(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、無線通信には、有線通信と比較して、通信遅延や通信途絶といった通信不良が発生し易く、通信の信頼性が劣る欠点がある。特に、列車は山間部やトンネル等の様々な場所を走行するため、無線通信環境が安定し難い。通信不良によって情報の遅延や欠落が発生すると、正確且つリアルタイムな列車の在線が把握できず、例えば“古い”情報による誤った列車制御を行うといった事態が発生し得るため、非常に危険である。鉄道では、列車の安全走行が最重要である。このため、無線通信を用いる場合には、車上・地上間の通信手段の信頼性を確保するため、専用の無線通信網を構築するのが一般的であった。
【0005】
しかし、専用の無線通信網を構築するために、通信機の設置や保守にコストがかかっていた。本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、鉄道の無線通信システムにおいて、低コスト、且つ、信頼性が確保された通信手段の実現である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の発明は、
自律的な時刻補正機能により計時時刻が随時補正される車上側時計部を備えた車上装置(例えば、
図1の車上装置20)と、自律的な時刻補正機能により計時時刻が随時補正される地上側時計部を備えた地上装置(例えば、
図1の地上装置30)とが公衆無線通信サービスを利用して通信接続され、互いの通信時に自機の時計部の計時時刻を送信時刻として付加して電文を送信する鉄道用通信システム(例えば、
図1の通信システム1)であって、
前記車上装置は、
前記地上装置から電文を受信した場合に、前記車上側時計部で計時された受信時刻が当該電文に含まれる送信時刻より後であり、且つ、その時刻差が所定の車上側許容遅延時間内であるか否かを判定する車上側受信時検定手段(例えば、
図8の受信時時刻検定部242、通信遅延判定部244)と、
前記地上装置から電文を受信し、且つ、前記車上側受信時検定手段により否定判定された場合に、当該電文を無効とみなして破棄する車上側電文破棄手段(例えば、
図8の電文受信制御部240)と、
前記地上装置から電文を受信し、且つ、前記車上側受信時検定手段により肯定判定された場合に、当該電文に応答する電文(以下「応答電文」という)を前記地上装置に送信する車上側応答手段(例えば、
図8の応答電文生成部246)と、
を備え、
前記地上装置は、
前記車上装置から電文を受信した場合に、前記地上側時計部で計時された受信時刻が当該電文に含まれる送信時刻より後であり、且つ、その時刻差が所定の地上側許容遅延時間内であるか否かを判定する地上側受信時検定手段(例えば、
図11の受信時時刻検定部642、通信遅延判定部644)と、
前記車上装置から電文を受信し、且つ、前記地上側受信時検定手段により否定判定された場合に、当該電文を無効とみなして破棄する地上側電文破棄手段(例えば、
図11の電文受信制御部640)と、
前記車上装置から電文を受信し、且つ、前記地上側受信時検定手段により肯定判定された場合に、応答電文を前記車上装置に送信する地上側応答手段(例えば、
図11の応答電文生成部646)と、
を備え、
更に、
前記車上装置および前記地上装置は、それぞれ、電文を送信後、当該電文に対する応答電文の受信有無に基づいて、当該電文の再送信の要否を判定する手段を備えた、
鉄道用通信システムである。
【0007】
また、他の発明として、
自律的な時刻補正機能により計時時刻が随時補正される車上側時計部を備えた車上装置と、自律的な時刻補正機能により計時時刻が随時補正される地上側時計部を備えた地上装置とが公衆無線通信サービスを利用して通信接続され、互いの通信時に自機の時計部の計時時刻を送信時刻として付加して電文を送信する鉄道用通信システムの前記車上装置であって、
前記地上装置が、前記車上装置から電文を受信した場合に、前記地上側時計部で計時された受信時刻が当該電文に含まれる送信時刻より後であり、且つ、その時刻差が所定の地上側許容遅延時間内であるか否かを判定する地上側受信時検定手段と、前記車上装置から電文を受信し、且つ、前記地上側受信時検定手段により否定判定された場合に、当該電文を無効とみなして破棄する地上側電文破棄手段と、前記車上装置から電文を受信し、且つ、前記地上側受信時検定手段により肯定判定された場合に、当該電文に応答する応答電文を前記車上装置に送信する地上側応答手段とを備えており、
前記地上装置から電文を受信した場合に、前記車上側時計部で計時された受信時刻が当該電文に含まれる送信時刻より後であり、且つ、その時刻差が所定の車上側許容遅延時間内であるか否かを判定する車上側受信時検定手段と、
前記地上装置から電文を受信し、且つ、前記車上側受信時検定手段により否定判定された場合に、当該電文を無効とみなして破棄する車上側電文破棄手段と、
前記地上装置から電文を受信し、且つ、前記車上側受信時検定手段により肯定判定された場合に、応答電文を前記地上装置に送信する車上側応答手段と、
電文を送信後、当該電文に対する応答電文の受信有無に基づいて、当該電文の再送信の要否を判定する手段と、
を備えた車上装置を構成しても良い。
【0008】
また、他の発明として、
自律的な時刻補正機能により計時時刻が随時補正される車上側時計部を備えた車上装置と、自律的な時刻補正機能により計時時刻が随時補正される地上側時計部を備えた地上装置とが公衆無線通信サービスを利用して通信接続され、互いの通信時に自機の時計部の計時時刻を送信時刻として付加して電文を送信する鉄道用通信システムの前記地上装置であって、
前記車上装置が、前記地上装置から電文を受信した場合に、前記車上側時計部で計時された受信時刻が当該電文に含まれる送信時刻より後であり、且つ、その時刻差が所定の車上側許容遅延時間内であるか否かを判定する車上側受信時検定手段と、前記地上装置から電文を受信し、且つ、前記車上側受信時検定手段により否定判定された場合に、当該電文を無効とみなして破棄する車上側電文破棄手段と、前記地上装置から電文を受信し、且つ、前記車上側受信時検定手段により肯定判定された場合に、当該電文に応答する応答電文を前記地上装置に送信する車上側応答手段とを備えており、
前記車上装置から電文を受信した場合に、前記地上側時計部で計時された受信時刻が当該電文に含まれる送信時刻より後であり、且つ、その時刻差が所定の地上側許容遅延時間内であるか否かを判定する地上側受信時検定手段と、
前記車上装置から電文を受信し、且つ、前記地上側受信時検定手段により否定判定された場合に、当該電文を無効とみなして破棄する地上側電文破棄手段と、
前記車上装置から電文を受信し、且つ、前記地上側受信時検定手段により肯定判定された場合に、応答電文を前記車上装置に送信する地上側応答手段と、
電文を送信後、当該電文に対する応答電文の受信有無に基づいて、当該電文の再送信の要否を判定する手段と、
を備えた地上装置を構成しても良い。
【0009】
また、他の発明として、
自律的な時刻補正機能により計時時刻が随時補正される時計部を備えた車上装置と、自律的な時刻補正機能により計時時刻が随時補正される時計部を備えた地上装置とが公衆無線通信サービスを利用して通信接続され、互いの通信時に自機の時計部の計時時刻を送信時刻として付加して電文を送信する鉄道用通信システムの通信制御方法であって、
前記車上装置および前記地上装置は、電文を受信した際に、自機の時計部で計時された受信時刻が当該電文に含まれる送信時刻より後であり、且つ、その時刻差が所定の許容遅延時間内であるか否かを判定する受信時検定ステップと、前記受信時検定ステップで否定判定された場合に、当該電文を無効とみなして破棄する電文破棄ステップと、前記受信時検定ステップで肯定判定された場合に、当該電文に応答する応答電文を当該電文の送信元に送信する応答ステップとを実行し、
前記車上装置および前記地上装置は、電文を送信した後に、当該電文に対する応答電文の受信有無に基づいて、当該電文の再送信の要否を判定するステップを実行する、
通信制御方法を構成しても良い。
【0010】
この第1の発明等によれば、車上装置と地上装置との通信手段として公衆無線通信サービスを利用することで、専用通信網を構築する場合に比較して大幅なコスト削減を図ることができる。
【0011】
また、車上装置と地上装置とが公衆無線通信サービスを利用して通信接続された通信システムにおいて、互いの通信時に自機の計時時刻を送信時刻として付加して電文を送信することで、通信不良の有無や、双方の装置の計時時刻の同期/非同期を判定することができ、通信の信頼性の確保が実現される。
【0012】
すなわち、車上装置、及び、地上装置それぞれは、電文を受信した場合には、受信時刻が受信した電文に含まれる送信時刻より後であり、且つ、その時刻差が所定の許容遅延時間内であるならば、電文に応答する応答電文を送信し、そうでないならば、電文を無効とみなして破棄する。つまり、通信遅延が発生している場合には、通信電文の送信時刻と受信時刻との時刻差は、通信不良が発生していない場合に比較して大きく(長く)なる。このため、この時刻差が所定の許容遅延時間内であるか否かによって、通信不良の発生有無を判定することが可能である。また、双方の装置の計時時刻の同期が取れている場合には、電文の受信時刻は、この電文に含まれる送信時刻よりも後となる。このため、電文の受信時刻が送信時刻の前であるか否かによって、計時時刻の同期がとれているか否かを判定することが可能である。
【0013】
また、車上装置、及び、地上装置それぞれは、電文を送信した場合には、応答電文の受信有無に基づいて、電文の再送信の要否を判定する。送信した電文が受信されていない、或いは、電文を受信したが無効とみなして破棄された場合に、応答電文が受信無しとなる。このため、応答電文が受信無しの場合には、電文を再送信することで、通信電文の確実な送信が実現される。
【0014】
また、第2の発明として、第1の発明の鉄道用通信システムであって、
前記車上装置は、
送信した電文に対する応答電文を前記地上装置から受信した場合に、当該応答電文に含まれる送信時刻が、送信した電文に含めた送信時刻と前記車上側時計部で計時された当該応答電文の受信時の受信時刻との間であり、且つ、当該送信時刻と当該受信時刻との時刻差が所定の車上側許容時間間隔内であるか否かを判定する車上側送受信検定手段(例えば、
図8の送信時時刻検定部234、通信不良判定部236)と、
前記車上側送受信検定手段により否定判定された場合に、前記地上装置に通信不良を通知する車上側通知手段(例えば、
図8の電文送信制御部230)と、
を更に備え、
前記地上装置は、
送信した電文に対する応答電文を前記車上装置から受信した場合に、当該応答電文に含まれる送信時刻が、送信した電文に含めた送信時刻と前記地上側時計部で計時された当該応答電文の受信時の受信時刻との間であり、且つ、当該送信時刻と当該受信時刻との時刻差が所定の地上側許容時間間隔内であるか否かを判定する地上側送受信検定手段(例えば、
図11の送信時時刻検定部634、通信不良判定部636)と、
前記地上側送受信検定手段により否定判定された場合に、前記車上装置に通信不良を通知する地上側通知手段(例えば、
図11の電文送信制御部630)と、
を更に備えた鉄道用通信システムを構成しても良い。
【0015】
この第2の発明によれば、車上装置、及び、地上装置それぞれは、応答電文を受信した場合においても、通信不良の有無や、双方の装置の計時時刻の同期/非同期を判定することができる。すなわち、応答電文を受信した場合には、応答電文に含まれる送信時刻が、送信した電文の送信時刻と応答電文の受信時刻との間であり、且つ、電文の送信時刻と応答電文の受信時刻との時刻差が所定の許容時間内でないならば、通信不良を通知する。
【0016】
つまり、通信遅延が発生している場合には、電文の送信時刻と応答電文の受信時刻との時刻差は、通信不良が発生していない場合に比較して大きく(長く)なる。このため、この時刻差が所定の許容時間内であるか否かによって、通信不良の発生有無を判定することが可能である。また、双方の装置の計時時刻の同期が取れている場合には、応答電文の送信時刻は、電文の送信時刻と応答電文の受信時刻との間となる。このため、送信した電文に対する応答電文の送信時刻が、送信した電文の送信時刻と応答電文の受信時刻との間であるか否かによって、計時時刻の同期がとれているか否かを判定することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[システム構成]
図1は、本実施形態における鉄道用の通信システム1の概略構成図である。
図1に示すように、通信システム1は、列車10に搭載される車上装置20と、地上に設置される地上装置30とが、通信回線Nを介して通信接続されて構成される。通信回線Nは、公衆無線通信サービスを利用した無線通信回線であり、例えば、携帯電話網や無線LAN等である。
【0019】
車上装置20は、地上装置30との無線通信を行うことで、自列車の走行を制御する。また、車上装置20は、GPS衛星3から発信されているGPS衛星信号を受信し、自装置(自列車)の位置及び速度を含む測位情報や、GPS衛星に搭載されている原子時計による精確な時刻情報(絶対時刻)を取得することができる。そして、取得した精確な時刻情報を用いて、内部時計を自律的に補正することができる。
【0020】
地上装置30は、車上装置20との間で無線通信を行うことで、各列車の走行制御を行う。また、地上装置30は、車上装置20と同様に、GPS衛星3から発信されているGPS衛星信号を受信し、取得した精確な時刻情報を用いて内部時計を自律的に補正することができる。
【0021】
[原理]
(A)通信手順
車上装置20と地上装置30の間の通信手順について説明する。本実施形態の通信システム1では、車上装置20と地上装置30との間の通信として公衆無線通信を用いているが、公衆無線通信は、鉄道専用に敷設された有線通信と比較して、通信遅延や通信途絶といった通信不良が発生しやすいという短所がある。
【0022】
このため、本実施形態では、電文は、自装置の内部時計による送信時の時刻(送信時刻)を付加して送信するとともに、電文を受信すると、これに対応する応答電文を返信することで、通信不良の発生有無を判定している。またこのためには、車上装置20及び地上装置30それぞれの内部時計が同期している必要があるが、車上装置20及び地上装置30それぞれが内部時計を自律的に精確な時刻に補正することでこれを担保している。但し、各装置が実施する時刻補正のタイミングの違いや、GPS衛星3からの信号を受信できない場所(例えばトンネル内や天空が開けていない場所など)に列車10が位置するといったことが原因で、同期が取れない場合がある。そこで、内部時計の計時時刻と、受信した電文に付加されている時刻とを用いることで、互いの内部時計の同期/
非同期を判定している。
【0023】
(B)正常時
図2は、正常時の通信手順を示す図である。
図2では、車上装置20及び地上装置30の一方が電文を送信する送信側であり、他方がこの電文を受信する受信側としている。また、横軸を、送信側及び受信側それぞれの内部時計による計時時刻t
s,t
rとしている。以降の
図4〜
図7においても同様である。なお正常時とは、通信不良(通信遅延、及び、通信途絶)が発生しておらず、且つ、内部時計が同期している状態である。
【0024】
先ず、送信側が通信電文を送信する。この通信電文には、送信側の内部時計による送信時刻t
s1が付加されている。すると、受信側は、内部時計による受信時刻t
r2において、この通信電文を受信する。受信側は、通信電文を受信すると、これに応答する電文(応答電文)を送信する。この応答電文には、受信側の内部時計による送信時刻(応答時刻)t
r3が付加されている。そして、送信側は、内部時計による受信時刻t
s4において、この応答電文を受信する。送信側は、応答電文を受信したことで、通信電文が正常に受信されたことを確認する。
【0025】
この場合、送受信時刻t
s1〜t
s4の時系列関係は、t
s1<t
r2<t
r3<t
s4、となる。また、通信電文の送信時刻t
s1と受信時刻t
r2との時刻差(=t
s1−t
r2)、及び、応答電文の送信時刻t
r3と受信時刻t
s4との時刻差(=t
r3−t
s4)は、通信回線Nに応じて想定される標準通信時間T0にほぼ近い値となる。
【0026】
本実施形態では、標準通信時間T0を前提とした通信の許容時間を定めるが、この前提に関する実証実験を行った。
図3は、公衆無線通信の1つである携帯電話回線を用いて実車試験を行った結果を示す図である。
図3(1)は、車上装置と地上装置間で行った約4000回の往復通信それぞれについて、車上装置が電文を送信してから、地上装置が受信および応答電文を返信し、更に車上装置が受信するまでの往復通信時間を示した図である。また、
図3(2)は、横軸を往復通信時間とした
図3(1)の度数分布を示す図である。
図3から分かる通り、殆どの往復通信が0.5秒以下となった。このため、車上装置と地上装置間を公衆無線通信で通信する場合であっても、標準通信時間T0を定めることは可能であり、通信の許容時間を定めて通信の正常/異常(同期/非同期)を判定することが有意であることが実証された。
【0027】
(C)通信不良1(通信遅延)
図4は、通信遅延が生じている場合の通信手順を示す図である。但し、送信側と受信側との内部時計は同期している。先ず、送信側が、送信時刻t
s1を付加した通信電文を送信する。すると、受信側は、受信時刻t
r2において、この通信電文を受信する。
【0028】
送信側と受信側との間に通信遅延が生じている場合、その通信時間は標準通信時間T0より長くなる。つまり、受信側では、通信電文に付加されている送信時刻t
s1と、通信電文の受信時刻t
r2との時刻差Δt
12(=t
r2−t
s1)によって、通信遅延を判断できる。例えば、時刻差Δt
12が、標準通信時間T0より長い所定の遅延許容時間T1を超える場合に、受信側が、通信遅延が発生していると判断することが可能である。
【0029】
また、送信側において、通信電文を送信した送信時刻t
s1から、応答電文を受信した受信時刻t
s4までの時刻差が、所定の応答待機時間T2を超える場合に、送信側が、通信遅延が発生していると判断することが可能である。
【0030】
(D)通信不良2(通信途絶)
図5は、通信途絶が発生した場合の通信手順を示す図である。但し、内部時計は同期している。先ず、送信側が、送信時刻t
s1を付加した通信電文を送信する。すると、受信側は、受信時刻t
r2においてこの通信電文を受信し、続いて、送信時刻(応答時刻)t
r3を付加した応答電文を送信するが、このとき、受信側と送信側との間に発生した通信途絶によって、送信側において応答電文が受信されない。
【0031】
つまり、送信側では、送信した通信電文に対する応答電文の受信有無によって、受信側との間の通信途絶を判断することができる。例えば、応答電文が受信されないまま、通信電文の送信時刻t
s1からの経過時間が所定の応答待機時間T2に達したことで、通信途絶と判断することが可能である。
【0032】
(E)内部時計の非同期1
図6は、内部時計が同期していない(非同期の)場合の通信手順を示す図である。
図6では、非同期となっているため、送信側および受信側それぞれの内部時計の時間軸を、絶対時刻に合わせてずらして示している。詳細には、送信側の内部時計に対して、受信側の内部時計が遅れている場合の例であり、受信側の内部時計の時間軸が相対的に左側にずれている。但し、通信遅延は発生していないとする。
【0033】
先ず、送信側が、送信時刻t
s1を付加した通信電文を送信する。すると、受信側は、受信時刻t
r2において、この通信電文を受信し、続いて、送信時刻(応答時刻)t
r3において、送信時刻(応答時刻)t
r3を付加した応答電文を送信する。そして、送信側は、受信時刻t
s4において、この応答電文を受信する。
【0034】
しかし、相対的に受信側の内部時計が遅れており(換言すると、送信側の内部時計が進んでいるため)、
図6の例では、通信電文の送信時刻t
s1と、受信時刻t
r2とが逆転している(t
s1>t
r2)。つまり、受信側では、受信した通信電文に付加されている送信時刻t
s1と、内部時計による受信時刻t
r2とを比較することで、互いの内部時計の非同期(詳細には、受信側の内部時計の相対的な遅れ、送信側の内部時計の相対的な進み)を判断することができる。
【0035】
また、通信電文の送信時刻t
s1と、応答電文の送信時刻(応答時刻)t
r3とが逆転することもある(t
s1>t
r3)。つまり、送信側では、内部時計による通信電文の送信時刻t
s1と、応答電文に付加されている送信時刻(応答時刻)t
r3とを比較することで、内部時計の非同期(詳細には、送信側の内部時計の相対的な進み、受信側の内部時計の相対的な遅れ)を判断することができる。
【0036】
(F)内部時計の非同期2
図7は、内部時計が同期していない(非同期の)場合の通信手順を示す図である。非同期となっているため、送信側および受信側それぞれの内部時計の時間軸を、絶対時刻に合わせてずらして示している。詳細には、送信側の内部時計に対して、受信側の内部時計が進んでいる場合の例であり、受信側の内部時計の時間軸が相対的に右側にずれている。但し、通信遅延は発生していない。
【0037】
先ず、送信側が、送信時刻t
s1を付加した通信電文を送信する。すると、受信側では、受信時刻t
r2においてこの通信電文を受信し、続いて、送信時刻(応答時刻)t
r3を付加した応答電文を送信する。そして、送信側は、受信時刻t
s4において、この応答電文を受信する。
【0038】
しかし、相対的に受信側の内部時計が進んでおり(換言すると、送信側の内部時計が遅れているため)、
図7の例では、応答電文の送信時刻(応答時刻)t
r3と、受信時刻t
s4とが逆転している(t
r3>t
s4)。つまり、受信側では、受信した応答電文に含まれる送信時刻t
r3と、内部時計による応答電文の受信時刻t
s4とを比較することで、互いの内部時計の非同期(詳細には、送信側の内部時計の相対的な遅れ、受信側の内部時計の相対的な進み)を判断することができる。
【0039】
[機能構成]
(A)車上装置
図8は、車上装置20の本実施形態に係る構成図である。
図8に示すように、車上装置20は、車上操作部110と、表示部120と、時計部130と、GPS受信部140と、無線通信部150と、処理部200と、記憶部300とを備えて、1枚又は複数の制御基板などによって一種のコンピュータとして構成される。
【0040】
操作部110は、例えばキーボードやタッチパネル、各種スイッチ、各種センサ等の入力装置で実現され、なされた操作入力に応じた操作信号を処理部200に出力する。表示部120は、例えばLCD等の表示装置で実現され、処理部200からの表示信号に基づく各種表示を行う。時計部130は、水晶発振器等を有する発振回路によって構成され、計時した現在時刻や、指定タイミングからの経過時間等の時間信号を処理部200に出力する。
【0041】
GPS受信部140は、GPS衛星3から発信されているGPS衛星信号を受信し、所定時間(例えば1秒)毎に、緯度経度で表される自装置の位置及び速度を含む測位情報や、精確な時刻(以下、GPS時刻という)である時刻情報を生成する。
【0042】
無線通信部150は、通信回線Nに接続して、外部装置(主に、地上装置30)との無線通信を行う。
【0043】
処理部200は、例えばCPU等の演算装置で実現され、記憶部300に記憶されるプログラムやデータ、無線通信部150を介した受信データ等に基づいて、車上装置20の全体制御を行う。また、処理部200は、時刻算出部210と、位置速度算出部220と、電文送信制御部230と、電文受信制御部240と、走行制御部250とを有する。
【0044】
時刻算出部210は、車上装置20の内部時計であり、時計部130によって計時されている現在時刻を取得する。また、GPS受信部140によって時刻情報が生成されると、この時刻情報に含まれるGPS時刻に基づいて、現在時刻を補正する。
【0045】
位置速度算出部220は、車軸に取り付けられた速度発電機12の計測値をもとに、自列車の現在の走行位置(走行距離やキロ程)及び走行速度を算出する。
【0046】
電文送信制御部230は、通信電文生成部232と、送信時時刻検定部234と、通信不良判定部236とを有し、通信電文の送信に係る制御を行う。つまり、この電文送信制御部230は、車上装置20が、
図2,
図4〜7における“送信側”である場合に機能する。
【0047】
通信電文生成部232は、送信する通信データに送信時刻t
s1を付加して通信電文を生成し、車上無線通信部150を介して地上装置30へ送信する。
【0048】
送信時時刻検定部234は、地上装置30の内部時計との同期/非同期を判定する時刻検定を行う。すなわち、通信電文の送信時刻t
s1と、この通信電文に対応する応答電文の受信時刻t
s4と、この応答電文に含まれる送信時刻(応答時刻)t
r3とを比較し、その時系列関係が、t
s1<t
r3<t
s4、となっているならば同期と判断し、なっていないならば非同期と判断する。これは、
図2に示したように、正常の場合には、応答電文の送信時刻t
r3は、通信電文の送信時刻t
s1と、応答電文の受信時刻t
s4との間に位置する。しかし、
図6,
図7に示したように、内部時計が非同期の場合には、送信時刻t
r3が、送信時刻t
s1と受信時刻t
s4との間に位置しないことがあるからである。
【0049】
通信不良判定部236は、地上装置30との間の通信不良を判定する。すなわち、送信した通信電文に対応する応答電文が受信されないまま、この通信電文の送信時刻t
s1からの経過時間が所定の応答待機時間T2に達した場合に、通信遅延、或いは、通信途絶による通信不良と判断する。
【0050】
ここで、電文送信制御部230による通信電文の送信の際に用いられるデータは、送信制御用データ330として蓄積記憶される。
図9は、送信制御用データ330のデータ構成例である。
図9に示すように、送信制御用データ330は、送信した通信電文それぞれについて、電文IDと、送信時刻t
s1と、対応する応答電文の受信有無と、応答電文に付加されている送信時刻(応答時刻)t
r3と、応答電文の受信時刻t
s4と、送信時時刻検定部234による時刻検定結果(同期/非同期)と、通信不良判定部236による通信不良判定結果とを対応付けて格納している。
【0051】
電文受信制御部240は、受信時時刻検定部242と、通信遅延判定部244と、応答電文生成部246とを有し、通信電文の受信に係る制御を行う。つまり、この電文受信制御部240は、車上装置20が、
図2,
図4〜
図7における“受信側”である場合に機能する。
【0052】
受信時時刻検定部242は、地上装置30との内部時計の同期/非同期を判定する時刻検定を行う。すなわち、受信した通信電文に含まれる送信時刻t
s1と、この通信電文の受信時刻t
r2とを比較し、その時系列関係が、t
s1<t
r2、となっているならば同期と判断し、なっていないならば非同期と判断する。これは、
図2に示したように、正常時には、通信電文の送信時刻t
s1、及び、受信時刻t
r2の時系列関係は、t
s1<t
r2、である。しかし、
図6,
図7に示したように、内部時計が非同期の場合には、これらの送受信時刻t
s1,t
r2の順序が逆転することがあるからである。
【0053】
通信遅延判定部244は、地上装置30との間の通信遅延を判定する。すなわち、受信した通信電文に含まれる送信時刻t
s1と、通信電文の受信時刻t
r2との時刻差(=t
r2−t
s1)が、所定の遅延許容時間T1を超える場合に、通信遅延の有りを判定する。
【0054】
応答電文生成部246は、受信した通信電文に対する応答電文を生成し、無線通信部150を介して、送信元の地上装置30へ送信する。このとき、応答電文に送信時刻(応答時刻)t
r3を付加して応答電文を生成・送信する。
【0055】
ここで、電文受信制御部240による通信電文の受信の際に用いられるデータは、受信制御用データ340として蓄積記憶される。
図10は、受信制御用データ340のデータ構成例である。
図10に示すように、受信制御用データ340は、受信した通信電文それぞれについて、電文IDと、通信電文の受信時刻t
r2と、通信電文に付加されている送信時刻t
s1と、対応する応答電文の送信時刻(応答時刻)t
r3と、受信時時刻検定部242による時刻検定結果と、通信遅延判定部244による通信遅延判定結果とを対応付けて格納している。
【0056】
走行制御部250は、地上装置30から受信した走行制御データ350に基づく自列車の走行制御を行う。例えば、線路条件や自列車の走行性能等をもとに、指定された停止目標に停止させるための速度照査を行う。具体的には、現在の走行位置の照査速度と現在の走行速度とを比較し、走行速度が照査速度を超える場合には、ブレーキ機構14を動作させて減速させる。また、現在の走行位置に応じて車内信号機16の表示を制御する。
【0057】
記憶部300は、ROMやRAM、ハードディスク等の記憶装置で実現され、車上処理部200が車上装置20を統合的に制御するためのプログラムやデータ等を記憶しているとともに、処理部の作業領域として用いられ、処理部200が実行した演算結果や、GPS受信部140や無線通信部150による受信データ等が一時的に格納される。本実施形態では、電文送信制御プログラム310と、電文受信制御プログラム320と、送信制御用データ330と、受信制御用データ340と、走行制御データ350とが記憶される。
【0058】
(B)地上装置
図11は、地上装置30の構成図である。
図11に示すように、地上装置30は、操作部510と、表示部520と、時計部530と、GPS受信部540と、無線通信部550と、処理部600と、記憶部700とを備えて構成される。
【0059】
操作部510は、例えばキーボードやタッチパネル、各種スイッチ、各種センサ等の入力装置で実現され、なされた操作入力に応じた操作信号を処理部600に出力する。表示部520は、例えばLCD等の表示装置で実現され、処理部600からの表示信号に基づく各種表示を行う。時計部530は、水晶発振器等を有する発振回路によって構成され、計時した現在時刻や、指定タイミングからの経過時間等の時間信号を処理部600に出力する。
【0060】
GPS受信部540は、GPS衛星3から発信されているGPS衛星信号を受信し、所定時間(例えば1秒)毎に、緯度経度で表される自装置の位置及び速度を含む測位情報や、精確な時刻(以下、GPS時刻という)である時刻情報を生成する。
【0061】
無線通信部550は、通信回線Nに接続して、外部装置(主に、車上装置20)との無線通信を行う。
【0062】
処理部600は、例えばCPU等の演算装置で実現され、記憶部700に記憶されるプログラムやデータ、無線通信部550を介した受信データ等に基づいて、地上装置30の全体制御を行う。また、処理部600は、時刻算出部610と、電文送信制御部630と、電文受信制御部640とを有する。
【0063】
時刻算出部610は、地上装置30の内部時計であり、時計部530によって計時されている現在時刻を取得する。また、地上GPS受信部540によって時刻情報が生成されると、この時刻情報に含まれるGPS時刻に基づいて、現在時刻を補正する。
【0064】
電文送信制御部630、及び、電文受信制御部640は、それぞれ、車上装置20における電文送信制御部230、及び、電文受信制御部240と同一の機能部である。すなわち、電文送信制御部630は、通信電文生成部632と、送信時時刻検定部634と、通信不良判定部636とを有する。そして、地上装置30が、
図2,
図4〜
図7における“送信側”である場合に機能し、車上装置20への通信電文の送信の際の制御を行う。また、電文受信制御部640は、受信時時刻検定部642と、通信遅延判定部644と、応答電文生成部646とを有する。そして、地上装置30が、
図2,
図4〜
図7における“受信側”である場合に機能し、車上装置20から通信電文を受信した際の制御を行う。
【0065】
記憶部700は、ROMやRAM、ハードディスク等の記憶装置で実現され、処理部600が地上装置30を統合的に制御するためのプログラムやデータ等を記憶しているとともに、処理部600の作業領域として用いられ、処理部600が実行した演算結果、GPS受信部540や無線通信部550による受信データ等が一時的に格納される。本実施形態では、記憶部700には、電文送信制御プログラム710と、電文受信制御プログラム720と、送信制御用データ730と、受信制御用データ740とが記憶される。これらのプログラム及びデータも、車上装置20の記憶部300に記憶されたプログラム及びデータに対応するものである。
【0066】
[処理の流れ]
(A)送信
図12は、通信電文の送信の際の処理を説明するフローチャートである。この処理は、車上装置20、及び、地上装置30それぞれの電文送信制御部230,630が、電文送信制御プログラム310,710に従って実行する処理であり、他装置(相手装置)への通信データの送信が要求された際に実行される。
【0067】
この処理では、先ず、通信電文生成部232,632が、通信データに送信時刻t
s1を付加して通信電文を生成し、送信先として指定された他装置へ送信する(ステップA1)。そして、送信した通信電文に対応する応答電文の受信を待機する。
【0068】
応答電文が受信されないまま(ステップA3:NO)、通信電文の送信時刻t
s1からの経過時間が所定の応答待機時間T2に達したならば(ステップA5:YES)、通信不良判定部236,636が、送信先の他装置との間に通信不良が発生していると判定する(ステップA7)。そして、通信電文生成部232,632が、送信時刻t
s1を更新して通信電文を再送信した後(ステップA9)、ステップA3に戻り、応答電文の受信を待機する。
【0069】
一方、応答電文を受信したならば(ステップA3:YES)、続いて、送信時時刻検定部234,634が、内部時計の同期/非同期を判定する時刻検定を行う。すなわち、通信電文の送信時刻t
s1と、応答電文の受信時刻t
s4と、応答電文に付加されている送信時刻(応答時刻)t
r3との時系列順序が、正常な順序である「t
s1<t
r3<t
s4」となっているかを判断する。
【0070】
正常な順序となっているならば(ステップA11:YES)、送信先の他装置の内部時計との間で同期がとれている(同期)と判定する(ステップA13)。そして、送信先の他装置へ正常に送信されたことを判定する(ステップA15)。
【0071】
一方、正常な順序となっていないならば(ステップA11:NO)、送信先の他装置との間で内部時計の同期がとれていない(非同期)と判定し(ステップA17)、送信先の他装置に対して、内部時計が非同期である旨を通知する(ステップA19)。以上の処理を行うと、電文送信制御部230,630は、電文送信制御処理を終了する。
【0072】
(B)受信
図13は、通信電文を受信した際の処理を説明するフローチャートである。この処理は、車上装置20、及び、地上装置30それぞれの電文受信制御部240,640が電文受信制御プログラム320,720に従って実行する処理であり、他装置からの通信電文が受信された際に実行される。
【0073】
この処理では、他装置からの通信電文を受信すると(ステップB1)、先ず、受信時時刻検定部242,642が、内部時計の同期/非同期を判定する時刻検定を行う。すなわち、通信電文の受信時刻t
r2、及び、通信電文に含まれている送信時刻t
s1の時系列順序が、正常な順序である「t
s1<t
r2」となっているかを判定する。正常な順序となっていないならば(ステップB3:NO)、送信元の他装置との間で内部時計が非同期と判定し(ステップB5)、その旨を送信元の装置へ通知する(ステップB7)。
【0074】
一方、正常な順序となっているならば(ステップB3:YES)、送信元の他装置との間で内部時計が同期していると判定する(ステップB9)。続いて、通信遅延判定部244,644が、通信遅延の有無を判定する。すなわち、通信電文の送信時刻t
s1と応答電文の受信時刻t
r2との時刻差Δt
12を算出し(ステップB11)、この時刻Δt
12を、所定の遅延許容時間T1と比較する。
【0075】
時刻差Δt
12が遅延許容時間T1以下ならば(ステップB13:YES)、通信遅延が無く、通信電文を正常に受信したと判断し(ステップB15)、受信した通信電文を利用可能とする(ステップB17)。そして、応答電文生成部246,646が、通信電文に対応する応答電文を生成し、送信時刻t
r3を付加して、送信元の他装置へ送信する(ステップB19)。
【0076】
一方、時刻差Δt
12が遅延許容時間T1を超えるならば(ステップB13:NO)、通信遅延による通信不良と判断し(ステップB21)、受信した通信電文を、例えば破棄して利用不可能とする(ステップB23)。以上の処理を行うと、電文受信制御部240,640は、電文送信制御処理を終了する。
【0077】
[実施例]
続いて、鉄道用の通信システム1の具体的な適用例を説明する。
【0078】
(1)集中連動に適用
図14は、通信システム1を連動制御システムに適用した場合の構成例である。この場合、地上装置30は集中連動装置であり、転てつ機42や信号機44といった現場機器を制御する駅装置40と通信回線Nを介して通信接続される。そして、地上装置30は、車上装置20と無線通信を行うことで、各列車の在線位置(在線情報)を把握するとともに、駅装置40と無線通信を行って転てつ機42や信号機44を制御することで、要求された進路の設定を行う。地上装置30と車上装置20との間の無線通信や、地上装置30と駅装置40との間の無線通信に、上述した通信システム1の原理を適用することができる。
【0079】
[作用効果]
このように、本実施形態の鉄道用の通信システム1では、車上装置20と地上装置30との通信手段として公衆無線通信サービスを利用することで、専用の有線通信網を構築する場合に比較して大幅なコスト削減を図ることができる。
【0080】
また、車上装置20と地上装置30との通信として無線通信を行うが、電文を送信する場合には電文に内部時計による送信時刻を付加して送信するとともに、電文を受信すると、対応する応答電文を送信(返信)する。このことにより、通信遅延や通信途絶といった通信不良の発生有無や、双方の装置の内部時計の同期がとれているか否か(同期/非同期)を判定することができ、通信の信頼性を確保することが可能となる。
【0081】
すなわち、車上装置20及び地上装置30それぞれは、通信電文を受信した場合には、受信時刻t
r2が、受信した通信電文に含まれる送信時刻t
s1より後であり、且つ、その時刻差Δt
12(=t
r2−t
s1)が所定の許容遅延時間T1内であるならば、正常に受信したと判断してこの通信電文を利用可能とし、そうでないならば、通信遅延或いは内部時計の非同期が発生していると判断して、この通信電文を利用不可能とする。
【0082】
また、車上装置20及び地上装置30それぞれは、通信電文を送信した場合には、通信電文の送信時刻t
s1から所定の通信待機時間T2が経過する前に対応する応答電文を受信し、且つ、受信した応答電文に付加されている送信時刻t
r3が、通信電文の送信時刻t
s1と応答電文の受信時刻t
s4との間に位置するならば、通信電文が正常に受信されたと判断し、そうでないならば、通信遅延或いは内部時計の非同期が発生していると判断して通信電文を再送信する。
【0083】
[変形例]
なお、本発明の適用可能な実施形態は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
【0084】
(A)
上述の実施形態では、GPS衛星信号を受信することで絶対時刻を取得し、車上装置20と地上装置30との内部時計の同期を取るようにしたが、例えば、時刻データであるタイムコードを含む標準電波を受信することで、絶対時刻を取得するようにしても良い。