(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
水栓装置に内蔵される発電機は、通常、止水、吐水を切り換える電磁弁の下流側に配置される。これは、止水時において、発電機に水道の一次圧が作用すると発電機に不具合が起こりやすいこと、また、電磁弁の上流側にあると発電機のメンテナンスが困難であること等の理由による。
【0006】
このように、発電機の上流側に電磁弁が配置されると、水栓装置本体の基端部の空間は電磁弁によって占有されてしまう。また、水栓装置本体を或る程度小型化するためには、水栓装置本体の概ね鉛直方向に延びる基端部に電磁弁及び発電機の両方を内蔵することは困難である。このため、発電機は、水栓装置本体の鉛直部分から概ね水平方向に延びる部分に内蔵せざるを得なくなる。水栓装置本体のこのような部分に発電機を配置すると、水栓装置の吐水口は、発電機と同程度の高さ、又は、発電機よりも低い位置に配置されることになる。
【0007】
電磁弁の下流側で、吐水口よりも高い位置に発電機を配置された水栓装置においては、初期使用開始前に発電機の内部に滞留していた空気の一部が、使用開始後も水流により完全には排出されずに発電機内に滞留する。また、このような水栓装置においては、長期間水栓装置が止水状態にされた場合には、水栓装置内の電磁弁の下流側の通水路に満たされていた水道水が蒸発して減量し、これと入れ替わりに通水路内に空気が侵入して発電機内に滞留する。或いは、止水状態に切り換えられた後、発電機内に満たされていた水道水が、吐水口を通って流れ落ち、これと入れ替わるように外気が吐水口を通って発電機の内部に侵入する場合もある。
【0008】
このように、発電機内に侵入した空気、及び初期使用開始前から発電機内に滞留していた空気は、吐水状態に切り換えられた後も、水道水の流れにより完全に押し出されることはなく、吐水状態においても発電機の内部に滞留してしまう。また、羽根車式の発電機により必要な電力を生成するためには、羽根車の直径をある程度大きくする必要がある。一方、発電機を水栓装置の内部に収納するためには、発電機を小型化する必要がある。このため、通常、発電機は、発電機内の通水路のうち、羽根車を収納している部分が直径の大きい拡径部として構成される。従って、発電機を水栓装置の内部に、概ね水平方向に配置した場合には、発電機の内部に滞留した空気は、羽根車を収納した拡径部の上部に溜まりやすくなる。
【0009】
発電機の羽根車を収納している拡径部内に空気が滞留していると、発電機が内部を流れる水流のエネルギーを十分に受けることができなくなり、発電効率が低下するという問題がある。また、発電機内に滞留している空気が動くことにより、発電量が不安定に変化したり、場合によっては発電機に不具合を生じることがある。さらに、拡径部内に空気が滞留していると、羽根車に作用する荷重が羽根車の回転軸回りに不均一になり、回転する羽根車の振動が大きくなるので、異音を発生する原因となる場合もある。
【0010】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、発電機内に滞留している空気を排出しやすくすることにより、発電機を安定に動作させることができる水栓装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明は、内蔵された発電機の電力により電磁弁を駆動して止水、吐水を切り換える水栓装置であって、水栓装置本体と、この水栓装置本体の内部に配置され、止水、吐水を切り換える電磁弁と、この電磁弁を通過した水を吐出させる吐水口が形成された吐水口形成部と、水栓装置本体内に配置されると共に、流入した水が流れる発電機通水路、この発電機通水路に設けられた拡径部、及びこの拡径部の中に配置された羽根車を備え、電磁弁を通過した水の流れにより羽根車を回転させて電磁弁を駆動する電力を生成する羽根車式の発電機と、発電機に鉛直方向の振動を励起させることにより、拡径部に滞留した気泡を拡径部の内壁面から引き離し、発電機から気泡が排出されるように、発電機を水栓装置本体に対して支持する振動励起手段と、を有し、発電機は、その振動が許容されるように、水栓装置本体の内壁面との間に、発電機の周囲全体に亘って空間が形成されるように配置され
、振動励起手段は発電機を容易に振動できるように支持する弾性部材により構成され、発電機は、発電用マグネット及び発電用コイルを備え、羽根車の回転により発電用マグネットと発電用コイルが相対的に回転されると、発電用マグネットと発電用コイルの間に発生する電磁力により発電機の振動が励起され、弾性部材は、発電機の振動が、吐水口に近い側よりも電磁弁に近い側が大きくなるように、発電機を支持することを特徴としている。
【0012】
このように構成された本発明においては、電磁弁を通過した水は発電機に流入し、発電機は、電磁弁を通過した水の流れにより羽根車を回転させて電磁弁を駆動する電力を生成する。発電機から流出した水は吐水口から吐出される。振動励起手段は、発電機に鉛直方向の振動を励起させることにより、拡径部に滞留した気泡を拡径部の内壁面から引き離し、発電機から気泡が排出されるように、発電機を水栓装置本体に対して支持する。
【0013】
このように構成された本発明によれば、振動励起手段が発電機に振動を励起させ、発電機から気泡を排出させるので、初期使用開始前から発電機内に残留している空気、又は止水時に発電機内に侵入した空気の排出が促進され、発電機を安定に動作させることができる。この結果、発電機は安定した電力を生成することができると共に、内部に空気が滞留し続けることによる異音の発生を防止することができる。また、発電機は、水栓装置本体の内壁面との間に、発電機の周囲全体に亘って空間が形成されるように配置されているので、発電機に振動が励起されても、発電機の振動が水栓装置本体の内壁面を振動させて異音が発生するのを防止することができる。
【0015】
このように構成された本発明によれば、発電機を容易に振動できるように支持しておくことにより、発電用マグネットと発電用コイルの間に発生する電磁力により発電機の振動が励起されるので、特別な加振手段を設けることなく、効果的に発電機の振動を励起することができる。このため、振動励起手段を設けることが、水栓装置のデザインに影響を与えることがなく、デザイン自由度を向上させることができる。このデザイン自由度の向上は、市場においてデザインが大きなファクターとなる水栓装置において、特に重要である。
【0016】
このように構成された本発明によれば、吐水口に近い側よりも電磁弁に近い側の発電機の振動が大きくなるので、吐水される水流の乱れを少なくすることができる。また、水栓装置本体の先端部に近く剛性を確保しにくい吐水口側の振動が小さくなるので、水栓装置本体の振動をより抑制することができる。
【0017】
また、本発明
は、内蔵された発電機の電力により電磁弁を駆動して止水、吐水を切り換える水栓装置であって、水栓装置本体と、この水栓装置本体の内部に配置され、止水、吐水を切り換える電磁弁と、この電磁弁を通過した水を吐出させる吐水口が形成された吐水口形成部と、水栓装置本体内に配置されると共に、流入した水が流れる発電機通水路、この発電機通水路に設けられた拡径部、及びこの拡径部の中に配置された羽根車を備え、電磁弁を通過した水の流れにより羽根車を回転させて電磁弁を駆動する電力を生成する羽根車式の発電機と、発電機に鉛直方向の振動を励起させることにより、拡径部に滞留した気泡を拡径部の内壁面から引き離し、発電機から気泡が排出されるように、発電機を水栓装置本体に対して支持する振動励起手段と、を有し、発電機は、その振動が許容されるように、水栓装置本体の内壁面との間に、発電機の周囲全体に亘って空間が形成されるように配置され、振動励起手段は発電機を容易に振動できるように支持する弾性部材により構成され、発電機は、発電用マグネット及び発電用コイルを備え、羽根車の回転により発電用マグネットと発電用コイルが相対的に回転されると、発電用マグネットと発電用コイルの間に発生する電磁力により上記発電機の振動が励起され、さらに、電磁弁を通過した水を、発電機に導く電磁弁側通水路形成部材と、発電機を通過した水を、吐水口の方に導く吐水口側通水路形成部材と、を有し、弾性部材は、電磁弁側通水路形成部材と発電機の間の水密性を確保すると共に、電磁弁側通水路形成部材と発電機の相対変位を許容する第1弾性部材と、吐水口側通水路形成部材と発電機の間の水密性を確保すると共に、吐水口側通水路形成部材と発電機の相対変位を許容する第2弾性部材と、電磁弁側通水路形成部材を水栓装置本体に連結すると共に、電磁弁側通水路形成部材と水栓装置本体の相対変位を許容する第3弾性部材と、吐水口側通水路形成部材を水栓装置本体に連結すると共に、吐水口側通水路形成部材と水栓装置本体の相対変位を許容する第4弾性部材から構成され、発電機が振動される際の、第3、第4弾性部材の変形量は、第1、第2弾性部材の変形量よりも大きい
ことを特徴としている。
【0018】
このように構成された本発明においては、電磁弁を通過した水は、電磁弁側通水路形成部材を通って発電機に流入する。発電機から流出した水は、吐水口側通水路形成部材により吐水口に導かれ、吐水口から吐出される。発電機の電磁弁側は、第1弾性部材を介して電磁弁側通水路形成部材に接続され、電磁弁側通水路形成部材は、第3弾性部材を介して水栓装置本体に連結される。一方、発電機の吐水口側は、第2弾性部材を介して吐水口側通水路形成部材に接続され、吐水口側通水路形成部材は、第4弾性部材を介して水栓装置本体に連結される。
【0019】
このように構成された本発明によれば、発電機の電磁弁側は、第1弾性部材、第3弾性部材を介して水栓装置本体に連結され、発電機の吐水口側は、第2弾性部材、第4弾性部材を介して水栓装置本体に連結されるので、発電機の振動を許容しながら、発電機の振動により水栓装置本体が加振され、異音が発生するのを抑制することができる。なお、特開2008−248474号公報記載の発明においても、発電機とこれに連結される配管の間にはOリング等のシール材が配置されているが、このシール材では、発電機の十分な振動ストロークを確保することができず、伝達される振動を十分に抑制することができない。また、発電機と配管の間のシール材で大きな振動ストロークを確保しようとすると、発電機の振動によりシール不良が発生して水漏れの原因となると共に、シール材の耐久性が低下するという問題がある。上記のように構成された本発明の水栓装置によれば、発電機と、これに接続する部材の間に配置されている第1、第2弾性部材と、接続された部材と水栓装置本体の間に配置されている第3、第4弾性部材の2段階で振動の伝達を抑制している。これにより、水密性を確保するための第1、第2弾性部材を振動の抑制に利用しながら、十分に振動の伝達を抑制することができる。また、振動ストロークの確保を2段階で行っているため、水密性の低下や、弾性部材の耐久性の悪化を回避することができる。また、第3、第4弾性部材の変形量が、第1、第2弾性部材の変形量よりも大きくなるように構成されているので、大きな振動ストロークを確保しながら、水密性の低下を防止することができる。
【0020】
本発明において、好ましくは、羽根車は、第3弾性部材と第4弾性部材の間の、第3弾性部材に近い側に配置されている。
このように構成された本発明によれば、羽根車が第3弾性部材に近い側に配置されているので、加振源となる羽根車の振動を大きくすることができる。また、吐水口側の変位を相対的に小さくすることにより、吐水口の過剰な変位を抑制することができ、発電機の振動により吐水が大きく振動されるのを防止することができる。
【0021】
本発明において、好ましくは、発電機の拡径部は、第3弾性部材と第4弾性部材の間の、第3弾性部材に近い側に配置されている。
このように構成された本発明によれば、気泡が滞留しやすい拡径部の振動を大きくすることができるので、より確実に気泡を拡径部の内壁面から引き離し、発電機から気泡を排出させることができる。
【0022】
本発明において、好ましくは、発電機通水路は、拡径部の上部が最も鉛直上方に位置するように形成されており、発電機通水路内に滞留した気泡は、拡径部の上部に集められる。
このように構成された本発明によれば、発電機通水路内に滞留した気泡が拡径部の上部に集められるので、拡径部の内壁面から集められた気泡を引き離し、拡径部に配置されている羽根車により、気泡を効果的に排出させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の水栓装置によれば、発電機内に滞留している空気を排出しやすくすることにより、発電機を安定に動作させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態による水栓装置全体を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態の水栓装置1は、水栓装置本体2と、水栓装置本体2の本体基端部2aに設けられた温度調節用ツマミ4と、水栓装置本体2の本体水平部2bの先端部に設けられた吐水口6と、本体水平部2bの先端に設けられた人感センサー8と、を有する。
【0026】
本実施形態の水栓装置1は、その本体基端部2aが洗面台の上端面等の設置面9に固定され、使用者が吐水口6の下方に手指をかざすと、人感センサー8がこれを検知し、内蔵された電磁弁が自動的に開放されて吐水口6から吐水されるように構成されている。また、人感センサー8が手指を検出しなくなると、自動的に電磁弁が閉鎖されて止水状態となる。さらに、温度調節用ツマミ4を調節することにより、吐出される湯水の温度が調節できるように構成されている。
【0027】
次に、
図1乃至
図16を参照して、本発明の実施形態による水栓装置1の構成を説明する。
図2は、本実施形態の水栓装置1の内部構造を概略的に示すブロック図である。
図3は、水栓装置1の側面断面図である。
図4は、
図3のIV−IVに沿う平面断面図である。
図5は、水栓装置1に内蔵された発電機の分解斜視図である。
図6は、内蔵されている発電機を拡大して示す断面図である。
図7は発電機に内蔵されている羽根車及びそれに関連する部品を示した斜視図であり、
図8はその分解斜視図である。
図9は、発電機に内蔵されている羽根車の(a)斜視図及び(b)断面図である。
図10は、発電機を水栓装置本体に対して支持するゴムブッシュの断面図である。
図11は、水栓装置1の吐水口付近を拡大して示す断面図である。
【0028】
図1に示すように、水栓装置本体2は金属製であり、設置面9に固定される本体基端部2aと、この本体基端部2aと一体に形成され、その上端からほぼ水平に延びる本体水平部2bと、を有する。本体基端部2aは、概ね正方形断面の箱形であり、設置面9からほぼ鉛直方向に延びるように固定される。本体水平部2bは、上方が開放された箱形であり、本体基端部2aの上端からほぼ水平方向に延び、先端部には吐水口6が設けられている。また、本体水平部2b上方の開放部2d(
図12)には、本体蓋部2eが着脱可能に取り付けられ、覆われている。
【0029】
図2に示すように、水栓装置本体2には、温度調節バルブ10と、電磁弁12と、羽根車式の発電機14と、コントローラ16が内蔵されている。なお、温度調節バルブ10の上流側にフィルタ(図示せず)を設けることができる。また、電磁弁12と発電機14の間に、定流量弁(図示せず)を設けることができる。
【0030】
温度調節バルブ10は、水栓装置本体2の本体基端部2aに内蔵され、湯供給管18a及び水供給管18bが接続されている。温度調節バルブ10は、各供給管から夫々供給された湯及び水を、温度調節用ツマミ4の設定に基づいて混合し、適温の湯水に調節して流出させるように構成されている。この温度調節バルブ10は一般的なものであるため、詳細な構成の説明は省略する。
【0031】
電磁弁12は、水栓装置本体2の本体基端部2aに内蔵され、温度調節バルブ10により混合された湯水が流入するように、温度調節バルブ10の下流側に接続されている。また、電磁弁12は、コントローラ16から送られる制御信号に基づいて開閉されるように構成されている。この電磁弁12は一般的なものであるため、詳細な構成の説明は省略する。
【0032】
発電機14は、水栓装置本体2の本体水平部2bに、概ね水平方向に向けて配置されている。発電機14は、電磁弁12を通過した湯水が電磁弁側配管20を通って流入し、発電機14を通過した湯水は吐水口側配管22を通って吐水口6から吐出されるように接続されている。発電機14により生成された電力は、電磁弁12、コントローラ16、人感センサー8等を作動させるために使用される。発電機14の内部構造は後述する。
【0033】
コントローラ16は、人感センサー8から入力された検出信号に基づいて、電磁弁12を開閉する制御信号を発生するように構成されている。具体的には、コントローラ16は、マイクロプロセッサ、メモリ、及びこれらを作動させるプログラム等(図示せず)により構成されている。
【0034】
図3乃至9に示すように、発電機14は、発電機通水路形成部材24と、この発電機通水路形成部材24の内部に配置された羽根車26と、この羽根車26に取り付けられた発電用マグネット28と、羽根車26を回転可能に支持する羽根車回転軸30と、発電機通水路形成部材24の外側に配置された発電用コイル32と、を有する。また、
図3及び
図4に示すように、発電用コイル32、発電用マグネット28、及び羽根車26の羽根26aは、吐水口6に近い側から羽根車回転軸30に沿って、この順序で並んで配置されている。
【0035】
図6に示すように、発電機通水路形成部材24は、内部に概ね円筒形の通水路を形成する拡径部である大径部24aと、大径部24aよりも細い概ね円筒形の通水路を形成する小径部24bと、大径部24aと小径部24bを接続する変形許容部である段部24cと、を有する。これらの大径部24a及び小径部24bは、それらの内部に発電機通水路を構成する。また、大径部24aと段部24cが接合するコーナー部24eは、大径部24aと段部24cが滑らかに連なるように、Rが付けられ、即ち、円弧状の断面をもつように形成されている。大径部24aと、大径部24aの下流側端部の段部24cが滑らかに連なることにより、大径部24aに滞留していた気泡は、円滑に大径部24aから下流の小径部24bへ排出される。本実施形態において、コーナー部24eは、気泡の排出を促進する排出促進手段として機能する。
【0036】
大径部24aの内部には、羽根車26が回転可能に配置されている。羽根車26は、その羽根車回転軸30が大径部24aの中心軸線と一致するように配置されており、発電機通水路内に湯水が流れると羽根車回転軸30を中心に回転されるように構成されている。また、
図3及び
図4に示すように、発電機通水路形成部材24は、その中心軸線が概ね水平方向に向くように配置されている。このため、水栓装置1の止水時において吐水口6から外気が侵入した場合には、外気は、大径部24a内側上部の空気溜チャンバ24dに集まる。即ち、空気溜チャンバ24dは、水栓装置本体2内の通水路において最も上方に位置する空間であり、侵入した空気は通水路内で浮き上がり、空気溜チャンバ24dに集まるようになっている。
【0037】
小径部24bは、大径部24aよりも直径が小さい管であり、その中心軸線が大径部24aの中心軸線と一致するように形成されている。また、小径部24bの上流端には、羽根車回転軸30の下流端側を支持する軸受部34が配置されている。即ち、軸受部34は、段部24cに隣接して配置されている。
【0038】
段部24cは、中心軸線に対して直交する方向の壁面によって、大径部24aと小径部24bを接続するように形成されている。本実施形態においては、この段部24cは肉厚が薄く形成されており、発電機通水路形成部材24に力が作用した場合には、主に段部24cが変形されるように構成されている。
【0039】
軸受部34は、小径部24bの内側にはめ込まれる概ね円柱形の部材であり、その中心軸線上には、羽根車回転軸30を受け入れる軸受穴34aが設けられ、その周囲には、湯水を通過させる貫通孔34bが複数設けられている。上記のように、軸受部34は段部24cに隣接して配置されており、これにより段部24cの変形量を制限するように作用する。
【0040】
一方、
図6乃至9に示すように、羽根車回転軸30の上流端側は、ノズルケース36の中央に設けられた軸受穴36aによって回転可能に支持されている。ノズルケース36は、円形の浅いカップ形の板であり、その中心に軸受穴36aが設けられている。ノズルケース36は、大径部24aの内部に、通水路の中央部を塞ぐように配置された概ねカップ形の部材である。上流側から大径部24aに流入した湯水はノズルケース36によって大径部24aの周辺部に誘導され、ノズルケース36の外周部と大径部24aの内壁面との間の隙間を下流側に流れる。次いで、湯水は、ノズルケース36の側面に設けられた噴射口36bから大径部24aの中央に向かって流れ、羽根車26を回転させる。即ち、噴射口36bは、大径部24aの周辺部から羽根車26に向けて水を噴射する。
また、金属製の羽根車回転軸30が羽根車26を貫通してノズルケース36から軸受部34まで、段部24cを横断するように延びている。このため、段部24cの変形量が、羽根車回転軸30により制限される。
【0041】
図6乃至
図8に示すように、羽根車26は、概ね円筒形の部材であり、その中心軸線に沿って羽根車回転軸30が取り付けられている。羽根車26の上流端側には、羽根26aが設けられており、ノズルケース36の周縁から中央に向かう湯水の流れによって羽根車26が回転されるようになっている。また、羽根車26の内部には、軸線方向に貫通した羽根車通水路26bが設けられており、周縁から中央に集まった湯水が、この羽根車通水路26bを通って小径部24bに流入するようになっている。
【0042】
さらに、羽根車26の外周は、その下流側が縮径されており、この縮径部分に円環状の発電用マグネット28が取り付けられている。従って、発電用マグネット28を、羽根車回転軸30の方向に投影すると、この投影は、羽根車26の羽根26aの一部に重なる。即ち、発電用マグネット28と羽根車26の羽根26aは、羽根車回転軸30の方向に投影において一部が重なっている。
【0043】
図9に示すように、噴射口36bは、ノズルケース36の側面に、円周方向に等間隔に3つ設けられている。即ち、各噴射口36bは、羽根車回転軸30を中心とする円の円周方向に等間隔に形成されている。湯水は、噴射口36bから、羽根車26の外側円周のほぼ接線方向に噴射され、羽根車回転軸30に直交する方向に羽根車26の羽根26aに当たって羽根車26を回転させる。羽根26aに当たった湯水は、羽根車26の中心に向かって流れた後、羽根車26中央の羽根車通水路26bに流入し、羽根車通水路26b内を水平方向に流れる。
【0044】
発電用マグネット28は、概ね円環状に構成されており、その円周に沿ってN極とS極が交互に形成されている。
発電用コイル32は、円環状に形成されており、発電機通水路形成部材24の小径部24bを取り囲むように配置されている。また、発電用コイル32の上流側の端部は発電機通水路形成部材24の段部24cに当接されている。発電用コイル32が段部24cに当接されていることにより、発電機14が振動された場合における段部24c(変形許容部)の変形量が制限される。発電用コイル32と発電用マグネット28は、発電機通水路形成部材24の軸線方向に並んで配置されており、発電用マグネット28が羽根車26と共に回転されると、発電用コイル32に起電力が発生する。このように、発電機14には上流側から順に羽根車26、発電用マグネット28、発電用コイル32が配置されている。
【0045】
さらに、
図5に示すように、発電機14は、防水カバー38と、磁極片40を有する。
防水カバー38は、発電機通水路形成部材24の一部を覆うように取り付けられる概ね円筒状の部材である。防水カバー38は、小径部24bの上流側の部分から大径部24aの下流側の部分まで延びて、これらの一部を覆うように配置される。また、発電用コイル32及び磁極片40は、発電機通水路形成部材24の外面と防水カバー38の内面の間の空間に収容され、発電機14が振動された際の磁極片40の位置ずれが防止される。また、防水カバー38は、発電用コイル32が防水カバー38と発電機通水路形成部材24の段部24cとの間に挟まれて固定されるように寸法決めされている。防水カバー38と大径部24a間、及び防水カバー38と小径部24bの間には夫々Oリングが配置されており、防水カバー38の内部に湯水が侵入しないようになっている。また、防水カバー38は、小径部24bから大径部24aまで、段部24cを横断するように配置されているので、発電機14が振動された際の段部24cの変形量を制限する。
【0046】
磁極片40は、磁性材の薄板で構成されており、発電用コイル32の内周側及び外周側を取り囲むように形成されている。また、磁極片40は、発電用コイル32から大径部24aを取り囲むように延びる複数の爪部40aを有する。各爪部40aは、大径部24aの外周面に接触するように、大径部24aの軸線方向に延びている。大径部24aの内側には発電用マグネット28が収容されているので、磁極片40は発電用コイル32から発電用マグネット28の周囲に延びることになり、発電用マグネット28の磁気は磁極片40の爪部40aを介して発電用コイル32に誘導される。即ち、磁極片40と発電用マグネット28は、羽根車回転軸30を中心とする円の半径方向に対向するように配置されると共に、この円の半径方向に磁気を伝達する。また、磁極片40の各爪部40aが大径部24aを取り囲むように延びているので、段部24cの変形量が、磁極片40により制限される。
【0047】
次に、
図3、4、10及び11を参照して、発電機14の固定構造を説明する。
図4に示すように、発電機通水路形成部材24の小径部24bの先端には、吐水口側通水路形成部材42が接続されている。この吐水口側通水路形成部材42は吐水口側配管22(
図2)として機能する。また、吐水口側通水路形成部材42の両側面には、吐水口側支持ブラケット42aが形成されている。さらに、吐水口側通水路形成部材42と小径部24bの間には、パッキン42bが配置されており、小径部24bと吐水口側通水路形成部材42の間の水密性が確保されている。このパッキン42bにより、発電機14の小径部24bと吐水口側通水路形成部材42の間の僅かな相対変位が許容される。なお、パッキン42bは、第2弾性部材として機能する。
【0048】
また、
図11に示すように、吐水口側通水路形成部材42の先端には、吐水口形成部である吐水口形成リング44、及び整流部材46が取り付けられている。吐水口形成リング44は円筒状の部材であり、小径部24b、吐水口側通水路形成部材42を通過した湯水が吐水口形成リング44の内側を通って吐出される。吐水口形成リング44は、水栓装置本体2の先端部に設けられた吐水口配置開口2cの内側に配置される。この吐水口配置開口2cと吐水口形成リング44の間には隙間が設けられ、吐水口形成リング44は、水栓装置本体2と接触しないように固定されている。また、吐水口形成リング44の下端は、吐水口配置開口2cよりも内側に引っ込んで位置決めされている。さらに、吐水口形成リング44の外周面と吐水口配置開口2cの間の隙間は、隙間カバー48によって覆われている。さらに、吐水口側通水路形成部材42は、支点形成部材である支持用パッキン50を介して水栓装置本体2と接触している。このように、吐水口側通水路形成部材42は、支持用パッキン50により弾性支持される。
【0049】
一方、
図4に示すように、発電機通水路形成部材24の大径部24aには、段付き円筒状の第1電磁弁側通水路形成部材52、及び第2電磁弁側通水路形成部材54が挿入され、第2電磁弁側通水路形成部材54には第3電磁弁側通水路形成部材56が接続されている。これら第1電磁弁側通水路形成部材52、第2電磁弁側通水路形成部材54及び第3電磁弁側通水路形成部材56は、電磁弁側配管20として機能する。なお、
図3に示すように、第3電磁弁側通水路形成部材56の上流側の端部は、温度調節バルブ10及び電磁弁12を収容し、本体基端部2aの中に配置されたベース部材59に接続されている。
【0050】
また、第3電磁弁側通水路形成部材56には磁弁側支持ブラケット56aが設けられている。大径部24aと第1電磁弁側通水路形成部材52の間にはパッキン52aが配置され、第1電磁弁側通水路形成部材52と第2電磁弁側通水路形成部材54の間にはパッキン54aが配置され、第2電磁弁側通水路形成部材54と第3電磁弁側通水路形成部材56の間にはパッキン56bが配置されており、これらの部材の間の水密性が確保されている。
【0051】
また、パッキン52aにより、発電機14の大径部24aと第1電磁弁側通水路形成部材52の間の僅かな相対変位が許容されると共に、これらの間の水密性が確保される。パッキン54aにより、第1電磁弁側通水路形成部材52と第2電磁弁側通水路形成部材54の間の僅かな相対変位が許容されると共に、これらの間の水密性が確保される。パッキン56bにより、第2電磁弁側通水路形成部材54と第3電磁弁側通水路形成部材56の間の僅かな相対変位が許容されると共に、これらの間の水密性が確保される。なお、パッキン52a、パッキン54a及びパッキン56bは、第1弾性部材として機能する。
【0052】
このように、吐水口側配管22には、吐水口側通水路形成部材42と小径部24bの間にパッキン42bが配置されているのに対し、電磁弁側配管20には、各電磁弁側通水路形成部材の間にパッキン52a、パッキン54a及びパッキン56bが配置されている。このため、電磁弁側配管20の方が吐水口側配管22よりもパッキンによる変形の余地が大きく、電磁弁側配管20の方が吐水口側配管22よりも容易に変形可能に構成されている。また、発電機通水路形成部材24の小径部24bと、吐水口側通水路形成部材42との間のパッキン42bを介した接続部は、吐水口側配管22と発電機14の間の屈曲を許容する屈曲許容部として機能する。
【0053】
次に、
図3、4及び
図10を参照して、発電機14の水栓装置本体2に対する取り付け構造を説明する。
図10(a)は吐水口側通水路形成部材42の吐水口側支持ブラケット42aの支持構造を示す断面図であり、
図10(b)は第3電磁弁側通水路形成部材56の電磁弁側支持ブラケット56aの支持構造を示す断面図である。
【0054】
図3及び4に示すように、発電機14は、発電機14とは別体の部材である吐水口側通水路形成部材42の吐水口側支持ブラケット42a、及び第3電磁弁側通水路形成部材56の電磁弁側支持ブラケット56aを介して水栓装置本体2に取り付けられている。また、取り付けられた発電機14と水栓装置本体2の内壁面との間、即ち、発電機14と本体水平部2bの内側面の間、及び発電機14と本体蓋部2eの裏面の間には、発電機14の周囲全体に亘って空間が形成されている。このため、発電機14の振動が許容されると共に、振動する発電機14が水栓装置本体2に直接当たることによる異音の発生が防止される。
【0055】
図10(a)に示すように、吐水口側支持ブラケット42aは、第4弾性部材である吐水口側ゴムブッシュ58を介して、ビス58aにより水栓装置本体2に取り付けられている。また、
図10(b)に示すように、電磁弁側支持ブラケット56aは、第3弾性部材である電磁弁側ゴムブッシュ60を介して、ビス60aにより水栓装置本体2に取り付けられている。また、
図3に示すように、吐水口側ゴムブッシュ58と電磁弁側ゴムブッシュ60は、ほぼ同じ高さに配置されている。即ち、吐水口側ゴムブッシュ58と電磁弁側ゴムブッシュ60を結ぶ直線は、ほぼ水平方向に向けられている。
【0056】
なお、吐水口側ゴムブッシュ58及び電磁弁側ゴムブッシュ60は、振動励起手段を構成する。即ち、発電機14は、吐水口側ゴムブッシュ58及び電磁弁側ゴムブッシュ60により、非常に振動しやすい状態に支持される。一方、発電機14においては、羽根車26と共に発電用マグネット28が回転され、固定されている発電用コイル32との間に相対的な回転が発生する。これにより、発電用コイル32に起電力が発生すると共に、発電用マグネット28と発電用コイル32の間には、羽根車回転軸30に直交する方向の電磁力が発生する。この電磁力は発電用マグネット28と発電用コイル32の間の相対的な回転位置により変化するので、発電用マグネット28が回転されると電磁力は振動的に変化する。この振動的な力と、発電機14の振動励起手段による支持の相乗効果により、発電機14には羽根車回転軸30に直交する方向の振動が励起される。特に、本実施形態においては、発電用コイル32として単層のコイルを採用することにより、発生する電磁力の変動が大きくされており、発電機14の振動を効果的に励起することができる。
【0057】
図10(a)に示すように、吐水口側ゴムブッシュ58は、支持ブラケットである吐水口側支持ブラケット42aの上面に位置する上面部分58b、吐水口側支持ブラケット42aの下面に位置する下面部分58c、及びビス58aの周囲に位置する周囲部分58dから形成されている。即ち、上面部分58bは吐水口側支持ブラケット42aの上面と、ビス58aの頭との間に挟まれる部分であり、下面部分58cは吐水口側支持ブラケット42aの下面と、水栓装置本体2の本体水平部2bとの間に挟まれる部分である。また、周囲部分58dはビス58aの軸部分と、吐水口側支持ブラケット42aの穴の内壁面との間に挟まれる部分である。
【0058】
従って、発電機14及び吐水口側通水路形成部材42が鉛直方向に変位された場合には、主に、吐水口側ゴムブッシュ58の上面部分58b及び下面部分58cが弾性変形される。一方、発電機14及び吐水口側通水路形成部材42が水平方向に変位された場合には、主に、吐水口側ゴムブッシュ58の周囲部分58dが弾性変形される。また、吐水口側ゴムブッシュ58の上面部分58b及び下面部分58cの厚さは、周囲部分58dの厚さよりも厚いので、吐水口側支持ブラケット42aは、水平方向よりも鉛直方向に、より容易に変位される。即ち、吐水口側支持ブラケット42aを鉛直方向に押圧した場合の吐水口側支持ブラケット42aの変位量は、同じ力で水平方向に押圧した場合の変位量よりも大きくなる。
【0059】
さらに、ビス58aの軸部の周囲には、吐水口側支持ブラケット42aと整合する位置に、環状の、三角形断面の突起58eが形成されている。この突起58eが設けられていることにより、吐水口側支持ブラケット42aが水平方向に押圧された場合でも、吐水口側支持ブラケット42aは鉛直方向にも変位される。即ち、水平方向の押圧力により、周囲部分58dが突起58eの斜面上を上方又は下方に滑るように移動され、これが吐水口側支持ブラケット42aに鉛直方向の変位を発生させる。従って、吐水口側支持ブラケット42aに水平方向の加振力が作用した場合でも、この加振力の一部は鉛直方向に変換され、吐水口側支持ブラケット42aには鉛直方向成分をもつ振動が励起される。
【0060】
同様に、
図10(b)に示すように、電磁弁側ゴムブッシュ60は、支持ブラケットである電磁弁側支持ブラケット56aの上面に位置する上面部分60b、電磁弁側支持ブラケット56aの下面に位置する下面部分60c、及びビス60aの周囲に位置する周囲部分60dから形成されている。
【0061】
従って、発電機14及び第3電磁弁側通水路形成部材56が鉛直方向に変位された場合には、主に、電磁弁側ゴムブッシュ60の上面部分60b及び下面部分60cが弾性変形される。一方、発電機14及び第3電磁弁側通水路形成部材56が水平方向に変位された場合には、主に、電磁弁側ゴムブッシュ60の周囲部分60dが弾性変形される。また、電磁弁側ゴムブッシュ60の上面部分60b及び下面部分60cの厚さは、周囲部分60dの厚さよりも厚いので、電磁弁側支持ブラケット56aは、水平方向よりも鉛直方向に、より容易に変位される。即ち、電磁弁側支持ブラケット56aを鉛直方向に押圧した場合の電磁弁側支持ブラケット56aの変位量は、同じ力で水平方向に押圧した場合の変位量よりも大きくなる。
【0062】
さらに、ビス60aの軸部の周囲には、電磁弁側支持ブラケット56aと整合する位置に、環状の、三角形断面の突起60eが形成されている。この突起60eが設けられていることにより、電磁弁側支持ブラケット56aが水平方向に押圧された場合でも、電磁弁側支持ブラケット56aは鉛直方向にも変位される。即ち、水平方向の押圧力により、周囲部分60dが突起60eの斜面上を上方又は下方に滑るように移動され、これが電磁弁側支持ブラケット56aに鉛直方向の変位を発生させる。従って、電磁弁側支持ブラケット56aに水平方向の加振力が作用した場合でも、この加振力の一部は鉛直方向に変換され、電磁弁側支持ブラケット56aには鉛直方向成分をもつ振動が励起される。このため、発電機14がランダムな方向の加振力を受けた場合でも、発電機14は、鉛直方向に大きく振動される。
【0063】
ここで、電磁弁側ゴムブッシュ60の上面部分60b及び下面部分60cは、吐水口側ゴムブッシュ58の上面部分58b及び下面部分58cよりも厚く形成されている。従って、一定の大きさの弾性変形を起こさせるために必要な力は、電磁弁側ゴムブッシュ60の方が吐水口側ゴムブッシュ58よりも小さくなる。換言すれば、一定の距離だけ上方又は下方に変位させるために必要な力は、電磁弁側支持ブラケット56aの方が、吐水口側支持ブラケット42aよりも小さくなるように構成されている。
【0064】
このようにパッキン52a、54a、56b(第1弾性部材)、パッキン42b(第2弾性部材)、吐水口側ゴムブッシュ58(第4弾性部材)及び電磁弁側ゴムブッシュ60(第3弾性部材)を構成し、配置することにより、発電機14は、吐水口6に近い下流側よりも電磁弁12に近い上流側の方がより大きく振動されるように支持される。また、吐水口側ゴムブッシュ58及び電磁弁側ゴムブッシュ60の変形量は、パッキン52a、54a、56b及びパッキン42bの変形量よりも大きくなるように構成されている。さらに、羽根車26の羽根26aは、吐水口側ゴムブッシュ58よりも、電磁弁側ゴムブッシュ60の近くに位置するため、さらに発電機14は、その上流側が振動されやすくなっている。
【0065】
また、吐水口側ゴムブッシュ58及び電磁弁側ゴムブッシュ60は、主に、発電機14の鉛直方向の振動を許容するように構成されている。これに対して、
図11に示すように、吐水口側通水路形成部材42を弾性支持する支持用パッキン50は、水平に対して傾斜した平面上に配置されている。このため、支持用パッキン50は、鉛直方向に対して傾斜した方向の振動を主に許容するように作用し、この方向の振動と比較して、鉛直方向の振動に対しては、支持用パッキン50は振動を拘束する。これにより、発電機14は、鉛直方向の振動に対し、支持用パッキン50を概ね支点として振動し、支持用パッキン50から離れるほど発電機14の上下方向の振動の振幅が大きくなる。この上下方向の振動は、吐水口側ゴムブッシュ58及び電磁弁側ゴムブッシュ60によって許容される。一方、支持用パッキン50の下流側の振動については、吐水口側通水路形成部材42の下流側に取り付けられた吐水口形成リング44は、吐水口配置開口2cに対して隙間を空け、水栓装置本体2と接触しないように取り付けられているので、拘束されることがない。なお、吐水口形成リング44の下端は、発電機14よりも支持用パッキン50の近くに位置するので、支持用パッキン50を支点とする振動の振幅は、吐水口形成リング44の下端よりも発電機14の方が大きくなる。
【0066】
次に、
図3、4及び
図12を参照して、本発明の実施形態による水栓装置1の組み立て手順を説明する。
図12は、水栓装置本体2の本体水平部2bから、本体蓋部2eを取り外した状態を示す斜視図である。
まず、
図3に示すように、水栓装置1を組み立てる場合には、発電機14の上流側に、第1電磁弁側通水路形成部材52、第2電磁弁側通水路形成部材54、第3電磁弁側通水路形成部材56を、各部材の間に夫々パッキンを介して取り付ける。一方、発電機14の下流側には、吐水口側通水路形成部材42を、パッキンを介して取り付ける。このようにして組み立てられた発電機14を含むユニットを、本体水平部2bの上方の開放部2dから、本体水平部2bの中に配置し、取り付ける。即ち、第3電磁弁側通水路形成部材56の下端部を、Oリングを介してベース部材59に挿入する。また、吐水口側通水路形成部材42と、本体水平部2bの間には、支持用パッキン50(
図11)を配置する。
【0067】
組み立てられたユニットを本体水平部2bの適所に配置した後、ビス58aにより吐水口側支持ブラケット42aを本体水平部2bに固定すると共に、ビス60aにより電磁弁側支持ブラケット56aを本体水平部2bに固定する。即ち、吐水口側通水路形成部材42を吐水口側ゴムブッシュ58を介して本体水平部2bに着脱可能に連結すると共に、第3電磁弁側通水路形成部材56を電磁弁側ゴムブッシュ60を介して本体水平部2bに着脱可能に連結する。これらの作業は、本体水平部2bの上方の開放部2dを介して上方から容易に行うことができる。ユニットを固定した後、開放部2dに本体蓋部2eを被せ、蓋体止めねじ2fにより、本体蓋部2eを水栓装置本体2に固定する。即ち、蓋体止めねじ2fにより、本体蓋部2eを本体水平部2bに着脱可能に取り付ける。
【0068】
次に、
図13を参照して、本発明の実施形態による水栓装置1の、設置面9への取り付け手順を説明する。
図13は、水栓装置1を設置面9への取り付けた状態を示す断面である。
図13に示すように、水栓装置1は、固定用シャフト62と、締結部材64と、固定用ナット64aと、弾性マウント部材66と、背面弾性マウント部材68によって固定される。固定用シャフト62にはねじ山が設けられており、水栓装置本体2内のベース部材59に螺合される。締結部材64は、設置面9に設けた取り付け穴9aを取り囲むように配置されるC字形の部材であり、固定用シャフト62を通す穴62aが設けられている。弾性マウント部材66は、設置面9の上に配置される環状の弾性部材である。背面弾性マウント部材68は、設置面9の背面側に配置される環状の弾性部材である。
【0069】
まず、固定用シャフト62を、水栓装置本体2内のベース部材59に取り付ける。次に、設置面9の上面に弾性マウント部材66を配置し、設置面9に形成された取り付け穴9aに固定用シャフト62を通すように、設置面9上に水栓装置1を配置する。これにより、本体基端部2aの底面と設置面9の間に、弾性マウント部材66が挟まれる。次に、取り付け穴9aを取り囲むように、設置面9の裏側に背面弾性マウント部材68を配置する。さらに、締結部材64の穴62aに固定用シャフト62を通すようにして、背面弾性マウント部材68を下方からおさえる。この状態で、固定用シャフト62に固定用ナット64aを螺合させ、締結部材64を締め付ける。これにより、本体基端部2aの底面と設置面9上面の間には弾性マウント部材66が挟まれ、設置面9下面と締結部材64の間には背面弾性マウント部材68が挟まれる。
【0070】
この構造により、本体基端部2aの底面から設置面9に伝わる振動は、弾性マウント部材66により抑制され、本体基端部2aから固定用シャフト62、締結部材64を介して設置面9に伝わる振動は、背面弾性マウント部材68によって抑制される。
【0071】
次に、
図14乃至
図16を新たに参照して、本発明の実施形態による水栓装置1の作用を説明する。
図14は、発電機14、吐水口側通水路形成部材42、第1電磁弁側通水路形成部材52、第2電磁弁側通水路形成部材54の変位を模式的に示す図である。
図15は、空気溜チャンバ24dに滞留する空気の様子を示す図である。
図16は、空気溜チャンバ24dに滞留する空気が排出される経路を模式的に示す図である。
【0072】
まず、使用者が、水栓装置本体2の先端部に設けられた人感センサー8に手指をかざすと、人感センサー8はこれを検知し、コントローラ16に信号を送る。コントローラ16は、人感センサー8が手指を検知すると、電磁弁12に信号を送り、電磁弁12を開放状態に切り換える。電磁弁12が開放されると、湯供給管18a及び水供給管18bを介して供給された湯及び水が温度調節バルブ10に夫々供給される。供給された湯及び水は、温度調節バルブ10の内部で混合され、
図3に矢印で示すように流れて発電機14に到達する。即ち、供給された湯及び水は、温度調節バルブ10により、温度調節用ツマミ4によって設定された温度に調節されて流出する。温度調節バルブ10から流出した湯水は、開放状態の電磁弁12を通過する。
【0073】
電磁弁12を通過した湯水は、電磁弁側配管20を構成する第3電磁弁側通水路形成部材56、第2電磁弁側通水路形成部材54、及び第1電磁弁側通水路形成部材52の内部を流れて発電機14に到達する。次いで、発電機通水路形成部材24の大径部24aに流入した湯水は、大径部24aの中央部に配置されているノズルケース36を迂回して流れ、側面の噴射口36bから羽根車回転軸30に直交する方向に噴出し、羽根車26の羽根26aに側面から当たる(
図3の矢印参照)。この羽根車26の羽根車回転軸30に対して概ね直角な方向の湯水の流れにより、羽根車26が回転される。羽根車26を回転させた湯水は、羽根車26に設けられた羽根車通水路26b、軸受部34に設けられた貫通孔34b、発電機通水路形成部材24の小径部24bを通って発電機14から流出する。発電機14を通過した湯水は、吐水口側配管22を構成する吐水口側通水路形成部材42に流入し、これに連結された吐水口形成リング44、整流部材46を通って吐水口6から吐出される。
【0074】
また、羽根車26に取り付けられた発電用マグネット28は、羽根車26の回転と共に回転され、発電用マグネット28の周囲に形成される磁場が変化される。この磁場の変化は磁極片40により発電用コイル32に誘導され、発電用コイル32に起電力が発生する。この際、発電用マグネット28と磁極片40の間には電磁力が作用し、この電磁力は羽根車26の回転と共に変動する。この電磁力の変動が、発電機14に振動させる加振源の一つになる。一方、発電機14により生成された電力は、コントローラ16に内蔵された充電器(図示せず)に充電され、電磁弁12の開閉、人感センサー8の作動、及びコントローラ16自体の作動に使用される。
【0075】
次いで、使用者の手指が人感センサー8によって検知されなくなると、コントローラ16は、電磁弁12に信号を送り、これを閉鎖状態に切り換える。これにより、水栓装置1は止水状態にされる。水栓装置1が止水状態にされた後、電磁弁12の下流側の通水路である電磁弁側配管20、吐水口側配管22、及び発電機通水路形成部材24の内部の湯水には重力が作用し、これらの通水路よりも下方に位置する吐水口6から湯水を流下させようとする。一方、吐水口6には整流部材46が配置されており、吐水口6から流出される湯水は整流部材46に設けられた多数の細孔を通って流出されるようになっている。このため、内部の湯水を流下させようとする重力に抗して表面張力が作用し、通水路内の湯水の流出は抑制される。しかしながら、通水路内の湯水の一部は整流部材46の細孔を通って流出されてしまい、流出した湯水と入れ代わって外気が通水路内に侵入する。また、通水路内の湯水は、外気に蒸発されることによっても減少される。
【0076】
通水路内に侵入した外気は、気泡となって通水路内で浮き上がり、上方に移動される。これにより、侵入した外気は、通水路内で最も上方に位置する空間である大径部24aの上方の部分である空気溜チャンバ24d(
図3)に集まる。通水路、特に、発電機14の内部に侵入した空気は、発電機14の作用に悪影響を及ぼし、発電効率を低下させたり、発電量を不安定にする。さらには、侵入した空気は、発電機14から異音を発生させたり、影響が大きい場合には発電機14の寿命を縮めてしまう場合がある。また、発電機14の内部に溜まった空気は、吐水状態にされた後にも、内部を流れる湯水により全量が容易に押し出されることはなく、従来の水栓装置においては、発電機14内に空気が溜まったままとなる。
【0077】
本発明の実施形態による水栓装置1においては、発電機14は、吐水口側ゴムブッシュ58及び電磁弁側ゴムブッシュ60により、水栓装置本体2に対して容易に振動できるように構成されている。さらに、発電機14と吐水口側通水路形成部材42の間にはパッキン42bが配置され、発電機14と第3電磁弁側通水路形成部材56の間には、パッキン52a、54a、56bが夫々配置されており、これらのパッキンは、発電機14と各通水路形成部材の間の相対変位を許容する。これにより、
図14に示すように、発電機14及びこれに接続された部材が振動する。なお、
図14の変位量は誇張して描かれている。
【0078】
これらのゴムブッシュ及びパッキンは、水栓装置1が吐水状態にされたとき、発電用マグネット28と磁極片40の間に働く電磁力、及び発電機14の内部の湯水の流れにより発電機14に励起される振動が、水栓装置本体2に伝達されるのを抑制する。また、弾性マウント部材66は、水栓装置本体2の振動が設置面9に伝達されるのを抑制する。さらに、背面弾性マウント部材68は、水栓装置本体2の振動が固定用シャフト62、締結部材64に伝達され、設置面9を振動させるのを防止する。このように、発電機14が振動し、この振動が水栓装置本体2及び設置面9に伝達されることによる異音の発生が抑制される。
【0079】
一方、発電機14の振動は、内部に溜まった空気を、内部を流れる湯水と共に排出されやすくする。即ち、
図15(a)に示すように、発電機14内の空気は、大径部24aの中で浮き上がり、最も鉛直上方に位置する大径部24a上部内壁面付近に集められ、滞留する。このような内壁面近傍は、大径部24a内を流れる湯水の流速も遅いので、発電機14内に湯水が流れても容易には排出されない。ここで、発電機14が上下方向に振動されると、
図15(b)に示すように、内壁面近傍に滞留していた気泡は、壁面から引き離され、流路の中央近くに移動される。気泡が内壁面から引き離されると、壁面から離れたところでは比較的流速も高いので、大径部24a内を流れる湯水により、気泡は発電機14から排出される。また、前述したように、吐水口側ゴムブッシュ58及びビス58a、電磁弁側ゴムブッシュ60及びビス60aは、水平方向の加振力を鉛直方向の振動成分に変換するように作用するので、発電機14には多くの鉛直方向成分を含む振動が励起される。
【0080】
さらに、大径部24aの下流側端部のコーナー部24eは、断面が円弧状になるように形成されているので、羽根車26の外側を通る湯水の流れによる気泡の排出が促進される。
さらに、
図16(a)に模式的に示すように、発電機14内に流入した湯水は、ノズルケース36側面の噴射口36bから噴射されて羽根車26の羽根26aに当たる。この噴射口36bから羽根車26の中心に向かう湯水の流れが、大径部24a内の気泡を羽根車26の中央部に移動させる。これにより、
図16(b)に示すように、大径部24a内の気泡は、羽根車26の羽根車通水路26bを通って発電機14の外に排出される。
【0081】
さらに、電磁弁側ゴムブッシュ60は、吐水口側ゴムブッシュ58よりも振動を許容しやすく構成されているため、大径部24aが位置する発電機14の上流側が、下流側よりも、より大きく振動される。これにより、大径部24a内の空気の排出が促進される。さらに、発電機14の上流側には、比較的重量が軽い羽根車26が配置され、重量の重い発電用コイル32、発電用マグネット28が下流側に配置されているので、発電機14の上流側は、下流側よりも大きな振幅で振動されやすくなっている。
【0082】
また、発電機14を振動させるには、これに接続されている電磁弁側配管20及び吐水口側配管22が変形される必要がある。ここで、電磁弁側配管20は、パッキン52a、パッキン54a、及びパッキン56bを各部材の間に介装して構成されているのに対して、吐水口側配管22にはパッキン42bが設けられているのみであり、電磁弁側配管20の方が変形されやすくなっている。
【0083】
また、発電機14の吐水口側は、別体に構成された吐水口側通水路形成部材42に接続され、これに設けられた吐水口側支持ブラケット42aを介して吐水口側ゴムブッシュ58により水栓装置本体2に支持されている。また、発電機14の電磁弁側は、別体に構成された第3電磁弁側通水路形成部材56に接続され、これに設けられた電磁弁側支持ブラケット56aを介して電磁弁側ゴムブッシュ60により水栓装置本体2に支持されている。このため、発電機14と、これを支持する部材との間の相対的な移動が許容され、発電機14は、より振動されやすくなっている。即ち、
図14に示すように、発電機14の上流側の電磁弁側配管20の方が、下流側の吐水口側配管22よりも変形量が大きくなる。
【0084】
さらに、発電機14が振動されると、これに接続された吐水口側配管22も振動されるが、この先端に取り付けられた吐水口形成リング44は、水栓装置本体2と接触しないように吐水口側配管22に配置されているため、発電機14の振動が吐水口形成リング44により妨げられることはない。
【0085】
また、吐水口側配管22を構成する吐水口側通水路形成部材42は、支持用パッキン50により水栓装置本体2に対して弾性支持されている。このため、発電機14の振動は、概ね、支持用パッキン50を支点とした上下方向の振動となる。ここで、吐水口形成リング44は、発電機14よりも支持用パッキン50の近くに配置されているため、支持用パッキン50を支点とする振動は、吐水口形成リング44の側の振幅が比較的小さくなり、発電機14が大きく振動されても、吐水口形成リング44から吐出される湯水の流れが大きく振られることはない。
【0086】
さらに、発電機14の小径部24bと吐水口側通水路形成部材42の間にはパッキン42bを配置して、屈曲許容部を形成している。このため、発電機14の振動の一部は屈曲許容部により吸収され、発電機14から吐水口形成リング44に伝わる振動が小さくなり、吐水口形成リング44の振れが減少される。
【0087】
また、吐水口形成リング44は、水栓装置本体2の吐水口配置開口2cよりも内側に引っ込んで配置されているので、吐水口形成リング44が振動されても、それが外部からは視認され難く、水栓装置1の外観を損なうことがない。さらに、吐水口形成リング44と吐水口配置開口2cの間の隙間は、隙間カバー48によって覆われているので、水栓装置本体2と吐水口形成リング44の間に隙間が空けられていても、水栓装置1の外観を損なうことがなく、また、吐水口形成リング44の振動が外部から見えないようになっている。
【0088】
さらに、発電機14が振動されると、発電機通水路形成部材24には、これを変形させる力が作用する。特に、この力は、大径部24aと小径部24bを接続する段部24cに集中しやすいが、この段部24cを変形許容部として変形しやすく構成することにより、発電機通水路形成部材24作用する応力を逃がしている。しかしながら、段部24cの変形が過大になると、発電機通水路形成部材24の破壊に繋がる虞があるので、この段部24cに隣接して発電用コイル32を配置し、段部24cの変形が過大になるのを防止している。
【0089】
さらに、磁極片40の爪部40aは、段部24cを横断するように配置されており、段部24cの変形量を制限する。また、段部24cに隣接する小径部24bの内側には、軸受部34がはめ込まれているので、段部24cの内周部の変形量が制限される。さらに、羽根車26の羽根車回転軸30も、段部24cを横断するように配置されており、段部24cの変形量が制限される。加えて、防水カバー38は、発電用コイル32及び磁極片40を覆い、段部24cの両側の大径部24a及び小径部24bを覆うように配置されているので、段部24cの変形は、防水カバー38によっても制限される。
【0090】
本発明の実施形態の水栓装置1によれば、振動励起手段であるパッキン42b、52a、54a、56b、及びゴムブッシュ58、60により発電機14に振動を励起させ、発電機14から気泡を排出させるので、初期使用開始前から発電機14内に残留している空気、又は止水時に発電機14内に侵入した空気の排出が促進され、発電機14を安定に動作させることができる。この結果、発電機14は安定した電力を生成することができると共に、内部に空気が滞留し続けることによる異音の発生を防止することができる。また、発電機14は、水栓装置本体2の内壁面との間に、発電機14の周囲全体に亘って空間が形成されるように配置されているので、発電機14に振動が励起されても、発電機14の振動が水栓装置本体2の内壁面を振動させて異音が発生するのを防止することができる。
【0091】
また、本実施形態の水栓装置1によれば、発電機14を容易に振動できるように支持しておくことにより、発電用マグネット28と発電用コイル32の間に発生する電磁力により発電機14の振動が励起されるので、特別な加振手段を設けることなく、効果的に発電機14の振動を励起することができる。このため、振動励起手段を設けることが、水栓装置1のデザインに影響を与えることがなく、デザイン自由度を向上させることができる。このデザイン自由度の向上は、市場においてデザインが大きなファクターとなる水栓装置1において、特に有益である。
【0092】
さらに、本実施形態の水栓装置1によれば、吐水口6に近い側よりも電磁弁12に近い側の発電機14の振動が大きくなるので、吐水される水流の乱れを少なくすることができる。また、水栓装置本体2の本体水平部2bの先端部に近く剛性を確保しにくい吐水口側の振動が小さくなるので、水栓装置本体2の振動をより抑制することができる。
【0093】
また、本実施形態の水栓装置1によれば、発電機14の電磁弁側は、パッキン52a、54a、56b、及び電磁弁側ゴムブッシュ60を介して水栓装置本体に連結され、発電機の吐水口側は、パッキン42b及び吐水口側ゴムブッシュ58を介して水栓装置本体に連結されるので、発電機14の振動を許容しながら、発電機14の振動により水栓装置本体2が加振され、異音が発生するのを抑制することができる。なお、特開2008−248474号公報記載の発明においても、発電機14とこれに連結される配管の間にはOリング等のシール材が配置されているが、このシール材では、発電機の十分な振動ストロークを確保することができず、伝達される振動を十分に抑制することができない。また、発電機と配管の間のシール材で大きな振動ストロークを確保しようとすると、発電機の振動によりシール不良が発生して水漏れの原因となると共に、シール材の耐久性が低下するという問題がある。本実施形態の水栓装置によれば、発電機14と、これに接続する部材の間に配置されているパッキン42a、52a、54a、56bと、接続された部材と水栓装置本体の間に配置されているゴムブッシュ58、60の2段階で振動の伝達を抑制している。これにより、水密性を確保するためのパッキンを振動の抑制に利用しながら、十分に振動の伝達を抑制することができる。また、振動ストロークの確保を2段階で行っているため、水密性の低下や、弾性部材の耐久性の悪化を回避することができる。また、ゴムブッシュ58、60の変形量が、パッキン42a、52a、54a、56b各々の変形量よりも大きくなるように構成されているので、大きな振動ストロークを確保しながら、水密性の低下を防止することができる。
【0094】
さらに、本実施形態の水栓装置1によれば、羽根車26の羽根26aがゴムブッシュ60に近い側に配置されているので、加振源となる羽根車26の振動を大きくすることができる。また、吐水口側の変位を相対的に小さくすることにより、吐水口6の過剰な変位を抑制することができ、発電機14の振動により吐水が大きく振動されるのを防止することができる。
【0095】
また、本実施形態の水栓装置1によれば、発電機14の大径部24aがゴムブッシュ60に近い側に配置されているので、気泡が滞留しやすい大径部24aの振動を大きくすることができ、より確実に気泡を大径部24aの内壁面から引き離し、発電機14から気泡を排出させることができる。
【0096】
さらに、本実施形態の水栓装置1によれば、発電機通水路24内に滞留した気泡が大径部24aの上部に集められるので、大径部24aの内壁面から集められた気泡を引き離し、大径部24aに配置されている羽根車26の羽根26aにより、気泡を効果的に排出させることができる。
【0097】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。
上述した実施形態においては、ノズルケース36には、3つの噴射口36bが設けられていたが、変形例として、噴射口を1つにすることもできる。好ましくは、単一の噴射口は、大径部24aの上端に位置するように形成する。これにより、大径部24aの上端に集まっている気泡を、1つの噴射口で、効果的に羽根車の中央部に移動させることができる。
【0098】
また、上述した実施形態においては、大径部24aの下流側端部のコーナー部24eは、円弧状に形成されていたが、変形例として、
図17(a)に示すように、コーナー部24eを、上流側から下流側に向かって曲率半径が変化する曲線に形成することもできる。好ましくは、コーナー部24eの曲線を、道路の設計等に応用されているクロソイド曲線Cにする。このクロソイド曲線Cによれば、
図17(b)に示すように、コーナー部24eの始まりにおける曲率半径が大きく、その後次第に曲率半径が小さくなり、コーナー部24eの中間で最も曲率半径が小さくなった後、コーナー部24eの終端に向けて再び曲率半径が大きくなる。コーナー部24eをこのように形成することにより、大径部24aの内壁面に沿って流れる気泡がコーナー部24eにおいて円滑に方向転換され、小径部24bに排出される。
【0099】
さらに、上述した実施形態においては、発電機14の発電用マグネット28は円環状に構成され、発電機14に流入した湯水の多くは、この発電用マグネット28の内側を通って流出していたが、変形例として
図18に示すように、湯水が発電用マグネットの外側を通るように構成することもできる。
図18記載の変形例においては、発電用マグネット70の外径は、羽根車26の羽根26aの外径よりも小さく構成されている。また、発電用マグネット70は、羽根車72の軸部72aに隙間なくはめ込まれており、発電用マグネット70は軸部72aと一体になって回転される。このため、発電機14に流入した湯水は、専ら発電用マグネット70の外側を通って小径部に流出する。このように構成された変形例によれば、発電用マグネット70を小さく構成することができ、羽根車の回転軸回りの慣性モーメントを小さくすることができる。