(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術においては、レーン毎のプローブ情報を収集する必要がある。例えば、レーン毎のプローブ情報を表示する技術においては、レーンを走行する車両を監視するためのカメラ等を道路上のレーン毎に設置し、このカメラで撮影した車両に関する画像データを解析して、この解析結果に基づいてプローブ情報を収集する方法が考えられる。しかしながら、この方法では、道路上へのカメラの設置等のインフラ整備にコストがかかるという問題があった。また、画像解析においては、カメラで撮影した画像から車両を認識する技術の精度が十分ではないため、この画像解析の結果に基づいてプローブ情報を収集することは、データの正確性の観点から問題があった。また、レーンの進行方向別のプローブ情報に基づいて到着予想時間を算出する技術においては、レーンにおける車両の交差点退出時の進行方向に基づいてプローブ情報を収集する方法が考えられる。しかしながら、この方法では、収集する必要のないデータを収集することとなり(例えば、直進専用レーンと直進及び右折用レーンとがある交差点において、直進専用レーンには渋滞がないが、直進及び右折用レーンは右折待ちの車両で渋滞しているような場合において、直進専用レーンではなく直進及び右折用レーンを走行して直進を行ってしまったような場合でも、この直進に要する時間等をプローブ情報として収集してしまうこととなり)、収集したプローブ情報と実際のプローブ情報とに差異が生じるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、インフラ整備を行う必要がなく、プローブ情報を正確に収集することが可能となり、またレーンにおける車両の進行方向別のプローブ情報を収集する際に、収集する必要のないデータの収集を回避することが可能となる、情報収集システム、情報収集方法、及び情報収集プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の情報収集システムは、交差点のレーンを特定するレーン情報を含む地図情報を格納する地図情報格納手段と、前記レーン情報と、交差点の位置を特定する交差点情報と、レーンにおける車両の進行方向を特定する進行方向情報と、交差点を通過した車両が当該交差点を通過するのに要した交差点通過時間を特定する交差点通過時間情報とを、相互に関連付けて構成された情報であって、
過去に走行した複数の車両が交差点を通過した際の交差点通過時間に関する統計情報を格納する統計情報格納手段と、
今回走行した車両が通過した交差点の位置と、当該車両が交差点を通過した際の
当該車両の進行方向と、当該車両が交差点を通過するのに要した交差点通過時間とを取得する車両情報取得手段と、前記車両情報取得手段にて取得された
前記交差点の位置に基づいて、前記地図情報格納手段から
前記今回走行した車両の走行道路上の交差点における前記レーン情報を取得するレーン情報取得手段と、前記車両情報取得手段にて取得された
前記今回走行した車両の進行方向と、前記レーン情報取得手段にて取得された前記レーン情報とに基づいて、
前記今回走行した車両が交差点を通過する際に進行方向に走行可能なレーンが、
前記今回走行した車両の進行方向以外の方向にも走行可能であるか否かを判定する判定手段と、
前記過去に走行した車両が前記今回走行した車両の進行方向に沿って交差点を通過した際の交差点通過時間の統計情報である第1の交差点通過時間を前記統計情報格納手段から取得する第1交差点通過時間取得手段と、
前記今回走行した車両が前記今回走行した車両の進行方向に沿って交差点を通過した際の交差点通過時間である第2の交差点通過時間を前記車両情報取得手段から取得する第2交差点通過時間取得手段と、前記判定手段によって
前記今回走行した車両の進行方向以外の方向に走行可能でないと判定されたレーンについて、前記第1交差点通過時間取得手段にて取得された第1の交差点通過時間と前記第2交差点通過時間取得手段にて取得された第2の交差点通過時間との差分を算出する算出手段と、前記算出手段にて算出された差分に基づいて、前記交差点のレーンのうち、
当該算出された差分の中で最も小さい差分に対応するレーンを、前記今回走行した車両が走行したレーン
として特定するレーン特定手段と、前記レーン特定手段にて特定されたレーンに基づいて、当該レーンに対応するレーン情報と、前記車両情報取得手段にて取得された
前記交差点の位置と、
前記今回走行した車両の進行方向と、前記交差点通過時間とを、相互に関連付けて前記統計情報格納手段に格納する収集手段と、を備える。
【0007】
請求項2に記載の情報収集システムは、請求項1に記載の情報収集システムにおいて、
前記過去に走行した車両が前記今回走行した車両の進行方向以外の方向に沿って交差点を通過した際の交差点通過時間の統計情報である第3の交差点通過時間を前記統計情報格納手段から取得する第3交差点通過時間取得手段を備え、前記判定手段は、
前記今回走行した車両の進行方向以外の方向に走行可能であると判定したレーンについて、前記第1交差点通過時間取得手段にて取得された第1の交差点通過時間と前記第3交差点通過時間取得手段にて取得された第3の交差点通過時間との差分が所定の第1閾値以上であるか否かを判定し、
且つ、前記第1の交差点通過時間と前記第3の交差点通過時間との差分が前記第1閾値以上であると判定した場合に、前記第2交差点通過時間取得手段にて取得された前記第2の交差点通過時間と、前記第3交差点通過時間取得手段にて取得された前記第3の交差点通過時間との差分が所定の第2閾値以上であるか否かを判定し、前記算出手段は、前記判定手段によって前記第1の交差点通過時間と前記第3の交差点通過時間との差分が前記第1閾値以上でないと判定された場合に、前記第1交差点通過時間取得手段にて取得された第1の交差点通過時間と前記第2交差点通過時間取得手段にて取得された第2の交差点通過時間との差分を算出
し、前記判定手段によって前記第2の交差点通過時間と前記第3の交差点通過時間との差分が前記第2閾値以上であると判定された場合に、前記第1交差点通過時間取得手段にて取得された第1の交差点通過時間と前記第2交差点通過時間取得手段にて取得された第2の交差点通過時間との差分を算出する。
【0008】
請求項3に記載の
情報収集方法は、今回走行した車両が通過した交差点の位置と、当該車両が交差点を通過した際の当該車両の進行方向と、当該車両が交差点を通過するのに要した交差点通過時間とを取得する車両情報取得ステップと、前記車両情報取得ステップにて取得された前記交差点の位置に基づいて、交差点のレーンを特定するレーン情報を含む地図情報を格納する地図情報格納手段から前記今回走行した車両の走行道路上の交差点における前記レーン情報を取得するレーン情報取得ステップと、前記車両情報取得ステップにて取得された前記今回走行した車両の進行方向と、前記レーン情報取得ステップにて取得された前記レーン情報とに基づいて、前記今回走行した車両が交差点を通過する際に進行方向に走行可能なレーンが、前記今回走行した車両の進行方向以外の方向にも走行可能であるか否かを判定する判定ステップと、前記レーン情報と、交差点の位置を特定する交差点情報と、レーンにおける車両の進行方向を特定する進行方向情報と、交差点を通過した車両が当該交差点を通過するのに要した交差点通過時間を特定する交差点通過時間情報とを、相互に関連付けて構成された情報であって、過去に走行した複数の車両が交差点を通過した際の交差点通過時間に関する統計情報を格納する統計情報格納手段から、前記過去に走行した車両が前記今回走行した車両の進行方向に沿って交差点を通過した際の交差点通過時間の統計情報である第1の交差点通過時間を取得する第1交差点通過時間取得ステップと、前記今回走行した車両が前記今回走行した車両の進行方向に沿って交差点を通過した際の交差点通過時間である第2の交差点通過時間を前記車両情報取得ステップにおいて取得された情報から取得する第2交差点通過時間取得ステップと、前記判定ステップによって前記今回走行した車両の進行方向以外の方向に走行可能でないと判定されたレーンについて、前記第1交差点通過時間取得ステップにて取得された第1の交差点通過時間と前記第2交差点通過時間取得ステップにて取得された第2の交差点通過時間との差分を算出する算出ステップと、前記算出ステップにて算出された差分に基づいて、前記交差点のレーンのうち、当該算出された差分の中で最も小さい差分に対応するレーンを、前記今回走行した車両が走行したレーンとして特定するレーン特定ステップと、前記レーン特定ステップにて特定されたレーンに基づいて、当該レーンに対応するレーン情報と、前記車両情報取得ステップにて取得された前記交差点の位置と、前記今回走行した車両の進行方向と、前記交差点通過時間とを、相互に関連付けて前記統計情報格納手段に格納する収集ステップと、を含む。
【0009】
請求項4に記載の
情報収集プログラムは、請求項3に記載の方法をコンピュータに実行させる情報収集プログラムである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の情報収集システム、請求項
3に記載の情報収集方法、及び請求項
4に記載の情報収集プログラムによれば、車両から取得できる情報に基づいてレーン毎のプローブ情報を収集することができるので、カメラの設置等のインフラ整備を行う必要がなくなり、プローブ情報を収集するコストを抑えることができる。
【0012】
請求項2に記載の情報収集システムによれば、統計情報格納手段に格納された交差点通過時間同士の差分に基づいてレーン毎のプローブ情報を収集することができ、一層正確にプローブ情報を収集することができる。
また、統計情報格納手段に格納されている交差点通過時間と、車両から取得した交差点通過時間との差分に基づいてレーン毎のプローブ情報を収集することができ、さらに一層正確にプローブ情報を収集することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る情報収集システム、情報収集方法、及び情報収集プログラムの実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0016】
(構成)
まず、本実施の形態に係る情報収集システムの構成を説明する。
図1は、本実施の形態に係る情報収集システムを例示するブロック図である。
図1に示すように、情報収集システム1は、情報収集装置10、及び車両2に搭載された車載装置20を備えており、これらの情報収集装置10と車載装置20とはネットワーク3を介して相互に通信可能に接続されている。
【0017】
(構成−車載装置)
図1に示すように、車載装置20は、車両情報を出力する車両情報出力手段である。具体的には、この車載装置20は、車両2に関する各種データを記録する図示しないデータ記録部と、各種の情報を出力する図示しない出力手段を備えており、図示しないデータ記録部に格納された車両情報を任意のタイミング(例えば、交差点を通過してから所定時間(例えば5sec)経過後等)で情報収集装置10に向けて出力したり、情報収集装置10から入力された交差点通過時間を車両2の運転者に向けて出力したりする。ここで、「車両情報」とは、車両2に関する情報であり、例えば、車両2の走行内容(例えば、車両2が通過した交差点の座標、車両2が交差点を通過した際の進行方向、車両2が交差点を通過するのに要した交差点通過時間等)に関する走行履歴データ等を含んで構成されている。ここで、「車両が交差点を通過した際の進行方向」とは、車両2が交差点に進入する直前のレーン上の位置から、交差点を退出した直後のレーン上の位置迄の、軌跡に沿った方向である。「交差点通過時間」とは、車両2が交差点に進入する直前のレーンにおける所定位置(例えば、交差点よりも所定距離(例えば100m)だけ車両進行方向の手前側の位置)から、交差点を退出するまでに要する時間である。ただし、車載装置20は、例えば公知のナビゲーション装置等として構成することができるので、その詳細な説明は省略する。
【0018】
(構成−情報収集装置)
情報収集装置10は、レーン毎のプローブ情報を収集する情報収集手段であると共に、レーン毎のプローブ情報を必要に応じて車両に提供する情報提供手段であり、通信部11、制御部12、及びデータ記録部13を備えている。ここで、「プローブ情報」とは、レーンに関する交通情報であり、例えば後述する統計情報DB13bに格納されている情報であって、交差点の位置、後述するレーン情報、車両2の進行方向、交差点通過時間等を含んで構成された情報である。
【0019】
(構成−情報収集装置−通信部)
通信部11は、車載装置20との間でネットワーク3を介して通信を行う通信手段である。具体的には、通信部11は、車両2の車載装置20から出力された車両情報をネットワーク3を介して受信したり、後述する収集部12iにて収集された所定の交差点に関する交差点通過時間をネットワーク3を介して車両2に送信する。この通信部11としては、例えば、FM多重放送やビーコンを介した公知のVICS(登録商標)システム用の無線通信手段や、車載装置20に接続された携帯電話やスマートフォンとの間で通信を行う無線通信手段を用いることができる。
【0020】
(構成−情報収集装置−制御部)
制御部12は、情報収集装置10を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、本実施の形態に係る情報収集プログラムは、任意の記録媒体又はネットワーク3を介して情報収集装置10にインストールされることで、制御部12の各部を実質的に構成する。
【0021】
この制御部12は、機能概念的に、車両情報取得部12a、レーン情報取得部12b、判定部12c、第1交差点通過時間取得部12d、第2交差点通過時間取得部12e、第3交差点通過時間取得部12f、算出部12g、レーン特定部12h、及び収集部12iを備えている。
【0022】
車両情報取得部12aは、車載装置20から交差点の位置と、車両2が交差点を通過した際の進行方向と、車両2が交差点を通過するのに要した交差点通過時間とを取得する車両情報取得手段である。レーン情報取得部12bは、後述する地図情報データベース(以下、データベースを「DB」と称する)13aから後述するレーン情報を取得するレーン情報取得手段である。判定部12cは、車両2が交差点を通過する際に進行方向に走行可能なレーンが、車両2の進行方向以外の方向にも走行可能であるか否かを判定する判定手段である。第1交差点通過時間取得部12dは、車両2の進行方向に関して、交差点通過時間の統計情報である第1の交差点通過時間を後述する統計情報DB13bから取得する第1交差点通過時間取得手段である。第2交差点通過時間取得部12eは、車両2の進行方向に関する交差点通過時間である第2の交差点通過時間を車両情報取得部12aから取得する第2交差点通過時間取得手段である。第3交差点通過時間取得部12fは、車両2の進行方向以外の方向に関して、交差点通過時間の統計情報である第3の交差点通過時間を後述する統計情報DB13bから取得する第3交差点通過時間取得手段である。算出部12gは、第1交差点通過時間取得部12dにて取得された第1の交差点通過時間と第2交差点通過時間取得部12eにて取得された第2の交差点通過時間との差分を算出する算出手段である。レーン特定部12hは、交差点のレーンのうち、車両2が走行したレーンを特定するレーン特定手段である。収集部12iは、レーン特定部12hにて特定されたレーンに対応する後述するレーン情報と、車両情報取得部12aにて取得された交差点の位置と、車両2の進行方向と、交差点通過時間とを、相互に関連付けて後述する統計情報DB13bに格納する収集手段である。これらの制御部12の各構成要素によって実行される処理の詳細については後述する。
【0023】
(構成−情報収集装置−データ記録部)
データ記録部13は、情報収集装置10の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記録装置としてのハードディスク(図示省略)を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体、又はフラッシュメモリの如き半導体記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる。
【0024】
このデータ記録部13は、地図情報DB13a、統計情報DB13b、及び差分テーブル13cを備えている。
【0025】
地図情報DB13aは、地図情報を格納する地図情報格納手段である。「地図情報」とは、交差点や一時停止地点を含む各種の位置の特定に必要な情報であり、例えば、道路上に設定された各ノードに関するノードデータ(ノード番号、座標)や、リンクデータ(リンク番号、接続ノード番号、道路座標、道路種別、車線数、走行規制等)、地物データ(信号機、道路標識、ガードレール、建物等)、地形データ等を含んで構成されている。また、地図情報は、レーン情報を含んで構成されている。「レーン情報」とは、交差点のレーンを特定する情報であり、例えば、レーン番号、レーン名等を含んで構成されている。
【0026】
統計情報DB13bは、複数の車両2の交差点通過時間に関する統計情報を格納する統計情報格納手段である。
図2は、統計情報の構成例を示す図である。
図2に示すように、統計情報は、項目「交差点番号」、項目「交差点位置」、項目「レーン番号」、項目「レーン名」、項目「進行方向」、及び項目「交差点通過時間」と、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。項目「交差点番号」に対応して格納される情報は、交差点番号を一意に識別するための交差点識別情報である。項目「交差点位置」に対応して格納される情報は、交差点の位置を特定する交差点情報であり、具体的には、交差点の座標であって、項目「緯度」に対応して格納される情報である交差点の緯度と、項目「経度」に対応して格納される情報である交差点の経度とを含んで構成されている。項目「レーン番号」に対応して格納される情報は、交差点を通過するレーンのレーン番号を特定する情報である。項目「レーン名」に対応して格納される情報は、交差点を通過するレーンの名称を特定する情報である。項目「進行方向」に対応して格納される情報は、レーンにおける車両2の進行方向を特定する進行方向情報である。
図2の例では、進行方向を、進入リンク(交差点に接続されたリンクの中で、車両が交差点への進入時に走行したリンク)と退出リンク(交差点に接続されたリンクの中で、車両が交差点からの退出時に走行したリンク)とで示しており、例えば、進入リンク=リンクAから、退出リンク=リンクCに向かう進行方向を、リンクA→リンクCのように示す(以下同じ)。項目「交差点通過時間」に対応して格納される情報は、交差点を通過した車両2が当該交差点を通過するのに要した交差点通過時間を特定する交差点通過時間情報である。
【0027】
図1の差分テーブル13cは、算出部12gにて算出された差分に関する情報を格納する差分情報格納手段である。
図3は、差分テーブル13cの構成例を示す図である。
図3に示すように、差分テーブル13cは、項目「交差点番号」、項目「レーン番号」、項目「差分」、項目「進行方向」、及び項目「今回の交差点通過時間」と、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。項目「差分」に対応して格納される情報は、算出部12gにて算出された差分を特定する情報である。項目「進行方向」に対応して格納される情報は、車両2が今回の走行で交差点を通過した際の進行方向を特定する情報である。項目「今回の交差点通過時間」に対応して格納される情報は、車両2が今回の走行で交差点を通過するのに要した交差点通過時間を特定する情報である。その他の各項目に対応して格納される情報は、
図2の統計情報の同一項目名に対応して格納される情報と同じである。
【0028】
ここで、「今回の走行」とは、交差点を通過した車両2の車載装置20から車両情報が情報収集装置10に送信された場合における、当該車両2が当該交差点を通過した際の走行を意味する。すなわち、本実施の形態では、概略的に、統計情報DB13bには、車両2が過去に交差点を通過した際の交差点通過時間に関する統計情報が格納されており、その後に、車両2が交差点を通過すると、この今回の走行に関する車両情報が情報収集装置10に送信される。そして、情報収集装置10は、この今回の走行に関する車両情報を、所定条件に合致する場合にのみ、統計情報として統計情報DB13bに格納する。以下では、必要に応じて、車両2が過去に交差点を通過した際の走行を「過去の走行」と称し、「今回の走行」と区別する。
【0029】
(処理)
次に、このように構成される情報収集装置10によって実行される情報収集処理について説明する。
図4及び
図5は、情報収集処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。この情報収集処理は、例えば、情報収集装置10の電源が投入された後に所定周期にて繰り返し実行される。
【0030】
情報収集装置10の起動後、車両情報取得部12aは、各車両2の車載装置20から、今回の走行に関する情報として、車両2が通過した交差点の位置、車両2の進行方向、及び交差点通過時間を、通信部11を介して取得するまで待機する(SA1、No)。
【0031】
そして、車両2が通過した交差点の位置、車両2の進行方向、及び交差点通過時間を取得した場合(SA1、Yes)、レーン情報取得部12bは、当該取得された交差点の位置に基づいて、当該交差点のレーンを特定するレーン情報が地図情報DB13aに格納されているか否かを判定する(SA2)。
図6は、情報収集処理の処理対象とする交差点を例示した概要図であり、(a)は交差点の形状を示す図であり、(b)は交差点に接続されたリンクを示す図である。また、この
図6の下方には、車両2の複数の進行方向、各進行方向に進行した場合に通過したレーンのレーン名称、及び、各進行方向に過去の走行した際の交差点通過時間を、それぞれ例示している。
【0032】
図4及び
図5に戻り、SA1にて取得された交差点のレーン情報が地図情報DB13aに格納されていない場合(SA2、No)、SA1にて取得されたデータはプローブ情報として収集する必要がないとして、情報収集処理を終了する。
【0033】
一方、SA1にて取得された交差点のレーン情報が地図情報DB13aに格納されている場合(SA2、Yes)、車両情報取得部12aは、SA1にて取得された交差点の位置に基づいて、当該交差点のレーン情報を地図情報DB13aから取得する(SA3)。ここでは、車両2の進行リンクに対応するレーン情報のみを取得する。例えば、
図6の交差点への進入リンクとしては、リンクA、リンクB、リンクC、及びリンクDがあるが、SA1にて取得された車両2の進行方向における進入リンク=リンクAである場合には、リンクAを進入リンクとする進行方向としてリンクA→リンクB、リンクA→リンクC、リンクA→リンクDを特定し、これら進入方向に対応するレーン情報としてレーンL1〜レーンL3のみを取得する。
【0034】
図4及び
図5に戻り、制御部12は、SA4〜SA14の間のループにおいて、SA3にて取得されたレーン情報に対応するレーンをそれぞれ対象として、SA5〜SA13の処理を順次行う。以下、処理対象となっているレーンを「対象レーン」と称する。
【0035】
このループにおいては、最初に、判定部12cは、対象レーンが、車両2の進行方向に沿って走行可能であるか否かを、SA1にて取得された車両2の進行方向と、SA3にて取得されたレーン情報とに基づいて判定する(SA5)。具体的には、判定部12cは、SA3にて取得されたレーン情報に基づいて、統計情報DB13bから取得したレーン情報に対応する進行方向情報を取得し、当該取得したレーン情報に対応する進行方向情報がSA1にて取得された車両2の進行方向を含むか否かに基づいて判定する。
図2、6の例において、対象レーンがレーンL1又はレーンL2であり、SA1にて取得された車両2の進行方向がリンクA→リンクCである場合において、当該取得したレーンL1又はレーンL2の進行方向情報はリンクA→リンクCを含むので、車両2の進行方向に沿って走行可能であると判定される。一方、対象レーンがレーンL3であり、SA1にて取得された車両2の進行方向がリンクA→リンクCである場合には、当該取得したレーンL3の進行方向情報はリンクA→リンクCを含まないので、車両2の進行方向に沿って走行可能でないと判定される。
【0036】
図4及び
図5に戻り、対象レーンが、車両2の進行方向に沿って走行可能でないと判定された場合(SA5、No)、制御部12は、他のリンクを対象リンクとして、SA5〜SA13の処理を再び繰り返す。
【0037】
一方、対象レーンが、車両2の進行方向に沿って走行可能であると判定された場合(SA5、Yes)、第1交差点通過時間取得部12dは、車両2の進行方向に関して、交差点通過時間の統計情報である第1の交差点通過時間(車両2の過去の走行における交差点通過時間)を、統計情報DB13bから取得する(SA6)。次いで、第2交差点通過時間取得部12eは、車両2の進行方向に関する交差点通過時間である第2の交差点通過時間(車両2の今回の走行における交差点通過時間)を、SA1にて取得された交差点通過時間として取得する(SA7)。
【0038】
次に、判定部12cは、対象レーンが、車両2の進行方向以外の方向に沿って走行可能であるか否かを、SA1にて取得された車両2の進行方向、及びSA3にて取得されたレーン情報に基づいて判定する(SA8)。具体的には、判定部12cは、SA3から取得されたレーン情報に基づいて統計情報DB13bから取得したレーン情報に対応する進行方向情報を取得し、当該取得したレーン情報に対応する進行方向情報がSA1にて取得された車両2の進行方向以外の方向を含むか否かに基づいて判定する。
図2、6の例において、対象レーンがレーンL1であり、SA1にて取得された車両2の進行方向がリンクA→リンクCである場合において、レーンL1の進行方向情報はリンクA→リンクBを含むので、車両2の進行方向以外の方向に沿って走行可能であると判定される。一方、対象レーンがレーンL2であり、SA1にて取得された車両2の進行方向がリンクA→リンクCである場合において、レーンL2の進行方向情報はリンクA→リンクC以外の方向を含まないので、車両2の進行方向以外の方向に沿って走行可能でないと判定される。
【0039】
図4及び
図5に戻り、対象レーンが、車両2の進行方向以外の方向に沿って走行可能でないと判定された場合(SA8、No)、算出部12gは、SA6にて取得された第1の交差点通過時間と、SA7にて取得された第2の交差点通過時間との差分を算出する(SA9)。
図2、6の例において、対象レーンがレーンL2である場合には、SA6にて第1の交差点通過時間=15secが取得され、SA7にて第2の交差点通過時間=18secが取得されたと仮定すると、第2の交差点通過時間と第1の交差点通過時間との差分=18sec−15sec=3secが算出される。
【0040】
図4及び
図5に戻り、算出部12gは、SA9にて算出された差分に関する情報を差分テーブル13cに格納する(SA10)。具体的には、算出部12gは、SA1にて取得された交差点の位置に基づいて、統計情報DB13bから交差点番号を取得すると共に、SA3にて取得されたレーン情報の中からレーン番号を取得し、これら取得した交差点番号及びレーン番号と、SA9にて算出された差分と、SA1にて取得された車両2の進行方向と、交差点通過時間とを、相互に関連付けて差分テーブル13cに格納する。そして、SA10の処理後、制御部12は、他のリンクを対象リンクとして、SA5〜SA13の処理を再び繰り返す。なお、このように差分テーブル13cに格納された差分に関する情報は、SA10にて差分に関する情報が格納されてから情報収集処理が終了するまでの間、差分テーブル13cに格納されるが、当該情報収集処理の終了後には自動的に消去される。
【0041】
図4及び
図5に戻り、SA8において、対象レーンが、車両2の進行方向以外の方向に沿って走行可能であると判定された場合(SA8、Yes)、第3交差点通過時間取得部12fは、車両2の進行方向以外の方向に関して、対象レーンに関する第3の交差点通過時間であって、交差点通過時間の統計情報である第3の交差点通過時間を統計情報DB13bから取得する(SA11)。
【0042】
次に、判定部12cは、SA6にて取得された第1の交差点通過時間と、SA11にて取得された第3の交差点通過時間との差分が所定の第1閾値以上(例えば±1sec等)であるか否かを判定する(SA12)。
図2、6の例では、対象レーンがレーンL1である場合において、SA6にて第1の交差点通過時間=12secが取得され、SA11にて第3の交差点通過時間=10secが取得された場合に、第1の交差点通過時間と第3の交差点通過時間との差分=12sec−10sec=2secが算出される。そして、この差分が第1閾値を上回るので、この差分は第1閾値以上であると判定される。
【0043】
図4及び
図5に戻り、SA6にて取得された第1の交差点通過時間と、SA11にて取得された第3の交差点通過時間との差分が第1閾値以上でないと判定された場合(SA12、No)、算出部12gは、SA9、SA10の処理を上記と同様に行う。そして、制御部12は、他のリンクを対象リンクとして、SA5〜SA13の処理を再び繰り返す。
【0044】
一方、SA6にて取得された第1の交差点通過時間と、SA11にて取得された第3の交差点通過時間との差分が第1閾値以上であると判定された場合(SA12、Yes)、判定部12cは、SA7にて取得された第2の交差点通過時間と、SA11にて取得された第3の交差点通過時間との差分が所定の第2閾値(例えば±1sec等)以上であるか否かを判定する(SA13)。
図2、6の例では、対象レーンがレーンL1である場合において、SA7にて第2の交差点通過時間=18secが取得され、SA11にて第3の交差点通過時間=10secが取得された場合に、第2の交差点通過時間と第3の交差点通過時間との差分=18sec−10sec=8secが算出される。そして、この差分が第2閾値を上回ることから、この差分は第2閾値以上であると判定される。
【0045】
図4及び
図5に戻り、SA7にて取得された第2の交差点通過時間と、SA11にて取得された第3の交差点通過時間との差分が第2閾値以上でないと判定された場合(SA13、No)、制御部12は、他のリンクを対象リンクとして、SA5〜SA13の処理を再び繰り返す。
【0046】
一方、SA7にて取得された第2の交差点通過時間と、SA11にて取得された第3の交差点通過時間との差分が第2閾値以上であると判定された場合(SA13、Yes)、算出部12gは、SA9、SA10の処理を上記と同様に行う。そして、制御部12は、他のリンクを対象リンクとして、SA5〜SA13の処理を再び繰り返す。
【0047】
このように、SA4とSA14のループにおいて、SA3で取得したレーン情報に対応するレーンの全てを対象として、SA5〜SA13の処理を順次行った後、制御部12は、SA3で取得したレーン情報に対応するレーンの差分に関する情報が差分テーブル13cに格納されているか否かを判定する(SA15)。そして、差分テーブル13cに格納されていないと判定した場合(SA15、No)、差分テーブル13cにはプローブ情報として収集すべきデータが格納されていないとして、制御部12は情報収集処理を終了する。
【0048】
一方、差分テーブル13cに格納されていると判定した場合(SA15、Yes)、レーン特定部12hは、差分テーブル13cに格納された差分に基づいて、SA3で取得したレーン情報に対応するレーンのうち、今回の走行で車両2が走行したレーンを特定する(SA16)。例えば、差分テーブル13cにレーンの差分に関する情報が一つのみ格納されている場合には、当該情報に含まれるレーン番号によって特定されるレーンを、今回の走行で車両2が走行したレーンとして特定する。あるいは、差分テーブル13cにレーンの差分に関する情報が複数格納されている場合には、これら複数の情報に含まれるレーン番号によって特定される複数のレーンの中から、車両2が今回走行した可能性が最も高いレーンを一つのみ所定方法で特定し、当該特定したレーンを、今回の走行で車両2が走行したレーンとして特定する。この特定方法としては、例えば、複数の情報の中で、最も差分が小さい情報を特定し、当該特定した情報に含まれるレーン番号によって特定されるレーンを、今回の走行で車両2が走行したレーンとして特定することが考えられる。
図3の例では、差分テーブル13cにレーン番号1001のレーン(レーンL1)の差分に関する情報とレーン番号1002のレーン(レーンL2)の差分に関する情報とが格納されているため、最も差分が小さいレーンであるレーン番号1002のレーン(レーンL2)を、今回の走行で車両2が走行したレーンとして特定する。
【0049】
図4及び
図5に戻り、収集部12iは、SA16にて特定されたレーンに基づいて、当該レーンに対応するレーン情報と、SA1にて取得された交差点の位置と、車両2の進行方向と、交差点通過時間とを、相互に関連付けて統計情報DB13bに格納する(SA17)。具体的には、収集部12iは、SA16にて特定されたレーンに対応する差分に関する情報を差分テーブル13cから特定し、当該特定した差分に関する情報に含まれる交差点通過時間を特定する。また、収集部12iは、統計情報DB13bに格納された交差点通過時間であって、当該特定した差分に関する情報のうちの交差点番号、レーン番号、及び車両2の進行方向に対応する交差点通過時間を取得する。そして、当該特定した交差点通過時間と当該取得した交差点通過時間との平均値を算定し、当該平均値を、当該特定した差分に関する情報のうちの交差点番号、レーン番号、及び車両2の進行方向に対応する交差点通過時間の更新値として、統計情報DB13bに格納する。
図2、3、6の例では、SA16にてレーンL2の差分に関する情報が特定された場合に、レーンL2の差分に関する情報のうちの交差点通過時間=18secと、統計情報DB13bに格納された交差点通過時間であって、交差点番号=1にて特定される交差点のレーン番号(=1002)、及び交差点番号=1にて特定される車両2の進行方向(=リンクAからリンクCに向かう方向)に対応する交差点通過時間=15secとの平均値として、平均値=(18+15)/2=16.5secが算定され、当該16.5secが、15secの更新値として統計情報DB13bに格納される。
【0050】
情報収集装置10は、このような情報収集処理を各車両2の車載装置20に対して行うことで、各車両2の車載装置20の交差点通過時間を
図2の統計情報DB13bに格納した後、情報収集処理を終了する。このように統計情報DB13bに格納された交差点通過時間は、必要に応じて各車両2の車載装置20にネットワーク3を介して送信される。すなわち、各車両2の車載装置20は、例えば、運転者によって走行経路が設定されて走行予測時間を算定する際、当該走行経路を特定する情報を情報収集装置10に送信する。情報収集装置10の制御部12は、当該走行経路を特定する情報と地図情報DB13aの地図情報とに基づいて、当該走行経路上に存在する交差点を特定し、当該走行経路を特定する情報と、統計情報DB13bに格納されている交差点通過時間であって、当該特定した交差点のレーンの交差点通過時間とに基づいて、車両2が走行すべきレーンを特定し、当該特定したレーンの交差点通過時間を統計情報DB13bから取得して車載装置20に送信する。そして、車載装置20は、当該特定されたレーンの交差点通過時間に基づいて走行予測時間を算定して運転者に対して表示等する。また、車両2が交差点を通過する前に、当該特定されたレーンに関する案内を運転者に対して表示等する。
【0051】
以降、このような処理を繰り替えることで、統計情報DB13bには、常に最新の統計情報であって、情報収集処理によって選別された精度の高い統計情報が格納され、この最新かつ精度の高い統計情報が車載装置20に提供される。このため、車載装置20は、統計情報に基づいてレーン毎に交差点通過時間を判定して案内を行うことが可能になる。例えば、
図6のように、交差点を直進可能な進入レーンとしてレーンL1とレーンL2の2つのレーンがある場合において、右折用のレーンL3の渋滞の影響を受けて、レーンL2も渋滞しているような場合において、車両2の進行方向が直進方向である場合には、レーンL2ではなくレーンL1を走行するように案内することが可能になる。
【0052】
また、この他にも、情報収集処理は、任意の交差点を処理対象として処理可能である。
図7〜
図10は、情報収集処理の処理対象とする交差点を例示した概要図であり、(a)は交差点の形状を示す図であり、(b)は交差点に接続されたリンクを示す図である。また、これら
図7〜
図10の下方には、車両2の複数の進行方向、各進行方向に進行した場合に通過したレーンのレーン名称、及び、各進行方向に過去の走行した際の交差点通過時間を、それぞれ例示している。以下では、
図4のSA1において、所定の車両2の車載装置20から、例えば、交差点番号1の交差点の位置、車両2の進行方向=リンクA→リンクC、及び交差点通過時間=18secが取得された場合を例にとって説明する。
【0053】
図7に示す交差点を処理対象とする情報収集処理では、
図4及び
図5に示すように、SA1において、所定の車両2の車載装置20から、交差点番号1の交差点の位置、車両2の進行方向、及び交差点通過時間が取得されると、リンクA→リンクBとリンクA→リンクCのレーン情報が取得される(SA2、Yes、SA3)。
【0054】
そして、SA4〜SA14の間のループでは、対象レーンがレーンL1又はレーンL2である場合に、SA5、SA8において、レーンL1又はレーンL2の進行方向情報はリンクA→リンクCを含むので、車両2の進行方向に沿って走行可能であると判定されると共に(SA5、Yes)、レーンL1又はレーンL2の進行方向情報はリンクA→リンクC以外の方向を含むので(例えば、レーンL1の場合、リンクA→リンクBを含む等)、車両2の進行方向以外の方向に沿って走行可能であると判定される(SA8、Yes)。また、SA12において、SA6にて取得された第1の交差点通過時間と、SA11にて取得された第3の交差点通過時間との差分(例えば、レーンL1の場合、第1の交差点通過時間(=12sec)と、第3の交差点通過時間(=10sec)との差分=12sec−10sec=2sec)が第1閾値以上であると判定される(SA12、Yes)。また、SA13において、SA7にて取得された第2の交差点通過時間と、SA11にて取得された第3の交差点通過時間との差分(例えば、レーンL1の場合、第2の交差点通過時間(=18sec)と、第3の交差点通過時間(=10sec)との差分=18sec−10sec=8sec)が第2閾値以上と判定される(SA13、Yes)。これらのことから、SA6にて取得された第1の交差点通過時間と、SA7にて取得された第2の交差点通過時間との差分(例えば、レーンL1の場合に、第2の交差点通過時間(=18sec)と第1の交差点通過時間(=12sec)との差分=18sec−12sec=6sec)が算出され(SA9)、レーンL1の差分に関する情報が差分テーブル13cに格納される(SA10)。また、その後のループにより、レーンL2の差分=3secに関する情報が差分テーブル13cに格納される(SA10)。
【0055】
そして、SA15において、差分テーブル13cには、レーンL1及びレーンL2の差分に関する情報が格納されていることから(SA15、Yes)、これらレーンL1及びレーンL2の差分(
図7の例では、レーンL1の差分=6sec、レーンL2の差分=3sec)のうち、最も差分が小さいレーンであるレーンL2が特定される(SA16)。そして、レーンL2の差分に関する情報のうちの交差点通過時間が、統計情報DB13bに格納された交差点通過時間であって、レーンL2の差分に関する情報のうちの交差点番号、レーン番号、及び車両2の進行方向に対応する交差点通過時間の平均値として格納される(SA17)。
【0056】
また、
図8に示す交差点を処理対象とする情報収集処理では、
図4及び
図5に示すように、SA1において、所定の車両2の車載装置20から、交差点番号1の交差点の位置、車両2の進行方向、及び交差点通過時間が取得されると、リンクA→リンクB、リンクA→リンクC、リンクA→リンクDに関するレーン情報が取得される(SA2、Yes、SA3)。
【0057】
また、SA4〜SA14の間のループでは、対象レーンがレーンL1である場合に、SA5、SA8において、上述した
図7のレーンL1と同様に、レーンL1の進行方向情報はリンクA→リンクCを含むので、車両2の進行方向に沿って走行可能であると判定されると共に(SA5、Yes)、レーンL1の進行方向情報はリンクA→リンクC以外の方向を含むので、車両2の進行方向以外の方向に沿って走行可能であると判定される(SA8、Yes)。また、SA12において、SA6にて取得された第1の交差点通過時間と、SA11にて取得された第3の交差点通過時間との差分が第1閾値以上であると判定される(SA12、Yes)。また、SA13において、SA7にて取得された第2の交差点通過時間と、SA11にて取得された第3の交差点通過時間との差分が第2閾値以上と判定される(SA13、Yes)。これらのことから、SA6にて取得された第1の交差点通過時間と、SA7にて取得された第2の交差点通過時間との差分(例えば、第2の交差点通過時間(=18sec)−第1の交差点通過時間(=12sec)との差分=18sec−12sec=6sec)が算出され(SA9)、レーンL1の差分に関する情報が差分テーブル13cに格納される(SA10)。
【0058】
また、対象レーンがレーンL2又はレーンL3である場合に、SA5において、レーンL2又はレーンL3の進行方向情報はリンクA→リンクCを含まないので、車両2の進行方向に沿って走行可能でないと判定される(SA5、No)。このことから、レーンL2及びレーンL3の差分に関する情報は、差分テーブル13cに格納されない。
【0059】
また、SA15において、差分テーブル13cには、レーンL1の差分に関する情報のみが格納されていることから(SA15、Yes)、レーンL1が特定される(SA16)。そして、このレーンL1の差分に関する情報のうちの交差点通過時間が、統計情報DB13bに格納された交差点通過時間であって、レーンL1の差分に関する情報のうちの交差点番号、レーン番号、及び車両2の進行方向に対応する交差点通過時間の平均値として格納される(SA17)。
【0060】
また、
図9に示す交差点を処理対象とする情報収集処理では、
図4及び
図5に示すように、SA1において、所定の車両2の車載装置20から、交差点番号1の交差点の位置、車両2の進行方向、及び交差点通過時間が取得されると、
図9の交差点に接続されたレーンのレーン情報のうち、リンクAを進入リンクとするリンクA→リンクB、リンクA→リンクC、リンクA→リンクD、リンクA→リンクEに関するレーン情報が取得される(SA2、Yes、SA3)。
【0061】
また、SA4とSA14のループでは、対象レーンがレーンL1である場合に、SA5、SA8において、上述した
図7のレーンL1と同様に、レーンL1の進行方向情報はリンクA→リンクCを含むので、車両2の進行方向に沿って走行可能であると判定されると共に(SA5、Yes)、レーンL1の進行方向情報はリンクA→リンクC以外の方向を含むので、車両2の進行方向以外の方向に沿って走行可能であると判定される(SA8、Yes)。また、SA12において、SA6にて取得された第1の交差点通過時間と、SA11にて取得された第3の交差点通過時間との差分が第1閾値以上であると判定される(SA12、Yes)。また、SA13において、SA7にて取得された第2の交差点通過時間と、SA11にて取得された第3の交差点通過時間との差分が第2閾値以上と判定される(SA13、Yes)。これらのことから、SA6にて取得された第1の交差点通過時間と、SA7にて取得された第2の交差点通過時間との差分(例えば、第2の交差点通過時間(=18sec)−第1の交差点通過時間(=12sec)との差分=18sec−12sec=6sec)が算出され(SA9)、レーンL1の差分に関する情報が差分テーブル13cに格納される(SA10)。
【0062】
また、対象レーンがレーンL2である場合に、SA5、SA8において、レーンL2の進行方向情報はリンクA→リンクCを含むので、車両2の進行方向に沿って走行可能であると判定されるものの(SA5、Yes)、レーンL2の進行方向情報はリンクA→リンクC以外の方向を含まないので、車両2の進行方向以外の方向に沿って走行可能でないと判定される(SA8、No)。このことから、SA6にて取得された第1の交差点通過時間と、SA7にて取得された第2の交差点通過時間との差分(例えば、第2の交差点通過時間(=18sec)−第1の交差点通過時間(=15sec)との差分=18sec−15sec=3sec)が算出され(SA9)、レーンL2の差分に関する情報が差分テーブル13cに格納される(SA10)。
【0063】
また、対象レーンがレーンL3である場合に、SA5において、レーンL3の進行方向情報はリンクA→リンクCを含まないので、車両2の進行方向に沿って走行可能でないと判定される(SA5、No)。このことから、レーンL3の差分に関する情報は、差分テーブル13cに格納されない。
【0064】
また、SA15において、差分テーブル13cには、レーンL1及びレーンL2の差分に関する情報が格納されていることから(SA15、Yes)、これらレーンL1及びレーンL2の差分(
図9の例では、レーンL1の差分=6sec、レーンL2の差分=3sec)のうち、最も差分が小さいレーンであるレーンL2が特定される(SA16)。そして、レーンL2の差分に関する情報のうちの交差点通過時間が、統計情報DB13bに格納された交差点通過時間であって、レーンL2の差分に関する情報のうちの交差点番号、レーン番号、及び車両2の進行方向に対応する交差点通過時間の平均値として格納される(SA17)。
【0065】
また、
図10に示す交差点を処理対象とする情報収集処理では、
図4及び
図5に示すように、SA1において、所定の車両2の車載装置20から、交差点番号1の交差点の位置、車両2の進行方向、及び交差点通過時間が取得されると、
図10の交差点に接続されたレーンのレーン情報のうち、リンクAを進入リンクとするリンクA→リンクB、リンクA→リンクC、リンクA→リンクD、リンクA→リンクEに関するレーン情報が取得される(SA2、Yes、SA3)。
【0066】
また、SA4とSA14のループでは、対象レーンがレーンL1である場合に、SA5、SA8において、上述した
図7のレーンL1と同様に、レーンL1の進行方向情報はリンクA→リンクCを含むので、車両2の進行方向に沿って走行可能である判定されると共に(SA5、Yes)、レーンL1の進行方向情報はリンクA→リンクC以外の方向を含むので、車両2の進行方向以外の方向に沿って走行可能であると判定される(SA8、Yes)。また、SA12において、SA6にて取得された第1の交差点通過時間と、SA11にて取得された第3の交差点通過時間との差分が第1閾値以上であると判定される(SA12、Yes)。また、SA13において、SA7にて取得された第2の交差点通過時間と、SA11にて取得された第3の交差点通過時間との差分が第2閾値以上と判定される(SA13、Yes)。これらのことから、SA6にて取得された第1の交差点通過時間と、SA7にて取得された第2の交差点通過時間との差分(例えば、第2の交差点通過時間(=18sec)−第1の交差点通過時間(=12sec)との差分=18sec−12sec=6sec)が算出され(SA9)、レーンL1の差分に関する情報が差分テーブル13cに格納される(SA10)。
【0067】
また、対象レーンがレーンL2である場合に、SA5、SA8において、レーンL2の進行方向情報はリンクA→リンクCを含むので、車両2の進行方向に沿って走行可能であると判定されるものの(SA5、Yes)、レーンL2の進行方向情報はリンクA→リンクC以外の方向を含まないので、車両2の進行方向以外の方向に沿って走行可能でないと判定される(SA8、No)。このことから、SA6にて取得された第1の交差点通過時間と、SA7にて取得された第2の交差点通過時間との差分(例えば、第2の交差点通過時間(=18sec)−第1の交差点通過時間(=13sec)との差分=18sec−13sec=5sec)が算出され(SA9)、レーンL2の差分に関する情報が差分テーブル13cに格納される(SA10)。
【0068】
また、対象レーンがレーンL3又はレーンL4である場合、SA5において、レーンL3又はレーンL4の進行方向情報はリンクA→リンクCを含まないので、車両2の進行方向に沿って走行可能でないと判定される(SA5、No)。このことから、レーンL3及びレーンL4の差分に関する情報は差分テーブル13cに格納されない。
【0069】
また、SA15において、差分テーブル13cには、レーンL1及びレーンL2の差分に関する情報が格納されていることから(SA15、Yes)、これらレーンL1及びレーンL2の差分(
図10の例では、レーンL1の差分=6sec、レーンL2の差分=5sec)のうち、最も差分が小さいレーンであるレーンL2が特定される(SA16)。そして、レーンL2の差分に関する情報のうちの交差点通過時間が、統計情報DB13bに格納された交差点通過時間であって、レーンL2の差分に関する情報のうちの交差点番号、レーン番号、及び車両2の進行方向に対応する交差点通過時間の平均値として格納される(SA17)。
【0070】
(効果)
このように実施の形態によれば、車両情報取得部12aにて取得された車両2の進行方向と、レーン情報取得部12bにて取得されたレーン情報とに基づいて、車両2が交差点を通過する際に進行方向に走行可能なレーンが、車両2の進行方向以外の方向にも走行可能であるか否かを判定する判定部12cと、判定部12cによって車両2の進行方向以外の方向に走行可能でないと判定されたレーンについて、第1交差点通過時間取得部12dにて取得された第1の交差点通過時間と第2交差点通過時間取得部12eにて取得された第2の交差点通過時間との差分を算出する算出部12gと、算出部12gにて算出された差分に基づいて、交差点のレーンのうち、車両2が走行したレーンを特定するレーン特定部12hと、レーン特定部12hにて特定されたレーンに基づいて、当該レーンに対応するレーン情報と、車両情報取得部12aにて取得された交差点の位置と、車両2の進行方向と、交差点通過時間とを、相互に関連付けて統計情報DB13bに格納する収集部12iと、を備えるので、車両2の車載装置20や地図情報DB13aから容易に取得できる車両2の進行方向やレーン情報に基づいてレーン毎のプローブ情報を収集することができるので、カメラの設置等のインフラ整備を行う必要がなくなり、プローブ情報を収集するコストを抑えることができる。また、カメラで撮影した画像の解析結果に基づいてプローブ情報を収集する場合に比べて、正確にプローブ情報を収集することができるので、車両の走行経路を支援する際に有効な情報を提供することができる。また、レーンにおける車両の進行方向別のプローブ情報を収集する際に、収集すべきデータであるか否かを正確に判断して収集できるので、収集する必要のないデータの収集を回避することができ、収集データの精度を高めることが可能になる。
【0071】
また、判定部12cは、車両2の進行方向以外の方向に走行可能であると判定したレーンについて、第1交差点通過時間取得部12dにて取得された第1の交差点通過時間と第3交差点通過時間取得部12fにて取得された第3の交差点通過時間との差分が所定の第1閾値以上であるか否かを判定し、算出部12gは、判定部12cによって第1の交差点通過時間と第3の交差点通過時間との差分が第1閾値以上でないと判定された場合に、第1交差点通過時間取得部12dにて取得された第1の交差点通過時間と第2交差点通過時間取得部12eにて取得された第2の交差点通過時間との差分を算出するので、統計情報DB13bに格納された交差点通過時間同士の差分に基づいてレーン毎のプローブ情報を収集することができ、一層正確にプローブ情報を収集することができる。
【0072】
また、判定部12cは、第1の交差点通過時間と第3の交差点通過時間との差分が第1閾値以上であると判定した場合に、第2交差点通過時間取得部12eにて取得された第2の交差点通過時間と、第3交差点通過時間取得部12fにて取得された第3の交差点通過時間との差分が所定の第2閾値以上であるか否かを判定し、算出部12gは、判定部12cによって第2の交差点通過時間と第3の交差点通過時間との差分が第2閾値以上であると判定された場合に、第1交差点通過時間取得部12dにて取得された第1の交差点通過時間と第2交差点通過時間取得部12eにて取得された第2の交差点通過時間との差分を算出するので、統計情報DB13bに格納されている交差点通過時間と、車両2の車載装置20から取得した交差点通過時間との差分に基づいてレーン毎のプローブ情報を収集することができ、さらに一層正確にプローブ情報を収集することができる。
【0073】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0074】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。例えば、車両2が走行したレーンに対応するプローブ情報を従来より正確に収集できない場合であっても、プローブ情報の収集や提供を従来とは異なる技術により達成できている場合には、本願発明の課題が解決されている。
【0075】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。例えば、情報収集システム1の構成要素の一部又は全部を、車両2の車載装置20に組み込んでも良い。
【0076】
(情報収集処理について)
上述の実施の形態では、
図4及び
図5の情報収集処理のSA3において、車両情報取得部12aは、SA1にて取得された車両2の進行方向に基づいて、車両2が交差点に進入する直前に走行したリンクを進入リンクとするレーン情報のみを取得すると説明したが、例えば、車両2が交差点の退出した直後に走行したリンクを退出リンクとするレーン情報のみを取得してもよい。あるいは、SA1にて取得された交差点のレーン情報のすべてを地図情報DB13aから取得してもよい。
【0077】
また、上述の実施の形態では、
図4及び
図5の情報収集処理のSA16において、レーン特定部12hは、差分テーブル13cに格納されている差分のうち、最も差分が小さいレーンを、車両2が走行したレーンとして特定すると説明したが、例えば、差分テーブル13cに格納されている差分のうち、最も差分が小さいレーンが複数ある場合には、これら複数のレーンのいずれか一つを任意に特定してもよい。