(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
開口枠に開閉移動可能に配設された開閉体の移動経路に、構成要素が進出移動して進出姿勢となることで閉移動する開閉体に当接した場合、該開閉体がそれ以上閉移動することを規制するストッパ装置において、
前記開口枠あるいは該開口枠近傍に配設された本体カバーに、前記開閉体の移動経路に進退移動するよう回動可能に設けられた前記構成要素であるストッパ部材と、
前記ストッパ部材と前記本体カバーとの間に介在し、前記ストッパ部材が前記開閉体の移動経路から退行移動して退行姿勢となることを許容する一方、少なくとも前記ストッパ部材が前記退行姿勢からある程度進出移動する場合には、前記ストッパ部材を進出移動するよう付勢することで該ストッパ部材を前記進出姿勢にさせる付勢手段と、
前記本体カバーに回動可能に配設され、前記ストッパ部材が退行移動して退行姿勢となる場合には、基端部が退行移動する前記ストッパ部材に当接されることで先端部が前記開閉体の移動経路に進出した姿勢となる一方、閉移動する前記開閉体により先端部が当接される場合には、基端部が退行姿勢となる前記ストッパ部材に当接して該ストッパ部材を前記付勢手段により進出移動するよう付勢されるまで押し出す解除部材と
を備えたことを特徴とするストッパ装置。
開口枠及びこの開口枠に対して開閉移動可能に設けられた開閉体とを備えた建具において、請求項1〜4のいずれか1つに記載のストッパ装置を備えたことを特徴とする建具。
前記開口枠は、前記進出姿勢となる前記ストッパ部材と当接可能な個所に配設され、かつ該ストッパ部材が閉移動する開閉体と当接する場合に該ストッパ部材と当接する開口枠側受部材を備えることを特徴とする請求項5に記載の建具。
前記開閉体は、前記進出姿勢となる前記ストッパ部材と当接可能な個所に配設され、かつ閉移動する場合に該ストッパ部材と当接する開閉体側受部材を備えることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の建具。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の開口部に設置される開口枠に対してスライド移動可能に配設された障子(開閉体)を備えた建具として、ストッパ装置を備えたものが知られている。このストッパ装置は、開口枠、あるいは建物の開口部近傍となる開口枠近傍に配設され、ストッパ部材、係止部材及び解除部材を備えて構成されている。
【0003】
ストッパ部材は、障子の開閉移動経路に進退移動するよう開口枠の見込み方向に沿ってスライド移動可能に本体ケースに設けられている。このストッパ部材は、付勢手段であるストッパバネにより常時進出移動するよう付勢されている。係止部材は、本体ケースに設けられており、ストッパ部材がストッパバネの付勢力に抗して手動により退行移動される場合に、該ストッパ部材を上記開閉移動経路から退行した退行姿勢に係止するものである。解除部材は、上記係止部材に接した状態でストッパ部材の先端面より上記開閉移動経路に進退移動可能に配設されており、上記係止部材を付勢する係止バネに付勢されてストッパ部材の先端面から突出している。
【0004】
このようなストッパ装置を備えた建具においては、障子を開移動させた状態でストッパ部材が手動にてストッパバネの付勢力に抗して退行移動して係止部材を介して退行姿勢に係止されるとリセット状態となる。かかるリセット状態においてはストッパ部材の先端面より解除部材が係止バネに付勢されて突出しており、障子の開閉移動経路に進出している。このようなリセット状態において障子を閉移動させると、解除部材が閉移動する障子に当接されることで係止バネの付勢力に抗して開閉移動経路から退行移動し、この解除部材の退行移動に伴って係止部材も変位することでストッパ部材の退行姿勢の係止を解除する。これによりストッパ部材は、ストッパバネに付勢されて開閉移動経路に向けて進出移動することでセット状態となる。このとき、ストッパ部材の先端は閉移動した障子に当接している。そして、障子を再び開移動させることで該障子との当接状態が解除されたストッパ部材は、ストッパバネの付勢力により開閉移動経路に進出する。これにより、障子を再び閉移動させてもストッパ部材が障子と当接することで障子がそれ以上閉移動することを規制することとなり、障子と開口枠との間に隙間を確保して手指等が挟まれることを防止することができる(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した特許文献1に提案されているストッパ装置では、構成するストッパ部材が開口枠の見込み方向に沿ってスライド移動可能に設けられているため、汎用性を確保する観点からストッパ部材が進出移動したときの進出量、すなわち本体ケースからの突出量を十分大きく確保した場合には、該ストッパ部材が退行姿勢となる場合に室内側若しくは室外側への突出量が大きくなり好ましくない。その一方、ストッパ部材が退行姿勢となる場合の室内側若しくは室外側への突出量を小さくすると、ストッパ部材が進出移動したときの進出量が十分に確保されない。そのため閉移動する障子の戸先部分の一部にしか当接できず、障子の閉移動の規制が十分に行えない可能性があるばかりか、障子自体に変形や損傷を与えてしまう虞れがあった。
【0007】
また、上述した特許文献1に提案されているストッパ装置では、ストッパ部材を付勢する付勢手段(ストッパバネ)や解除部材を付勢する付勢手段(係止バネ)のように、少なくとも複数の付勢手段を必要としており、部品点数が過大なものであった。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みて、部品点数を削減させてコストの低減化を図るとともに、汎用性を良好なものとしながら開閉体に損傷等を与えることなく開閉体の閉移動を良好に規制することができるストッパ装置及び建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るストッパ装置は、開口枠に開閉移動可能に配設された開閉体の移動経路に、構成要素が進出移動して進出姿勢となることで閉移動する開閉体に当接した場合、該開閉体がそれ以上閉移動することを規制するストッパ装置において、前記開口枠あるいは該開口枠近傍に配設された本体カバーに、前記開閉体の移動経路に進退移動するよう回動可能に設けられた前記構成要素であるストッパ部材と、前記ストッパ部材と前記本体カバーとの間に介在し、前記ストッパ部材が前記開閉体の移動経路から退行移動して退行姿勢となることを許容する一方、少なくとも前記ストッパ部材が前記退行姿勢からある程度進出移動する場合には、前記ストッパ部材を進出移動するよう付勢することで該ストッパ部材を前記進出姿勢にさせる付勢手段と、前記本体カバーに回動可能に配設され、前記ストッパ部材が退行移動して退行姿勢となる場合には、基端部が退行移動する前記ストッパ部材に当接されることで先端部が前記開閉体の移動経路に進出した姿勢となる一方、閉移動する前記開閉体により先端部が当接される場合には、基端部が退行姿勢となる前記ストッパ部材に当接して該ストッパ部材を前記付勢手段により進出移動するよう付勢されるまで押し出す解除部材とを備えたことを特徴とする。
【0010】
これによれば、ストッパ部材が開閉体の移動経路に進退移動するよう回動するので、ストッパ部材の長さを十分に確保することができ、見込み方向の長さが異なる種々の建具に適用することが可能になるとともに、開閉体の移動経路に対する進出量を十分に確保して閉移動する開閉体の戸先側の所定個所の見込み幅全体に当接することが可能になる。また、解除部材が、ストッパ部材が退行姿勢となる場合には、基端部が退行移動するストッパ部材に当接されることで先端部が開閉体の移動経路に進出した姿勢となる一方、閉移動する開閉体により先端部が当接される場合には、基端部が退行姿勢となるストッパ部材に当接して該ストッパ部材を付勢手段により進出移動するよう付勢されるまで押し出すので、ストッパ部材を付勢する付勢手段のみあれば足り、解除部材を付勢するような部材は不要であり、部品点数を削減させることが可能である。
【0011】
また、本発明の請求項2に係るストッパ装置は、上述した請求項1において、前記付勢手段は、前記ストッパ部材の姿勢に関わらず該ストッパ部材を進出移動するよう常時付勢し、前記ストッパ部材は、前記付勢手段の付勢力に抗して退行移動する場合には、該ストッパ部材に形成された突部が前記本体カバーに設けられた凹部に進入することで該本体カバーに係止して前記退行姿勢となり、前記解除部材は、閉移動する前記開閉体により先端部が当接される場合には、基端部が退行姿勢となる前記ストッパ部材に当接して、前記突部が前記凹部から離脱するまで該ストッパ部材を押し出すことを特徴とする。
【0012】
これによれば、閉移動する開閉体により先端部が当接される場合には、基端部が退行姿勢となるストッパ部材に当接して、突部が凹部から離脱するまで該ストッパ部材を押し出すので、ストッパ部材を付勢する付勢手段のみあれば足り、解除部材を付勢するような部材は不要であり、部品点数を削減させることが可能である。
【0013】
また、本発明の請求項3に係るストッパ装置は、上述した請求項1又は請求項2において、前記ストッパ部材は、前記進出姿勢となることで閉移動する前記開閉体に当接可能な個所に配設された開閉体側当接部と、前記開閉体側当接部に前記開閉体が当接する場合に前記開口枠に当接する開口枠側当接部とを備えたことを特徴とする。
【0014】
これによれば、閉移動する開閉体が開閉体側当接部に衝突して強い衝撃力が加わったとしても、ストッパ部材を通じて開口枠側当接部から衝撃力を開口枠側へと伝えることができるので、ストッパ装置が変形や破壊等により損傷してしまうことを抑制することができ、しかも部品点数を削減することができる。
【0015】
また、本発明の請求項4に係るストッパ装置は、上述した請求項3において、前記ストッパ部材は、前記開閉体側当接部の端面から前記開口枠側当接部の端面に至る見付け方向の寸法が前記本体カバーの見付け方向の寸法以上となるよう形成され、前記本体カバーは、スペーサを介して前記開口枠あるいは該開口枠近傍に配設され、前記スペーサは、見付け方向の寸法が、前記開口枠の見込み面から見付け方向に突出して形成される縦ヒレ部の見付け方向の寸法よりも大きく形成されていることを特徴とする。
【0016】
これによれば、寸法や開口枠の納まりが異なる場合、開口枠の形状や縦ヒレ部の見付け方向の寸法が異なるが、そのような場合においても、縦ヒレ部の見付け方向の寸法よりも大きいスペーサを介して本体カバーを取り付け、かつストッパ部材の開閉体側当接部の端面から開口枠側当接部の端面に至る見付け方向の寸法が本体カバーの見付け方向の寸法以上となるよう形成されていることで、ストッパ部材を縦ヒレ部に干渉させることなく進出移動及び退行移動することができ、これによりストッパ部材及び本体カバーを種々の開口枠において共通の形状とすることが可能である。また、開口枠形状や縦ヒレ部の見付け方向の寸法に応じて適切なスペーサを用いることで、種々の開口枠形状に対応するストッパ装置の提供が可能であり、部品点数を削減することができる。
【0017】
また、本発明の請求項5に係る建具は、開口枠及びこの開口枠に対して開閉移動可能に設けられた開閉体とを備えた建具において、請求項1〜4のいずれか1つに記載のストッパ装置を備えたことを特徴とする。
【0018】
これによれば、上述したストッパ装置を備えているので、ストッパ部材の長さを十分に確保することができ、見込み方向の長さが異なる種々の建具に適用することが可能になるとともに、開閉体の移動経路に対する進出量を十分に確保して閉移動する開閉体の戸先側の所定個所の見込み幅全体に当接することが可能になり、しかもストッパ部材を付勢する付勢手段のみあれば足り、解除部材を付勢するような部材は不要であり、部品点数を削減させることが可能である。
【0019】
また、本発明の請求項6に係る建具は、上述した請求項5において、前記開口枠は、前記進出姿勢となる前記ストッパ部材と当接可能な個所に配設され、かつ該ストッパ部材が閉移動する開閉体と当接する場合に該ストッパ部材と当接する開口枠側受部材を備えることを特徴とする。
【0020】
これによれば、閉移動する開閉体がストッパ装置に衝突することによる衝撃力がストッパ装置を介して与えられたとしても、かかる衝撃力が開口枠側受部材を通じて与えられることになるため、開口枠の変形等をより一層抑制することが可能である。
【0021】
また、本発明の請求項7に係る建具は、上述した請求項5又は請求項6において、前記開閉体は、前記進出姿勢となる前記ストッパ部材と当接可能な個所に配設され、かつ閉移動する場合に該ストッパ部材と当接する開閉体側受部材を備えることを特徴とする。
【0022】
これによれば、開閉体が閉移動してストッパ装置に衝突する場合に、開閉体側受部材を介してストッパ装置のストッパ部材に当接するため、開口枠及び開閉体の変形等をより一層抑制することが可能である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、部品点数を削減させてコストの低減化を図るとともに、汎用性を良好なものとしながら開閉体に損傷等を与えることなく開閉体の閉移動を良好に規制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態であるストッパ装置が適用された建具、すなわち本実施の形態である建具を室内側から見た場合を示す説明図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態であるストッパ装置が適用された建具を室内側から見た場合を示す説明図である。
【
図3】
図3は、
図2に示した建具を上方から見た場合を示す横断面図である。
【
図4】
図4は、
図1〜
図3に示したストッパ装置(外障子用のストッパ装置)を分解して示す説明図である。
【
図5】
図5は、
図1〜
図4に示したストッパ装置の取付状態を室内側から見た場合を示す説明図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態であるストッパ装置の動作を説明するためのもので、(a)は右縦枠側から見た場合を示す説明図であり、(b)は上方から見た場合を示す横断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施の形態であるストッパ装置の動作を説明するためのもので、(a)は右縦枠側から見た場合を示す説明図であり、(b)は上方から見た場合を示す横断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施の形態であるストッパ装置の動作を説明するためのもので、(a)は右縦枠側から見た場合を示す説明図であり、(b)は上方から見た場合を示す横断面図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施の形態であるストッパ装置の動作を説明するためのもので、(a)は右縦枠側から見た場合を示す説明図であり、(b)は上方から見た場合を示す横断面図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施の形態である建具の変形例を上方から見た場合を示す横断面図である。
【
図11】
図11は、
図10に示したストッパ装置の取付状態を室内側から見た場合を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るストッパ装置及び建具の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0026】
図1及び
図2は、それぞれ本発明の実施の形態であるストッパ装置が適用された建具、すなわち本実施の形態である建具を室内側から見た場合を示す説明図であり、
図3は、
図2に示した建具を上方から見た場合を示す横断面図である。
【0027】
ここで例示する建具は、例えばビル等の建物の開口部に設置される開口枠10に対して2枚の障子(開閉体)20がスライド移動可能に配設された、いわゆる引き違い窓と称されるものである。開口枠10は、上枠11、下枠12及び一対の縦枠13,14を四周枠組みすることによって構成した矩形状を成すものである。障子20は、それぞれ上框21、下框22及び一対の縦框23,24を四周框組みし、かつこれら上框21、下框22及び一対の縦框23,24の間にガラス板等のパネル材25が配設されることによって構成されたものである。
【0028】
このような建具においては、開口枠10に対して障子20を施解錠する錠装置の他、ストッパ装置30、枠側受部材(開口枠側受部材)40及び障子側受部材(開閉体側受部材)41が設けられている。ここで錠装置は、従来公知のものであるのでその説明については割愛する。
【0029】
ストッパ装置30は、複数(図示の例では2つ)設けられており、開口枠10を構成する縦枠13,14にそれぞれ配設されている。より詳細には、左縦枠13には外障子用のストッパ装置30が配設されており、右縦枠14には内障子用のストッパ装置30が配設されており、それぞれが室内の床面より上方に例えば150cm以上離れた個所に設置されている。これらストッパ装置30は、同様の構成を有するものであるため、以下においては外障子用のストッパ装置30について説明し、内障子用のストッパ装置30についての説明は割愛する。
【0030】
図4は、
図1〜
図3に示したストッパ装置(外障子用のストッパ装置)を分解して示す説明図であり、
図5は、
図1〜
図4に示したストッパ装置の取付状態を室内側から見た場合を示す説明図である。ここで例示するストッパ装置30は、本体カバー31と、ストッパ(ストッパ部材)32と、トリガー(解除部材)33とを備えて構成されている。
【0031】
本体カバー31は、例えばポリオキシメチレン(POM)等の樹脂材を成形したもので、前面及び下面が開放した略直方状の形態を成している。尚、前面とは、外障子20用のストッパ装置30における本体カバー31では、室外側面を示し、内障子20用のストッパ装置30における本体カバー31では室内側面を示すものとする。
【0032】
この本体カバー31は、例えばポリオキシメチレン(POM)等の樹脂材を成形してなるスペーサSに着脱可能なものであり、かかるスペーサSを介して左縦枠13の室内側に配設される。ここで本体カバー31と装着可能なスペーサSは、種々の種類のものがあり、ストッパ装置30が配設される縦枠13,14の縦ヒレ部131,141の長さに応じて適切なものが選択される。本実施の形態においては、スペーサSは、見付け方向の寸法が、縦ヒレ部131,141の見付け方向の寸法よりも大きく形成されている。つまり、ストッパ装置30は、自身が配設される縦枠13,14の種類に関係なく、共通のものを用いることができる。
【0033】
ストッパ32は、例えばポリオキシメチレン(POM)等の樹脂材から成形したロッド状のもので、基端部321における挿通孔(図示せず)を挿通するピン(軸状部)34を介して本体カバー31に軸支されて、該ピン34の中心軸回りに回動可能に形成されている。このストッパ32は、上方に向けて回動した場合に、先端部322が対象となる障子(外障子)20の開閉移動経路に進出するのに十分な長さを有しており、該開閉移動経路に対して進退移動可能となるものである。ストッパ32の先端部322は、基端部321よりも左右幅が拡大されている。そして、ストッパ32の先端部322における左右の両端面には、例えばエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等から構成される緩衝材35a,35bが接着や圧入等によって配設されている。より詳細には、後述するようにストッパ32が進出姿勢となる場合に閉移動する障子20に当接可能な個所(右側面)には、緩衝材(開閉体側当接部)35aが配設され、同じくストッパ32が進出姿勢となる場合に緩衝材35aに障子20が当接することで開口枠10の左縦枠13に当接する個所(左側面)には、緩衝材(開口枠側当接部)35bが配設されている。尚、本実施の形態においては、緩衝材35a,35bはストッパ32の先端部322の左右両端面に配設されるものであったが、本発明においては、緩衝材は、ストッパ32の先端部322の全体を被覆するようなものであっても構わないし、緩衝材を含む先端部を別部品としてストッパ本体に取り付けることでストッパ部材を形成するようにしても構わない。
【0034】
また、本実施の形態においては、このような緩衝材35a,35bを含めたストッパ32の先端部322の左右幅の寸法、すなわちストッパ32における緩衝材35aの端面から緩衝材35bの端面に至る見付け方向の寸法が、本体カバー31の見付け方向の寸法以上となるように形成されている。
【0035】
このようなストッパ32は、本体カバー31との間にピン34に挿通されて設けられたコイルバネ(付勢手段)36が介在されており、このコイルバネ36によりピン34の中心軸回りに上方に向けて回動するよう、すなわち障子(外障子)20の開閉移動経路に進出移動するよう常時付勢されている。
【0036】
また、ストッパ32の基端部321には、外方に向けて突出する突部321aが形成されているとともに、その内部に中空部321b(
図6等参照)が形成されている。突部321aは、ストッパ32が下方に向けて回動して下限位置に位置する退行姿勢となる場合に、本体カバー31に形成された第1凹部311に進入するもので、これによりストッパ32は、退行姿勢となる場合には、本体カバー31に係止してコイルバネ36の付勢力に抗してかかる姿勢を維持することができる。また、突部321aは、ストッパ32が上方に向けて回動して上限位置に位置する進出姿勢となる場合に、本体カバー31に形成された第2凹部312に進入するものである。中空部321bは、ストッパ32が退行姿勢と進出姿勢との間でピン34の中心軸回りに回動する場合に、突部321aを形成する部位が弾性変形することを許容して本体カバー31の内壁面に突部321aを摺接させるものである。
【0037】
トリガー33は、例えばポリオキシメチレン(POM)等の樹脂材を成形してなる棒状体であり、自身の中央部上面に形成された軸部331が本体カバー31の挿入孔313に挿入されることで、該軸部331の中心軸回りに回動可能に設けられている。
【0038】
このトリガー33は、ストッパ32がピン34の中心軸回りに下方に向けて回動、すなわち開閉移動経路から退行移動して退行姿勢となる場合には、基端部332が退行移動するストッパ32に当接されることで先端部333が開閉移動経路に進出した姿勢となるものである。
【0039】
枠側受部材40は、開口枠10における進出姿勢となるストッパ32と当接可能な個所に配設されて開口枠10を構成しており、
図5に示すように、外障子用のストッパ装置30に対しては左縦枠13に配設されている。尚、内障子用のストッパ装置30に対しては右縦枠14に配設されている(
図3参照)。
【0040】
この枠側受部材40は、左縦枠13の縦ヒレ部131に沿わせて取り付けられる横断面形状がクランク形状を成す金属材から構成したものである。尚、本実施の形態においては、枠側受部材40は、横断面形状がクランク形状を成す金属材から構成されるものであったが、本発明においては、縦枠の縦ヒレ部に沿わせて取り付けられる横断面形状がL字状を成す金属材と、この金属材に接着した横断面形状が矩形状を成すゴム部材とで開口枠側受部材が構成されてもよい。
【0041】
障子側受部材41は、障子20における進出姿勢となるストッパ32と当接可能な個所に配設されて障子20を構成しており、
図3に示すように、戸先框(縦框)23に配設されている。
【0042】
この障子側受部材41は、戸先框23の凹部に嵌合するよう配設された樹脂製のピース部材であり、傾斜面411を有している。傾斜面411は、室内側から室外側に向かって障子20の中心方向に向かって傾斜する部位である。尚、本実施の形態では、傾斜面411は、室内側から室外側に向かって障子20の中心方向に向かって傾斜する部位であるが、本発明においては、傾斜面は、室外側から室内側に向かって障子(開閉体)の中心方向に向かって傾斜する部位であっても構わない。
【0043】
以下においては、上記構成を有するストッパ装置30が閉移動する障子20の閉移動量を規制する場合について説明する。
【0044】
まず
図6の(a)及び(b)に示すように、障子20をある程度の移動量だけ開移動させた後に、ストッパ装置30のストッパ32を手動にてコイルバネ36の付勢力に抗して退行移動させて、ストッパ32の突部321aを本体カバー31の第1凹部311に進入させて該ストッパ32を退行姿勢にさせる。このとき、トリガー33は、基端部332が退行移動するストッパ32に当接されて先端部333が障子20の開閉移動経路に進出した姿勢となる。
【0045】
次に
図7の(a)及び(b)に示すように、障子20を閉移動させることでトリガー33の先端部333が該障子20の戸先框23に当接されると、トリガー33は、軸部331の中心軸回りに回動して基端部332が退行姿勢にあるストッパ32に当接し、ストッパ32の突部321aが第1凹部311から離脱するまで押し出す。このようにして突部321aが第1凹部311から離脱すると、ストッパ32は、コイルバネ36の付勢力が有効に作用してその付勢力により先端部322が障子20の開閉移動経路に進出移動可能な作動状態となる。
【0046】
図8の(a)及び(b)に示すように、閉移動させた障子20の戸先框23が左縦枠13に当接した全閉状態では、コイルバネ36の付勢力により進出移動するストッパ32の先端部322は、該障子20の戸先框23に当接して進出移動が規制された待機状態となる。
【0047】
その後、全閉状態となる障子20を開移動させると、該障子20に進出移動が規制されて待機状態にあったストッパ32は、障子20による規制から解放されてコイルバネ36の付勢力により進出移動して、
図9の(a)に示すように、先端部322が開閉移動経路に進出した進出姿勢となる。このとき、ストッパ32の突部321aは第2凹部312に進入している。
【0048】
そして、障子20を再び閉移動させると、
図9の(b)に示すように、開閉移動経路に進出したストッパ32の先端部322が該障子20の戸先框23に当接して障子20がそれ以上閉移動することを規制することで、ストッパ装置30が閉移動する障子20の閉移動量を規制して、障子20と左縦枠13との間に隙間を確保することができる。
【0049】
以上説明したように本実施の形態であるストッパ装置30においては、ストッパ32が開閉移動経路に進退移動するようピン34の中心軸回りに回動するので、基端部321から先端部322までの長さを十分に確保することができ、見込み方向の長さが異なる種々の建具に適用することが可能になるとともに、開閉移動経路に対する進出量を十分に確保して閉移動する障子20の戸先框23の所定個所の見込み幅全体に当接することが可能になる。また、トリガー33が、ストッパ32が退行姿勢となる場合には、基端部332が退行移動するストッパ32に当接されることで先端部333が開閉移動経路に進出した姿勢となる一方、閉移動する障子20により先端部333が当接される場合には、基端部332が退行姿勢となるストッパ32に当接して突部321aが第1凹部311から離脱するまでストッパ32を押し出すので、ストッパ32を付勢するコイルバネ36のみあれば足り、トリガー33を付勢するような部材は不要であり、部品点数を削減させることが可能である。
【0050】
従って、本実施の形態であるストッパ装置30によれば、部品点数を削減させてコストの低減化を図るとともに、汎用性を良好なものとしながら障子20に損傷等を与えることなく障子20の閉移動を良好に規制することができる。
【0051】
また、上記ストッパ装置30によれば、ストッパ32が退行姿勢となる場合に突部321aが第1凹部311に進入してストッパ32と本体カバー31とを係止するようにしたので、ストッパ32を手動で退行移動させる操作者は、ストッパ32を退行姿勢にさせる際にクリック感が得られ、これによりストッパ32が退行姿勢となったことを操作者に容易に認識させることができる。
【0052】
更に、上記ストッパ装置30によれば、本体カバー31によりストッパ32の基端部321やトリガー33の軸部31等を覆っているため、塵等が進入することを防止できる。
【0053】
また更に、上記ストッパ装置30によれば、次のような作用効果を奏することができる。
【0054】
ストッパ32の先端部322における左右両端面に緩衝材35a,35bが設けてあるので、閉移動する障子20が緩衝材35aに衝突して強い衝撃力が加わったとしても、ストッパ32を通じて35bから衝撃力を開口枠10側へと伝えることができるので、ストッパ装置30が変形や破壊等により損傷してしまうことを抑制することができ、しかも部品点数を削減することができる。
【0055】
本体カバー31は、スペーサSを介して開口枠10に配設され、スペーサSは、見付け方向の寸法が、縦ヒレ部131,141の見付け方向の寸法よりも大きく形成されているので、寸法や開口枠10の納まりが異なる場合、開口枠10の形状や縦ヒレ部131,141の見付け方向の寸法が異なるが、そのような場合においても、縦ヒレ部131,141の見付け方向の寸法よりも大きいスペーサSを介して本体カバー31を取り付け、かつストッパ32は、緩衝材35a,35bを含む先端部322の左右幅寸法が本体カバー31の見付け方向の寸法以上となるよう形成されていることで、ストッパ32を縦ヒレ部131,141に干渉させることなく進出移動及び退行移動することができ、これによりストッパ32及び本体カバー31を種々の開口枠10において共通の形状とすることが可能である。また、開口枠10の形状や縦ヒレ部131,141の見付け方向の寸法に応じて適切なスペーサSを用いることで、種々の開口枠10の形状に対応するストッパ装置30の提供が可能であり、部品点数を削減することができる。
【0056】
枠側受部材40を設けたことにより、閉移動する障子20がストッパ装置30に衝突することによる衝撃力がストッパ装置30を介して与えられたとしても、かかる衝撃力が枠側受部材40を通じて与えられることになるため、開口枠10の変形等をより一層抑制することが可能である。
【0057】
障子側受部材41を設けたことにより、障子20が閉移動してストッパ装置30に衝突する場合に、障子側受部材41を介してストッパ装置30のストッパ32に当接するため、開口枠10及び障子20の変形等をより一層抑制することが可能である。更に、障子側受部材41には傾斜面411が設けてあることにより、障子20を閉移動させて全閉状態にさせる場合に、障子20を開口枠10における適正位置に引き寄せることが可能になる。
【0058】
以上本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0059】
上述した実施の形態では、ストッパ32は、コイルバネ36により先端部322が開閉移動経路に進出移動するよう常時付勢されているものであったが、本発明においては、ストッパ部材が進出移動する場合には、該進出移動の途中で付勢力の作用方向を転換させて該ストッパ部材を進出移動する方向に付勢する一方、ストッパ部材が退行移動する場合には、該退行移動の途中で付勢力の作用方向を転換させて該ストッパ部材を退行移動する方向に付勢するいわゆるオーバーセンタースプリングを付勢手段として用いても良い。
【0060】
上述した実施の形態では、例えばビル等の建物の開口部に適用されるストッパ装置30及び建具について説明したが、本発明においては、
図10及び
図11に示すように、例えば戸建て等の住宅の開口部に適用することも可能であり、かかる場合には、ストッパ装置30は、開口枠10に設けられるだけでなく、開口部近傍、すなわち額縁50等に設けるようにしても構わない。このような戸建て等の住宅の開口部に適用される場合においても、開口枠10における進出姿勢となるストッパ32と当接可能な個所に枠側受部材40′が配設されている。枠側受部材40′は、
図11に示すように、外障子用のストッパ装置30に対しては左縦枠13に配設されて開口枠10を構成している。尚、枠側受部材40′は、内障子用のストッパ装置30に対しては右縦枠14に配設されて開口枠10を構成している(
図10参照)。かかる枠側受部材40′は、横断面形状がクランク形状を成した金属材から構成している。このような枠側受部材40′は、先端側見込み面401が縦枠13,14の縦ヒレ部131,141の端面よりも障子20側に僅かに突出しており、かかる先端側見込み面401によりストッパ32若しくは障子20との接触面積を増大させることができ、これにより開口枠10等の変形をより一層抑制することが可能である。