管に設けた突出部、段差または傾斜面を利用して設けるようにしているので、堅固に前記メッシュ状薄膜および乱流生成部材を前記チップ状管に取り付けることができるので、信頼性が高い。