(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5733543
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】セミプラグスタージーロータとその組立て方法
(51)【国際特許分類】
F04C 2/10 20060101AFI20150521BHJP
F04C 15/00 20060101ALI20150521BHJP
B62D 5/09 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
F04C2/10 341B
F04C15/00 B
B62D5/09 Z
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-547914(P2013-547914)
(86)(22)【出願日】2011年2月16日
(65)【公表番号】特表2014-509358(P2014-509358A)
(43)【公表日】2014年4月17日
(86)【国際出願番号】IB2011000288
(87)【国際公開番号】WO2012093274
(87)【国際公開日】20120712
【審査請求日】2014年2月6日
(31)【優先権主張番号】12/985,396
(32)【優先日】2011年1月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390033020
【氏名又は名称】イートン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100109690
【弁理士】
【氏名又は名称】小野塚 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】スミス、スティーブン、ディー.
(72)【発明者】
【氏名】松井 浩
(72)【発明者】
【氏名】カラムバルカル、ビジャイ、エー.
【審査官】
松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】
実開平02−051972(JP,U)
【文献】
実開昭59−154878(JP,U)
【文献】
特開平04−272582(JP,A)
【文献】
実開平02−078473(JP,U)
【文献】
特開昭63−195391(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第01659289(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 2/10
F04C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体制御装置(11)用のジーロータアセンブリ(13)であって、
複数(n)個の歯(15)を有し、低圧流体リザーバ(40)に接続可能な第1直径の中央開口部(20)を形成するスター部材(14)と、
前記スター部材を取囲み、前記複数(n)個の歯に噛合う複数(n+1)個のローブを有し、前記流体制御装置(11)の固定端部キャップ(24)と協働して、高圧流体供給部(30)に接続可能な流体溝部(82)を形成するように構成されるリング部材(12)と、
前記スター部材(14)によって取囲まれ、前記第1直径より小さい第2直径の中心ボア(27)を形成する環状のプラグ部材(18)と、
前記スター部材(14)と前記プラグ部材(18)との間に配置されたOリング(16)とを備え、
前記プラグ部材(18)は、前記流体制御装置(11)の前記固定端部キャップ(24)に対して流体シールを形成し、
前記中心ボアの直径は、前記プラグ部材(18)の外径の約60パーセント〜約75パーセントであることを特徴とするジーロータアセンブリ。
【請求項2】
前記スター部材(14)は、径方向の段部(44)を形成し、前記Oリング(16)は、前記径方向の段部(44)上に配置されることを特徴とする請求項1に記載のジーロータアセンブリ。
【請求項3】
前記プラグ部材(18)は、前記径方向の段部(44)に対向する前記プラグ部材(18)の面上に周縁ノッチ(85)を形成し、前記Oリング(16)は、前記周縁ノッチ(85)内に少なくとも一部が配置されることを特徴とする請求項1に記載のジーロータアセンブリ。
【請求項4】
低圧流体リザーバ(40)に流体接続する第1直径の中央開口部(20)を形成するジーロータスター部材(14)と、
前記スター部材(14)を取囲み、前記スター部材(14)の複数(n)個の歯(15)に係合する複数(n+1)個のローブを有するジーロータリング部材(12)と、
前記スター部材(14)によって取囲まれ、前記第1直径より小さい第2直径の中心ボア(27)を形成し、前記中心ボア(27)は、前記中央開口部(20)を介して前記低圧流体リザーバ(40)に流体接続する環状のプラグ部材(18)と、
前記スター部材(14)と前記環状のプラグ部材(18)との間に配置され、高圧流体溝部(82)を介して高圧流体リザーバ(30)に流体接続し、かつ、前記中央開口部(20)を介して低圧流体リザーバ(40)に流体接続するOリング(16)と、
前記環状のプラグ部材(18)に直に隣接して配置させ、これにより、前記スター部材(14)と協働して、前記高圧流体リザーバ(30)に流体接続する高圧流体溝部(82)を形成する固定端部キャップ(24)と、摩耗板(80)とを有するバルブハウジング部(70)と、を備え、
前記中心ボア(27)の直径は、前記環状のプラグ部材(18)の外直径の約60パーセント〜約75パーセントであることを特徴とする流体制御装置。
【請求項5】
前記スター部材(14)は、径方向の段部(44)を形成し、前記Oリング(16)は、前記径方向の段部(44)上に配置されることを特徴とする請求項4に記載の流体制御装置。
【請求項6】
前記環状のプラグ部材(18)は、前記径方向の段部(44)に対向する前記環状のプラグ部材(18)の表面(66,68)上に周縁ノッチ(85)を形成し、前記Oリング(16)は、前記周縁ノッチ(85)内に少なくとも一部が配置されることを特徴とする請求項5に記載の流体制御装置。
【請求項7】
前記流体制御装置(11)は、油圧パワーステアリングシステム用のステアリング制御ユニットとして構成されることを特徴とする請求項4に記載の流体制御装置。
【請求項8】
前記Oリング(16)は、少なくとも約90デュロメータの硬度レベルを有する耐摩耗性エラストマー材料から形成されることを特徴とする請求項4に記載の流体制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に流体制御装置の中で使用するジーロータアセンブリに関し、特に、セミプラグスタージーロータとその組立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スタージーロータは、噛合わされたインナーロータ及びアウターロータを有する容積式流体ポンプ装置である。一般的に、インナーロータ及びアウターロータは、それぞれスター部材及びリング部材と呼ばれている。各ロータは、他のロータの中心点に対して偏心した固定中心点を有する。スター部材は、n個の歯を有し、(n+1)個のローブ(lobes)を有するリング部材によって取囲まれている。2つのロータの間で低い相対速度を維持しながら、一方のロータの回転が他方を駆動する。噛合わされたロータの噛合い歯/噛合いローブ間に形成された容積は、ジーロータの回転中に負圧を生成し、これにより、ジーロータの回転ごとに吸込み、すなわち、吸気段階を生じることになる。
【0003】
油圧パワーステアリングシステムのステアリング制御装置(SCU)は、その構造内にスタージーロータをよく使用する流体制御装置の1つである。SCUは、回転ジーロータ部材と、例えば、ジーロータに隣接して固定される端部キャップ等の固定部材との間に滑りが生じる。例えば、SCUのバルブハウジング部を介して制御されるステアリングシリンダがその移動範囲の限界に達するとき、SCUを介して制御されるステアリングホイールは、この限界を超えて依然として回転することができる。そのような更なる回転は、大抵、スター部材と固定端部キャップの隣接面との間に内部流体漏出の結果である。
【発明の概要】
【0004】
ジーロータアセンブリは、上述のSCU等の流体制御装置に用いるためにここに提供される。ここに開示されたジーロータアセンブリは、以下に詳細に記載されるように、セミプラグ、すなわち、ソリッドプラグ型スターシールと従来のシーリングリングとの中間構造である。ジーロータアセンブリは、スター部材、リング部材、環状のプラグ部材及びOリングを含む。スター部材は、複数(n)個の歯を有し、第1直径の中央開口部を形成する。ジーロータアセンブリが流体制御装置に設けられたとき、中央開口部は、低圧流体リザーバに流体接続する。ジーロータの技術分野でよく理解されているように、リング部材は、スター部材を取囲み、複数(n)個の歯と噛合う複数(n+1)個のローブを有する。
【0005】
リング部材は、流体制御装置の固定端部キャップと協働して、高圧流体溝部、すなわち、高圧流体供給部に接続可能な流体溝部を形成するように構成されている。環状のプラグ部材は、スター部材によって取囲まれ、第1直径より小さい第2直径の中心ボアを形成する。Oリングは、スター部材と環状のプラグ部材との間に配置される。従って、以下に説明するように様々な性能の恩恵を受けるために、環状のプラグ部材は、流体制御装置の端部キャップに対してセミプラグ流体シールを形成するように構成される。
【0006】
また、流体制御装置が開示されている。流体制御装置は、ジーロータスター部材、ジーロータリング部材、環状のプラグ部材、Oリング及びバルブハウジング部を含む。スター部材は、第1直径の中央開口部を形成し、この中央開口部は、低圧流体リザーバに流体接続する。リング部材は、スター部材を取囲み、スター部材の複数(n)個の歯に噛合う複数(n+1)個のローブを有する。環状のプラグ部材は、スター部材によって取囲まれ、第1直径より小さい第2直径の中心ボアを形成する。
【0007】
中心ボアは、中央開口部を介して低圧流体リザーバに流体接続する。Oリングは、スター部材と環状のプラグ部材との間に配置される。Oリングは、高圧流体溝部を介して高圧流体リザーバに流体接続し、かつ、中央開口部を介して低圧流体リザーバに流体接続する。バルブハウジング部は、固定端部キャップ及び摩耗板を有し、端部キャップは、環状のプラグ部材に直に隣接して配置して、スター部材と協働して高圧流体溝部を形成する。高圧流体溝部は、高圧流体リザーバに流体接続する。
【0008】
また、方法がここに開示され、環状の段部及び第1直径の中央開口部を形成するジーロータスター部材を設け、リング部材の複数(n+1)個のローブがスター部材の複数(n)個の歯に噛合うように、スター部材がジーロータリング部材に取囲まれることを含む。この方法は、スター部材の表面にOリングを配置し、第1直径より小さい第2直径の中心ボアを形成する環状のプラグ部材を設けることを含む。環状のプラグ部材は、環状のプラグ部材がスター部材によって取囲まれるように、Oリング上に置かれ、これにより、ジーロータアセンブリを形成する。
【0009】
本発明の上記特徴、及び、利点、並びに、他の特徴及び利点は、添付図面に関連して、本発明を実施するための最良の形態の以下の詳細な説明から容易に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に開示されたセミプラグジーロータのタイプを用いた流体制御装置の概略図である。
【
図2】本発明のジーロータアセンブリの概略平面図である。
【
図3】
図1の流体制御装置のジーロータアセンブリ及び固定端部キャップを含み、
図2に示された流体制御装置の一部の概略部分断面図である。
【
図4】
図3に示す一部を含み、
図1に示される流体制御装置の一部の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図を参照して、同じ参照符号は、同じ部品に対応し、
図1には、流体制御装置11の概略図が示されている。流体制御装置11は、セミプラグジーロータアセンブリ13を含む。このジーロータアセンブリ13は、スターシールを形成する環状プラグ部材18を有する。以下に詳細に説明するように、環状のプラグ部材18は、このプラグ部材18が取付けられた流体制御装置11内の内部流体漏出を減少するように構成されている。
【0012】
可能な一実施形態において、流体制御装置11は、油圧パワーステアリングシステムに用いるステアリング制御装置(SCU)として構成される。ジーロータアセンブリ13は、望ましくないステアリングホイールの回転を減少すると同時に、従来設計に対して摩擦損失を減らすためにSCUの一部として含むことができ、これにより、エネルギー効率が増加する。流体ポンプモータシステム等の高圧側から低圧側への流体漏出が重要な設計関連事項である他の油圧システムは、ここに記載されるようなセミプラグジーロータアセンブリ13とその環状プラグ部材18の使用により同様に恩恵を受けることができる。
【0013】
図1に示す流体制御装置11の中のジーロータアセンブリ13は、例えば、ボルト17を介して、バルブハウジング部70にボルト締結又は他の方法で完全に固定できる。固定摩耗板80は、ジーロータアセンブリ13とバルブハウジング部70との間に配置される。ジーロータアセンブリ13は、摩耗板80と固定端部キャップ24との間に配置される。バルブハウジング部70は、バルブハウジング部70の一側に、あるいは、図示のように分配して、流体入口ポート72と、流体リターンポート74と、制御ポート76,78等のシリンダ制御ポートを含む様々な流体ポートとを形成する。流体装置サブアセンブリ10は、ジーロータアセンブリ13及び端部キャップ24によって形成され、
図3及び
図4を参照して以下に説明する。
【0014】
単純にするために
図1に示されていないが、当業者には周知のように、バルブハウジング部70の内部は、制御される装置を作動させるためのあらゆる必要とされるバルブ及び関連する制御装置、例えば、回転可能なスプール及び協働する相対回転可能な追従バルブ部材を収容するボアを含む。追従バルブ部材は、主駆動軸(図示せず)を用いて駆動でき、メインシャフトは、セミプラグジーロータアセンブリ13にスプライン結合して、セミプラグジーロータアセンブリ13と共に回転する。
【0015】
図2を参照して、ジーロータアセンブリ13は、内歯付アウターロータを含み、内歯付アウターロータは、以下リング部材12と呼ぶ。更に、ジーロータアセンブリ13は、外歯付インナーロータ、すなわち、スター部材14を含む。スター部材14は、リング部材12の中に偏心して配置されて、その中で軌道及び回転運動する。スター部材14及びリング部材12の両方は、鋼、粉末金属、又は、他の適切な金属材料で構成することができる。
【0016】
スター部材14は、環状の軸壁62を形成する。軸壁62は、
図4に示すように中央開口部(矢印20)を形成する。スター部材14は、スプライン部22(
図3及び
図4参照)を含み、スター部材14を
図1のバルブハウジング部70の中に配置された主駆動軸(図示せず)の係合スプライン部に係合することができる。ジーロータの技術分野において理解されるように、スター部材14の複数(n)個の歯15は、リング部材12より多くの(n+1)個の歯、すなわち、ローブと噛合い、すなわち、係合して、多数の流体容積室(矢印23)を形成する。流体容積室(矢印23)は、同図に示すように、摩耗板80によって形成された通路(図示せず)を通って
図1のバルブハウジング部70に流体接続する。
【0017】
図1のボルト17は、固定端部キャップ24(
図1参照)を貫通し、セミプラグジーロータアセンブリ13を
図1に示すバルブハウジング部70に締結するために、リング部材12によって形成された複数のボルト穴25を通る。スター部材14内の軸壁62は、
図3に全体として符号44で示される径方向の段部の位置で、径方向の床部60(
図3及び
図4参照)と交わり、これにより、径方向の段部を形成する。ここで用いられる用語は、スター部材14の回転軸と同方向に延びる壁を“軸壁”と呼び、同軸に垂直方向に延びる床部を“径方向の床部”と呼ぶ。
【0018】
環状のプラグ部材18は、矢印27で示される中心ボアを形成するボア壁19を有する。環状のプラグ部材18は、
図3及び
図4に示す径方向の床部60に設置される。セミプラグジーロータアセンブリ13が
図1の流体制御装置11又は適切な他の装置に取付けられるとき、図に示すように、環状のプラグ部材18と固定端部キャップ24との間に動的流体シールが形成される。環状のプラグ部材18の構造及び機能の両方は、
図3及び
図4を参照して詳細に説明される。
【0019】
様々なレベルのアセンブリは、リング部材12のローブ21がスター部材14の歯15に係合するように、スター部材14をリング部材12に内接させることにより達成される。Oリング16は、スター部材14の径方向の段部(
図3及び
図4参照)に設置される。環状のプラグ部材18は、Oリング16及び径方向の段部44に設置される。組立てられたジーロータアセンブリ13を固定端部キャップ24に結合して、スター部材14と端部キャップ24との間に高圧流体溝部(矢印82)を形成する。
図4に示すように、中央開口部(矢印20)は、低圧流体リザーバ40に接続され、
図4の流体溝部(矢印82)は、高圧流体リザーバ30に接続される。
【0020】
図3を参照して、
図1の流体制御装置サブアセンブリ10の部分断面側面図が示されている。
図3は、
図1、
図2及び
図4に対する縮尺ではなく、流体装置サブアセンブリ10の特定の内部構造部分を拡大するものである。セミプラグジーロータアセンブリ13が固定端部キャップ24に結合されるとき、高圧流体溝部は、スター部材14の上面52と端部キャップ24の下面50との間に形成される。高圧流体(矢印31)は、流体溝部に入り、流体溝部は、
図4の矢印82で示され、
図4を参照して以下に説明されるように、シーリングを発生させる。
【0021】
スター部材14の軸壁62及び径方向の床部60は、径方向の段部を形成し、径方向の段部上にOリング16が配置される。Oリング16は、スター部材14と環状のプラグ部材18との間に流体シールを形成する。Oリング16は、加圧作動における押出しに抵抗するために十分な硬度レベルを有した適切な耐摩耗性の弾性材料で構成される。一実施形態において、Oリング16は、ASTM D2240タイプのDスケールで少なくとも約90デュロメータ、すなわち、90D硬度の硬度レベルが与えられる。この硬度レベルの適切な材料は、限定ではないが、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、水酸化NBR(HNBR)、ポリウレタン等を含むことができる。
【0022】
環状のプラグ部材18は、端部キャップ24の下面50に対してシールを形成するために使用され、鋼、粉末金属、高硬度の樹脂系材料又は他の適切な材料で構成することができる。図に示すように、環状のプラグ部材18は、略L字形の断面を有し、第1面66及び第2面68を含み、第1面66及び第2面68は、互いに垂直であり、環状の径方向の段部44に対向する周縁ノッチ85を形成する。第1面66及び第2面68は、両方ともOリング16に直接当接し、Oリング16は、周縁ノッチ85内に少なくとも一部が配置される。環状のプラグ部材18の第3面69は、端部キャップ24の下面に直接摩擦接触する。ここで用いられる“下面”という用語は、スター部材14が用いられる流体制御装置11(
図1参照)内のスター部材14に直に隣接して配置された端部キャップ24の特定の主要な表面、すなわち、側面を表わす。
【0023】
スター部材14、環状のプラグ部材18及びOリング16は、一体で固定端部キャップ24に対して回転する。内壁42によって形成されたスター部材14の中心部、すなわち、内径(ID)は、低圧流体リザーバ40に接続され、スター部材14の全ての他の側面は、高圧流体リザーバ30に接続される。リザーバ30,40の両方は、
図4に概略的に示されている。用語の“低い”及び“高い”は、相対的な流体圧力である。一実施形態において、“低圧”は、約0〜約40バールであり、一方、“高圧”は、約40バールを超える任意の圧力である。他の実施形態において、70〜150バールは、高圧範囲として用いられるが、高圧は、用途に応じて150バールを大幅に超える。ここに記載されるような環状のプラグ部材18及びOリング16の配置及び使用は、高圧流体リザーバ(矢印31)の
図4の低圧流体リザーバ40への漏出を低減するために役立つ。
【0024】
図3と共に
図4を参照して、固定端部キャップ12は、
図2のリング部材12を含むように広がり、従って、
図3及び
図4に破断線の形で示される。スター部材14の内壁42は、
図4の中央開口部(矢印20)を形成する。中央開口部(矢印20)が
図3の低圧流体リザーバ40に流体接続することで、低圧流体(矢印41)は、中央開口部(矢印20)を介してOリング16、環状のプラグ部材18及び端部キャップ24に接続する。Oリング16は、スター部材14及び環状のプラグ部材18に対して充分なシールを形成するために予荷重することができる。
【0025】
環状のプラグ部材18と端部キャップ24との間の接触面積は、端部キャップ24、スター部材14及びOリング16を通る高圧側から低圧側への漏出を減少するために充分に大きくすべきであるが、摩擦損失を最小限にするために充分に小さくなければならない。このため、環状のプラグ部材18は、一部のみのプラグ、すなわち、ここで使用する用語“セミプラグ”を形成する。一実施形態において、環状のプラグ部材18のボア壁19によって形成される中心ボアの直径は、環状のプラグ部材18の外径(OD)の約60%〜約75%の間である。
【0026】
上述のように、
図4に示される流体装置アセンブリ10は、高圧流体リザーバ30から供給される高圧流体(矢印31)に流体接続する。
図4に示すように、表面50,52が互いに隣接した状態で、高圧流体溝部(矢印82)は、上述のように、端部キャップ24の下面50とスター部材14の上面52との間に形成される。
【0027】
Oリング16は、高圧流体溝部(矢印82)を介して
図4の高圧流体リザーバ30に流体接続し、更に、スター部材14の中央開口部(矢印20)を介して低圧流体リザーバ40に流体接続する。環状のプラグ部材18の下面64とスター部材14の径方向の段部60との間の隙間(
図3の矢印84)の大きさは、作動中、低圧側へのOリング16の押出しを防ぐために最小にすべきである。
【0028】
作動中、高圧流体(矢印31)は、高圧流体溝部(矢印82)に入り、Oリング16を押圧する。これは、環状のプラグ部材18を押付けて、固定端部キャップ24に摩擦接触させる。高圧側から低圧側への流体漏出は、Oリング16とスター部材14との間、Oリング16と環状のプラグ部材18との間、及び/又は、環状のプラグ部材18と端部キャップ24との間に生じる。
【0029】
しかしながら、環状のプラグ部材18は、ここで使用される用語としてのセミプラグであるから、環状のプラグ部材18と固定端部キャップ24との間には、比較的大きな接触面積が残されている。高圧側から低圧側への流体漏出は、従来のジーロータのスターシールの設計に対して減少される。このセミプラグ設計においては、ソリッドプラグ設計に対して、更に、環状のプラグ部材18と端部キャップ24との間の接触面積が小さいので、この領域における摩擦損失は、共に減少する。従って、全体効率が増大される。
【0030】
本発明を実施するための最良の形態を詳細に記載してきたが、本発明に関連する当業者は、添付された特許請求の範囲の技術的範囲内で本発明を実施するための様々な代替設計及び実施形態を認識するであろう。