特許第5732822号(P5732822)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5732822
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】ガラス基板の欠陥判定方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20150521BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20150521BHJP
   B65G 49/06 20060101ALI20150521BHJP
   C03B 35/16 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
   G02F1/13 101
   H01L21/304 648A
   B65G49/06 Z
   C03B35/16
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2010-256659(P2010-256659)
(22)【出願日】2010年11月17日
(65)【公開番号】特開2012-108290(P2012-108290A)
(43)【公開日】2012年6月7日
【審査請求日】2013年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】関口 真路
【審査官】 磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−191138(JP,A)
【文献】 特開2004−132839(JP,A)
【文献】 特開2004−175607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 11/00
G02F 1/13
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷重測定機構を備える複数の搬送ローラーでガラス基板を支持して搬送しながら、そのガラス基板の欠陥の有無を判定する方法において、 複数の搬送ローラーのそれぞれの荷重測定機構によってそれぞれの前記搬送ローラーにかかる荷重を測定し、前記荷重の差異によって欠陥の有無を判定する事を特徴とするガラス基板の欠陥判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置の製造装置に関する。更に詳しくは、液晶表示装置に使用するガラス基板の製造工程中に於ける割れ、欠け、ヒビの発生を検知し、その様なガラス基板を次の処理を行う事が無い様に排除することを可能にした液晶表示装置の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置に使用する液晶カラーフィルタの製造方法は、幾つかの方法が使用されている。フォトリソグラフィを基本に、部分的にインクジェット装置を使用したものやスクリーン印刷装置やオフセット印刷装置を使用したものもある。
【0003】
例えば、全てフォトリソグラフィで液晶カラーフィルタを製造する場合を例に説明すると、樹脂によるブラックマトリックス(樹脂BM)を形成する為、洗浄されたガラス基板に、まず、樹脂BMとなる黒色の感光性樹脂を塗布し、乾燥・固化する。その次に、樹脂BMにすべくパターニングする為、所望のパターンが形成されたフォトマスクと露光装置を用いて露光し、次いで、現像し、乾燥することによって、ガラス基板上に樹脂BMが形成される。
【0004】
次に、赤、緑、青などの色層が、樹脂BMの時と同様の工程を、形成する色層の数に対応して繰り返すことにより、必要な色層が形成される。
【0005】
その他に、フォトスペーサや液晶を配向させる為のパターンなどが形成されことがある。また、必要に応じて、保護層なども形成されることがある。研磨が施される事もある。また、液晶表示装置として機能する為、透明電極が形成される。液晶材料を配向させる為の配向処理も行われる。
【0006】
凡そ、以上の様な工程を経て、液晶カラーフィルタが製造されるのであるが、各工程の処理装置、例えば、洗浄装置、乾燥装置、塗布装置、露光装置、研磨装置、薄膜形成装置、などでガラス基板が処理される事になる。また、これらの装置の入口と出口には、搬送ロボットなどの搬送装置が必ず設置されている。
【0007】
ガラス基板は、搬送装置によってこれらの処理装置に運ばれ搬入され、処理され、そして処理装置から出て来て、搬送装置によって次の処理装置に運ばれる、という過程を繰り返すことによって製造されるのであるが、その途中で、ガラス基板に割れ、欠け、ヒビが発生することがある。
【0008】
ガラス基板に割れ、欠け、ヒビなどの欠陥が発生すると、製品として最早、使用できない可能性が出てくる。使用できる程度の欠陥であるか、そうでないかについては、工程の中の検査装置によって検査されるまでは判明しない。その為、欠陥が発生して不良品になっているガラス基板であっても、工程を流れることになり、無駄なコストがかかってしまう。
【0009】
その為、例えば特許文献1では、ガラス基板に、割れ、欠けの大きさの程度を目視によって判定できる為のパターンを形成する、という工夫がなされている。
【0010】
しかしながら、特許文献1の方法では、割れ、欠けには対応できるが、ヒビには対応できない。また、割れ、欠けの規格の種類が多い場合には対応が困難であるという問題を抱
えていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−279919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、ガラス基板の割れ・欠けだけでなく、ヒビの検出も可能であり、且つ、割れ・欠け・ヒビが発生した工程から次工程に入る前に欠陥を検出し、そのことによって欠陥のあるガラス基板を排除可能な欠陥検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決する手段として、本発明の請求項は、荷重測定機構を備える複数の搬送ローラーでガラス基板を支持して搬送しながら、そのガラス基板の欠陥の有無を判定する方法において、複数の搬送ローラーのそれぞれの荷重測定機構によってそれぞれの前記搬送ローラーにかかる荷重を測定し、前記荷重の差異によって欠陥の有無を判定する事を特徴とするガラス基板の欠陥判定方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、液晶表示装置の製造工程で使用される搬送装置によって、ガラス基板の割れ、欠け、ヒビを検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の搬送装置の例を示す概念図
図2】割れ、欠けが発生したガラス基板の例を示す概念図
図3】本発明の搬送装置から得られた割れ、欠けを示す荷重データの例
図4】本発明の搬送装置から得られた割れ、欠けを示す荷重データの例
図5】ヒビが発生したガラス基板の例を示す概念図
図6】本発明の搬送装置から得られたヒビを示す荷重データの例
図7】本発明の搬送装置から得られたヒビを示す荷重データの例
図8】本発明の搬送装置から得られた正常なガラス基板を示す荷重データの例
図9】本発明の搬送装置から得られた正常なガラス基板を示す荷重データの例
【発明を実施するための形態】
【0018】
図を用いて本発明について説明する。
図1、ガラス基板と接触して搬送する搬送装置を示す概念図であり、図1の右側に示した図に示すように、ガラス基板を支持しながら傷を付けずに搬送する為の搬送ローラー2と図示していない駆動ローラーが設けられており、前工程の処理装置から出て来たガラス基板5を駆動ローラーが駆動して引き出しながら搬送ローラー2を使って搬送し、次工程の処理装置に搬送する。
【0019】
搬送装置1には、搬送ローラー2と図示していない駆動ローラーが設けられており、少なくとも搬送ローラー2には、ガラス基板5の荷重を測定する為の荷重測定機構3がそれぞれ設置されていて、搬送ローラー2がガラス基板5から受ける荷重を測定する。荷重を測定する場合は、ガラス基板の搬送を一時的に停止し、荷重の測定を実施した後、搬送を再開して、次の処理装置に搬送する。その時に、荷重の測定結果が、良品でない場合には、搬送装置は、当該ガラス基板を工程から排出する。良品であるとの判定がなされた場合は、次の処理装置に搬送する。荷重測定機構3としては、特殊なものは必要とされず、秤などの市販されている各種の重量測定装置に使用されている荷重測定機構が採用できる。
【0020】
図2は、割れ、欠けが発生したガラス基板の例を示す概念図である。ガラス基板5の端部が割れ、欠けによって無くなっている例を示している。
【0021】
図3は、図1の搬送装置から得られた割れ、欠けを示す荷重データの例を示している。図2に示した様な部位に割れ、欠けが発生した場合の測定データを三次元的なグラフに表した例である。この様に、割れ、欠けによってガラス基板が無くなっている部位に、搬送ローラーが位置する場合、荷重はかからない為、周囲より小さい荷重が測定されることを示している。
【0022】
図4は、同じく、図1の搬送装置から得られた割れ、欠け6を示す荷重データの例を示している。これは、二次元的なグラフで表現したグラフである。ワレ・カケ(割れ、欠け6と同じ意味)部では荷重が0になっている。また、ワレ・カケ部から遠ざかるに連れて、荷重が減少することを示している。十分遠い部位では、ワレ・カケ部の影響は無くなると考えられる。割れ、欠けの場合、このデータから分かる様に、加重が0になる。この事から、この欠陥が割れ、欠けであると判定する事ができる。また、割れ、欠けの部位が搬送ローラーにかからなかった場合でも、図4に示すようにワレ・カケ部から遠ざかるに連れて、荷重が減少するので、割れ、欠けであると判定する事ができる。
【0023】
図5は、ヒビが発生したガラス基板の例を示す概念図である。
【0024】
図6は、図1の搬送装置から得られたヒビを示す荷重データの例である。図5に示したガラス基板の部位にヒビがあると、図6に示した様な荷重の変化が観測される。
【0025】
図7は、同じく、図1の搬送装置から得られたヒビを示す荷重データの例を示している。ヒビがある部分の荷重は、その周囲より小さい荷重が測定される。ワレ・カケ部がある場合と異なる点は、単にヒビが入っているだけで、全体の荷重は変わっていない為、ヒビがある部位で荷重が小さくなっている分、その周辺部では、逆に荷重が大きくなる現象が測定される。十分離れた部位では、一定の荷重となる。ヒビの場合、このデータから分かる様に、荷重は0にはならない。また、離れた部位と比較してヒビの部位の荷重は小さくなるが、ヒビの部位から離れるに連れて、一度、更に離れた部位より高くなってから低下し、一定値を示す事が分かっている。この様な荷重が変動する測定結果となった場合は、欠陥がヒビであると判定する事ができる。
【0026】
図8、9は、図1の搬送装置から得られた正常なガラス基板を示す荷重データの例である。この場合は、荷重が搬送ローラーに均一にかかっている事が分かる。この様な場合には、そのガラス基板には、割れ、欠け、ヒビといった欠陥が無い事が分かる。
【0027】
以上に説明した様に、荷重測定機構を備えた搬送装置により、ガラス基板に割れ、欠けが発生した場合でもヒビが発生した場合でも、それらの存在を検出する事が可能である。
【符号の説明】
【0028】
1・・・搬送装置
2・・・搬送ローラー
3・・・荷重測定機構
4・・・シャフト
5・・・ガラス基板
6・・・割れ、欠け
7・・・ヒビ
図1
図2
図4
図5
図7
図8
図9
図3
図6