(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
背面に凹部を備えた操作キー本体と、背面の少なくとも一部に傾斜面を有していて当該傾斜面を形成された領域において一方端部から他方端部へ向かうに従って次第に厚みが薄くなった光学ブロックとを備え、
前記光学ブロックは、背面の傾斜面が操作者に近い側から遠い側へ向かうに従って前記操作キー本体の前面側へ向かうようにして、前記凹部内に納められて前記操作キー本体に接着されていることを特徴とする、請求項1に記載の操作キー。
前記画像透視部の背面の少なくとも一部に傾斜面を形成し、前記傾斜面を操作者に近い側から遠い側へ向かうに従って前記画像透視部の前面側へ向かうように傾斜させたことを特徴とする、請求項7に記載の操作キー。
背面に凹部を備えた操作キー本体と、背面の少なくとも一部に傾斜面を有していて当該傾斜面を形成された領域において一方端部から他方端部へ向かうに従って次第に厚みが薄くなった光学ブロックとを備え、
前記光学ブロックは、背面の傾斜面が操作者に近い側から遠い側へ向かうに従って前記操作キー本体の前面側へ向かうようにして、前記凹部内に納められて前記操作キー本体に接着されていることを特徴とする、請求項7に記載の操作キー。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1(A)及び
図1(B)は、特許文献1に記載されたスイッチユニット(表示機能付きスイッチ)の断面図及びその一部の分解斜視図である。
【
図2】
図2(A)及び
図2(B)は、本発明の実施形態1に係るスイッチユニットの断面図であって、
図2(A)は
図3のX1−X1線に沿った断面図、
図2(B)は
図3のY1−Y1に沿った断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態1に係るスイッチユニットの平面図である。
【
図4】
図4(A)及び
図4(B)は、比較例の操作キーを用いた場合の画像の見え方を説明する概略図である。
【
図5】
図5(A)及び
図5(B)は、別な比較例の操作キーを用いた場合の画像の見え方を説明する概略図である。
【
図6】
図6(A)及び
図6(B)は、本発明の実施形態1の操作キーを用いた場合の画像の見え方を説明する概略図である。
【
図7】
図7(A)は、実施形態1の一変形例による操作キーを示す断面図である。
図7(B)は、実施形態1の別な変形例による操作キーを示す断面図である。
【
図8】
図8(A)及び
図8(B)は、実施形態1のさらに別な変形例の操作キーを示す断面図である。
【
図9】
図9(A)は、本発明の実施形態2によるスイッチユニットを示す平面図である。
図9(B)は、
図9(A)のX2−X2断面図である。
【
図10】
図10(A)及び
図10(B)は、本発明の実施形態2の操作キーを用いた場合の画像の見え方を説明する概略図である。
【
図11】
図11(A)及び
図11(B)は、実施形態2の一変形例による操作キーを示す断面図である。
図11(C)及び
図11(D)は、実施形態2の別な変形例による操作キーを示す断面図である。
【
図12】
図12(A)は、実施形態2の変形例の操作キーを用いた場合の画像の見え方、特に操作者から遠い側の側壁の画像の見え方を示す。
図12(B)は、実施形態1の操作キーを用いた場合の画像の見え方、特に操作者から遠い側の側壁の画像の見え方を示す。
【
図13】
図13(A)は、本発明の実施形態3によるスイッチユニットの平面図である。
図13(B)は
図13(A)のX3−X3線断面図である。
【
図14】
図14(A)及び
図14(B)は、本発明の実施形態3の操作キーを用いた場合の画像の見え方を説明する概略図である。
【
図15】
図15(A)は、両側面の側壁が垂直面である操作キーを用いた場合の画像の見え方、特に側面の側壁の画像の見え方を示す。
図15(B)は、実施形態3の操作キーを用いた場合の画像の見え方、特に側面の側壁の画像の見え方を示す図である。
【
図16】
図16は、側壁が垂直面である操作キーに入射した光の挙動を説明する光線図である。
【
図17】
図17は、実施形態3の操作キーに入射した光の挙動を説明する光線図である。
【
図18】
図18は、実施形態3の変形例の操作キーを示す断面図である。
【
図19】
図19(A)は、本発明の実施形態4によるスイッチユニットの平面図である。
図19(B)は
図19(A)のX4−X4線断面図である。
【
図21】
図21(A)及び
図21(B)は、実施形態4の変形例によるスイッチユニットの断面図である。
【
図22】
図22(A)及び
図22(B)は、実施形態4の別な変形例による操作キーの断面図である。
図22(C)及び
図22(D)は、実施形態4のさらに別な変形例による操作キーの断面図である。
【
図23】
図23(A)、
図23(B)及び
図23(C)は、それぞれ実施形態4のさらに別な変形例による操作キーの断面図である。
【
図24】
図24(A)は、本発明の実施形態5によるスイッチユニットを示す断面図である。
図24(B)は、その操作キーの分解断面図である。
【
図25】
図25は、実施形態5の操作キーの分解斜視図である。
【
図26】
図26(A)−
図26(H)は、それぞれ操作キーの表面の種々の形状を表した断面図である。
【
図27】
図27(A)−
図27(H)は、それぞれ操作キーの表面の種々の形状を表した断面図である。
【
図28】
図28(A)は、本発明の実施形態6によるスイッチユニットの平面図である。
図28(B)は実施形態6のスイッチユニットの概略断面図である。
【
図29】
図29は、本発明の実施形態6によるスイッチユニットの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々設計変更することができる。
【0025】
(実施形態1)
以下、
図2及び
図3を参照して本発明の実施形態1によるスイッチユニット21と操作キー24の構造を説明する。
図2(A)はスイッチユニット21の断面図であって、
図3のX1−X1線断面図である。
図2(B)はスイッチユニット21の断面図であって、
図3のY1−Y1線断面図である。
図3はスイッチユニット21の平面図である。ただし、
図3では、フレーム25は省略している。なお、以下において用いる「上下左右」の方向は図面上の方向を指すものに過ぎず、スイッチユニットの設置時の姿勢を限定するものではない。
【0026】
図2(A)及び
図2(B)に示すように、スイッチユニット21は、画像表示部22の上にシートスイッチ23を重ね、その上に操作キー24を置き、さらにフレーム25を重ねたものである。画像表示部22は、操作キー24と対向する領域に文字や図柄などの表示情報を表示する。
【0027】
画像表示部22としては、液晶表示装置(LCD)や有機ELのような電子表示デバイスが好ましいが、単なる印刷物であってもよい。画像表示部22が電子表示デバイスである場合にはその画像は電子的に変化させることができる。また、画像表示部22は操作キー24とは別々になっていて、操作キー24の背後に配置されているだけであるので、画像表示部22が印刷物の場合にも印刷物を差し替えることによって画像を変化させることができる。
【0028】
図3に示すように、操作キー24は、略四角柱状をした画像透視部26の外周面下部にフランジ27を延出し、さらにその四隅からそれぞれ対角方向へ向けて脚片28を突出させたものである。操作キー24は、透明又は半透明のポリカーボネイト樹脂やポリメチルメタクリレート(PMMA)などの樹脂によって射出成形されている。操作キー24は、透明な樹脂で成形されたものが好ましいが、透明度の高い半透明樹脂でもよく、薄く着色された半透明樹脂であってもよい。
【0029】
画像透視部26の上面(キートップ;前面や表面ということもある。)は平面又はわずかに前方(
図2(A)又は
図2(B)における上方)へ膨らんだ球面となっている。
図2(A)及び
図3において矢印Sは、操作キー24を操作する人(操作者)が操作キー24を見る視線の方向を表している。画像透視部26の背面26a(下面ということもある。)は、湾曲した傾斜面となっており、
図2(A)に示すように、操作者に近い側から遠い側へ向かうに従って画像透視部26の前面側へ向かうように傾斜している。この実施形態では、画像透視部26の背面26a(傾斜面)は断面単一円弧状又は断面複合円弧状のシリンドリカルレンズ形状をした曲面となっており、ZX面内では
図2(A)のように背面側へ膨らむように湾曲し、YZ面内では
図2(B)のように直線状となっている。
図2(A)に示す画像透視部26の背面26aでは、操作者に近い側から遠い側に向けて曲率半径が徐々に小さくなるように変化した断面複合円弧状のシリンドリカルレンズ形状となっているが、断面複合円弧状のシリンドリカルレンズ形状としては、曲率半径を区分的に変化していてもよい。たとえば、背面26aを操作者に近い領域と遠い領域に二分し、操作者に近い領域では、一定でかつ比較的大きな曲率を持ち、操作者から遠い領域では、一定でかつ比較的小さな曲率半径を持つようにしてもよい。また、画像透視部26aの背面26aは、距離率半径が一定の断面円弧状の面(断面単一円弧状のシリンドリカルレンズ形状)となっていてもよい。なお、本明細書においては、操作キー24の前面に垂直な方向にZ軸を定め、操作者の視線の方向とZ軸を含む面内においてZ軸に直交する方向にX軸を定め、Z軸及びX軸に直交する方向にY軸を定める。
【0030】
フレーム25は硬質プラスチックの成形品であって、画像透視部26を挿通させるための開口31を有している。操作キー24は、画像透視部26を下方からフレーム25の開口31にスライド可能に挿通されており、フランジ27の上に開口31の縁が位置していて上方へ抜けないように規制されている。
【0031】
シートスイッチ23は、上基板29と下基板30を重ね合わせたものである。上基板29と下基板30は、操作キー24の脚片28の直下において、それぞれの対向する面に接点29a、30aを設けられている。上基板29と下基板30にはそれぞれ接点29a、30aに導通した配線(図示せず)が形成されている。また、脚片28の下面にはシートスイッチ23を押さえて接点29a、30aどうしを接触させるための突起32が設けられている。
【0032】
上基板29はシリコンゴムなどの柔軟で弾力性を有する素材によって形成されており、上基板29には凹凸状のリブが形成されている。下基板30は、プリント配線基板などで形成されている。上基板29の接点29aは、上基板29のリブが下基板30に当接することによって接点30aから浮かされており、通常の状態では接点29a、30aどうしが絶縁状態に保持されている。また、操作キー24は、各脚片28が接点29a、30aの直上に位置するようにして、上基板29の上に載置されている。
【0033】
上記のようなスイッチユニット21では、画像透視部26が透明又は半透明の材料によって形成されているので、操作者からは画像透視部26を通して画像表示部22の表示情報(たとえばスイッチの種類や機能などの表示)を認識することができる。そして、操作者が操作キー24のキートップを押さえると、脚片28で押されて接点29aが接点30aに接触し、シートスイッチ23がオンになり、操作キー24を押されたことが検知される。また、操作者が操作キー24を離すと、上基板29の弾性復帰力によって接点29aが接点30aから離間してシートスイッチ23がオフになる。同時に、上基板29の弾性復帰力によって操作キー24が押し上げられて元の位置に復帰する。
【0034】
さらに、このスイッチユニット21によれば、操作者に視覚上の錯覚(錯視)を起こさせることによって画像表示部22に表示された表示情報の画像を浮き上がらせ、画像が操作キー24の表面(キートップ)又は表面近くにあるように感じさせることができる。以下、
図4−
図7を参照し、この理由を説明する。なお、以下の説明においては、画像の結像位置は問題としない。
【0035】
図4(A)及び
図4(B)に示すものは比較例の操作キー41であって、裏面に凹部を有する箱状の操作キーである。このような操作キー41を通して表示情報42を見た場合、
図4(A)に示すように、表示情報42の一部が操作者側の側壁(外周面)で遮られるために操作キー41を通して見える画像42aは表示情報42の一部となる。また、操作者から遠い側の側壁43の画像は破線で表した画像43aとなる。よって、操作キー41を通して見える画像は、
図4の画像42a、43aである(結像位置は問題としていない)。
【0036】
人が物の位置を認識する場合には、視覚による距離感だけをたよりにしている訳ではなく、それ以外の補助的な情報を取り込んで合理的に判断している。
図4(A)の場合で言えば、側壁43は操作キー41の上面のすぐ下にあるので、側壁43の画像43aも操作キー41の上面のすぐ下にあると(錯覚により)判断される。すなわち、側壁43の画像は
図4(A)の画像43bの位置にあるものと無意識に判断される。それに伴って、表示情報42の画像も
図4(A)の画像42bの位置にあるものと判断される。この結果、このような操作キー41を用いた場合には、
図4(B)に表したように表示情報42の画像42bの位置は元の表示情報42の位置とほとんど変わりがなく、画像42bが操作キー41の上面からかなり引っ込んだ位置にあるように認識される。
【0037】
図5(A)及び
図5(B)に示すものは別な比較例の操作キー45であって、画像透視部26の上面と下面が平行となっていて画像透視部26が表裏間で大きな厚みを有している。このような操作キー45を通して見た場合には、光の屈折による影響で、
図5(A)に示すように、操作者から遠い側の側壁43の画像43aは、側壁43の高さよりも少し小さくなる。よって、この画像43aが
図5(A)の画像43bの位置にあると判断された場合、それに伴って表示情報42の画像は
図5(A)の画像42bの位置にあると認識される。よって、このような操作キー45を用いた場合には、
図5(B)に示すように、表示情報の画像42bの位置は
図4の操作キー41を用いた場合よりも少し浮き上がるが、その効果は小さい。
【0038】
図6(A)及び
図6(B)に示すものは本発明の実施形態1の操作キー24を用いた場合を示す。実施形態1の操作キー24を通して見た場合には、
図6(A)に示すように、画像透視部26のレンズ作用により、操作者から遠い側の側壁43の画像43aは、側壁43の高さよりもかなり小さくなる。よって、この画像43aが、
図6(A)の画像43bのように操作キー24の上面の下にあると判断された場合、それに伴って表示情報42の画像は
図6(A)の画像42bの位置にあると認識される。よって、このような操作キー24を用いた場合には、
図6(B)に示すように、画像42bの位置は操作キー24の上面にかなり近づく。従って、操作キー24の上面から画像42bまでの距離が短くなり、操作キー24を通して見える表示情報42の画像42bの引っ込んだ感じがかなり改善される。
【0039】
特許文献1に開示されたスイッチユニットでは、操作キー内に液晶表示装置を組み込んでいるので、複数個の操作キーを配列する場合には、複数個の液晶表示装置が必要になり、コストが高くつく。これに対し、本発明の実施形態1によるスイッチユニット21では、操作キー24と画像表示部22を別々にしているので、複数個の操作ユニットを配列する場合でも画像表示部22を共用化して少ない枚数の画像表示部22で済ませることができ(実施形態6を参照)、コストを安価にできる。その一方で、実施形態1のスイッチユニット21では操作キー24の上面と画像表示部22との距離が若干長くなるおそれがある。しかし、このスイッチユニット21によれば、画像表示部22の画像を操作キー24の表面に浮き上がらせることが可能になり、スイッチユニット21の外観が良好になる。
【0040】
(実施形態1の変形例)
つぎに、本発明の実施形態1によるスイッチユニットの種々の変形例を説明する。
図7(A)は、実施形態1の一変形例による操作キー51の断面図であって、ZX平面と平行な断面を示す。この操作キー51では、画像透視部26の背面26aのうち、操作者に近い部分を平らな傾斜面52aとし、操作者から遠い部分を湾曲した傾斜面52bとしている。
【0041】
図7(B)は、実施形態1の別な変形例による操作キー53の断面図であって、YZ平面と平行な断面を示す。この操作キー53では、画像透視部26の背面26aが球面状に湾曲した傾斜面となっている。すなわち、ZX平面と平行な断面が
図2(A)と同じ断面を持ち、YZ平面と平行な断面が
図7(B)のようになっている。
【0042】
図8は、実施形態1のさらに別な変形例の操作キー54の断面図であって、
図8(A)はZX平面と平行な断面を示し、
図8(B)はYZ平面と平行な断面を示す。この操作キー54では、画像透視部26の背面26aが脚片28の下面(背面)よりも下に飛び出ている。このように画像透視部26の背面26aを脚片28の下面よりも下へ突出させた場合には、背面26aが脚片28の下面よりも上方へ引っ込んでいる場合と比較して、画像を画像透視部26の表面近くまで浮かび上がらせる効果がより高くなる。
【0043】
(実施形態2)
図9(A)は本発明の実施形態2によるスイッチユニット61の平面図(フレーム25を省略している。)であり、
図9(B)は
図9(A)のX2−X2断面図である。
【0044】
実施形態2のスイッチユニット61では、操作キー62に設けられた画像透視部26の背面26aの一部を平らな傾斜面63aによって形成している。すなわち、画像透視部26の背面26aのうち、操作者に近い領域は平らな傾斜面63aによって形成されており、傾斜面63aは操作者に近い側から遠い側へ向かうに従って画像透視部26の上面へ向かうように傾斜している。また、画像透視部26の背面26aのうち、操作者から遠い領域は平らな水平面63bとなっている。
【0045】
このようなスイッチユニット61でも、画像透視部26の一部が傾斜面63aによってプリズム状となっているので、
図10(A)及び
図10(B)に示すように、画像透視部26のプリズム作用によって画像透視部26の操作者から遠い側の側壁43の画像43bの高さが小さくなり、表示情報42の画像42bが操作キー62の上面近くまで浮き上がって見える。
【0046】
(実施形態2の変形例)
図11(A)及び
図11(B)は実施形態2の一変形例の操作キー64を示す断面図であって、
図11(A)はZX平面と平行な断面を示し、
図11(B)はYZ平面と平行な断面を示す。この操作キー64においては、画像透視部26の背面26aのほぼ全体を平らな傾斜面63aによって形成している。
【0047】
図11(C)及び
図11(D)は実施形態2の別な変形例の操作キー65を示す断面図であって、
図11(C)はZX平面と平行な断面を示し、
図11(D)はYZ平面と平行な断面を示す。この操作キー65においては、画像透視部26の背面26aうち、操作者から遠い領域は平らな傾斜面63aによって形成されており、傾斜面63aは操作者に近い側から遠い側へ向かうに従って画像透視部26の上面へ向かうように傾斜している。また、画像透視部26の背面26aのうち、操作者に近い領域は平らな水平面63bとなっている。
【0048】
実施形態2の操作キー62やその変形例の操作キー64、65を用いた場合にも、画像を各操作キーの上面にあるように認識させることができる。しかし、画像を浮き上がらせる効果は、実施形態1のように画像透視部26の背面26aを曲面にした場合の方が顕著である。
図12(A)及び
図12(B)は実施形態2の変形例の操作キー64を用いた場合と実施形態1の操作キー24を用いた場合とを比較して表している。
図12(A)は、水平面に対する傾斜角が10°の平らな傾斜面63aを有する画像透視部26(実施形態2の変形例の相当品)を用いて表示情報を見た様子を示す。
図12(B)は、シリンドリカルレンズ状に湾曲した背面26aを有する画像透視部26(実施形態1の相当品)を用いて操作者側から表示情報42を見た様子を示す。ただし、いずれの画像透視部26も上面が緩やかに湾曲したものを用いている。
図12(A)及び
図12(B)に示すT1はいずれも操作者から遠い側の側壁(側壁に映った画像)の上端縁を示し、T2はその側壁の下端縁を示す。
図12(A)と
図12(B)とを比較すると、見かけの側壁の高さ(T1とT2との距離)は背面をシリンドリカルレンズ状に形成した場合(
図12(B))の方が小さくなっており、表示情報の画像が画像透視部26の表面近くに映っているように見える。よって、画像を浮き上がらせるという効果の点では、実施形態2よりも実施形態1の方が効果が高い。ただし、背面26aを湾曲させた場合には、背面26aが平らな傾斜面である場合と比較して、画像が若干歪むおそれがある。
【0049】
(実施形態3)
図13(A)は本発明の実施形態3によるスイッチユニット71の平面図(フレーム25を省略している。)であり、
図13(B)は
図13(A)のX3−X3線断面図である。スイッチユニット71のX3−X3線断面と直交する方向の断面も、X3−X3線に沿った断面と同様である。
【0050】
実施形態3のスイッチユニット71も、操作キー72以外の部品の構造については、実施形態1と同じ構造を有している。操作キー72は、略四角錐台状をした画像透視部26の外周面下部にフランジ27を延出し、さらにその四隅からそれぞれ対角方向へ向けて脚片28を突出させたものである。操作キー72は、透明又は半透明の樹脂によって成形されている。操作キー72は、透明な樹脂で成形されたものが好ましいが、透明度の高い半透明樹脂でもよく、薄く着色された半透明樹脂であってもよい。
【0051】
画像透視部26の上面(キートップ)は平面又はわずかに前方へ膨らんだ球面となっている。画像透視部26の下面(背面26a)は上面と平行な平面となっている。画像透視部26の外周面(側壁)はいずれも画像透視部26の下面(背面側の端)から上面(前面側の端)へ向かうにつれて内側へ向かうように傾いている。Z軸から測った各側壁の傾きについては、操作者に近い側の側壁73の傾きをPとし、操作者から遠い側の側壁43の傾きをQとしたとき、
P≦Q
となるように傾きP、Qを定めればよい。たとえば、操作者に近い側壁73の傾きPを約5°とし、操作者から遠い側壁43の傾きQを約15°以上20°以下とするのが好ましい。他の側壁、すなわち両側面の側壁74の傾きは操作者から遠い側壁43の傾きに等しくすればよい。操作者に近い側の側壁73の傾きを他の側壁43、74の傾きよりも大きくならないようにしているのは、操作者に近い側の側壁73の傾きをあまり大きくすると、当該側壁73から操作者の方向へ向けて漏れる光が多くなるからである。
【0052】
スイッチユニット71のように操作キー72の側壁を傾けておけば、画像表示部22に表示情報42が表示されたとき、錯覚によってその画像が画像透視部26の上面近くにあるように認識される。この理由を以下に説明する。
【0053】
操作者から遠い側に位置する側壁43が傾いていると、画像透視部26による光の屈折の効果と操作者からの視線が側壁43と平行に近くなる効果により、表示情報42の画像42bが浮き上がって見える。すなわち、
図14(A)に示すように、操作者が操作キー72を見た場合、画像透視部26で光が屈折する結果、操作者から遠い側の側壁43の画像43aの高さは、側壁43の高さよりも小さくなる。さらに、傾いている画像43aを操作者が垂直であると錯覚すると、垂直と錯角された画像(43b)はさらに小さく感じられる。この画像が、
図14(A)の画像43bのように操作キー72の上面のすぐ下にあると無意識に判断された場合、それに伴って表示情報42の画像は
図14(A)の画像42bの位置にあると認識される。よって、このような操作キー72を用いた場合には、
図14(B)に示すように、画像42bの位置は操作キー41の上面にかなり近づく。従って、操作キー41の上面から画像42bまでの距離が短くなり、操作キー72を通して見える表示情報42の画像42bの引っ込んだ感じがかなり改善される。
【0054】
操作者が右又は左に偏った位置から操作キー72を見た場合には、左又は右側の側壁74が見えるが、側壁74を傾けてあると、側壁43の場合と同じ理由から、このとき見える側壁74の高さも小さく感じられる。その結果、このときにも表示情報42の画像42bが操作キー72の表面近くにあるように感じられる。
図15(A)及び
図15(B)はいずれも側面の側壁74が見えた状態を表している。
図15(A)は側壁74が垂直面(側壁74の傾きが0°)である場合を表し、
図15(B)は側壁74の傾きが10°である場合を表している。
図15(B)を
図15(A)と比較して観察すれば分かるように、側壁74を傾斜させた場合には、側壁74の高さが小さく見え、表示情報42の画像42aが操作キー72の表面に浮き出るように感じられる。なお、E1は側壁74の画像の上端縁を示し、E2は側壁74の画像の下端縁を示す。
【0055】
また、
図16に示すように側壁43が垂直である場合には、画像表示部22の表面から出射して側壁43の近傍で画像透視部26内に入った光は、その大部分が側壁43で全反射されてただちに操作者の居る方向へ出射される。そのため側壁43に画像が映り込み、操作者から側壁43の位置がはっきりと見え、その分画像表示部22に表示されている表示情報の画像が画像透視部26の表面から引っ込んだ位置にあるように感じられる。
【0056】
これに対し、側壁43が傾いていると、
図17に示すように、画像表示部22の表面から出射して側壁43の近傍で画像透視部26内に入った光は、側壁43で反射された後、その大部分が画像透視部26の上面と下面で全反射を繰り返して導光する。そのため、側壁43で全反射した後、ただちに画像透視部26から出射され、操作者の居る方向へ出射される光の量が少なくなる。こうして側壁43に画像が映り込みにくくなる結果、操作者から側壁43の位置が分かりにくくなり、画像表示部22に表示されている表示情報の画像が画像透視部26の表面にあるように感じられるようになる。この作用効果は側面の側壁74についても同様である。なお、下面から画像透視部26内に入射して側壁43に向かう光の広がりを39°くらいとすれば、側壁43で反射された光が操作者の側へ向けて出射されにくくするためには、側壁43の傾きは約15°から約20°にするのが望ましい。
【0057】
(実施形態3の変形例)
操作キーの操作感触を高めるためには、
図18に示す操作キー76のように、画像透視部26の上面と側壁73、43、74との境界に、断面が円弧状をした湾曲面77を成形すればよい。但し、湾曲面77の曲率半径が2.5mmよりも大きいとこの境界部分で側壁の画像が二重映りすることがあるので、湾曲面77の曲率半径は2.5mm以下とすることが好ましい。特に好ましくは、湾曲面77の曲率半径を0.5mm程度とすればよい。
【0058】
また、画像透視部26の上面と側壁73、43、74との境界部分における画像の二重映りを防止するためには、画像表示部22に表示される表示情報の位置を調整してもよい。
【0059】
(実施形態4)
図19(A)は、本発明の実施形態4によるスイッチユニット81の平面図(フレーム25を省略している。)であり、
図19(B)は
図19(A)のX4−X4線断面図である。また、
図20(A)又は
図20(B)は、
図19(A)のY4−Y4線に沿った断面を表している。
【0060】
実施形態4のスイッチユニット81では、画像透視部26の側壁が傾いており、かつ、画像透視部26の背面26aが傾斜面となっている。すなわち、画像透視部26の外周面(側壁)はいずれも画像透視部26の下面から上面へ向かうにつれて内側へ向かうように傾いている。操作者に近い側の側壁73の傾きは、他の側壁43、74の傾きと等しいか、他の側壁43、74の傾きよりも小さくなっている。しかも、画像透視部26の背面26aは湾曲した傾斜面となっており、操作者に近い側から遠い側へ向かうに従って画像透視部26の前面側へ向かうように傾斜している。この背面26aはシリンドリカル状に湾曲していてもよく、球面状に湾曲していてもよい。シリンドリカル状に湾曲している場合には、
図19(A)のY4−Y4線に沿った断面は
図20(A)のようになる。球面状に湾曲している場合には、
図19(A)のY4−Y4線に沿った断面は
図20(B)のようになる。
【0061】
実施形態4のスイッチユニット81では、実施形態1のように画像透視部26の背面26aが傾斜していることによって表示情報の画像を画像透視部26の上面まで浮き上がらせる効果と、実施形態3のように画像透視部26の側壁43などが傾斜していることによって表示情報の画像を画像透視部26の上面まで浮き上がらせる効果とを併せ持つ。さらに、画像表示部22の表面から出射して操作者から遠い側の側壁43に入射する光は、
図19(B)に矢印で示すように側壁43を透過しやすくなるので、そのため、側壁43で全反射して操作者の居る方向へ出射される光の量が少なくなる。こうして側壁43に画像が映り込みにくくなる結果、操作者から側壁43の位置が分かりにくくなり、画像表示部22に表示されている表示情報の画像が画像透視部26の表面にあるように感じられるようになる。スイッチユニット81では、このようにいくつもの作用効果が重なり合う結果、表示情報42の画像42bが画像透視部26の上面に非常に近い位置にあるように見え、スイッチユニット81の外観がきわめて良好になる。
【0062】
(実施形態4の変形例)
実施形態4においても、種々の変形例が可能である。たとえば、
図21(A)及び
図21(B)に示すスイッチユニット83に用いられている操作キー84では、画像透視部26の外周面を台形状に傾かせ、画像透視部26の背面26aを平らな傾斜面としている。
【0063】
また、
図22(A)及び
図22(B)に示す操作キー85は、画像透視部26の外周面を台形状に傾かせ、画像透視部26の背面26aを湾曲した傾斜面で形成し、当該背面26aを脚片28の下面よりも下方へ突出させたものである。
図22(C)及び
図22(D)に示す操作キー86は、画像透視部26の外周面を台形状に傾かせ、画像透視部26の背面26aを平らな傾斜面で形成し、当該背面26aを脚片28の下面よりも下方へ突出させたものである。このように画像透視部26の背面26aを脚片28の下面よりも下方へ突出させた場合には、背面26aが脚片28の下面よりも上方へ引っ込んでいる場合と比較して、画像を画像透視部26の表面近くまで浮かび上がらせる効果がより高くなる。ただし、操作キー85のように背面26aを湾曲させた場合には、操作キー86のような平らな傾斜面を設けた場合に比較して、画像が若干歪むおそれがある。
【0064】
また、
図23(A)に示す操作キー87は、画像透視部26の外周面を台形状に傾かせ、背面26aを湾曲した傾斜面で形成し、操作者に近い側では背面26aを脚片28の下面よりも下方へ突出させ、操作者から遠い側では背面26aを画像透視部26の上面近くまで深く引っ込めたものである。このような操作キー87では、側壁43の近くで背面26aの勾配が急になるので、画像がX軸方向に延びる。
図23(B)に示す操作キー88は、画像透視部26の外周面を台形状に傾かせ、背面26aを平らな傾斜面で形成し、操作者に近い側では背面26aを脚片28の下面よりも下方へ突出させ、操作者から遠い側では背面26aを脚片28の下面よりも上方へ引っ込ませたものである。
図23(C)に示す操作キー89は、画像透視部26の外周面を台形状に傾かせ、背面26aを平らな傾斜面で形成し、操作者に近い側では背面26aを脚片28の下面よりも下方へ突出させ、操作者から遠い側では背面26aを画像透視部26の上面近くまで深く引っ込めたものである。
【0065】
(実施形態5)
上記実施形態では、画像透視部は操作キーに一体化されていたが、画像透視部となる部材を別個に形成してもよい。すなわち、
図24(B)及び
図25に示すように、操作キー92は、キー本体93と光学ブロック95に分かれている。キー本体93は、光学ブロック95を納めるための凹部94を有しており、その周囲にフランジ27や脚片28が設けられている。光学ブロック95は、背面95aの少なくとも一部に傾斜面を有していて当該傾斜面を形成された領域において一方端部から他方端部へ向かうに従って次第に厚みが薄くなっている。
図24(A)のスイッチユニット91に示すように、光学ブロック95はキー本体93の凹部94に納められ、透明接着剤、透明な両面粘着テープ、透明な光学用オイルなどの接着部材96を用いて凹部94の天面に接着される。こうして組み立てられた操作キー92においては、画像透視部26は主として光学ブロック95によって構成されている。
【0066】
このように操作キー92をキー本体93と光学ブロック95に分けておけば、種類の異なる操作キーどうしの間でキー本体又は光学ブロックを共用化することが可能になる。
【0067】
なお、上記実施形態のいずれにおいても、画像透視部26の表面97(または操作キーの表面)は、種々の形状に形成することが可能である。
図26(A)及び
図26(B)に示すものは、これまでの実施形態のように画像透視部26の表面97を平らな水平面にしたものである。また、
図26(C)及び
図26(D)のように画像透視部26の表面97を上方へ膨らんだ球面としてもよい。
図26(E)及び
図26(F)は、画像透視部26の表面97を下方へ窪んだ球面としたものである。
図26(G)及び
図26(H)では、画像透視部26の表面97を、YZ面内で上方へ膨らむように湾曲し、X軸方向へ直線状に延びたシリンドリカルレンズ状に形成している。また、
図27(A)及び
図27(B)のように、画像透視部26の表面97を、ZX面内で上方へ膨らむように湾曲し、Y軸方向へ直線状に延びたシリンドリカルレンズ状に形成してもよい。
図27(C)及び
図27(D)では、画像透視部26の表面97を、YZ面内で下方へ窪むように湾曲し、X軸方向へ直線状に延びたシリンドリカルレンズ状に形成している。また、
図27(E)及び
図27(F)のように、画像透視部26の表面97を、ZX面内で下方へ窪むように湾曲し、Y軸方向へ直線状に延びたシリンドリカルレンズ状に形成してもよい。また、
図27(G)及び
図27(H)に示す画像透視部26では、その表面97は、内部で上方へ膨らんだ球面状となり、その外周部が高くなっている。
【0068】
(実施形態6)
本発明のスイッチユニットは、各種ゲーム機や産業用機器、民生機器などのスイッチパネルとして使用できる。たとえば、
図28(A)に示すものはスロットマシンに用いられるスイッチユニット101であって、ベット数などを入力するための操作キー102、リールの回転および停止を行うための操作キー103(スピンボタン)などを備えている。
【0069】
図29はスイッチユニット101の分解斜視図である。
図29に示すように、スイッチユニット101は上から、カバー104、フレーム105、操作キー102、103、シートスイッチの上基板(29)となるラバー(弾性部材)107、シートスイッチの下基板(30)となるPCB基板108、画像表示部106を保護するための表示部ケース109、液晶表示装置などの画像表示部106、ベース110の順に構成される。カバー104とフレーム105は、カバー104およびフレーム105の上側に操作キー102、103が出るように、操作キー102、103の位置に合わせて、それぞれ操作キー102、103の数と同じ数だけ開口113、114を有している。
【0070】
しかして、
図28(B)に示すように、表示部ケース109の上にPCB基板108、ラバー107及び操作キー102、103が重ねられ、その上にフレーム105を置いてフレーム105と表示部ケース109がビス111によって結合される。ついで、フレーム105の上にカバー104を重ね、ビス112によってフレーム105にカバー104を留める。最後に、画像表示部106をベース110の上に置き、画像表示部106を表示部ケース109の下面に納めてベース110をフレーム105に取り付ける。
【0071】
操作キー102、103の脚片に対向してラバー107の下面には接点29aが設けられており、当該接点29aと対向してPCB基板108の上面には接点30aが設けられている。そして、操作キー102、103を押すと、ラバー107が弾性変形して接点29aが押さえられ、接点29aがPCB基板108の接点30aに接触する。
【0072】
このようなスイッチユニット101では、共通の画像表示部106の上に複数個の操作キー102、103を配置するので、画像表示部106の使用枚数が少なくて済み、スイッチユニット101のコストを安価にできる。また、スイッチユニット101の厚みを薄くし、スイッチユニット101を小型化することができる。
【0073】
なお、スピンボタン用の操作キー103は長方形状に長くなっているが、この操作キー103も実施形態1−5などに述べた各操作キーと同様な構造を有している。すなわち、画像透視部の背面が傾斜していたり、操作キーの外周面が傾いていたりしている。