(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
つぎに、添付図面により、本発明の第1実施形態による洗浄水供給装置、この洗浄水供給装置を備えた洗浄水タンク装置、及び、この洗浄水タンク装置を備えた水洗大便器について説明する。
まず、
図1により、本発明の第1実施形態による洗浄水供給装置を備えた洗浄水タンク装置が適用された水洗便器について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による洗浄水供給装置を備えた洗浄水タンク装置が適用された水洗大便器において、便座及び便蓋を取り外した状態を示す斜視図である。
【0017】
図1に示すように、符号1は、サイホン作用を利用してボウル部内の汚物を吸い込んで排水トラップ管路から一気に外部に排出する、いわゆる、サイホン式の水洗大便器であり、この水洗大便器1は、陶器製の便器本体2を備え、この便器本体2には、ボウル部4と、このボウル部4の下部と連通するトラップ管路6がそれぞれ形成されている。
便器本体2のボウル部4の上縁部には、内側にオーバーハングしたリム8と、便器本体2の後方側の内部に形成される導水路(図示せず)から供給される洗浄水を吐水する第1吐水口10が形成され、この第1吐水口10から吐水された洗浄水は、旋回しながら下降してボウル部4を洗浄するようになっている。
【0018】
ボウル部4の下方には、溜水面が鎖線W0で示された溜水部12が形成されている。この溜水部12の下方には、排水トラップ管路6の入口6aが開口し、この入口6aから後方の排水トラップ管路6は排水ソケット(図示せず)を介して床下の排出管(図示せず)に接続されている。
また、ボウル部4の溜水面W0の上方位置には、便器本体2の後方側の内部に形成される導水路(図示せず)から供給される洗浄水を吐水する第2吐水口14が形成され、この第2吐水口14から吐水される洗浄水が溜水部12の溜水を上下方向に旋回させる旋回流を生じさせるようになっている。
【0019】
便器本体2の後方側の上面には、便器本体2に供給する洗浄水を貯水する洗浄水タンク装置16が設けられている。
なお、本実施形態では、上述したサイホン式の水洗大便器に洗浄水タンク装置16を適用した例について説明するが、このようなサイホン式の水洗大便器に限定されず、ボウル部内の水の落差による流水作用で汚物を押し流す、いわゆる、洗い落し式の水洗大便器等の他のタイプの水洗便器にも適用可能である。
【0020】
つぎに、
図2により、洗浄水タンク装置16の内部構造について説明する。
図2は、本発明の第1実施形態による洗浄水供給装置を備えた洗浄水タンク装置の内部構造を示す正面断面図である。なお、
図2においては、貯水タンクの満水水位、止水水位及び死水水位のそれぞれをWL0、WL1及びDWLで示している。また、洗浄水供給装置22による給水が開始される貯水タンク18内の水位及び小タンク内の水位のそれぞれをWL2及びwlでそれぞれ示している。
図1及び
図2に示すように、洗浄水タンク装置16は、水洗大便器1を洗浄する洗浄水を貯水する貯水タンク18を備え、この貯水タンク18の底部には、便器本体2の導水路(図示せず)と連通する排水口20が形成され、貯水タンク18内の洗浄水が便器本体2の導水路(図示せず)へと供給されるようになっている。また、貯水タンク18は、便器の種類に応じて、貯水する洗浄水の量が異なっている。
【0021】
図2に示すように、洗浄水タンク装置16の貯水タンク18内には、この貯水タンク18内に洗浄水を供給する洗浄水供給装置22と、貯水タンク18に貯えられた洗浄水について排水口20を開放して便器本体2の導水路(図示せず)に流出させる排水弁装置24が設けられている。
【0022】
排水弁装置24の構成については、従来の排水弁装置の構成と同様であるため、具体的な説明は省略するが、貯水タンク18の外部に取り付けられた操作レバー26を大洗浄又は小洗浄の所定の洗浄モードを実行させる方向に回動操作を行うことにより、操作レバー26に連結された操作ワイヤ28が連動して排水弁装置24の弁体(図示せず)を引き上げると、排水口20が所定時間開放され、貯水タンク18内の洗浄水が便器本体2の導水路(図示せず)に一定量排出されるようになっている。
【0023】
つぎに、
図2〜
図8を参照して、本発明の第1実施形態による洗浄水供給装置の詳細について説明する。
まず、
図3は本発明の第1実施形態による洗浄水供給装置を示す分解斜視図であり、
図4は本発明の第1実施形態による洗浄水供給装置を示す正面断面図である。なお、
図4においては、貯水タンクの満水水位、止水水位及び死水水位のそれぞれをWL0、WL1及びDWLで示している。また、洗浄水供給装置22による給水が開始される貯水タンク18内の水位及び小タンク内の水位のそれぞれをWL2及びwlでそれぞれ示している。
また、
図5は本発明の第1実施形態による給水時(開弁時)の状態の洗浄水供給装置について部分的に拡大した部分拡大断面図であり、
図6は本発明の第1実施形態による止水時(閉弁時)の状態の洗浄水供給装置について部分的に拡大した部分拡大断面図である。
なお、
図4及び
図5については、一次側給水路及び二次側給水路内の給水の流れを矢印で示している。
【0024】
図2〜
図6に示すように、本発明の第1実施形態による洗浄水供給装置22は、外部の給水源(図示せず)に接続され且つ貯水タンク18の底面18aから上方に延びる給水管30と、この給水管30の上方且つ側方に設けられ且つ給水管30から給水される洗浄水の貯水タンク18内への吐水と止水を切り替えるダイアフラム式の給水バルブ32とを備えている。
また、洗浄水供給装置22は、給水管30に着脱可能に取り付けられる小タンク34と、この小タンク34の底面34aに形成された逆止弁取付用の取付穴34bに取り付けられ且つ小タンク34の底面34aに形成された2つの小穴34cを開閉する逆止弁36と、小タンク34内に設けられて小タンク34内の水位の変動に応じて上下動するフロート38と、一方がフロート38に接続されると共に他方が給水バルブ32に接続され、フロート38が上下動することにより、給水バルブ32の近傍の支点Pを中心に揺動して給水バルブ32を開閉させる揺動部材40とを備えている。
さらに、洗浄水供給装置22は、給水管30の上方且つ側方に固定されて給水管30に対する小タンク34の上下方向の位置を調整することができる小フロート位置調整用の固定軸部材42と、揺動部材40の先端部とフロート38とを接続するように取り付けられ、フロート38のほぼ中央部に形成された取付穴38aに螺合されて揺動部材40の先端部とフロート38との鉛直方向の相対位置を調整可能な調整用軸部材44とを備えている。
【0025】
図2〜
図4に示すように、給水管30は、貯水タンク18の底面18aに取り付けられ、外部の水道等の給水源(図示せず)に接続され、洗浄水を貯水タンク18内に供給するようになっている。この給水管30の中心部には、上下方向に延びるように1次側給水路30aが形成され、給水管30の内部且つ1次側給水路30aの外側部には、2次側給水路30bが形成され、この2次側給水路30bの下端部に形成された流出口30cから貯水タンク18内に洗浄水が供給されるようになっている。
【0026】
また、
図4〜
図6に示すように、給水管30の上端部には、その内部に給水路を形成する給水路形成部材46が設けられ、この給水路形成部材46の給水路30内に挿入されている部分の中心部には、給水管30の1次側給水路30aと接続される1次側給水路46aが上下方向に延びるように形成されている。
さらに、この給水路形成部材46の1次側給水路46a内には、給水をろ過するためのフィルター部材48が取り付けられている。
【0027】
さらに、給水路形成部材46の上方の内部には、水平方向に延びる中心軸A1を持つ2次側給水路46bが形成され、この2次側給水路46bの下流側は、給水管30の二次側給水路30bと連通している。
また、給水路形成部材46の上下方向に延びる1次側給水路46aと給水路形成部材46の水平方向に延びる2次側給水路46bとの間に介在するように、ダイアフラム式の給水バルブ32が設けられている。
図5及び
図6に示すように、給水バルブ32は、水平方向に延びる中心軸A1を持つバルブハウジング32aと、このハブルハウジング32aの中心軸A1に取り付けられ且つこの中心軸A1に沿って
図5及び
図6の左右方向に移動可能なダイアフラム32bと、このダイアフラム32bに取り付けられ、バルブハウジング32a内においてダイアフラム32bと共に一体的に
図5及び
図6の左右方向に移動可能な弁体32cとを備えている。
【0028】
このダイアフラム32bには、中心軸A1と平行に延びるブリード穴32dが形成され、このブリード穴32dにより、給水路形成部材46の1次側給水路46aとダイアフラム32bの側方側にある背圧室32eとが連通されている。この背圧室32eの側部には、パイロット穴32fが形成されている。
【0029】
さらに、
図5及び
図6に示すように、給水バルブ32のバルブハウジング32aの側方には、揺動部材40がバルブハウジング32aの端部に位置する支点Pを中心に揺動可能に取り付けられ、この揺動部材40は、揺動により給水バルブ32のパイロット穴32fを開閉する弁部材40aを備え、この揺動部材40の弁部材40aが給水バルブ32のパイロット穴32fを開閉することにより、給水バルブ32による給水及び止水を切り替えることができるようになっている。
なお、
図5においては、小タンク34内の水位がほぼ零となり、フロート38が最低位置まで下降するように揺動部材40が支点Pを中心に揺動した結果、弁部材40aが給水バルブ32のパイロット穴32fを開放し、弁体32cが
図5の左側に移動し、給水路形成部材46の2次側給水路46bの上流側端部に位置する弁座46cを開放した状態(給水状態)を示している。
一方、
図6においては、フロート38が最高位置まで上昇するように揺動部材40が支点Pを中心に揺動した結果、弁部材40aが給水バルブ32のパイロット穴32fを閉鎖することにより、弁体32cが
図6の右側に移動し、2次側給水路46bの上流側端部に位置する弁座46cを閉鎖した状態(止水状態)を示している。
【0030】
また、
図3、
図5及び
図6に示すように、給水路形成部材46の水平方向に延びる2次側給水路46bの上方には、補給水装置50が設けられ、この補給水装置50の側部には、給水路形成部材46の2次側給水路46bから補給水装置50内に流入した水の一部を分岐して補給水として貯水タンク18内にリフィールさせる補給水管50aが形成されている。
【0031】
つぎに、
図3〜
図9を参照して、小タンク34、逆止弁36及びフロート38の詳細について説明する。
図7は、本発明の第1実施形態による洗浄水供給装置の小タンクを示す斜視図であり、
図8は、本発明の第1実施形態による洗浄水供給装置の小タンクを示す平面図であり、
図9は、
図5に示す本発明の第1実施形態による洗浄水供給装置の小タンク、フロート、及び逆止弁の部分を拡大して示す部分拡大断面図である。
【0032】
まず、
図3〜
図9に示すように、小タンク34は、その鉛直方向の最大長さが水平方向(長手方向)の最大長さよりも短くなるような概ね横長の扁平形状に形成されている。この小タンク34は、貯水タンク18に取り付けた状態の給水管30の側方に着脱可能に取り付けられる給水管取付け部34dと、底面34aのほぼ中央部から上下方向に延びるように形成され、固定軸部材42の一部が挿入されて螺合されることにより小タンク34の上下方向の位置を固定する固定部34eとを備えている。このような小タンク34内に収容される洗浄水の容積が異なる小タンクを複数用意することにより、便器洗浄に使用される貯水タンク18内の洗浄水量に応じて、これに合わせた容積の小タンク34を適宜に付け替えることができるようになっている。
【0033】
また、小タンク34は、その底面34aに形成された取付穴34bの周囲を取り囲むように小タンク34の底面34aから上方に延びる筒体部34fを備えている。この筒体部34fの内壁34gは、小タンク34の底面34aの取付穴34bから連続的に上方へ延びており、実質的には、後述する逆止弁36の支持部36aが挿入して取り付けられる縦穴状の取付穴を形成している。
なお、上述した筒体部34fについては、その内壁34gが小タンク34の底面34aの取付穴34bから連続的に上方へ延びるような形態に限られず、筒体部34fの内壁が、小タンク34の底面34aの取付穴34bの径方向外側に向って所定距離だけ離間した位置から上方に延びるように形成されていてもよい。
【0034】
つぎに、フロート38は、樹脂材料で形成され、小タンク34内に収容可能に外周が概ね小タンク34の内部形状に合わせた形状に形成されている。
また、
図5、
図6及び
図9に示すように、フロート38の下方のみが開口している形状となっており、フロート38の内部空間には、この内部空間内の空気と小タンク34内の洗浄水により浮力を発生させる浮力発生部38bを備えている。
【0035】
つぎに、
図5〜
図7及び
図9に示すように、小タンク34の筒体部34fは、その上方が開放されるように形成された上端部34hを備え、筒体部34fは、
図5及び
図6に示すように、フロート38の内部空間(浮力発生部38b)内に配置されている。
また、
図6は、フロート38が止水時に上昇して小タンク34内の洗浄水による浮力と釣り合う位置にあるときの小タンク34内の水位を符号wl0で示している。このとき、フロート38の内部空間(浮力発生部38b)内に空気が滞留しており、フロート38の内部空間内に小タンク34内の洗浄水がほとんど流入していないが、フロート38の下端部38c付近の洗浄水の水圧により、この小タンク34内の水位wl0は、フロート38の下端部38cよりもわずかに上方に位置している。
また、この小タンク34内の水位wl0は、実質的には、
図2に示す洗浄水供給装置22による給水が開始される小タンク34内の水位wlに相当している。
【0036】
さらに、
図6に示すように、筒体部34fの上端部34hは、フロート38が止水時に上昇して小タンク34内の洗浄水による浮力と釣り合う位置にあるときの小タンク34内の水位wl0とフロート38の下端部38cの高さ位置よりも上方に位置している。これにより、筒体部34fの上端部34hが上方に開放されていても、小タンク34内の洗浄水が筒体部34fの内部へ進入することを防ぐことができ、逆止弁取付用の取付穴34bから小タンク34内の洗浄水が流出することを防ぐことができるようになっている。また、小タンク34の筒体部34fがフロート38と干渉することがなく、フロート38の動作不良を防ぐことができるようになっている。
【0037】
また、
図9に示すように、小タンク34の底面34aにおける筒体部34fの基端部に対して外側に位置し且つ左側と右側に位置する領域には、小タンク34内の洗浄水を流出させるための小穴34cがそれぞれ形成されている。
なお、これらの小穴34cについては、小タンク34の筒体部34fの基端部に対して前側と後側に位置する領域にそれぞれ配置してもよい。
【0038】
つぎに、逆止弁36は、貯水タンク18内の洗浄水の水位によって上下動可能となるように水よりも比重が小さい材料(例えば、樹脂材料等)で形成されている。この逆止弁36は、小タンク34の小穴34cを開閉可能に且つ小タンク34の取付穴34bに下側から挿入して取り付けられ、貯水タンク18内の洗浄水の水位による浮力により上下動することができるようになっている。
【0039】
より具体的には、逆止弁36は、
図9に示すように、貯水タンク18内の水位の変動に応じて上下動することにより小タンク34の小穴34cを開閉する概ね円板状の弁部36bと、この弁部36bの上面から上方に延びるように形成されて小タンク34の取付穴34b及び筒体部34fに挿入して取り付けられる支持部36aと、弁部36bの底面に形成され且つその中央部が支持部36aの内部にかけて上方に凹むように形成され、貯水タンク18内の洗浄水により浮力を発生させる浮力発生部36cとを備えている。
【0040】
また、
図9に示すように、逆止弁36の支持部36aは、上方に延びた先端部が水平方向外側に突出するように形成された係止部36dを備えている。この係止部36dは、逆止弁36が小タンク34に対して最も下降したときに筒体部34fの上端部34hに係止することができるようになっており、逆止弁36が小タンク34から脱落することを防ぐことができるようになっている。
【0041】
なお、本実施形態における逆止弁36については、それ自体が水よりも比重が小さい材料(例えば、樹脂材料)で形成されており、逆止弁36の浮力発生部36cが空気を溜めるスペースを形成するような形態であるが、この浮力発生部については、水よりも比重が小さい材料(例えば、樹脂材料)で中実に形成し、空気を溜めるスペースをなくした形態にしてもよい。
【0042】
さらに、
図6に示すように、貯水タンク18の水位が上昇したときには、この貯水タンク18の水位によって、逆止弁36が浮力により小タンク34の小穴34cを迅速に閉鎖することができるようになっている。これにより、貯水タンク18の水位が小タンク34の上縁34iを乗り越えて洗浄水が小タンク34内に流入する直前まで小タンク34内を空室にしてフロート38を下降させた状態にすることができ、洗浄水が小タンク34の上縁34iを乗り越えて洗浄水が貯水部内に流入したときに、フロート38を迅速に上昇させて給水バルブ32を速やかに止水することができるようになっている。
【0043】
つぎに、
図1〜
図9を参照して、本発明の第1実施形態による洗浄水供給装置、この洗浄水供給装置を備えた洗浄水タンク装置、及び、この洗浄水タンク装置を備えた水洗大便器の動作(作用)を説明する。
なお、以下、本発明の第1実施形態による排水弁装置を備えた洗浄水タンク装置により実行される大洗浄モードと小洗浄モードの2種類の洗浄モードのうち、大洗浄モード時の操作ワイヤ28による排水弁装置24の弁体(図示せず)の引き上げ量が小洗浄モード時よりも大きくなり、貯水タンク18の排水口20を開放している時間が長い点と、大洗浄モード時の死水水位DWLが小洗浄モード時よりも低くなる点以外については、大洗浄モードと小洗浄モードの基本動作は共通しているため、大洗浄モードについてのみ説明する。
【0044】
図2、
図4及び
図6に示すように、排水弁装置24の排水開始前の状態では、排水弁装置24の弁体(図示せず)が排水口20を閉止しており、貯水タンク18内の初期水位が満水水位WL0(
図2)となり、フロート部材38が水没している。
【0045】
つぎに、
図2、
図4及び
図6に示すように、使用者が操作レバー26を操作すると、排水弁装置24が貯水タンク18の排水口20を開放し、洗浄水タンク装置16の排水弁装置24による水洗大便器1の便器本体2への大洗浄モードの排水が開始され、貯水タンク18内の水位が低下し始める。このとき、フロート38は小タンク34内の洗浄水による浮力により、上昇して静止した状態に維持されている。
【0046】
つぎに、
図2、
図4及び
図6に示すように、貯水タンク18内の水位が満水水位WL0より低下し、
図2に示す洗浄水供給装置22による給水が開始される貯水タンク18内の水位WL2よりも高い水位のときには、フロート38は依然として上昇して静止した状態に維持され、貯水タンク18内の水位は止水水位WL1となり、洗浄水供給装置22による給水は行われていない。
【0047】
つぎに、
図2、
図4〜
図6及び
図9に示すように、貯水タンク18内の水位が小タンク34の底面34aの高さ位置とほぼ同一の水位WL2よりも低下すると、貯水タンク18内の洗浄水によって逆止弁36の浮力発生部36cに作用している上向きの浮力が逆止弁36の下向きの自重を下回り、逆止弁36が下降し、小タンク34の底面34aの小穴34cを開放する。
これにより、
図9に流れfで示すように、小タンク34の底面34aの小穴34cから小タンク34内の洗浄水が流出し、小タンク34内の水位が小タンク34の上縁34iの高さと同一の満水水位から低下し始める。このとき、小タンク34内の水位が給水開始水位wl0に低下するまでは、小タンク34内の洗浄水によってフロート38の浮力発生部38bに作用している浮力がフロート38の自重を上回るため、フロート38は依然として上昇して静止した状態に維持される。ここで、小タンク34内の給水開始水位wl(wl0)は、貯水タンク18内の水位WL2よりも高くなっている。
【0048】
このとき、
図6に示すように、筒体部34fの上端部34hは、フロート36の内部空間(浮力発生部38b)内に位置しており、フロート38が止水時に上昇して小タンク34内の洗浄水による浮力と釣り合う位置にあるときの小タンク34内の水位wl0とフロート38の下端部38cの高さ位置よりも上方に位置しているため、筒体部34fの上端部34hが上方に開放されていても、小タンク34内の洗浄水が筒体部34fの内部へ進入することができない。
【0049】
また、小タンク34内の水位が
図6に示す給水開始水位wl0よりも低下すると、フロート38の浮力発生部38bに作用している浮力がフロート38の自重を下回るため、フロート38が下降する。そして、
図4及び
図5に示すように、フロート38の下降により揺動部材40が支点Pを中心に揺動し、揺動部材40の弁部材40aが給水バルブ32のパイロット穴32fを開放し、弁体32cが
図5の左側に移動し、給水路形成部材46の2次側給水路46bの上流側端部に位置する弁座46cが開放した状態(給水状態)となる。これにより、給水管30の2次側給水路30bの流出口30cから貯水タンク18内に洗浄水が給水される。
【0050】
つぎに、
図2、
図4及び
図5に示すように、貯水タンク18内の水位が死水水位DWLまで低下すると、排水弁装置24が貯水タンク18の排水口20を閉止する。この間、小タンク34内の水位は零となり、給水バルブ32が開放されて洗浄水供給装置22による貯水タンク18への給水が継続して行われているため、貯水タンク18内の水位が死水水位DWLから上昇する。
そして、貯水タンク18内の水位が水位WL2まで上昇すると、逆止弁36が上昇して小タンク34の小穴34c及び取付穴34cを閉止する。
このとき、小タンク34内の水位は依然として零となっているが、貯水タンク18内の水位がさらに上昇して小タンク34の上縁34iを乗り越えて小タンク34内に流入すると、この小タンク34内の水位が急激に上昇し、フロート38を迅速に上昇させて給水バルブ32を速やかに止水する。
【0051】
上述した本発明の第1実施形態による洗浄水供給装置22によれば、逆止弁36を取り付けるための小タンク34の取付穴34bの周囲を取り囲むように上方に延びる筒体部34fが小タンク34の底面34aに形成されていることにより、小タンク34内の洗浄水が逆止弁36の取付穴34bから流出することを防ぐことができ、洗浄水供給装置22から貯水タンク18内への給水のタイミングを適切に制御することができる。したがって、貯水タンク18から便器本体2に洗浄水が供給されているときに、給水のタイミングが所望のタイミングよりも早まって給水が行われ、この給水された洗浄水が予め貯水タンク18に貯水されていた洗浄水と共に便器本体2に無駄水として流される、いわゆる「追っかけ水」が発生することを防ぐことができ、或いは給水のタイミングが所望のタイミングよりも遅くなって貯水タンク18の貯水に時間がかかってしまうことを防ぐことができる。
【0052】
また、本実施形態による洗浄水供給装置22によれば、小タンク34の筒体部34fの上端部34hが上方に開放されていても、フロート38が止水時に上昇して小タンク34内の洗浄水による浮力と釣り合う位置にあるときに、小タンク34内の水位wl0とフロート38の下端部38cよりも上方に位置しているため、小タンク34内から筒体部34fの内部への水の進入を防ぐことができ、逆止弁36を取り付けるための取付穴34bから小タンク34内の洗浄水が流出することを防ぐことができる。したがって、洗浄水供給装置22から貯水タンク18内への給水のタイミングを適切に制御することができる。
さらに、逆止弁36を取り付けるための取付穴34bから小タンク34内の洗浄水が流出することを防ぐ手段として、小タンク34の底面34aに設けた単純な筒状の構造である筒体部34fを採用することにより、シンプルで且つコンパクトな構造にすることができる。
また、
図9に示すように、筒体部34fがフロート38の内部空間(浮力発生部38c)に配置されており、フロート38が小タンク34に対して最も下降した状態であっても、小タンク34の筒体部34fや逆止弁36の支持部36aの先端部(係止部36d)がフロート38と接触することがないため、筒体部34fがフロート38と干渉することがなく、フロート38の動作不良を防ぐことができる。
【0053】
さらに、本実施形態による洗浄水供給装置22によれば、
図9に示すように、逆止弁36が小タンク34に対して最も下降したときに、逆止弁36の支持部36aの係止部36dが小タンク34の筒体部34fの上端部34hに係止することにより、逆止弁36が小タンク34から脱落することを防ぐことができる。また、この逆止弁36の支持部36aの係止部36dが、小タンク34の筒体部34fの上端部34h自体に係止するため、逆止弁36の支持部36aの係止部36dを係止するための手段を別途設ける必要がなく、シンプルな構造にすることができる。
【0054】
つぎに、
図10を参照して、本発明の第2実施形態による洗浄水供給装置について説明する。
図10は本発明の第2実施形態による洗浄水供給装置の小タンク、フロート及び逆止弁を示す断面図である。
なお、
図10において、上述した本発明の第1実施形態による洗浄水供給装置の部分と同一部分については同一の符号を付し、これらの説明は省略する。
【0055】
ここで、本発明の第2実施形態による洗浄水供給装置122においては、小タンクの筒体部とフロートの構造のみが上述した本発明の第1実施形態による洗浄水供給装置22の小タンク34の筒体部34fとフロート38の構造と異なっており、その他の部分については第1実施形態と同一の構成であるため、以下、第1実施形態と異なる部分のみについて説明する。
【0056】
まず、
図10に示されている本実施形態による洗浄水供給装置122のフロート138及び逆止弁136のそれぞれについては、小タンク134に対して最も下降し、洗浄水供給装置122から貯水タンク18に給水が行われている状態を示している。
また、本実施形態による洗浄水供給装置122においては、小タンク134の底面134aの逆止弁取付用の取付穴134bの周囲を取り囲むように上方に延びるように形成された筒体部134fを備え、この筒体部134fがフロート138の内部空間(浮力発生部138b)の外側に配置されている。
【0057】
さらに、筒体部134fの上端部134hは、その上方が開放されており、小タンク134の上縁134iの上方に位置していると共に、フロート138が止水時に上昇して小タンク134内の洗浄水による浮力と釣り合う位置にあるときの小タンク134内の水位wl0及び小タンク134の上縁134iよりも上方に位置している。これにより、小タンク134内の洗浄水は、常時筒体部134fの内部に進入することができないようになっている。
【0058】
また、
図10に示すように、逆止弁136の1支持部36aは、上方に延びた先端部が水平方向外側に突出するように形成された係止部136dを備えている。この係止部136dは、逆止弁136が小タンク134に対して最も下降したときに筒体部134fの上端部134hに係止することができるようになっており、逆止弁136が小タンク134から脱落することを防ぐことができるようになっている。
【0059】
上述した本発明の第2実施形態による洗浄水供給装置122によれば、小タンク134の筒体部134fの上端部134hが開放されていても、筒体部134fがフロート138の内部空間(浮力発生部138b)の外側に配置され、筒体部134fの上端部134hが止水時の小タンク134内の水位wl0及び小タンク134の上縁134iよりも上方に位置しているため、小タンク134内から筒体部134fの内部への水の進入を防ぐことができ、逆止弁136を取り付けるための取付穴134bから小タンク134内の洗浄水が流出することを防ぐことができる。したがって、洗浄水供給装置122から貯水タンク18内への給水のタイミングを適切に制御することができる。また、筒体部134fをシンプルな構造にすることができる。さらに、筒体部134fがフロート138の内部空間(浮力発生部138b)の外側に配置されているため、筒体部134fがフロート138と干渉することがなく、フロート138の動作不良を防ぐことができる。
なお、本実施形態では、フロート138が止水時に上昇して小タンク134内の洗浄水による浮力と釣り合う位置にあるときの小タンク34内の水位wl0が小タンク134の上縁134iよりも低い位置に設定されている形態について説明したが、他の形態として、小タンク34内の水位wl0が小タンク134の上縁134i(小タンク134の満水水位)に達したときに、止水時のフロート138が小タンク134内の洗浄水による浮力と釣り合うように設定してもよい。このような他の形態の場合においても、止水時に小タンク134内の水位wl0が満水水位であるときにも、小タンク134内から筒体部134fの内部への水の進入を防ぐことができ、逆止弁136を取り付けるための取付穴134bから小タンク134内の洗浄水が流出することを防ぐことができる。
【0060】
また、本実施形態による洗浄水供給装置122によれば、
図10に示すように、逆止弁136が小タンク134に対して最も下降したときに、逆止弁136の支持部136aの係止部136dが小タンク134の筒体部134fの上端部134hに係止することにより、逆止弁136が小タンク134から脱落することを防ぐことができる。また、この逆止弁136の支持部136aの係止部136dが、小タンク134の筒体部134fの上端部134h自体に係止するため、逆止弁136の支持部136aの係止部136dを係止するための手段を別途設ける必要がなく、シンプルな構造にすることができる。
【0061】
つぎに、
図11を参照して、本発明の第3実施形態による洗浄水供給装置について説明する。
図11は、本発明の第3実施形態による洗浄水供給装置の小タンク、フロート及び逆止弁を示す断面図である。
なお、
図11において、上述した本発明の第1実施形態による洗浄水供給装置の部分と同一部分については同一の符号を付し、これらの説明は省略する。
【0062】
ここで、本発明の第3実施形態による洗浄水供給装置222においては、小タンクの筒体部の構造のみが上述した本発明の第1実施形態による洗浄水供給装置22の小タンク34の筒体部34fの構造と異なっており、その他の部分については第1実施形態と同一の構成であるため、以下、第1実施形態と異なる部分のみについて説明する。
【0063】
まず、
図11に示されている本実施形態による洗浄水供給装置222のフロート238及び逆止弁236のそれぞれについては、小タンク234に対して最も下降し、洗浄水供給装置222から貯水タンク18に給水が行われている状態を示している。
また、本実施形態による洗浄水供給装置222においては、小タンク234の筒体部234fは、その上方が閉鎖されるように形成された上端部234hを備えている。
【0064】
さらに、逆止弁236の支持部236aの先端部には、逆止弁236が小タンク234に対して最も下降したときに筒体部234fの一部に係止する係止部236dが設けられており、筒体部234fの内壁234gには、逆止弁236の支持部236aの係止部236dを係止する係止受部234jが設けられている。
【0065】
上述した本発明の第3実施形態による洗浄水供給装置222によれば、筒体部234fの上端部234hが閉鎖されているため、小タンク234内から筒体部234fの内部への水の進入を防ぐことができ、逆止弁236を取り付けるための取付穴234bから小タンク234内の洗浄水が流出することを防ぐことができる。したがって、洗浄水供給装置222から貯水タンク18内への給水のタイミングを適切に制御することができる。また、筒体部234fの高さを低く設定することができるため、筒体部234fをコンパクトな構造にすることができる。
【0066】
また、本実施形態による洗浄水供給装置222によれば、逆止弁236の支持部236aの係止部236dと筒体部234fの内壁234gの係止受部234jにより、逆止弁236が小タンク234に対して最も下降したときでも、逆止弁236が小タンク234から脱落することを防ぐことができる。