(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5733828
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】モータ用ベース及びこれを含むハードディスクドライブ
(51)【国際特許分類】
G11B 33/12 20060101AFI20150521BHJP
G11B 33/14 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
G11B33/12 302Z
G11B33/14 501J
G11B33/14 503J
G11B33/12 313T
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-233988(P2011-233988)
(22)【出願日】2011年10月25日
(65)【公開番号】特開2013-37754(P2013-37754A)
(43)【公開日】2013年2月21日
【審査請求日】2013年9月4日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0078212
(32)【優先日】2011年8月5日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、イル ゲウン
【審査官】
ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−021761(JP,A)
【文献】
特開昭57−113472(JP,A)
【文献】
特開2008−248899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 33/12 − 33/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の鋼材で形成されるベース本体と、
前記ベース本体の外周を形成する外壁部と
を含み、
前記外壁部は、前記ベース本体の端部から折れ曲がって形成される内側壁部と、前記内側壁部の端部から折れ曲がって形成される上壁部と、前記上壁部の端部から折れ曲がって形成される外側壁部とを含み、
前記内側壁部及び前記上壁部の少なくとも一つは前記外側壁部より厚さが薄い
モータ用ベース。
【請求項2】
前記内側壁部、前記上壁部及び前記外側壁部の少なくとも一つは、前記ベース本体の厚さより小さい厚さを備える、請求項1に記載のモータ用ベース。
【請求項3】
前記上壁部は、外部とのシーリングのためのシーリング部が配置されるように平坦面を備える、請求項1または2に記載のモータ用ベース。
【請求項4】
前記上壁部は、前記ベース本体に対して平行に形成される、請求項1から3の何れか1項に記載のモータ用ベース。
【請求項5】
前記上壁部のコーナーは、曲率半径を備える、請求項1から4の何れか1項に記載のモータ用ベース。
【請求項6】
前記外側壁部は、前記ベース本体の上面より下側に伸びる、請求項1から5のいずれか一項に記載のモータ用ベース。
【請求項7】
前記内側壁部と前記外側壁部の間には空間が形成され、前記空間の上部は前記上壁部によって密閉され、前記空間の下部は開放される、請求項1から6のいずれか一項に記載のモータ用ベース。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のモータ用ベースと、
前記モータ用ベースに結合されてディスクを回転させるスピンドルモータと、
前記ディスクのデータを記録及び再生させるための磁気ヘッドを当該ディスクの上の所定の位置に移動させるヘッド駆動部と、
前記モータ用ベースと結合し当該モータ用ベースの内部空間を封止するように前記外壁部に配置されるシーリング部を備えるカバーと
を含む、ハードディスクドライブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ用ベース及びこれを含むハードディスクドライブに関し、より詳細には、プレス加工により製造されるベースにおいて外部とのシーリング機能を改善したモータ用ベース及びこれを含むハードディスクドライブに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピューターの情報保存装置の一つであるハードディスクドライブ(HDD;Hard Disk Drive)は、磁気ヘッドを用いてディスクに保存されたデータを再生するか又はディスクにデータを記録する装置である。
【0003】
このようなハードディスクドライブにおいて、ベースには、磁気ヘッドをディスク上で移動させるヘッド駆動部、即ち、HSA(Head Stack Assembly)が設けられ、当該ヘッド駆動部によって当該磁気ヘッドは、ディスクの記録面から所定の高さで浮上した状態で所望の位置に移動しながらその機能を行うことになる。
【0004】
従来は、ハードディスクドライブに提供されるベースを製造する上で、アルミニウム(Al)をダイキャスティング(Die−Casting)した後に当該ダイキャスティングによって生じるバリ(Burr)等を除去する後加工方式が行われていた。
【0005】
しかしながら、従来のダイキャスティング方式では、鍛造用アルミニウム(Al)を溶融状態で注入して成形する工程を経るため、工程において高温・高圧による多くのエネルギーが必要とされ、工程時間も増えるという問題がある。
【0006】
また、ダイキャスティング金型の寿命においても、一つの金型から多数のベースを製造するのには限界があり、ダイキャスティング工程で製造されたベースは、寸法精度が良くないという問題もある。
【0007】
このようなダイキャスティング工程の問題点を解決するために、プレス工法を用いてベースを製造したが、このプレス工法によると、板材をベンディングし切断する工程の特性上、基本的に均一な厚さを有するしかない限界がある。
【0008】
なお、ハードディスクドライブでは、駆動特性の向上のためにベースの上面及びカバーの下面に付着されたシーリング部材で内部空間を封止する場合、ベースとシーリング部材との接触面積がシーリング特性を左右する重要な因子となる。
【0009】
しかしながら、プレス工法又は鍛造工法によりベースを製造する場合、ディスクの外径と外装幅が国際規格で決まっているため、ディスクの外径と一定間隔を維持するベースの内壁及び外壁の寸法も規格化される等の制限がある。
【0010】
このような制限条件下でプレス工法によりベースを製造する場合、ベースの内壁及び外壁は、曲げ工程により製造されるしかないため、ベースの上面も丸くなるように形成されるしかないという問題がある。
【0011】
このことから、ベースへのシーリング部材の付着の際に、接触面積が縮小し、結局はシーリング機能の低下を生じる問題をもたらす。
【0012】
したがって、プレス工法によるベース製造の限界を克服しシーリング機能が向上した構造を確保するための研究が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、プレス加工を用いながらもベースの内部空間を効果的に封止することにより性能及び寿命を最大化したモータ用ベース及びこれを含むハードディスクドライブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施形態によるモータ用ベースは、母体となる板状の鋼材でプレス加工により形成されるベース本体と、当該ベース本体の外側を規定する外壁部と、を含み、上記外壁部は、外部との封止のためのシーリング部との接触面積を増加させるために上記母体となる板状の鋼材より小さい厚さを備えることができる。
【0015】
本発明の一実施形態によるモータ用ベースの上記外壁部は、上記ベース本体の端部から折れ曲がって形成される内側壁部と、当該内側壁部の端部から折れ曲がって形成される上壁部と、当該上壁部の端部から折れ曲がってカバーに結合される外側壁部と、を含むことができる。
【0016】
本発明の一実施形態によるモータ用ベースは、上記内側壁部、上記上壁部及び上記外側壁部の少なくとも一つが、上記母体となる板状の鋼材の厚さより小さい厚さを備えることができる。
【0017】
本発明の一実施形態によるモータ用ベースの上記上壁部の上面は、上記シーリング部が配置されるように平坦面を備えることができる。
【0018】
本発明の一実施形態によるモータ用ベースの上記上壁部の上面は、上記ベース本体の上面と平行に形成されることができる。
【0019】
本発明の一実施形態によるモータ用ベースの上記上壁部の上面のコーナーは、曲率半径を備えることができる。
【0020】
本発明の他の実施形態によるモータは、モータ用ベースと、当該モータ用ベースに結合されてディスクを回転させるスピンドルモータと、上記ディスクのデータを記録及び再生させるための磁気ヘッドを当該ディスクの上の所定の位置に移動させるヘッド駆動部と、上記モータ用ベースと結合し当該モータ用ベースの内部空間を封止するように上記外壁部に配置されるシーリング部を備えるカバーと、を含むことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によるモータ用ベース及びこれを含むハードディスクドライブによると、プレス加工を用いながらもベースの内部空間を効果的に封止することができる。
【0022】
また、モータ用ベースをプレス加工により製造することにより、工程時間及びエネルギー消耗を最小化して結果的には生産力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態によるモータ用ベースを含むハードディスクドライブを示す概略分解斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるモータ用ベースを含むハードディスクドライブを示す概略斜視図及び概略切開斜視図(シーリング部は図示せず)である。
【
図4】(a)〜(c)は、本発明の一実施形態によるモータ用ベースの製造工程を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳述する。但し、本発明の思想は、提示される実施形態に制限されず、本発明の思想を理解する当業者は、同一思想の範囲内で他の構成要素の追加、変更、削除などによって、退歩的な他の発明や本発明の思想の範囲内に含まれる他の実施形態を容易に提案することができるが、これもまた本願発明の思想の範囲内に含まれる。なお、図面上における同一機能の構成要素は、同一符号を付して示す。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態によるモータ用ベースを含むハードディスクドライブを示す概略分解斜視図であり、
図2は、本発明の一実施形態によるモータ用ベースを含むハードディスクドライブを示す概略斜視図及び概略切開斜視図(シーリング部は図示せず)であり、
図3は、
図2のAーA'線に沿う概略断面図である。
【0026】
図1から
図3を参照すると、本発明によるハードディスクドライブ600は、モータ用ベース100(以下、ベースという)と、当該ベース100の内部空間に配置されるスピンドルモータ200と、ヘッド駆動部300と、上記ベース100の内部空間を封止するシーリング部400を備えるカバー500と、を含むことができる。
【0027】
なお、本発明において軸方向の上方又は下方は、上記ベース100の上面から上記カバー500への方向又はその逆方向を意味する。
【0028】
上記ベース100は、本発明によるハードディスクドライブ600において上記カバー500と共に外観を形成するハウジングを意味し、ベース本体110と外壁部120とを含むことができる。
【0029】
ここで、上記ベース本体110と上記外壁部120とを含む上記ベース100は、プレス加工により基本的な形が作られた後、曲げ加工又は切開加工等の追加加工により最終的なベース100の形が作られることができる。
【0030】
即ち、本発明の一実施形態によるベース100は、アルミニウム(Al)をダイキャスティングした後に当該ダイキャスティングによって生じるバリ等を除去する後加工方式で生産される従来の場合とは異なり、冷間圧延鋼板(SPCC、SPCE等)、熱間圧延鋼板、ステンレス鋼又はボロン或いはマグネシウム合金等の軽量合金鋼板をプレス加工により一回で又は追加加工により生産されることができる。
【0031】
したがって、本発明の一実施形態によるベース100は、プレス加工により製造されることができるため、工程時間及びエネルギー消耗を最小化して結果的には生産力を向上させることができる。
【0032】
ここで、上記ベース本体110は、上記ベース100の内部空間を形成し、当該内部空間は、後述するスピンドルモータ200及びヘッド駆動部300が配置される空間であることができる。
【0033】
上記外壁部120は、上記ベース100の外壁で、具体的には、上記ベース本体110の外側を規定することができる。
【0034】
即ち、上記外壁部120は、上記ベース本体110の端部に形成され、内側壁部122と上壁部124と外側壁部126とを含むことができる。
【0035】
上記外壁部120の内側壁部122は、上記ベース本体110の端部を軸方向の上方に折り曲げて形成され、当該内側壁部122の所定の高さで再び軸方向の下方に折り曲げて上記外側壁部126を形成することができる。
【0036】
ここで、上記内側壁部122と上記外側壁部126との連結部分は、上記ベース100の内部空間を封止するシーリング部400が配置される部分となることができ、シーリング機能の極大化のために上記カバー500に備えられる上記シーリング部400との接触面積を増大させるための平坦面を備えなければならない。
【0037】
上記ベース100の規格と関連しては、当該ベース100は、殆どの寸法が規格化されており、特に、ディスクDの外径、対向する外側壁部126間の幅及びディスクDの外径と一定間隔を維持する内側壁部122も規格化されている。
【0038】
なお、上記外側壁部と上記内側壁部とが一体に形成されるように製造することができる従来のダイキャスティング工程によると、当該外側壁部と当該内側壁部との境界である上側壁部が所定の平坦面を備えるように製造することができるため、ベースの内部空間を封止するシーリング部を配置させるのに十分な面の形成が可能となる。
【0039】
しかしながら、本発明によるベース100のように母体となる板状の鋼材、即ち、冷間圧延鋼板(SPCC、SPCE等)、熱間圧延鋼板、ステンレス鋼又はボロン或いはマグネシウム合金等の軽量合金鋼板をプレス金型に配置し所定のプレス圧を加えてベース100を製造する場合は、基本的に均一な厚さを備えるしかない。
【0040】
これにより、上記ベース100の外壁部120には、前述したように国際規格に適するように曲げ工程により上記内側壁部122及び上記外側壁部126が形成される。
【0041】
このように、上記内側壁部122と上記外側壁部126との連結部分は、曲げ工程により丸くなるように形成されるため、当該連結部分の一部に上記ベース100の内部空間を封止するシーリング部400を配置するための空間が狭くなるという問題があった。
【0042】
上記のような問題点を解決するために、本発明によるベース100は、上記外壁部120の厚さを母体となる板状の鋼材の厚さt0より小さくすることにより、上記シーリング部400が配置されるように平坦面を具現することができる。
【0043】
より具体的には、ベース本体110をプレス加工により形成し外側部の一部を加圧して母体となる板状の鋼材の厚さt0より小さくした後、軸方向の上方に折り曲げて内側壁部122を形成し、再び折り曲げて上壁部124を形成し、再び軸方向の下方に折り曲げて外側壁部126を形成する。
【0044】
このように、母体となる板状の鋼材の厚さt0より相対的に小さい厚さt1を有する部分を折り曲げて内側壁部122及び上壁部124を形成することにより、当該上壁部124の上面は、平坦面を備えることができる。
【0045】
ここで、上記外壁部120のうち上記外側壁部126は、上記カバー500と結合される部分であるため、結合強度及び締結手段との結合のために、母体となる板状の鋼材の厚さt0を維持させることもできる。
【0046】
上記外壁部120の具体的な製造工程については、
図4を参照して後述する。以下では、上記外壁部120が形成された後のベース100について説明する。
【0047】
前述したように、上記外壁部120の内側壁部122及び上壁部124は、母体となる板状の鋼材の厚さt0より相対的に小さい厚さt1を維持する状態で上記ベース本体110の端部を軸方向の上方に折り曲げた後に再び外側方向に折り曲げて形成され、規格化された幅を維持する状態で軸方向の下方に再び折り曲げて外側壁部126を形成することができる。
【0048】
このように、上記内側壁部122及び上記上壁部124は、母体となる板状の鋼材の厚さt0より相対的に小さい厚さt1を有する鋼材を折り曲げて形成されるため、対向する外側壁部126間の規格化された幅を維持する状態で、上記上壁部124の上面は、所定の平坦面を備えることができる。
【0049】
上記上壁部124の上面は、平坦であるため、上記ベース本体110の上面と平行にすることができる。
【0050】
但し、上記上壁部124は、曲げ工程により形成されるため、そのコーナーは、所定の曲率半径を備えることができる。
【0051】
上記スピンドルモータ200は、ディスクDを回転させるためのもので、上記ベース本体110の中央部分に固設される。上記ディスクDは、上記スピンドルモータ200に結合されて当該スピンドルモータ200と共に回転されるもので、データが記録される記録面を備えることができる。
【0052】
上記スピンドルモータ200の上端部には、上記ディスクDを上記スピンドルモータ200に堅固に固定させるためのクランプ210がねじ220によって締結されることができる。
【0053】
なお、
図1には、上記スピンドルモータ200に一つのディスクDが取り付けられた構成が示されているが、これは例示に過ぎず、一つ以上のディスクDが取り付けられることができる。
【0054】
このように、複数のディスクDが取り付けられる場合、当該ディスクD間の間隔を維持するための環状のスペーサーが当該ディスクD間に配置されることができる。
【0055】
上記ヘッド駆動部300は、HSA(Head Stack Assembly)と呼ばれ、磁気ヘッドを搭載し当該磁気ヘッドを所定の位置に移動させて上記ディスクD上にデータを記録するか又は上記ディスクDに記録されたデータを読み取る構成であることができる。
【0056】
また、上記ヘッド駆動部300は、コイル310と上側及び下側マグネット320、330とを含むボイスコイルモータ(VCM)によって、磁気ヘッドを上記ディスクDの所定の位置に移動させることができる。
【0057】
上記ボイスコイルモータ(VCM)に提供されるコイル310の上側及び下側に配置される上側及び下側マグネット320、330は、磁束密度の増加及び上記ベース100との固定のために、それぞれ上側及び下側ヨーク340、350と結合されることができる。
【0058】
上記ボイスコイルモータ(VCM)は、サーボ制御システムによって制御され、上記コイル310によって入力される電流と上記上側及び下側マグネット320、330によって形成された磁場の相互作用によってフレミングの左手の法則による方向に上記ヘッド駆動部300をピボット軸を中心に回転させる。
【0059】
本発明によると、上記ハードディスクドライブ600に作動開始命令が入力されると、上記ディスクDが回転し始め、上記ボイスコイルモータ(VCM)は、スイングアームを反時計方向に回転させて磁気ヘッドを上記ディスクDの記録面上に移動させる。
【0060】
逆に、上記ハードディスクドライブ600に作動停止命令が入力されると、上記ボイスコイルモータ(VCM)は、スイングアームを時計方向に回転させて磁気ヘッドを上記ディスクDから外す。
【0061】
上記ディスクDの記録面を外れた磁気ヘッドは、当該ディスクDの外側に設けられたランプ360にパーキングされる。
【0062】
上記ランプ360は、上記磁気ヘッドをパーキングさせると共に、当該磁気ヘッドが上記ディスクDに移動する時に所定の間隔で離隔させることにより、安定的に上記ディスクDのデータを読み取るようにすることができる。
【0063】
上記カバー500は、上記ベース100の内部空間を封止するシーリング部400を備え、上記ベース100の外壁部120と結合して本発明によるハードディスクドライブ600の外観を形成することができる。
【0064】
具体的には、上記カバー500の内側密閉面には、上記シーリング部400が備えられ、上記カバー500は、別途の締結手段によって上記外壁部120の外側壁部126と締結されて上記ベース100の内部空間を封止することができる。
【0065】
図4は、本発明の一実施形態によるモータ用ベースの製造工程を示す概略斜視図である。
【0066】
ここで、
図4は、上記ベース100の外壁部120の製造工程を説明するためのもので、当該ベース100の具体的な特徴は図示されていない。
【0067】
本発明の一実施形態によるベース100は、プレス加工により上記ベース本体110を含む基本的な形が作られることができ、プレス加工の特性上、全体的に均一な厚さt0を有する。
【0068】
まず、上記外壁部120の形成のために、上記ベース本体110の端部、即ち、内側壁部122及び上壁部124が形成される部分を加圧することにより、母体となる板状の鋼材の厚さt0より小さい厚さt1を形成する(
図4(a)参照)。
【0069】
この際、厚さが薄い部分は、上記外壁部120のうち内側壁部122及び上壁部124を構成し、外側壁部126は、カバー500との締結のために母体となる板状の鋼材の厚さt0をそのまま維持させる。
【0070】
その後、上記ベース本体110の端部から軸方向の上方に折り曲げて外壁部120の内側壁部122を形成し、再び外側方向に折り曲げて上壁部124及び外側壁部126を形成するための準備をする(
図4(b)参照)。
【0071】
なお、上述した
図4(a)及び
図4(b)と関連し、内側壁部122及び上壁部124が形成される部分を加圧して母体となる板状の鋼材の厚さt0より小さい厚さt1を形成する工程と、上壁部124及び外側壁部126を形成するための準備工程は、
図4(a')に示されているように一回で行われることもできる。
【0072】
即ち、上記ベース本体110の端部から軸方向の上方に折り曲げて内側壁部122を形成し、再び外側方向に折り曲げて上壁部124及び外側壁部126を形成すると共に、母体となる板状の鋼材の厚さt0より小さい厚さt1を形成することができる。
【0073】
次に、上記上壁部124の端部、即ち、母体となる板状の鋼材の厚さt0より小さい部分の端部から軸方向の下方に折り曲げて上壁部124及び外側壁部126を形成することができる(
図4(c)参照)。
【0074】
上記のような工程を介して、曲げによって形成される外壁部120の内側壁部122と外側壁部126との連結部分の一部に、シーリング部400が配置される平坦面を備える上壁部124を形成させることにより、当該上壁部124と当該シーリング部400との接触効率を最大化することができる。
【0075】
即ち、上記内側壁部122及び上記上壁部124は、母体となる板状の鋼材の厚さt0より小さい厚さt1を維持する状態で曲げ工程により形成されるため、ディスクDの外径、対向する外側壁部126間の幅及び当該ディスクDの外径と一定間隔を維持する内側壁部122が規格化されていても、平坦面を備える上壁部124を具現することができる。
【0076】
したがって、プレス加工によりベース100を製造しても、カバー500に備えられるシーリング部400が上壁部124の上面に堅固に付着されてシーリング機能を向上させることができるため、結果的にはハードディスクドライブ600の性能及び寿命を極大化することができる。
【0077】
なお、上記では、本発明による実施形態を基に本発明の構成及び特徴を説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の思想を逸脱しない範囲内で多様な変更又は変形が可能であることはいうまでもない。また、このような変更又は変形は、本明細書に添付の特許請求の範囲に属する。
本発明の例を下記の各項目として示す。
[項目1]
母体となる板状の鋼材をプレス加工することにより形成されるモータ用ベースであって、
ベース本体と、
前記ベース本体の外周を規定する外壁部と
を含み、
前記外壁部の少なくとも一部は、前記母体となる板状の鋼材より小さい厚さを備え、外部との封止のためのシーリング部との接触面積を増加させるモータ用ベース。
[項目2]
前記外壁部は、
前記ベース本体の端部から折れ曲がって形成される内側壁部と、
前記内側壁部の端部から折れ曲がって形成される上壁部と、
前記上壁部の端部から折れ曲がってカバーに結合される外側壁部と
を含む、項目1に記載のモータ用ベース。
[項目3]
前記内側壁部、前記上壁部及び前記外側壁部の少なくとも一つは、前記母体となる板状の鋼材の厚さより小さい厚さを備える、項目2に記載のモータ用ベース。
[項目4]
前記上壁部の前記シーリング部との接触面は、前記シーリング部が配置されるように平坦面を備える、項目2または3に記載のモータ用ベース。
[項目5]
前記上壁部の前記シーリング部との接触面は、前記ベース本体の前記シーリング部との対向面と平行に形成される、項目2から4の何れか1項に記載のモータ用ベース。
[項目6]
前記上壁部の前記シーリング部との接触面のコーナーは、曲率半径を備える、項目2から5の何れか1項に記載のモータ用ベース。
[項目7]
項目1から6のいずれか一項に記載のモータ用ベースと、
前記モータ用ベースに結合されてディスクを回転させるスピンドルモータと、
前記ディスクのデータを記録及び再生させるための磁気ヘッドを当該ディスクの上の所定の位置に移動させるヘッド駆動部と、
前記モータ用ベースと結合し当該モータ用ベースの内部空間を封止するように前記外壁部に配置されるシーリング部を備えるカバーと
を含む、ハードディスクドライブ。
【符号の説明】
【0078】
100 モータ用ベース
110 ベース本体
120 外壁部
122 内側壁部
124 上壁部
126 外側壁部
200 スピンドルモータ
300 ヘッド駆動部
400 シーリング部
500 カバー
600 ハードディスクドライブ