(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5732484
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】路面仕上げ機の横断方向展延装置
(51)【国際特許分類】
E01C 19/48 20060101AFI20150521BHJP
【FI】
E01C19/48 A
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-69549(P2013-69549)
(22)【出願日】2013年3月28日
(65)【公開番号】特開2013-221397(P2013-221397A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2013年6月11日
(31)【優先権主張番号】20 2012 003 753.6
(32)【優先日】2012年4月13日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】596068349
【氏名又は名称】ヨゼフ フェゲーレ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100167025
【弁理士】
【氏名又は名称】池本 理絵
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(72)【発明者】
【氏名】トーマス シュミット
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ザイベル
【審査官】
須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】
実開平07−008414(JP,U)
【文献】
特開2012−062046(JP,A)
【文献】
実開平03−079314(JP,U)
【文献】
特開平09−078522(JP,A)
【文献】
特開2012−007466(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3068563(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/48
CiNii
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに反対方向へ作動する展延スクリュー(3、4)、2つの展延スクリュー(3、4)を保持するスクリュー懸架装置(5)、および、各々の展延スクリュー(3、4)の外側端に配置された2つのスクリュー軸受ブラケット(8)、を有する横断方向展延装置(1)であって、各スクリュー軸受ブラケット(8)の少なくとも一部が耐摩耗鋼製の閉塞した筒(9)を含んで構成され、前記筒(9)が、着脱可能に接続される2つの半筒状部材(9a、9b)を組み立てたものであることを特徴とする横断方向展延装置。
【請求項2】
前記耐摩耗性材料がHardox鋼であることを特徴とする請求項1に記載の横断方向展延装置。
【請求項3】
前記筒(9)の全体が耐摩耗鋼製であることを特徴とする請求項1または2に記載の横断方向展延装置。
【請求項4】
前記2つのスクリュー軸受ブラケット(8)が同一形状を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の横断方向展延装置。
【請求項5】
前記筒(9)の少なくとも1つの面が硬化処理を施されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の横断方向展延装置。
【請求項6】
前記筒(9)の少なくとも1つの面が耐摩耗性コーティングを施されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の横断方向展延装置。
【請求項7】
前記各筒(9)において、前記2つの半筒状部材(9a、9b)が異なる材料で製造された請求項1〜6のいずれか1つに記載の横断方向展延装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の横断方向展延装置を有する路面仕上げ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面仕上げ機の横断方向展延装置(transverse spreading arrangement)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このような横断方向展延装置は、実用化され知られている。これらは路面仕上げ機のシャーシの後端、すなわち、シャーシとこれに牽引されるスクリードとの間に固定される。敷設材料、例えば混合瀝青敷設材料は、スクレーパーベルトともいわれる長手方向コンベアにより横断方向展延装置上に搬送される。上記機構の役割は、混合敷設材料を路面仕上げ機の横方向に広げ、敷設材料を後続のスクリードの幅方向全体にいきわたらせることである。この目的を達成するために、横断方向展延装置は2つの展延スクリュー、すなわち、左右の展延スクリューを有する。これら2つの展延スクリューは、たがいに反対方向に作動し、供給された混合敷設材料を路面仕上げ機中央部から外側へ搬送する。これらの2つの展延スクリューの反対方向への作動は、反対方向の螺旋形状により実現されるので、これらの展延スクリューは、それにもかかわらず共通の軸を有し共通の回転がなされてもよい。さらには、これらは共通のスクリュー駆動装置により駆動されうる。
【0003】
かなりの力受けるため、2つの展延スクリューの外側端部は、通常自由端ではなく、それぞれスクリュー軸受ブラケットにより支持されている。敷設材料はこれらのブラケットと接触して搬送されるため、軸受ブラケットにはかなりの摩耗が発生する。スクリュー軸受ブラケットの耐用年数を延ばすため、これらの内面側に摩耗板を配置し、これを定期的に交換しなければならないことが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、メンテナンス負荷低減のためにこのような公知の路面仕上げ機の横断方向展延装置を改良することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的は、請求項1の特徴を有する路面仕上げ機用横断方向展延装置により達成される。本発明のさらなる有利な改良は、下位の請求項を参照されたい。
【0006】
路面仕上げ機において敷設材料を横方向に拡散するための本発明に係る横断方向展延装置では、関連する展延スクリューの軸を支えるための各スクリュー軸受ブラケットは、少なくとも一部が耐摩耗鋼からなる閉塞した筒を含んで構成される。本発明において「耐摩耗鋼」とは、300BHN以上の硬度を有する鋼を意味する。しかし、本発明で用いる耐摩耗鋼は400BMHまたは500BMH以上の硬度を有することが望ましい。耐摩耗鋼としては、商品名Hardoxとして市販されているものが特に適している。
【0007】
上記筒がすべて耐摩耗鋼からなることが、摩耗を減らし、そしてメンテナンス間隔をその分広くできる点で、特に有利であるということが判明した。
【0008】
製造の観点からすると、上記筒を2つの半筒状部材を組み立てて製造することが有利である。ここで、半筒状部材は、例えば、展延スクリューの軸が半筒状部材の一方に挿入された後に組み立てることができる。この構成において、2つの半筒状部材を同じ耐摩耗鋼で製造することができる。しかし、他の選択肢として、2つの半筒状部材を異なる材料で製造することもできるが、その場合には、スクリューの懸架装置に面する方の半筒状部材だけを特に耐摩耗性の高い鋼で製造するだけで十分である。
【0009】
2つの半筒状部材を着脱可能に接続することが考えられる。これにより、特に摩耗を受けた半筒状部材を消耗部品として所定の耐用年数が経ったのちに交換することができる。
【0010】
他の選択肢として、2つの半筒状部材を恒久的に接合することが考えられる。これは、例えば2つの半筒状部材を互いに溶接することにより実現できる。
【0011】
上記筒を2つの半筒状部材を組み立てる以外の選択肢として、一体成型の筒を使用することも考えられる。
【0012】
本発明において、上記横断方向展延装置に用いられる2つのスクリュー軸受ブラケットが同一の形状を有するならば、特に有利となる。この同一性は2つの筒に限られず、横断方向展延装置を路面仕上げ機のシャーシに締結する締結板も含んで構成されてよい。2つのスクリュー軸受ブラケットを同一または同等の部品とする態様である場合、2つの異なるスクリュー軸受ブラケットを製造し在庫する必要がもはやなくなるため、在庫管理の手間を大幅に削減できる。さらに、左右を間違えたスクリュー軸受ブラケットの返品などの問題を避けることができる。
【0013】
上記横断方向展延装置のメンテナンス間隔は、上記筒の少なくとも一面を硬化処理し、および/または、上記筒の少なくとも一面に摩耗低減コーティングを施すことにより、より長くすることができる。
【0014】
本発明は、最終的には、上記様々な態様のいずれかに係る混合敷設材料用の横断方向展延装置を有する路面仕上げ機に関する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の横断方向展延装置の一態様を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明に係る横断方向展延装置1の一態様を示す斜視図である。この横断方向展延装置1は路面仕上げ機のシャーシ2の後端に締結されている。
【0017】
上記横断方向展延装置1は、(路面仕上げ機の進行方向に見て)右展延スクリュー3および左展延スクリュー4を含んで構成される。両展延スクリュー3、4は、中央においてスクリュー懸架装置5に取り付けられている。上記スクリュー懸架装置5により形成されるハウジング内には、2つの展延スクリュー3、4を駆動するためのスクリュー駆動装置(図示せず)がある。
【0018】
展延スクリュー3、4はそれぞれ軸6を有する。2つの独立した軸6であってもよく、2つの展延スクリュー3、4に共通の1つの軸6であってもよい。各軸6の外側端部6a、すなわちスクリュー懸架装置5と反対側の端部、はスクリュー軸受7に支持されている。各スクリュー軸受7は、スクリュー軸受ブラケット8の下端に取り付けられている。これらのスクリュー軸受ブラケット8は、原則的に垂直方向を向いた筒9を有し、これは締結板10により路面仕上げ機のシャーシ2に締結されている。この筒9は、耐摩耗鋼からなり、その外面は硬化処理されるか摩耗低減コーティングが施されることが望ましい。
【0019】
各筒9は2つの半筒状部材9a、9bからなる。半筒状部材9a、9bはそれぞれ半円形形状を有し、2つの半筒状部材を組み合わせて1つの円形の断面を有する筒9が構成される。上記2つの半筒状部材9a、9bは、溶接されることができる。他の選択肢として、筒9を一体成型することもできる。
【0020】
本実施例において、2つのスクリュー軸受ブラケット8は同等の部品として形成されるが、これは、それらが同一であることを意味する。2つの筒9のみならず、各々の関連する締結板10も同一である。
【0021】
稼働時に、上記展延スクリューは、混合敷設材料を道路仕上げ装置の外側方向、特にスクリュー軸受ブラケットに向けて運搬する。
【符号の説明】
【0022】
1・・・横断方向展延装置
2・・・シャーシ
3・・・右展延スクリュー
4・・・左展延スクリュー
5・・・スクリュー懸架装置
6・・・軸
6a・・・外側端部
7・・・スクリュー軸受
8・・・スクリュー軸受ブラケット
9・・・筒
9a、9b・・・半筒状部材
10・・・締結板10