(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0021】
図1は、本発明の一実施の形態にかかる撮像装置の被写体に面する側(前面側)の構成を示す図である。
図2は、本発明の一実施の形態にかかる撮像装置のユーザに面する側(背面側)の構成を示す図である。
図3は、本発明の一実施の形態にかかる撮像装置の構成を示すブロック図である。なお、本実施の形態においては、画像処理装置および表示装置を備えた撮像装置を例に説明する。さらに、本実施の形態においては、撮像装置としてデジタルステレオカメラを例に挙げて説明する。
【0022】
図1〜
図3に示すように、撮像装置1は、撮像部2と、姿勢検出部3と、タイマー4と、操作入力部5と、表示部6と、タッチパネル7と、記憶部8と、制御部9と、を備える。
【0023】
撮像部2は、被写体を異なる位置から撮像し、互いの視野の左右方向の一端部同士が重なりを有する2つの画像データを生成する。撮像部2は、互いに異なる光学系を有する第1撮像部21および第2撮像部22を備える。第1撮像部21および第2撮像部22は、互いの光軸L1,L2が同一平面上で並設される。
【0024】
第1撮像部21は、レンズ部21aと、レンズ駆動部21bと、絞り21cと、絞り駆動部21dと、シャッタ21eと、シャッタ駆動部21fと、撮像素子21gと、信号処理部21hと、を有する。
【0025】
レンズ部21aは、フォーカスレンズやズームレンズ等の複数のレンズによって構成され、所定の視野領域から光を集光する。レンズ駆動部21bは、DCモータ等を用いて構成され、レンズ部21aのレンズを光軸L1上に沿って移動させることにより、レンズ部21aのピント位置や焦点距離等の変更を行う。
【0026】
絞り21cは、レンズ部21aが集光した光の入射量を制限することにより露出の調整を行う。絞り駆動部21dは、ステッピングモータ等によって構成され、絞り21cを駆動する。
【0027】
シャッタ21eは、撮像素子21gの状態を露光状態または遮光状態に設定する。シャッタ駆動部21fは、ステッピングモータ等によって構成され、レリーズ信号に応じてシャッタ21eを駆動する。
【0028】
撮像素子21gは、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等によって実現される。撮像素子21gは、レンズ部21aが集光した光を受光して光電変換を行うことによって、光を電気信号(アナログ信号)に変換し、この変換した電気信号を信号処理部21hに出力する。
【0029】
信号処理部21hは、撮像素子21gから出力される電気信号に増幅等の信号処理を施した後、A/D変換を行うことによってデジタルの画像データに変換して制御部9に出力する。
【0030】
第2撮像部22は、第1撮像部21と同様の構成によって実現され、レンズ部22aと、レンズ駆動部22bと、絞り22cと、絞り駆動部22dと、シャッタ22eと、シャッタ駆動部22fと、撮像素子22gと、信号処理部22hと、を有する。
【0031】
姿勢検出部3は、加速度センサを用いて構成される。姿勢検出部3は、撮像装置1の加速度を検出することにより、撮像装置1の姿勢状態を検出する。具体的には、姿勢検出部3は、水平面を基準としたときの撮像装置1の姿勢を検出する。
【0032】
タイマー4は、計時機能や撮影日時の判定機能を有する。タイマー4は、撮像された画像データに日時データを付加させるため、制御部9に日時データを出力する。
【0033】
操作入力部5は、撮像装置1の電源状態をオン状態またはオフ状態に切換える電源スイッチ51と、静止画撮影の指示を与える静止画レリーズ信号の入力を受け付ける静止画レリーズスイッチ52と、撮像装置1の各種撮影モードを切換える切換スイッチ53と、撮像部2のズーム操作を行うズームスイッチ54と、動画撮影の指示を与える動画レリーズ信号の入力を受け付ける動画レリーズスイッチ55と、撮像装置1の各種設定を変更する変更スイッチ56と、を有する。
【0034】
図4は、表示部6の概略構成を示す模式図である。
図4に示すように、表示部6は、バックライト61と、表示パネル62と、視差バリア63と、を有する。バックライト61は、LED(Light Emitting Diode)等によって構成され、画像を表示するための光を背面から照射する。表示パネル62は、液晶または有機EL(Electro Luminescence)等の表示パネルによって構成される。視差バリア63は、液晶等によって構成され、表示パネル62の上面に積層されてなる。視差バリア63は、表示パネル62の各画素の間隔よりも狭い間隔でスリットが設けられ、ユーザの右目E
Rと左目E
Lとにそれぞれ対応した画像を分離する。このような視差バリア63として、例えばパララックバリア方式が適用される。なお、視差バリア63の代わりに、レンティキュラレンズを積層したレンズシートを表示パネル62の上面に設けてもよい。
【0035】
以上の構成を有する表示部6は、制御部9から3D画像データが入力された場合、制御部9の制御のもとで表示パネル62が左端の画素から水平方向に左目画像と右目画像とを交互に表示し、視差バリア63が表示パネル62の各画素から出た光を分離する。このため、左目画像が左目E
Lのみに、右目画像が右目E
Rのみにそれぞれ届く。これにより、ユーザは、表示部6が表示する3D画像を立体視することができる。また、表示部6が表示態様を3D画像から2D画像に切り換える際には、視差バリア63に印加される電圧がオン状態からオフ状態に変化することによって視差バリア63が遮光状態から透過状態に遷移し、左目画像または右目画像のどちらか一方が表示パネル62に出力される。
【0036】
タッチパネル7は、表示部6の表示画面上に重ねて設けられる(
図2を参照)。タッチパネル7は、ユーザが表示部6で表示される状態に基づいて接触(タッチ)した位置を検出し、この検出した位置に応じた操作信号の入力を受け付ける。一般に、タッチパネルとしては、抵抗膜方式、静電容量方式、光学方式等がある。本実施の形態では、いずれの方式のタッチパネルであっても適用可能である。
【0037】
記憶部8は、撮像装置1の内部に固定的に設けられるフラッシュメモリやRAM(Random Access Memory)等の半導体メモリを用いて実現される。記憶部8は、撮像部2が撮影した画像データを記憶する画像データ記憶部81と、撮像装置1が実行する各種プログラムや撮像プログラムを記憶するプログラム記憶部82と、を有する。なお、記憶部8に対し、外部から装着されるメモリカード等の記憶媒体に対して情報を記憶する一方、記憶媒体が記憶する情報を読み出す記憶媒体インターフェースとしての機能を具備させてもよい。
【0038】
制御部9は、CPU(Central Processing Unit)等によって実現される。制御部9は、操作入力部5およびタッチパネル7からの操作信号等に応じて記憶部8のプログラム記憶部82からプログラムを読み出して実行し、撮像装置1を構成する各部に対して制御信号を送信したりデータを転送したりすることにより、撮像装置1の動作を制御する。
【0039】
制御部9の詳細な構成を説明する。制御部9は、画像処理部91と、立体画像生成部92と、顔検出部93と、動体領域検出部94と、視差調整部95と、表示制御部96と、ヘッダ情報生成部97と、を有する。
【0040】
画像処理部91は、信号処理部21h,22hからそれぞれ出力された左目画像データおよび右目画像データに対して各種の画像処理を施す。具体的には、画像処理部91は、信号処理部21h,22からそれぞれ出力された左目画像データおよび右目画像データに対して、エッジ強調、色補正およびγ補正等の処理を施す。
【0041】
立体画像生成部92は、画像処理部91によって画像処理された左目画像データおよび右目画像データを所定の縦横比(たとえばアスペクト比3:4)でそれぞれ切り出すことによって3D画像を生成する。なお、立体画像生成部92が左目画像データおよび右目画像データそれぞれ切り出す縦横比を変更スイッチ56で変更できるようにしてもよい。
【0042】
顔検出部93は、左目画像データまたは右目画像データに含まれる人物の顔をパターンマッチングによって検出する。なお、顔検出部93は、人物の顔だけでなく、犬や猫等の顔を検出してもよい。さらに、顔検出部93は、パターンマッチング以外の周知技術を用いて人物の顔を検出してもよい。
【0043】
動体領域検出部94は、左目画像データおよび右目画像データで構成された複数の3D画像を時系列に沿って連続的に再生する動画の画面内において動きがある被写体を含む動体領域を検出する。たとえば、動体領域検出部94は、隣接する3D画像間で輝度が時間とともに概ね周期的(規則的)に時間変化する領域を動体領域として検出する。ここで、動体領域とは、左目画像データに対応する左目画像および右目画像データに対応する右目画像それぞれにおいて動きがある被写体を含む領域である。また、動体領域検出部94は、被写体の画像の特性を示す被写体情報が3D画像の動画の画面内で所定の周波数帯域に含まれる周波数で変化する領域を動体領域として検出する。この所定の周波数帯域としては、0.1Hz〜10Hzである。さらに、被写体情報としては、輝度情報、濃淡情報、コントラスト情報または色情報のいずれかである。なお、動体領域検出部94は、動体領域として検出する周波数帯域を適宜変更してもよい。
【0044】
視差調整部95は、動体領域検出部94が検出した動体領域の視差を小さくする調整を行う。具体的には、視差調整部95は、動体領域検出部94が検出した動体領域の視差をほぼ無くした状態に調整する。ここで、動体領域の視差とは、左目画像データに対応する左目画像および右目画像データに対応する右目画像それぞれに含まれる動体領域における対応画素の視差である。また、視差調整部95は、立体画像生成部92が左目画像データおよび右目画像データそれぞれから切り出す領域を変更することによって、動体領域における対応画素点の視差を無くした状態に調整する。
【0045】
表示制御部96は、3D画像または2D画像を表示部6に表示させる制御を行う。具体的には、表示制御部96は、表示部6に3D画像を表示させる場合、立体画像生成部92によって生成された3D画像の左目画像と右目画像とをそれぞれ短冊状に分割し、この分割した画像を表示部6の表示画面における横方向の1画素毎に交互に並べて3D画像を表示部6に表示させる制御を行う。これに対して、表示制御部96は、表示部6に2D画像を表示させる場合、表示部6の視差バリア63のスリットを遮光状態から透過状態にするため、視差バリア63に印加する電源をオン状態からオフ状態にするとともに、左目画像または右目画像どちらか一方のみを表示部6に表示パネル62に表示させる。
【0046】
ヘッダ情報生成部97は、3D画像の視差をヘッダ情報として生成し、このヘッダ情報を撮像部2が生成する画像データに付加して画像データ記憶部81に記憶させる。
【0047】
以上の構成を有する撮像装置1において、音声入出力機能、フラッシュ機能およびインターネットを介して外部のパーソナルコンピュータ(図示せず)と双方向に通信を行う通信機能等を具備させてもよい。
【0048】
つぎに、撮像部2が互いの視野の左右方向の一端部同士が重なりを有する2つの画像データを生成する際の状況について説明する。
図5は、撮像部2が、互いの視野の左右方向の一端部同士が重なりを有する2つの画像データを生成する際の状況を示す模式図である。
【0049】
図5に示すように、撮像部2は、撮像部2からの距離が異なる被写体A1(距離d1)および被写体A2(距離d2)に対して、距離B1だけ離れて並設された第1撮像部21および第2撮像部22で撮像することにより、左目画像データおよび右目画像データを生成する。
【0050】
続いて、立体画像生成部92は、第1撮像部21および第2撮像部22によって生成された左目画像データおよび右目画像データそれぞれを所定の縦横比率で切り出すことによって左目画像100Lおよび右目画像100Rを生成する。
図6は、
図5に示す状況下で撮像部2が生成する2つの画像データそれぞれに対応する2つの画像の一例を示す図である。
図6において、左目画像100Lは、立体画像生成部92が第2撮像部22によって生成された左目画像データに対応する画像から切り出して生成した画像である。また、
図6において、右目画像100Rは、立体画像生成部92が第1撮像部21によって生成された右目画像データに対応する画像から切り出して生成した画像である。
図7は、
図5に示す状況下で立体画像生成部92が生成した左目画像100Lと右目画像100Rとを仮想的に重ねた画像(100LR)を示す図である。なお、
図6および
図7に示す破線および一点鎖線は、第1撮像部21および第2撮像部22がそれぞれ生成する画像データに対応する画像領域を示す。
【0051】
図8は、
図5に示す状況下で、画像中の被写体位置と撮像部から被写体までの距離との関係を示す図である。
図8では、横軸が画面の左端を原点としたときの画像100LR内の横方向の被写体位置であり、縦軸が撮像部2と被写体との距離である。
【0052】
図8に示すように、撮像部2と被写体A2との距離は、撮像部2と被写体A1との距離より大きい。このため、被写体A2の領域がほぼ重なる。具体的には、
図7に示すように、画像100LR内では、被写体A2の領域がほぼ重なる。一方、被写体A1の領域は重ならない(対応画素の視差P1)。このように、左目画像100Lと右目画像100Rでは、撮像部2からの距離が近い被写体(被写体A1)ほど画像内での対応画素点の視差が大きく、撮像部2からの距離が遠い被写体(被写体A2)ほど対応画素点の視差が小さい。
【0053】
ここで、
図9を参照して、ユーザが表示部6の表示画面から仮想的に視認する3D画像の位置について説明する。
図9は、ユーザが表示部6の表示画面から仮想的に視認する3D画像の位置を説明する模式図である。
図9においては、左目画像および右目画像の対応画素点の視差をΔx、ユーザが表示部6の表示画面から仮想的に視認する3D画像の位置をΔzとする。また、矢印a1が左目E
Lに入り込む左目画像における画素の光を示し、矢印a2が右目E
Rに入り込む右目画像における画素の光を示す。
【0054】
図9(a)に示すように、左目E
Lおよび右目E
Rそれぞれに入る左目画像および左目画像の対応画素点が同じ位置(視差Δx=0)で表示されている場合、ユーザが仮想的に視認する3D画像の位置が表示部6の表示画面上(位置Δz=0)になる。
【0055】
また、
図9(b)に示すように、左目E
Lおよび右目E
Rそれぞれに入る左目画像および右目画像の対応画素点が別の位置(視差Δx=Δx1)で表示されている場合、ユーザが仮想的に視認する3D画像の位置が表示部6の表示画面から直交する方向に飛び出した位置(位置Δz=Δz1)になる。
【0056】
さらに、
図9(c)に示すように、3D画像の位置が移動、たとえば右側に移動したい場合、ユーザの目が飛び出した3D画像の移動に追従しながら移動する。このため、ユーザは、3D画像が止まった状態(
図9(b))に比べて、目に疲労を感じやすい。そこで、本実施の形態では、3D画像の動画の画面内において移動する被写体や動きが激しい被写体に対して、表示部6の表示画面から飛び出さない状態で表示部6に表示させる。たとえば、
図10に示すように、ユーザが撮像装置1を用いて、動きのある被写体である滝A3を撮影する場合、3D画像内で滝A3が写る領域に対応する画像を表示部6の表示画面から飛び出さない状態で表示部に表示させる。具体的には、
図11に示すように、被写体Aが画像110から飛び出した状態(
図11(a))から飛び出さない状態(
図11(b))で表示部6に表示させる。これにより、ユーザが感じる目の疲労を低減する。なお、
図10においては、被写体A3から撮像装置1までの距離は、背景に比して近い距離(視差が大きい)にあるものとする。
【0057】
つぎに、本実施の形態にかかる撮像装置1が行う処理について説明する。
図12は、撮像装置1が行う処理の概要を示すフローチャートである。なお、本実施の形態にかかる撮像装置1は、複数の撮影モードや画像データを再生する再生モードを設定することができる。以下においては、複数の撮影モードのうち3D撮影モードに設定された場合のみを説明する。
【0058】
まず、
図12に示すように、制御部9は、撮像部2が生成した左目画像データおよび右目画像データを取得する(ステップS101)。たとえば、
図13に示すように、撮像部2は、左目画像データに対応する左目画像200Lおよび右目画像データに対応する右目画像200Rを生成する。この生成された左目画像200Lおよび右目画像200Rは、制御部9に取得される。なお、
図13に示す破線および一点鎖線は、第1撮像部21および第2撮像部22がそれぞれ生成する画像データに対応する画像領域を示す。
【0059】
その後、動体領域検出部94は、3D画像の動画の画面内で動きがある被写体を含む動体領域を検出する動体領域検出処理を実行する(ステップS102)。なお、動体領域検出処理の詳細は後述する。
【0060】
続いて、動体領域検出部94が動体領域を検出した場合(ステップS103:Yes)、視差調整部95は、動体領域検出部94が検出した動体領域の視差を調整する(ステップS104)。具体的には、
図14に示すように、視差調整部95は、立体画像生成部92が左目画像200Lおよび右目画像200Rから切り出す領域を、被写体A3の視差がほぼ無くなるように変更する(
図14(a)→
図14(b))。これにより、
図14に示すように、被写体A3の領域の視差P3は、ほぼ無くなった状態になる。この結果、被写体A3の領域に対応する画像は、3D画像として表示される際に表示部6の表示画面から飛び出さない状態で表示される。なお、
図14においては、右目画像200Rの切り出し位置のみを変更する代わりに、左目画像200Lの切り出し位置のみを変更してもよいし、左目画像200Lおよび右目画像200Rの切り出し位置を変更してもよい。
【0061】
その後、ヘッダ情報生成部97は、立体画像生成部92が左目画像および右目画像それぞれから切り出した位置情報を生成する(ステップS105)。具体的には、
図14に示すように、ヘッダ情報生成部97は、立体画像生成部92が左目画像200Lおよび右目画像200Rそれぞれから切り出したずれ量Δx3を位置情報として生成する。
【0062】
続いて、表示制御部96は、視差調整部95が調整した3D画像のライブビュー画像を表示部6に表示させる(ステップS106)。
【0063】
その後、制御部9は、撮像装置1が撮像部2によって微小な時間間隔で連続的に生成された3D画像を記録する動画の記録中であるか否かを判断する(ステップS107)。撮像装置1が動画の記録中でない場合(ステップS107:No)、撮像装置1は後述するステップS108へ移行する。一方、撮像装置1が動画の記録中である場合(ステップS107:Yes)、撮像装置1は後述するステップS110へ移行する。
【0064】
ステップS108において、動画撮影を指示する動画レリーズ信号が入力された場合(ステップS108:Yes)、撮像装置1は、制御部9の制御のもと、撮像部2が微小な時間間隔で連続的に生成した2つの画像データで構成された3D画像を画像データ記憶部81に記録する動画撮影を開始する(ステップS109)。
【0065】
ステップS109の後、動画レリーズスイッチ55が操作されることにより動画撮影の終了信号が入力された場合(ステップS110:Yes)、制御部9は、撮像部2が生成した一連の動画データに、ヘッダ情報生成部97がその時点で生成したヘッダ情報を対応付けて画像データ記憶部81に記録する(ステップS111)。その後、撮像装置1は一連の処理を終了する。
【0066】
これに対して、ステップS109の後、動画撮影の終了信号が入力されていない場合(ステップS110:No)、撮像装置1はステップS101へ戻る。
【0067】
つぎに、ステップS108において、動画レリーズ信号が入力されていない場合(ステップS108:No)について説明する。この場合において、静止画レリーズスイッチ52が操作されることにより静止画レリーズ信号が入力されたとき(ステップS112:Yes)、制御部9は、撮像部2が生成した画像データに、ヘッダ情報生成部97がその時点で生成したヘッダ情報として、立体画像生成部92が左目画像および右目画像それぞれから切り出した位置情報を対応付けて画像データ記憶部81に記録する(ステップS113)。その後、撮像装置1は一連の処理を終了する。
【0068】
ステップS112において、静止画レリーズ信号が入力されていない場合(ステップS112:No)について説明する。この場合、撮像装置1はステップS101へ戻る。
【0069】
つぎに、ステップS103において、動体領域検出部94が動体領域を検出していない場合(ステップS103:No)について説明する。この場合、視差調整部95は、左目画像データおよび右目画像データの全体の一致度を高める視差の調整を行う(ステップS114)。具体的には、視差調整部95は、
図16に示すように、立体画像生成部92が左目画像200Lおよび右目画像200Rから切り出す領域を、背景の視差がほぼ無くなるように変更する。
図16に示す場合、ステップS114の結果、ずれ量はΔx4となり、被写体A3の領域は、視差P4を有するようになる。したがって、被写体A3の領域は、3D画像として表示部6の表示画面と直交する方向へ仮想的に飛び出した状態でユーザに視認される。
【0070】
つぎに、
図12に示したステップS102の動体領域検出処理について説明する。
図17は、動体領域検出処理の概要を示すフローチャートである。
【0071】
まず、動体領域検出部94は、左目画像データに対応する左目画像または右目画像データに対応する右目画像を9ブロックに分割する(ステップS201)。たとえば、
図18に示すように、動体領域検出部94は、左目画像200Lを9ブロック(ブロック200a〜200i)に分割する。
【0072】
その後、動体領域検出部94は、各ブロックにおける最大輝度の検出し(ステップS202)、最大輝度の変化の周波数が所定の周波数帯域にあるか否かを判断する(ステップS203)。なお、
図18においては、動体領域検出部94は、最大輝度の検出するブロックをブロック200a→ブロック200b→・・・→ブロック200iの順に行ってもよいし、画像200における中央のブロック200eから優先に行ってもよい。
【0073】
図19は、
図18に示す状況で動体領域検出部94が一つのブロックにおいて検出した最大輝度の変化を模式的に示す図である。
図18においては、縦軸が最大輝度を示し、横軸が時間を示す。また、
図18において、曲線k
1が最大輝度の変化を示す。動体領域検出部94は、時点t
1における輝度最大値m
1から時点t
2における輝度最大値m
2までの周期Tから輝度最大値の周波数を推測して算出する。その後、動体領域検出部94は、算出した輝度最大値の周波数が所定の周波数帯域にあるか否かを判定する。この所定の周波数帯域としては、0.1Hz〜10Hzの帯域が好ましい。具体的には、所定の周波数帯域としては、乗り物酔いを感じる周波数0.1Hzから動画を再生する際に隣接する画像間で残像が残ることによって目の疲労感が生じる周波数10Hzの帯域であればよい。なお、周波数帯域は、0.1Hz〜10Hzの帯域内であれば被写体や撮影シーンに応じて適宜変更するようにしてもよい。また、周波数大気は、複数の周期を平均して求めて算出してもよい。
【0074】
ステップS203において、一つのブロック(たとえばブロック200d)における最大輝度の変化の周波数が所定の周波数帯域にある場合(ステップS203:Yes)、動体領域検出部94は、最大輝度の変化の周波数が所定の周波数帯域にあるブロックを動きがある被写体を含む動体領域として検出する(ステップS204)。
【0075】
続いて、動体領域検出部94は、動体領域の位置情報を画像データ記憶部81に記録し(ステップS205)、全ブロックが終了したか否かを判断する(ステップS206)。全ブロックが終了した場合(ステップS206:Yes)、
図11に示したメインルーチンに戻る。一方、全ブロックが終了していない場合(ステップS206:No)、動体領域検出部94は、最大輝度の変化の周波数が所定の周波数帯域にあるか否かを検出するブロックを別ブロックに移動し(ステップS207)、撮像装置1はステップS203へ戻る。
【0076】
ステップS203において、一つのブロックにおける最大輝度の変化の周波数が所定の周波数帯域にない場合(ステップS203:No)について説明する。この場合、撮像装置1はステップS206へ移行する。
【0077】
以上説明した本発明の一実施の形態によれば、動体領域検出部94が3D画像の動画の画面内で動きがある被写体を含む動体領域を検出し、視差調整部95が動体領域検出部94によって検出された動体領域の2つの画像データにおける視差を小さくする調整を行う。この結果、ユーザが3D画像を動画で鑑賞する際に疲労感を低減することができる。
【0078】
さらに、本発明の一実施の形態によれば、動体領域検出部94が動画の画面内において最大輝度の変化が0.1Hz〜10Hzの帯域内である領域を動体領域として検出する。これにより、ユーザの刺激に与える刺激が大きい被写体を表示部6の表示画面から飛び出さない状態で表示部6に表示させることができるので、ユーザの疲労感をより低減することができる。
【0079】
また、本発明の一実施の形態では、視差調整部95が動体領域の視差を徐々に小さくしながらほぼ無くなった状態に調整してもよい。これにより、動画の表示直後では動体領域に対応する3D画像の領域が仮想的に飛び出した状態で迫力ある3D画像としてユーザに視認させることができる。さらに、ユーザが目に疲労を感じる前に表示部6の表示画面から飛び出さない状態で表示部6に表示させることができる。
【0080】
なお、本発明の一実施の形態では、表示部6がライブビュー画像を3D画像で表示する際に行っていたが、たとえば、画像データ記憶部81に記憶された画像データを再生する再生モードにおいて表示部6が表示する3D画像の動画に対して行ってもよい。さらに、画像データを他の外部装置で再生する場合に本処理を行ってもよい。
【0081】
また、本発明の一実施の形態では、動体領域検出部94が動体領域として被写体の最大輝度の変化が所定の周波数の範囲内である領域を動体領域として検出していたが、濃淡の最大値の時間変化またはコントラストの最大値の時間変化が所定の周波数帯域にある領域を動体領域として検出してもよい。さらに、動体領域検出部94は、色(RGB)の最大値の時間変化が所定の周波数帯域にある領域を動体領域として検出してもよい。さらにまた、動体領域検出部94は、隣接する画像間において被写体の動きベクトルの変化が所定の周波数帯域にある領域を動体領域として検出してもよい。
【0082】
また、本発明の一実施の形態では、動体領域検出部94が風景を撮影した3D画像に対して動体領域検出処理を行っていたが、たとえば被写体を近接して撮影するマクロ撮影で撮影した3D画像の動画に対して適用することもできる。たとえば、
図20に示すように、動体領域検出部94は、花の上で動き回る虫A4,A5が写る画像300に対して複数のブロックに分割し、この分割したブロックごとに動体領域の検出を行ってもよい。さらに、動体領域検出部94は、動く被写体に適した撮影モードで撮影した3D画像の動画においても動体領域を検出する際にも適用することができる。たとえば、
図21に示すように、動体領域検出部94は、走っている車A6が写る画像400に対して、上述した同様の処理を行ってもよい。
【0083】
また、本発明の一実施の形態では、動体領域検出部94が画像データに含まれる情報、たとえばコントラスト情報、濃淡情報、輝度情報または被写体の種類に応じて、撮影シーンを判断し、この判断した撮影シーンに基づいて、動体領域として検出する周波数帯域や被写体情報を設定するようにしてもよい。
【0084】
また、本発明の一実施の形態では、動体領域検出部94が動体領域を検出する際に左目画像または右目画像に対して、9つのブロックに分割していたが、ブロックの数は適宜変更することができる。たとえば、動体領域検出部94は、動体領域を検出するまで、左目画像または右目画像を分割するブロックの数を段階的に増加させながら検出してもよい。さらに、動体領域検出部94は、複数のブロックで動体領域を検出した場合、複数のブロックの中で一番大きい最大輝度を有するブロックを優先して最大輝度の変化の周波数の範囲を判定するようにしてもよい。
【0085】
上述した実施の形態1,2では、2つの撮像部がそれぞれ画像データを生成していたが、たとえば、1つの撮像部のみを有する構成とし、この撮像部が連続的に撮影することによって生成された複数の画像データから所望の視差を有する2つの画像データを選択して3D画像データを生成してもよい。
【0086】
また、上述した実施の形態1,2では、撮像部2が互いの視野の左右方向の一端部同士が重なりを有する2つの画像データを生成していたが、たとえば、1つの撮像素子のみを有する構成とし、この1つの撮像素子の撮像領域内の別の領域に2つの光学系によって集光させることにより、互いの視野の左右方向の一端部同士が重なりを有する2つの画像データを生成するようにしてもよい。さらに、この場合、2つの光学系は、撮像装置1の装置本体部に対して着脱自在な構成にするようにしてもよい。
【0087】
また、上述した実施の形態1,2では、撮像装置としてデジタルステレオカメラを例に説明したが、たとえば、デジタルビデオカメラ、カメラ付き携帯電話、パーソナルコンピュータ、テレビ等の表示装置、携帯型電子タブレットおよびデジタルフォトフレーム等の表示機能を備えた各種電子機器に適用することができる。