【課題を解決するための手段】
【0007】
気道の組織にエネルギーを作用させる前述の喘息治療の多くの実施形態は、肺気道によって画定される蛇行状の管路を通過させられる(例えば、進行させられる)ことが可能であるカテーテルを使用する。例えば、
図1は、右気管支および左気管支94から延出するにつれて、種々の細気管支92の寸法が小さくなり、かつ多くの気管支96を有する、気管支樹90を示す。したがって、治療機器は、可変寸法の気道を治療するとともに、蛇行状の解剖学的形状を通って進行後に繰り返し配置する場合に、適切に機能するように構成されるべきである。
【0008】
また、治療部位に送達されるエネルギーの量および速度を制御することが望ましい。例えば、無線周波数(RF)エネルギーを肺気道における組織に送達するためのエネルギー送達機器であって、参照により組み込まれる本発明の譲受人に譲渡された上記特許および出願において開示されるエネルギー送達機器は、エネルギー送達中に電極のうちの1つの温度を測定することによって制御される。切除機器および焼灼機器等の肺気道の外部における他の用途のためにRFエネルギーを送達する他の種類の治療機器は、温度以外の測定要素に基づいて、心臓および血管系組織へのエネルギーの送達を制御している。例えば、切除機器および焼灼機器は、手順中にインピーダンスを監視し、インピーダンスの急増が測定されると、エネルギー送達を終了させる。この急増は、組織乾燥またはタンパク質の変性等の所望の最終結果と相関し得る。したがって、既存の切除システムおよび焼灼システムは、インピーダンスの増加と温度の増加との直接関係に基づいて、エネルギー送達を終了させ得る。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
人体の組織の治療に使用されるエネルギー送達機器に供給される電力を制御する方法であって、
該治療される組織の所望の状態に相関するインピーダンス値を決定することと、
該決定されたインピーダンス値に基づいて、電力値を同定することと、
該同定された電力値を使用して、該エネルギー送達機器を制御することと
を含む、方法。
(項目2)
治療前に上記組織の温度に相関する初期インピーダンス値を決定することと、
該初期インピーダンス値の100パーセント未満の割合であるようなインピーダンス値を選択することによって、上記所望の状態に相関する上記インピーダンス値を決定することと
をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
上記エネルギー送達機器を使用して、内部管路の上記組織にエネルギーを作用させることであって、該作用させられるエネルギーは、上記同定された電力値に相関する、こと
をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
上記電力値は、PIDアルゴリズムを使用して同定される、項目1に記載の方法。
(項目5)
上記エネルギー送達機器は、2つ以上の組織位置の近位に位置する2つ以上の電極を含み、そして、上記インピーダンス値を決定することは、
該組織位置の各々においてインピーダンス値を決定することと、
該組織位置における該インピーダンス値を平均化することと
を含む、項目1に記載の方法。
(項目6)
上記所望の状態は、摂氏50度と80度との間の温度を含む、項目1に記載の方法。
(項目7)
上記電力値を同定することは、インピーダンスと上記組織の上記状態との反比例関係に基づいて該電力値を同定することを含む、項目1に記載の方法。
(項目8)
閉ループインピーダンスフィードバック電力制御システムであって、
電極を有するエネルギー送達装置と、
該エネルギー送達装置に電力供給するエネルギー供給装置と、
所望の非切除範囲内にある温度に相関する所望のインピーダンス値に基づいて、該エネルギー供給装置から該エネルギー送達装置への該電力を制御するエネルギー供給制御器と
を備える、システム。
(項目9)
上記エネルギー供給制御器は、初期インピーダンス値に基づいて、上記所望のインピーダンス値を決定する、項目8に記載のシステム。
(項目10)
上記所望のインピーダンス値は、上記エネルギー送達装置に関連する電圧測定および電流測定に基づく、初期インピーダンス値の割合である、項目8に記載のシステム。
(項目11)
上記所望のインピーダンス値は、初期インピーダンス値の70パーセントと90パーセントとの間である、項目8に記載のシステム。
(項目12)
上記所望のインピーダンス値は、上記エネルギー送達装置の特徴に基づいている、項目8に記載のシステム。
(項目13)
上記所望のインピーダンス値は、治療中に上記エネルギー送達装置を囲む管路の特徴に基づいている、項目8に記載のシステム。
(項目14)
上記所望のインピーダンス値は、初期インピーダンス値の時間変化率に基づいている、項目8に記載のシステム。
(項目15)
上記所望のインピーダンス値は、初期パルスインピーダンス、平均パルスインピーダンス、終了パルスインピーダンス、該パルスインピーダンスの変化率、またはパルスエネルギーに基づいている、項目8に記載のシステム。
(項目16)
ヒトの肺の気道内の組織の治療に使用される閉ループインピーダンスフィードバック電力制御システムであって、
細長い本体と、複数の電極を有する電極ユニットとを有するエネルギー送達機器と、
制御機器であって、所望のインピーダンス値と現在のインピーダンス値との差異に基づいて、該エネルギー送達機器に電力を出力する、制御機器と
を備える、システム。
(項目17)
上記制御機器は、上記インピーダンス値間の上記差異に基づいて、出力電力値を決定するPIDアルゴリズムを含む、項目16に記載のシステム。
(項目18)
上記所望のインピーダンス値は、上記組織の正常な体温において決定された初期インピーダンス値の割合である、項目16に記載のシステム。
(項目19)
上記初期インピーダンスは、上記治療機器の上記電極の幾何学的形状に基づいている、項目18に記載のシステム。
(項目20)
上記初期インピーダンスは、上記気道の直径に基づいている、項目18に記載のシステム。
(項目21)
上記制御機器は、双極式または単極式でエネルギーを送達するように構成される、項目16に記載のシステム。
(項目22)
上記制御機器は、20秒未満の作動時間の間、エネルギーを送達するように構成される、項目16に記載のシステム。
(項目23)
上記所望のインピーダンス値は、摂氏50度〜80度の範囲内の温度に相関する、項目16に記載のシステム。
(項目24)
上記出力電力は、40ワット未満である、項目16に記載のシステム。
(項目25)
上記エネルギーは、無線周波数エネルギーを含む、項目16に記載のシステム。
(項目26)
エネルギー送達装置を使用して肺の気道内の組織にエネルギーを送達する方法であって、
初期インピーダンス値を決定するために、低エネルギーパルスを該組織に伝達することと、
該エネルギーの送達に関連する所望の組織状態と、該初期インピーダンス値とに基づいて、所望のインピーダンス値を決定することと、
現在のインピーダンス値と該所望のインピーダンス値との差異に基づいて、該エネルギー送達装置への電力出力を調整することと
を含む、方法。
(項目27)
患者の気道の第1の位置における組織へのエネルギーの送達に使用されるエネルギー送達機器への電力出力を調整する方法であって、
現在のインピーダンス値と設定インピーダンス値との差異を同定することと、
該現在のインピーダンス値と該設定インピーダンス値との間の該同定された差異に基づいて、該電力出力を修正することと
を含む、方法。
(項目28)
上記電力出力を修正することは、上記エネルギー送達機器へ出力するための上記電力の値を決定するために、PIDアルゴリズムに上記差異を挿入することを含む、項目27に記載の方法。
(項目29)
上記エネルギー送達機器を上記気道内の第2の位置に移動させることと、
新しい設定インピーダンス値を決定することと、
該新しい設定インピーダンス値に基づいて、上記同定するステップおよび修正するステップを繰り返すことと
をさらに含む、項目27に記載の方法。
(項目30)
エネルギー送達装置を使用して肺の気道内の組織にエネルギーを送達する方法であって、
治療前の低エネルギーパルスを該組織に伝達することと、
該伝達された低エネルギーパルスの1つ以上のパラメータに基づいて、所望のインピーダンス値を決定することと、
現在のインピーダンス値と該所望のインピーダンス値との差異に基づいて、該エネルギー送達装置への電力出力を調整することと
を含む、方法。
(項目31)
上記低エネルギーパルスの上記1つ以上のパラメータには、初期パルスインピーダンス、平均パルスインピーダンス、終了パルスインピーダンス、該パルスインピーダンスの変化率、またはパルスエネルギーが含まれる、項目30に記載の方法。