【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に係る往復葉書は、5葉片が連接された用紙或いは3葉片と2葉片が連接された用紙を1組として、剥離可能及び剥離不能予定面にそれぞれの接着剤を塗布して、さらに複雑な折り加工や重ね合わせ加工を施した後に一体化する必要がある。
【0006】
ところで前記のような複雑な折り加工や重ね合わせ加工は、オフセット印刷等の枚葉タイプの用紙を使用して断裁工程、折り工程、一体化工程等をそれぞれ別工程で行えばできないことはない。
然るに印刷方式において、大量ロットの製造に対応したビジネスフォーム印刷や輪転印刷等を使用する場合、前記複雑な折り加工や重ね合わせ加工には対応が不可能である。なぜなら、前記ビジネスフォーム印刷や輪転印刷は長尺状シートを使用するため、折り畳む種類等に制限が発生する。
【0007】
即ち、ビジネスフォーム印刷等は切れ目のない長尺状のシートを流れ方向に沿って折り畳むため、単純な二つ折りや断面Z字(S字)状に折り畳むのは無理がなく通常に行われている。然るに長尺シートを巻き込む形態や四つ折り以上の形態になると、その構造上折り工程を一度に済ませることは不可能で、仮に折り畳むとしても多くの工程や専用のシステムを必要とすることになる。
【0008】
さらに剥離可能な予定面と剥離不能な予定面にそれぞれの異なる性質の接着剤を別々に塗布するとなると、前記折り工程に加えて複雑さが増してしまう。やむを得ず長尺状シートを断裁して枚葉紙に加工すれば、オフセット印刷の場合と同様に加工は可能であるが、余分な断裁工程が増えてしまい長尺状シート
を使用するビジネスフォーム印刷の特徴を損ない意味がなくなってしまう。
【0009】
そこで葉片の数を減らすことにより前記欠点を補うために、特許文献2に開示される往復葉書の製造方法が考えられる。この製造方法によれば剥離不能面がないため、塗布する接着剤が
感圧疑似接着剤のみで済む。然るに既述の通り、折り形態において、巻折りや蛇腹折りを混合した複雑な折り加工を必要とする点において、特許文献1の往復葉書と何ら変わりはないのである。
【0010】
本発明は、係る問題に鑑み、本出願人が鋭意研究の末に考え出したもので、従来の往復葉書と比較して格段に多い情報量を伝達することが可能であり、通常2つ折り或いは断面Z字状の三つ折り加工しかできない長尺状シートを使用する印刷形態でも対応が可能で、さらに剥離可能な疑似接着予定面への疑似接着媒体の形成が極めて容易であると共に機密性に優れた往復葉書とその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の往復葉書は、往信葉書本体と返信葉書本体が折り線を介して連接されると共に、前記往信葉書の両面に情報を記載した葉片が剥離可能に貼付されている往復葉書において、第一葉片、第二葉片、第三葉片及び第四葉片が折り線を介して横方向に連接された単位シートにより構成された往復葉書であり、上から第四葉片、第三葉片、第一葉片及び第二葉片の順に重ねられ、第三葉片の往信葉書本体と第二葉片の返信葉書本体が折り線を介して連接されると共に、第四葉片と第三葉片及び第三葉片と第一葉片が疑似接着フィルムシートを介して剥離可能に接着されており、且つ第一葉片と第三葉片が第二葉片と第三葉片を連接する折り線側において疑似接着フィルムシートにより連接されると共に、第四葉片と第三葉片が前記第二葉片と第三葉片を連接する折り線側において、一定の条件を付与すると接着する接着剤層により完全接着
され、第三葉片と第四葉片の何れかの前記第三葉片と第四葉片を連接する折り線側の縁辺に開封手段が設けられていることを特徴としている。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の異なる態様の往復葉書は、往信葉書本体と返信葉書本体が折り線を介して連接されると共に、前記往信葉書の両面に情報を記載した葉片が剥離可能に貼付されている往復葉書において、第一葉片、第二葉片、第三葉片及び第四葉片が折り線を介して横方向に連接された単位シートにより構成された往復葉書であり、上から第一葉片、第三葉片、第四葉片及び第二葉片の順に重ねられ、第三葉片の往信葉書本体と第二葉片の返信葉書本体が折り線を介して連接されると共に、第一葉片と第三葉片及び第三葉片と第四葉片が疑似接着フィルムシートを介して剥離可能に接着されており、且つ第一葉片と第三葉片が第二葉片と第三葉片を連接する折り線側において疑似接着フィルムシートにより連接されると共に、第四葉片と第三葉片が前記第二葉片と第三葉片を連接する折り線側において、一定の条件を付与すると接着する接着剤層により完全接着
され、第三葉片と第四葉片の何れかの前記第三葉片と第四葉片を連接する折り線側の縁辺に開封手段が設けられていることを特徴としている。
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の往復葉書の製造方法は、往信葉書本体と返信葉書本体が折り線を介して連接されると共に、前記往信葉書の両面に情報を記載した葉片が剥離可能に貼付されている往復葉書の製造方法において、第一葉片、第二葉片、第三葉片及び第四葉片が折り線を介して横方向に連接された単位シートが、切取線を介して天地方向に連接された長尺状シートの、第一葉片表面と第二葉片表面を対向させて折り線から折畳む第一の折り工程、折畳まれた長尺状シートの第一葉片裏面と第三葉片表面及び第三葉片裏面と第四葉片裏面に疑似接着フィルムシートを被覆ラミネートするラミネート工程、被覆ラミネートされた長尺状シートの任意のマージナル部分を切除すると共に
第三葉片と第四葉片の何れかの前記第三葉片と第四葉片を連接する折り線側の縁辺に開封手段を形成する第一の切除及び開封手段形成工程、マージナル部分を切除すると共に開封手段を形成した長尺状シートを断面Z字(S字)状に折り畳む第二の折り工程、断面Z字(S字)状に折り畳まれた長尺状シートの残るマージナル部分を切除する第二の切除工程、残るマージナル部分を切除した長尺
状シートを天地方向で断裁して単位シート毎に仕上げる断裁工程、断裁された単位シートの疑似接着予定面の疑似接着と完全接着部分の接着を実行する一体化工程とからなることを特徴としている。
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の異なる態様の往復葉書の製造方法は、往信葉書本体と返信葉書本体が折り線を介して連接されると共に、前記往信葉書の両面に情報を記載した葉片が剥離可能に貼付されている往復葉書の製造方法において、第一葉片、第二葉片、第三葉片及び第四葉片が折り線を介して横方向に連接された単位シートが、切取線を介して天地方向に連接された長尺状シートの、
第一葉片裏面と第二葉片裏面を対向させて折り線から折畳む第一の折り工程、折畳まれた長尺状シートの第一葉片表面と第三葉片裏面及び第三葉片表面と第四葉片表面に疑似接着フィルムシートを被覆ラミネートするラミネート工程、被覆ラミネートされた長尺状シートの任意のマージナル部分を切除すると共に
第三葉片と第四葉片の何れかの前記第三葉片と第四葉片を連接する折り線側の縁辺に開封手段を形成する第一の切除及び開封手段形成工程、マージナル部分を切除すると共に開封手段を形成した長尺状シートを断面Z字(S字)状に折り畳む第二の折り工程、断面Z字(S字)状に折り畳まれた長尺状シートの残るマージナル部分を切除する第二の切除工程、残るマージナル部分を切除した長尺
状シートを天地方向で断裁して単位シート毎に仕上げる断裁工程、断裁された単位シートの疑似接着予定面の疑似接着と完全接着部分の接着を実行する一体化工
程、一体化を完了した単位シートの第二葉片を第四葉片の外側へ折り返す折り返し工程とからなることを特徴としている。
【0015】
また、上記目的を達成するために、本発明の往復葉書の製造方法は、往信葉書本体と返信葉書本体が折り線を介して連接されると共に、前記往信葉書の両面に情報を記載した葉片が剥離可能に貼付されている往復葉書の製造方法において、第一葉片、第二葉片、第三葉片及び第四葉片が折り線を介して横方向に連接された単位シートが、切取線を介して天地方向に連接された長尺状シートの、
第一葉片表面と第二葉片表面を対向させて折り線から折畳む第一の折り工程、折畳まれた長尺状シートの第一葉片裏面と第三葉片表面及び第三葉片裏面と第四葉片裏面に疑似接着フィルムシートを被覆ラミネートするラミネート工程、被覆ラミネートされた長尺状シート
の第三葉片と第四葉片の何れかの前記第三葉片と第四葉片を連接する折り線側の縁辺に開封手段を形成する開封手段形成工程、開封手段が形成された長尺状シートを断面Z字(S字)状に折り畳む第二の折り工程、断面Z字(S字)状に折り畳まれた長尺状シートのマージナル部分を切除する切除工程、マージナル部分を切除した長尺
状シートを天地方向で断裁して単位シート毎に仕上げる断裁工程、断裁された単位シートの疑似接着予定面の疑似接着と完全接着部分の接着を実行する一体化工程とからなることを特徴としている。
【0016】
さらに、上記目的を達成するために、本発明の異なる態様の往復葉書の製造方法は、往信葉書本体と返信葉書本体が折り線を介して連接されると共に、前記往信葉書の両面に情報を記載した葉片が剥離可能に貼付されている往復葉書の製造方法において、第一葉片、第二葉片、第三葉片及び第四葉片が折り線を介して横方向に連接された単位シートが、切取線を介して天地方向に連接された長尺状シートの、
第一葉片裏面と第二葉片裏面を対向させて折り線から折畳む第一の折り工程、折畳まれた長尺状シートの第一葉片表面と第三葉片裏面及び第三葉片表面と第四葉片表面に疑似接着フィルムシートを被覆ラミネートするラミネート工程、被覆ラミネートされた長尺状シート
の第三葉片と第四葉片の何れかの前記第三葉片と第四葉片を連接する折り線側の縁辺に開封手段を形成する開封手段形成工程、開封手段が形成された長尺状シートを断面Z字(S字)状に折り畳む第二の折り工程、断面Z字(S字)状に折り畳まれた長尺状シートのマージナル部分を切除する切除工程、マージナル部分を切除した長尺
状シートを天地方向で断裁して単位シート毎に仕上げる断裁工程、断裁された単位シートの疑似接着予定面の疑似接着と完全接着部分の接着を実行する一体化工程、一体化を完了した単位シートの第二葉片を第四葉片の外側へ折り返す折り返し工程とからなることを特徴としている。
【0017】
なお、前記往復葉書の製造方法において、切除工程、断裁工程及び
一体化工程は
位置をそれぞれ入れ替えても構わない。また切除工程は各工程間に段階的に分散して配置しても構わない。
【0018】
本発明の往復葉書に使用される用紙に特別な制限はない。例えば公知の上質用紙、マット用紙、グロス用紙、合成紙等を好適に使用することができ、斤量においても郵政法に適合する範囲で任意に選択すればよい。
【0019】
また、本発明の往復葉書に使用される疑似接着フィルムシートは、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、アセテート、ナイロン等の比較的腰の強い樹脂からなる基材の一方の面に公知の感熱接着剤層を形成し、もう一方の面に疑似接着層を形成した3層構成
のものを好適に使用することができる。このものはサーマルラミネート法により容易に用紙表面に被覆することができ、被覆後、疑似接着層同士を対向させて加圧又は加圧・加熱処理を施すことにより剥離可能に接着する特徴を持っている。このような疑似接着フィルムシートとして製品名「ハガキフィルムサーマル(ケイディケイ株式会社製)」が市販されている。
【0020】
なお、前記疑似接着フィルムシートで基材の一方の面に疑似接着層を形成した2層構成のものも使用することが可能である。このものはドライラミネート法により容易に用紙表面に被覆することができ、被覆後疑似接着層同士を対向させて加圧又は加圧・加熱処理を施すことにより剥離可能に接着する特徴を持っている。このような疑似接着フィルムシートとして製品名「ハガキフィルムドライ(ケイディケイ株式会社製)」が市販されている。
【0021】
ところで前記疑似接着フィルムシートの構成
と異なる構成のものがある。例えば基材の一方の面に、基材と異なる材質からなる熱可塑性樹脂を剥離可能に積層し、さらにその外側に公知の感熱接着剤層を形成した4層構成の
疑似接着フィルムシートであり、前記疑似接着フィルムシートを二つ折りした用紙の間に挟み込んで加熱・加圧処理を施すと、用紙と
疑似接着フィルムシートが前記感熱熱着剤層
により剥離不能に接着
される。しかしこのような構成では
用紙を剥離すると、4層構成の
疑似接着フィルムが基材と熱可塑性樹脂の間から2枚に分離してしまうため、本件発明のように分離している葉片を疑似接着フィルムシートで連接することはできない。
【0022】
本発明の往復葉書の往信葉書本体は、両面に情報が記載された葉片が貼付された状態である。その内の一方の葉片は容易に開封することができるが、もう一方の葉片は両縁辺が閉じられた状態で袋状になっておりそのままでは開封することができない。従って、その葉片の開封には、ミシン目の破断等による開封手段を講じる必要がある。しかし前記開封手段を講じることは自然開封が防止され機密性の向上につながる。
【0023】
本発明の開封手段に用いられるミシン目に特別な制限はない。通常の切り取用ミシン、マイクロミシン等の中から適宜選択することができる。またミシン目に代えて要所に繋ぎを入れたスリットにしても構わない。
【0024】
前記往信葉書のミシン目等の破断により開封する葉片において、ミシン目と逆側の縁辺に設けられる接着剤は業界でドライシールと称される接着剤が好適に使用することができる。このものは天然ゴムや合成ゴムを主剤としており、通常では接着性を示さず、接着剤層同士を対向させて強圧を施すと剥離不能に完全接着するものである。したがってレーザープリンタ等の高温ドラムを通過しても接着することがないため、予め用紙に形成しておいても印字ができ極めて至便である。
【0025】
本発明の往復葉書の製造方法で
は、長尺状シートを連続的に折り畳む必要がある。そして最初に横方向に連接された4葉片のうち一番外側の葉片を折り畳む。このような折り畳み形態は片袖折りと呼ばれ、ビジネスフォーム印刷等により印刷された長尺状シートを後加工で折り畳む形態として
は極めて通常の
ものである。また疑似接着フィルムシートを被覆した後に3連接の
状態になった長尺状シート
の断面Z字(S字)
状形態への折り畳みについてもZ折りと称されて極めて通常に行われる
もので、ビジネスフォーム印刷等で普段使用する公知の折り畳み用アングルを使って極めて容易に実施することができる。なおZ折りに関しては、断面を観察する方向によりS字状に見えるため、本発明では「Z字(S字)」と表現している。