(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1及び2記載の工具のように、ドライバを下死点位置において待機するように形成すると、打ち込み駆動時にはドライバを上死点まで移動させなければならないため、トリガが操作されてから打ち込み動作に入るまでのレスポンスが悪くなるという問題があった。
【0009】
また、特許文献3記載の工具のように、プランジャ及びドライバを上死点位置において待機するように形成すると、モータ回転の精度不良が生じた場合に、ドライバを上死点位置で停止すべきところを誤って打込み位置まで回転してしまう可能性があり、誤作動により打ち込みが行われるという危険性があった。不意の誤動作で待機が解除されると、即時に打込み動作が行われるため、メカ的な防止機構等が必要であった。
【0010】
この点、特許文献4記載の工具のように、ドライバを上死点位置近傍において待機するように形成すれば、レスポンス時間の問題も生じず、また、ドライバが打ち込み位置よりも下方にとどまっているため、誤作動により打ち込みが行われる危険性もない。
【0011】
しかしながら、ドライバを上死点位置近傍において待機するようにした場合、連結ファスナの頭部付近の側部にのみドライバが当接する。このため、連結ファスナの残量が少なくなると、ドライバに当接していない連結ファスナの先端部のみがファスナ送り機構によって前方へと押し込まれ、連結ファスナがマガジン内で斜めに傾く可能性がある(
図11参照)。連結ファスナがマガジン内で斜めに傾いてしまった状態で追加の連結ファスナをマガジンに装填すると、斜めになった連結ファスナの最後尾ファスナの頭部と追加した連結ファスナの先頭ファスナの頭部とが重なり合い、ファスナの収容部を閉じられないという問題が起きる可能性がある。
【0012】
この問題は、マガジン内でファスナの先端部を保持するガイド部材のガイド代を大きく取ることで解決可能である。すなわち、ガイド部材のガイド代を大きく取れば、残量が少なくなった連結ファスナがマガジン内で斜めに傾く場合もあるが、斜めになった場合でも斜めになった連結ファスナと追加した連結ファスナとが重なり合うことを防止できる。
【0013】
しかしながら、ガイド代を大きく取った場合、ガイド部材に連結ファスナを装填、または取り外す際に必要なスペースが大きくなってしまう。すなわち、連結ファスナをガイド部材に着脱する際には、連結ファスナを少なくともガイド代よりも大きく軸方向に動かす必要があるが、この軸方向に動かすための間隙を大きくする必要が生じる。
【0014】
以上のように、レスポンス性能や安全性を考慮すれば、ドライバを上死点と下死点との中間位置に待機させることが望ましいものの、ドライバを上死点と下死点との中間位置に待機させた場合には、量が少なくなった連結ファスナがマガジン内で斜めに傾くという問題があった。この問題を解決するにはガイド部材のガイド代を大きくすればよいが、ガイド部材のガイド代を大きくすると、機械全体が大型化したり重量が増加したりする原因となってしまうという問題があった。
【0015】
そこで、本発明は、レスポンス性能や安全性を保つとともに、ガイド部材のガイド代を大きくしなくても連結ファスナがマガジン内で斜めに傾かない電動式打ち込み工具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
【0017】
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、以下の点を特徴とする。
【0018】
すなわち、請求項1に記載の電動式打ち込み工具は、付勢機構により常時下方に向けて付勢されたプランジャと、前記プランジャに固定されたドライバと、前記プランジャを押し上げ後に解放することにより前記付勢機構の付勢力によって前記ドライバを駆動させる駆動機構と、前記駆動機構を作動させるための作動機構と、連結ファスナが装填されたマガジンと、前記マガジンに装填された連結ファスナの先頭ファスナを前記ドライバの打ち出し方向に順次供給するプッシャと、前記マガジンに装填された連結ファスナの残量が少なくなったことを検出する残量検出手段と、前記駆動機構の作動を制御する駆動機構制御手段と、を備え、前記駆動機構制御手段は、前記作動機構が操作されたときに、ファスナを打ち出した前記ドライバを下死点位置から上方に移動させて所定の待機位置にて停止させるように制御するものであって、前記残量検出手段が前記マガジンに装填された連結ファスナの残量が少なくなったことを検出したときには、検出前と比較して前記所定の待機位置を下方に設定することを特徴とする。
【0019】
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0020】
すなわち、前記駆動機構制御手段は、前記残量検出手段が前記マガジンに装填された連結ファスナの残量が少なくなったことを検出する前においては、前記ドライバの先端が前記マガジンに装填された連結ファスナの中間位置よりも上方に位置する第1の待機位置に前記ドライバを待機させ、前記残量検出手段が前記マガジンに装填された連結ファスナの残量が少なくなったことを検出した後においては、前記ドライバの先端が前記マガジンに装填された連結ファスナ中間位置のよりも下方にて待機する第2の待機位置に前記ドライバを待機させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明は上記の通りであり、駆動機構制御手段は、作動機構が操作されたときに、ファスナを打ち出したドライバを下死点位置から上方に移動させて所定の待機位置にて停止させるように制御するものであって、残量検出手段がマガジンに装填された連結ファスナの残量が少なくなったことを検出したときには、検出前と比較して前記所定の待機位置を下方に設定する。このため、連結ファスナの残量が十分にある場合、すなわち、連結ファスナがマガジン内で斜めに傾きにくい場合には、ドライバを上方に待機させてレスポンス時間の短縮を図る。そして、連結ファスナの残量が少なくなった場合、すなわち、連結ファスナがマガジン内で斜めに傾きやすい場合には、ドライバを下方に待機させて連結ファスナが傾かないようにすることができる。
【0022】
なお、前記駆動機構制御手段は、前記残量検出手段が前記マガジンに装填された連結ファスナの残量が少なくなったことを検出する前においては、前記ドライバの先端が前記マガジンに装填された連結ファスナの中間位置よりも上方に位置する第1の待機位置に前記ドライバを待機させ、前記残量検出手段が前記マガジンに装填された連結ファスナの残量が少なくなったことを検出した後においては、前記ドライバの先端が前記マガジンに装填された連結ファスナの中間位置よりも下方にて待機する第2の待機位置に前記ドライバを待機させるようにしてもよい。これにより、連結ファスナの残量が十分にある場合のレスポンス性の向上と、連結ファスナの残量が少なくなった場合の連結ファスナの傾き防止を確実に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。
【0025】
本実施形態に係る電動式打ち込み工具10は、バネ力で駆動するバネ駆動式の電動式打ち込み工具10であって、ファスナを打ち出すように形成されている。この打ち込み工具10は、
図1に示すように、ハウジング11の内部に、付勢機構を構成するバネ23により常時下方に向けて付勢されたプランジャ22、前記プランジャ22に固定されたドライバ21、前記プランジャ22を押し上げ後に解放することにより前記バネ23の付勢力によって前記ドライバ21を駆動させる駆動機構、などを備えて構成されている。
【0026】
ハウジング11の下部には、ドライバ21によって打ち出される連結ファスナAが装填されたマガジン12が設けられており、マガジン12の内部に配置されたプッシャ31が、前記マガジン12に装填された連結ファスナAの先頭ファスナを前記ドライバ21の方向に順次供給するように形成されている。
【0027】
マガジン12の前端部にはノーズ部15が設けられており、マガジン12に装填された連結ファスナAの先頭ファスナは、プッシャ31によってこのノーズ部15へと供給される。すなわち、プッシャ31がバネ(図示せず)によって常時ノーズ部15の方向に付勢されているため、この付勢力によって連結ファスナAがノーズ部15の方向に押し付けられており、先頭ファスナが射出されるたびに次の先頭ファスナがノーズ部15へと供給されるように形成されている。
【0028】
ノーズ部15へと供給された先頭ファスナは、ドライバ21によってノーズ部15の先端に設けられた射出口16から射出される。本実施形態に係るドライバ21は、プランジャ22に固定されているため、プランジャ22が作動したときに射出口16に向けて摺動し、これによってノーズ部15へと供給されたファスナを射出口16から打ち出す。
【0029】
プランジャ22は、ハウジング11の内部に配置されて、ファスナの射出方向に沿って上下に摺動可能となっている。このプランジャ22の側部には、特に図示しないが、駆動機構と係合させるための係合部が突出形成されている。
【0030】
このプランジャ22をバネ23の付勢力に抗して押し上げる駆動機構は、プランジャ22を押し上げるための複数のギア(図示せず)と、この複数のギアを回転させるためのモータ17と、を備えて構成されている。
【0031】
駆動機構は、作動機構であるトリガ14が操作されたことを契機として作動する。詳しくは、トリガ14の操作信号を後述する制御装置100が受信すると、制御装置100はモータ17の作動を開始する。モータ17が作動を開始すると、モータ17の駆動軸に接続された複数のギアが回転する。複数のギアが回転すると、この複数のギアがプランジャ22を押し上げる。更に複数のギアが回転すると、プランジャ22及びドライバ21が上死点まで到達したときに複数のギアとプランジャ22との係合が外れ、プランジャ22が解放されてバネ23の付勢力によってドライバ21が下方に駆動し、射出処理を実行する。
【0032】
このように、トリガ14が引き操作されたことを契機として駆動機構が作動し、ギアを回転させる。これによって、ギアに係合したプランジャ22が押し上げられる。そして、プランジャ22及びドライバ21が上死点まで到達したときにギアとプランジャ22との係合が解除されるため、プランジャ22がバネ23の付勢力によって移動し、プランジャ22に連結されたドライバ21が射出口16の方向に摺動してファスナが打ち出されるように形成されている。
【0033】
なお、
図2に示すように、打ち込み工具10の内部にはCPUやRAM等を備えた制御装置100が設けられており、この制御装置100によってトリガ14やマイクロスイッチからの入力信号を基にモータ17の駆動が制御される。この制御装置100は、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み込むことで、各種の入力装置及び出力装置を制御するように構成されている。
【0034】
(入力装置)
制御装置100の入力装置としては、
図2に示すように、上死点検出手段41、コンタクト検出手段42、トリガ検出手段43、残量検出手段44が設けられている。なお、入力装置としては、この
図2に示す入力装置に限定されず、他の入力装置を備えていてもよい。
【0035】
(上死点検出手段41)
上死点検出手段41は、プランジャ22及びドライバ21が上死点位置まで移動したことを検出するための手段であり、具体的には、
図1に示すように、プランジャ22によって押下される上死点検出スイッチである。この上死点検出手段41は、上死点位置まで移動したプランジャ22がスイッチを押下すると、制御装置100に上死点検出信号を出力する。
【0036】
(コンタクト検出手段42)
コンタクト検出手段42は、ノーズ部15の先端が被打ち込み材に押しつけられた状態であることを検出するための手段であり、具体的には、コンタクトアーム18によって押下されるコンタクト検出スイッチである。このコンタクト検出手段42は、コンタクトアーム18が被打ち込み材に押しつけられてスイッチが押下されると、制御装置100にコンタクト検出信号を出力する。制御装置100は、コンタクト検出信号を受信することによって打ち込み準備が完了していることを検知する。
【0037】
なお、コンタクトアーム18は、ノーズ部15の先端において下方へと付勢される部材であり、上方へと摺動可能となっている。このため、このコンタクトアーム18が被打ち込み材に押しつけられると、コンタクトアーム18が上方へと摺動してコンタクト検出スイッチが押下される。コンタクト検出スイッチが押下されると、コンタクト検出手段42が制御装置100にコンタクト検出信号を出力する。制御装置100は、コンタクト検出信号を受信している場合(打ち込み準備が完了している場合)にのみドライバ21を駆動させるため、安全にファスナの打ち込みを行うことができる。
【0038】
(トリガ検出手段43)
トリガ検出手段43は、トリガ14が操作されたことを検出するための手段であり、具体的には、
図1に示すように、トリガ14の上方に配置されたトリガ検出スイッチである。このトリガ検出手段43は、トリガ14が操作されてスイッチが押下されると、制御装置100にトリガ検出信号を出力する。
【0039】
(残量検出手段44)
残量検出手段44は、マガジン12に装填された連結ファスナAの残量が少なくなったことを検出するための手段であり、具体的には、
図6に示すように、マガジン12の内部に配置された残量検出スイッチである。この残量検出手段44は、マガジン12に固定されている。
【0040】
この残量検出手段44は、
図7に示すように、マガジン12に装填された連結ファスナAの残量が少なくなってきたことにより、プッシャ31がノーズ部15の方向に移動してきたときに、プッシャ31に設けられた接触片31aによって残量検出手段44の揺動軸44bに軸支された揺動部材44aが揺動し、ボタン44cのスイッチが押下されるように形成されている。このため、マガジン12に装填された連結ファスナAの残量が予め定められた所定の残量まで少なくなったときに、接触片31aがスイッチを押下し、連結ファスナAの残量が少なくなったことを検出できるように形成されている。
【0041】
この残量検出手段44は、連結ファスナAの残量が少なくなったことを検出すると、制御装置100に残量検出信号を出力する。
【0042】
(制御装置100)
次に、制御装置100について詳述する。
【0043】
制御装置100は、電動式打ち込み工具10の各種装置を制御するものであり、駆動機構制御手段110として機能する。
【0044】
なお、制御装置100としては、上記した駆動機構制御手段110に限定されるものではなく、他の手段を含んでいても良い。
【0045】
(駆動機構制御手段110)
駆動機構制御手段110は、駆動機構の作動を制御するためのプログラムである。この駆動機構制御手段110は、モータ17の回転数を制御することにより、駆動機構の作動を制御する。
【0046】
具体的には、この駆動機構制御手段110は、コンタクトアーム18が被打ち込み材に押しつけられることによってコンタクト検出手段42からコンタクト検出信号が出力されている状態において、トリガ14が操作されてトリガ検出手段43からトリガ検出信号が出力されると、モータ17の駆動を開始する。上述したように、モータ17が駆動するとプランジャ22が上死点位置まで押し上げられて解放され、ドライバ21が下死点まで駆動し、ファスナの射出が行われる。
【0047】
その後、更にモータ17の駆動を継続することにより、ファスナを打ち出した後のドライバ21を下死点位置から上方に移動させ、所定の待機位置にて停止させるように制御する。
【0048】
このとき、残量検出手段44から残量検出信号が出力されているか否かによって、プランジャ22及びドライバ21の待機位置を変更する。すなわち、残量検出手段44がマガジン12に装填された連結ファスナAの残量が少なくなったことを検出していないときには、
図3に示すように、第1の待機位置にプランジャ22及びドライバ21を待機させる。一方、残量検出手段44がマガジン12に装填された連結ファスナAの残量が少なくなったことを検出したときには、
図4に示すように、第1の待機位置と比較して下方に設定した第2の待機位置にプランジャ22及びドライバ21を待機させる。
【0049】
第1の待機位置は、
図3に示すように、プランジャ22及びドライバ21が上死点位置付近において待機する位置であり、ドライバ21の先端がマガジン12に装填された連結ファスナAの中間位置のよりも上方にて待機するようになっている。更に具体的には、ドライバ21先端からファスナA頭部までの距離が、連結ファスナAの全長の1/4以下となっている。
【0050】
第2の待機位置は、
図4に示すように、プランジャ22及びドライバ21が下死点位置付近において待機する位置であり、ドライバ21の先端がマガジン12に装填された連結ファスナAの中間位置のよりも下方にて待機するようになっている。更に具体的には、ドライバ21先端からファスナA頭部までの距離が、連結ファスナAの全長の3/4以上となっている。
【0051】
このため、
図3及び
図4に示すように、第1の待機位置におけるドライバ先端からファスナ頭部までの距離S1は、第2の待機位置におけるドライバ先端からファスナ頭部までの距離S2よりも短くなっている。
【0052】
(駆動機構制御手段110の処理について)
本実施形態に係る駆動機構制御手段110の処理フローについて説明する。
【0053】
(メイン処理)
図8は、駆動機構制御手段110によるメイン処理を示すフロー図である。
【0054】
まず、
図8に示すステップS101において、駆動機構制御手段110は、残量検出手段44から残量検出信号が出力されているか否かをチェックする。残量検出信号が出力されている場合には、ステップS102へ進む。一方、残量検出信号が出力されていない場合には、ステップS103に進む。
【0055】
ステップS102へ進んだ場合には、モードを空打ち防止モードに設定する(例えば、空打ち防止モードを示す内部フラグをONに設定する)。そして、ステップS104に進む。
【0056】
また、ステップS103へ進んだ場合には、モードを通常モードに設定する(例えば、空打ち防止モードを示す内部フラグをOFFに設定する)。そして、ステップS104に進む。
【0057】
ステップS104では、コンタクト検出手段42からコンタクト検出信号が出力されており、かつ、トリガ検出手段43からトリガ検出信号が出力されているかがチェックされる。コンタクト検出信号とトリガ検出信号とが出力されている場合には、ステップS105へ進み、ファスナ射出処理を実行する。一方、コンタクト検出信号とトリガ検出信号とが出力されていない場合には、ステップS101へと戻る。
【0058】
(ファスナ射出処理)
図9は、駆動機構制御手段110によるファスナ射出処理を示すフロー図である。
【0059】
まず、
図9に示すステップS201において、駆動機構制御手段110は、モータ17の駆動を開始する。これにより、駆動機構が作動を開始する。そして、ステップS202に進む。
【0060】
ステップS202では、上死点検出手段41から上死点検出信号が出力されるまで待機する。上死点検出手段41から上死点検出信号が出力されたら、ステップS203に進む。なお、上死点検出手段41から上死点検出信号が出力された直後にプランジャ22と駆動機構のギアとの係合が外れ、ドライバ21によってファスナが射出される。
【0061】
ステップS203では、駆動機構制御手段110は、ソフトウェアカウンタによってモータ17の駆動時間のカウントを開始する。そして、ステップS204に進む。
【0062】
ステップS204では、現在のモードが空打ち防止モードか否か(例えば、空打ち防止モードを示す内部フラグがONであるか否か)がチェックされる。現在のモードが空打ち防止モードである場合には、ステップS205へ進む。一方、現在のモードが空打ち防止モードでない場合(すなわち、通常モードの場合)には、ステップS206に進む。
【0063】
ステップS205に進んだ場合、ソフトウェアカウンタによるモータ17の駆動時間のカウントが、予め定められた空打ち防止モード用の駆動時間となるまでモータ17を駆動させる。そして、予め定められた空打ち防止モード用の駆動時間が経過したら、ステップS207に進み、モータ17の駆動を停止して処理が終了する。
【0064】
また、ステップS206に進んだ場合、ソフトウェアカウンタによるモータ17の駆動時間のカウントが、予め定められた通常モード用の駆動時間となるまでモータ17を駆動させる。そして、予め定められた通常モード用の駆動時間が経過したら、ステップS207に進み、モータ17の駆動を停止して処理が終了する。
【0065】
なお、空打ち防止モード用の駆動時間は、通常モード用の駆動時間よりも短く設定されている。これにより、通常モード用の駆動時間までモータ17を駆動させて停止させた場合には、ドライバ21及びプランジャ22は、
図3に示す第1の待機位置において停止する。また、空打ち防止モード用の駆動時間までモータ17を駆動させて停止させた場合には、ドライバ21及びプランジャ22は、
図4に示す第2の待機位置において停止する。
【0066】
(まとめ)
以上説明したように、本実施形態によれば、駆動機構制御手段110は、トリガ14が操作されたときに、ファスナを打ち出したドライバ21を下死点位置から上方に移動させて所定の待機位置にて停止させるように制御するものであって、残量検出手段44がマガジン12に装填された連結ファスナAの残量が少なくなったことを検出したときには、検出前と比較して前記所定の待機位置を下方に設定する。このため、連結ファスナAの残量が十分にある場合、すなわち、連結ファスナAがマガジン12内で斜めに傾きにくい場合には、ドライバ21を上方の第1の待機位置に待機させてレスポンス時間の短縮を図る。そして、連結ファスナAの残量が少なくなった場合、すなわち、連結ファスナAがマガジン12内で斜めに傾きやすい場合には、ドライバ21を下方の第2の待機位置に待機させて連結ファスナAが傾かないようにすることができる。
【0067】
この本実施形態を、常に第1の待機位置を採用した打ち込み工具や、常に第2の待機位置を採用した打ち込み工具と比較すると、以下のような効果がある。
【0068】
すなわち、常に第1の待機位置を採用した打ち込み工具の場合、マガジン12に装填された連結ファスナAの残量が少なくなると、連結ファスナAがマガジン12内で斜めに傾く可能性がある。
図11に示すように、連結ファスナAがマガジン12内で斜めに傾いてしまった状態で追加の連結ファスナBをマガジン12に取り付けると、斜めの連結ファスナAの頭部と追加の連結ファスナBの頭部とが重なり合い、ファスナA、Bの収容部を閉じられないという問題が起きる。
【0069】
この問題を解決するためには、残量が少なくなった連結ファスナAがマガジン12内で斜めに傾かないように、マガジン12の下部に固定されるガイド部材12aのガイド代C’を大きく取る必要がある(
図12参照)。しかしながら、ガイド代C’を大きく取った場合、ガイド溝12bに連結ファスナAを取り付け、または取り外すためのマガジン12とハウジング11との間の間隙D’を大きくする必要が生じる。すなわち、連結ファスナAをガイド部材12aに着脱する際には、連結ファスナAを少なくともガイド代C’よりも大きく軸方向に動かす必要があるが、この軸方向に動かすための間隙D’を大きくする必要が生じる。マガジン12とハウジング11との間の間隙D’を大きくすると、余分なスペースが必要となるため、機械が大型化したり重量が増加したりする原因となってしまう。
【0070】
この点、本実施形態に係る電動式打ち込み工具10によれば、マガジン12に装填された連結ファスナAの残量が少なくなると、ドライバ21が下死点位置付近において待機するため、連結ファスナAの先頭ファスナがほぼ全長に渡って側面をドライバ21に支持され、連結ファスナAがマガジン12内で斜めに傾かない。このため、
図10に示すように、ガイド部材12aのガイド代Cを大きく取る必要がない。ガイド代Cが小さくできれば、ガイド溝12bに連結ファスナAを取り付けるためのマガジン12とハウジング11との間の間隙Dが小さくできるので、機械を小型化でき、重量を減少させることができる。
【0071】
また、常に第2の待機位置を採用した打ち込み工具の場合、射出操作がなされてから実際にファスナが射出されるまでの時間が長くなるため、機械のレスポンス性能が悪くなってしまう。
【0072】
この点、本実施形態に係る電動式打ち込み工具10によれば、マガジン12に装填された連結ファスナAの残量が少なくなるまでは、ドライバ21が上死点位置付近において待機するため、レスポンス性能の低下を最小限とすることができる。
【0073】
なお、上記した実施形態においては、トリガ14の操作によって駆動機構を作動させてドライバ21を所定位置に移動させて待機させているが、コンタクトア−ム18や別のスイッチ等の作動機構によってドライバ21を所定位置に移動させて待機させるようにしてもよい。
【0074】
また、上記した実施形態においては、付勢機構として弾性体のバネ23を用いたが、例えばエアーバネ、油圧バネ等の下方に向けて付勢できる付勢手段を用いてもよい。