【課題を解決するための手段】
【0009】
上記技術的課題を解決するための本発明の主たる構成は、
合成樹脂チューブ体製胴部の上端に口筒部を、また胴部の下端に閉塞して脚部を形成する底部を、それぞれインサート成形により設け、口筒部に着脱する蓋体で開閉され
、口筒部が、胴部を支持する金型部分から型抜き可能な口径寸法を有するものとして容器本体(1)を構成すること、
胴部は、
柔軟な合成樹脂
積層チューブ体製であること、
口筒部は、変形し難くかつ胴部よりも大きい外径を持つ筒片状の本体筒を有すること、
底部は、変形し難くかつ胴部よりも大きい外径を持つ筒片状の筒片部を有すること、
にある。
なお、広口チューブ容器における「広口」とは、インサート成形される口筒部が、チューブ製胴部を支持する金型部分から型抜きの可能な口径寸法を意味する。
【0010】
容器の主体部分である胴部を、合成樹脂
積層チューブ体製としたので、十分に薄肉とすることができる。
【0011】
また、胴部を形成するチューブ体は、当然ながら柔軟性を有するものであるので、容器の廃棄時にはこの胴部を強引に潰し変形して減容化させることが容易である。
【0012】
口筒部は、変形し難くかつ胴部よりも大きい外径を持つ本体筒を有し、同様に底部は変形し難くかつ胴部よりも大きい外径を持つ筒片部を有しているので、胴部を構成するチューブ体の上下の開放部は、口筒部および底部により形状を安定して保持されることになり、これにより容器の主体部分である胴部が柔軟性を有するチューブ体で構成されたにもかかわらず、安定的に形状を維持できる。かつ口筒部および底部の外周面は、共に胴部の外表面よりも外側に位置するので、容器を並列配置する取扱い時には、口筒部および底部に守られて柔軟な胴部が他の物品に不本意に接触することが防止される。
【0013】
本発明の別の構成は、上記した主たる構成に、胴部を構成する合成樹脂
積層チューブ体が、アルミ箔を用いた合成樹脂積層シート製である、ことを加えたものである。
【0014】
胴部を、アルミ箔を用いた合成樹脂積層シート製のチューブ体で構成したものにあっては、アルミ箔が発揮する種々の優れたバリヤー機能を発揮させることができるので、容器の所望するバリヤー機能を簡単にかつ確実に附与することができると共に、合成樹脂積層シートの特徴、すなわち胴部を構成するチューブ体に、種々の所望する物性、例えばガスバリヤー性等の各種のバリヤー性を付与するのが容易であり、またシート状に成形される時点で各種の表示を好ましい条件下で施すことができる。
【0015】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成に、胴部を構成する合成樹脂
積層チューブ体が、シリカ蒸着層や透明なバリヤー樹脂フィルムを用いた透明合成樹脂積層シート製である、ことを加えたものである。
【0016】
胴部を、シリカ蒸着層や透明なバリヤー樹脂フィルムを用いた透明合成樹脂積層シート製のチューブ体で構成したものにあっては、容器が密封された状態であっても、外部から収納した内容物を見えるようにすることができると共に、合成樹脂積層シートの特徴、すなわち胴部を構成するチューブ体に、種々の所望する物性、例えばガスバリヤー性等の各種のバリヤー性を付与するのが容易であり、またシート状に成形される時点で各種の表示を好ましい条件下で施すことができる。
【0017】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成に、口筒部および底部を、胴部の外表面にインサート成形した、ことを加えたものである。
【0018】
口筒部および底部を、胴部の外表面にインサート成形したものにあっては、インサート材である胴部を構成するチューブ体全体を、金型装置のコア金型に、単純に外装組付けした状態でインサート成形を実施することができるので、インサート成形するための金型装置の構造をきわめて簡単なものとすることができると共に、インサート材であるチューブ体のコア金型への組付けが容易である。
【0019】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成に、口筒部の本体筒を、外周面に蓋体の装着部分を形成した上半部分と、肉厚で大きな外径を有する膨出下部を形成した下半部分とから構成した、ことを加えたものである。
【0020】
口筒部の本体筒を、蓋体の装着部分を形成した上半部分と、肉厚で大きな外径を有する膨出下部を形成した下半部分とから構成したものにあっては、膨出下部が、組付けられた蓋体を妄りに他の物品に擦り付けられる
のを防止することが可能であり、また蓋体の着脱操作時に安定的に支持部を提供することができる。
【0021】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成に、胴部の下端を閉塞する底部を、筒片部と平板状の底板部とからなる有底短筒片状に構成し、底板部に開放部を設け、底板部の上面を覆ってインモールド材である柔らかく撓み変形する底フィルムを位置させ、この底フィルムを底板部に対して、周端部は密に溶着してその他の部分は剥離自在とした、ことを加えたものである。
【0022】
有底短筒片状に構成された底部の底板部に底フィルムを組付けたものにあっては、密閉された容器内に減圧が発生した状態では、この減圧に従って柔らかい底フィルムが、底板部上面から浮き上がり状に変位し、これにより容器内に発生した減圧を消滅させる。
【0023】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成に、胴部の下端を閉塞する底部を、筒片部とリング板状の底板部とインモールド材である柔らかく撓み変形する底フィルムとから構成し、この底フィルムで底板部の開放部を閉塞した、ことを加えたものである。
【0024】
底部を、筒片部とリング板状の底板部とインモールド材である底フィルムとから構成し、底フィルムで底板部の開放部を閉塞したものにあっては、密閉された容器内に減圧が発生した状態で、この減圧に従って柔らかい底フィルムが、容器内部に膨出状
に変形し、容器内の減圧を消滅させる。
【0025】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成に、胴部に屈曲構造の凹凸壁部を設け、この凹凸壁部は、胴部に成形されるチューブ体の筒壁の一部を、容器本体の成形時に曲げて形成されるものとした、ことを加えたものである。
【0026】
胴部に凹凸壁部を設けたものにあっては、この凹凸壁部が屈曲構造であることから、その形状により胴部に対して機械的な補強作用を発揮し、また凹凸による立体感と陰影により、胴部の外観体裁に深みのある変化を与えることになる。また、上記したように凹凸壁部は胴部を補強するので、底部に底フィルムを組付けた構造と組合せた場合、胴部の減圧による不正変形の発生は、略完全に防止されることになる。
【0027】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成と凹凸壁部の組合せに、凹凸壁部を、螺旋条状に形成した、ことを加えたものである。
【0028】
胴部の凹凸壁部を螺旋条状に形成したものにあっては、容器の廃棄時に、凹凸壁部の螺旋に従った方向に回動させながら胴部に押下げ力を作用させることにより、胴部を一定形態に押し潰すことができ、これにより十分な減容化を安定的に得ることができ、また螺旋条状の凹凸壁部は周リブ機能を発揮することになるので、胴部に対する側方からの外力に対して補強作用を発揮することになる。
【0029】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成と凹凸壁部の組合せに、凹凸壁部を、縦条状に形成した、ことを加えたものである。
【0030】
胴部の凹凸壁部を縦条状に形成したものにあっては、胴部に対する上下および側方から作用する力に対して凹凸壁部が補強リブとして機能するので、チューブ体製の胴部に高い形状保持力を発揮させることができる。
【0031】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成と凹凸壁部の組合せに、凹凸壁部を、凹凸により表示を現出させる形状に形成した、ことを加えたものである。
【0032】
胴部の凹凸壁部を凹凸により表示を現出させる形状に形成したものにあっては、凹凸壁部が現出する陰影が胴部の外表面に、凹凸模様や商品名などの表示を現出するが、この表示は凹凸により現出されるので立体感に富んだものとなり、これにより容器本体の外表面に深みのある表示を現出させることができる。
【0033】
上記技術的課題を解決するための本発明の別の主たる構成は、
合成樹脂チューブ体製胴部の上端に口筒部を、また胴部の下端に閉塞して脚部を形成する底部を、それぞれインサート成形により設け、口筒部に着脱する蓋体で開閉され、口筒部が、胴部を支持する金型部分から型抜き可能な口径寸法を有するものとして容器本体を構成すること、
胴部は、柔軟な合成樹脂積層チューブ体製であり、口筒部は、変形し難くかつ胴部よりも大きい外径を持つ筒片状の本体筒を有し、底部は、変形し難くかつ胴部よりも大きい外径を持つ筒片状の筒片部を有していること、
胴部に屈曲構造の凹凸壁部を設け、この凹凸壁部は、チューブ体の筒壁の一部を曲げて成形されるものとすること、
容器本体をインサート成形する金型装置は、雄型と一対の割金型である雌型を有
し、雄型および雌型の少なくとも一方の型面部分に、凹凸壁部分成形用の凹凸型面部を形成し、この凹凸型面部は、離型に支障を生じない凹凸程度とすること、雄型にチューブ体を外装組付けしてから、
容器本体をインサート成形すべく型締めし
た際に、この型締めにより凹凸壁部を
曲げ成形すること、
にある。
【0034】
容器本体をインサート成形する金型装置の雄型と雌型の、相互に対向する型面部分に、予め凹凸壁部を押圧成形するための凹凸型面部が形成されているので、筒状のチューブ体を雄型に外装組付けした状態で、雄型と雌型を型合せ、すなわち型締めすると、凹凸型面部を設けた雄型部分と雌型部分の間に挟まれたチューブ体部分には、屈曲壁構造の凹凸壁部が凹凸型面部により押圧成形される。
【0035】
すなわち、容器本体の胴部の凹凸壁部は、容器本体をインサート成形する金型装置の型締め動作を利用して成形されるものであり、専用の成形操作および設備を要することなく、容器本体のインサート成形操作を利用して成形される。
【発明の効果】
【0036】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
本発明の主たる構成にあっては、容器の主体部分を構成する胴部を薄肉なチューブ体で構成したので、一つの容器に消費される樹脂量を大幅に削減することができ、これにより省資源化を得ることができる。
【0037】
また、容器の主体部分である胴部を柔軟性のあるチューブ体で構成したので、この胴部を強引に潰して十分な減容変形させることができ、これにより容器の
廃棄処理を簡単にかつ効率よく達成できる。
【0038】
さらに、容器の主体部分である胴部を柔軟性のあるチューブ体で構成したにもかかわらず、安定的に形状を維持でき、かつ容器を並列配置する取扱い時には、口筒部および底部に守られて柔軟な胴部が他の物品に不本意に接触することが防止されるので、容器の安全な取り扱いを確実に得ることができる。
【0039】
胴部を、アルミ箔を用いた合成樹脂積層シート製のチューブ体で構成したものにあっては、容器の所望するバリヤー機能を簡単にかつ確実に附与することができるので、優れた収納保持能力を発揮する容器を得ることができ、また胴部に対する所望する物性や表示を容易に施すことができるので、優れた収納状態を発揮する容器を得ることができる。
【0040】
胴部を、シリカ蒸着層や透明なバリヤー樹脂フィルムを用いた透明合成樹脂積層シート製のチューブ体で構成したものにあっては、外部から収納した内容物を見えるようにすることができるので、商品である容器を安心して購入することができ、また胴部に対する所望する物性や表示を容易に施すことができるので、優れた収納状態を発揮する容器を得ることができる。
【0041】
口筒部および底部を、胴部の外表面にインサート成形したものにあっては、インサート成形するための金型装置の構造をきわめて簡単なものとすることができると共に、インサート材であるチューブ体のコア金型への組付けが容易であるので、製品としての容器の製造に要する経費を低く抑えることができ、これにより容器を安価に提供することが可能となる。
【0042】
口筒部の本体筒を、蓋体の装着部分を形成した上半部分と、肉厚で大きな外径を有する膨出下部を形成した下半部分とから構成したものにあっては、組付けられた蓋体を妄りに他の物品に擦り付けられる防止することが可能であり、また蓋体の着脱操作時に安定的に支持部を提供することができるので、蓋体の安定した組付きと、着脱操作とを得ることができる。
【0043】
有底短筒片状に構成された底部の底板部に
柔らかく撓み変形する底フィルムを組付けたもの、また底部を、筒片部とリング板状の底板部とインモールド材である
柔らかく撓み変形する底フィルムとから構成し、底フィルムで底板部の開放部を閉塞したものにあっては、底フィルムが変位して減圧を消滅させるので、柔軟性を有する胴部に減圧による不都合な変形が現出することがなく、良好な外観体裁を維持することができる。底フィルムの変位により減圧を吸収するものにあっては、その減圧吸収能力が大きいので、大きい減圧が発生し易い内容物を高温充填する用途に十分に対応することができる。
【0044】
胴部に凹凸壁部を設けたものにあっては、凹凸壁部が胴部に対して機械的な補強作用や外観体裁の変化を与えることができ、これにより構造的な安定性や外観の面白味を得ることが可能となる。
【0045】
胴部の凹凸壁部を螺旋条状に形成したものにあっては、十分な減容化を安定的に得ることができるので、容器の廃棄処理を効率的に行なうことができ、また胴部に対する側方からの外力に対して補強作用を得ることが可能であるので、胴部の安定した保形性を得ることができる。
【0046】
胴部の凹凸壁部を縦条状に形成したものにあっては、チューブ体製の胴部に高い形状保持力を発揮させることができるので、その運搬や格納の取扱いが行ない易いものとすることができる。
【0047】
胴部の凹凸壁部を凹凸により表示を現出させる形状に形成したものにあっては、容器本体の外表面に好ましい変化を与えることが可能となるので、容器の商品イメージを良好なものとすることが可能である。
【0048】
本発明の別の主たる構成である凹凸壁部成形方法にあっては、凹凸壁部が、容器本体をインサート成形する金型装置の型締め動作を利用して成形されるので、特別な処理手段を要することなく、従来通りの容器本体のインサート成形操作により、凹凸壁部を簡単にかつ確実に成形でき、その実施が容易である。