特許第5732427号(P5732427)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立アプライアンス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5732427-加熱調理器 図000002
  • 特許5732427-加熱調理器 図000003
  • 特許5732427-加熱調理器 図000004
  • 特許5732427-加熱調理器 図000005
  • 特許5732427-加熱調理器 図000006
  • 特許5732427-加熱調理器 図000007
  • 特許5732427-加熱調理器 図000008
  • 特許5732427-加熱調理器 図000009
  • 特許5732427-加熱調理器 図000010
  • 特許5732427-加熱調理器 図000011
  • 特許5732427-加熱調理器 図000012
  • 特許5732427-加熱調理器 図000013
  • 特許5732427-加熱調理器 図000014
  • 特許5732427-加熱調理器 図000015
  • 特許5732427-加熱調理器 図000016
  • 特許5732427-加熱調理器 図000017
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5732427
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 7/02 20060101AFI20150521BHJP
   F24C 15/16 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
   F24C7/02 551T
   F24C7/02 561F
   F24C7/02 531B
   F24C15/16 B
【請求項の数】1
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2012-93473(P2012-93473)
(22)【出願日】2012年4月17日
(65)【公開番号】特開2013-221688(P2013-221688A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2014年6月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立アプライアンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(74)【代理人】
【識別番号】100091720
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 重美
(72)【発明者】
【氏名】平岩 成一
(72)【発明者】
【氏名】逸見 泰章
(72)【発明者】
【氏名】北嶋 正
(72)【発明者】
【氏名】伴 秀樹
【審査官】 大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−241986(JP,A)
【文献】 特開2010−078244(JP,A)
【文献】 特開2004−141603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 7/02
F24C 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の壁に棚を有した加熱室と、該加熱室で加熱する被調理物を載置するテーブルプレートと、該加熱室の下に配置して前記テーブルプレートを載置して重量を検出する重量検出手段と、前記加熱室の上面から前記被調理物を加熱するグリル加熱手段と、前記加熱室の下面より該加熱室にマイクロ波を供給するレンジ加熱手段と、前記被調理物を載置して前記マイクロ波を吸収して発熱する高周波発熱体を裏面に有し、前記加熱室に入れたときに前記壁との間に前記マイクロ波を通過させる隙間を有した受け皿とを備え、
該受け皿には、前記テーブルプレートに載置するための脚部と、前記棚に載せるために回動自在に左右端面から張り出す張り出し部とを設けたことを特徴とする加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を焼き料理する加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、加熱調理器は、電子レンジ調理を行うレンジ加熱手段、オーブン調理を行うオーブン加熱手段、グリル調理を行うグリル加熱手段、スチーム調理を行うスチーム加熱手段の4種類の調理方法を単独もしくは組み合わせて行うことにより多様な調理を行うことができるものが知られている。
【0003】
また、マイクロ波の吸収によって発熱する発熱体を密着させた受け皿に食品を載せて、マイクロ波によって受け皿の表面を高温にして受け皿に接触している食品の面に焼き色を付けるものも知られている。
【0004】
加熱調理器においては豊富なオート調理が組み込まれ、特にグリル加熱手段を用いるオート調理が充実していて、焼き物調理をする機会が増えている。そこで、焼き物調理を効率的に行い、手間を掛けないで調理時間を短縮し、更においしく調理ができる加熱調理器が好まれている。
【0005】
特許文献1には、加熱室の下面にマイクロ波の供給部を備え、裏面に高周波の吸収によって発熱する発熱体と外周縁部に高さを調節するための金属脚部と該金属脚部を回動可能に固定し低位置接地部を設けた支持具部とを設けた調理皿を備え、加熱室と調理皿との間には、調理皿より下方より供給されたマイクロ波を調理皿の上方へ供給できる隙間を設けている加熱調理器が記載されている。
【0006】
特許文献2には、高周波の吸収によって発熱する発熱体を裏面に貼り付けた加熱皿を加熱室の皿掛部で支持する加熱調理器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−228029号公報(図11図12
【特許文献2】特開2012−42146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
加熱調理器においては、特許文献1の加熱調理器で、調理皿を使用して上ヒータの火力を更に強くするために、調理皿に備えている金属脚部の高さを高くすると、金属脚部を内側に閉じた場合、左右の金属脚部が中央で交差接触し、マイクロ波を使用して調理皿を加熱する調理の時、金属脚部の交差接触した個所でスパークが発生する可能性が考えられる。
【0009】
また、前述した特許文献1記載の調理皿を特許文献2に示す皿掛部に載置する場合、調理皿の外周縁部に備えた、金属脚部や低位置接地部を設けた支持具部が邪魔になり皿掛部に調理皿を載置できない課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、請求項1では、左右の壁に棚を有した加熱室と、該加熱室で加熱する被調理物を載置するテーブルプレートと、該加熱室の下に配置して前記テーブルプレートを載置して重量を検出する重量検出手段と、前記加熱室の上面から前記被調理物を加熱するグリル加熱手段と、前記加熱室の下面より該加熱室にマイクロ波を供給するレンジ加熱手段と、前記被調理物を載置して前記マイクロ波を吸収して発熱する高周波発熱体を裏面に有し、前記加熱室に入れたときに前記壁との間に前記マイクロ波を通過させる隙間を有した受け皿とを備え、該受け皿には、前記テーブルプレートに載置するための脚部と、前記棚に載せるために回動自在に左右端面から張り出す張り出し部とを設けたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、発熱体を備え加熱室の最上段の棚に載せる受け皿と、発熱体を備え加熱室の最上段の棚に載せる高さより低い高さに配置して重量を計る受け皿と、両方の受け皿の機能を備えるので、調理により受け皿を使い分ける手間を省き、加熱室内で受け皿が複数の高さに対応できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施例の加熱調理器の本体を前方側から見た斜視図である。
図2図1のA−A断面図である。
図3】同加熱調理器の本体から外枠を取り外した状態を前方側から見た斜視図である。
図4】同加熱調理器の本体から外枠を取り外した状態で後方側から見た斜視図である。
図5】同加熱調理器の受け皿の張り出し部を開いた表面斜視図である。
図6】同加熱調理器の受け皿の張り出し部を閉じた底面図である。
図7】同加熱調理器の受け皿の張り出し部を閉じた表面斜視図である。
図8図5のB−B断面図である。(a)張り出し部を開いた状態(b)張り出し部を閉じた状態
図9】同加熱調理器の受け皿の金属脚部を立てた表面斜視図である。
図10】同加熱調理器のドアを開いた状態で受け皿を棚に載せた斜視図である。
図11】同加熱調理器のドアを開いた状態で受け皿を棚に載せた正面図である。
図12】同加熱調理器のドアを開いた状態で受け皿の張り出し部を閉じ、金属脚部を立てた正面図である。
図13】同加熱調理器の制御手段を表わしたブロック図である。
図14】同加熱調理器のお好み焼きの焼き物を調理するときの制御方法を表した説明図である。
図15】同加熱調理器のお好み焼きの焼き物を調理するときの受け皿の被調理物の加熱状態を表した説明図である。(a)グリル工程(b)レンジ工程
図16】同加熱調理器の受け皿の張り出し部を閉じ、金属脚部を内側に畳んで、脚部で立てた正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本実施例の具体的内容について上記した図1から図16の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図1から図4において、加熱調理器の本体1は、加熱室28の中に加熱する被調理物130を入れ、マイクロ波やヒータ、水蒸気の熱を使用して被調理物130を加熱調理する。
【0015】
ドア2は、加熱室28の内部に被調理物130を出し入れするために開閉するもので、ドア2を閉めることで加熱室28を密閉状態にし、被調理物130を加熱する時に使用するマイクロ波の漏洩を防止し、熱を封じ込め、効率良く加熱することを可能とする。
【0016】
取っ手9は、ドア2に取り付けられ、ドア2の開閉を容易にするもので、手で握りやすい形状になっている。
【0017】
ガラス窓3は、調理中の食品の状態が確認できるようにドア2に取り付けられ、ヒータ等の発熱による高温に耐えるガラスを使用している。
【0018】
入力手段71は、ドア2の前面下側の操作パネル4に設けられ、マイクロ波で被調理物130を加熱するレンジ加熱手段77(図13)、加熱室28の加熱室上面28eに設けたヒータで被調理物130を加熱するグリル加熱手段12、水蒸気により被調理物130を加熱する水蒸気発生手段43、加熱室奥壁面28bの上方と下方に設けた熱風ヒータ14a、14bなどによる熱風ユニット11の熱風で加熱室28を加熱するオーブン加熱手段などの加熱手段を選択し、加熱する時間等の調理条件や自動メニューを入力するための操作部6と、操作部6から入力された内容や調理の進行状態を表示する表示部5とで構成される。
【0019】
水タンク42は、水蒸気を作るのに必要な水を溜めておく容器であり、本体1の前面下側に設けられ、本体1の前面から着脱可能な構造とすることで給水および排水が容易にできるようになっている。
【0020】
外枠7は、加熱調理器の本体1の上面と左右側面を覆うキャビネットである。
【0021】
後板10は、前記したキャビネットの後面を形成するものであり、上部に外部排気ダクト18が取り付けられ、前記外部排気ダクト18の取り付けられる内側に、被調理物130から排出した蒸気や本体1の内部の部品を冷却した後の冷却風(廃熱)39を排出する排気孔36が設けられている。
【0022】
また、外部排気ダクト18は、排気孔36を通過した冷却風39を本体1の外に排出するもので、排気は外部排気ダクト18の外部排気口8から排出し、排気の排出方向は本体1の上部方向で且つ前面側に排気する。排気の排出方向を上部方向で且つ前面側に向けることで、背面を壁面に寄せた時でも排気によって壁面を汚すことがないようにしている。
【0023】
機械室20は、加熱室底面28aと本体1の底板21との間の空間部に設けられ、底板21上には食品を加熱するためのマグネトロン33、マグネトロン33に接続された導波管47、制御基板23、その他、後述する各種部品、これらの各種部品を冷却する冷却手段50(図13)等が取り付けられている。
【0024】
加熱室28の加熱室左側面28cと加熱室右側面には棚上段27a、棚中段27b、棚下段27cからなる棚27を設け、調理によって使用する各種の加熱皿を載せる。棚27は調理に適した位置とするため、棚上段27aが最も加熱室上面28eに近接する位置となる。
【0025】
加熱室底面28aは、略中央部が凹状に窪んでおり、その中に回転アンテナ26が設置され、マグネトロン33より放射されるマイクロ波は、導波管47、回転アンテナ駆動手段46の出力軸46aが貫通する結合穴47aを通して回転アンテナ26の下面に流入し、回転アンテナ26で拡散されて加熱室28内に放射される。回転アンテナ26は、回転アンテナ駆動手段46の出力軸46aに連結されている。
【0026】
冷却手段50は、底板21に取り付けられた冷却モータにファンが連結されたファン装置15で、この冷却手段50によって送風される冷却風39は、機械室20内の自己発熱するマグネトロン33やインバータ基板22、重量検出手段25等を冷却し、加熱室28の外側と外枠7の間および熱風ケース11aと後板10の間を流れ、外枠7と後板10を冷却しながら排気孔36を通り、外部排気ダクト18の外部排気口8より排出される。
【0027】
加熱室28の後部には熱風ユニット11が取り付けられ、熱風ユニット11は加熱室奥壁面28bの後部側に熱風ケース11aを設け、加熱室奥壁面28bと熱風ケース11aとの間に熱風ファン32とその外周側に位置するように熱風ヒータ14a、および14bを設け、熱風ケース11aの後側に熱風モータ13を取り付け、そのモータ軸を熱風ケース11aに設けた穴を通して熱風ファン32と連結している。
【0028】
そして、熱風ユニット11は加熱室奥壁面28bに設けた空気の通り道となる熱風吸気孔31と熱風吹出し孔30を通して連結し、熱風ケース11a内の熱風ファン32を熱風モータ13により回転することで、加熱室28と熱風ユニット11との空気を循環し、熱風ヒータ14a、および14bで循環する空気を加熱する。
【0029】
また、熱風ユニット11の代わりに、加熱室28の上面と下面にヒータを設けて加熱室28を加熱しても良い。
【0030】
加熱室上面28eの外側には、ヒータよりなるグリル加熱手段12が取り付けられている。グリル加熱手段12は、マイカ板にヒータ線を巻き付けて平面状に形成し、加熱室上面28eの外側に押し付けて固定し、加熱室上面28eを加熱して加熱室28内の被調理物130を輻射熱によって焼くものである。
【0031】
また、加熱室底面28aには、複数個の重量検出手段25、例えば前側左右に右側重量センサ25a、左側重量センサ25b、後側中央に奥側重量センサ25cが設けられ、その上にテーブルプレート24が載置されている。
【0032】
テーブルプレート24は、食品を載置するためのもので、ヒータ加熱とマイクロ波加熱の両方に使用できるように耐熱性を有し、かつ、マイクロ波の透過性が良く、衛生面でも問題がない磁器等の材料で成形されている。
【0033】
加熱室28の後部上方には、加熱室28内の温度を検出する温度検出手段a85が設けられている。温度検出手段a85は、グリル加熱手段12及び熱風ユニット11の熱風吹出し孔30から加熱室28内に吹出される熱風の影響を直接受けない位置に設けられている。
【0034】
スチームユニット43a(図13)は水蒸気発生手段43とポンプ手段87により成る。
【0035】
水蒸気発生手段43は、加熱室左側面28cの外側面に取り付けられ、水蒸気を噴出するスチーム噴出口44は加熱室28内に臨ませている。
【0036】
また、水蒸気発生手段43は、アルミの鋳造で作られ、鋳造時にボイラー加熱手段89(図13)であるシーズヒータを一体となるように埋め込んでいる。そのヒータの消費電力は600W前後と大きく、水蒸気発生手段43は短時間で水を沸騰できる温度に加熱することができる。
【0037】
水蒸気発生手段43への水の供給は、ポンプ手段87を駆動することによって水タンク42からパイプ45を通してポンプ手段87へ供給され、パイプ40と通って水蒸気発生手段43に供給され、水蒸気発生手段43で加熱されて沸騰し、水蒸気となってスチーム噴出口44から加熱室28へ噴出する。
【0038】
温度検出手段b88は、水蒸気発生手段43の温度を検出するもので、その検出結果を後述する制御手段151(図13)に伝え、ボイラー加熱手段89やポンプ手段87を制御する。
【0039】
ポンプ手段87は、水タンク42の水を水蒸気発生手段43まで汲み上げるもので、ポンプとポンプを駆動するモータで構成される。水蒸気発生手段43への給水量の調節はモータに供給する電力のON/OFFの比率で決定する。
【0040】
図5から図12を用いて、本実施例における受け皿111について説明する。
図5において受け皿111は、被調理物130を焼く金属皿部112と、受け皿111の左右端面112eには受け皿111をテーブルプレート24に載置するための脚部121(樹脂脚部113aと金属脚部114)と、受け皿111を棚27に載せるための左右2つの張り出し部119により構成されている。
【0041】
図6に示すように金属皿部112は、マグネトロン33より放射されるマイクロ波を透過しない金属製のアルミ材料により形成され、表面処理はフッ素PCMにより構成されている。
【0042】
金属皿部112の裏面には、マグネトロン33より放射されたマイクロ波を吸収することで発熱する高周波発熱体120を設ける。高周波発熱体120が発した熱は金属皿部112に伝達され、金属皿部112表面に載置されている被調理物130の下部を焼きながら焦げ目を付ける効果がある。
【0043】
図5において金属皿部112は被調理物130を載置するものであり、お好み焼きの生地のように液状の被調理物130に含まれる水分等が外部に漏れないよう、外壁112dが設けられている。また金属皿部112の表面には波状の凹凸部112cを設け、肉などの被調理物130の内部に含まれる余分な脂分を排出しながら加熱される凹部112aは外周部112bと繋がっている。
【0044】
そして金属皿部112の表面には、フッ素コーティングを施し、調理後、被調理物130による金属皿部112の焦げ付き等を防止している。
【0045】
また、受け皿111の左右端面112eには、樹脂製の脚ベース113を備え、脚ベース113の前後には樹脂脚部113aが配置される。
【0046】
また、受け皿111の左右端面112eには、前後の樹脂脚部113aの間で脚ベース113に先端を挿入して係止させる金属脚部114を備える。金属脚部114は、樹脂脚部113aより高さを高くする脚で、金属皿部112の下側に回動して折り畳み可能である。
【0047】
図5図7は金属脚部114を折り畳み状態で、図9は金属脚部114を立てた状態である。
【0048】
図5において、受け皿111の左右端面112eには、脚ベース113の略中部に係止して回転する軸を設けた張り出し部119を備える。張り出し部119は、金属皿部112の下側に回動して折り畳み可能で、折り畳んだ状態で金属皿部112の左右端面112eの内側に収納される。また、回動して金属皿部112の左右端面112eの外側に張り出して加熱室28に設けた棚27に載せるものである。図5は張り出し部119を外側に張り出した状態で、図7図9は張り出し部119を折り畳んだ状態である。図8(a)は、張り出し部119を外側に張り出した状態、図8(b)は張り出し部119を折り畳んだ状態の断面を示している。
【0049】
よって図5には、樹脂脚部113aで支持し、金属脚部114を折り畳んで収納し、張り出し部119を左右端面112eの外側に張り出した受け皿111を示している。
【0050】
図7には、樹脂脚部113aで支持し、金属脚部114を折り畳んで収納し、張り出し部119を左右端面112eの内側に折り畳んだ受け皿111を示している。
【0051】
図9には、金属脚部114を立てて、張り出し部119を左右端面112eの内側に折り畳んだ受け皿111を示している。
【0052】
図10は、図5で示した受け皿111を加熱室28の棚上段27aに張り出し部119で載せた状態を示している。図11は正面図である。
【0053】
受け皿111を加熱室28の棚上段27aに載せることで、グリル加熱手段12を備えた加熱室上面28eに受け皿111を最も近づけて、グリル加熱手段12から出る輻射熱で最も強く受け皿111と被調理物130を加熱する。
【0054】
また、加熱室28内の上方に受け皿111の高周波発熱体120が位置する場合にも、レンジ加熱手段77の回転アンテナ26によって拡散されて高周波発熱体120に高周波が供給されてむらなく発熱する。
【0055】
図12は、図9で示した被調理物130を載せた状態の受け皿111を加熱室28のテーブルプレート24に載せた状態を示している。
【0056】
そして、テーブルプレート24の下に配置する重量検出手段25で食品の重量を検出することで、加熱時間を調整するものである。
【0057】
図13は本加熱調理器の制御手段を表わしたブロック図である。
次に、図13を用いて加熱調理器のシステムの動作について説明する。
電源76は、加熱調理器の本体1を動作させるためのものである。
熱風ユニット11は、熱風吸気孔31熱風吹出し孔30を備える加熱室奥壁面28b外側に設けた熱風ケース11aの後側に熱風モータ13を備え、熱風ケース11aの穴を通してそのモータ軸に熱風ファン32を設け、熱風ファン32の外周側に熱風ヒータ14a、および14bを設け、加熱室28に熱風を循環して供給する。
【0058】
レンジ加熱手段77は、マグネトロン33とマグネトロン33を駆動するための電源を作るインバータ回路を搭載したインバータ基板22である。インバータ回路は入力手段71より入力された加熱パワーに応じた電源を作りマグネトロン33に供給する。
【0059】
グリル加熱手段12は、加熱室28の天面の裏側に設けられたヒータよりなり、加熱室28の加熱室上面28eを加熱して加熱室28内の被調理物130を輻射熱によって焼くものである。
【0060】
冷却手段50は、底板21に取り付けられた冷却モータにファンが連結されたファン装置15で、この冷却手段50によって送風される冷却風39は、機械室20内の自己発熱するマグネトロン33やインバータ基板22、重量検出手段25等を冷却する。
【0061】
回転アンテナ駆動手段46は、回転アンテナ26を駆動するためのモータで、同期モータと回転数を減速するためのギヤが一体になっているものである。
【0062】
重量検出手段25は、テーブルプレート24に載置された被調理物130の重量を測定するものである。
【0063】
温度検出手段a85は、加熱室28に取り付けられ、加熱室28内の温度を検出し、制御手段151によってグリル加熱手段12のヒータの電力を調整するものである。
【0064】
スチームユニット43aは水蒸気発生手段43とポンプ手段87により成る。
水蒸気発生手段43は、水を加熱するヒータからなるボイラー加熱手段89と、水蒸気発生手段43の温度を検出する温度検出手段b88から構成し、制御手段151は温度検出手段b88の検出結果からボイラー加熱手段89やポンプ手段87を制御する。
【0065】
71は入力手段で、ここでは、操作部6と表示部5を示す。
151は制御手段で、制御基板23に搭載され、入力手段71から入力のあった内容に従い、食品を加熱調理するように動作させるもので、各検知手段から食品の状態や加熱室の状態を検知し、その後各加熱手段や駆動手段を必要に応じて動作させるものである。
【0066】
本実施例は、以上の構成からなり、次に動作について被調理物130としてお好み焼きを焼く場合の動作例を図14から図15を用いて説明する。
【0067】
お好み焼きを作る材料は、一度に焼ける2枚分で、生地は、長いも(すりおろし)120g、卵1個、だし汁大さじ1と1/2、小麦粉(薄力粉)50g、キャベツ(1cm角のざく切り)120g、小ねぎ(小ぐち切り)10g、天かす10g、紅しょうが10gで、そのほかに豚バラ薄切り肉100gである。
【0068】
図5に示すように、樹脂脚部113aで支持し、金属脚部114を折り畳んで収納し、張り出し部119を金属皿部112の左右端面112eの外側に張り出した受け皿111の金属皿部112に豚バラ肉を直径約14cm程度に2個並べ、生地を豚バラ肉からはみ出ないようにのせて平たく形を整える。
【0069】
そして図10に示すように被調理物130を載置した受け皿111を加熱室28の棚上段27aに張り出し部119で載せ、ドア2を閉めて調理を開始する。
【0070】
操作部6によって「お好み焼」を選択して、加熱スタートを操作する。
図14のように、工程300は、グリル工程301とレンジ工程302の2段階の工程を行う制御である。
【0071】
概ね、お好み焼き2枚を一度に調理するための加熱時間は、グリル工程301の加熱時間T1が約13分で、レンジ工程302の加熱時間T2は約6分である。このグリル工程301の加熱時間T1は、概ね被調理物130の上面130aが8〜9割り程度焼ける時間である。
【0072】
グリル工程301は、制御手段151にて、グリル加熱手段12により被調理物130であるお好み焼きの上面130aをグリル加熱手段12の輻射熱で加熱して焼く加熱工程である。図15(a)に示すように、被調理物130の上面130a、つまり生地の表面から加熱されて小麦粉が糊化し、キャベツなども加熱されていく。その後徐々に芯130cまで加熱されるものである。小麦粉が糊化することで、キャベツや豚バラ肉からでるビタミンを受け止めておいしさと栄養を逃がさないで加熱調理されていく。
【0073】
また、このグリル加熱手段12による輻射熱で受け皿111(被調理物130が載っていない部分)も加熱され、受け皿111の下面の高周波発熱体120や熱伝導によって被調理物130の下面130b側も加熱される。
【0074】
グリル工程301終了時には、金属皿部112の被調理物130が載っていない部分は、加熱室28と同様に温度が上昇している。そして、お好み焼きの生地の上面130aは糊化して焼き色が付く程度に焼き上げられ、内部の芯130cまで火が通り、内部まで糊化している。この時点で被調理物130の含有する水分も大幅に減少している。
【0075】
次に、レンジ工程302を行う。レンジ工程302は、制御手段151にて、レンジ加熱手段77のマイクロ波加熱する制御方法である。受け皿111の金属皿部112裏面に有する高周波発熱体120が、マグネトロン33より放射されたマイクロ波を吸収して発熱することで金属皿部112に熱を伝達する。
【0076】
図15(b)に示すように、金属皿部112からお好み焼きの下面130bを加熱するもので、お好み焼きの下面130bである豚バラ肉に火を通して焼き色を付けるものである。
【0077】
豚バラ肉の上側に載せた生地はグリル工程301で略火が通っているので、レンジ工程302ではレンジ加熱手段77だけ動作することにより、不要に被調理物130の上面130aを加熱することが無いので被調理物130の上面130aを硬くすることは無く下面130bだけを加熱して焦げない程度に加熱するもので、被調理物130の乾燥を防止しながら金属皿部112を加熱して調理終盤の仕上がりの食感を向上させ、食味と風味を保つ働きをする工程である。
【0078】
そして、レンジ工程302は、グリル工程301の次に実行されることにより、グリル工程301で、被調理物130の内部まで概ね火を通し、加熱室28の中の空気と金属皿部112を高温に加熱することで、その後のマイクロ波による高周波発熱体120の発熱は、金属皿部112全体の温度を上昇させる必要が無く、また金属皿部112から加熱室28へ熱が失われずに済み、概ね火が通っている被調理物130の下面130bを加熱する程度で良い。そのためマイクロ波の出力を大火力にする必要も無く、また長時間加熱する必要が無いので、前述したように、マイクロ波が受け皿111の上面に回りこんで、不要に被調理物130の上面130aを加熱することが無いので被調理物130の上面130aを硬くすることは無い。
【0079】
そのことにより、被調理物130の生地である上面130aと豚バラ肉である下面130bの表面を加熱し、生地を糊化しておいしさと栄養を逃がさず、表面に焼き色を付けて、芯130cまで火を通して、豚バラ肉にも火を通して、もちっとした食感で焦げずに見た目よく焼き上げている。
【0080】
調理方法として、鉄板焼きの代表メニューであるお好み焼きを例に説明したが、他にチヂミも同様の工程で美味しく焼くことが可能である。
【0081】
受け皿111を使用して調理する場合、受け皿111の位置は、調理方法によって使い分けされる。
【0082】
その使い分け方は、調理時に、主にレンジ加熱手段77を必要とする場合、つまり、マイクロ波によって高周波発熱体120の温度を高くして被調理物130を焼きながら、マイクロ波によって直接に被調理物130を加熱することが必要な場合である。その時の受け皿111の使い方は、図16に示すように受け皿111の金属脚部114を内側に畳んで、受け皿111の樹脂脚部113aをテーブルプレート24に載置して調理を行う。
【0083】
また、調理時に、グリル加熱手段12による焼き加熱と、レンジ加熱手段77によるマイクロ波によって高周波発熱体120を加熱して被調理物130を焼きながら、マイクロ波によって直接に被調理物130を加熱することが必要な場合である。その時の受け皿111の使い方は、図12に示すように、受け皿111の金属脚部114を開いて、受け皿111の金属脚部114を用いてテーブルプレート24に載置して調理を行う。
【0084】
さらに、調理時に、主にグリル加熱手段12による焼き加熱を必要とする場合である。その時の受け皿111の使い方は、図11に示すように受け皿111に設けた張り出し部119を開いて棚上段27aに載置して調理を行う。
【0085】
以上の三通りの調理方法において、レンジ加熱手段77を主として調理する場合は、マイクロ波を被調理物130に照射して加熱するため、被調理物130の質量に略比例してレンジ加熱手段77の加熱時間の調節が必要になる。そのため、受け皿111をテーブルプレート24に載置して重量検出手段25を用いて被調理物130の重量を検出することで、加熱時間を調整できる構成になっている。
【0086】
また、グリル加熱手段12を主として調理する場合、グリル加熱手段12のヒータで強火で短時間に調理を済ませ、被調理物130が乾燥するのを防ぐ必要が有る。そのため、受け皿111の上面にマイクロ波を供給するための加熱室28の壁面と受け皿111との間に設けた隙間を少なくして受け皿111より上方の加熱効率を良くするために、加熱室28の内側に張り出した棚27の位置に受け皿111を設け、張り出し部119を開いて受け皿111と棚27との隙間を無くしている。また受け皿111を上方に位置させることで、受け皿111の上方に供給されるマイクロ波の割合を弱くして、マイクロ波によって被調理物130が加熱され乾燥するのを防いでいる。
【0087】
以上、本実施例によれば、高周波発熱体120を備え加熱室28の最上段の棚上段27aに載せる高さの受け皿111と、高周波発熱体120を備え加熱室28の最上段の棚上段27aに載せる高さより低い高さに配置して重量を計る受け皿111と、両方の受け皿の機能を備えるので、調理により受け皿を使い分ける手間を省き、加熱室28内で受け皿111が複数の高さに対応できるということが可能となる。
【符号の説明】
【0088】
1 本体
6 操作部
11 熱風ユニット
12 グリル加熱手段
13 熱風モータ
14a、14b 熱風ヒータ
15 ファン装置
24 テーブルプレート
25 重量検出手段
27 棚
27a 棚上段
28 加熱室
33 マグネトロン
42 水タンク
43 水蒸気発生手段
43a スチームユニット
44 スチーム噴出口
71 入力手段
77 レンジ加熱手段
111 受け皿
112 金属皿部
112e 左右端面
113 脚ベース
113a 樹脂脚部
114 金属脚部
119 張り出し部
120 高周波発熱体
121 脚部
130 被調理物
130a 上面
130b 下面
130c 芯
151 制御手段
301 グリル工程
302 レンジ工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16