特許第5733336号(P5733336)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5733336
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】固定子、モータ及び圧縮機
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/04 20060101AFI20150521BHJP
   H02K 3/46 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
   H02K1/04 Z
   H02K3/46 B
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-112092(P2013-112092)
(22)【出願日】2013年5月28日
(65)【公開番号】特開2014-233123(P2014-233123A)
(43)【公開日】2014年12月11日
【審査請求日】2014年4月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大辻 基史
【審査官】 安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−116844(JP,A)
【文献】 特開2008−167516(JP,A)
【文献】 実開昭64−002545(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/04
H02K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
径方向内側に向かって突出した複数の歯部を有する環状のコアと、
前記コアの軸方向端部に配置されたインシュレータとを備え、
前記インシュレータは、
外側端部から前記コア側に向かって突出した突出部を有し、
前記コアは、
軸方向端部の外周面に配置され、前記突出部と係合する溝部を有し、
前記溝部が、前記突出部と略同一形状であって、軸方向において全域にないことを特徴とする固定子。
【請求項2】
前記インシュレータが、前記コアの軸方向一端部に配置された第1インシュレータと、前記コアの軸方向他端部に配置された第2インシュレータとを有し、
前記第1インシュレータの第1突出部と係合する前記コアの第1溝部と、前記第2インシュレータの第2突出部と係合する前記コアの第2溝部とが、平面視において同一位置にあることを特徴とする請求項1に記載の固定子。
【請求項3】
前記第1溝部及び前記第2溝部が、前記コアの外周面において前記歯部と対応する位置に配置されることを特徴とする請求項2に記載の固定子。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の固定子と、前記固定子の内側に配置された回転子とを備えることを特徴とするモータ。
【請求項5】
請求項4に記載のモータを備えることを特徴とする圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コアとコイルとを絶縁するインシュレータを備えた固定子、この固定子を備えたモータ、及び、このモータを備えた圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の固定子としては、環状のコアと、コアの両端面に配置されたインシュレータとを備えたものがある。インシュレータは、外側端部からコア側に向かって突出した突出部を有する。そして、この突出部がコアの外周面に形成された溝部に係合されることにより、インシュレータがコアに固定される。
【0003】
ところで、コアは、金属材料からなる複数の薄板が上下方向に積層されることによって形成されている。コアに用いられる複数の薄板は、製造工程の簡素化、金型費用の削減等の観点から全て同一形状であることが好ましい。すなわち、一種類の薄板でコアが形成されることが好ましい。そのため、コアの外周面に形成された溝部は、一種類の薄板で形成することが可能なように、上下方向に貫通する貫通溝とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007−531485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の固定子では、コアが比較的大きいため、溝部による磁束の流れへの影響が小さい。そのため、コアの外周面に形成された溝部が貫通溝であっても大きな問題はない。しかしながら、近年では、圧縮機の小型化に伴って、コアの小型化が進められている。その場合、コアの外周面に形成された貫通溝が磁束の流れを阻害してモータ効率が低下する問題がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、コアの外周面に形成された溝部が磁束の流れを阻害してモータ効率が低下するのを防止できる固定子、モータ及び圧縮機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明にかかる固定子は、径方向内側に向かって突出した複数の歯部を有する環状のコアと、前記コアの軸方向端部に配置されたインシュレータとを備え、前記インシュレータは、外側端部から前記コア側に向かって突出した突出部を有し、前記コアは、軸方向端部の外周面に配置され、前記突出部と係合する溝部を有し、前記溝部が、前記突出部と略同一形状であって、軸方向において全域にないことを特徴とする。
【0008】
この固定子では、溝部が軸方向において全域にないので、溝部が貫通溝である従来の固定子に比べて、コア部分を多くすることができる。したがって、コアの外周面に形成された溝部が磁束の流れを阻害してモータ効率が低下するのを防止できる。
また、従来の固定子に比べてコア部分を多くすることができるので、コアの剛性を向上できる。
また、溝部が貫通溝である従来の固定子では、溝部のうちインシュレータの突出部と係合しない部分において油が滞留する。しかし、この固定子では、溝部が軸方向において全域にないので、溝部に滞留する油の滞留量を低減できる。
【0009】
第2の発明にかかる固定子では、第1の発明にかかる固定子において、前記インシュレータが、前記コアの軸方向一端部に配置された第1インシュレータと、前記コアの軸方向他端部に配置された第2インシュレータとを有し、前記第1インシュレータの第1突出部と係合する前記コアの第1溝部と、前記第2インシュレータの第2突出部と係合する前記コアの第2溝部とが、平面視において同一位置にあることを特徴とする。
【0010】
この固定子では、第1溝部と第2溝部とが平面視において同一位置にあるので、コアを形成するための薄板の種類を低減できる。
【0011】
第3の発明にかかる固定子では、第2の発明にかかる固定子において、前記第1溝部及び前記第2溝部が、前記コアの外周面において前記歯部と対応する位置に配置されることを特徴とする。
【0012】
この固定子では、磁束の流れへの影響が少ない位置に溝部が配置されるので、コアの外周面に形成された溝部が磁束の流れを阻害するのを防止できる。
【0013】
第4の発明にかかるモータでは、第1〜第3のいずれかの発明にかかる固定子と、前記固定子の内側に配置された回転子とを備えることを特徴とする。
【0014】
このモータでは、上記の固定子を用いることにより、コアの外周面に形成された溝部が磁束の流れを阻害するのを防止でき、コアの剛性を向上でき、溝部に滞留する油の滞留量を低減できる。
【0015】
第5の発明にかかる圧縮機では、第4の発明にかかるモータを備えることを特徴とする。
【0016】
この圧縮機では、上記のモータを用いることにより、コアの外周面に形成された溝部が磁束の流れを阻害するのを防止でき、コアの剛性を向上でき、溝部に滞留する油の滞留量を低減できる。
【発明の効果】
【0017】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0018】
第1の発明では、溝部が軸方向において全域にないので、溝部が貫通溝である従来の固定子に比べて、コア部分を多くすることができる。したがって、コアの外周面に形成された溝部が磁束の流れを阻害してモータ効率が低下するのを防止できる。
また、従来の固定子に比べてコア部分を多くすることができるので、コアの剛性を向上できる。
また、溝部が貫通溝である従来の固定子では、溝部のうちインシュレータの突出部と係合しない部分において油が滞留する。しかし、この固定子では、溝部が軸方向において全域にないので、溝部に滞留する油の滞留量を低減できる。
【0019】
第2の発明では、第1溝部と第2溝部とが平面視において同一位置にあるので、コアを形成するための薄板の種類を低減できる。
【0020】
第3の発明では、磁束の流れへの影響が少ない位置に溝部が配置されるので、コアの外周面に形成された溝部が磁束の流れを阻害するのを防止できる。
【0021】
第4の発明では、上記の固定子を用いることにより、コアの外周面に形成された溝部が磁束の流れを阻害するのを防止でき、コアの剛性を向上でき、溝部に滞留する油の滞留量を低減できる。
【0022】
第5の発明では、上記のモータを用いることにより、コアの外周面に形成された溝部が磁束の流れを阻害するのを防止でき、コアの剛性を向上でき、溝部に滞留する油の滞留量を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係る圧縮機を示す断面図である。
図2図1に示す固定子を上方から見た斜視図である。
図3】(a)は、図1に示すコアの平面図であり、(b)は、(a)のIII(b)-III(b)線断面図であり、(c)は、コア内の磁束の流れを説明するための図である。
図4図1に示すインシュレータの斜視図である。
図5図3に示すV-V線断面に相当する圧縮機の一部拡大断面図である。
図6図3に示すコアを構成する薄板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る圧縮機1の実施の形態について説明する。
【0025】
[圧縮機1]
圧縮機1は、図1に示すように、1シリンダ型のロータリ圧縮機であって、アキュムレータ2と、密閉ケーシング3と、密閉ケーシング3内に配置された駆動機構4及び圧縮機構5とを備えている。駆動機構4は、圧縮機構5の上方に配置されている。圧縮機構5は、シリンダ51と、フロントヘッド52と、リアヘッド53とを有する。また、密閉ケーシング3の底部には、圧縮機構5の摺動部の動作を滑らかにするための潤滑油Lが貯留されている。なお、図1では、駆動機構4の断面を示すハッチングを省略して図示している。
【0026】
圧縮機1では、アキュムレータ2の入口管2aから導入された冷媒(本実施形態では、CO2)が、吸入管6から密閉ケーシング3内に導入され、圧縮機構5で圧縮された後、排出管7から排出される。この圧縮機1は、例えば空調装置などの冷凍サイクルに組み込まれて使用され、図1に示す向き、即ち、シャフト9の向きが上下方向となる向きに設置される。
【0027】
[駆動機構4]
駆動機構4は、圧縮機構5を駆動するものであって、駆動源となるモータ8と、モータ8によって駆動されるシャフト9とを有する。このモータ8は、各相(U相、V相、W相)のコイル90(図2参照)を後述するコア60の歯部62に巻回した巻線方式が集中巻きのモータである。このモータ8は、コア60を含む固定子10と、その径方向内側に配置された回転子11とを有する。シャフト9は、回転子11の略中央部に形成された貫通孔11aに挿入されている。
【0028】
<固定子10>
固定子10は、密閉ケーシング3の内周面に固定された環状のコア60と、コア60の上端部60a(軸方向一端部)に配置された上インシュレータ70(第1インシュレータ)と、コア60の下端部60b(軸方向他端部)に配置された下インシュレータ80(第2インシュレータ)と、コア60と上および下インシュレータ70、80に巻回されたコイル90(図2参照)とを有する。
【0029】
<コア60>
コア60は、金属材料からなる複数の薄板が互いに積層されると共に、溶接などにより互いに接合されることによって形成されている。このコア60は、図3に示すように、環状のバックヨーク部61と、このバックヨーク部61から径方向内側に向かって突出した9個の歯部62と、隣接する歯部62の間に形成された9個のスロット63とを有する。9個のスロット63は、コア60を上下方向に貫通して形成される。コア60の略中央部に形成された貫通孔Hには、回転子11が配置される。
【0030】
また、コア60の外周面には、平面視において直線部であるコアカット部64が9カ所形成されている。各コアカット部64は、コア60の外周面において歯部62と対応する位置に設けられている。このコアカット部64は、密閉ケーシング3の内周面と接触していない。そのため、密閉ケーシング3の内周面とコアカット部64との隙間を、圧縮機構5の摺動部及び回転子11を通過した潤滑油Lが通過する。潤滑油Lは、その後、密閉ケーシング3の底部に貯留される。
【0031】
図3に示すように、コア60の両端部60a、60bの外周面には、溝部65が形成されている。この溝部65は、図3(b)に示すように、第1溝部66と、第2溝部67とに分かれている。なお、以下の溝部の説明においては、第1溝部66と第2溝部67とを区別する必要がない場合に溝部65を用い、通常は第1溝部66または第2溝部67を用いる。
【0032】
第1溝部66は、コア60の上端部60aの外周面に配置されている。この第1溝部66には、上インシュレータ70の外側端部からコア60側に向かって突出した突出部74(第1突出部)が係合する。この第1溝部66は、周方向において所定間隔(120°)毎に3カ所形成されている。各第1溝部66は、それぞれコアカット部64に配置されている。すなわち、各第1溝部66は、それぞれコア60の外周面において歯部62と対応する位置(歯部62の径方向外側)に配置されている。
【0033】
また、第2溝部67は、コア60の下端部60bの外周面に配置されている。この第2溝部67は、下インシュレータ80の外側端部からコア60側に向かって突出した突出部84(第2突出部)が係合する。この第2溝部67は、周方向において所定間隔(120°)毎に3カ所形成されている。各第2溝部67は、それぞれコアカット部64に配置されている。すなわち、各第2溝部67は、それぞれコア60の外周面において歯部62と対応する位置に配置されている。また、各第1溝部66と各第2溝部67とは、平面視において同一位置に配置されている。
【0034】
この溝部65は、図3(b)に示すように、コア60の軸方向において全域にない。したがって、コア60の軸方向において一部の領域は、溝部65がなく、コア部分となっている。たとえば、本実施形態では、図3(b)に示すように、第1溝部66と第2溝部67との間がコア60部分となっている。また、コア60内の磁束の流れは、図3(c)に示すように、歯部62の径方向内側端部から、バックヨーク部61のうちスロット63よりも径方向外側部分に向かっている。そのため、コア60の外周面において歯部62と対応する位置は、磁束の影響が少ない。
【0035】
第1溝部66および第2溝部67の軸方向長さは、図5に示すように、突出部74、84の係合部分75、85の軸方向長さと略同じである。また、第1溝部66および第2溝部67の周方向長さは、突出部74、84の係合部分75、85の周方向長さと略同じである。
【0036】
ここで、このコア60は、形状が異なる二種類の薄板によって形成されている。薄板68は、図6(a)に示すように、溝部65に対応する3カ所の切欠き68aが外周面に形成されている。また、薄板69は、図6(b)に示すように、外周面に切欠きが形成されていない。薄板68は、図3(b)に示すように、コア60の軸方向において、溝部65が形成される範囲Aに用いられている。すなわち、コア60の範囲Aは、複数の薄板68が積層されることによって形成される。また、薄板69は、コア60の軸方向において、溝部65がない範囲Bに用いられている。すなわち、コア60の範囲Bは、複数の薄板69が積層されることによって形成される。
【0037】
<上インシュレータ70>
上インシュレータ70は、図1に示すように、コア60の上端部60aに配置されている。この上インシュレータ70は、図4に示すように、径方向内側に向かって突出した9個の歯部71と、歯部71の径方向外側端部に形成された略環状の外壁部72と、歯部71の径方向内側端部にそれぞれ形成された内壁部73とを有する。9個の歯部71は、コア60の9個の歯部62にそれぞれ積層される。外壁部72は、歯部71及びコア60の歯部62に巻回されたコイル90が径方向外側に向けて崩れるのを防止するものである。また、内壁部73は、コイル90が径方向内側に向けて崩れるのを防止するものである。
【0038】
突出部74(第1突出部)は、上インシュレータ70の外側端部(外壁部72)に3カ所形成されている。この突出部74は、外壁部72から径方向外側に向かって突出したあと、コア60側に向かって突出しており、コア60側に向かって突出する部分が係合部分75である。
【0039】
<下インシュレータ80>
下インシュレータ80は、図1に示すように、コア60の下端部60bに配置されている。この下インシュレータ80は、コア60の上端部60aに配置され上インシュレータ70と略同じ構成であって、9個の歯部81、外壁部82、内壁部83、突出部84、係合部分85等を有する。ただし、この下インシュレータ80は、上インシュレータ70と略同じ構成であるため、これら構成の詳しい説明は割愛する。
【0040】
<本実施形態の固定子、モータ及び圧縮機の特徴>
本実施形態の固定子10、モータ8及び圧縮機1には、以下の特徴がある。
【0041】
本実施形態の固定子10では、溝部65が軸方向において全域にないので、溝部が貫通溝である従来の固定子に比べて、コア部分を多くすることができる。したがって、コア60の外周面に形成された溝部65が磁束の流れを阻害してモータ効率が低下するのを防止できる。
また、従来の固定子に比べてコア部分を多くすることができるので、コア60の剛性を向上できる。
また、溝部が貫通溝である従来の固定子では、溝部のうちインシュレータの突出部と係合しない部分において油が滞留する。しかし、この固定子10では、溝部65が軸方向において全域にないので、溝部65に滞留する油の滞留量を低減できる。
【0042】
また、本実施形態の固定子10では、上インシュレータ70(第1インシュレータ)の突出部74(第1突出部)と係合するコア60の第1溝部66と、下インシュレータ80(第2インシュレータ)の突出部84(第2突出部)と係合するコア60の第2溝部67とが、平面視において同一位置にあるので、二種類の薄板68、69でコア60を形成できる。
例えば、第1溝部66と第2溝部67とが平面視において異なる位置にある場合、第1溝部66が形成される範囲に用いられる薄板と、第2溝部67が形成される範囲に用いられる薄板と、これら溝部65がない範囲(図3(b)に示す範囲B)に用いられる薄板(薄板69)の三種類の薄板が必要となる。
したがって、この固定子10では、第1溝部66と第2溝部67とが平面視において同じ位置にあるので、第1溝部66と第2溝部67とが平面視において異なる位置にある場合に比べて、コア60を形成する薄板の種類を低減できる。
【0043】
また、本実施形態の固定子10では、コア60の外周面において歯部62と対応する位置に溝部65が配置される。すなわち、図3(c)に示すように、磁束の流れへの影響が少ない位置に溝部65が配置される。したがって、コア60の外周面に形成された溝部65が磁束の流れを阻害するのを防止できる。
【0044】
また、本実施形態のモータ8では、上記した固定子10を用いることにより、コア60の外周面に形成された溝部65が磁束の流れを阻害するのを防止でき、コア60の剛性を向上でき、溝部65に滞留する油の滞留量を低減できる。
【0045】
また、本実施形態の圧縮機1では、上記したモータ8を用いることにより、コア60の外周面に形成された溝部65が磁束の流れを阻害するのを防止でき、コア60の剛性を向上でき、溝部65に滞留する油の滞留量を低減できる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0047】
上記実施形態では、溝部65が、コア60の外周面において歯部62と対応する位置(歯部62の径方向外側)に配置されているが、溝部65が、バックヨーク部61のうちスロット63よりも径方向外側部分に配置されてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、第1溝部66と第2溝部67とが、平面視において同一位置にあるが、平面視において異なる位置にあってもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、第1溝部66および第2溝部67の軸方向長さが、突出部74、84の係合部分75、85の軸方向長さと略同じであるが、突出部74、84の係合部分75、85の軸方向長さよりも長くてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、コア60は、環状に形成されているが、複数に分割されたコアを環状に連結したものであってもよい。また、インシュレータ70、80は、それぞれ環状に一体成形されたものであるが、複数に分割されたインシュレータを環状に連結したものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明を利用すれば、コアの外周面に形成された溝部が磁束の流れを阻害するのを防止でき、コアの剛性を向上でき、溝部に滞留する油の滞留量を低減できる。
【符号の説明】
【0052】
1 圧縮機
8 モータ
10 固定子
11 回転子
60 コア
60a 上端部(軸方向一端部)
60b 下端部(軸方向他端部)
62 歯部
65 溝部
66 第1溝部
67 第2溝部
70 上インシュレータ(第1インシュレータ)
74 突出部(第1突出部)
80 下インシュレータ(第2インシュレータ)
84 突出部(第2突出部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6