特許第5733765号(P5733765)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5733765
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】メダル払出装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 1/00 20060101AFI20150521BHJP
   A63F 5/04 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
   G07D1/00 ZGBL
   A63F5/04 512H
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-148210(P2013-148210)
(22)【出願日】2013年7月17日
(65)【公開番号】特開2015-22394(P2015-22394A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2014年8月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390026620
【氏名又は名称】山佐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105980
【弁理士】
【氏名又は名称】梁瀬 右司
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(72)【発明者】
【氏名】西原 八州夫
(72)【発明者】
【氏名】萬木 朋弘
【審査官】 高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−181066(JP,A)
【文献】 特開2011−103064(JP,A)
【文献】 特開2013−114646(JP,A)
【文献】 特開昭63−158685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
G07D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体前面に形成された払出口を経て、その前方に配設された受皿にメダルを払い出す遊技機のメダル払出装置において、
ホッパータンクから供給される前記メダルが嵌挿される複数の嵌挿孔が、その中心軸周りに形成され、ホッパーモータにより回転されるディスクと、
平板状の樹脂製のベース部と、前記ベース部に形成された前記ディスクを収納する円形凹部と、前記ベース部の周縁の一部が切欠かれて形成された切欠部とを有するホッパーベースと、
前記ディスクの回転により前記凹部の底面上を移動する前記嵌挿孔内の前記メダルを前記切欠部側に誘導する誘導部と、
前記切欠部に装着されて、前記メダルを前記払出口に向けてガイドするガイド通路を形成するとともに、前記誘導部により前記切欠部側に誘導された前記メダルが前記ガイド通路を通過するように案内する、導電部材からなるガイド部とを備え、
前記誘導部により誘導される前記メダルが、前記ガイド部の前記ガイド通路を摺動して前記払出口に向けて排出される
ことを特徴とするメダル払出装置。
【請求項2】
前記ガイド通路の通路面と前記凹部の底面とが、同一平面上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のメダル払出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホッパータンクに貯留されたメダルを所定の払出口に排出する遊技機のメダル払出装置に関し、特に、装置内で帯電したメダルの除電を可能にしたメダル払出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、所定のメダル払い出し条件の成立の下、ホッパータンクに貯留された多数のメダルの中から、所定枚数のメダルを遊技機の払出口へ排出するメダル払出装置が知られている。この種の装置は、メダル貯留用のホッパータンク、ディスク、該ディスクを配設するホッパーベースなどを備え、ホッパータンク内のメダルがディスクの各嵌挿孔に嵌挿することで、メダルが1枚ずつに分離され、ディスクの回転により、各嵌挿孔内のメダルが移動して、遊技機の払出口に繋がるメダル払出装置内の排出口に誘導される。近年では、装置の軽量化・低コスト化を目的として、これらの部材が樹脂製で形成される場合があり、このような場合には、メダルが樹脂製の各部材と擦れて静電気が帯電する。そうすると、帯電したメダルが、メダル払出装置の排出口の近傍に配設されたメダルの枚数を計測するメダルカウンタを通過する際に放電してメダルカウンタを誤動作させたり、払い出されたメダルに触れた遊技者などに放電したりするという問題があった。
【0003】
そこで、従来では、メダル払出装置内で帯電したメダルを、装置の排出口から排出するまでの間に除電が可能なメダル払出装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このメダル払出装置のホッパーベースには、ディスク配設用の円形凹部が形成されるとともに、ホッパーベースにおける当該円形凹部の外側の所定の端縁部に凹部が形成され、該凹部により、ガイドピンにより嵌挿孔内からディスクの外周方向に誘導されたメダルの払出通路および遊技機の払出口に繋がる排出口が形成される。また、ホッパーベース上には、ガイドピンによりディスクの外周方向に誘導されたメダルを、ホッパーベースに形成された払出通路に導くためのガイド部材が配設される。また、ディスクの下面と対向するホッパーベースの円形凹部の底面における、嵌挿孔内のメダルの底面が接触する部分、および、払出通路の通路面の一部に、接地された導電部材が設けられ、さらに、嵌挿孔内からディスクの外周方向に誘導されたメダルが接触するガイド部材も導電部材で形成されている。このようにすることで、メダルがホッパーベースの排出口に移動するまでに、樹脂製のホッパータンク、ディスク、ホッパーベースなどに擦れて帯電したメダルが、導電部材と接触したときに除電されるため、メダルカウンタの誤動作や遊技者への放電を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−181066号公報(段落0028〜0034、図1等参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のメダル払出装置では、メダルの排出経路において、上記した導電部材以外の部分は樹脂であり、この樹脂部分では帯電したメダルを除電することができないことに加え、一度除電したメダルを、再度、帯電させる場合もある。また、ガイド部材がメダルを払出通路に導く際、メダルの周側面のみがガイド部材に接した状態で払出通路に導かれるため、メダルのガイド部材と接触する部分が少なく、例えば、メダルの周側面が汚れていた場合には、帯電したメダルをガイド部材により除電することができない。また、払出通路に設けられた導電部材に関しても、当該払出通路の通路面の一部にしか設けられていないため、帯電したメダルを確実に除電することができない場合がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、帯電したメダルを確実に除電することができるメダル払出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明にかかるメダル払出装置は、筐体前面に形成された払出口を経て、その前方に配設された受皿にメダルを払い出す遊技機のメダル払出装置において、ホッパータンクから供給される前記メダルが嵌挿される複数の嵌挿孔が、その中心軸周りに形成され、ホッパーモータにより回転されるディスクと、平板状の樹脂製のベース部と、前記ベース部に形成された前記ディスクを収納する円形凹部と、前記ベース部の周縁の一部が切欠かれて形成された切欠部とを有するホッパーベースと、前記ディスクの回転により前記凹部の底面上を移動する前記嵌挿孔内の前記メダルを前記切欠部側に誘導する誘導部と、前記切欠部に装着されて、前記メダルを前記払出口に向けてガイドするガイド通路を形成するとともに、前記誘導部により前記切欠部側に誘導された前記メダルが前記ガイド通路を通過するように案内する、導電部材からなるガイド部とを備え、前記誘導部により誘導される前記メダルが、前記ガイド部の前記ガイド通路を摺動して前記払出口に向けて排出される
ことを特徴としている(請求項1)。
【0008】
また、前記ガイド通路の通路面と前記凹部の底面とが、同一平面上に配置されていることを特徴としている(請求項2)。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、メダル払出装置のホッパーベースは、平板状の樹脂製のベース部と、該ベース部に形成されたディスクを収納する円形凹部と、ベース部の周縁の一部が切欠かれて形成された切欠部とを有し、メダルを遊技機の筐体前面に形成された払出口に向けてガイドするガイド通路を形成するとともに、前記誘導部により前記切欠部側に誘導された前記メダルが前記ガイド通路を通過するように案内する、導電部材からなるガイド部が、ホッパーベースの切欠部に装着される。このように構成すると、ガイド通路と、誘導部から誘導されたメダルをガイド通路に案内する箇所とが導電部材で構成されることになり、誘導部により切欠部側に誘導されたメダルが、ガイド通路内のどの経路を摺動しようとも、その経路の摺動中に絶えず導電部材に接した状態になるため、帯電したメダルを確実に除電することができる。また、ホッパーベースとガイド部とを別構成とすることで、ガイド通路全体を容易に導電部材で構成することができる。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、ガイド通路の通路面と、ホッパーベースのベース部に形成されたディスクの収納用の円形凹部の底面とが同一平面上に配置されるため、当該円形凹部の底面上を移動するディスクの嵌挿孔内のメダルが、誘導部により切欠部側、つまり、ガイド部側に誘導される際、そのメダルが、円形凹部の底面とガイド通路の通路面との間の段差によりひっかかるという問題が生じず、スムーズに遊技機の筐体に形成された払出口に向けて払い出すことができる。また、メダルの底面とガイド通路の通路面とが確実に接した状態で、メダルをガイド通路に摺動させることができるため、除電効果がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明にかかるメダル払出装置の分解斜視図である。
図2図1のホッパーユニットの上面図である。
図3】ガイド部を装着した状態のホッパーベースの斜視図である。
図4】ホッパーベースとガイド部とを分離した状態の斜視図である。
図5】ガイド部の分解斜視図である。
図6図2におけるA−A矢視断面図である。
図7】ガイド部の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態にかかるメダル払出装置1について、図1図6を参照して説明する。なお、図1はメダル払出装置1の分解斜視図、図2はホッパー本体部2の上面図、図3はガイド部材7を装着した状態のホッパーベース5の斜視図、図4はホッパーベース5とガイド部7とを分離した状態の斜視図、図5はガイド部材7の分解斜視図、図6図2におけるA−A矢視断面図である。なお、以下の説明に関し、前後左右並びに上下方向を図1に示す矢印により規定する。また、図4において、アース線25を図示省略している。
【0013】
(全体構成)
このメダル払出装置1は、図1に示すように、ホッパー本体部2と、ホッパー本体部2の上部に装着されるメダル貯留用のホッパータンク3とを備え、例えば、遊技機の一例であるスロットマシンの筐体内部に配設され、ホッパータンク3に貯留されたメダルMを1枚ずつ、スロットマシンの筐体前面に形成された払出口(図示せず)を経て、同じく筐体前面下部に配設された受皿(図示せず)に払い出す装置である。
【0014】
ホッパータンク3は、スロットマシンのメダル投入口(図示せず)から投入されたメダルMをメダル払出装置1内に貯留するためのものであり、上部開口3aと下部開口3bとを有し、メダル投入口から投入されたメダルMが上部開口3aから供給され、貯留したメダルMを下部開口3bからホッパー本体部2に供給する。
【0015】
ホッパー本体部2は、架台4と、架台4の上面に右下がりに傾斜した状態で取り付けられたホッパーベース5と、架台4内に収容されたホッパーモータの回転軸8周りに回転可能に配設され、ホッパータンク3内のメダルMが嵌挿される複数の嵌挿孔6aが形成されたディスク6と、ホッパーベース5に装着され、メダルMをスロットマシンの払出口に向けてガイドするガイド通路9を形成するガイド部7と、ディスク6の嵌挿孔6a内のメダルMをガイド部7のガイド通路9に誘導するガイドピン10(本発明の誘導部に相当)と、付勢部材(図示せず)により付勢されたメダルキッカ11とを備えている。
【0016】
ホッパーベース5は、平板状の樹脂製のベース部5aと、該ベース部5aの上面に形成されたディスク6を収納する円形凹部5bと、ベース部5aの周縁の一部が円形凹部5bに達するまで切欠かれて形成された切欠部5cとを有する。このとき、円形凹部5bの底面5b1には、2つのガイドピン用挿通孔5dが形成されている。また、円形凹部5bの底面の中央にベース側挿通孔5eが形成されており、ホッパーモータの回転軸8が、当該挿通孔5eに挿通する(図4等参照)。
【0017】
ディスク6は、ホッパーモータの回転軸8周りに回転自在に構成された円形の板状体であり、その表面にメダルMを落とし込むことが可能な大きさの円形の嵌挿孔6aが複数個(この実施形態では6個)回転軸8を中心として同一半径上に一定間隔で透設されている。また、各嵌挿孔6aには、各々、ホッパーベース5の円形凹部5bの底面5b1との対向側の外周端部に切欠(図示せず)が設けられており、嵌挿孔6a内のメダルMが当該切欠を通って、嵌挿孔6aから離脱可能に構成されている。また、ディスク6の中心には、ホッパーモータの回転軸8とほぼ同径で回転軸8を挿通させるためのディスク側挿通孔6bが形成されており、ホッパーモータの回転軸8をディスク側挿通孔6bに挿通させることで、ディスク6がホッパーモータの回転軸8に回転可能に軸支される。なお、この実施形態におけるディスク6は樹脂で形成されている。
【0018】
ガイド部7は、切欠部5cに嵌合するようにホッパーベース5に装着され、上記したように、メダルMをスロットマシンの払出口に向けてガイドするガイド通路9を形成する。なお、ガイド部7については、後で詳述する。
【0019】
このように構成されたホッパー本体部2では、ディスク6が図2中時計回り方向に回転すると、嵌挿孔6aに嵌挿されたメダルMは、円形凹部5bの底面5b1に接した状態で回転方向に移動する。このとき、メダルMの回転移動経路上には、メダルMの移動方向を規制する2つのガイドピン10が突設されており、嵌挿孔6a内に嵌挿された状態でディスク6の回転に伴い移動するメダルMがガイドピン10に当接すると、ディスク6の嵌挿孔6aに設けられた切欠を通ってガイド通路9側に押し出されて、メダルキッカ11に当接する。そして、当該メダルMがメダルキッカ11の付勢部材の付勢力に逆らいながらガイド通路9を通過し、メダルキッカ11を通過し終えると完全に嵌挿孔6aから離脱する。その結果、メダルキッカ11が付勢部材の付勢力により元の位置に勢いよく復帰し、このメダルキッカ11によりメダルMはガイド部7のガイド通路9を通って、ガイド通路9の終端に連通したスロットマシンの払出口に向けて弾き出されることになる。このとき、図3に示すように、ホッパーベース5の円形凹部5bの底面5b1とガイド部7のガイド通路9の通路面9aとが同一平面上に配置されており、メダルMが円形凹部5bの底面5b1とガイド通路9の通路面9aの境界を越える際、底面5b1と通路面9aとの段差により引っかかることがなく、ガイド通路9を通過するメダルMが、当該通路面9aを摺動してスロットマシンの払出口に向けて排出される。
【0020】
(ガイド部の構成)
次に、ホッパーベース5の切欠部5cに装着されるガイド部7について、図4および図5を参照して説明する。
【0021】
ガイド部7は、それぞれステンレス、アルミ、鉄などの導電部材で形成された、最下部に配置されるホッパーベース5への取り付け用の平板状の取付板7aと、その下面が取付板7aの上面に当接するように配置される平板状のスペーサ板7bと、その下面がスペーサ板7bの上面に当接するように配置され、ガイド部7がホッパーベース5に装着された状態でガイド通路9の通路面9aを形成する平板状のアース板7cと、その下面がアース板7cの上面に当接するように配置され、ガイドピン10によりガイド部7側に誘導されたメダルMがガイド通路9を通過するように案内する平板状のリード板7dとを備えている。このとき、取付板7a、スペーサ板7bおよびアース板7cそれぞれには、左右方向に1列に配列された4つの貫通孔20a〜20cが設けられている。また、リード板7dには、左右方向に交互に配列された2つの貫通孔20dと2つの有底孔21dとが設けられている。このとき、リード板7dの下面には、両有底孔21dに対応する位置に2つの嵌合凸部22dが設けられている。
【0022】
また、取付板7aには、その下面側からねじにより、メダルキッカ11およびガイドピン10が固定される。このとき、メダルキッカ11およびガイドピン10それぞれの構成部材は、金属などの導電部材からなり、取付板7aにねじで固定することで、取付板7aおよびガイドピン10が相互に導通する。
【0023】
また、各板7a〜7dは、図6に示すように2つのネジ23で固定されている。具体的には、1つのねじ23(紙面左側)は、各板7a〜7dそれぞれの左右方向に1列に配列された4つ(リード板7dは2つ)の貫通孔20a〜20dのうち、それぞれ左から数えて1番目の貫通孔20a〜20dに螺合し、もう1つのねじ23(紙面右側)は、それぞれ左から数えて3番目の貫通孔20a〜20dに螺合することで、各板7a〜7dが固定される。また、リード板7dの両嵌合凸部22dは、アース板7cのねじ23との螺合しない残りの貫通孔20cに嵌合している。このように各板7a〜7dを固定することで、取付板7aの上面とスペーサ板7bの下面とが当接し、スペーサ板7bの上面とアース板7cの下面とが当接し、アース板7cの上面とリード板7dの下面とが当接して、各板7a〜7dが層状構造をなす。ところで、リード板7dは、ガイドピン10によりガイド部7側に誘導されたメダルMがガイド通路9を通過するように案内する機能を担っており、メダルMと頻繁に接触するため、リード板7dがガイド部7内でずれることが考えられる。そこで、この実施形態では、リード板7dを、ガイド部7内で2つのねじ23により固定するのに加えて、リード板7dの両嵌合凸部22dをアース板7cの貫通孔20cに嵌合させてアース板7cに固定することで、リード板7dがメダルMと接触しても、リード板7dがガイド部7内でずれるのを防止することができるように構成されている。
【0024】
また、上記したように、各板7a〜7dは導電部材で形成されているため、固定された状態で各板7a〜7dが導通する。さらに、図5に示すように、取付板7aの下面には、ねじ24でアース線25が固定されており、このアース線25が、ホッパー本体部2の接地されたアース金具(図示せず)に接続されている。したがって、帯電したメダルMがガイド通路9を通過する際に、ガイドピン10、リード板7d、アース板7cなどに接触すると、電子がアース線25を伝ってアース金具に流れ、帯電したメダルMが除電されることになる。
【0025】
なお、スペーサ板7bは、アース板7cの上面、すなわち、ガイド通路9の通路面9aとホッパーベース5の円形凹部5bの底面5b1とが同一平面上に配置されるようにするための調整板であり、アース板7cの厚みをスペーサ板7bの厚み分だけ厚く形成することにより省略可能である。
【0026】
以上のように、ガイド部7の各板7a〜7d、メダルキッカ11およびガイドピン10を固定することにより、図4に示すように、ガイド部7とメダルキッカ11とガイドピン10とが一体的に形成されてユニット化されている。そして、このユニット化されたものが、ホッパーベース5の切欠部5cに嵌合するように配置され、取付板7aの下面側から複数のねじ26などによりホッパーベース5に固定されることで、当該ユニット化されたものがホッパーベース5に装着される。このとき、両ガイドピン10がホッパーベース5の円形凹部5bの底面5b1に形成されたガイドピン用挿通孔5dに挿通し、両ガイドピン10の先端が若干円形凹部5bの底面5b1から突出した状態で配設されることになる。
【0027】
(ガイド部の変形例)
次に、ガイド部7の変形例について、図7を参照して説明する。なお、図7は、ガイド部7の変形例を示す図であり、図6の断面図に対応する図である。
【0028】
本例は、スペーサ板7bを設けずにガイド部7を構成する場合の例であり、図7に示すように、リード板7dの下面に、アース板7cの上面およびホッパーベース5の円形凹部5bの底面5b1それぞれが当接するようにして、ガイド部7をホッパーベース5の切欠部5cに装着する。このとき、リード板7dと取付板7aとでホッパーベース5のベース部5aを挟んだ状態でねじ27により固定する。また、図7に示すように、取付板7aには2つの取付孔7a1が設けられており、これらの取付孔7a1を利用して、取付板7aの下面側からねじ28を挿入して、アース板7cをリード板7dおよびベース部5aに固定する。このように、リード板7dの下面にアース板7cの上面と円形凹部5bの底面5b1の両方を当接させることで、ガイド通路9の通路面9aを形成するアース板7cの上面と円形凹部5bの底面5b1とを同一平面上に配置することができる。また、取付板7aに取付孔7a1が設けられているため、この取付孔7a1を利用してねじ27を外さずに、ねじ28の脱着、すなわち、アース板7cの取付・取り外しを行うことができる。したがって、例えば、アース板7cがメダルMに接触して摩耗した場合に、当該アース板7cの交換作業を容易に行うことができる。
【0029】
また、アース板7c、リード板7dおよび取付板7aは、ねじ28,27を介して相互に導通し、さらに取付板7aの下面には、ねじ24によりアース線25が接続されているため、帯電したメダルMがアース板7cやリード板7dに接触したときに、除電することができるように構成されている。
【0030】
したがって、上記した実施形態によれば、メダル払出装置1のホッパーベース5は、平板状の樹脂製のベース部5aと、該ベース部5aに形成されたディスク6を収納する円形凹部5bと、ベース部5aの周縁の一部が切欠かれて形成された切欠部5cとを有し、メダルMを遊技機の筐体前面に形成された払出口に向けてガイドするガイド通路9を形成する導電部材からなるガイド部7が、ホッパーベース5の切欠部5cに装着される。このように構成すると、ガイド通路9全体が導電部材で構成されることになり、ガイドピン10によりガイド部7側に誘導されたディスク6の嵌挿孔6a内のメダルMが、ガイド通路9内のどの経路を通過しようとも、その経路の通過中に絶えず導電部材に接した状態になるため、帯電したメダルを確実に除電することができる。また、ホッパーベース5とガイド部7とを別構成とすることで、ガイド通路9全体を容易に導電部材で構成することができる。
【0031】
また、ガイド通路9の通路面9aと、ホッパーベース5のベース部5aに形成されたディスク6を収納する円形凹部5bの底面5b1とが同一平面上に配置されるため、当該円形凹部5bの底面5b1上を移動するディスク6の嵌挿孔6a内のメダルMが、ガイドピン10により切欠部5c側、つまり、ガイド部5c側に誘導される際、そのメダルMが、円形凹部5bの底面5b1とガイド通路9の通路面9aの境界でひっかかるという問題が生じず、スムーズに遊技機の筐体に形成された払出口に向けて払い出すことができる。また、メダルMの下面とガイド通路9の通路面9aとが確実に接した状態で、メダルMをガイド通路9に摺動させることができる。したがって、例えば、メダルMがガイド通路9を摺動中に、メダルMの周側面のみが汚れていて、当該周側面と接するリード板7dでは除電することができない場合であっても、メダルMの下面がアース板7cに接することで、メダルMを確実に除電することができる。
【0032】
また、ホッパーベース5にガイド部7を装着するだけで、帯電したメダルMの除電を行うことができるため、導電部材をホッパーベース上に数か所に分けて配置する従来のメダル払出装置と比較して、導電部材の取り付け工数の削減を図ることができる。
【0033】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、上記したもの以外に種々の変更を行うことが可能であり、例えば、ホッパーベース5の切欠部5cは、円形凹部5bに達するまで切欠かれていなくてもよい。
【0034】
また、誘導部は、上記したガイドピン10に限定されるものではなく、ディスク6の回転により円形凹部5bの底面5b1上を移動する嵌挿孔6a内のメダルMを切欠部5c側に誘導し得る構成であれば、どのようなものであってもよい。
【0035】
また、本発明は、スロットマシンに限らず、メダルが用いられる種々の遊技機に適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1…メダル払出装置、3…ホッパータンク、5…ホッパーベース、5a…ベース部、5b…円形凹部、5b1…底面、5c…切欠部、6…ディスク、6a…嵌挿孔、7…ガイド部、9…ガイド通路、9a…通路面、10…ガイドピン(誘導部)、M…メダル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7