(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5732508
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】貨物自動車用扉のストッパ装置
(51)【国際特許分類】
B60J 5/10 20060101AFI20150521BHJP
B62D 33/04 20060101ALI20150521BHJP
E05C 17/14 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
B60J5/10 A
B60J5/10 D
B62D33/04 C
E05C17/14
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-213737(P2013-213737)
(22)【出願日】2013年10月11日
(65)【公開番号】特開2015-74414(P2015-74414A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2013年12月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108708
【氏名又は名称】タキゲン製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078950
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 忠
(72)【発明者】
【氏名】福田 学
【審査官】
加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−267053(JP,A)
【文献】
特開平11−301276(JP,A)
【文献】
特開平09−100816(JP,A)
【文献】
特開平09−115205(JP,A)
【文献】
特開平09−092369(JP,A)
【文献】
特開2004−025928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/10
B62D 33/04
E05C 17/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直のヒンジ軸周りに閉鎖位置から90°以上開放可能な貨物自動車の荷箱の扉を90°の開放角度位置で停止させるストッパ装置であって、
前記扉の内面に取付けられるアーム支持ブラケットと、
基端側おいて垂直の支軸により前記アーム支持ブラケットに回転自在に支持され、水平方向に延びて先端側が前記荷箱の側壁の内面を摺動するように回転付勢されるアームと、
前記荷箱の側壁内面側に設けられ、前記扉が90°の開放角度位置にあるとき前記アームの先端部と係合してその移動を阻止する係合溝を有するアーム拘束部材と、
前記アームの先端部を前記係合溝から脱出させるようにアームを反付勢方向へ回転させて、アームの再移動を可能にするアーム拘束解除部材と、を具備し、
前記アーム拘束解除部材は、前記アームの下方において前記扉の内側面に取り付けられたレバー支持ブラケットと、中間部において水平軸によりレバー支持ブラケットに枢支され上端部が前記アームと扉の内側面との間に介入するように上下方向に延び常時位置と解除位置との間を水平軸周りに回動自在の解除レバーと、この解除レバーの下端側において前記扉の内側面に取り付けられたレバーホルダとを具備し、
前記レバーホルダは、前記解除レバーの下端部を起伏自在に保持する保持部材と、解除レバーの下端部と扉の内側面との間に介設され解除レバーの下端部を扉の内側面から押し上げそれによって上端側を扉の内側面に向かって押し下げるよう解除レバーを回転付勢するばねとを含み、
前記解除レバーの前記レバー支持ブラケットへの枢止部と前記レバーホルダへの保持部との間に前記扉の内側面から常時浮上する浮上部位が形成され、
前記解除レバーの前記浮上部位を扉の内側面側へ押し下げて解除レバーを解除位置に回動させることにより、解除レバーの上端側で前記アームを反付勢方向へ回転させてアームを前記係合溝から脱出させることを特徴とする貨物自動車用扉のストッパ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨物自動車の荷箱を開閉するための扉の開放角度を規制するストッパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、270°開放可能なバン型車両の後部扉を90°の開放角度位置で停止させるストッパ装置として、特許文献1に記載されたものが提案されている。このストッパ装置においては、後部扉の内面に、アームの基端側がブラケットを介して回動可能に、かつ先端側を車両の側壁内面に向け回動付勢して取付けられる。車両の側壁内面には、扉が90°開放したときアームの先端側と係合してその移動を阻止する凹所を有するアーム移動規制部材と、アームの先端を凹所から脱出させてアームの再移動を可能にするアーム移動規制解除部材とが設けられる。アーム移動規制解除部材は、アームの回転軸の下方延出部から扉と平行に延出するチェンジレバーと、同回転軸の上方延出部に設けられた下向U字状折曲部とからなる。U字状折曲部の先端垂下片は、アームの基端に一体に設けられたアーム取付ブラケットの裏側の傾斜面に当接する。
扉を開くと、アームの先端が車両の側壁内面を摺動する。扉が90°開放すると、自動的にアームの先端がアーム移動規制部材の係合溝に係合し、固定される。この状態で、チェンジレバーを回転させると、回転軸を介してU字状折曲部が回転し、それの垂下片がアーム取付ブラケットの裏側の傾斜面を押し、アームをアーム移動規制部材の係合溝から離脱させるように回転させる。これにより扉が解放される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−267053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のストッパ装置においては、アームの基端側の構造や、アームの回転軸の構造が複雑で、故障を生じやすく、また製造コストを高める一因となっている。
したがって、本発明は、構造が簡易で、堅牢であり、製造コストの削減に貢献する車両扉のストッパ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、添付図面の符号を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するための、本発明のストッパ装置1は、垂直のヒンジ軸A周りに閉鎖位置から90°以上開放可能な貨物自動車の荷箱の扉Dを90°の開放角度位置で停止させるストッパ装置であって、アーム支持ブラケット2と、アーム3と、アーム拘束部材4と、アーム拘束解除部材5とを具備する。アーム支持ブラケット2は、扉Dの内側面に取付けられる。アーム3は、基端側において垂直の支軸3cによりアーム支持ブラケット2に回転自在に支持され、水平方向に延びる。アーム3は、先端側が荷箱の側壁Wの内面を摺動するように回転付勢される。アーム拘束部材4は、荷箱の側壁Wの内面側に設けられ、扉が90°の開放角度位置にあるとき、アーム3の先端部と係合し、その移動を阻止する係合溝4bを有する。アーム拘束解除部材5は、アーム3の先端部を係合溝4bから脱出させるようにアーム3を反付勢方向へ回転させて、アーム3の再移動を可能にする。アーム拘束解除部材5は、アーム3の下方において扉Dの内側面に取り付けられたレバー支持ブラケット6と、中間部において水平軸7によりレバー支持ブラケット6に枢支され、上端部がアーム3と扉Dの内側面との間に介入する解除レバー8と、解除レバー8を回転付勢する付勢部材9とを具備する。解除レバー8は、上端側が扉の内側面に向かって下がり、下端側が上がる常時位置とその反対の解除位置との間を水平軸7周りに回動自在であり、付勢部材9により、常時位置に回転付勢される。解除レバーの下端側を扉の内側面側へ押し下げて解除位置に回動させることにより、上端側でアームを反付勢方向へ回転させてアームを係合溝から脱出させる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の扉のストッパ装置は、構造が簡易で、堅牢であり、製造コストの削減に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】扉が90°開放した状態において内側から見た本発明に係るストッパ装置の斜視図である。
【
図5】
図1のストッパ装置の動作を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図5に示すように、ストッパ装置1は、垂直のヒンジ軸A周りに閉鎖位置から90°以上開放可能な貨物自動車の荷箱の扉Dを90°(荷箱の側壁Wに対してほぼ180°)の開放角度位置で停止させる装置である。
【0009】
図1ないし
図3において、扉Dは、90°の開放角度位置にある。ストッパ装置1は、アーム支持ブラケット2と、アーム3と、アーム拘束部材4と、アーム拘束解除部材5とを具備する。
【0010】
アーム支持ブラケット2は、扉Dの内側面に取付けられる。アーム支持ブラケット2は、扉Dの内側面から起立した規制片2aを具備する。規制片2aは、アーム3に当接することにより、その回転角度を規制する。
【0011】
アーム3は、鋼棒材を概略U字状に屈曲させてなるアーム本体3aと、その基端側の両端を連結するようにアーム本体3aと一体に設けられた軸筒3bとを具備する。軸筒3bは、垂直支軸3cにより、アーム支持ブラケット2に水平回転自在に支持される。アーム支持ブラケット2とアーム3との間には、回転付勢用のばね3dが介設される。したがって、アーム3は、垂直支軸3c周りに水平回転自在であり、ばね3dで
図3において時計方向へ回転付勢される。アーム3の付勢方向への回転は、それがブラケット2の規制片2aに当接する位置で止められる。アーム3は、扉Dが閉鎖位置からほぼ90°開放されるまでの間、その先端側が荷箱の側壁Wの内面を摺動する。
【0012】
アーム拘束部材4は、荷箱の側壁Wの内側面に固定される。アーム拘束部材4は、扉Dが90°の開放角度付近に来たとき、アーム3の先端が摺動する斜面4aと、扉Dがほぼ90°の開放角度位置にあるとき、アーム3の先端部と係合してその移動を阻止する係合溝4bとを有する。
【0013】
アーム拘束解除部材5は、アーム3の先端部をアーム拘束部材4の係合溝4bから脱出させるように、アーム3を反付勢方向(
図3において反時計方向)へ回転させて、アーム3の再移動を可能にする部材である。アーム拘束解除部材5は、レバー支持ブラケット6と、これに枢支される解除レバー8と、これを回転付勢する付勢ばね9とを具備する。
【0014】
レバー支持ブラケット6は、アーム3の下方において扉Dの内側面に取り付けられる。解除レバー8は、中間部において水平軸7によりレバー支持ブラケット6に枢支され、上端部がアーム3と扉Dの内側面との間に介入する。解除レバー8は、上端側が扉の内側面に向かって下がり、下端側が上がるように傾斜した常時位置と、その反対に傾斜した解除位置との間を水平軸7周りに回動自在であり、付勢ばね9により、常時位置に回転付勢される。
解除レバー8の下端側を扉Dの内側面側へ押し下げて解除位置に回動させることにより、上端側でアーム3を反付勢方向へ回転させてアーム3を係合溝4aから脱出させる。
【0015】
レバーホルダ10は扉Dの内側面に取り付けられ、解除レバー8の下端部を起伏可回転可能に保持する。レバーホルダ10の内側には、付勢ばね9が設けられ、解除レバー8の下端側を押し上げることにより、これを常時位置に回転付勢する。
【0016】
図5を参照して、ストッパ装置1の操作方法を説明する。
扉Dの閉鎖時に、アーム3は、軸筒3b、ばね3dにより、先端が側壁Wの内側面に向くように付勢されている。
【0017】
この状態から、扉Dを徐々に開けると、扉Dはそのヒンジ軸Aの周りに回動するが、アーム3もそれにつれて、先端を側壁Wの内側面に摺動しながら移動する。開放角度が90°付近に達すると、アーム3の先端はアーム拘束部材4の斜面4aを摺動しつつ移動し、90°に達すると、係合溝4bに落ち込んで係合し、アーム3が拘束されるので、扉Dはそれ以上開放できない。
【0018】
90°の開扉状態から再び扉を閉じる際には、解除レバー8の下端側を側壁W側へ押し下げると、解除レバー8の上端側が起き上がって、アーム3をばね3dの付勢力に抗して押し上げ、その先端部を係合溝4bから脱出させる。この状態で、扉Dを閉じることができる。同様に90°以上開扉することもできる。
【0019】
アーム3を、介在物なく、直接解除レバー8の操作でアーム拘束部材4の拘束から解放する構成であるから、構造が簡易で、故障が少ない。製造コストの削減にも貢献する。
【符号の説明】
【0020】
1 ストッパ装置
2 アーム支持ブラケット
2a 規制片
3 アーム
3a アーム本体
3b 軸筒
3c 垂直支軸
3d ばね
4 アーム拘束部材
4a 斜面
4b 係合溝
5 アーム拘束解除部材
6 レバー支持ブラケット
7 水平支軸
8 解除レバー
9 付勢ばね
10 レバーホルダ
A ヒンジ軸
D 扉
W 荷箱の側壁