【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、特にセラミック焼結部品の製造が意図された顆粒を含む粉末であって、前記粉末は、乾燥物質に基づいて、重量による以下の化学組成:
− 100%となるまでの残分のZrO
2;
− Y
2O
3、Sc
2O
3、MgO、CaO、CeO
2、およびそれらの混合物から形成される群から選択されるジルコニア安定剤であって、ジルコニアおよび安定剤の含有
量の合計を基準とした安定剤の重量による含有率は、2.0%〜20%の間であり、MgO+CaOの重量を基準とした含有率は、ジルコニアおよび安定剤の含有
量の合計を基準として5.0%未満であり;
− 少なくとも1.0%の、25℃以下のガラス転移温度(Tg)を示す第1のバインダー;
− 0〜4.0%の、25℃より高いガラス転移温度を示す追加のバインダー;
− 0〜5.0%のアルミナ;
− 第1のバインダーおよび追加のバインダー以外の0〜4.0%の一時的添加剤であって、前記第1のバインダー、前記追加のバインダーおよび前記一時的添加剤の合計含有率が9.0%未満である、一時的添加剤;
− 2.0%未満の不純物;
を示し、
前記顆粒のメジアン直径D
50が80〜130μmの間であり、パーセンタイルD
99.5が500μm未満であり、顆粒の相対密度が30%〜60%の間である、粉末を提供する。
【0008】
好ましくは、80%を超え、90%を超え、さらには実質的に100%の顆粒が、本発明の粉末の組成による組成を示す。
【0009】
本明細書の説明の続きでより詳細に示されるように、本発明者らは、第1のバインダーと、追加のバインダーと、一時的添加剤との全含有率が9.0%未満に制限されるのであれば、本発明による顆粒の特定のサイズ分布によって、優れた機械的性能を得ることが可能なことを発見した。これは本発明者らが、メジアン直径に比例してバインダー含有率が増加する通常の実施に反して、請求されるメジアン直径範囲において、第1のバインダーの含有率を比較的低く維持することが好都合なことを発見したからである。特に、本発明者らは、第1のバインダーの含有率のこの制限によって、永久的な内部欠陥、すなわち前記顆粒をプレス成形することによって得られるプリフォームの焼結中に除去されない欠陥の発生が制限されることを発見した。
【0010】
本発明者らは、グリーン状態における機械的強度を改善するために高いガラス転移温度を示すバインダーを加える通常の実施に反して、25℃未満のガラス転移温度を示すバインダーを選択すると好都合であることをも見いだした。これは、本発明者らは、この種類のバインダーがプレス成形中の顆粒の変形を促進するが、グリーン状態におけるそれらの機械的強度を容認できないほど低下させることはないことを発見したからである。
【0011】
低いガラス転移温度を示すバインダーの使用は、グリーン状態における機械的強度がバインダーのガラス転移温度とともに低下すると考えることによる技術的予想とは逆になっている。
【0012】
本発明による粉末は、以下の任意選択で好ましい性質の1つ以上をも含むことができる:
【0013】
− 顆粒の相対密度は40%〜50%の間である。
【0014】
− 前記安定剤の含有率は、ZrO
2、Y
2O
3、Sc
2O
3、MgO、CaO、およびCeO
2の合計を基準として、15%未満、好ましくは12%未満、好ましくは10%未満、好ましくは8%未満、好ましくは6.5%未満、かつ/または4%を超える。
【0015】
− 前記安定剤の含有率、ジルコニアおよび安定剤の含有率の合計を基準として、15%未満、好ましくは12%未満、好ましくは10%未満、好ましくは8%未満、好ましくは6.5%未満、かつ/または4%を超える。
【0016】
− 顆粒は、メジアン直径が0.8μm未満、好ましくは0.5μm未満である前記安定剤の粒子を含む。
【0017】
− 前記安定剤の少なくとも一部は、同等量の前記安定剤の前駆体で置換される。
【0018】
− 顆粒は、メジアン直径(D
50)が1μm未満、好ましくは0.8μm未満、さらには0.5μm未満であるジルコニア粒子を含む。
【0019】
− 顆粒はアルミナAl
2O
3を含み、アルミナの含有率は、好ましくは0.1%を超え、好ましくは0.2%を超え、かつ/または2%未満、好ましくは1%未満、より好ましくは0.6%未満である。
【0020】
− 第1のバインダーは、−30℃より高く、かつ/または20℃未満、好ましくは15℃未満のガラス転移温度を示す。
【0021】
− 第1のバインダーは、非晶質有機ポリマー、ポリアクリル樹脂、純粋なアクリレートに基づくポリマー、アクリレートおよびスチレンに基づくコポリマー、ならびにそれらのブレンドから選択される。好ましくは、第1のバインダーは、ポリアクリル樹脂、純粋なアクリレートに基づくポリマー、アクリレートおよびスチレンに基づくコポリマー、ならびにそれらのブレンドから選択される。より好ましくは、第1のバインダーは、ポリアクリル樹脂、アクリレートおよびスチレンに基づくコポリマー、ならびにそれらのブレンドから選択される。
【0022】
− 好ましくは、ジルコニアおよび/または第1のバインダーおよび/または追加のバインダーおよび/または一時的添加剤、好ましくはジルコニアおよび第1のバインダーおよび追加のバインダーおよび一時的添加剤は、粉末の顆粒中に均一に分散する。
【0023】
− 第1のバインダーおよび/または追加のバインダーは、無機元素を含まないポリマーから選択される。
【0024】
− 一時的添加剤の含有率は1%未満である。好ましくは、一時的添加剤は、分散剤または界面活性剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤、潤滑剤、およびそれらの混合物から好ましくは選択される有機添加剤である。
【0025】
− 不純物の含有率は、1.0%未満、好ましくは0.5%未満、さらには0.3%未満、さらには0.1%未満である。好ましくは、不純物は酸化物である。
【0026】
− 粉末のメジアン直径(D
50)は90μmを超え、かつ/または120μm未満である。
【0027】
− 10パーセンタイル(D
10)は、40μmを超え、好ましくは50μmを超え、より好ましくは60μmを超える。
【0028】
− 90パーセンタイル(D
90)は、300μm未満、好ましくは250μm未満、より好ましくは200μm未満である。
【0029】
− 99.5パーセンタイル(D
99.5)は、400μm未満、より好ましくは300μm未満である。
【0030】
好都合な一実施形態では、安定剤はY
2O
3、Sc
2O
3、およびそれらの混合物から形成される群から選択され、前記安定剤の含有率は、ジルコニアおよび安定剤の重量による含有率の合計を基準として6.5%未満である。
【0031】
好都合な一実施形態では、安定剤はMgO、CaO、およびそれらの混合物から形成される群から選択され、前記安定剤の含有率は、ジルコニアおよび安定剤の重量による含有率の合計を基準として4%未満である。
【0032】
好都合な一実施形態では、安定剤はCeO
2であり、前記安定剤の含有率は、ジルコニアおよび安定剤の重量による含有率の合計を基準として、10%を超えかつ15%未満である。
【0033】
好都合な一実施形態では、安定剤はY
2O
3、CeO
2、およびそれらの混合物から形成される群から選択され、好ましくはジルコニアおよび安定剤の重量による含有率の合計を基準としたパーセント値で10%≦3.Y
2O
3+CeO
2≦20%の関係に従う。
【0034】
好都合な一実施形態では、安定剤はY
2O
3であり、すなわち顆粒は安定剤としてY
2O
3のみを含む。特にこの実施形態では、Y
2O
3の含有率は、ジルコニアおよび安定剤の重量による含有率の合計を基準として好ましくは3%を超え、好ましくは4%を超え、好ましくは4.5%を超え、かつ/または6.5%未満、好ましくは5.5%未満である。
【0035】
顆粒は、安定化ジルコニア、あるいは安定化または非安定化ジルコニア粒子および前記安定剤粒子の混合物、あるいは安定化または非安定化ジルコニアと前記安定剤とが均質に混合された粒子の混合物を含むことができる。一実施形態では、顆粒は、安定化または非安定化ジルコニアと安定剤とが均質に混合された粒子を含む。好ましくは、顆粒は、ジルコニアが安定化された粒子、すなわち安定剤がジルコニア粒子中の固溶体中に存在する粒子を含む。好ましくは、顆粒は、安定化ジルコニアとアルミナとが均質に混合された粒子を含む。
【0036】
第1の特定の実施形態では、安定剤はY
2O
3であり、安定剤の含有率は、ジルコニアおよび安定剤の重量による含有率の合計を基準として4.5%〜5.5%の間であり、アルミナの含有率は0.1%を超えかつ1%未満、好ましくは0.25%に実質的に等しく、第1のバインダーの含有率は2.5%〜4%の間であり、不純物の含有率は、乾燥物質を基準とした重量パーセント値で0.5%未満、好ましくは0.1%未満であり、残留含水率は、湿潤粉末を基準とした重量パーセント値で0.2%〜1%の間、好ましくは0.2%〜0.6%の間である。
【0037】
第2の特定の実施形態では、安定剤はY
2O
3であり、安定剤の含有率は、ジルコニアおよび安定剤の重量による含有率の合計を基準として4.5%〜5.5%の間であり、アルミナの含有率は0.1%を超えかつ1%未満、好ましくは0.25%に実質的に等しく、第1のバインダーの含有率は2.5%〜4%の間であり、追加のバインダーの含有率は0.5%〜2%の間、好ましくは0.5%〜1%の間であり、不純物の含有率は、乾燥物質を基準とした重量パーセント値で0.5%未満、好ましくは0.1%未満であり、残留含水率は、湿潤粉末を基準とした重量パーセント値で0.2%〜1%の間、好ましくは0.2%〜0.6%の間である。
【0038】
第3の特定の実施形態では、安定剤はY
2O
3であり、安定剤の含有率は、ジルコニアおよび安定剤の重量による含有率の合計を基準として4.5%〜5.5%の間であり、アルミナの含有率は0.1%を超えかつ1%未満、好ましくは0.25%に実質的に等しく、第1のバインダーの含有率は2.5%〜4%の間であり、追加のバインダーの含有率は0.5%〜2%の間、好ましくは0.5%〜1%の間であり、一時的添加剤の含有率は0.5%〜1%の間であり、不純物の含有率は、乾燥物質を基準とした重量パーセント値で0.5%未満、好ましくは0.1%未満であり、残留含水率は、湿潤粉末を基準とした重量パーセント値で0.2%〜1%の間、好ましくは0.2%〜0.6%の間である。
【0039】
第4の特定の実施形態では、ジルコニア安定剤はCeO
2であり、安定剤の含有率は、ジルコニアおよび安定剤の重量による含有率の合計を基準として10%〜15%の間であり、アルミナの含有率は0.1%を超えかつ1%未満、好ましくは0.25%に実質的に等しく、第1のバインダーの含有率は2.5%〜4%の間であり、不純物の含有率は、乾燥物質を基準とした重量パーセント値で0.5%未満、好ましくは0.1%未満であり、残留含水率は、湿潤粉末を基準とした重量パーセント値で0.2%〜1%の間、好ましくは0.2%〜0.6%の間である。
【0040】
第5の特定の実施形態では、ジルコニア安定剤はCeO
2であり、安定剤の含有率は、ジルコニアおよび安定剤の重量による含有率の合計を基準として10%〜15%の間であり、アルミナの含有率は、0.1%を超えかつ1%未満、好ましくは0.25%に実質的に等しく、第1のバインダーの含有率は2.5%〜4%の間であり、追加のバインダーの含有率は0.5%〜2%の間、好ましくは0.5%〜1%の間であり、不純物の含有率は、乾燥物質を基準とした重量パーセント値で0.5%未満、好ましくは0.1%未満であり、残留含水率は、湿潤粉末を基準とした重量パーセント値で0.2%〜1%の間、好ましくは0.2%〜0.6%の間である。
【0041】
第6の特定の実施形態では、ジルコニア安定剤はCeO
2であり、安定剤の含有率は、ジルコニアおよび安定剤の重量による含有率の合計を基準として10%〜15%の間であり、アルミナの含有率は0.1%を超えかつ1%未満、好ましくは0.25%に実質的に等しく、第1のバインダーの含有率は2.5%〜4%の間であり、追加のバインダーの含有率は0.5%〜2%の間、好ましくは0.5%〜1%の間であり、一時的添加剤の含有率は0.5%〜1%の間であり、不純物の含有率は、乾燥物質を基準とした重量パーセント値で0.5%未満、好ましくは0.1%未満であり、残留含水率は、湿潤粉末を基準とした重量パーセント値で0.2%〜1%の間、好ましくは0.2%〜0.6%の間である。
【0042】
第7の特定の実施形態では、ジルコニア安定剤はY
2O
3とCeO
2との混合物であり、Y
2O
3の含有率は、ジルコニアおよび安定剤の重量による含有率の合計を基準として1%〜2%の間であり、CeO
2の含有率は、ジルコニアおよび安定剤の重量による含有率の合計を基準として11%〜13%の間であり、アルミナの含有率は0.1%を超えかつ1%未満、好ましくは0.25%に実質的に等しく、第1のバインダーの含有率は2.5%〜4%の間であり、不純物の含有率は、乾燥物質を基準とした重量パーセント値で0.5%未満、好ましくは0.1%未満であり、残留含水率は、湿潤粉末を基準とした重量パーセント値で0.2%〜1%の間、好ましくは0.2%〜0.6%の間である。
【0043】
第8の特定の実施形態では、ジルコニア安定剤はY
2O
3とCeO
2との混合物であり、Y
2O
3の含有率は、ジルコニアおよび安定剤の重量による含有率の合計を基準として1%〜2%の間であり、CeO
2の含有率は、ジルコニアおよび安定剤の重量による含有率の合計を基準として11%〜13%の間であり、アルミナの含有率は0.1%を超えかつ1%未満、好ましくは0.25%に実質的に等しく、第1のバインダーの含有率は2.5%〜4%の間であり、追加のバインダーの含有率は0.5%〜2%の間、好ましくは0.5%〜1%の間であり、不純物の含有率は、乾燥物質を基準とした重量パーセント値で0.5%未満、好ましくは0.1%未満であり、残留含水率は、湿潤粉末を基準とした重量パーセント値で0.2%〜1%の間、好ましくは0.2%〜0.6%の間である。
【0044】
第9の特定の実施形態では、ジルコニア安定剤はY
2O
3とCeO
2との混合物であり、Y
2O
3の含有率は、ジルコニアおよび安定剤の重量による含有率の合計を基準として1%〜2%の間であり、CeO
2の含有率は、ジルコニアおよび安定剤の重量による含有率の合計を基準として11%〜13%の間であり、アルミナの含有率は、0.1%を超えかつ1%未満、好ましくは0.25%に実質的に等しく、第1のバインダーの含有率は2.5%〜4%の間であり、追加のバインダーの含有率は0.5%〜2%の間、好ましくは0.5%〜1%の間であり、一時的添加剤の含有率は0.5%〜1%の間であり、不純物の含有率は、乾燥物質を基準とした重量パーセント値で0.5%未満、好ましくは0.1%未満であり、残留含水率は、湿潤粉末を基準とした重量パーセント値で0.2%〜1%の間、好ましくは0.2%〜0.6%の間である。
【0045】
好ましくは、本発明による粉末は、スリップの噴霧によって、好ましくは後述の段階a)〜d)を含む方法により製造される。
【0046】
このような方法は、好都合には、60%未満、さらには50%未満の相対密度を示す顆粒の製造が可能となる。
【0047】
本発明は、焼結部品の製造方法であって:
A)出発投入材料を形成するための出発物質を混合する段階と、
B)プリフォームを得るために前記出発投入材料を成形する段階と、
C)場合により前記プリフォームを機械加工する段階と、
D)前記焼結部品を得るように前記プリフォームを焼結する段階と、
E)場合により、前記焼結部品の機械加工および/または粉砕を行う段階と
を含む方法にも関し、
この方法は、出発投入材料が本発明による顆粒を含む粉末を含むことが注目される。
【0048】
本発明は、本発明による製造方法の少なくとも段階A)およびB)、さらにはC)を含む方法を実施することによって得られるプリフォームにも関する。
【0049】
本発明は、本発明によりプリフォームを焼結し、場合により機械加工して得られるセラミック焼結部品にも関する。特に、焼結部品の全ての寸法が2cmを超えることができる。
【0050】
定義
− 「バインダー」は、乾燥後に、破壊が生じることなく、取り扱いが可能となる、たとえばある容器から別の容器に移すことが可能となる、または金型中に入れることが可能となる(特に工業条件下で)凝集力を示す顆粒を形成することが、好適な量で、造粒作業中に可能となる構成要素を意味するものと理解される。好ましくは、この凝集力は、少なくともポリマーバインダーを使用して得られるものである。造粒作業は、限定されず、特に噴霧または造粒機の使用を含む。したがって、本発明は、噴霧によって製造された顆粒に限定されるものではない。
【0051】
− 「一時的添加剤」は、1000℃以上の温度にさらされたとき、たとえば1000℃以上の温度における焼結作業中に、除去される構成要素を意味するものと理解されたい。
【0052】
− 構成要素の前駆体は、本発明による粉末から得られたプリフォームの焼結中に、その構成要素を得ることができる化合物である。この構成要素の前駆体の「同等」量を、構成要素の代わりに使用すると、本発明による粉末を焼結することによって得られる焼結製品中の前記構成要素の量は変化しない。
【0053】
− 「不純物」は、不本意でありやむを得ず出発物質とともに導入されるか、これらの構成要素との反応によって生じるかである不可避の構成要素を意味するものと理解される。不純物は、必要な構成要素ではなく、単に許容される構成要素である。
【0054】
− 「顆粒」は、粒子の凝集体を意味するものと理解され、前記凝集体は0.6を超える球形度指数を示し、すなわち実質的に球形で提供される。
【0055】
− 顆粒の「球形度指数」は、その最小直径のその最大直径に対する比を意味するものと理解され、この直径は、たとえば10倍の倍率の光学顕微鏡法によって撮影された写真上で測定される。
【0056】
− 顆粒を含む粉末の「ゆるめかさ密度」(loose packed density)は、体積が既知の前記粉末の重量を前記体積で割って得られる値に等しい比を意味するものと理解され、この体積は、振動を避けながら粉末を自由落下させることによって満たされる。ゆるめかさ密度は規格NF EN 725−9に準拠して測定され、g/cm
3の単位で表される。
【0057】
− 顆粒を含む粉末の「絶対密度」は、閉気孔が全く残留しなくなるように微細に粉砕した後の前記粉末の乾燥物質の重量を、粉砕後のこの重量の体積で割った値に等しい比を意味するものと慣習的に理解されている。これはヘリウム比重測定法によって測定することができる。
【0058】
− 顆粒を含む粉末の「真密度」は、この粉末の各顆粒のかさ密度の平均を意味するものと理解される。
【0059】
− 顆粒の「かさ密度」は、顆粒の重量を、前記顆粒が占める体積で割った値に等しい比を意味するものと慣習的に理解されている。
【0060】
− 顆粒を含む粉末の「相対密度」は、真密度を絶対密度で割った値に等しい比を意味するものと理解され、パーセント値で表される。
【0061】
− バインダーの「ガラス転移温度」は、前記バインダーが徐々により粘稠になり液体状態から固体状態に変化する「転移領域」として知られる温度範囲の中央を意味するものと慣習的に理解されている。ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)によって測定することができる。主要な種類のポリマーのガラス転移温度の一覧が、Polymer Handbook(4
th edition)1999;2005 John Wiley & Sonsに示されている。転移範囲の広さは、慣習的には約5〜10℃である。
【0062】
− 粉末の10(D
10)、50(D
50)、および90(D
90)のパーセンタイルまたは「百分位数」は、粉末の粒度の累積粒度分布曲線上のそれぞれ10%、50%、および90%の重量パーセント値に対応する粒度であり、粒度は、増加する順序で分類される。たとえば、粉末の顆粒の10重量%は、D
10未満の粒度を有し、顆粒の90重量%はD
10よりも大きい粒度を有する。粒度およびパーセンタイルは、レーザー粒度測定器を使用して得られる粒度分布を用いて決定することができる。50パーセンタイルD
50は、慣習的に「メジアン直径」とも呼ばれている。
【0063】
− 「有機構成要素」は、炭素、酸素、窒素、および水素の元素のみを含む構成要素を意味するものと慣習的に理解されている。
【0064】
− ジルコニア粒子源中では、HfO
2をZrO
2から化学的に分離することができない。したがって「ZrO
2」は、慣習的に、これら2つの酸化物の全含有率を意味する。本発明によると、HfO
2は、出発投入材料に故意に加えられることはない。したがってHfO
2は、微量の酸化ハフニウムのみを意味し、この酸化物は常に5%未満、さらには2%未満の含有率でジルコニア源中に本来存在する。したがって明確にするために、ジルコニアおよび微量の酸化ハフニウムの含有率は、区別することなく、「ZrO
2+HfO
2」または「ZrO
2」または「ジルコニア含有率」によって表すことができる。
【0065】
特に明記しない限り、「1つを含む」は、「少なくとも1つを含む」と理解すべきである。
【0066】
「第1のバインダー」(または「追加のバインダー」)は、ちょうど1種類の化合物に必ずしも相当するのではなく、それぞれが25℃以下(またはそれぞれ25℃より高い)ガラス転移温度を示す数種類の化合物の混合物に相当することができる。同様に、「安定剤」または「一時的添加剤」は、それぞれが安定剤または一時的添加剤となる数種類の化合物の混合物に相当することができる。
【0067】
特に明記しない限り、すべてのパーセント値は、安定剤に関するパーセント値を除いて、乾燥粉末の重量を基準として示されている。これは、酸化物の安定剤の含有率は、通常は、前記酸化物および前記安定剤の全含有率を基準とした重量パーセント値で慣習的に定義されているためである。
【0068】
粉末の性質は、実施例に使用される特性決定方法によって評価することができる。
【0069】
本発明のその他の特徴および利点は、以下の説明を読み添付の図面を精査することによって、より明らかとなるであろう。