(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
処理する前記被処理水には、放射性物質又は放射性物質により汚染された廃棄物が埋設処理された埋立処分場から浸出する浸出水が含有されている請求項1又は2に記載の水処理方法。
放射性物質を吸着可能な吸着材が収容され、放射性物質を含有する被処理水が導入されて前記放射性物質が前記吸着材に吸着されて前記被処理水の放射性物質の濃度が低下される吸着処理部が少なくとも2つ備えられている水処理設備であって、
前記吸着処理部の内の第一の吸着処理部が、堆積された吸着材によって形成された吸着材層を備え、該第一の吸着処理部において前記吸着材に放射性物質を吸着させる吸着処理が行われた前記被処理水を第二の吸着処理部に導入させてさらなる吸着処理を実施させるべく用いられ、且つ、前記第二の吸着処理部の吸着材の放射能濃度が10,000Bq/kgを超える前に該吸着材が新たな吸着材に取替えられて用いられ、該取替えられた前記吸着材を前記第一の吸着処理部の吸着材に加えて該第一の吸着処理部での吸着処理に利用し得るように、前記第一の吸着処理部には、さらに吸着材を収容させるためのスペースが前記吸着材層の上方に設けられていることを特徴とする水処理設備。
放射性物質又は放射性物質により汚染された廃棄物が埋設処理された埋立処分場から浸出する浸出水を含んだ前記被処理水の処理に用いられる請求項4又は5に記載の水処理設備。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の水処理方法に係る第一の実施の形態について、放射性物質の埋設処理された埋立処分場(最終処分場)からの浸出水を被処理水とする場合を例にして、図を参照しつつ説明する。
(第一実施形態)
図1は、第一実施形態において用いる水処理設備の概略構成を示すブロック図であり図中の符号1は、被処理水を浸出させるおそれのある埋立処分場を表し、符号2は、当該埋立処分場1から排出された浸出水を貯留するための受け槽を表している。
そして、符号10、20がそれぞれ放射性物質を吸着可能な吸着材が収容された吸着処理部であり、10が水処理の前段側において被処理水を吸着処理するための第一の吸着処理部(以下「第一吸着処理部」ともいう)であり、20が水処理の後段側において前記第一吸着処理部で第一の吸着処理がなされた被処理水に対して第二の吸着処理を実施させるための第二の吸着処理部(以下「第二吸着処理部」ともいう)である。
さらに、破線Aは、本実施形態の水処理設備において放射能濃度及び数量に基づく管理を行う管理区域を表している。
この図にも示されているように、本実施形態においては、第一吸着処理部10が管理区域内に設置されており、第二吸着処理部20などのその他のものは管理区域外に設けられている。
【0014】
本実施形態の水処理設備には、
図1に示すように、前記第一吸着処理部10から順に、一次処理水貯留部30、pH調整部40、硝化部50、脱窒部60、凝集沈殿部70、中和部80、砂濾過部90、及び、キレート処理部100が備えられており、該キレート処理部100の下流側に前記第二吸着処理部20が備えられている。
また、本実施形態の水処理設備には、該第二吸着処理部20の下流側に、順に、限外濾過部110、及び、消毒部120が備えられており、本実施形態の水処理設備は、該消毒部120における処理を終えた水を処理水として系外に放出しうるように構成されている。
【0015】
前記第二吸着処理部20は、吸着材を収容するための容器と、該容器に収容させた吸着材とを有する吸着塔によって構成されており、該吸着塔は、前記容器の一方から導入された被処理水を、該容器内部の吸着材に接触させながら容器の他方側に移動させて排出すべく構成されている。
また、前記吸着塔は、この被処理水と吸着材との接触によって被処理水に含有される放射性物質が前記吸着材に吸着されて該被処理水の放射性物質の濃度が低下されるように構成されている。
【0016】
なお、この第二吸着処理部20においては、吸着させる放射性物質が、放射性セシウム、放射性ヨウ素、放射性ストロンチウムなどの場合には、前記容器に収容させるための吸着材としては、ゼオライトなどのアルミノケイ酸塩鉱物;雲母やセリサイトなどのフィロケイ酸塩鉱物;フェロシアン化カリウム、フェロシアン化コバルト、フェロシアン化鉄などのフェロシアン化合物などを好適に採用することができる。
なお、これらの物質は、吸着材として利用する際には、単独で用いても、複数混合して用いてもよい。
その場合には、これらを粉末や該粉末を焼結させた多孔質材の形態で利用することができる。
一方で、容器については、放射線によって大きな物性低下を生じないようなものであれば特にその材質が限定されるものではない。
【0017】
このような吸着塔によって構成される第二吸着処理部20に対し、前記第一吸着処理部10は、前記第二吸着処理部20の吸着塔において吸着材を収容している容器の数倍から数十倍以上の容積を有するコンクリート製の槽(以下「コンクリート槽」ともいう)によって構成されている。
なお、第一吸着処理部10のコンクリート槽は、前記埋立処分場の一部に一定厚みを有するコンクリートによって周壁と底面壁とを形成させる形で設けられており、その内外が完全に隔離されるようにして設けられている。
また、第一吸着処理部10は、コンクリート槽中に一定の堆積厚みとなるように吸着材を収容させて内部に前記吸着材による吸着材層を形成させているとともに、地上部から前記吸着材層を通る形でコンクリート槽の槽底に向かって延びる吸引管を有している。
なお、前記吸着材層を形成させるための吸着材としては、第二吸着処理部20に関して説明したものと同じような材質のものを採用することができる。
ただし、第一吸着処理部10において用いる吸着材は、第二吸着処理部20において用いる吸着材と同じである必要はなく、形状や材質等を第二吸着処理部20において用いる吸着材と異ならせていてもよい。
また、逆に、第二吸着処理部20と用いる吸着材を共通させて、第二吸着処理部20と全く同じ吸着材で前記吸着材層を形成させてもよい。
【0018】
そして、本実施形態においては、第一吸着処理部10は、前記埋立処分場から降雨等によって浸出した浸出水を被処理水とし、該被処理水を前記受け槽2を経由させて前記コンクリート槽の上部から導入させるとともに前記吸着材層を通過した被処理水を前記コンクリート槽の底部から前記吸引管を通じて地上に汲み上げて一次処理水として前記一次処理水貯留部30に流下させ得るように構成されている。
即ち、第一吸着処理部10は、前記吸着材層を通過する被処理水中の放射性物質を前記吸着材に吸着させて該被処理水の放射性物質の濃度を低下させ得るように構成されている。
【0019】
また、当該第一吸着処理部10を構成しているコンクリート槽は、前記吸着材層の上側に十分な収容スペースを有しており、後述するように前記第二吸着処理部20の吸着材を新しいものに入れ替えた際にそれまで第二吸着処理部20で用いていた吸着材をこの吸着材層の上に新たに堆積させてこのコンクリート槽中での吸着処理に利用し得るようになっている。
【0020】
なお、本実施形態においては、放射性物質を吸着材に吸着させた後の吸着処理水をコンクリート槽内に設けた吸引管を通じてコンクリート槽から汲み上げるような態様を第一吸着処理部10における第一の吸着処理の具体的な方法として例示しているが、前記コンクリート槽の底部に排出口を設けてコンクリート槽の底部から吸着処理された水を排出させてもよい。
ただし、当該第一吸着処理部は、最終的には完全に外界と遮断された閉鎖空間となるように構成されることが好ましい点において、底部に排出口などを設けない方が好ましく、前記のような上部側にのみ開口を有するコンクリート槽を採用することが好ましい。
【0021】
前記一次処理水貯留部30は、前記第一吸着処理部10で吸着処理された吸着処理水を次段以降の処理に供するのに際してその流量や水質を安定化させるための調整槽を備えている。
また、前記pH調整部40は、前記一次処理水貯留部30から導入される被処理水を一旦貯留するためのpH調整槽と、該pH調整槽中の被処理水を生物学的な硝化脱窒処理を実施するのに適したpHとなるように調整するためのpH調整機構とを有している。
そして、前記硝化部50は、前記pH調整部40から導入される被処理水中に含まれている有機性窒素やアンモニア性窒素などを生物学的に酸化して硝酸性窒素や亜硝酸性窒素に変化させるための硝化槽を備えており、前記脱窒部60は、前記硝化部50から導入される被処理水中の硝酸性窒素や亜硝酸性窒素を還元して窒素ガスに変化させるための脱窒槽を備えている。
【0022】
前記凝集沈殿部70は、前記脱窒部60において生物学的な処理に用いた活性汚泥などの浮遊物を凝集沈殿させるための沈殿槽を備えている。
そして、前記中和部80は、前記凝集沈殿部70から導入された被処理水を中和処理するための処理水槽を備え、前記砂濾過部90は、前記中和部80から導入された被処理水の懸濁物質をさらに除去するために設けられている。
前記キレート処理部100は、前記第二吸着処理部20に導入させる被処理水に重金属イオン等が含有されている場合にこれをキレート剤で捕捉させるために前記第二吸着処理部20の前段側に設けられている。
【0023】
前記第二吸着処理部20の下流側に設けられた前記限外濾過部110は、仮に第二吸着処理部20から吸着材粒子が漏洩した場合でもこれを限外濾過膜によって捕捉し、被処理水の放射性物質濃度をより確実に基準値以下に抑制させるべく備えられている。
本実施形態に係る水処理設備は、この限外濾過部110の限外濾過膜を通過した透過水に前記消毒部120で消毒処理を行って消毒後の水を処理水として系外に放流し得るように構成されている。
【0024】
このような水処理設備を用い、前記浸出水を被処理水として処理することで、該被処理水を前記第一吸着処理部10から前記消毒部120まで順に流下させる間に前記第一吸着処理部10において前記吸着材層を形成している吸着材に接触させて放射性物質の濃度を低下させる第一の吸着処理を実施させることができ、該第一の吸着処理がされた被処理水を前記第二吸着処理部20の吸着塔において再び第一吸着処理部10とは別の吸着材に接触させて前記濃度をさらに低下させる第二の吸着処理を実施させることができる。
しかも、本実施形態においては、被処理水を前記第一吸着処理部10から前記消毒部120まで順に流下させる間に前記浸出水に含有されている放射性物質とは別の重金属や有機性窒素等を除去させることができる。
【0025】
このような水処理方法においては、前記第二吸着処理部20の吸着材が、その放射能濃度が10,000Bq/kg以下、好ましくは8,000Bq/kg以下の状態で新たな吸着材に取替える吸着材取替工程を実施することが当該水処理方法を簡便なものとする上において重要である。
即ち、上記のような放射能濃度を示す状態において第二吸着処理部20の吸着材を取り扱うことで、この吸着材の取り扱いに厳重な管理を行う必要性を低減させることができる。
なお、第二吸着処理部20の吸着材が過度に放射能濃度が低い状態で前記吸着材取替工程を実施すると当該吸着材取替工程を頻繁に実施しなければならなくなり、水処理を実施する上での効率面から好ましいものではない。
従って、前記吸着材取替工程は、第二吸着処理部20の吸着材の放射能濃度が6,400Bq/kg以上の状態で実施することが好ましい。
【0026】
なお、第二吸着処理部20の吸着材が、どの程度の放射能濃度となっているかについては、例えば、一次処理水貯留部30において調整槽に貯留されている吸着処理水の水質を定期的に分析して放射性物質の含有量をモニタリングするとともに、該調整槽から流下される水量をモニタリングして予測することができる。
即ち、第二吸着処理部20を通過する水には、殆ど放射性物質が含有されていない状態となるため、前記調整槽から流下する被処理水に含まれる放射性物質の略全量が第二吸着処理部の吸着材に吸着されることになる。
従って、この放射性物質の全量を前記吸着塔に収容されている吸着材の合計質量で割れば当該吸着材の放射能濃度を求めることができ、吸着材取替工程を実施するタイミングを把握することができる。
【0027】
ただし、通常、水質の測定には時間を要することから、別の方法として、第二吸着処理部近傍の空間線量を測定することで、予め準備した吸着量と空間線量の関係性のデータと比較することによって吸着塔内部の放射能濃度を推定する方法を採用することもできる。
この方法によれば、空間線量はすぐに測定することができるため、当該測定時点の吸着量を反映でき、交換のタイミングを正確に管理出来る。
なお、吸着量と空間線量の関係は吸着材毎に異なる場合があるため、それぞれの吸着材毎にデータを測定しておくことが好ましい。
【0028】
また、本実施形態の水処理方法においては、この吸着材取替工程において取替えられた第二吸着処理部20の前記吸着材を前記第一吸着処理部10での吸着処理に利用することが吸着材の消費量を抑制させる上において重要である。
即ち、第二の吸着処理に用いられた吸着材は、放射能濃度が10,000Bq/kg以下、場合によっては、8,000Bq/kg以下で新たなものに取り換えられるが、通常、この程度の放射能濃度であれば、いまだに十分な吸着性能を有しているために、これを第一の吸着処理において有効に活用することが本実施形態の水処理方法において重要な要素となる。
【0029】
本実施形態においては、前記第一吸着処理部10における吸着材の収容スペースが、前記第二吸着処理部20における吸着材の収容スペースに比べて格段に大きいことから、数回、あるいは、数十回の吸着材取替工程を実施しても該吸着材取替工程前に吸着塔に収容されていた古い吸着材を第一吸着処理部10のコンクリート槽に収容させることができる。
ここで、第二吸着処理部20においてそれまで用いられていた吸着材を前記第一吸着処理部10の吸着材に加えて該第一吸着処理部の吸着材層の厚みを増大させることで、それまでに比べて第一吸着処理部10における放射性物質の吸着量を増大させることができ、同じような放射性物資の濃度の浸出水が発生していた場合でも、吸着材取替工程後(取り換えた吸着材の第一吸着処理部への収容後)において一次処理水貯留部30に向けて流下される被処理水の放射性物資の濃度を低減させることができる。
【0030】
即ち、第一吸着処理部10は吸着材取替工程後に吸着処理に利用される時間の経過とともに放射性物質の吸着性能が低下するが、その後、吸着材取替工程により吸着材が追加されるので第一吸着処理部全体としての吸着性能がこの吸着材取替工程時点で向上されることになる。
【0031】
なお、この第一吸着処理部10のコンクリート槽に第二吸着処理部20から吸着材を持ち込めなくなった場合には、コンクリート槽内にコンクリートを導入し、吸着材とコンクリートとを混合して不溶化処理を施すとともにコンクリート槽の上部もコンクリートで蓋をして完全に外界と遮断された閉鎖空間とさせればよい。
そして、埋立処分場に、(例えば、閉鎖させた第一吸着処理部の隣の区画に)新たに第一吸着処理部を設けて水処理を継続させればよい。
このように、本実施形態においては、基本的に第一吸着処理部のみを管理区域として水処理を行うことができ、放射能濃度が10,000Bq/kgを超える状態で第二吸着処理部の吸着材を取り換える場合に比べて管理を容易にすることができる。
【0032】
次いで、
図2を参照しつつ、本発明の水処理方法に係る第二の実施の形態について説明する。
なお、第一実施形態と共通する構成等に関しては、ここでは説明を割愛する。
(第二実施形態)
この第二実施形態においては、前記第一吸着処理部10と、前記第二吸着処理部20との間に逆浸透膜分離装置を備えた膜分離部200と、該膜分離部200の前段側に設けられた保安フィルター部130とが備えられている点において第一実施形態とは用いる水処理設備を異ならせている。
また、この第二実施形態においては、水中に含まれる塩類や放射性物質が水を蒸発させることによって濃縮される蒸発濃縮部160と該蒸発濃縮部160で蒸発された水が凝縮された凝縮水を貯留する凝縮水貯留部170がさらに備えられている点において第一実施形態とは用いる水処理設備を異ならせている。
そして、本実施形態においては、前記第一吸着処理部10で吸着処理がされた吸着処理水を、前記放射性物質の濃度を向上させた濃縮水と、前記濃度を低下させた透過水とに逆浸透膜を用いて膜分離する膜分離工程を2段構えに設けられた逆浸透膜分離装置で実施させうるように前記膜分離部200が構成されている。
即ち、本実施形態においては、前記第一吸着処理部10で吸着処理がされた吸着処理水を濃縮水と透過水とに分離するための第一膜分離装置140と、該第一膜分離装置140の透過水を逆浸透膜を用いてさらに濃縮水と透過水とに膜分離するための第二膜分離装置150の2つの逆浸透膜分離装置を備えた膜分離部200が備えられている。
【0033】
そして、この第二実施形態においては、前記第二膜分離装置150の透過水を処理水として系外に放出させ得るように水処理設備が構成されており、該第二膜分離装置150の濃縮水は、前記第一膜分離装置140の濃縮水とともに前記第二吸着処理部20において吸着処理が行われるように前記水処理設備が構成されている。
なお、本実施形態の水処理設備は、第二吸着処理20において吸着処理が行われた後の吸着処理水が、前記蒸発濃縮部160において塩類や放射性物質が除去された後に、前記凝縮水として系外に排出されるか、再び、第一吸着処理部10か、又は、その上流側に返送されるように構成されている。
【0034】
前記第一膜分離装置140は、平面膜型モジュールを有し、膜分離を行う被処理水によって平面状の逆浸透膜の表面に乱流が形成されるような逆浸透膜分離装置であることが好ましく、前記第二膜分離装置150は、スパイラル型逆浸透膜モジュール、中空糸型逆浸透膜モジュール又はプリーツ型逆浸透膜モジュールを有する逆浸透膜分離装置であることが好ましい。
【0035】
この平面膜型モジュールを有する前記逆浸透膜分離装置としては、
図3に例示されるような、複数のスペーサー7が配され、それぞれのスペーサー7間に逆浸透膜(平面膜6)が介装された平面膜型モジュール4を備えたものが挙げられる。
【0036】
図3に示される平面膜型モジュール4は、ディスクタイプの平面膜と、ディンプルの付いたスペーサーとが、交互に積層された構造からなるものである。
具体的には、平面膜型モジュール4は、円筒状の逆浸透膜モジュール本体5内に、円板状の平面膜(逆浸透膜)6が同じく円板状のスペーサー7の間に設けられた逆浸透膜部8が複数組積層されて構成されている。
前記逆浸透膜分離装置は、逆浸透膜モジュール本体5の内周面に被処理水を導入する被処理水流路9が設けられており、被処理水流路9から逆浸透膜の周囲に被処理水が導入され、該被処理水の導入によって平面膜6の表面において前記被処理水による乱流が形成されるように構成されている。
また、逆浸透膜部8の上部にはエンドプレート3が設けられ、浸透圧以上の圧力に耐えられるようになっている。
図3に示される平面膜型モジュール4において、透過水パイプ11は、逆浸透膜部8の中央部に貫通されている。
該平面膜型モジュール4は、前記透過水パイプ11により、逆浸透膜によって分離された透過水が排出され、濃縮水パイプ12により、各逆浸透膜によって濃縮された濃縮水がモジュール本体5外へ排出されるように構成されている。
【0037】
二段構えとした膜分離装置の前段側にこのような平面膜型モジュールを有する前記逆浸透膜分離装置を設けるのが好ましいのは、後段側のスパイラル型逆浸透膜モジュール、中空糸型逆浸透膜モジュール又はプリーツ型逆浸透膜モジュールを有する逆浸透膜分離装置に比べて膜面への付着物の形成が抑制されるためである。
一方で、後段側においては平面膜型モジュールを有する前記逆浸透膜分離装置の透過水が導入されるため、膜面に付着物が形成されるおそれが低く、装置の大きさに対して膜面積を広く確保することが容易なスパイラル型逆浸透膜モジュール、中空糸型逆浸透膜モジュール又はプリーツ型逆浸透膜モジュールを有する逆浸透膜分離装置を用いることが好ましい。
【0038】
なお、本実施形態においては、膜分離により塩類及び放射性物質が濃縮水側に濃縮される。
そのため、本実施形態においては、系内の塩類循環を防止するために、前記蒸発濃縮部160において第二吸着処理部20通過後の水についての蒸発濃縮処理を行い、塩分を固化処理することで、系内の塩類循環を防止するようにしている。
ただし、ここで固化される成分に放射性物質が10,000Bq/kgを超える濃度で含有されると、特別な管理が必要になるおそれがあることから、蒸発濃縮処理は得られる固体が10,000Bq/kg以下、より好ましくは8,000Bq/kg以下の放射能濃度となるように実施することが好ましい。
このような処理を実施する場合、蒸発した水分は前記凝縮水貯留部170を通じて排出しても良いし、前記第一吸着処理部10、前記一次処理水貯留部30などのいずれか、又は、これらを含む複数個所に返送して循環させても良い。
また、第二吸着処理部20通過後の水は、一部をそのまま循環させて、残りの一部を蒸発濃縮処理しても良い。
【0039】
第一実施形態においては、浸出水に含まれる有機性窒素等を生物学的に処理させていたために、余剰汚泥等が生じた際にその処理を必要とするが、本実施形態のごとく、逆浸透膜分離装置140,150を設けて十分に放射性物質の濃度が低下された透過水や凝縮水のみを系外に放出させるようにすることで、余剰汚泥等の余分な処理対象物が生じることを抑制させ得る。
【0040】
(その他の実施形態)
本発明は、上記の第一実施形態や第二実施形態のみにその実施形態が限定されるものではない。
これらの実施形態に対して従来公知の技術事項を適宜付加したり、これらの実施形態において例示した各構成の内、本発明の本質的な部分ではないものについてはこれを適宜削除することもできる。
さらには、上記の第一実施形態や第二実施形態の構成を同種の機能を有するものに変更したり、処理の流れにおける各構成の順番を入れ替えたりすることも可能である。
例えば第一実施形態においてはキレート処理部を第二吸着処理部の前段に配置しているが、キレート剤が放射能物質を吸着して汚染する可能性が高く、またキレート剤が汚染されることが好ましくない場合は、前記キレート処理部を第二吸着処理部の後段に設置しても良い。
【0041】
また、例えば、第二実施形態においては、第二膜分離装置150の濃縮水を第一膜分離装置140の濃縮水とともに第二吸着処理部20に導入させているが、この第二膜分離装置150の濃縮水には、通常、放射性物質が極僅かにしか含有されないことからこの濃縮水を第二吸着処理部20に導入させることなく、一次処理水貯留部30の調整槽に返送したりしてもよい。
【0042】
さらに、第二実施形態において、逆浸透膜が放射性物質によって劣化して通常よりも過度に耐用期間が短くなるようなおそれがある場合には、
図4に例示するように第二吸着処理部20を膜分離部200の前段側に設けるようにしてもよい。
また、第二実施形態において、第一膜分離装置140によって十分に放射性物質を除去しうる場合は、第二膜分離装置150を設けない構成としても良い。
一方で、実際の使用において、安全のために膜分離部の後段においてセーフティーネットとして第三の吸着処理部を設けて排出される透過水を処理するようにしても良い。
即ち、逆浸透膜に予期せぬ破損等が生じて透過水側に放射性物質が漏洩した場合を想定して前記第三の吸着処理部によってセーフティーネットを構成させてもよい。
さらに、
図2や
図4の実施形態のように逆浸透膜を利用する場合、濃縮水に対して蒸発濃縮処理を行う構成としているが、この構成は必須では無い。即ち、濃縮水中の塩濃度が問題とならない場合、蒸発濃縮処理を行わずに返送する構成としても良い。
【0043】
また、第一吸着処理部10から流下した被処理水を調整槽に貯留させるのではなく、第一吸着処理部10の上流側に調整槽を設け、浸出水を予め当該調整槽に導入させて第一吸着処理部10へ流下させる被処理水の量や水質を調整させるようにしてもよい。
また、本実施形態においては、処理対象物を放射性物質の埋設処理された土壌からの浸出水としているが、本発明はこのような被処理水以外の水処理にも有用なものである。
なお、埋立処分地においては、上述した通り当該敷地の一角を管理区域として管理すると共に、当該区域に第一吸着処理部を設置することによって、管理を安全かつ容易に行えるという利点がある。
【0044】
さらには、ここではこれ以上の詳述を行わないが、上記例示以上の変更を加え得ることは説明するまでもなく当然の事柄である。