特許第5733741号(P5733741)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5733741
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】手書き文字認識結果表示装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 9/03 20060101AFI20150521BHJP
   G06K 9/62 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
   G06K9/03 J
   G06K9/62 G
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2010-243752(P2010-243752)
(22)【出願日】2010年10月29日
(65)【公開番号】特開2012-98789(P2012-98789A)
(43)【公開日】2012年5月24日
【審査請求日】2013年8月21日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097205
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 正樹
(72)【発明者】
【氏名】梅村 勝利
(72)【発明者】
【氏名】菅野 次男
【審査官】 新井 則和
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−325203(JP,A)
【文献】 特開平09−106433(JP,A)
【文献】 特開平11−265423(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0100902(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 9/00−9/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの手書き入力文字の認識結果として得られた英文字及び数字を含む複数の文字候補を表示部にリスト表示する手書き文字認識結果表示装置であって、
全角及び半角の両フォントで表現し得る2種類の文字種の文字候補について、一方の文字種の文字候補を半角フォントにて、他方の文字種の文字候補を全角フォントにて前記表示部にリスト表示させる表示制御手段と、
該表示制御手段により前記表示部にリスト表示された前記複数の文字候補から、選択された文字候補を取得して検索名の文字として入力する手段と、を有し、
前記表示制御手段は、表示すべき文字候補が英文字であるか数字であるかを判定する文字種判定手段と、
文字候補が英文字であるとの判定がなされたときに、当該文字候補である英文字を全角フォントにて表示させる全角フォント表示制御手段と、
文字候補が数字であるとの判定がなされたときに、当該文候補である数字を半角フォントにて表示させる半角フォント表示制御手段とを有する、手書き文字認識結果表示装置。
【請求項2】
カーナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ及び携帯情報端末のいずれかに適用される請求項1記載の手書き文字認識結果表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手書き入力文字の認識結果として得られた複数の文字候補を表示部に表示する手書き文字認識結果表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手書き文字入力及びその出力表示を行う文字認識システムにおいて、手書き認識部により選ばれた文字候補の中から、認識処理後に、ユーザが選択した字種の文字候補のみを表示させ得るようにした文字認識システムの認識候補選択方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このように構成された文字認識システムの認識候補選択方法では、ユーザが手書き文字を入力すると、認識処理部は入力文字の認識処理を実行し、情報テーブルを検索して、文字候補を抽出する。抽出された文字候補は、表示装置の表示画面上の表示エリアに表示される。この際、表示エリアには抽出された全ての字種を含む文字候補が表示される。表示された文字候補の数が少ない場合には、ユーザは直ちにその中の1つを特定する。
【0004】
一方、すべての字種を含む文字候補が表示された際、上記表示エリアに表示可能な文字候補の最大数が比較的少ない数に限定されている場合に、多数の文字候補が抽出されると、全文字候補が表示枠に表示しきれずに隠れてしまう。このとき、ユーザが字種を選択することによって、所定の字種の全文字候補を表示エリアに絞り込んで表示させ、この絞り込んで表示された文字候補の中の1つを特定する。このようにすることによって、多数の文字候補が抽出された場合にのみ、字種選択を行えばよいので、ユーザの使い勝手を向上でいるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−123897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の特許文献1に示された文字認識システムの認識候補選択方法では、表示エリアに表示された文字候補の数が少ない場合、種々の字種が混在するため、英文字と数字が混在すると、例えば半角で表示された数字「0(ゼロ)」と英文字「O(オー)」を判別し難い。このように、認識結果としてもともと似ている文字候補を表示させる際に、ともに半角フォントにて表示させ、または、ともに全角フォントにて表示させると、それらの文字候補が判別し難い場合がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、全角及び半角の両フォントで表現し得る2種類の文字種であって、ともに全角またはともに半角フォントにて表示したときに判別し難い文字候補をより判別し易く表示することができるようにした手書き文字認識結果表示装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る手書き文字認識結果表示装置は、1つの手書き入力文字の認識結果として得られた英文字及び数字を含む複数の文字候補を表示部にリスト表示する手書き文字認識結果表示装置であって、全角及び半角の両フォントで表現し得る2種類の文字種の文字候補について、一方の文字種の文字候補を半角フォントにて、他方の文字種の文字候補を全角フォントにて前記表示部にリスト表示させる表示制御手段と、該表示制御手段により前記表示部にリスト表示された前記複数の文字候補から、選択された文字候補を取得して検索名の文字として入力する手段と、を有し、前記表示制御手段は、表示すべき文字候補が英文字であるか数字であるかを判定する文字種判定手段と、文字候補が英文字であるとの判定がなされたときに、当該文字候補である英文字を全角フォントにて表示させる全角フォント表示制御手段と、文字候補が数字であるとの判定がなされたときに、当該文候補である数字を半角フォントにて表示させる半角フォント表示制御手段とを有する構成となる。
【0009】
このような構成により、全角及び半角の両フォントで表現し得る2種類の文字種であって、ともに全角またはともに半角フォントにて表示したときに判別し難い文字候補について、一方の文字種の文字候補が半角フォントにて、他方の文字種の文字候補が全角フォントにて表示部にリスト表示される。特に、表示すべき文字候補が英文字であると判定がなされたときに、この英文字が全角フォントにて表示部にリスト表示され、表示すべき文字候補が数字であると判定がなされたときに、この数字が半角フォントにて表示部にリスト表示される。そして、表示部にリスト表示された複数の文字候補から、選択された文字候補を取得して検索名の文字として入力する。
【0014】
本発明に係る手書き文字認識結果表示装置において、カーナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ及び携帯情報端末のいずれかに適用されることが好ましい。
【0015】
このような構成により、カーナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ及び携帯情報端末の表示部に、全角及び半角の両フォントで表現し得る2種類の文字種であって、ともに全角またはともに半角フォントにて表示したときに判別し難い文字候補について、一方の文字種の文字候補が全角フォントにて、他方の文字種の文字候補が半角フォントにてリスト表示される。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る手書き文字認識結果表示装置によれば、全角及び半角の両フォントで表現し得る2種類の文字種であって、ともに全角またはともに半角フォントにて表示したときに判別し難い文字候補について、一方の文字種の文字候補が全角フォント、他方の文字種の文字候補が半角フォントの異種のフォントにて表示されるので、それら2つの文字種の文字候補は、それら異種のフォント(全角フォント、半角フォント)に応じた違いをもって表示されるようになる。その結果、全角及び半角の両フォントで表現し得る2種類の文字種であって、ともに全角またはともに半角フォントにて表示したときに判別し難い文字候補であっても、それら2つの文字種の文字候補をより判別し易く表示することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の一形態に係る手書き文字認識結果表示装置を含むカーナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
図2A図1に示した手書き文字認識結果表示装置において実行される各文字候補の文字種に応じてフォントを変更する手順を示すフローチャートである。
図2B図1に示した手書き文字認識結果表示装置において実行される各文字候補の文字候補枠への表示と選択文字の取得とその選択文字の検索名枠への入力の手順を示すフローチャートである。
図3】その手書き文字入力枠に手書き文字を入力する前の状態を示す図である。
図4】その手書き文字入力枠に手書き文字を入力して文字候補枠に文字候補の文字種に応じたフォントで文字候補が表示された状態を示す図である。
図5】その文字候補枠内の文字候補の1つを選択して検索名枠にその選択された文字が表示された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0019】
本発明の実施の一形態に係る手書き文字認識結果表示装置を含むカーナビゲーション装置は、図1に示すように構成される。図1において、カーナビゲーション装置100は、コンピュータユニット(CPUを含む)にて構成される処理ユニット11を有している。処理ユニット11は、カーナビゲーションに必要な位置情報を提供するためのGPSユニット17及びセンサ類18(ジャイロセンサ、加速度センサ)、地図情報及び各種情報を記憶する記憶部14(例えば、ハードディスクユニット)が接続されている。また、処理ユニット11には、車室内に設けられ、LCD等により構成される表示部13、操作ボタンや表示部13内に構成されるタッチパネル等の操作部12、車室内に設けられたスピーカ16に音声信号を供給する出力回路15が接続されている。
【0020】
処理ユニット11は、GPSユニット17及びセンサ類18からの位置情報と、記憶部14から読み出した地図情報に基づいて車両ナビゲーションに係る処理を実行する。このカーナビゲーションに係る処理では、例えば、GPSユニット17及びセンサ類18により得られる車両の現在位置と目的地の位置とに基づいて車両の現在位置から目的地までのルート(経路)が検索及び設定され、表示部13にカーナビゲーションに係る地図とともに車両の現在位置及び設定ルートを表示させて、車両のルート案内に係るガイダンスの出力(表示または音声出力)等がなされる。また処理ユニット11には、文字認識エンジン19が接続される。表示部13は、図3に示すように、手書きで入力された文字をそのまま表示する手書き文字入力枠13aと、この手書き文字に形態が近似する文字の候補を表示する文字候補表示枠13bと、検索名が入力される検索名枠13cとを有する。上記文字認識エンジン19は、手書きにより手書き文字入力枠13aに入力した文字に形態が近似する複数の文字候補を認識するように構成される。なお、文字候補表示枠13bには、一画面で縦横3マスずつ合計9個のマスにそれぞれ1個ずつ合計9個の文字候補をリスト表示できるようになっている。
【0021】
このように構成されたカーナビゲーション装置100の手書き文字認識結果表示装置によるリスト表示の方法を図2A及び図2Bのフローチャートに基づいて説明する。乗員は車両に乗って所定の目的地へ行くため、カーナビゲーション100を用いてその目的地までのルート検索を行う。そこで、乗員は表示部13の検索名枠13cに「0(ゼロ)」を入力すべく、手書き文字入力枠13aに図4に示すように手書きで入力する。すると、文字認識エンジン19が、上記手書きにより手書き文字入力枠13aに入力した文字に形態が近似する複数の文字候補を認識する。
【0022】
処理ユニット11は、文字認識エンジン19の認識した複数の文字候補を取得する(S11)。次いで処理ユニット11は、初期設定した後に(S12)、上記取得した複数の文字候補から1番目の文字候補を抽出する(S13)。そして、処理ユニット11は、全角及び半角の両フォントで表現し得る2種類の文字種の文字候補について、一方の文字種の文字候補を半角フォントにて表示させ、他方の文字種の文字候補を全角フォントで表示させる。具体的には、処理ユニット11は、英文字の文字候補を全角フォントにて表示させ、数字の文字候補を半角フォントにて表示させる。更に具体的には、処理ユニット11は、表示すべき文字候補が英文字であるか数字であるかを判定し(S14,S16))、文字候補が英文字であると判定すると(S14でYES)、この英文字の文字候補を表示部13の文字候補表示枠13bに全角フォントで表示すべく全角の文字コードに設定し(S15)、表示すべき文字候補が数字であると判定すると(S14でNO、S16でYES)、この数字の文字候補を表示部13の文字候補表示枠13bに半角フォントで表示すべく半角の文字コードに設定する(S17)。なお、文字候補が英文字及び数字以外の文字であると判定すると(S14でNO、S16でNO)、この英文字及び数字以外の文字の文字候補を表示部13の文字候補表示枠13bにデフォルトフォントで表示すべくデフォルトフォントの文字コードに設定する(S18)。
【0023】
この実施の形態では、1番目の文字候補が、図4の文字候補表示枠13bの上段左側マスに示すように、数字の「0(ゼロ)」であるので(S14でNO、S16でYES)、処理ユニット11は、この数字の文字候補を表示部13の文字候補表示枠13bに半角フォントで表示すべく半角の文字コードに設定する(S17)。次に処理ユニット11は、文字コードの設定を行った文字候補が9番目に達していないので(S19でNO)、1番目の1に1を加えて(S20)、2番目の文字候補を抽出し(S13)、その文字候補の文字種に応じた文字コードを設定する。処理ユニット11は上記処理(S13〜S20)を文字候補が9番目に達するまで繰り返す。
【0024】
なお、2番目の文字候補は、図4の文字候補表示枠13bの上段中央マスに示すように、英小文字の「o(オー)」であるので、この英小文字の文字候補を表示部13の文字候補表示枠13bに全角フォントで表示すべく全角の文字コードに設定され、3番目の文字候補は、図4の文字候補表示枠13bの上段右側マスに示すように、英大文字の「O(オー)」であるので、この英大文字の文字候補を表示部13の文字候補表示枠13bに全角フォントで表示すべく全角の文字コードに設定される。また、4番目の文字候補は、図4の文字候補表示枠13bの中段左側マスに示すように、句点の「。(マル)」であるので、この句点の文字候補を表示部13の文字候補表示枠13bに半角フォントで表示すべくデフォルトフォントの文字コードに設定され、5番目の文字候補は、図4の文字候補表示枠13bの中段中央マスに示すように、英大文字の「Q(キュー)」であるので、この英大文字の文字候補を表示部13の文字候補表示枠13bに全角フォントで表示すべく全角の文字コードに設定され、6番目の文字候補は、図4の文字候補表示枠13bの中段右側マスに示すように、英小文字の「c(シー)」であるので、この英小文字の文字候補を表示部13の文字候補表示枠13bに全角フォントで表示すべく全角の文字コードに設定される。更に、7番目の文字候補は、図4の文字候補表示枠13bの下段左側マスに示すように、英大文字の「C(シー)」であるので、この英大文字の文字候補を表示部13の文字候補表示枠13bに全角フォントで表示すべく全角の文字コードに設定され、8番目の文字候補は、図4の文字候補表示枠13bの下段中央マスに示すように、数字の「6(ロク)」であるので、この数字の文字候補を表示部13の文字候補表示枠13bに半角フォントで表示すべく半角の文字コードに設定され、9番目の文字候補は、図4の文字候補表示枠13bの下段右側マスに示すように、英小文字の「a(エー)」であるので、この英小文字の文字候補を表示部13の文字候補表示枠13bに全角フォントで表示すべく全角の文字コードに設定される。
【0025】
9番目の文字候補の文字コード設定が終了すると(S19でYES)、処理ユニット11は上記9個の文字候補を表示部13の文字候補表示枠13bにリスト表示する(図4)。そして、乗員が文字候補表示枠13bの上段左側マスに表示された数字の「0(ゼロ)」を選択すると、処理ユニット11はその選択された文字候補を取得し、この選択文字を検索名枠13cに入力する(図5)。このように、半角フォントでリスト表示されると、互いに似ていて判別し難い数字「0(ゼロ)」と英大文字「O(オー)」であっても、英大文字のオーを「O」のように全角フォントでリスト表示し、数字のゼロを「0」のように半角フォントでリスト表示したので、その違いを明確に判別できる。即ち、全角及び半角の両フォントで表現し得る2種類の文字種が英文字と数字であって、ともに全角またはともに半角フォントにて表示したときに判別し難い文字候補であるが、英文字(英小文字または英大文字)の文字候補を全角フォント、数字の文字候補を半角フォントの異種のフォントにて表示するので、英文字と数字の2つの文字種の文字候補は、それら異種のフォント(全角フォント、半角フォント)に応じた違いをもって表示されるようになる。その結果、全角及び半角の両フォントで表現し得る2種類の文字種であって、ともに全角またはともに半角フォントにて表示したときに判別し難い文字候補であっても、それら2つの文字種の文字候補をより判別し易く表示することができる。なお、図5において、表示部13の検索名枠13cに表示された「0」の後の「(ゼロ)」という文字は、「0」がゼロであることを明確にするために付したものであり、実際の検索名枠13cには表示されない。
【産業上の利用可能性】
【0026】
以上、説明したように、本発明に係る手書き文字認識結果表示装置は、全角及び半角の両フォントで表現し得る2種類の文字種であって、ともに全角またはともに半角フォントにて表示したときに判別し難い文字候補をより判別し易く表示することができるという効果を有し、手書き入力により文字の認識結果として得られた複数の文字候補を表示部に表示する装置として有用である。
【符号の説明】
【0027】
100 カーナビゲーション装置
11 処理ユニット
12 操作部
13 表示部
13a 手書き文字入力枠
13b 文字候補表示枠
13c 検索名枠
14 記憶部
15 出力回路
16 スピーカ
17 GPSユニット
18 センサ類
19 文字認識エンジン
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5