(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記アクリル系ポリマー(A)に含まれる水酸基のモル数と、このアクリル系ポリマー(A)を架橋するイソシアネート系化合物(B)に含まれるイソシアネート基のモル数と、ベンゾトリアゾール系化合物に含まれるベンゾトリアゾール基のモル数との比率が0.9:0.2:1〜10:0.5:1の範囲内にあることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の導電性粘着シート。
上記粘着剤組成物が、アクリル系ポリマー(A)に、イソシアネート系化合物(B)およびベンゾトリアゾール系化合物(C)を添加して得られたものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の導電膜用粘着シート。
上記粘着剤組成物が、イソシアネート系化合物(B)とベンゾトリアゾール系化合物(C)とを予め混合した混合物を、アクリル系ポリマー(A)に添加して得られたものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の導電膜用粘着シート。
上記アクリル系ポリマー(A)に含まれる水酸基のモル数と、このアクリル系ポリマー(A)を架橋するイソシアネート系化合物(B)に含まれるイソシアネート基のモル数と、ベンゾトリアゾール系化合物に含まれるベンゾトリアゾール基のモル数との比率が0.9:0.2:1〜10:0.5:1の範囲内にあることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の積層体。
上記粘着剤組成物が、アクリル系ポリマー(A)に、イソシアネート系化合物(B)およびベンゾトリアゾール系化合物(C)を添加して得られたものであることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の積層体。
上記粘着剤組成物が、イソシアネート系化合物(B)とベンゾトリアゾール系化合物(C)とを予め混合した混合物を、アクリル系ポリマー(A)に添加して得られたものであることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の積層体。
表面支持体と、粘着剤層と、導電層とがこの順に積層された積層体を含むタッチパネルユニットと、該タッチパネルユニット上に積層されたフラットパネルディスプレイとからなるタッチパネルにおいて、
前記積層体が、
基材と、粘着剤層と、導電層とがこの順に積層された積層体であって、
前記粘着剤層は、
(メタ)アクリル系ポリマー(A1)と、
少なくとも二個の−NCO機を有するイソシアネート系化合物(B)と、
ベンゾトリアゾール系化合物(C)とを含む粘着剤層であり、
(メタ)アクリル系ポリマー(A1)は、
(a-1)アルコキシアルキル(メタ)アクリレートおよび/またはアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートを50〜99.8重量部と、、
(a-2)水酸基を有するモノマーを0.1〜10重量部と、
(a-3)窒素含有モノマーを0.1〜5重量部と、
(a-4)アルキル(メタ)アクリレートを0〜49.8重量部とを共重合した酸性基以外の官能基を有する重量平均分子量が40万未満である(メタ)アクリル系ポリマー(A)(ただし(a-1)成分、(a-2)成分、(a-3)成分および(a-4)成分の合計は100重量部である)であり、
前記(メタ)アクリル系ポリマー(A1)の官能基に、少なくとも二個の-NCO基を有するイソシアネート系化合物(B)が結合し、さらに、イソシアネート系化合物(B)の-NCO基の少なくとも一部にベンゾトリアゾール系化合物(C)が結合している架橋アクリル系ポリマーを形成することを特徴とするタッチパネル。
上記アクリル系ポリマー(A)に含まれる水酸基のモル数と、このアクリル系ポリマー(A)を架橋するイソシアネート系化合物(B)に含まれるイソシアネート基のモル数と、ベンゾトリアゾール系化合物に含まれるベンゾトリアゾール基のモル数との比率が0.9:0.2:1〜10:0.5:1の範囲内にあることを特徴とする請求項19または請求項20に記載のタッチパネル。
上記粘着剤組成物が、アクリル系ポリマー(A)に、イソシアネート系化合物(B)およびベンゾトリアゾール系化合物(C)を添加して得られたものであることを特徴とする請求項19または請求項20に記載のタッチパネル。
上記粘着剤組成物が、イソシアネート系化合物(B)とベンゾトリアゾール系化合物(C)とを予め混合した混合物を、アクリル系ポリマー(A)に添加して得られたものであることを特徴とする請求項19または請求項20に記載のタッチパネル。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の導電膜用粘着シートは、特定の(メタ)アクリル系ポリマー(A)の官能基に、イソシアネート系化合物(B)が結合し、さらに、イソシアネート系化合物(B)の-NCO基の少なくとも一部にベンゾトリアゾール系化合物(C)が結合している架橋アクリル系ポリマーより得られる粘着剤層を有する。
【0035】
〔粘着剤層〕
本発明の導電膜用粘着シートにおける粘着剤層は、特定の(メタ)アクリル系ポリマー(A)とイソシアネート架橋剤(B)とを含み、必要に応じて(メタ)アクリル系低分子量体およびその他の成分を含んでもよく、イソシアネート架橋剤(B)の有する-NCO基の少なくとも一部にはベンゾトリアゾール系化合物が結合している。
【0036】
<(A)(メタ)アクリル系ポリマー>
本発明において、(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートおよび/またはアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート(a-1)と、架橋性官能基を有するモノマー(a-2)との共重合体であり、この共重合体には、所定の比率で窒素含有モノマー(a-3)およびアルキル(メタ)アクリレート(a-4)が共重合していてもよい。以下、各構成モノマーについて説明する。
【0037】
((a-1)アルコキシアルキル(メタ)アクリレートおよびアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート)
前記アルコキシアルキル(メタ)アクリレート(a-1)は、(メタ)アクリレートのエステル構造のアルコール由来部分として、アルコキシアルキル基が結合した(メタ)アクリレートであれば、特に限定されない。前記アルコキシアルキル基のアルコキシ部分は親水性に優れているため、本発明の積層体において、仮に粘着剤層中に水が浸入した場合であっても、それを分散させ、かつ前記親水性や水素結合といった作用により水を保持し、水が粘着剤層中で析出して白化するのを有効に抑制することができる。
【0038】
このようなアルコキシアルキル(メタ)アクリレートおよび(a-1)としては、前記白化の抑制の観点から、アルコキシ部分の炭素数が1〜12であり、アルキル部分の炭素数が1〜18であるアルコキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、アルコキシ部分の炭素数が1〜4であり、アルキル部分の炭素数が1〜8であるアルコキシアルキル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0039】
同様に、アルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート(a-1)としては、アルコキシ部分の炭素数が1〜12であり、アルキレングリコール部分の炭素数が1〜8であるアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートが好ましく、アルコキシ部分の炭素数が1〜4であり、アルキレングリコール部分の炭素数が2〜4であるアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0040】
このようなアルコキシアルキル(メタ)アクリレートおよびアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート(a-1)の例としては、2-メトキシメチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、3-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3-エトキシプロピル(メタ)アクリレート、4-メトキシブチル(メタ)アクリレート、4-エトキシブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0041】
また、アルコキシアルキレン(メタ)アクリレートの例としては、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジブチレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0042】
これらの中でも、白化の抑制の観点から、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレートが特に好ましい。
本発明においてアルコキシアルキル(メタ)アクリレートあるいはアルコキシアルキレン(メタ)アクリレート(a-1)は、単独で或は組合わせて使用することができる。
【0043】
このようなモノマーが、本発明の積層体における粘着剤層を形成する(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量%中、50〜99.9重量%共重合されている。共重合量が50重量%よりも少ないと、湿熱時に吸収された水分を粘着剤層中に分散させることが出来ないため、常温環境下に戻った際に水分が目に見える程度の液滴として析出し、粘着剤層が白化し、外観に異常をきたすことがある。一方共重合量が99.9重量%を超えると、必然的に官能基を有するモノマーの使用量が少なくなり充分な架橋構造を形成できないことがある。また、窒素含有モノマー(a-3)を共重合する際には、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートあるいはアルコキシアルキレン(メタ)アクリレート(a-1)は、50〜99.8重量%の割合で共重合されている。
【0044】
((a-2)水酸基含有モノマー)
本発明の導電膜用フィルムを構成する粘着剤層に使用される(メタ)アクリル系ポリマー(A)には、水酸基含有モノマー(a-2)が共重合されている。
【0045】
このモノマー(a-2)の少なくとも一部が後述するイソシアネート系化合物(B)によって架橋されることで、前記粘着剤層において高い凝集力が達成され、発泡が効率的に抑制される。
【0046】
このような水酸基含有モノマー(a-2)の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロシキブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートおよび8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0047】
上記のような水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、イソシアネート系化合物(B)との反応性の観点から、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよび4-ヒドロシキブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0048】
上記の水酸基含有モノマー(a-2)は、単独で或は組合わせて使用することができる。
本発明で使用する(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量%中において、モノマー(a-2)は0.1〜10重量%、好ましくは0.8〜10重量%、さらに好ましくは1.2〜10重量%の範囲内の量で共重合されている。
【0049】
モノマー(a-2)の量が上記範囲より少ないと、水酸基含有モノマー(a-2)以外の架橋性官能基を有していないモノマーの共重合量が多くなり、後述するイシアネート系架橋剤(B)による架橋構造が充分に形成され難くなる傾向がある。一方共重合量が10重量%より多いと、架橋構造が過度に形成され、段差追従性などのその他の特性が不充分になることがある。
((a-3)窒素含有モノマー)
本発明の導電膜用の粘着剤組成物を構成する粘着剤には、上記のアクリル系ポリマー(A)中に窒素含有モノマー(a-3)が共重合していることが好ましい。
【0050】
窒素含有モノマー(a-3)の例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有モノマー、
(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-ヘキシル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー、
ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、ビニルカプロラクタム等の窒素系複素環含有モノマー、
シアノ(メタ)アクリレート等のシアノ基含有モノマー、
マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー等のマレイミド基含有モノマーを挙げることができる。
【0051】
このような窒素含有モノマー(a-3)を、(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量%中、0〜5重量%、好ましくは0.1〜5重量%、特に好ましくは0.1〜4重量%の範囲で共重合させることができる。
【0052】
この窒素含有モノマー(a-3)は、架橋剤であるポリイソシアネート化合物(B)と水酸基を有するモノマー(a-2)との架橋形成を促進し、さらに、粘着剤に凝集力を付与する成分でもあり、この窒素含有モノマーが上記規定する範囲より少ないと、架橋構造の形成が不充分になることがあり、硬質の粘着剤層を形成することができなくなり易くなり、粘着剤層に侵入する水分量が増加し、白化などが発生し易くなる。また、上記範囲を逸脱して多量に窒素含入モノマーを使用すると、粘着剤が硬質になりすぎて、額縁印刷部における形態追従性が低下すると共に、耐久性が低下する。ただし、この窒素含有モノマー(a-3)が共重合していない(メタ)アクリル系ポリマー(A)を使用する場合には、窒素含有モノマー(a-3)が共重合していない(メタ)アクリル系ポリマー(A)と、後述する(メタ)アクリル系低分子量体と(メタ)アクリル系ポリマー(A)とを併用することにより、同等の作用効果を得ることができる。(メタ)アクリル系低分子量体を添加しない場合には、窒素含有モノマー(a-3)は(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量%中、0.1〜5重量%、好ましくは0.1〜4.5重量%、特に好ましくは0.1〜4重量%の範囲で共重合させる。
【0053】
(その他のモノマー)
本発明の導電膜用粘着剤組成物を構成する粘着剤には、さらに(a-4)アルキル(メタ)アクリレートが0〜49.8重量部の範囲内の量、好ましくは0〜40重量部の範囲内の量で共重合していてもよい。即ち、本発明の導電性膜のような粘着剤組成物には、以下に記載するような(メタ)アクリル酸エステル(a-4)が共重合していなくともよいし、共重合していてもよい。ただし、これらの単量体を共重合させる量が上記上限を超えて共重合させると、本発明の(A)成分の特性が損なわれて本発明によって奏される作用効果を示さなくなる。
【0054】
ここで使用する(a-4)(メタ)アクリル酸エステルの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、iso-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデカ(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートおよびジデカ(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0055】
上記アルキル(メタ)アクリレート(a-4)は単独で或は組合わせて使用することができる。
さらに、本発明で使用する(メタ)アクリル系ポリマー(A)には、本発明の粘着剤の特性を損なわない範囲内で、他の重合性化合物が共重合していてもよい。このような他の重合性化合物の例としては、酢酸ビニル;スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、へキシルスチレン、ヘプチルスチレンおよびオクチルスチレンなどのアルキルスチレン、フロロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨウ化スチレン、ニトロスチレン、アセチルスチレンおよびメトキシスチレン等のスチレン系単量体;グリシジル(メタ)アクリレート等を本発明の作用効果を損なわない範囲で使用することができる。上述した他のモノマーは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができるが、許容される共重合量は極僅かである。
【0056】
((A)(メタ)アクリル系ポリマー)
本発明で使用する(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、以上説明したモノマーを上記割合で共重合することにより得られるが、酸性基を有するモノマーを使用することがないので、得られる共重合体は酸性基を実質的に有していない。ここで酸性基を実質的に有していないとは、共重合に際して作為的に酸性基を有するモノマーを配合しないことを意味し、得られるポリマーの酸価で表すと通常は0.5mgKOH/g以下である。
【0057】
ここで酸性基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、リン酸基を有するモノマー、硫酸基を有するモノマーなどを挙げることができ、これらのモノマーは本発明の粘着剤を形成する共重合体中には含有されていない。
【0058】
本発明において(メタ)アクリル系ポリマー(A)には、前記のような酸性基含有モノマーは共重合していない。このように酸性基含有モノマーを共重合させていないので、本発明に使用される(メタ)アクリル系ポリマー(A)が、金属あるいは金属酸化物からなる配線と直接接触してもこれらを腐食することがなく、本発明の積層体における粘着剤層に、配線の抵抗値を長期間にわたって変動させないとする特性を賦与することができる。
【0059】
さらに、本発明で使用する(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、重量平均分子量が40万未満、好ましくは10万〜38万の範囲内にある。なお、本明細書において重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0060】
従来は粘着剤として重量平均分子量が40万〜160万程度の高分子量のアクリル系ポリマーが使用されていたが、本発明では上述のように(メタ)アクリル系ポリマーとして従来使用されていた粘着剤(40万〜160万)と比較すると小さい分子量のポリマー(A)を使用することにより、架橋密度が高くなり、結果として硬化した粘着剤は非常に硬質になる。ただし、粘着剤が完全に硬化するまでは、アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量が低いので、良好な流動性を示し、非常に優れた形態追従性を示すが、架橋構造が完全に進行した後は、この粘着剤層は非常に硬質になり、例えばポリカーボネート(PC)などから発生する気泡により、この粘着剤層に浮きが発生することはない。また、外部からの水分の浸入も抑制することができる。従って、本発明の粘着剤層が白化することがなく、非常に優れた耐水性を有している。
【0061】
また本発明において、(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、Foxの式により求めたガラス転移温度(Tg)が通常は−70℃〜0℃、好ましくは−70℃〜−30℃の範囲内にある。このようなガラス転移温度(Tg)を有する(メタ)アクリル系ポリマー(A)を用いることにより、常温で優れた接着強度を有する粘着剤層を得ることができる。
【0062】
<(メタ)アクリル系低分子量体>
本発明の粘着シートにおける粘着剤層は、上記のような(メタ)アクリル系ポリマー(A)に加えて窒素含有(メタ)アクリル系低分子量体を含有していてもよい。特に(メタ)アクリル系ポリマー(A)に窒素含有モノマーが共重合されていない場合には、この窒素含有(メタ)アクリル系低分子量体を配合することにより、粘着剤組成物が良好な耐湿性および耐発泡性を示すようになる。
【0063】
本発明の積層体における粘着剤層は、基材及び被着体への馴染み性の向上及び(メタ)アクリル系ポリマー(A)との相互作用による凝集力の向上の観点から、窒素含有(メタ)アクリル系モノマーを含むモノマーを重合してなる、酸性基を実質的に有さない(メタ)アクリル系低分子量体を含むことが好ましい。「酸性基を実質的に有さない」の意義は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)におけるのと同様である。
【0064】
前記窒素含有(メタ)アクリル系モノマーの例としては、上述の窒素含有モノマーが挙げられ、これらの中でも、粘着剤の凝集力を向上させ、さらに、イソシアネート系化合物(B)による架橋を促進することができる観点からジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびアクリルアミドが好ましい。(メタ)アクリル系低分子量体中の窒素含有モノマーの共重合量は、(メタ)アクリル系低分子量体100重量%中、1〜20重量%、好ましくは2〜10重量%である。
【0065】
なお、(メタ)アクリル系低分子量体が窒素非含有(メタ)アクリル系モノマーを構成モノマーとして有していてもよいことは勿論であり、そのようなモノマーの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、iso-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデカ(メタ)アクリレートおよびジデカ(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチルプロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロシキブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートおよび8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0066】
さらに、α-メチルスチレンなどのスチレン系モノマーが共重合されていてもよい。
これらの中でも、重合性、(メタ)アクリル系ポリマー(A)との相溶性の観点から、アルキル(メタ)アクリレートを80〜99重量%、好ましくは90〜98重量%の割合で用いることが好ましい。
【0067】
以上説明した窒素含有(メタ)アクリル系低分子量体の重量平均分子量は5000以上5万未満である。
このような窒素含有(メタ)アクリル系低分子量体は、単独で或は組合わせて使用してもよく、(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して通常0〜10重量部、好ましくは0〜7重量部含まれている。
【0068】
ただし、(メタ)アクリル系ポリマー(A)を構成する窒素含有モノマー(a-3)の共重合量と、この(メタ)アクリル系低分子量体の配合量が共にゼロになることはない。
即ち、上述の(メタ)アクリル系ポリマー(A)中に窒素含有モノマー(a-3)が共重合していない場合には、この(メタ)アクリル系低分子量体を、通常は0.1〜10重量部、好ましくは0.1〜7重量部の範囲内の量で使用することが好ましい。
【0069】
特に本発明では、(メタ)アクリル系ポリマー(A)に窒素含有モノマー(a-3)が共重合していない場合には、上記(メタ)アクリル系低分子量体を配合することが望ましく、また、窒素含有モノマー(a-3)が共重合している場合であっても、上記(メタ)アクリル系低分子量体を配合することが好ましい。他方、(メタ)アクリル系ポリマー(A)中に窒素含有モノマー(a-3)が共重合している(メタ)アクリル系ポリマー(A)を使用する場合には、(メタ)アクリル系低分子量体を用いなくとも(メタ)アクリル系ポリマー(A)中に共重合している窒素含有モノマー由来の窒素含有官能基が(メタ)アクリル系低分子量体と同等に作用するので、(メタ)アクリル系低分子量体を用いなくとも本発明の粘着剤層の特性が著しく低下することはない。
【0070】
((メタ)アクリル系ポリマー(A)の製造方法)
上記の(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、公知の方法により製造することができるが、溶液重合により製造することが好ましい。溶液重合においては、重合溶媒として、例えば酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、アセトンなどを使用することができる。
【0071】
具体的には反応容器内に重合溶媒、原料モノマーを上記で説明した割合で仕込み、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下で重合開始剤を添加し、反応温度50〜90℃程度に加熱し、4〜20時間反応させる。
【0072】
溶液重合に用いる反応開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤を挙げることができる。これらの反応開始剤は、原料モノマー100重量部に対して、通常は0.01〜5重量部の範囲内の量で使用される。また、上記重合反応中に、重合開始剤、連鎖移動剤、原料モノマー、溶媒を適宜追加添加してもよい。
【0073】
上記のような条件において、得られる(メタ)アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量は、公知技術に従って、使用する溶媒の種類および量、重合開始剤の種類および量、反応時間、反応温度などの反応条件を調整することにより調節することができる。
また本発明において使用する(メタ)アクリル系低分子量体は、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)に準じて製造することができる。
【0074】
<(B)イソシアネート系化合物>
本発明の積層体における粘着剤層は、さらにイソシアネート系化合物(B)を含有している。当該架橋剤(B)が(メタ)アクリル系ポリマー(A)中の、上記モノマー(a-2)に由来する架橋性官能基と架橋反応を起こして三次元架橋構造を形成し、粘着剤層に高い凝集力が付与される。イソシアネート系化合物以外の、例えばエポキシ系架橋剤では硬化体が脆化するために、押圧を繰返し加え続けると、粘着剤層にクラックなどが発生する虞がある。
【0075】
前記イソシアネート系化合物(B)の例としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタンジイソシアネートなどの分子中に二個以上のイソシアネート基を有する化合物:それらをトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコールと付加反応させた化合物やイソシアヌレート化合物、ビュレット型化合物、さらには公知のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンなどと付加反応させたウレタンプレポリマー型の分子内に二個以上のイソシアネート基を有する化合物を挙げることができる。特に本発明では分子内に三個以上のイソシアネート基を有する化合物を使用することが好ましい。
【0076】
これらの中でも、被着体への馴染み性を向上させ貼り合わせ時の泡の巻き込みを低減することができ、高温でのアウトガスを抑制できる点でキシリレンジイソシアネートおよびそのトリメチロールプロパン付加体、ならびにヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート化合物が好ましく、また、貼り付け面の段差追従性を向上させ、耐熱発泡性を良好にすることができる点でヘキサメチレンジイソシアネートおよびそのトリメチロールプロパン付加体が好ましい。
【0077】
以上説明したイソシアネート系化合物(B)は単独で或は組合わせて使用することができる。
前記イソシアネート系化合物(B)を配合することにより、本発明の積層体における粘着剤層の凝集力が向上し、貼り付け時に僅かに気泡を巻き込んでも、この気泡の膨張を抑えることができ、優れた耐熱発泡性が発揮される。
【0078】
<ベンゾトリアゾール系化合物(C)>
本発明の粘着シートを形成する粘着剤層は、上述のようにアクリル系ポリマー(A)がイソシアネート化合物(B)で架橋されている。そして、このイソシアネート化合物(B)はアクリル系ポリマー(A)を架橋すると共に、このイソシアネート化合物(B)の有する-NCO基の少なくとも一部にはベンゾトリアゾール系化合物(C)と結合している。
【0079】
ここで使用するベンゾトリアゾール系化合物(C)の例としては、ベンゾトリアゾール、メチルベンゾトリアゾールを挙げることができる。これらのベンゾトリアゾール系化合物は、単独で或は組合わせて使用することができる。これらの中でもベンゾトリアゾール、メチルベンゾトリアゾールを単独で或は組合わせて使用することが好ましい。
【0080】
このようにアクリル系ポリマー(A)を架橋するイソシアネート系化合物(B)の-NCO基の一部にベンゾトリアゾール系化合物(C)が結合することにより、本発明のアクリル系ポリマー(A)は、ITO等から形成されている導電膜に対して耐腐蝕性のポリマーになり、導電膜の有する電気抵抗値が2%程度しか低下しなくなる。これはベンゾトリアゾール系化合物(C)を配合しない場合8%程度ある電気抵抗値の低下度合いに比べれば、極めて小さい変化率であり、2%程度という電気抵抗値変化は、長期間の使用によっても際だった変化は全く認められない程度の状態を表す。変化率8%程度と変化率2%程度は数値で表される以上の著しい差異を有している。
【0081】
このようなベンゾトリアゾール系化合物をイソシアネート系化合物(B)を介して(メタ)アクリル系ポリマー(A)に結合する方法としては、(メタ)アクリル系ポリマー(A)を製造した後、イソシアネート系化合物を導入する際に同時にベンゾトリアゾール系化合物(C)を導入して架橋させながらイソシアネート系化合物(B)中の-NCOの一部にベンゾトリアゾール系化合物(C)を結合させる方法、イソシアネート系化合物(B)を用いて架橋させる前に、イソシアネート系化合物(B)とベンゾトリアゾール系化合物(C)とを混合して予めベンゾトリアゾール系化合物(C)で変性されたイソシアネート系化合物(B)を調製し、この変性されたイソシアネート系化合物(B)を用いて(メタ)アクリル系ポリマー(A)を架橋する方法を挙げることができる。
【0082】
本発明においてベンゾトリアゾール系化合物(C)は、アクリル系ポリマー(A)に含まれる水酸基のモル数と、アクリル系ポリマー(A)を架橋するイソシアネート系化合物(B)に含まれるイソシアネート基のモル数と、ベンゾトリアゾール系化合物(C)に含まれるベンゾトリアゾール基のモル数との比率が、通常は0.9:0.2:1〜10:0.5:1の範囲内になるように用いられ、さらに1:0.2:1〜7.5:0.4:1の範囲内になるように用いることが好ましい。
【0083】
このような量比でベンゾトリアゾール系化合物(C)を用いることにより、イソシアネート系化合物(B)中の-NCO基の少なくとも一部とベンゾトリアゾール系化合物(C)とが結合し、さらに、イソシアネート系化合物(B)中の-NCO基とアクリル系ポリマー(A)に含まれる水酸基が反応することにより、イソシアネート化合物を介して側鎖にベンゾトリアゾール基を有する架橋アクリル系ポリマーが得られる。そして、ベンゾトリアゾール系化合物が導電膜に配位することにより、結合している架橋アクリル系ポリマーの導電膜への密着性が向上する。
【0084】
他方、イソシアネート化合物(B)中にある-NCO基は、アクリル系ポリマー(A)中にある官能基と結合し、アクリル系ポリマー(A)に三次元架橋構造を有効に形成することができる。特にイソシアネート系化合物(B)として-NCO基を三個以上有するイソシアネート系化合物(B)においては、ベンゾトリアゾール系化合物(C)と結合していない-NCO基の残存率が高まり、複数の-NCO基によって(メタ)アクリル系ポリマー(A)中の官能基間にイソシアネート系化合物(B)による三次元架橋構造が形成される。
【0085】
他方、-NCO基を二個有するイソシアネート系化合物(B)の一方の-NCO基にベンゾトリアゾール系化合物(C)が結合しているイソシアネート系化合物(B)では、他方の-NCO基は(メタ)アクリル系ポリマー(A)中の官能基と結合して(メタ)アクリル系ポリマー(A)の三次元架橋構造に関与しない側鎖としてベンゾトリアゾール系化合物(C)を導入することができる。このようなベンゾトリアゾール系化合物は、自由度が比較的高いため導電膜へ配位しやすく粘着剤層の導電膜への密着性をより向上させることが出来る。また、三個以上の-NCO基を有するイソシアネート系化合物(B)に複数の-NCO基を残してベンゾトリアゾール系化合物(C)が結合した場合においては、残存する複数の-NCO基により(メタ)アクリル系ポリマー(A)に三次元架橋構造が形成されると共に、三次元架橋構造が形成された(メタ)アクリル系ポリマー(A)にもイソシアネート系化合物(B)を介してベンゾトリアゾール系化合物(C)が結合するので、防錆性を有するとともに、導電膜への密着性も向上する。
【0086】
このように本発明においては、ベンゾトリアゾール系化合物(C)が独立して防錆剤として作用するだけではなく、イソシアネート系化合物(B)を介して(メタ)アクリル系ポリマー(A)に結合して(メタ)アクリル系ポリマー(A)あるいは架橋構造が形成された(メタ)アクリル系ポリマー(A)自体を防錆性の粘着剤に変性して、このように変性された(メタ)アクリル系ポリマー(A)を用いて導電膜の防錆を行う。このように(メタ)アクリル系ポリマー(A)全体に防錆性を賦与することにより、単に防錆剤を添加した場合と異なり、防錆剤が偏在することがなくなり、導電膜全体を均一に防錆することができる。また、防錆剤が(メタ)アクリル系ポリマー(A)と一体化していることから防錆剤が導電膜の端子部分に偏在して端子部分の抵抗値を不安定化させることもなく、さらに、(メタ)アクリル系ポリマー(A)を離れてブリードすることもない。このように防錆剤の偏在あるいはブリードによる損失などを考慮する必要がないので、添加型の防錆剤と比べて使用量を低減することができる。
【0087】
<その他の成分>
本発明の積層体における粘着剤層には、本発明の積層体における粘着剤層の効果を損なわない範囲で、さらに酸化防止剤、金属腐食防止剤、光安定剤、粘着賦与剤、可塑剤、帯電防止剤、架橋促進剤、リワーク剤などを配合することもできる。
【0088】
前記金属腐食防止剤の例としては、フェノール系化合物、芳香族アミン系化合物が挙げられる。
これらのその他の成分の配合量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜調整される。
【0089】
本発明の導電膜用粘着シートを形成する粘着剤組成物を調製するには、まず上述のようにして(メタ)アクリル系ポリマー(A)の溶液を調製する。次いでこの(メタ)アクリル系ポリマー(A)の溶液にイソシアネート系化合物(B)およびベンゾトリアゾール系化合物(C)を加えて均一になるまで攪拌し、得られた溶液を表面が剥離処理された剥離基板(1)の表面に流涎して溶剤を除去しながら塗布層の表面に表面が剥離処理された剥離基板(2)を載置して0〜50℃の温度で1〜10日間養生することにより架橋構造を形成すると共にイソシアネート系化合物(B)中の-NCOの一部にベンゾトリアゾール系化合物(C)を反応させる方法により調製することができる。
【0090】
また、上記の方法とは別に、予めイソシアネート系化合物(B)とベンゾトリアゾール系化合物(C)とを秤量してよく混合し、必要により加熱して、イソシアネート系化合物(B)中の-NCOの一部にベンゾトリアゾール系化合物(C)が結合したベンゾトリアゾール系化合物(C)で変性されたイソシアネート系化合物(B)を調製する。次いで、この変性されたイソシアネート系化合物(B)を、(メタ)アクリル系ポリマー(A)の溶液に加えて均一になるまで攪拌する。こうして得られた混合液を、表面が剥離処理された剥離基板(1)の表面に流涎して溶剤を除去しながら塗布層の表面に表面が剥離処理された剥離基板(2)を載置して0〜50℃の温度で1〜10日間養生することによりベンゾトリアゾール系化合物(C)が結合したイソシアネート系化合物(B)を用いて(メタ)アクリル系ポリマーを架橋する方法により調製することもできる。
【0091】
塗布方法に特に制限はなく、例えばグラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーターまたはスプレーコーターなどを用いて塗布することができる。
上記塗布溶液を、乾燥後の膜厚が10〜1000μmの範囲内の厚さ、好ましくは25〜500μmの範囲内の厚さになるように塗布する。
【0092】
<積層体>
本発明の積層体は、基材と、粘着剤層と、導電層とがこの順に積層されたものである。以下、各構成層について説明する。
【0093】
〔基材〕
前記基材は、一般にタッチパネルの最表面を構成する表面支持体などとして機能するものであり、そのような表面支持体としての機能、すなわち、一定の強度、透明性を有していれば特に制限されない。
【0094】
基材を構成する材料の例としては、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレートおよびガラスが挙げられる。
本発明における基材は、単層構成の層であってもよく、複数の層が積層されて各層の特性をまとめた複層構成の層であってもよい。
【0095】
〔導電層〕
本発明の積層体における導電層は、金属あるいは金属酸化物からなる単層の構造であってもよいし、当該層に更に電極支持体等が積層した複層構造であってもよい。複層構造の場合には、本発明の積層体における粘着剤層は、電極支持体と接する。
【0096】
また前記金属あるいは金属酸化物としては、ITO(インジウムティンオキサイド)、酸化錫などが挙げられる。これらは透明性に優れているので、タッチパネルにおける透明導電膜として好適である。
【0097】
さらに、前記電極支持体の構成材料としては、透明性の高いガラス、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートおよびポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。
導電層は好ましくは、静電容量方式のタッチパネルにおいて主流の、金属あるいは金属酸化物からなる単層構造である。
【0098】
〔積層体の製造方法〕
本発明の積層体は、以上説明した基材と、粘着剤層と、導電層とがこの順に積層されてなる。
【0099】
当該積層体の製造方法は特に限定されないが、例えば
(1)基材上に粘着剤層を形成する粘着剤組成物を塗布して粘着剤層を形成し、さらにその粘着剤層上に導電層を形成する方法、
(2)導電層上に粘着剤層を形成する粘着剤組成物を塗布して粘着剤層を形成し、さらにその粘着剤層上に基材を積層する方法、
(3)予め剥離ライナー上に粘着剤層を形成しておき、これ(粘着剤層)を基材上に転写し、剥離ライナーを剥離し、さらに転写された粘着剤層を、粘着剤層が導電層に接するようにして、基材とともに導電層に貼着する方法、
(4)予め剥離ライナー上に粘着剤層を形成しておき、これ(粘着剤層)を導電層上に転写し、剥離ライナーを剥離し、さらに転写された粘着剤層を、粘着剤層が基材に接するようにして、導電層とともに基材に貼着する方法が挙げられる。
【0100】
前記粘着剤組成物は、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)と、この(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、イソシアネート系化合物(B)を通常0.1〜2重量部、好ましくは0.1〜1重量部、ベンゾトリアゾール系化合物(C)を通常は0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜3重量部、必要に応じてその他の成分を配合することにより得られる。
【0101】
また、基材上または導電層上に前記粘着剤組成物を塗布する際、または剥離ライナー(例:剥離処理PET等)上に粘着剤層を形成する際には、粘着剤層形成成分を、公知の粘着剤と同様に、溶媒で適当な濃度に希釈し、それを基材または剥離ライナー上に塗工して、乾燥する。これにより、粘着剤層が形成される。
【0102】
なお、前記塗工の方法に特に制限は無いが、例えばグラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーターまたはスプレーコーターなどを用いて塗布することができる。
【0103】
本発明で用いる(メタ)アクリル系ポリマー(A)、架橋剤(B)、ベンゾトリアゾール系化合物(C)および必要に応じて使用されるその他の成分を溶媒中に含有する塗布溶液は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)40万未満と低いことから、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン、トルエンなどの溶剤中で容易に不揮発分の濃度を調整することができる。そのため、そのような塗布溶液を用いることにより、塗工後の粘着剤層の厚さを容易に所望の厚さにすることができる。特に前記塗布溶液は、容易に不揮発分含量を高くすることができ、例えば不揮発分を60〜80%、好ましくは60〜75%の範囲内で調整することが可能であるので、所望の厚さの粘着剤層を少ない塗布回数で形成することができる。
【0104】
また、このように不揮発分含量の高い溶液を用いることにより、塗工・乾燥後の塗膜のレベリング性が向上し、さらに乾燥時間も短縮され作業性が向上する。さらに揮発溶剤量が少ないので環境への負荷も小さくなる。
【0105】
このような特性を利用して、本発明の積層体における粘着剤層は、上記塗布溶液を、乾燥後の膜厚が10〜1000μmの範囲内の厚さ、好ましくは25〜500μmの範囲内の厚さになるように塗布することにより得られる。
【0106】
この粘着剤の塗布溶液は、剥離ライナー上に塗布される場合には、ライナー上に塗布し、溶媒を除去した後、形成された粘着剤層の表面(剥離ライナーに接していない面)に、もう一つの剥離ライナーを貼着して、通常は0〜50℃の温度で1日〜10日養生し、イソシアネート系化合物(B)による架橋を行う。
【0107】
これにより、形成された粘着剤層のゲル分率が、通常は50〜80%、好ましくは50〜70%の範囲内になる。なお、本発明においてゲル分率は以下のようにして求める。
23℃で7日間熟成後の粘着剤層サンプル約0.1gをサンプル瓶に採取し、酢酸エチル30ccを加えて4時間振盪した後、このサンプル瓶の内容物を200メッシュのステンレス製金網で濾過し、金網上の残留物を100℃で2時間乾燥して乾燥重量を測定し、次式により求める。
ゲル分率(%)=(乾燥重量/サンプル採取重量)×100
【0108】
<タッチパネル>
本発明のタッチパネルは、表面支持体と、粘着剤層と、導電層とがこの順に積層された積層体を含むタッチパネルユニットと、該タッチパネルユニット上に積層されたフラットパネルディスプレイとからなるタッチパネルであって、前記積層体が、本発明の積層体である。すなわち、本発明の積層体における基材は、本発明のタッチパネルにおける表面支持体として機能する。
【0109】
図1および
図2に示すように、タッチパネルユニットには、抵抗膜方式タッチパネルのユニット(
図1参照)と、静電容量方式タッチパネルのユニット(
図2参照)とがある。
図1に抵抗膜方式タッチパネルユニット10-1の例を示す。
図1に示されるように、抵抗膜方式のタッチパネルユニット10-1は、貼り合わせ剤30によって間隙34が形成されるように上部積層体11-1と下部積層体13-1とが離間して結合してなり、間隙34内には有効にスペースを確保するためにスペーサー32が配置されている。
【0110】
上部積層体11-1には、間隙34に面して金属あるいは金属酸化物からなる透明導電膜27-1が配置されている。この透明導電膜27-1は、ITO(インジウムティンオキサイド)、酸化錫などの透明性を有する導電材料で形成されており、通常は
図1に示すようにポリエチレンテレフタレート(PET)あるいはガラスからなる上部電極支持体25-1の表面に形成されている。
【0111】
上部積層体11-1の最表面には表面支持体21-1が配置されており、この表面支持体21-1は通常は透明性の高いガラスあるいはポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの透明フィルムである。
【0112】
上記表面支持体21-1と上部電極支持体25-1とを接着するために、粘着剤層23-1が形成されている。以上説明した上部積層体11-1が、本発明の積層体に該当する。
また、下部積層体13-1には、同様に間隙34に面して金属あるいは金属酸化物からなる透明導電膜27-2が形成されており、この透明導電膜27-2は、ITO(インジウムティンオキサイド)、酸化錫などの透明性を有する導電材料で形成されており、通常は
図1に示すようにポリエチレンテレフタレート(PET)あるいはガラスからなる下部電極支持体25-2の表面に形成されている。
【0113】
下部積層体13-1の最深部にはフラットパネルディスプレイ(FPD)の表面と対面するように深部の表面支持体21-2が形成されており、この深部の表面支持体21-2はガラスあるいはポリカーボネートなどの透明性の高い部材から形成されている。
【0114】
下部積層体13-1において、深部の表面支持体21-2と下部電極支持体25-2とを接着するために、粘着剤層23-2が形成されている。
以上説明した下部積層体13-1もまた、本発明の積層体に該当する。
【0115】
また、上記貼り合わせ剤30として本発明の積層体における粘着剤層を構成する粘着剤が使用されることもある。
なお、上記透明導電膜27-1および27-2は、回路パターンとして形成されており、表面支持体21-1の上から指などで圧力を加えることにより、圧力が加わった部分の間隙34が消滅して透明導電膜27-1および27-2が接触して通電し、加圧部分を検知するように形成されている。
【0116】
抵抗膜方式のタッチパネルユニット10-1において、表面支持体21-1の厚さは通常は25〜2000μmであり、上部透明導電膜27-1の厚さは通常10〜100nmであり、上部電極支持体25-1の厚さは通常は25〜2000μmである。これらを積層する粘着剤層23-1の厚さは上述の通り、10〜1000μmの範囲内にある。
【0117】
同様に抵抗膜方式のタッチパネルユニットにおいて、深部の表面支持体21-2の厚さは通常は25〜2000μmであり、下部透明電膜27-2の厚さは通常10〜100nmであり、下部電極支持体25-2の厚さは通常は25〜2000μmである。これらを積層する粘着剤層23-2の厚さは上述の通り、10〜1000μmの範囲内にある。
【0118】
また、抵抗膜方式のタッチパネルユニット10-1において、中央に形成されている間隙34の幅は、通常は100〜300μmの範囲内にある。
他方、静電容量方式のタッチパネルユニット10-2は、
図2に示すように、一般にはガラス、ポリカーボネートなどの透明性の高い部材からなる中央支持体60を挟んで上部積層体15-1と下部積層体15-2とが対向配置された構造を有していることが多い。
【0119】
静電容量方式のタッチパネル10-2における上部積層体15-1では、中央支持体60に接触して透明導電膜57-1が配置されており、最表面には、カバーガラスあるいはポリエチレンテレフタレート(PET)等の光透過性部材からなる表面支持体51-1が配置されている。この透明導電膜57-1と表面支持体51-1とを接着するように粘着剤層53-1が配置されており、この粘着剤層53-1は、透明導電膜57-1と直接接触している。以上説明した上部積層体15-1が、本発明の積層体に相当する。
【0120】
一方、静電容量方式のタッチパネルユニット10-2における下部積層体15-2では、中央支持体60に接触して透明導電膜57-2が配置されており、最深部には、カバーガラスあるいはポリエチレンテレフタレート(PET)等の光透過性部材からなる表面支持体51-2が配置されている。この透明導電膜57-2と最深部の表面支持体51-2とを接着するように粘着剤層53-2が配置されており、この粘着剤層53-2は、透明導電膜57-2と直接接触している。以上説明した下部積層体15-2もまた、本発明の積層体に該当する。
【0121】
静電容量方式のタッチパネルユニット10-2において、最深部の表面支持体51-2は、フラットパネルディスプレイと対面するように配置される。
上記静電容量方式のタッチパネルユニット10-2において、上部表面支持体51-1の厚さは通常は25〜2000μm、上部透明導電膜57-1の厚さは通常は10〜100nmであり、両者を接着する粘着剤層53-1の厚さは上述のように10〜1000μmである。また下部積層体15-2において、下部透明導電膜57-2の厚さは通常は10〜100nmであり、最深部の表面支持体51-2の厚さは通常は25〜2000μmであり、両者を接着する粘着剤層53-2の厚さは上述のように10〜1000μmである。また、上記上部積層体15-1と下部積層体15-2との間にある中央支持体60の厚さは、通常は25〜2000μmの範囲内にある。
【0122】
なお、上部透明導電膜57-1および下部透明導電膜57-2は、回路パターンを形成している。また、
図2に示す静電容量方式のタッチパネルユニット10-2においては、上部積層体15-1および下部積層体15-2を、X軸方向およびY軸方向にそれぞれ独立に設けられた二系列の回路とすることにより、上部積層体15-1または下部積層体15-2の一方を省略することもできる。
【0123】
静電容量方式のタッチパネルにおいては、タッチパネルユニット10-2の表面に指が接触することによる接触部分の静電容量の変化を読み取ってタッチパネルを駆動させる。
上記のようなタッチパネルユニットには、例えば
図2にAで示す上部表面支持体51-1の縁部の、表面支持体51-1の粘着剤層53-1と接触する面に額縁印刷が施される。この額縁印刷部分を
図3に拡大して示す。
図3において額縁印刷部分は付番62で示されている。この額縁印刷部分62の厚さ(t
0)は通常10〜50μmであり、その断面はほぼ矩形に形成されている。粘着剤層53-1は、上述したように予め剥離ライナー上に形成された粘着剤層を導電層上に転写し、剥離ライナーを剥離して露出した粘着剤層の面に基材(表面支持体51-1)を貼着することなどにより形成されるので、粘着剤層が硬質で形態追従性に乏しいと、
図4(イ)に示すように額縁印刷部分62の端部であって表面支持体51-1との間に、粘着剤層53-1が表面支持体51-1および額縁印刷部分62の縁部のいずれにも接触していない空隙64が形成されてしまう。この部分は本来は
図4(ロ)に示すように、空隙64を形成せずに表面支持体51-1および額縁印刷部分62の縁部に粘着剤層53-1が密着しなければならない。
【0124】
しかしながら、従来のように重量平均分子量が40万〜160万のポリマーであり、しかも分子量分布が狭い粘着成分をベースにした粘着剤においては、こうした非常に微細な形態の変化に粘着剤層の形状が変化しきれずに、空隙64が形成されてしまうのである。
【0125】
表面支持体、粘着剤層および(支持体を有することもある)導電膜が積層された本発明の積層体を構成する粘着剤層53-1は、上述のように特定のモノマー(a-1)を共重合させた、重量平均分子量(Mw)が40万未満の(メタ)アクリル系ポリマー(A)を用いるので、これらをイソシアネート系化合物(B)で架橋して高い凝集力を付与した状態であっても、非常に優れた形態追従性を有しており、額縁印刷部分62の周辺に空隙64が形成されることがなく、発泡が抑制される。
【0126】
また、本発明のタッチパネルが、
図5に示すように支持体51-2としてポリカーボネート(PC)のようにアウトガスの発生し易い部材を用いた場合、例えば耐熱試験条件80℃で試験を行うと支持体からのアウトガスが発生して支持体と粘着剤層との間に気泡66を生じさせることがある。また、アウトガスが発生しない支持体を用いたとしても、支持体と粘着剤層との接着の際に泡68を巻き込むことがあり、温度変化によってこの気泡が成長すれば発泡原因となる。本発明のタッチパネルにおける粘着剤層は、特定の組成を有し、重量平均分子量(Mw)が40万未満の低分子量のポリマーを用いて高密度に架橋構造が形成されているので、粘着剤層が支持体(ミクロの視点で見ると凹凸を有している)や額縁印刷の印刷段差に充分に追従することができ、泡の巻き込みはほとんど発生せず、しかも前記ポリマー(A)をイソシアネート系化合物(B)で架橋しているので、粘着剤層は非常に高い凝集力を有しており、上記のようなアウトガスによる発泡および巻き込み気泡の成長による発泡を高い凝集力によって抑え込むことができる。従って、本発明のタッチパネルでは、上記のような発泡は殆ど観察されないようにすることができる。
【0127】
また、タッチパネルでは、耐久試験条件(60℃、90%RH)でタッチパネルを放置すると、
図6に示すように、支持体及び端部から水分が浸入することがある。温度が高い条件では、この浸入した水分が析出することはないが、温度が下がると浸入した水分が析出してタッチパネルが白化し、ヘイズが著しく低下する(
図6)。本発明のタッチパネルを形成する粘着剤層は、前述のようにポリマーの親水性が高く侵入した水分が粘着剤層中に安定に分散されるため、常温環境下に戻った際にも、侵入した水分が目に見える程度の液滴を形成することなく、白化現象によるヘイズの低下が極めて発生しにくい。
【0128】
さらに、本発明のタッチパネルにおける粘着剤層には酸性基が実質的に含有されていないので、金属あるいは金属酸化物からなる透明導電膜にこの粘着剤層が直接接触したとしても、透明電極膜の抵抗値の変化は最大でも10%以下であり、この変化量はタッチパネルを駆動させる上では全く問題にならない量である。
【0129】
上記のように本発明のタッチパネルは、粘着剤層として特定の組成を有する重量平均分子量5万以上40万未満で側鎖にイソシアネート系化合物を介してベンゾトリアゾール基が結合した、架橋(メタ)アクリル系ポリマーを有する粘着剤層を用いて、表面支持体(基材)と導電層(例:透明導電膜)とを粘着しており、前記粘着剤層は優れた金属耐腐食性を有しており、側鎖のベンゾトリアゾール系化合物により導電膜への密着性が高く、巻き込みによる発泡およびアウトガスによる発泡の両者を抑えることができ、さらにアルコキシアルキル(メタ)アクリレートのアルコキシ部分の影響で、粘着剤層が白化してヘイズが低下することもほとんどない。
【0130】
特に本発明のタッチパネルは、(メタ)アクリル系ポリマー(A)にイソシアネート系化合物を介してベンゾトリアゾール系化合物(C)が導入されており、この(メタ)アクリル系ポリマー(A)自体に防錆性が賦与されている。酸性基を有しておらず、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートなど導電膜に対して積極的に錆を発生させる作用を有しない粘着剤を用いたとしても、導電膜(ITO)の電気抵抗値の変化率は8%程度に抑えるのが現状の最新の技術である。これに対して本発明によれば、粘着剤の主成分である(メタ)アクリル系ポリマー(A)自体に防錆性を賦与することにより、従来8%程度が限度であった導電膜(ITO)の電気抵抗値の変化率を2%以下に抑えることが可能になった。しかも、本発明の導電膜用粘着シートを用いることにより、架橋構造が形成されると共に防錆性が賦与された(メタ)アクリル系ポリマー(A)の導電膜に対する親和性が向上し、粘着シートとITOとの粘着強度は30〜40%向上するとの効果も認められる。
【実施例】
【0131】
次に本発明の実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが本発明はこれらによって限定されるものではない。
以下に示す方法により、粘着剤の重量平均分子量、ゲル分率、不揮発分、湿熱白化性、耐熱発泡性、ITO腐食性、塗工性、作業性、段差追従性、接着強度を測定した。
【0132】
〔測定方法〕
<分子量>
分子量はゲルパーミエ-ションクロマトグラフィー(GPC)を用いて下記の条件で標準ポリスチレン換算による重量平均分子量を求めた。
GPCの測定条件
測定装置HCL-8120GPC(東ソー(株)製)
GPCカラム構成、以下に記載する五連のカラム(全て東ソー(株)製)を用いた。
(1)TSK-DEL HXL-H〔ガードカラム〕
(2)TSK-DEL G7000HXL
(3)TSK-DEL GMHXL
(4)TSK-DEL GMHXL
(5)TSK-DEL G2500HXL
サンプル濃度1.0mg/cm
3となるようにテトラヒドロフランで希釈
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0mg/cm
3
カラム温度:40℃
【0133】
<ゲル分率>
23℃で7日間熟成後の粘着剤約0.1gをサンプル瓶に採取し、酢酸エチル30ccを加えて4時間振盪させた後、このサンプル瓶の内容物を200メッシュのステンレス製金網で濾過し、金網状の残留物を100℃で2メッシュのステンレス製金網で濾過し、金網上の残留物を100℃で2時間乾燥させて乾燥重量を測定し、次式によりゲル分率を求めた。
ゲル分率(%)=(乾燥重量/粘着剤採取重量)×100
【0134】
<白化(ヘイズ)>
得られた粘着シートの片面の剥離シートを剥がして厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに貼り合わせて、50mm×50mmのサイズに裁断した。
【0135】
次いでもう一方の剥離フィルムを剥がして、厚み1.5mmのPC板に貼り合わせて試験片を作成した。
作成した試験片の耐久試験前のヘイズを測定した後、60℃90%RH環境下、および、85℃、85%RH環境下にそれぞれ静置した。24時間後試験片を取り出し、常温下で1時間放置した後ヘイズを測定し、耐久試験前のヘイズ値との差を求めた。
ヘイズの測定は、MH-150(村上色彩研究所(株)製)を用いた。
【0136】
<発泡>
得られた粘着シートの片面の剥離シートを剥がし、ITOを蒸着した厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに貼り合わせて試験片を作成した。
【0137】
次いで、もう一方の剥離フィルムを剥がして、厚み1.5mmのPC板に貼り合わせて試験片を作成した。
作成した試験片の試験前のヘイズを測定した後、60℃、90%RH、85℃ドライ環境下、および85℃85%の環境下にそれぞれ放置した。500時間後試験片を取り出し、常温で1時間静置した後、目視で発泡の有無を確認した。
ヘイズの測定は、MH-150(村上色彩研究所(株)製)を用いた。
【0138】
<段差追従性>
得られた粘着シート(粘着剤厚さ50μm)の片面の剥離処理されたPETフィルムを剥がし、25μm厚のPETフィルムを貼り合わせ50mm×50mmに裁断して試験片を作成した。
【0139】
次いで25mm×25mmに裁断した10μmPETフィルムをガラス板上に置き、作成した試験片のもう一方の剥離処理されたPETフィルムを剥がし、ガラス板上のPETフィルムを全面を覆うように貼り付け80℃環境下に500時間静置した後常温下に1時間静置し,段差部分の外観を観察した。
【0140】
<塗工性>
得られた粘着剤組成物を、乾燥後の厚さが250μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗工した。塗工後、塗膜の外観を目視で観察した。
評 価 内 容
○・・塗膜表面にスジ、気泡などの外観以上が見られる。
×・・塗膜表面が平滑で外観異常がない。
【0141】
〔実施例1〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)36重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0142】
次いで、アゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.005重量部を加え、窒素雰囲気下70℃で反応を開始し、反応途中でアゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0143】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量35万のアクリル系ポリマー(1)を得た。
得られたアクリル系ポリマーに表1に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学(株)製)0.6重量部、ベンゾトリアゾール(BT)1重量部を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して23℃で7日間養生した。
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐PC発泡、ITOの抵抗変化率および対ITO接着力を表1に示す。
【0144】
〔実施例2〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)36重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0145】
次いで、アゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.005重量部を加え、窒素雰囲気下70℃で反応を開始し、反応途中でアゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0146】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量35万のアクリル系ポリマーを得た。
これとは別に、イソシアネート系硬化剤(タケネートN-110N、三井化学(株)製)1重量部に対して1.67重量部のベンゾトリアゾールを加えて均一に混合したイソシアネート-BT混合液を調製した。
【0147】
上記のようにして得られたイソシアネート-ベンゾトリアゾール(BT)混合液中のイソシアネート系硬化剤の量が、アクリル系ポリマー(2)の固形分100重量部に対して0.6重量部になり、ベンゾトリアゾール(BT)が、アクリル系ポリマー(2)の固形分100重量部に対して、1重量部になるように、イソシアネート-ベンゾトリアゾール(BT)混合液をアクリル系ポリマー反応液に加えて均一に溶解して塗布液を調製した。この塗布液を剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して23℃で7日間養生した。
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐PC発泡、ITOの抵抗変化率および対ITO接着力を表1に示す。
【0148】
〔実施例3〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)38重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部およびメチルエチルケトン(MEK)50重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0149】
次いで、アゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.005重量部を加え、窒素雰囲気下70℃で反応を開始し、反応途中でアゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0150】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量35万のアクリル系ポリマーを得た。
これとは別に、攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メチルメタクリレート(MMA)95重量部、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DM)5重量部および酢酸エチル(EtAc)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)20重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら85℃に昇温した。
【0151】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2重量部を加え、窒素雰囲気下、70℃で5時間重合反応を行った。
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)にて希釈し、固形分濃度30%に調整し、低分子量アクリル系ポリマー1(低分子量体1)を得た。得られた低分子量体についてFoxの式により求めたガラス転移温度(Tg)は、−43.5℃であり、重量平均分子量(Mw)は、1万であった。
【0152】
上記アクリル系ポリマー(3)100重量部に対して上記のようにして得られた低分子量体5重量部を加え、さらに表1に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学(株)製)0.6重量部、ベンゾトリアゾール(BT)1重量部を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して23℃で7日間養生した。
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐PC発泡、ITOの抵抗変化率および対ITO接着力を表1に示す。
【0153】
〔実施例4〕
実施例3において調製したメトキシエチルアクリレート(MEA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)38重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部のアクリル系ポリマーの共重合体の代わりに、実施例2で調製したメトキシエチルアクリレート(MEA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)36重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部からなるアクリル系ポリマーを使用した以外は実施例3と同様にして塗布用の組成物を調製し、この塗布用組成物を用いて実施例1と同様にして剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して23℃で7日間養生した。
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐PC発泡、ITOの抵抗変化率および対ITO接着力を表1に示す。
【0154】
〔実施例5〕
実施例4において、ベンゾトリアゾール(BT)の代わりに、メチルベンゾトリアゾールを用いた以外は同様にして塗布用の組成物を調製し、この塗布用組成物を用いて実施例1と同様にして剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して23℃で7日間養生した。
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐PC発泡、ITOの抵抗変化率および対ITO接着力を表1に示す。
【0155】
〔比較例1〕
実施例1において、ベンゾトリアゾ-ル(BT)を使用しなかった以外は同様にして塗布用組成物を調製し、この塗布用組成物を用いて実施例1と同様にして剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して23℃で7日間養生した。
【0156】
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐PC発泡、ITOの抵抗変化率および対ITO接着力を表1に示す。
【0157】
【表1】
【0158】
〔実施例6〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、エトキシジエチレングリコールアクリレート(ECA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)36重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部、アクリルアミド(AM)2重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0159】
次いで、アゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.005重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0160】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量35万のアクリル系ポリマーを得た。
得られたアクリル系ポリマーに表2に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学化学(株)製)0.6重量部、ベンゾトリアゾール(BT)1重量部を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して23℃で7日間養生した。
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐PC発泡、ITOの抵抗変化率および対ITO接着力を表2に示す。
【0161】
〔実施例7〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)36重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)7重量部、ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEM)2重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0162】
次いで、アゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.005重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0163】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量35万のアクリル系ポリマーを得た。
得られたアクリル系ポリマーに表2に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学化学(株)製)0.6重量部、ベンゾトリアゾール(BT)1重量部を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して23℃で7日間養生した。
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐PC発泡、ITOの抵抗変化率および対ITO接着力を表2に示す。
【0164】
〔実施例8〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)36重量部、n-ビニルピロリドン(AM)2重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0165】
次いで、アゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.005重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0166】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量35万のアクリル系ポリマーを得た。
得られたアクリル系ポリマーに表2に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学化学(株)製)0.6重量部、ベンゾトリアゾール(BT)1重量部を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して23℃で7日間養生した。
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐PC発泡、ITOの抵抗変化率および対ITO接着力を表2に示す。
【0167】
〔実施例9〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)36重量部、アクリロイルモルホリン(ACMO)2重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0168】
次いで、アゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.005重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0169】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量35万のアクリル系ポリマーを得た。
得られたアクリル系ポリマーに表2に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学化学(株)製)0.6重量部、ベンゾトリアゾール(BT)1重量部を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して23℃で7日間養生した。
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐PC発泡、ITOの抵抗変化率および対ITO接着力を表2に示す。
【0170】
〔実施例10〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)91重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0171】
次いで、アゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.005重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0172】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量35万のアクリル系ポリマーを得た。
得られたアクリル系ポリマーに表2に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学化学(株)製)0.6重量部、ベンゾトリアゾール(BT)1重量部を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して23℃で7日間養生した。
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐PC発泡、ITOの抵抗変化率および対ITO接着力を表2に示す。
【0173】
〔実施例11〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)37.5重量部、アクリルアミド(AM)0.5重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0174】
次いで、アゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.005重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0175】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量35万のアクリル系ポリマーを得た。
得られたアクリル系ポリマーに表2に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学化学(株)製)0.6重量部、ベンゾトリアゾール(BT)1重量部を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して23℃で7日間養生した。
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐PC発泡、ITOの抵抗変化率および対ITO接着力を表2に示す。
【0176】
〔実施例12〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)34重量部、アクリルアミド(AM)4重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0177】
次いで、アゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.005重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0178】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量35万のアクリル系ポリマーを得た。
得られたアクリル系ポリマーに表2に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学化学(株)製)0.6重量部、ベンゾトリアゾール(BT)1重量部を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して23℃で7日間養生した。
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐PC発泡、ITOの抵抗変化率および対ITO接着力を表2に示す。
【0179】
〔実施例13〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)36重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、4-ヒドロキシブチルアクリレート(4-HBA)7重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0180】
次いで、アゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.005重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0181】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量35万のアクリル系ポリマーを得た。
得られたアクリル系ポリマーに表2に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学化学(株)製)0.6重量部、ベンゾトリアゾール(BT)1重量部を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して23℃で7日間養生した。
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐PC発泡、ITOの抵抗変化率および対ITO接着力を表2に示す。
【0182】
〔実施例14〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)41重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)2重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0183】
次いで、アゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.005重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0184】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量35万のアクリル系ポリマーを得た。
得られたアクリル系ポリマーに表2に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学化学(株)製)0.6重量部、ベンゾトリアゾール(BT)1重量部を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して23℃で7日間養生した。
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐PC発泡、ITOの抵抗変化率および対ITO接着力を表2に示す。
【0185】
〔実施例15〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)33重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)10重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0186】
次いで、アゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.005重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0187】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量35万のアクリル系ポリマーを得た。
得られたアクリル系ポリマーに表2に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学化学(株)製)0.6重量部、ベンゾトリアゾール(BT)1重量部を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して23℃で7日間養生した。
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐PC発泡、ITOの抵抗変化率および対ITO接着力を表2に示す。
【0188】
〔実施例16〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)36重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0189】
次いで、アゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.01重量部、およびn−ドデシルメルカプタン(NDM)0.1重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0190】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量9万のアクリル系ポリマーを得た。
得られたアクリル系ポリマーに表2に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学化学(株)製)0.6重量部、ベンゾトリアゾール(BT)1重量部を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して23℃で7日間養生した。
【0191】
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐PC発泡、ITOの抵抗変化率および対ITO接着力を表2に示す。
【0192】
【表2】
【0193】
〔比較例2〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)31重量部、ブチルアクリレート(BA)60重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0194】
次いで、アゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.005重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0195】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量35万のアクリル系ポリマーを得た。
得られたアクリル系ポリマーに表3に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学化学(株)製)0.6重量部を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して23℃で7日間養生した。
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐PC発泡、ITOの抵抗変化率および対ITO接着力を表3に示す。
【0196】
〔比較例3〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)31重量部、2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)60重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0197】
次いで、アゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.005重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0198】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量35万のアクリル系ポリマーを得た。
得られたアクリル系ポリマーに表3に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学化学(株)製)0.6重量部を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して23℃で7日間養生した。
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐PC発泡、ITOの抵抗変化率および対ITO接着力を表3に示す。
【0199】
〔比較例4〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、ブチルアクリレート(BA)91重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0200】
次いで、アゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.005重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0201】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量35万のアクリル系ポリマーを得た。
得られたアクリル系ポリマーに表3に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学化学(株)製)0.6重量部を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して23℃で7日間養生した。
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐PC発泡、ITOの抵抗変化率および対ITO接着力を表3に示す。
【0202】
〔比較例5〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)91重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0203】
次いで、アゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.005重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0204】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量35万のアクリル系ポリマーを得た。
得られたアクリル系ポリマーに表3に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学化学(株)製)0.6重量部を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して23℃で7日間養生した。
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐PC発泡、ITOの抵抗変化率および対ITO接着力を表3に示す。
【0205】
〔比較例6〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)38重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0206】
次いで、アゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.005重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0207】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量35万のアクリル系ポリマーを得た。
得られたアクリル系ポリマーに表3に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学化学(株)製)0.6重量部を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して23℃で7日間養生した。
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐PC発泡、ITOの抵抗変化率および対ITO接着力を表3に示す。
【0208】
〔比較例7〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)32重量部、アクリルアミド(AM)6重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0209】
次いで、アゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.005重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0210】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量35万のアクリル系ポリマーを得た。
得られたアクリル系ポリマーに表3に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学化学(株)製)0.6重量部を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して23℃で7日間養生した。
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐PC発泡、ITOの抵抗変化率および対ITO接着力を表3に示す。
【0211】
〔比較例8〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)32重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部および酢酸エチル45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0212】
次いで、アゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.05重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0213】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量60万のアクリル系ポリマーを得た。
得られたアクリル系ポリマーに表3に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学化学(株)製)0.6重量部を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して23℃で7日間養生した。
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐PC発泡、ITOの抵抗変化率および対ITO接着力を表3に示す。
【0214】
〔比較例9〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)35重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部、アクリル酸1重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0215】
次いで、アゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.005重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾイソビスブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0216】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量35万のアクリル系ポリマーを得た。
得られたアクリル系ポリマーに表3に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学化学(株)製)0.6重量部を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して23℃で7日間養生した。
【0217】
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐PC発泡、ITOの抵抗変化率および対ITO接着力を表3に示す。
【0218】
【表3】