【実施例】
【0036】
【表1】
上記の表1では、MgO原料の添加による耐Li反応性を評価している。
【0037】
表1に示す割合で各原料を配合し、更に、造孔材を添加し、湿式で混練を行う混練機(カントーミキサー等)により水または有機溶媒中で混合後、1450℃で焼成して200mm×200mm、高さ30mmのサンプルを作製した。使用したMgO原料としては粒度が0.8mm、0.1mmの何れかで、純度が95%以上のものを使用した。成形はPVAを添加した後、油圧プレス成形で行った。焼成は1450℃で行った。
(耐Li反応性評価)
得られた各サンプルより切り出した試験片(20×20×5t)と10gのLi
2CO
3をアルミナ坩堝に入れ、大気中1100℃、5時間保持を3サイクル繰り返した。加熱前後での試験片の寸法を測定し、外観と、反応後の膨張率により耐Li反応性を評価した。
【0038】
(実施例1〜4)
MgO原料として、粒度が0.8mmの粗粒と0.1mmの細粒とを、各々表1の割合で混合して使用した。いずれも、優れた耐Li反応性を示した。
(比較例1、2)
MgO質を添加しない例であり、いずれも、耐Li反応性に問題があった。
【0039】
【表2】
上記の表2では、MgO原料の平均粒子径による成形性および焼結性への影響を示している。
【0040】
表2に示す割合で各原料を配合し、更に、造孔材を添加し、湿式で混練を行う混練機(カントーミキサー等)により水または有機溶媒中で混合後、1450℃で焼成して200mm×200mm、高さ30mmのサンプルを作製した。Al
2O
3は、電融Al
2O
3を使用した。実施例5では、発泡スチロールも添加した。MgO原料は粒度が2mm、0.8mm、0.1mm、0.005mmの何れかで、純度が95%以上のものを使用した。成形はPVAを添加した後、油圧プレス成形で行った。
(耐Li反応性評価)
得られた各サンプルより切り出した試験片(20×20×5t)と10gのLi
2CO
3をアルミナ坩堝に入れ、大気中1100℃、5時間保持を3サイクル繰り返した。加熱前後での試験片の寸法を測定し、反応による膨張率を評価した。
(成形性評価)
所定の配合に秤量し混合した坏土を、試験用金型(底板:100×100×10t)に入れ、10MPaの圧力をかけた。金型から取り出す際、成形体に破損が生じるかを評価した。評価は以下の3段階で行った。○:破損なし。△:一部破損。×:取り出せず。無理やり取り出した場合破損。
(焼成評価)
プレス成形後、100℃の乾燥を行い水分除去した乾燥体を、電気炉にて1450℃〜1650℃で焼成を行った。焼成後外観を観察し、クラックの有無を検査した。評価は以下の2段階で行った。○:クラック無し。×:クラック有り。
(比重評価)
煮沸法(JIS R2205)にてカサ比重を測定評価した。評価は以下の2段階で行った。○:カサ比重 1.0〜2.5。×:それ以外。
【0041】
(実施例5〜9)
MgO原料として、粒度が2mm又は0.8mmの粗粒と0.1mm又は0.005mmの細粒とを、各々表2の割合で混合して使用した。いずれも、優れた耐Li反応性・成形性を示した。また、焼成によるクラック発生の問題は生じなかった。比重も小さく、軽量化が実現された。
(比較例3)
MgO原料として、粒度が0.005mmの細粒のみを使用した。耐Li反応性には問題がなかったが、成形性に劣り、焼成時にクラックが観察された。
(比較例4)
MgO原料として、粒度が2mmの粗粒のみを使用した。耐Li反応性がやや劣り、成形中に取り扱い中の欠けが観察された。
【0042】
【表3】
【0043】
表3に示す割合で各原料を配合し、更に、造孔材を添加し、湿式で混練を行う混練機(カントーミキサー等)により水または有機溶媒中で混合後、1450℃で焼成して200mm×200mm、高さ30mmのサンプルを作製した。実施例10〜12および比較例5では、Al
2O
3は、Al
2O
3バブル使用した。実施例13および比較例6では、発泡スチロールを添加した。MgO原料は粒度が2mm、0.8mm、0.1mm、0.005mmの何れかで、純度が95%以上のものを使用した。実施例14では、フリクションプレスで、200mm×200mm、で高さ50mmの匣鉢成形を行った。焼成は1450℃で行った。
(XRD測定)
焼成後のサンプルについてXRD測定を行い、MgO質がスピネル型結晶構造として存在する割合を評価した。XRD測定は、RINT−1100 X−ray diffracmeter(Rigaku製)を用いて行い、測定条件は下記の通りとした。(2θ:25〜45°、ステップ幅:0.04、係数時間:2、電圧:40kV、電流:20mA)
(耐Li反応性評価)
得られた各サンプルより切り出した試験片(20×20×5t)と10gのLi
2CO
3をアルミナ坩堝に入れ、大気中1100℃、5時間保持を繰り返した。加熱前後での試験片の寸法を測定し、試験片の寸法が10%膨張した通窯回数を測定した。評価は以下の◎、○、×で行った。◎:7回以上、○:4回〜7回未満、×:4回未満。
(比重評価)
煮沸法(JIS R2205)に準拠しカサ比重を測定した。評価は以下の○、×で行った。○:カサ比重 1.0〜2.5。×:それ以外。
(圧縮強度評価)
2000KN圧縮試験機(JTトーシ株式会社製)にて最大荷重を測定し、JIS R2206に準拠し圧縮強度を測定した。評価は以下の○、×で行った。○:圧縮強度 1.0MPa以上。×:圧縮強度 1.0MPaよりも下。
【0044】
(実施例10〜14)
MgO原料として、粒度が2mm又は0.8mmの粗粒と0.1mm又は0.005mmの細粒とを、各々表3の割合で混合して使用した。いずれも、良好な耐Li反応性・圧縮強度を示した。比重も小さく、軽量化が実現された。
(実施例16〜18)
MgO原料として、粒度が0.8mmの粗粒と0.1mmの細粒とを、各々表3の割合で混合して使用、さらにAl
2O
3原料として、粒度が0.05mmの微粉末、(実施例16では更にスピネル)を、表3の割合で混合して使用した。いずれも、極めて良好な耐Li反応性を示した。その他、圧縮強度も良好であり、比重も小さく、軽量化が実現された。
(比較例5)
MgO原料として、粒度が0.005mmの細粒のみを使用した。耐Li反応性には問題がなかったが、圧縮強度に劣る問題があった。
(比較例6)
Al
2O
3バブル使用せず、代わりに発泡スチロールのみを使用した。耐Li反応性には問題がなかったが、圧縮強度に劣る問題があった。
(比較例7)
Al
2O
3バブルも発泡スチロールも使用しなかった。耐Li反応性・圧縮強度には問題がなかったが、比重が大きくなる問題があった。
(比較例8)
ペリクレースあるいはスピネルの何れも使用せず、MgO原料を無添加とした。耐Li反応性に欠ける問題があった。
(比較例9)
スピネルを1%添加した。添加量が少ないため、耐Li反応性に欠ける問題があった。
【0045】
以上を考察すると、
表1に示すように、耐Li反応性を確保する観点から、MgO質は必須要件である。表2に示すように、成形性を確保する観点から、MgO原料は粗粒と細粒を組み合わせて使用することが好ましい。表3に示すように、長期間にわたって極めて良好な耐Li反応性を確保する観点から、MgO原料に添加して使用するAl
2O
3原料として微粉末のものを選択することが好ましい。また、同じく、長期間にわたって極めて良好な耐Li反応性を確保する観点から、XRD測定での結果として、MgO質がスピネル型結晶構造として存在する割合が0.5〜8%であることが好ましい。