特許第5733814号(P5733814)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5733814止血パッチの腹腔鏡的使用のためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5733814
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】止血パッチの腹腔鏡的使用のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20150521BHJP
【FI】
   A61B17/12
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2010-160147(P2010-160147)
(22)【出願日】2010年7月14日
(65)【公開番号】特開2011-31035(P2011-31035A)
(43)【公開日】2011年2月17日
【審査請求日】2013年5月22日
(31)【優先権主張番号】61/229,333
(32)【優先日】2009年7月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/791,534
(32)【優先日】2010年6月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507362281
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ケビン ラビーン
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ベネット
(72)【発明者】
【氏名】ナザニエル マスト
【審査官】 石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0042045(US,A1)
【文献】 特表2009−518135(JP,A)
【文献】 特開平07−148172(JP,A)
【文献】 米国特許第06946003(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00−18/18
A61L 15/64
A61L 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
最小侵襲性の手術の間に外科用パッチをイン・サイチュで適用するシステムであって、該システムは、
外科用パッチと、
ポリマーバッグと、
該外科用パッチを該ポリマーバッグの中に挿入する手段と、
該外科用パッチを含む該ポリマーバッグを体腔の中に移送する手段と、
該ポリマーバッグが該体腔内にある間に該外科用パッチを該ポリマーバッグから取り外す手段と
を備え、
該外科用パッチは、基板を含み、該基板は、該基板の第一の部分に適用された第一のヒドロゲル前駆物質と、該基板の第二の部分に適用された第二のヒドロゲル前駆物質とを有し、
該第二のヒドロゲル前駆物質を有する該基板の該第二の部分が、組織により近く配向され、第一のヒドロゲル前駆物質を有する該基板の該第一の部分が、該組織からさらに遠く配向されるように、該外科用パッチは、該体腔内の組織に適用されるように構成されており、
該第二のヒドロゲル前駆物質が、生理的な流体によって溶解され、該流体が、該第一の部分に向けて該外科用パッチを通って移動することが可能にされ、これにより、該第一のヒドロゲル前駆物質に接触し、該第一のヒドロゲル前駆物質および該第二のヒドロゲル前駆物質が、反応して、生体適合性の架橋材料を形成するときに、該組織に沿った止血が形成される、
システム。
【請求項2】
前記ポリマーバッグは、ポリウレタンと、ラテックスとから成る群から選択される材料を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
外科用パッチを体腔の中に挿入するシステムであって、該システムは、
外科用パッチと、
ポリマーバッグであって、
該外科用パッチは、基板を含み、該基板は、該基板の第一の部分に適用された第一のヒドロゲル前駆物質と、該基板の第二の部分に適用された第二のヒドロゲル前駆物質とを有する、
ポリマーバッグと、
該外科用パッチを該ポリマーバッグの中に移送する手段と、
該第二のヒドロゲル前駆物質を有する該基板の該第二の部分が、該体腔の組織により近く配向され、第一のヒドロゲル前駆物質を有する該基板の該第一の部分が、該組織からさらに遠く配向されるように、該外科用パッチを含む該ポリマーバッグを体腔の中に腹腔鏡的に挿入する手段と
を備えており、
該第二のヒドロゲル前駆物質が、生理的な流体によって溶解され、該流体が、該第一の部分に向けて該外科用パッチを通って移動することが可能にされ、これにより、該第一のヒドロゲル前駆物質に接触し、該第一のヒドロゲル前駆物質および該第二のヒドロゲル前駆物質が、反応して、生体適合性の架橋材料を形成するときに、該組織に沿った止血が形成される、
システム。
【請求項4】
前記ポリマーバッグは、ポリウレタンと、ラテックスとから成る群から選択される材料を含む、請求項3に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、2009年7月29日に出願された米国仮特許出願第61/229,333号の利益およびその仮特許出願に対する優先権を主張するものであり、その開示全体が参考として本明細書中に援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、外科用パッチを適用する装置および方法に関する。さらに具体的には、本開示は、最小侵襲性の手術の間に、外科用パッチをイン・サイチュで適用するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
止血パッチなどの外科用パッチは、障害のある組織または器官の修復において止血を確立するために用いられる。止血パッチは、縫合具、ステープル、または他の医療用付属デバイスまたは留め具デバイスの補助として用いられるかまたはそれらと共に用いられ得る。止血パッチは、治療を必要とする組織または器官に対して止血を提供するために用いられ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自己付着する外科用パッチは、外科用パッチが、包装された形態、すなわち包装された形状で適用される開放性の手術の間の適用に対して有用である。しかしながら、特定のタイプの吸収性の医療デバイスは、水分に敏感であり得、すなわち、大気中または身体の中の水分に曝露される場合には、時期尚早に反応し得る。従って、これらのパッチを環境の水分または間質性の水分に曝露することなく移動させる装置および方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(概要)
本開示は、最小侵襲性の手術の間の外科用パッチの適用を対象としている。方法は、腹腔鏡的に、外科用パッチを含むポリマーバッグを体腔の中に移送することに続き、外科用パッチをポリマーバッグから体腔内に取り外し、止血を必要とする体腔の中の部位に外科用パッチを適用することを含む。方法はまた、止血パッチを提供するステップを含み得る。止血パッチは、基板の第一の部分に適用された第一のヒドロゲル前駆物質と、基板の第二の部分に適用された第二のヒドロゲル前駆物質とを有する基板を含み得る。方法はまた、ポリウレタンとラテックスとから選択される材料を含むポリマーバッグを提供するステップを含み得る。
【0006】
別の実施形態において、外科用パッチは、ポリマーバッグに移送される。外科用パッチを含むポリマーバッグは、次いで、体腔の中に腹腔鏡的に移送される。この実施形態は、止血パッチを提供することをさらに含み得る。止血パッチは、基板の第一の部分に適用された第一のヒドロゲル前駆物質と、基板の第二の部分に適用された第二のヒドロゲル前駆物質とを有する基板を含み得る。ポリマーバッグは、ポリウレタンとラテックスとから選択される材料を含み得る。
【0007】
本開示は、腹腔鏡的手術の間に部材を体腔の中に移送する装置をさらに含む。装置は、外科用パッチを、配置デバイス内に受け入れられるような大きさにされ、寸法にされたポリマーバッグの中に含み得る。
【0008】
本開示はまた、外科的処置を実行するための装置を対象としている。装置は、細長いチューブと、駆動ロッドと、ばねと、ポリマーバッグによって受け入れられる外科用パッチとを含む。駆動ロッド、ばね、および外科用パッチは、細長いチューブ内に摺動可能に収容される。駆動ロッドの遠位端は、ばねに接続され得る。駆動ロッドの近位端は、ハンドルを含み得る。
【0009】
例えば、本開示は、以下を提供する。
(項目1)
最小侵襲性の手術の間に外科用パッチをイン・サイチュで適用するシステムであって、該システムは、
外科用パッチと、
ポリマーバッグと、
該外科用パッチを該ポリマーバッグの中に挿入する手段と、
該外科用パッチを含む該ポリマーバッグを体腔の中に移送する手段と、
該ポリマーバッグが該体腔内にある間に該外科用パッチを該ポリマーバッグから取り外す手段と
を備え、
該外科用パッチは、該体腔内の組織に適用されるように構成されている、
システム。
(項目2)
上記外科用パッチは、基板を含み、該基板は、該基板の第一の部分に適用された第一のヒドロゲル前駆物質と、該基板の第二の部分に適用された第二のヒドロゲル前駆物質とを有する、上記項目のうちのいずれか一項目に記載のシステム。
(項目3)
上記ポリマーバッグは、ポリウレタンと、ラテックスとから成る群から選択される材料を含む、上記項目のうちのいずれか一項目に記載のシステム。
(項目4)
外科用パッチを体腔の中に挿入するシステムであって、該システムは、
外科用パッチと、
ポリマーバッグと、
該外科用パッチを該ポリマーバッグの中に移送する手段と、
該外科用パッチを含む該ポリマーバッグを体腔の中に腹腔鏡的に挿入する手段と
を備えている、システム。
(項目5)
上記外科用パッチは、基板を含み、該基板は、該基板の第一の部分に適用された第一のヒドロゲル前駆物質と、該基板の第二の部分に適用された第二のヒドロゲル前駆物質とを有する、上記項目のうちのいずれか一項目に記載のシステム。
(項目6)
上記ポリマーバッグは、ポリウレタンと、ラテックスとから成る群から選択される材料を含む、上記項目のうちのいずれか一項目に記載のシステム。
(項目7)
腹腔鏡的手術の間に部材を体腔の中に移送する装置であって、該装置は、
配置デバイス内に受け入れられるような大きさにされ、かつ寸法にされたポリマーバッグの中の外科用パッチ
を備えている、装置。
(項目8)
外科的処置を実行する装置であって、該装置は、
細長いチューブと、
駆動ロッドと、
ばねと、
ポリマーバッグによって受け入れられる外科用パッチと
を備え、
該駆動ロッド、該ばね、および該外科用パッチは、該細長いチューブ内に摺動可能に収容される、
装置。
(項目9)
上記駆動ロッドの遠位端は、上記ばねに接続されている、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の装置。
(項目10)
上記駆動ロッドの近位端は、ハンドルを含む、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の装置。
(項目11)
上記外科用パッチは、基板を含み、該基板は、該基板の第一の部分に適用された第一のヒドロゲル前駆物質と、該基板の第二の部分に適用された第二のヒドロゲル前駆物質とを有する、上記項目のうちのいずれか一項目に記載のシステム。
(項目1a)
最小侵襲性の手術の間に外科用パッチをイン・サイチュで適用する方法であって、該方法は、
外科用パッチをポリマーバッグの中に挿入するステップと、
該外科用パッチを含む該ポリマーバッグを体腔の中に移送するステップと、
該ポリマーバッグが該体腔内にある間に該外科用パッチを該ポリマーバッグから取り外すステップと、
該外科用パッチを該体腔内の組織に適用するステップと
を包含する、方法。
(項目2a)
上記外科用パッチは、基板を含み、該基板は、該基板の第一の部分に適用された第一のヒドロゲル前駆物質と、該基板の第二の部分に適用された第二のヒドロゲル前駆物質とを有する、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の方法。
(項目3a)
ポリウレタンと、ラテックスとから成る群から選択される材料を含むポリマーバッグを提供するステップをさらに包含する、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の方法。
(項目4a)
外科用パッチを体腔の中に挿入する方法であって、該方法は、
外科用パッチをポリマーバッグの中に移送するステップと、
該外科用パッチを含む該ポリマーバッグを体腔の中に腹腔鏡的に挿入するステップと
を包含する、方法。
(項目5a)
上記外科用パッチは、基板を含み、該基板は、該基板の第一の部分に適用された第一のヒドロゲル前駆物質と、該基板の第二の部分に適用された第二のヒドロゲル前駆物質とを有する、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の方法。
(項目6a)
ポリウレタンと、ラテックスとから成る群から選択される材料を含むポリマーバッグを提供するステップをさらに包含する、上記項目のうちのいずれか一項目に記載の方法。
【0010】
(摘要)
本開示は、最小侵襲性の手術の間に、外科用パッチをイン・サイチュで適用するシステムおよび方法を含む。方法は、外科用パッチをバッグの中に挿入するステップと、止血パッチを含むポリマーバッグを体腔の中に移送するステップと、ポリマーバッグが体腔内にある間に、外科用パッチをポリマーバッグから取り外すステップと、外科用パッチを体腔内の組織に適用するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示の上記の目的および利点は、添付の図面と共に以下の説明を理解することによってより明らかになる。
図1図1は、本開示に従った、腹腔鏡的な配置デバイスの、非配置の状態で示された斜視図である。
図2図2は、本開示に従った、止血パッチの例示である。
図3図3は、本開示に従った、ポリマーバッグ内に保持された止血パッチの例示である。
図4A図4A図4Bは、本開示に従った、イン・サイチュでの止血パッチに対する流体の効果の概略的な例示である。
図4B図4A図4Bは、本開示に従った、イン・サイチュでの止血パッチに対する流体の効果の概略的な例示である。
図5A図5A図5Dは、本開示に従った、図2のバッグ内に保持された止血パッチを配置する図1の腹腔鏡的配置デバイスの使用における概略的な例示である。
図5B図5A図5Dは、本開示に従った、図2のバッグ内に保持された止血パッチを配置する図1の腹腔鏡的配置デバイスの使用における概略的な例示である。
図5C図5A図5Dは、本開示に従った、図2のバッグ内に保持された止血パッチを配置する図1の腹腔鏡的配置デバイスの使用における概略的な例示である。
図5D図5A図5Dは、本開示に従った、図2のバッグ内に保持された止血パッチを配置する図1の腹腔鏡的配置デバイスの使用における概略的な例示である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、内視鏡的手術、腹腔鏡的手術、関節鏡的手術、管腔内手術および/または管腔貫通的手術などの最小侵襲性手術の手術部位に外科用パッチを配置するデバイス、システム、および方法に関する。本明細書中に用いられる場合に、用語「外科用パッチ」は、外科的処置で使用する、例えば、イン・サイチュで反応し、かつ水分への曝露に反応するパッチなどの任意のタイプのパッチを表すために用いられる。本明細書中に用いられる場合に、用語「腹腔鏡的な配置デバイス」は、上記の最小侵襲性手術の間に用いられ得る配置デバイスを表すために用いられる。
【0013】
図面において、および以下の説明においては、慣習的であるように、用語「近位」が、ユーザーにより近いデバイスの端部を表し、一方で、用語「遠位」が、ユーザーからより遠いデバイスの端部を表す。
【0014】
腹腔鏡的外科処置は、細長い外科用デバイスと共にアクセスポートの使用を介して体腔内で実行される最小侵襲性の処置である。身体組織の中の初めの開口が、身体内部への内視鏡的デバイスまたは腹腔鏡的デバイスの通過を可能にする。開口は、身体の生来の通路、またはトロカールなどの組織貫通デバイスによって作り出される開口を含む。腹腔鏡的処置の間に、体腔に対する損傷を最小化し、患者の回復時間を低減する狭い穿刺または切開が作られる。
【0015】
ここで具体的な詳細について、同様な参照番号が同様な要素または同一の要素を識別する図面を参照すると、図1は、腹腔鏡的な配置デバイス/収集デバイスを例示し、概して、参照番号100として示される。配置デバイス100は、細長いチューブ102を含み、細長いチューブ102は、内視鏡的処置または腹腔鏡的処置用のトロカールおよびカニューレなどのアクセスデバイスを通って挿入可能なような寸法および/または直径を有する。チューブ102は、概して、約0.25インチ〜0.50インチの間の直径であり、約10インチ〜約15インチの間の長さであるが、適切な場合には、他の寸法がまた用いられ得る。チューブ102は、駆動ロッド104と、非配置の場合には、外科用パッチ10を含むポリマーバッグ60とを摺動可能に収容する。
【0016】
腹腔鏡的配置デバイス100は、チューブ102のボアを通って摺動可能に配置された、細長い概して円筒形の部材である駆動ロッドまたは駆動バー104を含む。駆動ロッド104の遠位端が、バッグ60に取り付けられることにより、バッグ60を外側チューブ102内に含まれた非配置の位置から、外側チューブ102に対して遠位方向の配置の位置まで移動させる。
【0017】
ロック用タブ106が、デバイスの時期尚早の作動を防止するために含まれ得る。ロック用タブ106は、スナップ嵌め式係合構造を含むことにより、駆動ロッド104のスロットを係合する。従って、係合されると、駆動ロッド104は、ハンドル部分108、110の近位端をロック用タブ106が係合する位置を越えて遠位方向に押されることができない。
【0018】
さらに、腹腔鏡的配置デバイス100は、ユーザーの指によって係合する指用ループ114を含み得る。引きひも116の一方の端部が指用ループ114に取り付けられ、一方で、引きひも116の対向する端部がバッグ60に取り付けられる。初めの、未使用状態では、バッグ60は、巻き上げられ(さもなければ折りたたまれ)、ばね112と外科用パッチ10とをチューブ102内に比較的まっすぐな姿勢で含み得る。駆動ロッド104が前進させられると、駆動ロッド104に接続されたばね112が、チューブ102の遠位端を出て、はね返るように開放され、それによって、バッグ60を配置し、開放することにより、外科用パッチ10へのアクセスを可能にし得る。一部の実施形態において、バッグ60は、配置の後に閉鎖したままであり得る。チューブ102は、ステンレス鋼などの金属から好ましくは形成され、外科的処置の使用に適したグレードの縮みやすいポリエチレングラスファイバーまたはポリ塩化ビニルなどの収縮包装プラスチックによって好ましくは被覆される。
【0019】
そのようなデバイスは、当該分野において公知であり、例えば、2005年3月29日に出願された米国特許出願公開第2006/0229640号、2005年3月7日に出願された米国特許出願公開第2006/0200170号、および2005年3月7日に出願された米国特許出願公開第2006/0200169号に開示されたデバイスを含み、それらの内容全体が参考として本明細書中に援用される。
【0020】
図2は、本開示に従った、外科用パッチの一実施形態を例示する。止血パッチ11は、腹腔鏡的配置デバイス100によって用いられる。止血パッチ11は、多孔性基板の第一の部分22に適用された第一のヒドロゲル前駆物質30と、多孔性基板の第二の部分24に適用された第二のヒドロゲル前駆物質40とを有する多孔性基板20を含む。そのような止血パッチ11は、2008年10月17日に出願された米国仮特許出願第61/196,543号に開示され、その内容全体が参考として本明細書中に援用される。
【0021】
使用の間に、止血パッチ11は、第二のヒドロゲル前駆物質40が適用された部分24が組織により近く配向され、第一のヒドロゲル前駆物質30が適用させられた部分22が組織からさらに遠く配向される。実施形態において、第一の部分22および第二の部分24は、対比染料(contrast dye)、表面テクスチャ加工、色づけ、または他の視覚的表示の付加によって互いと区別でき得る。例えば、損傷した組織などの組織に接触すると、止血パッチ11が、生理的な流体を吸収し、第二のヒドロゲル前駆物質40が流体によって溶解され得る。流体が止血パッチ11の中に運ばれ、止血パッチ11を横切って移動するので、流体は、溶解した第二のヒドロゲル前駆物質40を止血パッチ11の中に沿って運ぶ。やがて、流体が、止血パッチ11を通って十分に移動することにより、第一のヒドロゲル前駆物質30が適用された部分22に到達し、それによって、第一のヒドロゲル前駆物質30に接触する。第一のヒドロゲル前駆物質30と第二のヒドロゲル前駆物質40とは次いで、生体適合性の架橋材料を形成するように反応し、それによって、損傷部位に止血を作り出し得る。一部の実施形態において、第一のヒドロゲル前駆物質30と第二のヒドロゲル前駆物質40との反応によって生成された生体適合性の架橋材料は、止血剤の特性を提供するだけでなく、止血パッチ11の一部分に抗癒着性の特性を提供する。
【0022】
止血パッチ11の多孔性基板20は、その表面の少なくとも一部分にわたって開口または細孔を有する。細孔は、移植の前または移植の後に基板の中に形成され得る。下でさらに詳細に記載されるように、多孔性基板20を形成する適切な材料は、繊維状の構造(例えば、編物構造、織物構造、不織構造など)および/またはフォーム(例えば、開放型セルまたは閉鎖型セルのフォーム)を含むが、それらに限定されない。実施形態において、細孔は、多孔性基板20の厚さ全体にわたって相互に連絡するための十分な数および大きさであり得る。織物、編物および開放型セルフォームは、細孔が、多孔性基板20の厚さ全体にわたって相互に連絡するための十分な数および大きさであり得る構造の例示的な例である。実施形態においては、細孔が、多孔性基板20の厚さ全体にわたって相互に連絡しない。閉鎖型セルフォームまたは溶融した不織材料は、細孔が多孔性基板20の厚さ全体にわたって相互に連絡しないことがあり得る構造の例示的な例である。フォームの多孔性基板20の細孔は、多孔性基板20の厚さ全体にわたって及び得る。さらに他の実施形態において、細孔は、多孔性基板20の厚さ全体にわたって延びないが、むしろ、多孔性基板20の厚さの一部分に存在する。実施形態において、開口または細孔は、多孔性基板20の表面の一部分に配置され、多孔性基板20の他の部分は、非多孔性のテクスチャを有する。他の実施形態において、細孔は、イン・サイチュで移植した後に形成され得る。イン・サイチュでの細孔形成は、任意の適切な方法を用いて実行され得る。一部の限定的でない例は、接触型リソグラフィー、リビングラジカルフォトポリマー(living radical photopolymer;LRPP)システム,および塩分浸出の使用を含む。本開示を理解する当業者は、多孔性基板20に対する他の細孔分布パターンおよび構成を想定し得る。
【0023】
多孔性基板20が繊維状である場合には、繊維は、編物または織物に適したフィラメントまたはスレッドであり得るか、または不織材料を作るために頻繁に用いられるような短繊維であり得る。繊維は、任意の生体適合性の材料から作られ得る。従って、繊維は、天然材料または合成材料から形成され得る。繊維が形成される材料は、生体吸収性または生体非吸収性であり得る。天然材料、合成材料、生体吸収性材料、および生体非吸収性材料の任意の組み合わせが、繊維を形成するために用いられ得ることは理解されるべきである。繊維が作られ得る材料の一部の限定的でない例は、ポリ(乳酸)およびポリ(グリコール酸)ポリ(トリメチレンカーボネート)などのポリエステル、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ホスファジン(phosphazine))、ポリエチレンテレフタレート、超高分子量ポリエチレン、ポリエチレングリコール、ポリエチレン酸化物、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシエチルメチルアクリレート(pHEMA)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアセテート、ポリカプロラクトン、ポリプロピレン、脂肪族ポリエステル、グリセリン、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテルエステル)、ポリアルキレンオキサレート、ポリ(糖類)、ポリアミド、ポリ(イミノカーボネート)、ポリアルキレンオキサレート、ポリオキサエステル、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、生体ポリマー、ポリマー薬品およびコポリマー、ブロックコポリマー、ホモポリマー、ならびにそれらの混合および組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0024】
多孔性基板20が繊維状である場合には、多孔性基板20は、繊維状構造を形成するために適した任意の方法を用いて形成され得、方法としては、編物技術、織物技術、不織技術、潤紡、電気紡糸(electro−spinning)、押出し、同時押出しなどを含むが、これらに限定されない。繊維状構造を作るための適切な技術は、当業者が理解する範囲内にある。実施形態において、テキスタイルは、米国特許第7,021,086号および米国特許第6,443,964号に記載されたテキスタイルなどの三次元構造を有し、それらの内容は参考として本明細書中に援用される。
【0025】
一部の実施形態において、多孔性基板20は、酸化セルロースの繊維から作られる。そのような材料は、公知であり、商品名SURGICEL(登録商標)として商業的に利用可能な酸化セルロース止血剤材料を含む。酸化セルロース止血剤材料を作る方法は、当業者に公知であり、例えば、米国特許第3,364,200号、米国特許第4,626,253号、米国特許第5,484,913号、および米国特許第6,500,777号に開示され、それらの開示全体は、参考として本明細書中に援用される。
【0026】
多孔性基板20がフォームである場合には、多孔性基板20は、フォームまたはスポンジを形成することに適した任意の方法を用いて形成され得、方法としては、組成物の凍結乾燥またはフリーズドライを含むが、これらに限定されない。フォームは、架橋されているかまたは非架橋であってもよく、共有結合またはイオン結合を含み得る。フォームを作るための適切な技術は、当業者の理解する範囲内にある。
【0027】
上記のように、多孔性基板20は、それに適用された第一のヒドロゲル前駆物質30と、第二のヒドロゲル前駆物質40とを有する。用語「第一のヒドロゲル前駆物質」および「第二のヒドロゲル前駆物質」は、各々が反応に加わることにより、架橋分子のネットワーク(例えば、ヒドロゲル)を形成し得る、ポリマー、機能性ポリマー、高分子、低分子、または架橋物質を意味する。
【0028】
実施形態において、第一のヒドロゲル前駆物質30と第二のヒドロゲル前駆物質40との各々は、求核性前駆物質と、求電子性前駆物質との両方が架橋反応に用いられる限り、求核性官能基だけまたは求電子性官能基だけのいずれかの官能基の単に1つのカテゴリーを含む。従って、例えば、第一のヒドロゲル前駆物質30がアミンなどの求核性官能基を有する場合には、第二のヒドロゲル前駆物質40は、N−ヒドロキシスクシンイミドなどの求電子性官能基を有し得る。一方では、第一のヒドロゲル前駆物質30がスルホスクシンイミドなどの求電子性官能基を有する場合には、第二のヒドロゲル前駆物質40は、アミンまたはチオールなどの求核性官能基を有し得る。従って、たんぱく質、ポリ(アリルアミン)、スチレンスルホン酸、またはアミンで終端された二官能性または多官能性のポリ(エチレングリコール)(「PEG」)などの機能性ポリマーが用いられ得る。
【0029】
第一のヒドロゲル前駆物質30と第二のヒドロゲル前駆物質40とは、生物学的に不活性で、かつ水溶性のコアを有し得る。コアが水溶性のポリマーの領域である場合には、用いられ得る好適なポリマーは、ポリエーテル(例えば、ポリエチレングリコール(「PEG」)などのポリアルキレン酸化物)、ポリエチレンオキシド(「PEO」)、ポリエチレン酸化物−コ−ポリプロピレン酸化物(「PPO」)、コポリエチレン酸化物ブロックまたはランダムコポリマー、およびポリビニルアルコール(「PVA」)、ポリ(ビニルピロリジノン)(「PVP」)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(糖類)(例えば、デキストラン、キトサン、アルギン酸エステル、カルボキシメチルセルロース、酸化セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒアルロン酸、およびたんぱく質(例えば、アルブミン、コラーゲン、カゼイン、およびゼラチン)を含む。ポリエーテル、特に、ポリ(オキシアルキレン)またはポリ(エチレングリコール)またはポリエチレングリコールは特に有用である。コアが事実上低分子の場合には、任意の様々な親水機能性が、第一のヒドロゲル前駆物質30と第二のヒドロゲル前駆物質40とを水溶性にするために用いられ得る。例えば、水溶性のヒドロキシル基、アミン、スルホン酸エステル、およびカルボン酸エステルのような官能基が、前駆物質を水溶性にするために用いられ得る。さらに、スベリン酸のN−水酸基スクシンイミド(「NHS」)エステルは非水溶性であるが、スルホン酸エステル基をスクシンイミド環に追加することによって、スベリン酸のNHSエステルが、アミン基の反応性に影響を与えることなく水溶性にされ得る。
【0030】
第一のヒドロゲル前駆物質30と第二のヒドロゲル前駆物質40とは、当業者に公知の任意の適切な方法を用いて多孔性基板20に適用され得る。例えば、第一のヒドロゲル前駆物質30と第二のヒドロゲル前駆物質40とは、多孔性基板20を形成する前に多孔性基板20の中に組み込まれ得る。限定的でない別の例において、第一のヒドロゲル前駆物質30または第二のヒドロゲル前駆物質40は、基板の形成に続いて、多孔性基板20の細孔の中または多孔性基板20の表面上に位置決めされ得る。追加の実施形態においては、多孔性基板20が、第一のヒドロゲル前駆物質30を適用する前にカレンダーにかけられ得、それによって、第一のヒドロゲル前駆物質30または第二のヒドロゲル前駆物質40が、カレンダープロセスによって作り出された基板上の開口の中に浸透することを可能にする。
【0031】
他の実施形態において、第一のヒドロゲル前駆物質30または第二のヒドロゲル前駆物質40は、止血パッチ11を形成することが可能な任意の濃度、寸法および構成の、基板に適用される被覆という形態であり得る。被覆は、非多孔性の層または多孔性の層を形成し得る。実施形態において、第一のヒドロゲル前駆物質30と第二のヒドロゲル前駆物質40とのうちの少なくとも一方は架橋物質である。実施形態において、第一のヒドロゲル前駆物質30と第二のヒドロゲル前駆物質40とのうちの少なくとも一方は高分子であり、「機能性ポリマー」と呼ばれる。
【0032】
第一のヒドロゲル前駆物質30と第二のヒドロゲル前駆物質40との各々は、2つ以上の求電子性官能基または求核性官能基を含むことを意味する多官能性であり、それによって、例えば、第一のヒドロゲル前駆物質30の求核性官能基が、第二のヒドロゲル前駆物質40の求電子性官能基と反応することにより、共有結合を形成し得る。第一のヒドロゲル前駆物質30または第二のヒドロゲル前駆物質40のうちの少なくとも一方が、3つ以上の官能基を含み、それによって、求電子対求核の反応の結果として、前駆物質が化合することにより、架橋ポリマー生成物を形成する。
【0033】
実施形態において、トリリジンなどの多官能性の求核性ポリマーが、第一のヒドロゲル前駆物質30として用いられ得、複数のNHS基によって官能基化された多アーム(multi−arm)PEGなどの多官能性の求電子性ポリマーが、第二のヒドロゲル前駆物質40として用いられ得る。PEGが複数のNHS基によって官能基化した多アームは、例えば、4つ、6つ、または8つのアームを有し、約5,000〜約25,000の分子量を有し得る。適切な第一のヒドロゲル前駆物質30と第二のヒドロゲル前駆物質40との多くの他の例が、米国特許第6,152,943号、米国特許第6,165,201号、米国特許第6,179,862号、米国特許第6,514,534号、米国特許第6,566,406号、米国特許第6,605,294号、米国特許第6,673,093号、米国特許第6,703,047号、米国特許第6,818,018号、米国特許第7,009,034号、および米国特許第7,347,850号に記載され、それらの各々の内容全体が参考として本明細書中に援用される。
【0034】
本開示は、止血パッチに関連し得るが、任意の外科用パッチが本明細書中に開示された方法で用いられ得る。止血パッチは、本開示の腹腔鏡的配置デバイス中で移動させることが可能な任意の大きさおよび寸法であり得る。一実施形態において、止血パッチは、約2インチ四方であるが、パッチは、形状および大きさを変え得ることが想定される。さらに、パッチを形成するために用いられる基板が、「多孔性」として記載されているが、基板は、様々な実施形態において多孔性または非多孔性であり得る。
【0035】
出血している組織の部位に適用されると、止血パッチは、組織の止血に影響を及ぼし得る。本明細書中に用いられる場合には、用語「止血」は、出血を阻止することを意味する。止血パッチの止血効果は、それに限定されているわけではないが、固有の因子および外来的な因子によると考えられている。一部の実施形態において、基板は、固有の止血効果を提供する止血剤を含み得る。実施形態において、ヒドロゲル前駆物質間の架橋が、血液の流れに対して外的な止血効果を提供する物理的障壁を作り出す。止血は、止血パッチの適用部位において約2分未満内に起こり得る。上記のように、例えば、損傷した組織または出血する組織などの組織に接触すると、止血パッチ11が、間質性液および生理的な流体(例えば、血液、リンパ液など)を吸収し、第一のヒドロゲル前駆物質30と第二のヒドロゲル前駆物質40とが、流体によって混合される。止血を必要とする場所において使用される前に止血パッチ11が流体を吸収することを防止するために、止血パッチ11は、その適用が必要となる時まで、包装の中に保持されるかまたは密封される。
【0036】
図3に示されるように、腹腔鏡的手術の間、止血パッチ11の耐水的な移動を提供するために、止血パッチ11は、耐水性のポリマーバッグ60の中に封入される。本明細書中に用いられる場合に、用語「水分」は、生理的な流体および湿気を意味する。本明細書中に用いられる場合に、用語「無菌」は、内毒素、ウイルスなどに加えて微生物などの生きた有機体がバッグに無いことを意味する。バッグ60は、水分/湿気に耐える材料から形成され得る。本開示に従った、使用され得る例示的な材料は、例えば、ポリウレタンシートまたはラテックスなどの実質的に透明なポリマー材料を含む。実施形態において、バッグ60は、それの影響および有孔性の程度を低減するために、プラスチックフィルム上に配置された金属被覆層の裏張りを含み得る。一実施形態において、バッグ60は、Dureflex(登録商標)(Whately,MassachusettsにあるDeerfield Urethane,Inc.の製品)などの芳香性のポリエステル型熱可塑性プラスチックのポリウレタンから形成される。一部の実施形態において、バッグ60は、止血パッチ10の観察を可能にするために透明である。バッグ60の厚さは、約0.001〜約0.005インチであり得るが、他の厚さもまた想定される。バッグ60はまた、癌細胞などの病気を起こす細胞による侵入に対して不浸透性であるべきである。バッグ60は、止血パッチ11を封入し、かつ止血パッチが水分と接触することを防止するための適切な任意の寸法であり得る。バッグ60は、腹腔鏡的配置デバイス100の中に挿入されるための十分な大きさに折りたたまれるかまたは巻かれ得る。一部の実施形態において、バッグ60は、約1.5インチ〜約6.0インチの直径と、約2インチ〜約10インチの深さと、約2.0リットルまでの水の収容力とを有し得る。一部の実施形態において、バッグ60は、Covidien AG(Mansfield,Massachusetts)によって製造されるEndobagTMである。図3に見られるように、止血パッチ11は、バッグ60内に配置するために、円筒状に巻かれるかまたは折りたたまれ得る。一部の実施形態において、折りたたまれるかまたは巻かれる場合に、バッグ60中の止血パッチ11は、好ましくは、約0.50インチ未満の直径である。別の実施形態において、バッグ60中の巻かれたかまたは折りたたまれた止血パッチ11は、約0.25インチ未満の直径である。
【0037】
ポリマーバッグ60は、腹腔鏡的デバイス100からポリマーバッグ60を配置する間および配置した後に、止血パッチ11を水分への曝露から保護するような態様で密封され得る。実施形態において、バッグ60は、デバイスから配置した後、開放的であり得る。
【0038】
無菌のポリマーバッグ60中の止血パッチ11は、腹腔鏡的配置デバイス100を利用する腹腔鏡的手術の間に体腔の中に移送され得る。図4A図4Bに見られるように、使用の間、止血パッチ11は、第二のヒドロゲル前駆物質40が適用された第二の部分24が、組織50により近く配向され、第一のヒドロゲル前駆物質30が適用された第一の部分22が、組織50からさらに遠くに配置される。例えば、損傷したかまたは出血する組織などの組織50と接触すると、止血パッチ11が、生理的な流体または血液26を吸収し、第二のヒドロゲル前駆物質40を有する第二の部分24が、流体または血液26によって溶解される。流体または血液26が、止血パッチ11の中に運ばれ、止血パッチ11を横切って移動するので、流体または血液は、第一のヒドロゲル前駆物質30が適用された第一の部分22に到達するように、溶解した第二のヒドロゲル前駆物質40を止血パッチ11の中に沿って十分に運び、それによって、第一のヒドロゲル前駆物質30と、第二のヒドロゲル前駆物質40との間の架橋反応が開始される。この時点で、図4Bに見られるように、第一のヒドロゲル前駆物質30と、第二のヒドロゲル前駆物質40とが反応して、生体適合性の架橋材料28を形成することにより、組織50の止血を助ける。
【0039】
一実施形態において、腹腔鏡的配置デバイス100は、腹腔鏡的配置デバイスの使い捨て使用の間に送達するためのポリマーバッグ60に包まれた止血パッチ11を含み得る。別の実施形態において、ポリマーバッグ60に包まれた止血パッチ11が、腹腔鏡的配置デバイス100の中に挿入するために提供され得る。
【0040】
図5A図5Cに示されるように、別の使用方法に従った腹腔鏡的配置デバイス100が、トロカール402を通って体腔400の中に挿入され、追加のトロカール406が、後の使用のために体腔400の側面に挿入されたように示されている。図5A図5Bに示されているように、ロック用タブ106が取り外され、駆動ロッド104がハンドル部分108、110の近位端に押される。図5Bに見られるように、ポリマーバッグ60に包まれた止血パッチ11が、腹腔鏡的配置デバイス100を通って体腔400の中に配置される。この時点で、図5Cに見られるように、バッグに包まれた止血パッチ11は次いで、トロカール406を通るペンチ408を用いて腹腔鏡的配置デバイス100から取り外され、図5Dに示されているように、必要になるまで、体腔400の側面に保持され得る。止血パッチ11が必要な処置/手術の時点で、当業者に公知の様々な腹腔鏡的ツールが、止血パッチ11をポリマーバッグ60から取り外し、止血パッチ11が必要な位置または所望の位置(例えば、損傷したかまたは出血する組織)に止血パッチ11を配置するために利用され得る。
【0041】
上記の説明は多くの詳細を含むが、これらの詳細は、本開示の範囲の限定としてではなく、単に好適な実施形態の例示として解釈されるべきである。当業者は、本開示の範囲および精神の内にある多くの他の可能性のある変化を想定するであろう。
【符号の説明】
【0042】
10 外科用パッチ
11 止血パッチ
20 多孔性基板
22 多孔性基板の第一の部分
24 多孔性基板の第二の部分
30 第一のヒドロゲル前駆物質
40 第二のヒドロゲル前駆物質
60 ポリマーバッグ
100 腹腔鏡的配置デバイス
102 細長いチューブ
104 駆動ロッド(または、駆動バー)
106 ロック用タブ
108、110 ハンドル部分
114 指用ループ
116 引きひも
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D