特許第5733519号(P5733519)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5733519
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】フレキシブル面状照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20060101AFI20150521BHJP
   F21Y 101/02 20060101ALN20150521BHJP
【FI】
   F21S2/00 443
   F21S2/00 432
   F21Y101:02
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-138315(P2011-138315)
(22)【出願日】2011年6月22日
(65)【公開番号】特開2013-8446(P2013-8446A)
(43)【公開日】2013年1月10日
【審査請求日】2014年5月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100109690
【弁理士】
【氏名又は名称】小野塚 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】浜脇 嘉彦
(72)【発明者】
【氏名】島岡 怜史
【審査官】 川内野 真介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−081089(JP,A)
【文献】 特開2009−217116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導光板と、該導光板の周辺部を取囲む枠状のハウジングフレームと、前記導光板の裏面の側に配置される反射シートとを含み、
該反射シートは、前記ハウジングフレームに対し、前記導光板の裏面の側から両面テープを介して固定され、
該両面テープの厚みTBSTが、補正係数をk、導光板の対角長さをL、導光板の厚みをt、導光板の曲率半径をrとして、TBST≧k・L・t/2r、k=0.45、の関係を満たすように形成されていることを特徴とするフレキシブル面状照明装置。
【請求項2】
導光板と、該導光板の周辺部を取囲む枠状のハウジングフレームと、前記導光板の裏面の側に配置される反射シートとを含み、
該反射シートは、前記ハウジングフレームに対し、前記導光板の裏面の側から両面テープを介して固定され、
両面テープの少なくとも一部を収容する凹部が、前記ハウジングフレームの、外周に沿って形成され、
前記両面テープの厚みTBSTが、補正係数をk、導光板の対角長さをL、導光板の厚みをt、導光板の曲率半径をrとして、TBST≧k・L・t/2r、の関係を満たすように形成されていることを特徴とするフレキシブル面状照明装置。
【請求項3】
k=0.45であることを特徴とする請求項記載のフレキシブル面状照明装置。
【請求項4】
前記導光板が2インチ以上のサイズであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のフレキシブル面状照明装置。
【請求項5】
前記導光板の側端面に光源が配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のフレキシブル面状照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置等の照明手段として用いられる面状照明装置に関し、特に可撓性を有するフレキシブル面状照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータや携帯電話等の電子装置の表示デバイスとして液晶表示装置が広く使用されている。液晶は、ブラウン管等とは異なり自発光型の表示素子ではないため、たとえば透過型の液晶表示装置では、その液晶パネルに対して光を照射する照明手段が必須であり、外光を利用する半透過型の液晶表示装置でも、暗所での使用を可能にするために補助的な照明手段を備えている。導光板と導光板の側方に配置された光源とを主要な構成要素とするサイドライト型の面状照明装置は、薄型化が容易であるという利点を有するため、このような液晶表示装置の照明手段として好適に使用されるものである。
そして、面状照明装置の小型・薄型化及び低消費電力化を図るため、近年の高性能化が著しい白色発光ダイオード(LED)を光源とする面状照明装置が、広く用いられている。
【0003】
又、従来のガラス基板をベースとした液晶表示装置に加え、多義の電子表示装置への適用を可能とすべく、可撓性(屈曲性)を有する液晶表示装置に用いられる、フレキシブル面状照明装置が開発されている。このフレキシブル面状照明装置は、導光板やその他の光学シートが可撓性を有するものからなり、一例として、図4に示されるような構成を有している。
【0004】
図4のフレキシブル面状照明装置10は、平面視で矩形のシート状の導光板12と、導光板12の表面(光の出射面)側に配置された、平面視で矩形の光学シート14と、導光板12の裏面側に配置された、平面視で矩形の反射シート16とが積層されており、これら導光板12、光学シート14、反射シート16は、何れも可撓性を有する材料により構成されている。又、導光板12の長辺側の側端面のうち少なくとも一面に沿って複数の白色LED18及びフレキシブルプリント基板20からなる光源ユニット22が配置されている。そして、導光板12の短辺側の両側端部で、導光板12、光学シート14、反射シート16が、直線状チャネル型フレーム24によって、一体に保持されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
又、図5に示されるフレキシブル面状照明装置11は、シート状の導光板12と、導光板12の表面側に配置された光学シート14の周辺部を取囲むように構成された、可撓性を有する縁状のハウジングフレーム26が用いられたものである。そして、導光板12の裏面の側から、ハウジングフレーム26の側面に沿って、両面テープ28を介して反射シート16を固定したものである。図5の例では、導光板12の表面側に配置される光学シート14として、プリズムシート14pと、拡散シート14dとが積層されている。又、導光板12の表面の側から、ハウジングフレーム26の側面に沿って、拡散シート14dの周辺部を覆うように、遮光シート30が固定されている。
【0006】
なお、ハウジングフレーム26の破線で示される部分は、必要に応じて設けられる上部枠である。又、図5では、フレキシブル面状照明装置11の一方向の断面のみ図示しているが、図4の例と同様に、導光板12の少なくとも一側端面に沿って、複数の白色LED18及びフレキシブルプリント基板20からなる光源ユニット22が配置されたものである。具体的には、光源ユニット22は、ハウジングフレーム26の内側に配置されている。
又、図5では、導光板12及び光学シート14の側端面に対し、ハウジングフレーム26が離間し、かつ、導光板12の裏面に対し反射シート16が離間したように図示されている。しかしながら、各部の位置決め精度や光学特性等を考慮した上で、必要に応じこれらを密着させても良く、図示の如く離間して配置しても良い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−140698号公報(段落〔0016〕)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、図5に示されたように、縁状のハウジングフレーム26が用いられ、その側面に沿って、両面テープ28を介して反射シート16を固定した構造を採用すると、フレキシブル面状照明装置11を湾曲させた際に、反射シート16がハウジングフレーム26の変形による寸法変化に追従しきれず、両面テープ28の粘着力を超える負荷が両面テープ28の接着層に加わり、反射シート16がハウジングフレーム26から部分的に剥離する場合がある。すると、導光板12に対して、反射シート16を安定して配置することが困難となり、フレキシブル面状照明装置11の輝度の低下が懸念されることとなる。
【0009】
本発明は、上記のような問題に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、湾曲状態においても、導光板の裏面の側に配置される反射シートを安定保持して、フレキシブル面状照明装置の輝度の低下を防ぐことにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0011】
(1)導光板と、該導光板の周辺部を取囲む枠状のハウジングフレームと、前記導光板の裏面の側に配置される反射シートとを含み、該反射シートは、前記ハウジングフレームに対し、前記導光板の裏面の側から両面テープを介して固定され、該両面テープの厚みTBSTが、補正係数をk、導光板の対角長さをL、導光板の厚みをt、導光板の曲率半径をrとして、TBST≧k・L・t/2r、の関係を満たすように形成されているフレキシブル面状照明装置。
【0012】
本項に記載のフレキシブル面状照明装置は、ハウジングフレームに反射シートを固定するための、両面テープの厚みTBSTが、TBST≧k・L・t/2rの関係を満たすように形成されることで、ハウジングフレームの変形による寸法変化を吸収するための緩衝材として機能を、両面テープに付与するものである。すなわち、反射テープの剥離を防ぐために必要な両面テープの最小限の厚みTBSTは、ハウジングフレームの面方向(面と平行な方向)の形状変化を実質的に支配する、導光板の長さ(対角長さ)の変化量に比例することに着目したものである。又、補正係数kを乗ずることで、任意の条件に適切に対応した両面テープの厚みTBSTを定めるものである。なお、この補正係数kは、適切な両面テープの厚みを導出するための係数であり、本発明者らの鋭意研究の結果、実験的に導かれたものである。
【0013】
(2)上記(1)項において、k=0.45であるフレキシブル面状照明装置(請求項)。
本項に記載のフレキシブル面状照明装置は、上記関係式TBST≧k・L・t/2rの補正係数kを0.45とすることにより、両面テープに、ハウジングフレームの変形による寸法変化を吸収するための緩衝材として機能を付与するものである。
【0014】
上記(1)項において、前記両面テープの少なくとも一部を収容する凹部が、前記ハウジングフレームの、外周に沿って形成されているフレキシブル面状照明装置(請求項)。
本項に記載のフレキシブル面状照明装置は、ハウジングフレームの変形による寸法変化を吸収するための緩衝材として機能を、両面テープに付与するために、両面テープの厚みTBSTが上記関係式を満たすように形成される結果、ハウジングフレームに連なって導光板の周辺部を枠状に取囲む両面テープの面積が相応に拡大する。両面テープは、導光板の側端面から漏れ出す光を吸収又は透過してしまうことから、両面テープの厚みTBSTの如何によっては、光の損失を招く一因となる。そこで、ハウジングフレームの、外周に沿って形成されている凹部に、厚みTBSTの両面テープの一部又は全部が収容されることで、ハウジングフレーム(の内周側)と反射シートとの距離を近づけ、又は、ハウジングフレームと反射シートとを密着させるものとなる。ハウジングフレームは、光反射部材として機能することから、ハウジングフレームと導光板とが近づく程、導光板の側端面から漏れ出す光のうち、ハウジングフレームに反射されて導光板に再入射する光の割合が増加し、両面テープにより吸収又は透過される光の割合が減少するので、輝度向上に寄与するものとなる。しかも、両面テープの厚みTBSTは維持されることから、両面テープの厚みに起因する、ハウジングフレームの変形による寸法変化を吸収するための緩衝材としての機能も、維持されるものである。
(4)上記(3)項において、k=0.45であるフレキシブル面状照明装置(請求項3)。
本項に記載のフレキシブル面状照明装置は、上記関係式TBST≧k・L・t/2rの補正係数kを0.45とすることにより、両面テープに、ハウジングフレームの変形による寸法変化を吸収するための緩衝材として機能を付与するものである。
【0015】
)上記(2)から(4)項において、前記導光板が2インチ以上のサイズであるフレキシブル面状照明装置(請求項)。
本項に記載のフレキシブル面状照明装置は、導光板が2インチ(平面視で矩形の導光板の対角長さが2インチ)以上のサイズであることにより、そのサイズに応じて必要とされる両面テープの厚みが、上記関係式TBST≧k・L・t/2rの適用条件に合致したものとなる。
)上記()項において、前記導光板が3インチ以上のサイズであるフレキシブル面状照明装置。
本項に記載のフレキシブル面状照明装置は、導光板が3インチ以上のサイズであることにより、そのサイズに応じて必要とされる両面テープの厚みが、上記関係式TBST≧k・L・t/2rの適用条件に、より合致したものとなる。
【0016】
)上記(1)から()項において、前記導光板の側端面に光源が配置されているフレキシブル面状照明装置(請求項5)。
本項に記載のフレキシブル面状照明装置は、導光板の側端面に配置されている光源から、導光板に入射した光が、導光板の内部を伝搬する過程で、導光板の裏面側に形成された、光路を偏向するための手段により導光板の表面側へと光路偏向され、導光板の表面側から出射されることで、導光板の全体が発光するものである。そして、導光板の裏面側から外部に漏れ出した光が、導光板の裏面側に配置された反射シートにより反射されて導光板内に戻され、輝度の低下が抑制されるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明はこのように構成したので、湾曲状態においても、導光板の裏面の側に配置される反射シートを安定保持して、フレキシブル面状照明装置の輝度の低下を防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施の形態に係るフレキシブル面状照明装置を、模式的に示した断面図である。
図2】本発明の第2の実施の形態に係るフレキシブル面状照明装置を、模式的に示した断面図である。
図3】湾曲させた状態にある導光板の側面図であり、(a)は表面側が凸状となるように湾曲した状態を、図3(b)は裏面側が凸状となるように湾曲した状態を示している。
図4】従来のフレキシブル面状照明装置を模式的に示した斜視図である。
図5図4の例とは別構造を有する従来のフレキシブル面状照明装置を、模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。ここで、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については同一符号で示し、詳しい説明を省略する。
図1に示されるように、本発明の実施の形態に係るフレキシブル面状照明装置32は、導光板12と、導光板12の裏面の側に配置される反射シート16と、導光板12及び反射シート16を保持するハウジングフレーム26とを含むものである。
【0020】
ここで、図1に示される、本発明の第1の実施の形態に係るフレキシブル面状照明装置32は、導光板12の周辺部を取囲む枠状のハウジングフレーム26と、導光板12の裏面の側に配置される反射シート16とが、導光板12の裏面の側から両面テープ34を介して固定されている。そして、両面テープ34の厚みTBSTが、補正係数をk、導光板の対角長さをL、導光板の厚みをt、導光板の曲率半径をrとして、TBST≧k・L・t/2r、の関係を満たすように形成されているものである。
【0021】
ここで、両面テープ34は、例えば、ポリエステル基材の両面に、アクリル系接着剤の層を形成し、アクリル系接着剤の層により伸縮性を確保した構造を有している。又、ポリエステル基材に換えて、ポリオレフィン発泡体からなる基材を用い、基材自体にも伸縮性を持たせるものを用いることとしても良い。又、補正係数kについては、後述する理由からk=0.45であることが望ましい。
一方、ハウジングフレーム26は、例えばポリカーボネート(白色ポリカーボネート)により構成されている。又、導光板12の材料としては、例えばポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリアルキルアルケニルシロキサン、ポリアルキルフェニルシロキサン等のシリコーンゴム樹脂材料が挙げられる。なお、導光板の成形に一般的に使用されているポリカーボネートやアクリルなども、板厚を薄くすることにより可撓性が生じるので、本発明の導光板に適用することができる。プリズムシート14p、拡散シート14d及び反射シート16についても、必要な柔軟性を有する可撓性材料により構成されるものである。
【0022】
なお、図1では、フレキシブル面状照明装置32の一方向の断面のみ図示しているが、従来技術と同様に、導光板12の少なくとも一側端面に沿って、複数の白色LED18及びフレキシブルプリント基板20からなる光源ユニット22(図4参照)が配置されている。又、光源ユニット22は、ハウジングフレーム26の内側に配置されるものである。
【0023】
さて、図1に示される、本発明の第1の実施の形態に係るフレキシブル面状照明装置32によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。すなわち、ハウジングフレーム26に反射シート16を固定するための、両面テープ34の厚みTBSTが、TBST≧k・L・t/2rの関係を満たすように形成されることで、ハウジングフレーム26の変形による寸法変化を吸収するための緩衝材としての機能を、両面テープ34に十分に付与することが可能となる。
しかも、反射テープ34の剥離を防ぐために必要な両面テープ34の最小限の厚みTBSTを求めるためのパラメータとしてのLは、ハウジングフレーム26の面方向(面と平行な方向)の形状変化を実質的に支配する、導光板12の長さ(対角長さ)の変化量に比例することに着目したものである。
【0024】
図3には、湾曲させた状態にある導光板12の側面図を示している。図3(a)は表面側が凸状となるように湾曲した状態を、図3(b)は裏面側が凸状となるように湾曲した状態を示している。図3中の符号12aは、導光板12の表面に、光学的要請に応じ適宜形成されるドットであり、ここでは詳しい説明を省略する。図3(a)の例では、導光板の対角長さL、厚みtでかつ曲率半径rであるとき、表面の長さL’は、L’=L(1+t/2r)となる。よって、表面の長さの変化量ΔLは、ΔL=L’−L=t/2rとなる。同様に、図3(b)の例では、表面の長さL’=L(1−t/2r)となる。よって、表面の長さの変化量ΔLは、ΔL=L’−L=−t/2rとなる。
すなわち、平面視で矩形の導光板12は、対角長さLがその他の部分の寸法との比較において最も長く、ハウジングフレームの面方向の形状変化の影響が最も大きく出現することから、対角長さLを両面テープ34の厚みTBSTを導出するためのパラメータとして採用することで、両面テープ34の緩衝材としての機能担保を、確実にするものとなる。又、対角線の表面長さの変化量ΔL=t/2rについても同様の理由により、上記関係式のパラメータとして採用されたものである。
【0025】
加えて、本発明の第1の実施の形態では、補正係数kを乗ずることで、任意の条件に適切に対応した両面テープ34の厚みTBSTを定めるものである。この補正係数kは、適切な両面テープ34の厚みを導出するための係数であり、実験的に導かれたものである。
本発明者らは、両面テープ34の厚みが、以下の(A)〜(D)の例のごとく異なるものについて、ハウジングフレーム26からの反射シート16の剥離が生じるか否かを実験した。以下の表示は、各々、(ポリエステル基材)/(アクリル系接着剤×2(表裏面))=(全厚)を示している。具体的には、導光板の対角長さL=55.88mm(2.2インチ)、導光板の厚みt=0.4mm、導光板の曲率半径r=100mm(使用上で想定される値)として、
(A)4μm/13μm×2=30μm、
(B)12μm/19μm×2=50μm、
(C)25μm/38μm×2=101μm、
(D)100μm/50μm×2=200μm、
の各厚みを有する両面テープを用いて実験を行った。
【0026】
その結果、(B)〜(D)の両面テープにおいて、剥離は生じなかった。又、(D)のポリエステル基材に代えて、ポリオレフィン発泡体からなる基材を用いた両面テープでも、同様に剥離は生じなかった。
上記の結果に基づき、剥離の問題を生じないための、両面テープ34の最少厚み(全厚)TBSTを上記(B)の50μmと仮定して、関係式TBST≧k・L・t/2rに上記各値を当てはめると、k=TBST・2r/L/t=0.45となる。従って、補正係数k=0.45とすることにより、ハウジングフレーム26の変形による寸法変化を吸収するための緩衝材として機能を、両面テープ34に、確実に付与することが可能となることを突き止めたものである。なお、上記実験条件は、フレキシブル面状照明装置32に通常想定し得る使用条件を考慮したものであり、特異な使用条件においては、補正係数kの値にそれを考慮することが望ましい。
【0027】
又、好ましくは、導光板12が2インチ以上のサイズであることにより、そのサイズに応じて必要とされる両面テープの厚みが増大し、選択すべき両面テープ34の厚みが、関係式TBST≧k・L・t/2rの適用条件に合致したものとなる。更には、好ましくは、導光板が3インチ以上のサイズであることにより、そのサイズに応じて必要とされる両面テープの厚みが更に増大し、関係式TBST≧k・L・t/2rの適用条件に、より合致したものとなる。
【0028】
そして、フレキシブル面状照明装置32は、導光板12の側端面に配置されている光源ユニット22(図4参照)から、導光板12に入射した光が、導光板12の内部を伝搬する過程で、導光板12の裏面側に形成された、光路を偏向するための手段(例えば、ドーム状のドットパターン、図3(a)(b)の符号12参照)により導光板12の表面側へと光路偏向され、導光板12の表面側から出射されることで、導光板12の全体が発光するものである。そして、導光板12の裏面側から外部に漏れ出した光が、導光板12の裏面側に配置された反射シート16により反射されて導光板12内に戻され、輝度の低下が抑制されるものである。
なお、図1のフレキシブル面状照明装置32においては、導光板12、光学シート14に対し、ハウジングフレーム26が離間し、導光板12の裏面に対し反射シート16が離間したように図示されているが、各部の位置決め精度や光学特性を考慮した上で、必要に応じこれらを密着させても良く、図示の如く離間して配置しても良い。
【0029】
続いて、図2を参照しながら、本発明の第2の実施の形態に係るフレキシブル面状照明装置の説明を行う。ここで、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については同一符号で示し、詳しい説明を省略する。
【0030】
図2に示される、本発明の第2の実施の形態に係るフレキシブル面状照明装置36は、第1の実施の形態に係る、ハウジングフレーム26の外周に沿って、両面テープ34の少なくとも一部を収容する凹部26aが形成されているものである。 その他の構成部分は、第1の実施の形態に係るフレキシブル面状照明装置32と同様である。
なお、図2に示されるフレキシブル面状照明装置36は、ハウジングフレーム26の、外周に沿って形成されている凹部26aに、厚みTBSTの両面テープ34の全部が収容されることで、ハウジングフレーム26と反射シート16とを密着させるものとなる。
【0031】
さて、本発明の第1の実施の形態に係るフレキシブル面状照明装置32では、ハウジングフレーム26の変形による寸法変化を吸収するための緩衝材として機能を、両面テープ34に付与するために、両面テープ34の厚みTBSTが上記関係式を満たすように形成される結果、ハウジングフレーム26に連なって導光板12の周辺部を枠状に取囲む両面テープ34の面積が相応に拡大する。両面テープ34は、導光板12の側端面から漏れ出す光を吸収又は透過してしまうことから、両面テープ34の厚みTBST の如何によっては、光の損失を招く一因となる。そこで、本発明の第2の実施の形態に係るフレキシブル面状照明装置36のごとく構成すると、ハウジングフレーム26の、外周に沿って形成されている凹部26aに、厚みTBSTの両面テープ34の一部又は全部が収容されることで、ハウジングフレーム26(の内周側)と反射シート16との距離を近づけ、又は、ハウジングフレーム26と反射シート16とを密着させることができる。
【0032】
そして、ハウジングフレーム26が、光反射部材として機能することから、ハウジングフレーム26と反射シート16とが近づく程、導光板12の側端面から漏れ出す光のうち、ハウジングフレーム26に反射されて導光板12に再入射する光の割合が増加し、両面テープ34により吸収又は透過される光の割合が減少するので、輝度向上に寄与するものとなる。
特に、ハウジングフレーム26を、白色樹脂で成形する等、反射効率を高めた態様とすることで、その効果を顕著に得ることが可能となる。しかも、両面テープ34の厚みTBSTは維持されることから、両面テープ34の厚みに起因する、ハウジングフレーム26の変形による寸法変化を吸収するための緩衝材としての機能も、維持されるものである。
【0033】
なお、ハウジングフレーム26の外周に沿って、浅い凹部26aが形成され、凹部26aに両面テープ34の一部が収容されている場合には、ハウジングフレーム26と反射シート16との間に、両面テープ34が露出する部分が残る。しかしながら、図1に示される第1の実施の形態に係るフレキシブル面状照明装置32との比較において、ハウジングフレーム26の外周部と反射シート16との距離を近づけることとなり、両面テープ34が露出する範囲も狭まることから、それ相当の輝度向上効果が期待できるものとなる。
その他、本発明の第1の実施の形態と同様の作用効果については、詳しい説明を省略する。
【符号の説明】
【0034】
12:導光板、14:光学シート、14d:拡散シート、14p:プリズムシート、16:反射シート、18:白色LED、26:ハウジングフレーム、26a:凹部、 32、36:フレキシブル面状照明装置、34:両面テープ
図3
図4
図1
図2
図5