(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
剪断応力を与えずに20分間静置した際(静止状態)の、前記トナー粒子の個数統計を用いた粒度分布指標(個数粒度分布指標)GSDpが1.3以上1.8以下、体積統計を用いた粒度分布指標(体積粒度分布指標)GSDvが2.3以上である請求項1に記載の液体現像剤。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0024】
<液体現像剤およびその製造方法>
本実施形態に係る液体現像剤は、絶縁性のキャリア液と、前記キャリア液中に分散され且つ結着樹脂
としてスチレン系熱可塑性エラストマーおよびスチレン系熱可塑性樹脂、並びに着色剤を含むトナー粒子と、を含有し、以下の条件を満たす。
(剪断応力を与えずに20分間静置した際(静止状態))
(1)トナー粒子の個数統計による粒経分布曲線における中心粒経(個数メディアン径)D50pが1μm以下
(2)トナー粒子の体積統計による粒経分布曲線における中心粒経(体積メディアン径)D50vが2.5μm以上5.5μm以下
(外部から10[1/s]以上の剪断応力が与えられた際(応力付与状態))
(3)トナー粒子の体積統計による粒経分布曲線における中心粒経(体積メディアン径)D50vが、前記静止状態の体積メディアン径D50vよりも0.2μm以上小さい
【0025】
静止状態におけるトナー粒子の体積メディアン径D50vが2.5μm以上5.5μm以下であり、且つ静止状態におけるトナー粒子の個数メディアン径D50pが1μm以下であることは、トナー粒子として一次粒子と二次粒子とが平衡により混在して存在していることを意味する。
また、応力付与状態において、トナー粒子の体積統計による粒経分布曲線における中心粒経(体積メディアン径)D50vが、前記静止状態の体積メディアン径D50vよりも0.2μm以上小さいことは、現像の際の負荷に相当する剪断応力(即ち前記応力付与状態)のもとでは、二次粒子が再分散して一次粒子が増加する方向に平衡が働くことを意味する。
【0026】
即ち本実施形態に係る液体現像剤は、現像の際に与えられる負荷(現像ローラ間に挟まれる際や現像ローラと静電潜像保持体との間に挟まれる際に与えられる剪断応力)によりサブミクロンの一次粒子となって、一次粒子が現像に寄与するため高画質で濃度ムラの抑制された画像が得られる。
また、現像機内で保管され静置されている際には、一次粒子と二次粒子とが平衡により混在して存在し、保管安定性に優れた現像剤が供給される。
更に、スクイズ現像方式の画像形成装置に用いる場合においては、現像ローラ上で液体現像剤が二次粒子となり濃縮(高濃度化)が容易に行なわれる。
また、スクイズ現像方式でない画像形成装置に用いる場合であっても、濃縮せずとも高濃度のまま現像し得るため、スクイズ現像方式のありなしに関わらず、高い画像濃度が得られ画質が向上して、濃度ムラの抑制された画像が得られる。
【0027】
−一次粒子と二次粒子の観察−
作製した液体現像剤を遠心分離し、沈降物を電子顕微鏡(例えば、KEYENCE社製VE7800)で観察し、その画像を画像処理ソフトウェア(旭化成エンジニアリング社製 A像くん)で観察することで、一次粒子と二次粒子を区別して観察し得る。
本実施形態では
図3で示すごとく、一次粒子1Aと二次粒子2Aが混在して平衡状態にある。この場合、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置では
図5に示す粒径分布形状を示す。尚、この粒径分布を示す現像剤には
図4のごとき一次粒子1Bのみで構成される現像剤もあるが、これは上記(3)の条件を満たさない。
【0028】
−粒径の測定−
トナー粒子の個数メディアン径D50p、体積メディアン径D50v、個数粒度分布指標(GSDp)、体積粒度分布指標(GSDv)は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(例えば、LA920、堀場製作所社製)を用いて測定される。
粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、個数をそれぞれ小径側から累積分布を描き、累積16%となる粒子径を体積D16v、個数D16p、累積50%となる粒子径を体積D50v、個数D50p、累積84%となる粒子径を体積D84v、個数D84pと定義する。これらを用いて、体積粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)
1/2、個数粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)
1/2として算出される。
【0029】
尚、「外部から10[1/s]以上の剪断応力が与えられた際(応力付与状態)」とは、接触して回転する2本のロール(画像形成装置における現像ロールに相当するロール)の間を、液体現像剤を通過させて10[1/s]以上の剪断応力を与えた際を意味する。
また、「剪断応力を与えずに20分間静置した際(静止状態)」とは、上記の剪断応力等を与えずに20分間静置させた際を意味する。
【0030】
静止状態での上記個数メディアン径D50pは1μm以下であり、更には0.7μm以下が好ましく、0.5μm以下が特に好ましい。
静止状態での上記体積メディアン径D50vは2.5μm以上5.5μm以下であり、更には2.5μm以上5.0μm以下が好ましく、2.5μm以上3.5μm以下が特に好ましい。
応力付与状態での上記体積メディアン径D50vと静止状態での体積メディアン径D50vとの差(ΔD50v)は0.2μm以上小さく、更には0.6μm以上小さいことが好ましく、2.5μm以上小さいことが特に好ましい。
【0031】
−粒度分布指標−
尚、静止状態の、前記トナー粒子の個数統計を用いた粒度分布指標(個数粒度分布指標)GSDpが1.3以上1.8以下、体積統計を用いた粒度分布指標(体積粒度分布指標)GSDvが2.3以上であることが好ましい。
さらにGSDpは1.4以上1.6以下が特に好ましい。
一方、GSDvは3.0以上が好ましく、3.9以上が特に好ましい。尚、上限値としては6以下が好ましい。
【0032】
−液体現像剤の製造方法−
上記(1)(2)(3)の条件を満たす液体現像剤となる理由は明確ではないが、本実施形態に係る製造方法で作製することにより、再現性よく作製し得る。
【0033】
本実施形態に係る液体現像剤の製造方法は、結着樹脂および着色剤を混合し、乾式の混練粉砕法にて混練粉砕してトナー粒子を作製するトナー粒子作製工程と、前記トナー粒子を絶縁性のキャリア液中に分散させて分散液を調製する分散工程と、前記分散液中の前記トナー粒子の少なくとも一部が一次粒子に細分化され且つ該一次粒子に細分化されたトナー粒子の少なくとも一部が凝集されて二次粒子となり、剪断応力を与えずに20分間静置した際(静止状態)の、前記トナー粒子の個数統計を用いた粒度分布指標(個数粒度分布指標)GSDpが1.3以上1.8以下、体積統計を用いた粒度分布指標(体積粒度分布指標)GSDvが2.3以上の範囲となるよう、無機材料のメディアを用いて前記分散液中の前記トナー粒子を湿式粉砕する粉砕工程と、を有する。
【0034】
本実施形態に係る液体現像剤の製造方法は、無機材料のメディアを用いた湿式粉砕を行うことで、簡便かつ効率よく一次粒子がサブミクロンである粒子が製造される。また、粉砕時間を調整することにより、一次粒子がサブミクロンへ粉砕される過程と、生成されたサブミクロンの一次粒子が緩凝集により二次粒子へと造粒される過程の2段階で反応が起こるため、一次粒子と二次粒子が共存する状態にプロセスを調整しうる。
【0035】
上記製造方法について、具体例を挙げてより詳細に説明する。
本実施形態の液体現像剤は、後述するトナー粒子とキャリア液とを、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ビーズミル等のメディア式の湿式粉砕機を用いて粉砕し、トナー粒子をキャリア液中でサブミクロンの一次粒子と、その造粒物である二次粒子を精製することにより得られる。このとき、ビーズの直径は粉砕する材料にもよるが、0.2mm以上10mm以下であることが望ましく、0.2mm以上2.5mm以下がより望ましい。また、メディアの材質は、比重が2.0以上10以下の金属または無機材料が望ましい。また、ミルの終端速度はミルの形状にもよるが、1m/s以上25m/s以下が望ましい。
なお、トナー粒子のキャリア液中への分散は上記の湿式粉砕工程と兼ねてもよいが、別工程(プレ分散工程)として、キャリア液とトナー粒子との分散機による混合のみを分けて行う方が望ましい。また、そのプレ分散工程で使用する機械は、一般的な分散機に限られず、ミキサーのごとく、特殊な攪拌羽根を高速で回転させ分散してもよいし、ホモジナイザーとして知られるローター・ステーターの剪断力で分散してもよいし、超音波によって分散してもよい。また、粉砕物の材料によっては、キャリア液中に電荷制御剤や分散剤を加えるが、メディア式の湿式粉砕工程で加える方が望ましく、プレ分散工程で加えるのがより望ましい。
キャリア液中のトナー粒子の濃度は、現像剤の粘度を適性にコントロールし、現像機内の現像液循環を滑らかにするという観点から、0.5質量%以上40質量%以下の範囲とすることが望ましく、12質量%以上30質量%以下の範囲とすることがより望ましい。
その後、得られた分散液を、例えば孔径100μmの膜フィルターを用いて濾過し、ゴミおよび粗大粒子を除去してもよい。
【0036】
本実施形態に係る液体現像剤の製造方法において、液体現像剤の粉砕に用いられるメディア式の湿式粉砕機としては,
図2に示されるような循環式ミルの構成が一般的である。ミル本体60には、プレ分散工程が済んだスラリーを貯蔵し攪拌翼55を備えるタンク52と循環ポンプ54が繋がっており、その経路をスラリーが循環することで定められた時間だけ粉砕される。タンク52にはタンク内での沈殿を防ぐため、低速で回転する攪拌モータ50が取り付けられている。
また、循環式ミルには「シールオイル」を本体内に循環させてもよく、シールオイルタンク58、シールオイルポンプ56がミル本体に接続されている。スラリーおよびシールオイルは過熱による異常を防ぐため、タンクに冷却器72および74が取り付けられ、その温度調節を行うチラー70が設置されている。
メディアはミル本体60の中に設置され、スラリーはミル本体を通過するタイミングで粉砕される。
【0037】
−トナー粒子の組成−
本実施形態の液体現像剤に含まれるトナー粒子は、結着樹脂および着色剤を含む。
尚、結着樹脂としては、特にスチレン系熱可塑性エラストマーおよびスチレン系熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
スチレン系熱可塑性エラストマーは、主にトナー粒子を構成する結着樹脂の柔軟性を上げて耐折り曲げ特性の改善に寄与し、スチレン系熱可塑性樹脂は、主に耐引っ掻き特性改善に寄与する。上記材料を用いた液体現像剤を用いて紙などの記録媒体に画像を形成すれば、耐折曲げ特性、すなわち、記録媒体を折り曲げたときに折り曲げた部分のトナーの脱落が抑制される画像が得られる。
【0038】
・スチレン系熱可塑性樹脂
本実施形態のトナー粒子に含まれるスチレン系熱可塑性樹脂としては、スチレン系単量体の重合体、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体とを構成単位として含むビニル系共重合体が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル」とはアクリルまたはメタクリルのいずれかまたは両方であることを意味する。
上記スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−ter−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、等が挙げられる。
【0039】
上記(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの他、アクリル酸2−クロルエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、ビスグリシジルメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、メタクリロキシエチルホスフェートなどが挙げられる。中でも、メタクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が好適に用いられる。
上記スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体以外に、その他のビニル系単量体として、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸等のアクリル酸およびそのα−またはβ−アルキル誘導体;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、等の不飽和ジカルボン酸およびそのモノエステル誘導体またはジエステル誘導体;コハク酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、(メタ)アクリロニトリル、アクリルアミド等を使用してもよい。単量体として、必要に応じて2個以上の二重結合を有する架橋性モノマーを使用してもよい。架橋性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート等のジアクリレート化合物およびそれらのメタクリレート化合物、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート等の多官能架橋性モノマーおよびそれらのメタクリレート化合物等が挙げられる。
【0040】
上記スチレン系熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、15万以上50万以下が望ましい。上記スチレン系熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)が15万以上であれば、クリースの悪化が抑制され、画質低下が抑制される。50万以下であれば、湿式粉砕が良好に行われ、トナー粒子の微細化が実現し得る。
また、上記スチレン系熱可塑性樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は2以上20以下が望ましい。
なお、上記スチレン系熱可塑性樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)で測定される分子量分布において、複数のピークや肩部をもっていてもよい。
【0041】
トナー粒子中のスチレン系熱可塑性樹脂の含有率は、全結着樹脂に対して、50質量%以上95質量%以下であることが望ましく、60質量%以上90質量%以下がより望ましい。
【0042】
・スチレン系熱可塑性エラストマー
本実施形態のトナー粒子に含まれるスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、ポリスチレンとポリオレフィンとのブロック共重合体、ランダム共重合体等が挙げられ、常温ではゴムの特色を持つが、高温では熱可塑性プラスチックと同様、軟化する材料である。
例えば、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリブタジエン/ブチレン−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリエチレン/ブチレン−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン、ポリスチレン−水添ポリブタジエン−ポリスチレン、ポリスチレン−水添ポリイソプレン−ポリスチレン、ポリスチレン−水添ポリ(イソプレン/ブタジエン)−ポリスチレン、スチレン−ブタジエンブロック共重合体には、1−4体、1−2体の結合の形で二重結合が残るが、これを水素添加したものを使用してもよい。さらに、ポリスチレンに挟まれたソフトセグメント部に極性基を導入したブロック共重合体を使用してもよい。なお、上記共重合体の例示において、「−」で区切った前後はブロックポリマーを意味し、「/」で区切った前後はランダムでも良いし、ブロックでも良いことを意味する。
市販品としては、旭化成社製のタフテックM1911、タフテックM1943、タフテックMP10、アサプレンT439、タフプレンA、クラレ社製のDYNARON8630Pなどが挙げられる。特に、ポリスチレンに挟まれたソフトセグメント部が、極性基導入と水素添加された旭化成社製のSOE−L611、SOE−L611X、SOE−L605(以上、商品名)などが好適に使用される。
【0043】
トナー粒子における上記スチレン系熱可塑性エラストマーの含有率は、全結着樹脂に対して5質量%以上であることが望ましい。スチレン系熱可塑性エラストマーの含有率の上限は、特に規定されるものではないが、スチレン系熱可塑性樹脂の含有率を考慮すると全結着樹脂に対して50質量%以下、スチレン系熱可塑性樹脂の含有率を上げた場合には全結着樹脂に対して40質量%以下で含有される。
【0044】
スチレン系熱可塑性エラストマーの25℃でのキャリア液の吸液率は200%以下であることが望ましい。
なお、保存安定性の観点から、スチレン系熱可塑性エラストマーの25℃でのキャリア液の吸液率は、0%以上150%以下がより望ましく、5%以上100%以下が特に望ましい。
【0045】
上記吸液率は、熱可塑性エラストマーのペレット2gを、パラフィンオイルが100ml入った200mlビーカーに入れ、25℃の恒温装置に15時間静置したのち、200メッシュの金網でろ過し、濾別したペレットを濾紙に挟んで余分のオイルを吸い取った後、重量増加を測定し、次式で計算される値である。
吸液率(%)=(重量増加/はじめの乾燥ペレットの重量)×100
【0046】
・その他の結着樹脂
トナー粒子に用いられる結着樹脂としては、上記のスチレン系熱可塑性エラストマーおよびスチレン系熱可塑性樹脂以外に、公知の結着樹脂が挙げられる。例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、等が挙げられる。
【0047】
・添加剤
本実施形態のトナー粒子は、スチレン系熱可塑性エラストマーおよびスチレン系熱可塑性樹脂のほか、必要に応じて、他の結着樹脂、着色剤、ワックス、電荷制御剤、シリカ粉末、金属酸化物など他の添加剤を含有していてもよい。これら添加剤は、スチレン系熱可塑性エラストマーおよびスチレン系熱可塑性樹脂を含む結着樹脂に混練するなどして内添してもよいし、粒子としてトナーを得たのち混合処理を施すなどして外添してもよい。なお、通常、着色剤を含むが、透明のトナーとする場合は、着色剤を含まなくてもよい。
【0048】
着色剤としては、公知の顔料または染料が用いられる。具体的には、以下に示すイエロー、マゼンタ、シアン、黒の各顔料が用いられる。
【0049】
イエローの顔料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯化合物、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。
マゼンタの顔料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。
シアンの顔料としては、銅フタロシアニン化合物およびその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用される。
黒の顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、鉄黒等が用いられる。
【0050】
ワックスとしては、特に制限はなく、例えば、カルナバワックス、木蝋、米糠蝋等の植物性ワックス;蜜ワックス、昆虫ワックス、鯨ワックス、羊毛ワックスなどの動物性ワックス;モンタンワックス、オゾケライトなどの鉱物性ワックス、エステルを側鎖に有するフィッシャートロプシュワックス(FTワックス)、特殊脂肪酸エステル、多価アルコールエステル等の合成脂肪酸固体エステルワックス;パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス、ポリアミドワックス、およびシリコーン化合物等の合成ワックス;などが挙げられる。ワックスは1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0051】
電荷制御剤としては、特に制限はなく、従来公知の電荷制御剤が使用される。例えば、ニグロシン染料、脂肪酸変性ニグロシン染料、カルボキシル基含有脂肪酸変性ニグロシン染料、四級アンモニウム塩、アミン系化合物、アミド系化合物、イミド系化合物、有機金属化合物等の正帯電性電荷制御剤;オキシカルボン酸の金属錯体、アゾ化合物の金属錯体、金属錯塩染料やサリチル酸誘導体等の負帯電性電荷制御剤;などが挙げられる。電荷制御剤は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0052】
金属酸化物としては、特に制限はなく、例えば、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム等が挙げられる。金属酸化物は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0053】
−トナー粒子の製造方法−
本実施形態で用いるトナー粒子を製造する方法は特に限定されず、例えば、粉砕トナー、液中乳化乾燥トナー、もしくは重合トナーの製造方法で製造したトナーをキャリア液中で微粉砕して得られる。
例えば、スチレン系熱可塑性エラストマーおよびスチレン系熱可塑性樹脂等の結着樹脂、着色剤、他の添加剤をヘンシェルミキサー等の混合装置に投入して混合し、この混合物を二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミル、ニーダー等で溶融混練した後、ドラムフレーカー等で冷却し、ハンマーミル等の粉砕機で粗粉砕し、さらにジェットミル等の粉砕機で微粉砕した後、風力分級機等を用いて分級することにより、粉砕トナーが得られる。
また、スチレン系熱可塑性エラストマーおよびスチレン系熱可塑性樹脂等の結着樹脂、着色剤、他の添加剤を酢酸エチル等の溶剤に溶解し、炭酸カルシウムのごとき分散安定剤が添加された水中に乳化/懸濁し、溶剤を除去した後、分散安定剤を除去して得られた粒子を濾過・乾燥することによって液中乳化乾燥トナーが得られる。
また、結着樹脂を形成する重合性単量体、着色剤、重合開始剤(例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、イソプロピルパーオキシカーボネート、クメンハイドロパーオキサイド、2,4−ジクロリルベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等)および他の添加剤などを含有する組成物を水相中に撹拌下で加えて造粒し、重合反応後、粒子を濾過・乾燥することによって重合トナーが得られる。
【0054】
なお、トナーを得る際の各材料(スチレン系熱可塑性エラストマーおよびスチレン系熱可塑性樹脂等の結着樹脂、着色剤、その他の添加剤など)の配合割合は、任意に設定すればよい。得られたトナーは、ボールミル、ビーズミル、高圧湿式微粒化装置等の公知の粉砕装置を用いて、キャリアオイル中で微粉砕することにより本実施形態の液体現像剤用トナー粒子が得られる。
【0055】
[キャリア液]
キャリア液は、トナー粒子を分散させるための絶縁性の液体であり、特に制限はないが、例えば、パラフィンオイル等の脂肪族系炭化水素溶媒(市販品では、松村石油社製モレスコホワイトMT−30P、モレスコホワイトP40、モレスコホワイトP70、エクソン化学社製アイソパーL、アイソパーMなど)、ナフテン系オイル等の炭化水素系溶媒(市販品では、エクソン化学社製 エクソールD80、エクソールD110、エクソールD130、日本石油化学社製 ナフテゾールL、ナフテゾールM、ナフテゾールH、Newナフテゾール160、Newナフテゾール200、Newナフテゾール220、NewナフテゾールMS−20Pなど)が挙げられ、それらの中に、トルエン等の芳香族化合物を含有させてもよい。
尚、「絶縁性」とは、導電率が10
−10S/m以下であることを示している。
【0056】
本実施形態の液体現像剤に含まれるキャリア液は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。キャリア液を2種以上の混合系として用いる場合は、例えば、パラフィン系溶剤と植物油との混合系や、シリコーン系溶剤と植物油との混合系が挙げられ、パラフィン系溶剤と植物油との混合系であることが望ましい。
本実施形態で用いるキャリア液は、パラフィンオイルを含むことが望ましく、パラフィンオイルを主成分とすることが望ましい。ここで「主成分」とは、キャリア液を構成する成分のうち、最も多く含まれる成分であり、望ましくは50容量%以上である。
【0057】
前記パラフィンオイルの平均分子量は100以上300以下であることが望ましく、さらには160以上250以下がより望ましく、190以上250以下が特に望ましい。パラフィンオイルの平均分子量が上記上限値以下であれば、湿式粉砕が良好に行われ、トナー粒子の微細化が実現し得る。また、パラフィンオイルの平均分子量が上記下限値以上であれば、クリースの悪化が抑制され、画質低下が抑制される。
尚、パラフィンオイルの平均分子量は、「蒸気圧法」を用いた分子量測定装置全般(例えば、日本ルフト社製:オズモマット070など)で測定される。
【0058】
また、パラフィンオイルの引火点が45℃以上205℃以下であることが望ましく、さらには65℃以上180℃以下がより望ましく、95℃以上144℃以下が特に望ましい。パラフィンオイルの引火点が上記範囲内であることにより、画像の定着が良好に行われる。
尚、パラフィンオイルの引火点は、「クリーブランド開放式自動引火点試験器」(例えば、田中化学機器製:ACO−7型など)を用いて測定される。
【0059】
キャリア液は、各種副資材、例えば、分散剤、乳化剤、界面活性剤、安定化剤、湿潤剤、増粘剤、起泡剤、消泡剤、凝固剤、ゲル化剤、沈降防止剤、帯電制御剤、帯電防止剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、充填剤、付香剤、粘着防止剤、離型剤等を含んでいてもよい。
【0060】
<プロセスカートリッジ、画像形成装置>
本実施形態の画像形成装置は、静電潜像保持体(以下「感光体」という場合がある)と、前記静電潜像保持体の表面を帯電する帯電装置と、前記静電潜像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、上記本実施形態に係る液体現像剤を収納すると共に、静電潜像保持体の表面に形成された静電潜像を該液体現像剤により現像してトナー像を形成する現像装置と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写装置と、を備える。
【0061】
上記画像形成装置において、例えば前記現像装置を含む部分が、画像形成装置本体に対して脱着するカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよく、該プロセスカートリッジとしては、既述の液体現像剤を収納し、潜像保持体上に形成された静電潜像を液体現像剤により現像してトナー像を形成する現像装置を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジが好適に用いられる。
以下、本実施形態における、液体現像剤を用いた画像形成装置を、図面を参照しつつ説明する。
【0062】
図1は、本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略構成図であり、スクイズ現像方式でない画像形成装置の一例を示す概略構成図である。画像形成装置100は、感光体(静電潜像保持体)10、帯電装置20、露光装置(静電潜像形成装置)12、現像装置14、中間転写体16、クリーナ18、転写定着ローラ(転写装置)28を含んで構成される。感光体10は円柱形状を有し、該感光体10の外周に、帯電装置20、露光装置12、現像装置14、中間転写体16、および、クリーナ18が順次に設けられている。
以下、この画像形成装置100の動作について簡単に説明する。
【0063】
帯電装置20が感光体10の表面を予め定められた電位に帯電させ、帯電された表面を画像信号に基づき、露光装置12が、例えばレーザー光線によって露光して静電潜像を形成する。
現像装置14は、現像ローラ14aと現像剤収納容器14bとを含んで構成される。現像ローラ14aは、現像剤収納容器14bに収納される液体現像剤24に一部が浸るようにして設けられる。
【0064】
液体現像剤24中では、トナー粒子は分散されているが、例えば液体現像剤24を、さらに現像剤収納容器14b内に設けられる撹拌部材によって撹拌し続けることで、液体現像剤24中のトナー粒子の濃度の位置ばらつきは低減される。これにより図の矢印A方向に回転する現像ローラ14aには、トナー粒子の濃度バラツキが低減された液体現像剤24が供給される。
【0065】
現像ローラ14aに供給された液体現像剤24は、規制部材によって一定の供給量に制限された状態で感光体10に搬送され、現像ローラ14aと感光体10とが近接(あるいは接触)する位置で静電潜像に供給される。これによって静電潜像は顕像化されてトナー像26となる。
【0066】
現像されたトナー像26は、図の矢印B方向に回転する感光体10に搬送され、用紙(記録媒体)30に転写されるが、本実施形態では、用紙30に転写する前に、感光体10からのトナー像の剥離効率を含めた記録媒体への転写効率を向上させ、さらに記録媒体への転写と同時に定着を行うため、一旦中間転写体16にトナー像を転写する。このとき、感光体10および中間転写体16間に周速差を設けてもよい。
【0067】
次いで、中間転写体16により矢印C方向に搬送されたトナー像は、転写定着ローラ28との接触位置において用紙30に転写されると共に定着される。
転写定着ローラ28は、中間転写体16とともに用紙30を挟み、中間転写体16上のトナー像を用紙30に密着させる。これによって用紙30にトナー像を転写し、用紙上にトナー像が定着され、定着画像29となる。トナー像の定着は、転写定着ローラ28に発熱体を設けて加圧および加熱により行うことが望ましい。定着温度は、通常、120℃以上200℃以下である。
【0068】
中間転写体16が
図1に示すようにローラ形状であれば、転写定着ローラ28とローラ対を構成するため、中間転写体16、転写定着ローラ28が各々定着装置における定着ローラ、押圧ローラに準じた構成となって定着機能を発揮する。すなわち、用紙30が前記ニップを通過する際、トナー像が転写されると共に転写定着ローラ28により中間転写体16に対して加熱および押圧される。これにより、トナー像を構成するトナー粒子中の結着樹脂が軟化すると共に、トナー像が用紙30の繊維中に浸潤して、用紙30に定着画像29が形成される。
【0069】
本実施形態では用紙30への転写と同時に定着を行っているが、転写工程と定着工程とを別々として、転写を行った後に定着を行ってもよい。この場合には、感光体10からトナー像を転写する転写ローラが、中間転写体16に準じた機能を有することとなる。
【0070】
一方、中間転写体16にトナー像26を転写した感光体10では、転写残トナー粒子クリーナ18との接触位置まで運ばれ、クリーナ18によって回収される。なお、転写効率が100%に近く、残留トナーが問題とならない場合は、クリーナ18は設ける必要がない。
画像形成装置100は、さらに、転写後かつ次の帯電までに感光体10の表面を除電する除電装置(図示せず)を備えていてもよい。
画像形成装置100に備えられる帯電装置20、露光装置12、現像装置14、中間転写体16、転写定着ローラ28、および、クリーナ18は、すべて感光体10の回転速度と同期をとって動作されている。
このような構成の画像形成装置100を用いて紙などの記録媒体30に画像を形成する。
【0071】
次いで、スクイズ現像方式の画像形成装置について説明する。
図6は、本実施形態の画像形成装置の一例における画像形成装置を拡大して示す概略構成図であり、スクイズ現像方式の現像装置の一例を示す概略構成図である。尚、現像装置以外の構成については、
図1に示す画像形成装置の説明を参照することとして、その説明を省略する。
【0072】
図6に示す現像装置40は、液体現像剤24に一部が浸るようにして設けられるアニロックスローラ31と、アニロックスローラ31から液体現像剤24が供給される均しローラ32と、均しローラ32から液体現像剤24が供給され且つ感光体10表面に該液体現像剤24を供給して感光体10表面の静電潜像を現像する現像ローラ33と、現像ローラ33上および均しローラ32上に保持された液体現像剤24中のトナー粒子およびローラを帯電させる2つのトナー帯電器34Aおよび34Bと、感光体10に液体現像剤24を供給した後の現像ローラ33表面に残存する液体現像剤24を除去するクリーニングローラ35と、クリーニングローラ35上の液体現像剤24を除去するクリーニングブレード36と、均しローラ32に液体現像剤24を供給した後のアニロックスローラ31表面に残存する液体現像剤24を除去するクリーニングブレード37と、均しローラ32および現像ローラ33上の余計なキャリア液を除去するスクイズブレード39と、再分散装置38と、を有する。
【0073】
均しローラ32上はあらかじめトナー帯電器34Aにより現像剤と逆バイアスに帯電させられており、アニロックスローラ31から均しローラ32上に現像剤が転写される際には、現像剤粒子が優先的に引き付けられ、トナーが緩凝集した層とキャリア液層とに分離する。分離されたキャリア液層をスクイズブレード39でかきとり、現像剤の均一な濃縮を行う。
なお、この
図6では均しローラ32上で濃縮を実施しているが、アニロックスローラ31上や現像ローラ33上でも、トナー帯電器とスクイズブレードがローラ上に設置されれば、濃縮し得る。
【実施例】
【0074】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって何等制限されるものではない。なお、実施例中に示した「部」は、特に断りのない限り「質量部」を表す。
なお、以下に示す実施例2および3は、本発明に対する参考例として示すものである。
【0075】
−実施例1−
スチレンアクリル樹脂(藤倉化成(株)製FSR−051、重量平均分子量38万)60部にシアン顔料C.I.ピグメントブルー15:3(クラリアント(株)製)40部を加え、バンバリーミキサーで5分間混練した。この混練物を粗粉砕して、シアン顔料マスターバッチを作製した。
【0076】
次に以下の組成の混合物をエクストルーダーで希釈混練した。
・上記シアン顔料マスターバッチ :25部
・スチレンアクリル樹脂(藤倉化成(株)製FSR−053、
重量平均分子量32万、酸価10) :55部
・スチレン系熱可塑性エラストマー(旭化成社製品、「SOE−L611X」
、スチレン・ブタジエンブロック共重合体の水素添加品):20部
混練物をジェットミルで粉砕し平均粒径10μmのシアン粒子を得た。
【0077】
このシアン粒子35部に、難揮発性のパラフィンオイル(松村石油(株)製、モレスコホワイトP40)103部、ソルスパース1.5部の混合物を
図2で示す構成の湿式粉砕機(シンマルエンタープライゼス社製、DYNO−MILL KDL−A型)を用い、Φ1.0mmジルコニアビーズで2500rpmの条件で180分間粉砕を行い、液体現像剤を得た。
【0078】
キャリア液中のトナー粒子の体積メディアン径D50v:3.2μmであり、体積粒度分布のグラフでは「2つのピーク(ふた山)」の分布が観察された。また、顕微鏡観察の結果トナー粒子として一次粒子と二次粒子とが観察された。
【0079】
−実施例2−
実施例1のシアン粒子の形成において、スチレンアクリル樹脂(藤倉化成(株)製FSR−053、重量平均分子量32万、酸価10)およびスチレン系熱可塑性エラストマー(旭化成社製品、「SOE−L611X」、スチレン・ブタジエンブロック共重合体の水素添加品)を、ポリエステル樹脂(花王社製、「FS−2」、重量平均分子量3万、酸化9)に置き換えた以外は、実施例1に記載の方法により平均粒径10μmのシアン粒子を得た。
このシアン粒子35部に、難揮発性のパラフィンオイル(松村石油(株)製、モレスコホワイトP40)103部、ソルスパース1.5部の混合物を市販のビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製、商品名:ダイノーミルKDL−A型)を用い、Φ0.8mmステンレス球で3300rpmの条件で180分間粉砕を行い、液体現像剤を得た。
【0080】
キャリア液中のトナー粒子の体積メディアン径D50v:2.5μmであり、体積粒度分布のグラフでは「2つのピーク(ふた山)」の分布が観察された。また、顕微鏡観察の結果トナー粒子として一次粒子と二次粒子とが観察された。
【0081】
−実施例3−
外添剤添加前のEA−ECOトナー(富士ゼロックス社製、[市販同等品]、ポリエステルトナー、DocuCentre Color 500用、D50v=5.8μm)を市販のホモジナイザー(PRIMIX社製、TKロボミクスホモミクサ)を用い、トナー35部に、難揮発性のパラフィンオイル(松村石油(株)製、モレスコホワイトP40)103部、ソルスパース1.5部の混合物を加え、分散させた。この分散物120gを、650mlのボールミル(アズワン製、AV−1)で毎分60回転に設定し、48h粉砕し、液体現像剤を得た。なお、メディアはガラスビーズ(Φ1mm)を用い、かさにしてボールミル容器の75%となるようメディアを敷き詰めた。
【0082】
キャリア液中のトナー粒子の体積メディアン径D50v:2.9μmであった。また、体積粒度分布のグラフでは「2つのピーク(ふた山)」の分布が観察され、顕微鏡観察の結果トナー粒子は一次粒子と二次粒子とが観察された。
【0083】
−比較例1−
実施例1において、スチレンアクリル樹脂(藤倉化成(株)製FSR−053、重量平均分子量32万、酸価10)およびスチレン系熱可塑性エラストマー(旭化成社製品、「SOE−L611X」、スチレン・ブタジエンブロック共重合体の水素添加品)を、スチレンアクリル樹脂(藤倉化成(株)製FSR−053)のみに置き換え、且つ湿式粉砕機による粉砕の時間を25分間に短縮した以外は、実施例1に記載の方法により液体現像剤を得た。
【0084】
キャリア液中のトナー粒子の体積メディアン径D50v:5.7μmであった。また、体積粒度分布のグラフでは「2つのピーク(ふた山)」の分布が観察されたが、顕微鏡観察の結果トナー粒子として一次粒子のみが観察され、二次粒子は生成されていなかった。
【0085】
−比較例2−
実施例1において、スチレンアクリル樹脂(藤倉化成(株)製FSR−053、重量平均分子量32万、酸価10)およびスチレン系熱可塑性エラストマー(旭化成社製品、「SOE−L611X」、スチレン・ブタジエンブロック共重合体の水素添加品)を、ポリエステル樹脂(花王社製、「FS−2」、重量平均分子量3万、酸化9)に置き換え、且つ湿式粉砕機による粉砕の時間を120分間に短縮した以外は、実施例1に記載の方法により液体現像剤を得た。
【0086】
キャリア液中のトナー粒子の体積メディアン径D50v:1.1μmであった。また、体積粒度分布のグラフでは「1つのピーク(ひと山)」の分布が観察され、顕微鏡観察の結果トナー粒子として一次粒子のみが観察され、二次粒子は生成されていなかった。
【0087】
−比較例3−
実施例1において、湿式粉砕に用いたΦ1.0mmジルコニアビーズを、Φ0.8mmテフロン(登録商標)に変更した以外は、実施例1に記載の方法により液体現像剤を得た。
【0088】
キャリア液中のトナー粒子の体積メディアン径D50v:0.7μmであった。また、体積粒度分布のグラフでは「1つのピーク(ひと山)」の分布が観察され、顕微鏡観察の結果トナー粒子として一次粒子のみが観察され、二次粒子は生成されていなかった。
【0089】
−比較例4−
実施例1において、湿式粉砕機による粉砕の時間を240分間に変更した以外は、実施例1に記載の方法により液体現像剤を得た。
【0090】
キャリア液中のトナー粒子の体積メディアン径D50v:6.7μmであった。また、体積粒度分布のグラフでは「1つのピーク(ひと山)」の分布が観察され、顕微鏡観察の結果トナー粒子は二次粒子のみが観察され、一次粒子は全て強く凝集していた。
【0091】
−比較例5−
実施例1と同じ材料を用い、同じジェットミルで粉砕する工程まで同条件で行って、平均粒径10μmのシアン粒子を得た。
【0092】
このシアン粒子35部に、難揮発性のパラフィンオイル(松村石油(株)製、モレスコホワイトP40)103部、ソルスパース1.5部の混合物を加え、分散させた。この分散物120gを650mlのボールミル(アズワン製、AV−1)で毎分回転に設定し、25h粉砕し、液体現像剤を得た。なお、メディアはガラスビーズ(Φ2.5mm)を用い、かさにしてボールミル容器の75%となるようメディアを敷き詰めた。
【0093】
キャリア液中のトナー粒子の体積メディアン径D50v:4.2μmであった。また、体積粒度分布のグラフでは「1つのピーク(ひと山)」の分布が観察され、顕微鏡観察の結果トナー粒子は一次粒子のみが観察され、二次粒子は存在しなかった。
【0094】
<評価1>
実施例および比較例で得た液体現像剤サンプルを、レーザー回折粒度測定装置(LA920、堀場製作所)を用いて、体積メディアン径D50v、個数メディアン径D50p、体積粒度分布指標GSDv、個数粒度分布指標GSDpの4項目を評価した。
また、電子顕微鏡(KEYENCE VE7800)を用いて、液体現像剤中のトナー粒子における二次粒子の有無を確認した。
【0095】
<評価2>
−画質(画像濃度の経時変化および画像濃度の面内ムラ)−
図1に示す構造の非スクイズ方式の液体現像装置を用い、実施例および比較例で得た液体現像剤サンプルにて、ISO事務機械国内委員会の指定するカラーテストチャート(No.2)を20000枚形成するランニングテストを行った。最初と最後とで画像濃度に変化がないかを目視グレード3段階(○:変化なし、△:変化があるものの装置内のパラメータ調整で対応し得る、×:装置で調整し得ないレベルでの濃度変化発生)で評価した。
また、ベタ画像を印刷した際の欠陥(濃度ムラ)の有無(○:濃度ムラなし、×:濃度ムラあり)で面内ムラを評価した。
【0096】
−保管性−
液体現像剤をボトルに充填して密閉し、常温常圧(25℃50%RH)で1週間放置し、粒径および粘度が変化していないかを確認することで保管性を評価した。粒径および粘度のいずれの変化も±10%以内かつ再分散が困難な沈殿祖粉のないものを「○」とし、粒径および粘度のいずれの変化も±10%以内であるが再分散が困難な沈殿祖粉が微量発生するものを「△」とし、10%を超えるものまたは再分散が困難な沈殿祖粉が現像剤として機能しないほど発生するものを「×」とした。
【0097】
−濃縮可否−
図6に示す構造のスクイズ方式の液体現像装置を用い、実施例および比較例で得た液体現像剤サンプルにて、20000枚のランニングテストを行った。ランニングテストの最中に液体現像装置を止め、感光体ドラム上の液体現像剤を採集して、この感光体ドラム上での液体現像剤のトナー粒子濃度が、製造直後の液体現像剤の濃度よりも高くなっているか(即ち濃縮されているか)を確認し、以下の評価基準で評価した。
○:現像剤の濃度が元に比べて20%以上向上している
×:現像剤の濃度の向上が元に比べて20%未満
【0098】
−耐折り曲げ特性−
耐折り曲げ特性は、前記「画質」の評価の際に
図1に示す構造の非スクイズ方式の液体現像装置を用いて形成した画像について、画像が形成された部分を内側にして用紙を折り曲げ、折り曲げた部分を軽く拭きとった後の画像の破壊具合から、以下の評価基準により評価した。
◎:画像の剥がれがほとんど観察されない
○:軽微で不連続な画像の剥がれがある
△:不連続な破損がある。
×:連続した破損がある。
【0099】
<評価3>
実施例と比較例の液体現像剤サンプルについて、
図1に示す構造の非スクイズ方式の液体現像装置中で現像機を24時間からまわしし、現像剤に対して外部から10[1/s]以上の剪断応力が与えられた状態(応力付与状態)として、感光体ドラム状に残った現像剤を電子顕微鏡で観察し、液体現像剤中のトナー粒子の体積メディアン径D50vを測定し、製造直後の液体現像剤の体積メディアン径D50vとの変化量(ΔD50v)を算出した。
【0100】
【表1】
【0101】
【表2】