(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5732651
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】車両用充電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20150521BHJP
B60L 11/18 20060101ALI20150521BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20150521BHJP
H01M 10/46 20060101ALI20150521BHJP
H01R 13/52 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H02J7/00 P
B60L11/18 C
H01M10/44 Q
H01M10/46 101
H01R13/52 Z
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-201370(P2011-201370)
(22)【出願日】2011年9月15日
(65)【公開番号】特開2013-62993(P2013-62993A)
(43)【公開日】2013年4月4日
【審査請求日】2014年6月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 貴俊
【審査官】
松尾 俊介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−086821(JP,A)
【文献】
特開2010−263665(JP,A)
【文献】
特開2003−319051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
B60L 11/18
H01M 10/44
H01M 10/46
H01R 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端筒状部の内側に複数のコネクタピンを備え、かつ、該先端筒状部の上部に係止爪を備えた充電用コネクタを、該係止爪を引っ掻けて収納する充電用コネクタ収納部を有する車両用充電装置であって、
該充電用コネクタ収納部は、車両用充電装置本体に開口部を形成して設けられ、
該充電用コネクタ収納部の奥部に、前記コネクタピンの先端部の上部を覆う庇部を設けたことを特徴とする車両用充電装置。
【請求項2】
庇部が、上部庇部と下部庇部とからなり、
上部庇部は、充電用コネクタの先端筒状部の外周に配置されて先端筒状部の上端部を被覆し、
下部庇部は、充電用コネクタの先端筒状部の内周に配置さていることを特徴とする請求項1記載の車両用充電装置。
【請求項3】
充電用コネクタ収納部の奥面を、該充電用コネクタ収納部に収納された充電用コネクタの先端筒状部との当接面としたことを特徴とする請求項1または2記載の車両用充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用充電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、脱石油燃料やCO
2排出削減ニーズの高まりといった観点から、電気自動車等の車両に対する関心が高まると共に、車両用充電装置の普及が求められている。
【0003】
一般に、車両用充電装置には、先端に充電用コネクタを有する充電用ケーブルが備えられ、充電を行う際に、該車両用充電装置に設けたコネクタ収納部から充電用コネクタを外して、車両に設けたコネクタと接続して使用される(特許文献1)。
【0004】
特許文献1等に記載の車両用充電装置における充電用コネクタの保持構造は、コネクタ収納部内に充電用コネクタの先端部形状に適合する受部(インレット)を設け、非充電時の充電用コネクタ先端部をインレットに嵌合させるものであった。当該構造では、充電用コネクタを収納するたびに、インレットと充電用コネクタ先端部との位置合わせを行うことが必要であり、充電用コネクタ収納時に手間がかかっていたため、利便性の向上への需要があった。
【0005】
利便性向上手段として、インレットを用いずにコネクタ収納部に水平方向に張り出す水平軸を設け、この水平軸に充電用コネクタの先端爪部を係合させる構造とし、係合後の充電用コネクタが上下方向に回動可能な構造とすることが考えられる。
【0006】
前記構造によれば利便性は向上するが、一方で、充電用コネクタの先端がインレットと嵌合しておらず、充電用コネクタの先端にあるコネクタピンがコネクタ収納部内で露出状態にあるため、コネクタ収納部内に侵入した雨水等の水滴がコネクタピンの先端部に付着して漏電事故の危険性が高まる問題や、該水滴によりコネクタピンの先端部に錆等の腐食を生じる問題が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−263665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、前記の問題を解決し、コネクタ収納部内に雨水等の水滴が侵入した場合であっても、該水滴に起因する漏電事故やコネクタピンの腐食を回避することができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた本発明の車両用充電装置は、
先端筒状部の内側に複数のコネクタピンを備え、
かつ、該先端筒状部の上部に係止爪を備えた充電用コネクタ
を、該係止爪を引っ掻けて収納する充電用コネクタ収納部を有する車両用充電装置であって、該充電用コネクタ収納部は、車両用充電装置本体に開口部を形成して設けられ、該充電用コネクタ収納部の奥部に、前記コネクタピンの先端部
の上部を覆う庇部を設けたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の車両用充電装置において、庇部が、上部庇部と下部庇部とからなり、上部庇部は、充電用コネクタの先端筒状部の外周に配置され
て先端筒状部の上端部を被覆し、下部庇部は、充電用コネクタの先端筒状部の内周に配置
さていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の車両用充電装置において、充電用コネクタ収納部の奥面を、該充電用コネクタ収納部に収納された充電用コネクタの先端筒状部との当接面としたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る車両用充電装置では、
先端筒状部の内側に複数のコネクタピンを備え、
かつ、該先端筒状部の上部に係止爪を備えた充電用コネクタ
を、該係止爪を引っ掻けて収納する充電用コネクタ収納部を有する車両用充電装置において、充電用コネクタ収納部の奥部に、前記コネクタピンの先端部
の上部を覆う庇部を設ける構成により、コネクタ収納部内に雨水等の水滴が侵入した場合であっても、コネクタ収納部内で流下する水滴は庇部に遮られ、コネクタピンの先端部に付着することなくコネクタ収納部の外部へと排出させることができる。したがって、本発明によれば、コネクタ収納部内に侵入した雨水等の水滴がコネクタピンの先端部に付着して漏電事故の危険性が高まる問題や、該水滴によりコネクタピンの先端部に錆等の腐食を生じる問題を、効果的に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態の車両用充電装置の全体斜視図である。
【
図3】
図1の垂直断面図である(充電用ケーブルを省略)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
図1〜2において、1は車両用充電装置、2は本体部、3は蓋体部、4はカバー、5は先端筒状部内9にコネクタピン10を備えた充電用コネクタ、6は充電用ケーブルである。本実施形態では本体部2と蓋体部3により車両用充電装置1の筐体を構成している。
【0015】
本実施形態の車両用充電装置1は、
図1に示すように、非充電時においては先端に充電用コネクタ5を有する充電用ケーブル6を、車両用充電装置1の本体部2の筐体外周に形成された周縁壁7に沿って巻付けて保持するケーブル巻付部を有している。他の実施形態として、充電用ケーブル6を蓋体部3の筐体外周に沿って巻付けて保持する構造としてもよい。すなわち、ケーブル巻付部は車両用充電装置1の筐体である本体部2または蓋体部3に形成されている。
【0016】
本体部2は、前面開口部を有する箱体からなり、該箱体の内部空間は、電気機器や制御機器を収納する機器収納部として使用される。本実施形態において、箱体の形状は、略円形で、やや縦長としているが、形状は特に限定されず、円形でも良いし、オーバル形、方形の角を円弧状にしたもの、その他、方形の上部を円弧状としたもの等でも良い。
【0017】
機器収納部の周縁壁7は、前記のように、充電用ケーブル6を巻付けながら保持するケーブル巻付部として使用される。
【0018】
本体部2の前面開口部を施蓋する蓋体部3には、
図3、4に示すように、非充電時の充電用コネクタ5を保持する充電用コネクタ収納部8が形成されている。充電コネクタ収納部8は本体部2の機器収納部に向けて袋状に突出した構造であり、蓋体部3に一体的に形成されている。
【0019】
充電用コネクタ5は、先端筒状部9の内部に5本のコネクタピン10を備え、先端筒状部9の上部に係止爪11を有している。コネクタピン10は充電時に車両と接続し、充電するために電気を供給する2本の電源線、充電を制御するための信号を送受信する信号線、アース線、充電コネクタと車両との接続確認の信号を送る確認線と接続している。
【0020】
機器収納部に向けて袋状に形成した充電用コネクタ収納部8は、
図4に示すように、該充電用コネクタ収納部8の奥部の上側に、充電用コネクタの係止爪11が係合する水平軸12を備えている。水平軸12は軸部の両端を折曲した取付部を充電用コネクタ収納部8内に固定している。なお、水平軸12の軸部は平板形状とすることが好ましい。
【0021】
水平軸12の奥側には、コネクタピン10の先端部を覆う庇部13が前方水平方向に張り出して形成されている。
庇部13は、
図5に示すように、横方向にR形状を描くように形成されている。当該形状によれば、庇部13に侵入した雨水等の水滴を速やかに側方に逃がすことができる。
【0022】
また、庇部13は、
図4に示すように、上部庇部13aと下部庇部13bとから構成されている。係止爪11を水平軸12に係合して充電用コネクタ5を充電用コネクタ収納部8に収納した場合に、上部庇部13aは、先端筒状部9の上端部を被覆するように充電用コネクタ5の先端筒状部9の外周上部に位置するように配置され、充電用コネクタの先端筒状部9の内部に雨水が侵入するのを防止している。下部庇部13bは、コネクタピン10の上端部を被覆するように充電用コネクタ5の先端筒状部9の内側に配置され、奥面を伝わって侵入した雨水がコネクタピン先端部に接触するのを防止している。このような上部庇部13aと下部庇部13bとからなる二重構造を採用することにより、コネクタ収納部内に雨水等の水滴が侵入した場合であっても、該水滴がコネクタピン10の先端部に達すること回避することができる。
【0023】
充電用コネクタ収納時には、充電用コネクタ5の先端筒状部9を充電用コネクタ収納部8に向けて略水平方向に挿入し、充電用コネクタの係止爪11を水平軸12に係合させた後、該水平軸12を回転中心軸として充電用コネクタ5を下方向に回転させて、充電用コネクタ5の先端筒状部9の先端面と充電用コネクタ収納部の奥面とを当接させる。当該当接位置で、充電用コネクタ5を保持するべく、充電用コネクタ収納部8の下側両側には一対の下部支持体15が形成されている。なお、充電用コネクタ収納空間8の奥面は、先端筒状部9の端面との密着性を向上させるため、ゴム部材等の防水部材とすることが好ましい。
【0024】
本体部2および蓋体部3は、ABS等の強度的・電気的な強度を満たす素材で構成され、該本体部2に蓋体部3を施蓋することにより、車両用充電装置1に必要とされる防水機能・構造的強度を満たしている。
【0025】
蓋体部3の前面を被覆するカバー4は、
図1に示すように、下部に貫通孔14を有している。該貫通孔14は、蓋体部3の充電用コネクタ収納部8が露出される位置に形成されている。すなわち、充電用コネクタ5は貫通孔14を介して充電コネクタ収納部8に収納する。
【0026】
カバー4は、車両用充電装置1が設置される建物の外観に合わせて取り替えられるように、蓋体部3と着脱自在に形成されている。車両用充電装置1が住宅の壁面に設置される場合、多様な住宅の外観にあわせるために、従来、複数のバリエーションからなる車両用充電装置を用意する必要があり、コスト高の要因となっていたが、本発明によれば、カバー4のみの取り替えで対応が可能となり、より安価に各住宅の外観にフィットする意匠を備えた車両用充電装置を提供することができる。
【0027】
カバー4は、遮光性も備えることが好ましく、ポリカーボネード等、耐候性・外観性の性能を満たす素材で構成することが好ましい。これにより、夏場の屋外環境の温度にも対応可能とすることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 車両用充電装置
2 本体部
3 蓋体部
4 カバー
5 充電用コネクタ
6 充電用ケーブル
7 周縁壁
8 充電用コネクタ収納部
9 先端筒状部
10 コネクタピン
11 係止爪
12 水平軸
13 庇部
13a 上部庇部
13b 下部庇部
14 貫通孔
15 下部支持体