特許第5732416号(P5732416)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5732416
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】加熱装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/14 20060101AFI20150521BHJP
   H05B 3/00 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
   A47J27/14 H
   H05B3/00 340
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-30252(P2012-30252)
(22)【出願日】2012年2月15日
(65)【公開番号】特開2013-165799(P2013-165799A)
(43)【公開日】2013年8月29日
【審査請求日】2013年9月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000136642
【氏名又は名称】株式会社フロンティアエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100080001
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 大和
(74)【代理人】
【識別番号】100093023
【弁理士】
【氏名又は名称】小塚 善高
(74)【代理人】
【識別番号】100117008
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 章子
(72)【発明者】
【氏名】星野 弘
【審査官】 宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−090629(JP,U)
【文献】 特開2008−043307(JP,A)
【文献】 特開平07−031436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/14
A23L 3/005
H05B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性飲食物を被加熱物としてこれを収容する収納容器の流出口と流入口との間に設けられた循環流路と、
絶縁材料からなり前記循環流路に連通する加熱流路を形成する管状部材、および当該管状部材に対となって設けられる電極対を備えた加熱ユニットと、
前記循環流路を介して収納容器に循環される被加熱物の物性を検出する物性検出センサと、
前記電極対に最大電圧を給電する最大電圧給電タップ、および前記電極対に前記最大電圧よりも低い低電圧を給電するときに前記最大電圧が給電されるときの最大電力に対応する電流を前記電極対に給電する低電圧給電タップを備え、前記電極対に電力を供給する電源ユニットと、
前記電極対とそれぞれの前記タップとを接続する給電ケーブルに設けられ、前記最大電圧給電タップおよび前記低電圧給電タップと前記電極対との間に電力を供給する状態と供給を停止する状態とに切り換えるタップスイッチと、
前記物性検出センサからの信号に基づいて前記タップスイッチを作動して前記電極対に供給される電圧を設定する制御手段とを有し、
前記低電圧を前記電極対に給電するときにおける電力を前記最大電圧を前記電極対に給電するときの電力にまで高め得ることを特徴とする加熱装置。
【請求項2】
請求項1記載の加熱装置において、相互に給電電圧が相違する複数の前記低電圧給電タップを前記電源ユニットに設け、前記最大電力に対応する電流をそれぞれの低電圧給電タップから前記電極対に給電することを特徴とする加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流動性を有する飲食物を被加熱物としてこれを連続的に搬送しながら通電加熱する加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ジュースやスープなどのように粘性の低い飲食物、並びに蜂蜜、ジャムおよび味噌などのように粘性の高いペースト状の食品のように流動性を有する飲食物を被加熱物としてこれを連続的に搬送しながら加熱するために、被加熱物自体に通電してジュール熱により被加熱物を加熱するようにしたジュール加熱装置が開発されている。
【0003】
被加熱物を連続的に流しながら通電加熱するジュール加熱装置は、被加熱物を連続的に案内する管状部材からなる複数の加熱ユニットを有し、それぞれの加熱ユニットの中に被加熱物を流しながら加熱ユニットに対となって設けられた電極から被加熱物に電流を流すようにしている。
【0004】
このような加熱装置としては、飲食物を収容するホッパつまり収納容器に循環流路を接続し、循環路に設けられた加熱ユニットにより飲食物を収納容器を介して複数回循環させて通電加熱するようにした加熱装置が特許文献1に記載されている。この加熱装置は薬草や茶葉を抽出するために用いられているが、このような循環式の加熱装置としては、薬草等の抽出のみならず、流動性を有する飲食物を循環して加熱する場合に用いられている。
【0005】
加熱ユニットの形態としては、特許文献1に記載されるように、複数のリング状の電極とそれぞれの電極の間に配置される絶縁性の複数の筒体とを有するタイプと、絶縁性材料からなる管状部材の両端部に相互に対向させて一対の円板状の電極を配置するようにしたタイプと、絶縁性材料からなる断面四角形の管状部材を有し、管状部材の内面に相互に対向させて一対の板状の電極を配置するようにしたタイプ等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−223531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
循環式の加熱装置においては、収納容器内の飲食物が所望の加熱温度に高まるまで、繰り返して循環流路内を循環させることになり、収納容器内の飲食物が所望の温度まで加熱されたら、収納容器内の飲食物を加熱装置の外部に排出するようにしている。循環式の加熱装置は、1台または直列に接続された複数台の加熱ユニットを有し、加熱ユニットに対となって設けられた電極間に同一の電圧を供給するようにしている。
【0008】
同種の飲食物であってもその温度によって導電率が変化する。通常は温度が高まると導電率が高く、つまり電気抵抗が小さくなるので、電極間に一定の電圧を供給すると、温度の上昇とともに電流値が増大することになる。
【0009】
飲食物の温度によって導電率が相違するので、循環加熱される飲食物のうち最も導電率が低いつまり電気抵抗が最も大きい飲食物の常温での導電率を基準として、電極に供給される最大電圧を設定するようにしている。このため、温度の上昇に伴って導電率が高くなって電気抵抗が小さくなると、加熱ユニットにおける電極間に供給する電圧が低下してしまうことになる。なぜならば、加熱ユニットに対し電力を供給するための電源ユニットからの出力電流は、最大電流値が一定値を超えない値に制限制御されているので、電気抵抗が小さい飲食物に対しては、最大電流値を超えないように電圧を低下する制御をしているからである。例えば、最大50kWの出力能力を有し、最大出力電流が100Aに設定された電源ユニットを用いて加熱ユニットに電力を供給する場合には、最大電圧が500Vであるが、温度上昇に伴って導電率が高く電気抵抗が小さくなると、飲食物によっては400Vまたはそれよりも低い電圧でも通電電流が100Aを超えることがある。その場合には最大出力電流値が100Aを超えないように、自動的に印加電圧が低下するように制御されることになる。
【0010】
このように、飲食物の温度上昇によって電圧が低下すると、加熱ユニットをその最大能力を下げた状態で使用することになる。例えば、飲食物の温度上昇によっては、50kWの電源であっても印加電圧が400Vに低下されると、最大40kWの電力が加熱ユニットに供給され、印加電圧が100Vに低下されると、10kWの電力が加熱ユニットに供給されることになる。したがって、加熱能率を低下させて加熱装置を作動させることになり、加熱装置の作動効率が低下することになる。
【0011】
一方、1台の循環式の加熱装置を用いて複数種類の飲食物を通電加熱することが行われており、飲食物はその種類によって導電率つまり電気抵抗が相違することから、最も導電率が低いつまり電気抵抗が最も大きい飲食物を所望の温度に加熱することができるように最大電圧を設定するようにしている。このため、導電率が高く電気抵抗が小さい飲食物を通電加熱する場合には、加熱ユニットにおける電極間に供給する電圧が上述した場合と同様に低下することになり、加熱装置の作動効率が低下することになる。
【0012】
本発明の目的は、循環式の加熱装置により被加熱物を効率的に加熱し得るようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の加熱装置は、流動性飲食物を被加熱物としてこれを収容する収納容器の流出口と流入口との間に設けられた循環流路と、絶縁材料からなり前記循環流路に連通する加熱流路を形成する管状部材、および当該管状部材に対となって設けられる電極対を備えた加熱ユニットと、前記循環流路を介して収納容器に循環される被加熱物の物性を検出する物性検出センサと、前記電極対に最大電圧を給電する最大電圧給電タップ、および前記電極対に前記最大電圧よりも低い低電圧を給電するときに前記最大電圧が給電されるときの最大電力に対応する電流を前記電極対に給電する低電圧給電タップを備え、前記電極対に電力を供給する電源ユニットと、前記電極対とそれぞれの前記タップとを接続する給電ケーブルに設けられ、前記最大電圧給電タップおよび前記低電圧給電タップと前記電極対との間に電力を供給する状態と供給を停止する状態とに切り換えるタップスイッチと、前記物性検出センサからの信号に基づいて前記タップスイッチを作動して前記電極対に供給される電圧を設定する制御手段とを有し、前記低電圧を前記電極対に給電するときにおける電力を前記最大電圧を前記電極対に給電するときの電力にまで高め得ることを特徴とする。本発明の加熱装置は、相互に給電電圧が相違する複数の前記低電圧給電タップを前記電源ユニットに設け、前記最大電力に対応する電流をそれぞれの低電圧給電タップから前記電極対に給電することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、被加熱物の導電率が温度上昇に伴って高くなると、導電率に応じて電圧が低下されるとともに電流が最大電圧時よりも高められるので、電源ユニットの持つ最大出力電力を被加熱物に供給することができる。これにより、循環式の加熱装置により被加熱物を循環移動させながら加熱温度を高めるようにした加熱装置における被加熱物の加熱を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】循環式の加熱装置を示す概略図である。
図2】(A)は図1に示された加熱ユニットの拡大縦断面図であり、(B)は(A)における2B−2B線断面図である。
図3】加熱装置の制御回路を示すブロック図である。
図4】(A)は変形例の加熱ユニットの縦断面図であり、(B)は(A)における4B−4B線断面図である。
図5】さらに他の変形例である加熱ユニットの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1に示されるように、加熱装置10は被加熱物である流動性を有する飲食物Wが投入されるホッパつまり収納容器11を有している。薬草を液体に抽出するために加熱装置10が使用されるときには、液体と薬草が被加熱物Wとして収納容器11内に投入され、イチゴジャム等の飲食物を循環して加熱する場合には予め流動状態に調合された被加熱物Wが収納容器11内に投入される。
【0017】
収納容器11の下端部に設けられた流出口11aと、上端部に設けられた流入口11bとの間には、循環流路を形成する循環配管12がループ状に接続されている。循環配管12の上流側部12aと下流側部12bとの間には、加熱ユニット13が設けられている。循環配管12の上流側部12aにはポンプ14が設けられており、収納容器11内の被加熱物Wはポンプ14により加熱ユニット13に供給される。
【0018】
循環配管12の上流側部12aのうち流出口11aとポンプ14との間には、三方弁15が設けられている。この三方弁15は収納容器11内の被加熱物Wを加熱ユニット13に案内する状態と、回収容器16に案内する状態とに切り換えられ、所定の加熱温度まで加熱されていない被加熱物Wは加熱ユニット13に送られ、所定の加熱温度まで加熱された被加熱物Wは回収容器16に供給される。
【0019】
循環配管12の上流側部12aには、加熱ユニット13に供給される被加熱物の導電率を検出するための導電率センサ17と、上流側部12a内を流れる被加熱物の流量を検出するための流量センサ18とが設けられ、下流側部12bには加熱ユニット13から流出した被加熱物の温度を検出するための温度センサ19が設けられている。
【0020】
収納容器11の蓋部材11cには撹拌部材20が設けられており、この撹拌部材20を回転駆動するために蓋部材11cには電動モータ20aが取り付けられている。撹拌部材20により収納容器11内の被加熱物Wが撹拌されて被加熱物Wは全体的に均一な温度になる。収納容器11内の被加熱物Wを保温するために、収納容器11の外側は断熱材11dにより覆われている。収納容器11としては、蓋部材11cに撹拌部材20が設けられたタイプの収納容器11のみならず、撹拌機構を有するニーダーを収納容器としても良い。
【0021】
図2図1に示された加熱ユニット13の拡大断面図である。この加熱ユニット13は被加熱物Wを案内する流路21が形成された横断面円形の加熱パイプつまり管状部材22を有している。管状部材22は複数のリング状の電極23a,23bとこれらの間に配置される複数の円筒体24とにより形成されている。流路21の流れ方向に隣り合って配置される電極23aと電極23bは対となって電極対を構成しており、複数の電極23a,23bと複数の円筒体24とにより形成される管状部材22は複数の電極対を備えている。それぞれの電極23a,23bはチタンや白金などの導体により形成され、それぞれの円筒体24は樹脂等の絶縁性材料により形成されている。図2に示される加熱ユニット13は6つの電極23a,23bを有しているが、加熱ユニット13に設けられる電極の数は図示される6つに限定されることはなく、任意の数とすることができる。
【0022】
管状部材22の流入側には入口側のジョイント25が設けられ、流出側には出口側のジョイント26が設けられており、ジョイント25には循環配管12の上流側部12aが接続され、ジョイント26には下流側部12bが接続される。図1に示される加熱装置10は1台の加熱ユニット13を有しているが、複数台の加熱ユニット13を直列に接続した加熱装置10の形態とすることも可能である。
【0023】
図1に示されるように、加熱ユニット13における電極対に電力を供給するために、加熱装置10は電源ユニット27を有している。この電源ユニット27は、低電位側の給電タップ28と、それぞれ高電位側となった4つの給電タップ29a〜29dとを有している。給電タップ29aは給電タップ28に対して500Vの電位差を有し、給電タップ29bは400Vの電位差を有し、給電タップ29cは300Vの電位差を有し、給電タップ29dは100Vの電位差を有している。給電タップ29aは電極対に最大電圧である500Vの電圧を給電する最大電圧給電タップとなっており、他の3つの給電タップ29b〜29dは、それぞれ最大電圧よりも低い低電圧を電極対に給電する低電圧給電タップとなっている。
【0024】
加熱ユニット13における電極23aは共通の給電ケーブル31aにより相互に接続され、この給電ケーブル31aは給電タップ28に接続されている。加熱ユニット13における電極23bは共通の給電ケーブル31bにより相互に接続されており、この給電ケーブル31bはそれぞれ給電タップ29a〜29dに接続された4本の分岐された給電ケーブル32a〜32dに接続されている。
【0025】
それぞれの給電ケーブル32a〜32dには、加熱ユニット13の電極対に電力を供給する状態と供給を停止する状態とに切り換えるために、タップスイッチ35a〜35dが設けられている。これにより、1つのタップスイッチをオン操作し、他のタップスイッチをオフ操作することによって、加熱ユニット13における電極対に対して電源ユニット27から供給される電圧を変化させることができる。
【0026】
最大電圧を出力する給電タップ29aよりもそれぞれ低い電圧を出力する他の給電タップ29b〜29dから電極対に供給される電流値は、給電タップ29aからの最大電圧が給電されるときにおける電力に対応する値に設定されている。例えば、電源ユニット27の最大出力電力が50kWであるとすると、最大電圧である500Vを出力する給電タップ29aからは100Aの最大電流が電極対に給電される。一方、400Vの電圧を出力する給電タップ29bを流れる最大電流値は125Aに設定され、300Vの電圧を出力する給電タップ29cを流れる最大電流値は166Aに設定され、100Vの電圧を出力する給電タップ29dを流れる最大電流値は500Aに設定される。
【0027】
このように、最大電圧の給電タップ29aよりもそれぞれ低い電圧の3つの給電タップ29b〜29dから電力が供給されるときには、電源ユニット27の最大電力となる電流が電極対に給電されるので、電源ユニット27の有する給電能力を最大能力の状態として使用することができる。
【0028】
したがって、例えば、被加熱物の温度上昇によって導電率が低下したときには、電極対に対する印加電圧を400Vに低下させて125Aの電流を流すと、最大電力である50kWの電力を電極対に給電することができ、給電能力を最大能力の状態として電源ユニット27を使用することができる。同様に、導電率がさらに低下し、電極対に対する印加電圧を300V、200Vおよび100Vに低下させても、常に最大電力である50kWの電力を電極対に給電することができる。これにより、収納容器11と循環配管12を循環させる被加熱物の循環時間を大幅に低下させることができる。
【0029】
図1に示される電源ユニット27は、最大電圧である500Vを出力する給電タップ29aと、これよりも低い低電圧を出力するとともに相互に電圧が相違した3つの低電圧給電タップ29a〜29dを有しており、電極対に対して4種類の電圧を印加させることができるが、低電圧給電タップを1つのみとした形態においては、それぞれの電極対に対して2種類の電圧を印加させることになる。電極対に対する給電電圧は任意の複数種類に設定することができる。
【0030】
図3は循環配管12内を流れる被加熱物の導電率に応じてそれぞれのタップスイッチ35a〜35dを開閉作動させるための制御回路を示すブロック図である。
【0031】
図1に示された導電率センサ17と流量センサ18と温度センサ19からは制御手段としてのコントローラ40に検出信号が送られる。コントローラ40からはそれぞれのタップスイッチ35a〜35dをオンオフ作動させる駆動信号が送られる。導電率センサ17は循環配管12内を流れる被加熱物の導電率を検出し、流量センサ18は被加熱物の流量ないし流速を検出する。被加熱物の電流値は導電率つまり電気抵抗によって相違するので、電気抵抗に応じた電流値を検出することよっても電流値に対応した導電率を検出することができる。
【0032】
コントローラ40はそれぞれのセンサからの検出信号に基づいてタップスイッチ35a〜35dに対する駆動信号を演算するマイクロプロセッサと、制御プログラム、演算式およびマップデータ等が格納されるROMと、一時的にデータを格納するRAM等を有している。
【0033】
コントローラ40には操作盤41が接続されており、この操作盤41に設けられたキー操作によって、加熱装置10によって加熱処理される被加熱物の種類に応じた最終加熱温度等が入力される。また、操作盤41のキー操作によって、被加熱物の種類に応じた導電率ないし電気抵抗の値、および被加熱物の温度に応じた導電率ないし電気抵抗の値がコントローラ40に入力される。
【0034】
温度センサ19からの検出信号に基づいて被加熱物の温度が設定温度にまで到達したことが検出されたときには、オン状態となっているタップスイッチがオフ状態に切り換えられ、加熱ユニット13に対する電力供給が停止される。
【0035】
図4は加熱ユニット13の変形例を示す。この加熱ユニットは横断面が図4(B)に示されるように、四角形の絶縁性材料からなる管状部材22を有しており、内部は被加熱物が搬送される流路21となっている。管状部材22の内面には相互に対向して板状の電極23a,23bが配置されており、両方の電極23a,23bは電極対を構成している。
【0036】
図5は加熱ユニットのさらに他の変形例を示す。この加熱ユニットは絶縁性材料からなる横断面が円形の管状部材22を有し、両端部は閉塞されている。管状部材22の両端部には相互に対向して板状の電極23a,23bが配置されており、管状部材22の一端部には流入口46が設けられ、他端部には流出口47が設けられている。なお、管状部材22の横断面形状が図4に示されるように四角形となった管状部材としても良い。
【0037】
このように、加熱ユニット13の構造としては、リング状の電極を設けた形態、流路21の搬送方向に沿って板状の電極を設けた形態、および管状部材の両端に電極を設けた形態等がある。さらに、1つの加熱ユニットに配置される電極対の数も一対の形態と複数の形態とがある。
【0038】
従来のように、例えば、50kWの最大出力電力を有する電源ユニット27から最大電圧である500Vを電極対に給電するようにすると、最大電流値が100Aに制限されるようになっているので、循環配管12内を流れる被加熱物の温度が上昇して導電率が高くなり、電気抵抗が低下すると、最大電流値である100Aを超えないように電圧が低下することになり、電源ユニット27が具備する最大電力を使用することができなくなる。
【0039】
これに対して、上述のように、相互に出力電圧が相違する複数の給電タップを電源ユニット27に設け、それぞれの電圧に応じて最大出力電力となる電流を各給電タップから出力させるようにしたので、被加熱物の温度に応じて最大電力を被加熱物に供給することができる。これにより、電源ユニット27を常に最大出力電力の状態で使用することができ、被加熱物を所定の加熱温度に加熱するまでの加熱時間を短縮することができる。
【0040】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。電源ユニット27の最大出力電力としては、50kWに限られず、任意の出力電力とすることができ、最大電圧についても500Vに限られず任意の電圧とすることができる。
【符号の説明】
【0041】
10 加熱装置
11 収納容器
11a 流出口
11b 流入口
12 循環配管
13 加熱ユニット
14 ポンプ
15 三方弁
16 回収容器
17 導電率センサ
18 流量センサ
19 温度センサ
21 流路
22 管状部材
23a 電極
23b 電極
27 電源ユニット
28 給電タップ
29a〜29d 給電タップ
31a,31b 給電ケーブル
35a〜35d タップスイッチ
図1
図2
図3
図4
図5