(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のポリイミド樹脂水溶液、ポリイミド系樹脂水溶液、ポリアゾール樹脂水溶液は、(a−1)前記一般式(1)で表される構造を主成分とするポリイミド樹脂、(a−2)前記一般式(2)で表される構造を主成分とするポリイミド系樹脂、(a−3)前記一般式(3)で表される構造を主成分とするポリアゾール樹脂 100重量部に対し、(b)アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属のリン酸塩、3級アミン化合物または4級アミン化合物 5〜10000重量部および(c)水 50〜100000重量部を含有する。
【0018】
本発明において用いられるポリイミド樹脂は、一般式(1)で表される構造を主成分とするものであり、水酸基、カルボキシル基またはスルホン酸基を側鎖に有する。このような酸性基を側鎖に有することで、ポリイミド樹脂とナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属イオンまたはアミンがイオン結合をつくり、水溶性化させることができる。ポリイミド樹脂水溶液とすることにより、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の場合に比べて、加水分解による分子量低下やイミド化の進行によるゲル化などを防ぐことができる。特にR
3またはR
4がフェノール性水酸基またはカルボキシル基であるポリイミド樹脂が好ましく、本質的に溶液安定性のより高いポリイミド水溶液を得ることができる。なお、本発明において、一般式(1)で表される構造を主成分とするとは、一般式(1)におけるn個の繰り返し単位を全繰り返し単位中50モル%以上有することを言う。70モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましい。
【0019】
一般式(1)で表される構造を主成分とするポリイミド樹脂は、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを溶媒中で重縮合することによりポリアミド酸を得て、イミド環化させることにより得ることができる。一般式(1)におけるR
1−(R
3)
oはテトラカルボン酸二無水物の残基を示し、R
2−(R
4)
pはジアミンの残基を示す。
【0020】
テトラカルボン酸二無水物の例としては、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−パラターフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−メタターフェニルテトラカルボン酸二無水物等、あるいはこれらの化合物の水素原子1〜4個を、水酸基、カルボキシル基またはスルホン酸基により置換したものが挙げられる。これらを2種以上使用してもよい。
【0021】
ジアミンの例としては、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルサルファイド、4,4’−ジアミノジフェニルサルファイド、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、ヘキサメチレンジアミン、1,3−ビス(3−アミノプロピルテトラメチルジシロキサン)等、あるいはこれらの化合物の水素原子1〜4個を、水酸基、カルボキシル基またはスルホン酸基で置換したものが挙げられる。フェノール性水酸基またはカルボキシル基を有するジアミンとして、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3−アミノ−4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メチレン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メチレン、ビス(3−アミノ−5−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)メチレン、ビス(3−アミノ−4−スルホン酸フェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3−アミノ−4−カルボキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−カルボキシフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−スルホン酸フェニル)スルホンなどが挙げられる。また、シリコンなどとの接着を高める目的で、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンなどのシロキサンジアミンを用いてもよい。これらを2種以上使用してもよい。
【0022】
通常の重縮合反応と同様に、テトラカルボン酸二無水物とジアミンの仕込み比率(モル比)が1:1に近いほど、生成するポリアミド酸の重合度は大きくなり、分子量が増加する。本発明においては、テトラカルボン酸二無水物とジアミンの仕込み比率(モル比)は、100:50〜150が好ましい。
【0023】
また、ポリイミド樹脂の末端を、無水マレイン酸、無水フタル酸、ナジック酸無水物、エチニル無水フタル酸、ヒドロキシ無水フタル酸などのジカルボン酸無水物、ヒドロキシアニリン、アミノ安息香酸、ジヒドロキシアニリン、カルボキシヒドロキシアニリン、ジカルボキシアニリンなどで封止することもできる。
【0024】
上記重縮合反応に用いられる溶媒としては、生成したポリアミド酸が溶解するものであれば特に限定されるものではないが、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、ジメチルイミダゾリン等の非プロトン性極性溶媒、フェノール、m−クレゾール、クロロフェノール、ニトロフェノールなどのフェノール系溶媒、ポリリン酸、リン酸に5酸化リンを加えたリン系溶媒などを好ましく用いることができる。
【0025】
一般には、これらの溶媒中でテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを100℃以下の温度で反応させることにより、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸を得る。その後、好ましくは100℃〜300℃の範囲でイミド環化を行い、ポリイミド樹脂を得る。また、イミド環化の際に、トリエチルアミン、イソキノリン、ピリジンなどの塩基類を触媒として添加することもできるし、副生する水をトルエンなどの非極性溶媒と混合して共沸させて除去を進めることもできる。その後、水などに投入してポリイミド樹脂を析出させ、乾燥させることでポリイミドの固体を得ることができる。また、ポリアミド酸の状態で一度水などの貧溶剤に投入してポリアミド酸の固体を得て、これを100℃〜500℃の温度で熱処理することにより、イミド環化反応が起こり、ポリイミド樹脂の固体を得ることもできる。
【0026】
本発明において用いられるポリイミド系樹脂は、前記一般式(2)で表される構造を主成分とするものであり、水酸基、カルボキシル基またはスルホン酸基を側鎖に有する。このような酸性基を側鎖に有することで、ポリイミド系樹脂とナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属イオンまたはアミンがイオン結合をつくり、水溶性化させることができる。なお、本発明において、一般式(2)で表される構造を主成分とするとは、一般式(2)におけるn個の繰り返し単位を全繰り返し単位中50モル%以上有することを言う。70モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましい。
【0027】
一般式(2)で表される構造を主成分とする樹脂としては、例えば、Xが−CONH−であるポリアミドイミド樹脂、−COO−であるポリイミドエステル、−O−であるポリイミドエーテル、−S−であるポリイミドスルフィド、−SO
2−であるポリイミドスルホン、−CO−であるポリイミドケトンなどが挙げられる。これらの中でもポリアミドイミド樹脂が好ましい。
【0028】
一般式(2)で表される構造を主成分とするポリイミド系樹脂は、例えば、ポリアミドイミド樹脂の場合、トリカルボン酸とジアミンとを溶媒中で重縮合することによりポリアミドアミド酸を得て、イミド環化させることにより得ることができる。一般式(2)におけるR
5−(R
7)
qはトリカルボン酸の残基を示し、R
6−(R
8)
rはジアミンの残基を示す。
【0029】
トリカルボン酸の例としては、トリメリット酸、ヒドロキシトリメリット酸、ジフェニルエーテルトリカルボン酸、ジフェニスルホントリカルボン酸、これらの酸無水物、あるいはこれらの化合物のフェノール置換体などを挙げることができる。これらを2種以上使用してもよい。また、これらのトリカルボン酸と、フタル酸、ヒドロキシフタル酸などのジカルボン酸またはこれらの無水物、トリメシン酸などのトリカルボン酸またはこれらの無水物、ピロメリット酸、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、これらのヒドロキシ基置換体などのテトラカルボン酸またはこれらの無水物とを共重合してもよい。これら他の酸、酸無水物を共重合する場合、その量は酸無水物全体の50モル%以下が好ましい。
【0030】
ジアミンの例としては、前記ポリイミド樹脂におけるジアミンとして例示したものを挙げることができる。
【0031】
ポリイミド樹脂の場合と同様に、トリカルボン酸とジアミンの仕込み比率(モル比)は、100:50〜150が好ましい。
【0032】
また、ポリイミド系樹脂の末端を、無水マレイン酸、無水フタル酸、ナジック酸無水物、エチニル無水フタル酸、ヒドロキシ無水フタル酸などのジカルボン酸無水物、ヒドロキシアニリン、アミノ安息香酸、ジヒドロキシアニリン、カルボキシヒドロキシアニリン、ジカルボキシアニリンなどで封止することもできる。
【0033】
上記重縮合反応に用いられる溶媒としては、前記ポリイミド樹脂の重縮合反応に用いられる溶媒として例示したものを挙げることができる。
【0034】
本発明において用いられるポリアゾール樹脂は、前記一般式(3)で表される構造を主成分とするものであり、水酸基、カルボキシル基またはスルホン酸基を側鎖に有する。このような酸性基を側鎖に有することで、ポリアゾール樹脂とナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属イオンまたはアミンがイオン結合をつくり、水溶性化させることができる。なお、本発明において、一般式(3)で表される構造を主成分とするとは、一般式(3)におけるt個の繰り返し単位を全繰り返し単位中50モル%以上有することを言う。70モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましい。
【0035】
一般式(3)で表される構造を主成分とするポリアゾール樹脂としては、Yが−O−であるポリベンゾオキサゾール樹脂、Yが−S−であるポリベンゾチアゾール樹脂、Yが−NH−であるポリベンゾイミダゾール樹脂などを挙げることができる。
【0036】
ポリベンゾオキサゾール樹脂は、例えばジカルボン酸とジアミノジフェノールとを溶媒中で重縮合することにより得ることができる。ポリベンゾチアゾール樹脂は、例えばジカルボン酸とジアミノジチオフェノールとを溶媒中で重縮合することにより得ることができる。ポリベンゾイミダゾール樹脂は、例えばジカルボン酸とテトラアミンとを溶媒中で重縮合することにより得ることができる。一般式(3)におけるR
9−(R
11)
uはジカルボン酸の残基を示し、R
10−(R
12)
vはジアミノジフェノール、ジアミノジチオフェノールまたはテトラアミンの残基を示す。
【0037】
ジカルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニエーテルジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸等、あるいはこれらの化合物の水素原子の少なくとも一部を、水酸基またはスルホン酸基により置換したものが挙げられる。これらを2種以上使用してもよい。
【0038】
ジアミノジフェノールの例としては、ジアミノレゾルシノール、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メチレン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン等、あるいはこれらの化合物の水素原子の少なくとも一部を、カルボキシル基またはスルホン酸基により置換したものが挙げられる。これらを2種以上使用してもよい。
【0039】
ジアミノジチオフェノールの例としては、ジアミノ−ジメルカプトベンゼン、ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)メチレン、ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェニル)ヘキサフルオロプロパン等、あるいはこれらの化合物の水素原子の少なくとも一部を、カルボキシル基またはスルホン酸基により置換したものが挙げられる。これらを2種以上使用しておよい。
【0040】
テトラアミンの例としては、テトラアミノベンゼン、ビス(ジアミノフェニル)、ビス(ジアミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(ジアミノフェニル)プロパン、ビス(ジアミノフェニル)スルホン、ビス(ジアミノフェニル)メチレン等、あるいはこれらの化合物の水素原子の少なくとも一部を、水酸基、カルボキシル基またはスルホン酸基により置換したものが挙げられる。これらを2種以上使用してもよい。
【0041】
ポリイミド樹脂の場合と同様に、ジカルボン酸とジアミノジフェノール、ジアミノジチオフェノール、テトラアミンの仕込み比率(モル比)は、100:50〜150が好ましい。
【0042】
また、ポリアゾール樹脂の末端を、無水マレイン酸、無水フタル酸、ナジック酸無水物、エチニル無水フタル酸、ヒドロキシ無水フタル酸などのジカルボン酸無水物、ヒドロキシアニリン、アミノ安息香酸、ジヒドロキシアニリン、カルボキシヒドロキシアニリン、ジカルボキシアニリンなどで封止することもできる。
【0043】
上記重縮合反応に用いられる溶媒の例としては、ポリイミド樹脂の重縮合反応に用いられる溶媒として例示したものを挙げることができる。
【0044】
ポリアゾール樹脂は、一般には、上記ジカルボン酸とジアミノジフェノール、ジアミノジチオフェノール、テトラアミンとを0〜300℃の温度で反応させることで得ることができる。
【0045】
本発明のポリイミド樹脂水溶液、ポリイミド系樹脂水溶液、ポリアゾール樹脂水溶液は、前記(a−1)〜(a−3)の樹脂 100重量部に対し、(b)アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属のリン酸塩、3級アミン化合物または4級アミン化合物 5〜1000重量部を含有する。これらを含有することにより、前記(a−1)〜(a−3)の樹脂と、アルカリ金属またはアミンとが、錯体を形成する。これらを2種以上含有してもよい。
【0046】
アルカリ金属の例としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどを挙げることができる。1価のイオンを形成するアルカリ金属を用いることにより、2価以上の多価イオンを形成する金属と比べて、ゲル化が生じにくい。
【0047】
アルカリ金属の水酸化物の例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムなどを挙げることができる。これらを2種以上含有してもよい。溶解性の観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
【0048】
アルカリ金属の炭酸塩の例としては、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、炭酸ナトリウムカリウムなどを挙げることができる。これらを2種以上含有してもよい。溶解性の観点から、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウムカリウムが好ましい。
【0049】
アルカリ金属のリン酸塩の例としては、リン酸リチウム、リン酸水素リチウム、リン酸二水素リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸ルビジウム、リン酸水素ルビジウム、リン酸二水素ルビジウム、リン酸セシウム、リン酸水素セシウム、リン酸二水素セシウム、リン酸ナトリウムカリウム、リン酸水素ナトリウムカリウムなどを挙げることができる。これらを2種以上含有してもよい。溶解性の観点から、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素カリウム、リン酸ナトリウムカリウム、リン酸水素ナトリウムカリウムが好ましい。
【0050】
3級アミン化合物の例としては、アルコール性水酸基を有するものが好ましく、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノプロパノール、ジメチルアミノプロパノール、ジエチルアミノエタノール、ジエチルアミノプロパノール、ジエチルアミノブタノールなどを挙げることができる。アルコール性水酸基を有することにより、3級アミン化合物の水に対する溶解性が向上し、より高い濃度の水溶液を安定に得ることができる。また、前記(a−1)〜(a−3)の樹脂が側鎖にカルボキシル基を有する場合は、より塩基性の低い、ピリジン、ルチジン、ピコリン、N−フェニルジエタノールアミン、キノリン、イソキノリンなどの芳香族アミンも使うことができる。これらを2種以上含有してもよい。
【0051】
4級アミン化合物の例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどを挙げることができる。これらを2種以上含有してもよい。
【0052】
これらの中でアルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属のリン酸塩、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノプロパノール、ジメチルアミノブタノール、ジエチルアミノエタノール、ジエチルアミノプロパノール、ジエチルアミノブタノールなどが好ましい。
【0053】
本発明の樹脂水溶液において、(b)アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属のリン酸塩、3級アミン化合物または4級アミン化合物の含有量は、前記(a−1)〜(a−3)の樹脂 100重量部に対して5〜1000重量部である。(b)成分の塩基性化合物の含有量が5重量部未満であると、(a)成分を十分に溶解することが困難となる。
【0054】
さらに、これら(b)成分の塩基性化合物の含有量は、前記(a−1)〜(a−3)の樹脂中の酸性基濃度に対して、0.2モル当量以上が好ましく、0.5モル当量以上がより好ましい。また、2モル当量以下が好ましく、1モル当量以下がより好ましい。塩基性化合物が増えると、特にアルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属のリン酸塩の場合、塗布膜内に塩基性化合物が残り、場合によってはクラックなどが発生する恐れがある。なお、塗布膜を酢酸、クエン酸、ギ酸、リン酸などの水溶液で処理したり、炭酸ガスや塩化水素ガスで処理することにより、過剰分の塩基性化合物を除去することもできる。
【0055】
本発明の樹脂水溶液を後述するリチウムイオン2次電池負極用ペーストとして用いる場合、側鎖にフェノール性水酸基またはカルボキシル基を有するポリイミド樹脂と、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属のリン酸塩の組み合わせがより好ましい。安定性の観点から、アルカリ金属の水酸化物を含有することがより好ましい。
【0056】
本発明のポリイミド樹脂水溶液、ポリイミド系樹脂水溶液、ポリアゾール樹脂水溶液は、主に環境対策として求められる水溶液であり、前記(a−1)〜(a−3)の樹脂 100重量部に対し、(c)水 50〜100000重量部を含有する。(c)水の含有量を前記範囲にすることにより、得られる水溶液の粘性を適度な範囲に容易に調整することができる。一般に、塗布性の観点からは、前記(a−1)〜(a−3)の樹脂 100重量部に対して、(c)水の含有量は50〜10000重量部の範囲が好ましく、さらに好ましくは100〜4000重量部である。不揮発分が高くなりすぎるとゲル化などが起こりやすく、不揮発分が低すぎると分解が起こりやすくなる。また、水溶液の粘度は1mPa・s〜100Pa・s(25℃)の範囲にあることが、作業性の観点から好ましい。
【0057】
本発明のポリイミド樹脂水溶液、ポリイミド系樹脂水溶液、ポリアゾール樹脂水溶液は、界面活性剤などを含有してもよく、塗布性を向上させることができる。また、トリアジン化合物などの接着改良剤や、メラミン、メチロール化メラミンなどの架橋剤を含有してもよい。また、エタノールやイソプロピルアルコール等の低級アルコール、エチレングリコールやプロピレングリコール等のグリコールなどの溶剤を含有してもよい。ただし、溶剤の含有量は、水溶液全体の50重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好ましい。
【0058】
本発明の樹脂水溶液は、例えば、前記ポリイミド樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアゾール樹脂を所定量のアルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属のリン酸塩、3級アミン化合物または4級アンモニウムを溶解した水溶液に加え、撹拌することにより得ることができる。これらを混合することにより、ポリイミド樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアゾール系樹脂と、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属のリン酸塩、3級アミン化合物または4級アンモニウムとが錯体を形成する。溶解や錯体の形成を促進するために、30〜150℃の温度で加温してもよいし、超音波処理してもよい。溶解した後に、さらに水を加えたり、濃縮したりして所定の粘度に調整してもよい。
【0059】
前記本発明のポリイミド樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアゾール樹脂の水溶液をリチウムイオン2次電池の負極の活物質を集電体と結着させるバインダーとして、活物質を混練して使用することもできる。この用途では、作業環境などの面からも水溶液が好ましい。活物質としては、炭素、ケイ素、スズ、アルミ、チタン、ゲルマニウムまたは鉄を含むものが挙げられる。例えば、グラファイト、ハードカーボン、ケイ素、酸化ケイ素、炭素化ケイ素、スズ化合物、ケイ素とアルミの合金、ケイ素とスズの合金、ケイ素とチタンの合金、アルミとスズの合金、スズとチタンの合金などが挙げられる。また、活物質の表面と作用し、充放電のサイクルで活物質の体積変化による活物質の崩落を抑制するなどの面から、バインダー樹脂として、カルボキシル基を有する樹脂や、金属塩、アミン塩が好ましいとされている。
【0060】
本発明のリチウムイオン2次電池負極用ペーストは、前記樹脂水溶液と、炭素、ケイ素、スズ、アルミ、チタン、ゲルマニウムまたは鉄を含む活物質を含有する。活物質の含有量は、前記(a−1)〜(a−3)の樹脂100重量部に対し、100重量部以上100000重量部以下が好ましい。活物質含有量を100重量部以上とすることにより、充放電容量が向上し、電極との電気抵抗を抑えることができるため好ましい。一方、活物質含有量を100000重量部以下とすることにより、バインダー樹脂による接着力を十分に発現し、充放電中の活物質の崩落を抑制することができる。また、前記活物質の中でもケイ素、スズは、リチウムイオンの吸蔵性が大きく、高容量電池に適しているが、充放電中の体積の膨張収縮が大きい。このため、機械特性に優れるポリイミド、ポリイミド系樹脂、ポリアゾール系樹脂と組み合わせることが好ましい。
【0061】
本発明のリチウムイオン2次電池負極用ペーストは、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブなどの助電材を含有してもよい。これら助電材を含有することにより、電気を集電体に効率よく集めることができる。助電材の含有量は、活物質100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましい。また、粘度調整のために、カルボキシルメチルセルロースのナトリウム塩の水溶液を含有してもよい。これらの含有量は、活物質100重量部に対して50重量部以下が好ましい。
【0062】
本発明のリチウムイオン2次電池負極用ペーストは、例えば、前記本発明のポリイミド樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアゾール樹脂の水溶液に、活物質と必要によりその他成分を添加し、均一に分散させることにより得ることができる。分散方法としては、一般に3本ロール、ボールミル、プラネタリーミキサーなどが用いられる。
【0063】
このようにして得たリチウムイオン2次電池負極用ペーストを銅箔上に塗布し、乾燥し、硬化させることによって、リチウムイオン2次電池負極を得ることができる。塗布方法としては、ロールコーター、スリットダイコーター、バーコーター、スピンコーターなどの方法が挙げられる。乾燥温度は100℃以下が好ましく、硬化温度は150〜200℃が好ましい。また、本発明の樹脂水溶液を用いて正極用ペーストを得ることもできる。
【0064】
また、本発明のポリイミド樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアゾール樹脂水溶液は、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物、ミヒラーケトン、ジエチルアミノベンゾフェノン、ベンゾインモノメチルエーテル、チオキサントンなどの感光剤、光重合開始剤、増感剤などを含有してもよく、感光性のポリイミド樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアゾール樹脂水溶液を得ることもできる。
【実施例】
【0065】
本発明を更に詳細に説明するために実施例を以下に挙げるが、本発明はこれらの実施例によって何等制限されるものではない。なお、各実施例および比較例における溶液安定性評価および塗布膜評価は、以下の方法で行った。
【0066】
溶液安定性の評価
各実施例、比較例で作製した水溶液を目視観察し、初期溶解性を評価した。濁りが認められないものを○、濁りが認められるものを×とした。さらに、水溶液を室温で1日放置した後、目視観察し、ゲル化の有無を評価した。水溶液に変化が認められないものを○、ゲル化が認められるものを×とした。
【0067】
塗布膜の評価
各実施例、比較例で作製したポリイミド、ポリイミド系樹脂、ポリアゾール樹脂の水溶液を、ガラス板上にバーコーターで厚み25μmとなるように塗布した。塗布後、80℃で30分間乾燥し、その後300℃まで1時間かけて昇温し、300℃で1時間加熱処理し、50℃以下に冷却したところで取り出した。取り出した後、塗布膜を目視観察し、外観評価した。濁りおよびクラックが認められないものを○、濁りまたはクラックが認められるものを×とした。また、ポリイミド、ポリイミド系樹脂、ポリアミド酸については、塗布膜を堀場製作所製FT−IR720を用いて赤外吸収スペクトルを測定し、1780cm
−1、1380cm
−1付近にできるイミド環由来の吸収の有無を確認した。イミド環由来の吸収が確認されるものを○、確認されないものを×とした。
【0068】
合成例1:ポリイミド樹脂Aの合成
よく乾燥させた四つ口丸底フラスコ中で、窒素置換雰囲気下、N−メチルピロリドン(NMP)280gと3,5−ジアミノ安息香酸(東京化成(株)製、DAB)14.44g(95ミリモル)、1,3−ビス−3−アミノプロピルテトラメチルジシロキサン(東レダウコーニングシリコーン(株)製、APDS)1.24g(5ミリモル)をよく撹拌しながら溶解させた。その後、この溶液を撹拌しながら、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物(ODPA)31.0g(100ミリモル)を50℃以上にならないように冷却しながら徐々に加えた。全量を仕込んだ後、50〜60℃で1時間反応させ、その後、イソキノリン0.1gとトルエン30mLを加え、溶液の温度を180℃に上昇し、留出する水を除去しながら反応させた。反応終了後、溶液温度を室温に低下した後、この溶液を水5Lに投入し、黄白色の固体を得た。これをろ過で集め、さらに水1Lで洗浄を繰り返し、ろ過し、50℃の通風オーブンで72時間乾燥し、一般式(1)で表される構造を主成分とするポリイミド樹脂Aを得た。
【0069】
合成例2:ポリイミド樹脂Bの合成
DAB14.44g(95ミリモル)をメタフェニレンジアミン(東京化成(株)製、MDA)9.88g(95ミリモル)に変更した以外は合成例1と同様にして、ポリイミド樹脂Bを得た。
【0070】
合成例3:ポリイミド樹脂Cの合成
よく乾燥させた四つ口丸底フラスコ中で、窒素置換雰囲気下、NMP280gと2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(AZマテリアルズ(株)製、6FAP)31.1g(85ミリモル)、3−アミノフェノール(東京化成(株)、AMP)3.27g(30ミリモル)をよく撹拌しながら溶解させた。その後、この溶液を撹拌しながら、ODPA31.0g(100ミリモル)を50℃以上にならないように冷却しながら徐々に加えた。全量を仕込んだ後、50〜60℃で1時間反応させ、その後、イソキノリン0.1gとトルエン30mLを加え、溶液の温度を180℃に上昇し、留出する水を除去しながら反応させた。反応終了後、溶液温度を室温に低下した後、この溶液を水5Lに投入し、黄白色の固体を得た。これをろ過で集め、さらに水1Lで洗浄を繰り返し、ろ過し、50℃の通風オーブンで72時間乾燥し、一般式(1)で表される構造を主成分とするポリイミド樹脂Cを得た。
【0071】
合成例4:ポリイミド樹脂Dの合成
よく乾燥させた四つ口丸底フラスコ中で、窒素置換雰囲気下、NMP80gと6FAP3.66g(10ミリモル)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(和歌山精化工業(株)製、DAE)2.00g(10ミリモル)をよく撹拌しながら溶解させた。その後、この溶液を撹拌しながら、特開平11−100503号公報の合成例1記載の方法で合成した下記式で表される酸無水物(TMDA)14.28g(20ミリモル)を50℃以上にならないように冷却しながら徐々に加えた。全量を仕込んだ後、50〜60℃で1時間反応させ、その後、溶液の温度を180℃に上昇し、留出する水を除去しながら反応させた。反応終了後、溶液温度を室温に低下した後、この溶液を水1Lに投入し、黄白色の固体を得た。これをろ過で集め、さらに水1Lで洗浄を繰り返し、ろ過し、50℃の通風オーブンで72時間乾燥し、一般式(1)で表される構造を主成分とするポリイミド樹脂Dを得た。
【0072】
【化4】
【0073】
合成例5:ポリイミド樹脂Eの合成
よく乾燥させた四つ口丸底フラスコ中で、窒素置換雰囲気下、NMP280gと3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(和歌山精化工業(株)製、MBAA)28.6g(100ミリモル)をよく撹拌しながら溶解させた。その後、この溶液を撹拌しながら、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(ダイキン工業(株)製、6FDA)44.4g(100ミリモル)を50℃以上にならないように冷却しながら徐々に加えた。全量を仕込んだ後、50〜60℃で1時間反応させ、その後、イソキノリン0.1gとトルエン30mLを加え、溶液の温度を180℃に上昇し、留出する水を除去しながら反応させた。反応終了後、溶液温度を室温に低下した後、この溶液を水1Lに投入し、黄白色の固体を得た。これをろ過で集め、さらに水1Lで洗浄を繰り返し、ろ過し、50℃の通風オーブンで72時間乾燥し、一般式(1)で表される構造を主成分とするポリイミド樹脂Eを得た。
【0074】
合成例6:ポリイミド系樹脂(ポリアミドイミド樹脂A)の合成
よく乾燥させた四つ口丸底フラスコ中で、窒素置換雰囲気下、NMP480.0g、トリエチルアミン10.1g(100ミリモル)とジアミノジフェニルエーテル(DAE)10.0g(50ミリモル)、DAB6.9g(50ミリモル)をよく撹拌しながら溶解させた。その後、この溶液を撹拌しながら−20℃に冷却し、無水トリメリット酸クロリド(TMC)21.05g(100ミリモル)をNMP200gに溶解した溶液を、0℃以上にならないように冷却しながら徐々に滴下した。全量を仕込んだ後、−20℃で2時間反応させ、その後、温度を室温にして1時間撹拌した。この溶液を水10Lに投入し、黄白色の固体を得た。これをろ過で集め、さらに水1Lで洗浄を繰り返し、ろ過し、50℃の通風オーブンで72時間乾燥し、一般式(2)で表される構造を主成分とするポリアミドイミド樹脂Aを得た。
【0075】
合成例7:ポリイミド系樹脂(ポリアミドイミド樹脂B)の合成
DAEの添加量を20.0g(100ミリモル)に変更し、DABを用いない以外は合成例6と同様にして、ポリアミドイミド樹脂Bを得た。
【0076】
合成例8:ポリアゾール樹脂(ポリベンゾオキサゾール樹脂A)の合成
よく乾燥させた四つ口丸底フラスコ中で、窒素置換雰囲気下、ポリリン酸480.0gと6FAP36.6g(100ミリモル)をよく撹拌しながら溶解させた。その後、この溶液を撹拌しながら、5−スルホイソフタル酸ナトリウム(SIPA)13.4g(50ミリモル)、イソフタル酸(IPA)6.7g(50ミリモル)を加え、溶液温度を180℃に上昇し、その温度で4時間撹拌した。反応終了後、溶液温度を室温にした後、この溶液を水10Lに投入し、黄白色の固体を得た。これをろ過で集め、さらに水1Lで洗浄を繰り返し、ろ過し、50℃の通風オーブンで72時間乾燥し、一般式(3)で表される構造を主成分とするポリベンゾオキサゾール樹脂Aを得た。
【0077】
合成例9:ポリアゾール樹脂(ポリベンゾイミダゾール樹脂A)の合成
よく乾燥させた四つ口丸底フラスコ中で、窒素置換雰囲気下、ポリリン酸480.0gと3,3’,4,4’−テトラメチルビフェニル(TAB)21.4g(100ミリモル)をよく撹拌しながら溶解させた。その後、この溶液を撹拌しながら、5−ヒドロキシイソフタル酸(HIPA)18.2g(100ミリモル)を加え、溶液温度を180℃に上昇し、その温度で4時間撹拌した。反応終了後、溶液温度を室温に低下した後、この溶液を水10Lに投入し、黄白色の固体を得た。これをろ過で集め、さらに水1Lで洗浄を繰り返し、ろ過し、50℃の通風オーブンで72時間乾燥し、一般式(3)で表される構造を主成分とするポリベンゾイミダゾール樹脂Aを得た。
【0078】
合成例10:ポリアゾール樹脂(ポリベンゾイミダゾール樹脂B)の合成
HIPA18.2g(100ミリモル)をIPA16.6g(100ミリモル)に変更した以外は合成例9と同様にして、ポリベンゾイミダゾール樹脂Bを得た。
【0079】
合成例11:ポリアミド酸Aの合成
よく乾燥させた四つ口丸底フラスコ中で、窒素置換雰囲気下、NMP200gとDAE20.0g(100ミリモル)をよく撹拌しながら溶解させた。その後、この溶液を撹拌しながら、ODPA31.02g(100ミリモル)を加え、溶液温度を40℃に上昇し、その温度で4時間撹拌した。反応終了後、溶液温度を室温にした後、この溶液を水10Lに投入し、黄白色の固体を得た。これをろ過で集め、さらに水1Lで洗浄を繰り返し、ろ過し、50℃の通風オーブンで72時間乾燥し、ポリアミド酸を得た。
【0080】
合成例1〜11の樹脂の組成を表1に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
実施例1
合成例1で得たポリイミド樹脂A10gと水酸化ナトリウム0.94g(0.2モル)を混合し、ここに水100gを加えて、50℃に加温して撹拌し、ポリイミド樹脂水溶液を得た。
【0083】
実施例2
水酸化ナトリウムの添加量を0.69g、水の添加量を300gに変更した以外は実施例1と同様にしてポリイミド樹脂水溶液を得た。
【0084】
実施例3
水酸化ナトリウムの添加量を1.41g、水の添加量を500gに変更した以外は実施例1と同様にしてポリイミド樹脂水溶液を得た。
【0085】
実施例4
水酸化ナトリウムの添加量を3.76g、水の添加量を50gに変更した以外は実施例1と同様にしてポリイミド樹脂水溶液を得た。
【0086】
実施例5
水酸化ナトリウム0.94gを炭酸ナトリウム1.24gに変更した以外は実施例1と同様にしてポリイミド樹脂水溶液を得た。
【0087】
実施例6
水酸化ナトリウム0.94gをリン酸一水素ナトリウム1.67gに変更した以外は実施例1と同様にしてポリイミド樹脂水溶液を得た。
【0088】
比較例1
水酸化ナトリウムを添加しなかった以外は実施例1と同様にしてポリイミド樹脂水溶液を作製したが、ポリイミド樹脂が溶解しなかった。
【0089】
比較例2
合成例1で得たポリイミド樹脂A10gを合成例2で得たポリイミド樹脂B10gに変更した以外は実施例1と同様にしてポリイミド樹脂水溶液を作製したが、ポリイミド樹脂が溶解しなかった。
【0090】
実施例7〜16、比較例3〜12
樹脂、塩基性化合物、水添加量を表2のとおりに変更した以外は実施例1と同様にして樹脂水溶液を作製した。なお、表2において、DMAEはジメチルアミノエタノール、DMABはジメチルアミノブタノール、TMAHはテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを示す。
【0091】
参考例1
合成例11で得たポリアミド酸10gと水酸化ナトリウム1.24gと水100mLを混合してポリアミド酸水溶液を得た。
【0092】
実施例1〜16、比較例1〜9および参考例1の評価結果を表2に示す。
【0093】
【表2】
【0094】
実施例17
実施例1で得たポリイミド樹脂水溶液100mLに金属シリコン微細粉末(茂原希少金属(株)製)とアセチレンブラック(三菱化学(株)製)との85:15(重量比)の混合物100gを混合した。これを3本ロールに3回通して負極用ペーストを得た。この負極用ペーストを電解銅箔(日鉱金属(株)製、HLPB)に厚み25μmとなるようにドクターブレードで塗布した。負極用ペーストを塗布した電解銅箔を、イナートオーブン(光洋サーモシステム製、INH−9)で酸素濃度20ppm以下になるように窒素を流しながら、80℃で1時間加熱後、3.5℃/分で温度を200℃まで上げ、200℃で1時間加熱(焼成)した。その後、オーブン内の温度が50℃以下になったところで取り出し、負極を得た。