特許第5732579号(P5732579)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5732579
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/14 20060101AFI20150521BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
   F24F13/14 F
   F24F1/00 401C
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-153426(P2014-153426)
(22)【出願日】2014年7月29日
(62)【分割の表示】特願2010-232074(P2010-232074)の分割
【原出願日】2010年10月15日
(65)【公開番号】特開2014-199177(P2014-199177A)
(43)【公開日】2014年10月23日
【審査請求日】2014年7月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立アプライアンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(74)【代理人】
【識別番号】100091720
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 重美
(72)【発明者】
【氏名】高藤 亮一
(72)【発明者】
【氏名】能登谷 義明
(72)【発明者】
【氏名】横山 啓二
(72)【発明者】
【氏名】矢萩 健一
【審査官】 西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−120898(JP,A)
【文献】 特開2007−093092(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3088709(JP,U)
【文献】 特開2009−079846(JP,A)
【文献】 特開平10−160238(JP,A)
【文献】 特開平08−334255(JP,A)
【文献】 特開平07−077351(JP,A)
【文献】 特開2002−106948(JP,A)
【文献】 実開昭54−066662(JP,U)
【文献】 実開昭62−120151(JP,U)
【文献】 国際公開第2007/123146(WO,A1)
【文献】 特許第5267411(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/14
F24F 13/20 − 13/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吹出口から吹き出される空気を上下方向に変える上下風向板を備え、
前記上下風向板は、後部上下風向板、及び、前記後部上下風向板よりも前側に位置する前部上下風向板を有し、
前記前部上下風向板は、アームを介して風向板駆動装置と接続され、
前記前部上下風向板の回転軸の中心は前記吹出口上面と同一面よりも上方に位置し、
前記吹出口上面は凸部を有し、
冷房運転時、前記吹出口上面と前記前部上下風向板との間の隙間は、前記凸部がない場合における前記吹出口上面と前記前部上下風向板との間の隙間より狭い空気調和装置。
【請求項2】
前記前部上下風向板は、前記吹出口よりも幅が広いことを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
運転停止位置における前記前部上下風向板の風上側端から前記前部上下風向板の回転軸の中心までの距離L1と、本体下面外形と接するまで回転させた位置における前記前部上下風向板の風上側端と前記吹出口上面と同一面との最短距離L2と、の関係が、
L1>L2
となるように、前記前部上下風向板の前記回転軸の中心が位置することを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記前部上下風向板と空気調和機の筺体の長手方向における幅は同じであることを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項5】
運転停止位置における前記前部上下風向板は前記吹出口上面と同一面より上方に位置することを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空気調和装置においては、停止時には吹出部を閉じ、運転時には吹出部を開くように上下風向板が設けられている。
【0003】
特に最近の空気調和装置においては、室内機の設置空間への調和や意匠性を向上させるために、実際の吹出口よりも横幅が広い上下風向板が設けられたものが提案されている。
【0004】
例えば特許文献1のように、上下風向板の回転軸とその駆動装置の回転軸をずらして設置し、さらに上下風向板の回転軸とその駆動装置の回転軸とを結合する駆動機構を備えたものが開示されており、室内機の意匠性を向上させるだけでなく、室内水平方向の送風幅を拡大して、室内の送風分布を改善することができるという効果がある。
【0005】
一方、空気調和装置では一般に、暖房運転時には暖かい空気を足元に向けるように、吹出口の上下風向板を下向きにし、冷房運転時は上下風向板をほぼ水平にして、冷えた空気が顔や頭の近くを流れるようにして快適性を確保している。これは、自然対流で暖かい空気は上に、冷たい空気は下に向かうので、前記のようにすることにより、室内全体に暖房/冷房効果が行き渡り、快適な室内になるためである。
【0006】
このとき、特に冷房運転において、周囲空気と吹出し空気の接する箇所である上下風向板の端部や吹出口の出口端部で、高湿空気が周囲温度より低い固体表面で冷却され、結露を生じることがある。結露は、長時間運転により滴下する恐れがあり、ユーザーにとって重大なクレームとなる。これを防止するため、結露を生じる恐れのあると箇所に吸湿効果のある部材を貼付したり、周囲部材と断熱する部材で構成するのが一般的であるが、ほかに、特許文献2のように吹出口に設けられた上下風向板を下向きにした状態で吹出口に補助風向板を下向きに固定又は回転可能に設けることで、結露を防止しているものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−106948号公報
【特許文献2】特開平7−77351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の上下風向板と駆動装置の構成では、上下風向板の回転軸とその駆動装置の回転軸が風路の内側にあることで通風抵抗の増大が懸念される。
【0009】
また、吹出口の出口端部などの冷風による露付きを防止するため、吸湿効果のある別部材を利用すると、使用時にその別部材がユーザーに見えることで意匠性を損なったり、コストが増大する。あるいは、特許文献2に記載の構成で露付きを防止できたとしても、吹出口よりも横幅が長い上下風向板を本体外形に干渉することなく構成することができない。
【0010】
本発明は、特に運転時に前部上下風向板が本体と干渉することを防止できる空気調和装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明においては、上記課題を解決するため、吹出口から吹き出される空気を上下方向に変える上下風向板を備え、上下風向板は、後部上下風向板、及び、後部上下風向板よりも前側に位置する前部上下風向板を有し、前部上下風向板は、アームを介して風向板駆動装置と接続され、前部上下風向板の回転軸の中心は吹出口上面と同一面よりも上方に位置し、吹出口上面は凸部を有し、冷房運転時、吹出口上面と前部上下風向板との間の隙間は、凸部がない場合における吹出口上面と前部上下風向板との間の隙間より狭い。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、運転時に前部上下風向板が本体と干渉することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る実施形態の室内機の運転中を示す斜視図。
図2】本発明に係る実施形態の室内機の運転中を示す要部縦断面図。
図3】本発明に係る実施形態の室内機の運転停止中を示す斜視図。
図4】本発明に係る実施形態の室内機の運転停止中を示す要部縦断面図。
図5】本発明の実施形態に係る図2の吹出口付近の拡大図。
図6】本発明の実施形態に係る図4の吹出口付近の拡大図。
図7】本発明の実施形態に係る図2の吹出口付近の冷房運転時を示す拡大図。
図8】本発明の実施形態に係る図2の前部上下風向板12周辺の冷房運転時の流れ状態を示す拡大図。
図9】本発明の実施形態に係る図2の吹出口付近の極弱い冷房または暖房運転時の状態を示す拡大図。
図10】本発明の実施形態に係る図2の吹出口付近の暖房運転時の状態を示す拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。なお、同様な部位や矢印などは同一符号をもって示し、重複した説明を省略する。
【0016】
本発明に係る空気調和装置の室内機構成,機能および動作について説明する。
【0017】
はじめに、図1から図6を参照して、この発明の実施例に係る空気調和装置の室内機の構成を具体的に説明する。ここで、この発明に係る空気調和装置の室内機において、図1は運転中の斜視図であり、図2は運転中の要部縦断面図である。図3は運転停止時の斜視図であり、図4は運転停止時の要部縦断面図である。また、図5図2における吹出口4付近の吹出口拡大図100であり、図6図4における吹出口4付近の吹出口拡大図101である。
【0018】
先ず、本実施例に係る空気調和装置の概略構造を説明する。本実施例に係る空気調和装置は、圧縮機,室外熱交換器,室外送風機,四方弁,膨張弁を備え、屋外に設置される図示しない室外機と、図1図2に示す室内熱交換器5,室内貫流ファン6を備え、室内壁面に取り付けられる室内機とを図示しない冷媒配管を介して接続することで、室内の空調を可能にするものである。
【0019】
図1において室内機は、奥行寸法より高さ寸法が大きく、高さ寸法より横幅寸法が大きい横長の筺体1を備えている。筺体1は、筺体1上面に形成される上部吸込部2と、筺体1の前面上部に形成される前部吸込部3とから取り込んだ空気を筺体1の下面前部に形成される吹出口4から吹出す空気流路が内部に形成されている。そして、図2に示すように室内貫流ファン6が空気流路の中央に、筐体1内の空気流路長手方向と一致した長さで配置されている。さらに、図1に示すように、室内貫流ファン6の前後には、前部ドレン皿7と、後部ドレン皿8が設けられ、この前部ドレン皿7と後部ドレン皿8を跨いで室内貫流ファン6の上部を覆うように室内熱交換器5が配置されている。
【0020】
また、本実施例の室内空気取入口は、常に開放して設けられる上部吸込部2と、可動パネル9が開閉可能に設けられる前部吸込部3とから構成される。図2に示すように、上部吸込部2は、ほぼ水平な上面に設けられ、前部吸込部3は、ほぼ垂直な筺体1前面の上部3/5程度の大きさをもって形成される。そして、筺体1前面の上部に形成される前部吸込部3を、可動パネル9により開閉する構造を備えている。可動パネル9は、板状の部材で形成され、可動パネル9下端部はパネル回転軸10を介して回転可能に取り付けられ、可動パネル9上部は、筺体1内に設けられるパネル駆動機構部11と接続されている。
【0021】
本構造によれば、パネル駆動機構部11を動作させることにより、可動パネル9を、パネル回転軸10を中心に揺動させ、図1図2に示すように前部吸込部3を開放させた状態と、図3図4に示すように前部吸込部3を閉じた状態とを取らせることができる。
【0022】
また、図2に示すように、吹出口4は、室内貫流ファン6により生成される空気流を前方に効率よく吹出せるように、筺体1の長手方向に沿って形成され、室内貫流ファン6と前部ドレン皿7の下方は大きく開放される。
【0023】
さらに吹出口4には、前部上下風向板12と後部上下風向板13とからなる板状の風向板が設けられている。前部上下風向板12は、吹出口4から吹出される空気流のガイドの機能(吹出口4から吹出される空気流の上下方向の風向を偏向する)と、可動パネル9のパネル回転軸10近傍を目立たなくする化粧部材の機能を備えている。
【0024】
図3に示すように、この実施例の可動パネル9は、正面を上下に分割するように、正面の上部全体を覆う構造としているため、パネル回転軸10近傍の隙間は、筺体1の横幅一杯まで生じる。そこで本実施例では、前部上下風向板12の横幅を、可動パネル9下部に隣接して形成される筺体面を覆う大きさ、即ち、筺体1の横幅とほぼ同じ大きさに設定している。
【0025】
さらに、前部上下風向板12の奥行き寸法は後部上下風向板13の奥行き寸法より小さく形成され、前部上下風向板12を閉じた状態で、前部吸込部3と吹出口4との間に形成される筺体面を覆う大きさを備えている。
【0026】
また、前部上下風向板12は、図1に示すように吹出口4の横方向(長手方向)に複数のアーム16により、吹出口4の前方に配置される前部上下風向板回転軸17と接続され、図示しない風向板駆動装置により回転可能に設けられる。
【0027】
一方、後部上下風向板13は、吹出口4から吹出される空気流のガイドの機能と、閉じた時に吹出口4を隠蔽する機能を備えている。このため、後部上下風向板13の横幅は、吹出口4の前部を覆うことができる大きさに設定している。後部上下風向板13の奥行き寸法は、後部上下風向板13を閉じた状態で前部上下風向板回転軸17付近(前部上下風向板12の後端部)までを覆う大きさを備えている。後部上下風向板13は、吹出口4の横方向に複数のアームで図示しない風向板駆動装置と接続され、吹出口4の後方に配置される後部上下風向板回転軸18を中心に回転可能に設けられる。
【0028】
ここで、吹出口4の構成について、図5を用いて詳細に説明する。吹出口4の前方に設けられる前部上下風向板12には、前部上下風向板12のアーム16に接続された前部補助風向板15が設置されている。前部補助風向板15は、冷房運転など上向き風向の場合、前部上下風向板12が上向き角度で、前部補助風向板15が床面に対し水平になるよう、暖房運転など下向き風向の場合、前部上下風向板12′が下向き角度で、前部補助風向板15が床面に対しほぼ垂直を為す角度になるよう、前部補助風向板15の前後端部を結んだ前端部側の延長線が前部上下風向板12と交わる角度で設置される。
【0029】
また、吹出口4の出口上端角部には、凸部14を設けている。凸部14は頂部が吹出口上面200に対し流路と反対側になるよう形成され、吹出口上面200の流路が滑らかに上方向に拡大する形状になる。また、凸部14は、吹出口4の横幅全体に同じ断面で設けられる。
【0030】
続いて、前部上下風向板回転軸17の中心位置について、図6を用いて詳細に説明する。図6で、点Cは前部上下風向板回転軸17の中心である。点D1は運転停止角度位置における前部上下風向板12の風上側端であり、吹出口上面200に対し風路と反対側にある。また、点D2は吹出風を下方へ導くための最大角度位置における前部上下風向板12′の風上側端である。さらに、面Yは、吹出口上面200と同一面を、面Zは、本体下面外形を示す。
【0031】
ここで、点Cは、D1からCまでの距離L1と、Zと接するまで前部上下風向板12′が回転した点D2とYとの最短距離L2の関係がL1>L2である位置に設けられる。
【0032】
上述した関係を満たす位置に前部上下風向板回転軸17の中心Cを設けることで、例えば本実施例のように、前部上下風向板12の横幅を筺体1とほぼ同じ大きさにすることができ、意匠性の高い室内機が実現できる。
【0033】
本実施例では、室内貫流ファン6や可動パネル9の駆動機構部及び前部上下風向板12,後部上下風向板13の駆動機構部などは、筺体1内に設けられる図示しない制御部によって統括制御され、また、制御部は図示しない遠隔操作装置によって操作指示を受付けることができる。このため筺体1面の片側に、図示しない遠隔操作機との間で操作信号を送受信する信号送受信部が設けられている。
【0034】
本実施例に係る制御部は、運転状態では、図1図2に示すように、可動パネル9と前部上下風向板12,後部上下風向板13を開放するように制御し、運転停止状態では、図3図4に示すように、可動パネル9と前部上下風向板12,後部上下風向板13を閉じて、前部吸込部3と吹出口4を隠蔽するように制御する。
【0035】
続いて、本実施例における各運転状態における動作の詳細について説明する。室内機が運転状態のとき、室内貫流ファン6を動作させることにより、上部吸込部2と大きく開放した前部吸込部3から室内空気を取り込み、室内熱交換器5により運転モードに応じた温湿度に熱交換を行い、熱交換された室内空気を運転モードに対応して所定角度に開放した前部上下風向板12,後部上下風向板13に従って吹き出すことができる。
【0036】
冷房運転時の前部上下風向板12,後部上下風向板13の状態について図7を用いて説明する。図7図2における吹出口4付近の吹出口拡大図100で、前部上下風向板12,後部上下風向板13は冷房運転時の位置に回転した図である。
【0037】
空気調和装置を冷房運転する時には図7のように前部上下風向板12は水平な向きに、後部上下風向板13は吹出口上面200と略平行な向きにして使用される。吹出口4より吐出された冷風は、上流側の室内熱交換器5により冷却減湿されているため周囲空気よりも温度が低く密度が大きく、下方へ流出するが、後部上下風向板13により上方へ持ち上げられる。一方、吹出口上面200では前部上下風向板12およびそのアーム16に設けられた前部補助風向板15により、前方へ導かれ、吹出口4出口の拡大流路による流れの散逸を防ぎより遠方に冷風を導いている。
【0038】
ここで、吹出口4出口端部に設けられた凸部14と前部補助風向板15,前部上下風向板12周辺の流れに対しての本実施例を用いた場合の効果について図8(a),(b)を用いて説明する。図8(a)は吹出口4出口端部に凸部14がない場合の吹出口4周辺を示し、(b)は本実施例の吹出口4出口端部に凸部14を設けた場合を示す。図8(a)において、吹出口4出口端と、前部補助風向板15の後端の間に風向板を稼動させるため隙間がある。吹出口4を流れる冷風(吹出し空気流れ(冷風)63)がこの隙間を通過する際、流れの一部が流出し、吹出口4出口端で流速が減少し、風路と反対側の吹出口4出口端付近に周囲空気の流れ61と混合しやすい領域Xができる。冷却減湿された冷風(吹出し空気流れ(冷風)63)に対して周囲空気の流れ61は高湿であり、これらが混合することで、吹出口4出口端の表面で結露が生じる。
【0039】
一方、図8(b)では、凸部14により上述した隙間が狭くなるため、流出する流れが減少し、さらに、凸部により流路形状が滑らかになるため、流れの一部が流出しても流速が減少せずに周囲空気の流れ61と混合されにくくなり、領域Xが小さくなる。その結果、吹出口4出口端部表面の結露を防止できる。
【0040】
さらに、前部補助風向板15は、床面に対し水平で、前部上下風向板12に対し、前後端部を結んだ前端部側の延長線が前部上下風向板12と交わる角度で設けられているため、冷風はすぐに下方へ向かわずに部屋全体にいきわたり、室内を快適な温湿度に保つ。
【0041】
次に、上向き風向時の前部上下風向板12,後部上下風向板13の状態について図9を用いて説明する。図9図2における吹出口4付近の吹出口拡大図100で、上前部上下風向板12,後部上下風向板13は極弱い冷房または暖房運転の位置に回転している。
【0042】
本運転時では図9のように前側上下風向板12をやや上向きにし、後部上下風向板13をほぼ閉じる向きにする。これにより、吹出し空気の一部(吹出し空気流れ(微弱な冷風または温風)71)が極弱い風(吹出し空気流れ(微弱な冷風または温風)72)となって上方にふんわりと室内に拡散し、微弱な冷房または暖房を行う。さらに、吹出した風をすぐさま、上部吸込部2,前部吸込部3から吸込ませるショートサーキット運転を行うことで、熱交換器の乾燥運転や空気調和装置内部の脱臭運転などの空気調和装置のメンテナンス動作を行わせることも可能となる。
【0043】
次に、暖房運転時の前部上下風向板12,後部上下風向板13の状態について図10を用いて説明する。図10図2における吹出口4付近の吹出口拡大図100であるが、前部上下風向板12,後部上下風向板13は暖房運転の位置に回転している。
【0044】
空気調和装置を暖房運転する時には、前部上下風向板12,後部上下風向板13は図10のようにそれぞれほぼ垂直に近い向きにして使用される。吹出口4から吐出される温風(吹出し空気流れ(温風)81)は、周囲空気より密度が小さいために上方へ浮き上がろうとする。しかし、前部上下風向板12,後部上下風向板13により下方(吹出し空気流れ(温風)82)へ導かれる。このとき前部上下風向板12および、そのアーム16に設けられた前部補助風向板15は、温風(吹出し空気流れ(温風)81)を押さえ込み、下方(吹出し空気流れ(温風)82)へと導いている。この結果、温風は、吹出口4から吐出してすぐに上方へ向かわずに、床面近くまで到達して、足もと近くを暖め、室内を快適な環境にする。
【0045】
以上、各運転モードでの前部上下風向板12,後部上下風向板13の動作について述べたが、上述した動作のほかにユーザーの希望に応じて、適宜、前部上下風向板12,後部上下風向板13の方向をリモコンで変更することもできる。
【符号の説明】
【0046】
1 筐体
2 上部吸込部
3 前部吸込部
4 吹出口
5 室内熱交換器
6 室内貫流ファン
7 前部ドレン皿
8 後部ドレン皿
9 可動パネル
10 パネル回転軸
11 パネル駆動機構部
12,12′ 前部上下風向板
13 後部上下風向板
14 凸部
15 前部補助風向板
16 アーム
17 前部上下風向板回転軸
57 凸部なし前部ドレン皿
61 周囲空気の流れ
63 吹出し空気流れ(冷風)
71,72 吹出し空気流れ(微弱な冷風または温風)
81,82 吹出し空気流れ(温風)
100,101 吹出口拡大図
200 吹出口上面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10