【実施例】
【0020】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0021】
実施例1
容量50mlの一口ナスフラスコ中に、液状イソプレンゴム(クラレ製品LIR-30;Mn28000)108gおよびトルエン140mlを室温条件下で加え、そのトルエン溶液中にチオ安息香酸(東京化成工業製品)5.40gを滴下し、室温条件下で2時間攪拌した。その後、反応混合物からトルエンを留去し、淡黄色液状ゴムのチオ安息香酸変性ポリイソプレンを定量的に得た。
【0022】
反応生成物の
1H-NMRと
13C-NMRスペクトルから、チオ安息香酸の消失と仕込みチオ安息香酸の99%以上が液状イソプレンの側鎖中の二重結合と反応していることを確認した。なお、
★印はポリマー中に導入されたチオ安息香酸エステル基由来およびチオエステル基が結合している炭素上のプロトン由来のシグナルであることを示している。
1H-NMR(CDCl
3、20℃):δ=8.0(br)
★
7.6〜7.5(br)
★
7.5〜7.4(br)
★
7.3(br)
★
7.2(br)
★
5.2〜5.0(br)
4.8〜4.6(br)
4.0〜3.7(br)
★
2.2〜1.8(br)
1.8〜1.6(br)
1.6〜1.4(br)
1.4〜1.1(br)
1.1〜0.7(br)
【0023】
実施例2
実施例1において、チオ安息香酸の代わりにチオ酢酸(東京化成工業製品)2.97gを用い、淡黄色オイル状のチオ酢酸変性ポリイソプレンを定量的に得た。
【0024】
反応生成物の
1H-NMRと
13C-NMRスペクトルから、チオ酢酸の消失と仕込みチオ酢酸の99%以上が液状ポリイソプレンの側鎖中の二重結合と反応していることを確認した。
1H-NMR(CDCl
3、20℃):δ=5.2〜5.0(br)
4.8〜4.6(br)
3.8〜3.5(br)
★
2.3(s)
★
2.2〜1.8(br)
1.8〜1.6(br)
1.6〜1.4(br)
1.4〜1.1(br)
1.1〜0.8(br)
【0025】
実施例3
実施例1において、液状ゴムとして同量(108g)の液状ポリブタジエンゴム(クラレ製品LBR-307;Mn8000)を用い、またチオ安息香酸量を5.41gに変更して、淡黄色オイル状のチオ安息香酸変性ポリブタジエンを定量的に得た。
【0026】
反応生成物の
1H-NMRと
13C-NMRスペクトルから、チオ安息香酸の消失と仕込みチオ安息香酸の90%以上が液状ポリブタジエンの主鎖中の二重結合と反応していることを確認した。
1H-NMR(CDCl
3、20℃):δ=8.3〜8.1(br)
7.9(br)
7.8(br)
7.7〜7.3(br)
5.9〜5.7(br)
5.7〜5.3(br)
5.1〜4.9(br)
3.9〜3.7(br)
★
3.4〜2.8(br)
★
2.3〜2.0(br)
2.0〜1.2(br)
1.2〜0.9(br)
【0027】
実施例4
実施例3において、チオ安息香酸の代わりにチオ酢酸(東京化成工業製品)2.96gを用い、淡黄色オイル状のチオ酢酸変性ポリブタジエンを定量的に得た。
【0028】
反応生成物の
1H-NMRと
13C-NMRスペクトルから、チオ酢酸の消失と仕込みチオ酢酸の95%以上が液状ポリブタジエンの主鎖中の二重結合と反応していることを確認した。
1H-NMR(CDCl
3、20℃):δ=5.9〜5.7(br)
5.7〜5.3(br)
5.1〜4.9(br)
3.8〜3.6(br)
★
3.1〜2.7(br)
★
2.3(br、s)
★
2.3〜2.0(br)
2.0〜1.2(br)
1.2〜0.9(br)
0.8〜0.6(br)
【0029】
実施例5
実施例1において、液状ゴムの代わりに同量(108g)のポリスチレンブタジエンゴム(旭化成ケミカルズ製品タフデン1000;Mn430000)を用い、またチオ安息香酸量を5.41gに変更して、白色固体状のチオ安息香酸変性ポリスチレンブタジエンゴムを定量的に得た。
【0030】
反応生成物の
1H-NMRと
13C-NMRスペクトルから、チオ安息香酸の消失と仕込みチオ安息香酸の60%以上がポリスチレンブタジエンの主鎖中、側鎖中および末端の少なくとも1個所の二重結合と反応していることを確認した。
1H-NMR(CDCl
3、20℃):δ=8.3〜8.1(m)
7.9(br)
7.8(m)
7.7〜7.4(m、br)
7.3(br)
7.2〜7.0(br)
5.6〜5.5(br)
5.5〜5.2(br)
5.1〜4.9(br)
3.9〜3.7(br)
★
2.6〜2.5(br)
2.3〜2.2(br)
2.2〜1.8(br)
1.8〜1.6(br、m)
【0031】
実施例6
実施例5において、チオ安息香酸の代わりにチオ酢酸(東京化成工業製品)5.41gを用い、白色固体状のチオ酢酸変性ポリスチレンブタジエンゴムを定量的に得た。
【0032】
反応生成物の
1H-NMRと
13C-NMRスペクトルから、チオ酢酸の消失と仕込みチオ酢酸の60%以上がポリスチレンブタジエンの主鎖中、側鎖中および末端の少なくとも1個所の二重結合と反応していることを確認した。
1H-NMR(CDCl
3、20℃):δ=7.3(br)
7.2〜7.0(br)
5.6〜5.5(br)
5.5〜5.2(br)
5.1〜4.9(br)
3.5〜3.2(br)
★
2.6〜2.5(br)
2.4(br、s)
2.3〜2.2(br)
2.2〜1.8(br)
1.8〜1.6(br、m)
【0033】
実施例7
実施例2において、チオ安息香酸の代わりにチオ酢酸カリウム(東京化成工業製品)4.46g(39ミリモル)と塩化アンモニウム(同社製品)2.3g(43ミルモル)とを用い、淡黄色オイル状のチオ酢酸変性ポリイソプレンを定量的に得た。
【0034】
反応生成物の
1H-NMRと
13C-NMRとから、チオ酢酸を用いた実施例2と同様の生成物が得られていることを確認した。
【0035】
実施例8
容量1000mlの一口ナスフラスコ中に、固体状ポリブタジエンゴム(日本ゼオン製品NIPOL BR1200;Mn460,000、シス含有量97%以上)100gおよびトルエン200mlを室温条件下で加え、そのトルエン溶液中にチオ安息香酸(東京化成工業製品)5.00gを滴下し、室温条件下で2時間攪拌した。その後、反応混合物からトルエンを留去し、淡黄色ゴム状のチオ安息香酸変性ポリブタジエンを定量的に得た。
【0036】
反応生成物の
1H-NMRと
13C-NMRスペクトルから、チオ安息香酸の消失と仕込みチオ安息香酸の90%以上が固体状ポリブタジエン中の二重結合と反応していることを確認した。
1H-NMR(CDCl
3、20℃):δ=8.0-7.9(br)
★
7.6〜7.5(br)
★
7.5〜7.3(br)
★
5.7〜5.2(br)
5.1〜4.9(br)
3.9〜3.7(br)
★
2.4〜1.8(br)
1.8〜1.2(br)
【0037】
比較例
SBR(乳化結合SBR;日本ゼオン製品NIPOL 1502) 70質量部
BR(日本ゼオン製品NIPOL BR1220) 30 〃
シリカ(日本シリカ製品ニップシールAQ) 50 〃
シランカップリング剤(エボニック・デグサ製品Si69) 4 〃
カーボンブラック 5 〃
(昭和キャボット製品ショウブラックN339M)
酸化亜鉛(正同化学製品亜鉛華3号) 3 〃
ステアリン酸(日本油脂製品) 1 〃
老化防止剤(住友化学製品アンチゲン6C) 1 〃
オイル(日本シェル石油製品エクストラクト4号S) 6 〃
硫黄(軽井沢精錬所製品油処理硫黄) 2 〃
含S加硫促進剤(三新化学製品サンセラーCM-PO) 1 〃
上記各成分の内、イオウおよび加硫促進剤を除く各成分を容量1.7Lの密閉式バンバリーミキサで5分間混練した後、ミキサ外に放出して室温迄冷却した。そこに、イオウおよび加硫促進剤を加えてオープンロールで混練し、ゴム組成物を得た。
【0038】
このゴム組成物を、所定の金型内で160℃、20分間のプレス加硫を行い、試験片を作製した。この試験片について、次の各項目の測定を行った。なお、ゴム組成物については、ムーニービスおよびスコーチ時間が測定された。
ムーニービス:JIS K6300準拠
L形ロータを使用し、ムーニー粘度ML
1+4 100℃の値を
測定
指数が小さい程良好である
スコーチ時間:JIS K6300準拠
125℃で粘度が5ポイント上昇する時間(分)を測定
指数が大きい程加工性が良好である
硬度:JIS K6255準拠して、直径29mm、厚さ12.5mmの円柱状加硫ゴム
試料を作製し、JIS K6253に準拠して、20℃の条件下でリュブ
ケJIS硬度を測定
指数が大きい程良好である
引張応力、破断伸び:JIS K6251準拠
室温および100℃で測定
指数が大きい程良好である
tanδ:岩本製作所製粘弾性スペクトロメータを用い、伸張変形歪率
10±2%、振動数20Hz、温度0℃および60℃の条件下で測定
tanδ(0℃)は、指数が大きい程ウェットグリップ性能にすぐ
れている
tanδ(60℃)は、指数が小さい程低発熱性であることを示して
いる
【0039】
実施例9〜13
比較例において、BR30質量部の一部が実施例8で得られたチオ安息香酸変性ポリブタジエン(変性BR)で置換して用いられた。得られた測定結果は、BRおよび変性BRの配合量と共に次の表に示される。測定値は、比較例で得られた値を100とする指数で示されている。
表
実施例
比較例 9 10 11 12 13
〔配合量(質量部)〕
BR 30 29.9 29 25 20 −
変性BR − 0.1 1 5 10 30
〔測定値〕
ムーニービス 100 101 100 101 100 101
スコーチ時間 100 100 99 98 94 91
硬度 100 99 101 99 100 99
M100( 20℃) 100 97 98 100 101 100
M100(100℃) 100 99 100 99 102 103
引張強度( 20℃) 100 101 104 106 108 110
引張強度(100℃) 100 102 106 108 110 112
破断伸び( 20℃) 100 101 103 107 107 112
破断伸び(100℃) 100 102 103 106 107 109
tanδ( 0℃) 100 98 97 98 97 96
tanδ(60℃) 100 100 98 100 98 100