特許第5733972号(P5733972)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5733972
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】有機電界発光表示装置及びその駆動方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/30 20060101AFI20150521BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20150521BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
   G09G3/30 K
   G09G3/20 641E
   G09G3/20 670J
   G09G3/20 641P
   G09G3/20 631V
   G09G3/20 670Q
   G09G3/20 642A
   H05B33/14 A
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-283104(P2010-283104)
(22)【出願日】2010年12月20日
(65)【公開番号】特開2012-63732(P2012-63732A)
(43)【公開日】2012年3月29日
【審査請求日】2013年11月15日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0089944
(32)【優先日】2010年9月14日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】金 道益
(72)【発明者】
【氏名】柳 在雨
(72)【発明者】
【氏名】安 定根
【審査官】 山崎 仁之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−141302(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0020051(US,A1)
【文献】 特開2005−316382(JP,A)
【文献】 特開2004−354635(JP,A)
【文献】 特開2005−128272(JP,A)
【文献】 特開2001−013903(JP,A)
【文献】 特開2005−283608(JP,A)
【文献】 特開2009−098433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/30
G09G 3/20
H01L 51/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1フレームを複数のサブフレームに分けて駆動する有機電界発光表示装置の駆動方法において、
有機発光ダイオードの劣化が補償できるように、発光時間に対応した互いに異なるビット変更値が複数のルックアップテーブルにそれぞれ格納されるステップと、
前記複数のルックアップテーブルから特定のルックアップテーブルが選択されるステップと、
画素各々の発光時間が格納されるステップと、
前記画素のうちの特定の画素に供給される第1データが入力されたとき、前記特定の画素の発光時間に対応して、前記特定のルックアップテーブルからビット変更値を抽出するステップと、
前記抽出されたビット変更値を用いて前記特定の画素に供給される第1データのビット値を変更して第2データを生成するステップとを含み、
前記特定のルックアップテーブルが選択されるステップは、
パネルのエージング過程時に発光時間に対応した輝度減少率を測定するステップと、
前記複数のルックアップテーブルのうち、前記測定された輝度減少率に最も類似した特性を有する前記特定のルックアップテーブルを選択するステップとを含むことを特徴とする有機電界発光表示装置の駆動方法。
【請求項2】
前記画素の発光時間は、前記第1データを累積加算して測定されることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光表示装置の駆動方法。
【請求項3】
前記ビット変更値は、前記画素の発光時間に対応して、前記第1データに加算するビット値であることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光表示装置の駆動方法。
【請求項4】
前記第1データは、前記有機発光ダイオードが劣化する前の期間において、前記1フレーム期間中の一部期間のみを使用するようにビット値が設定されることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光表示装置の駆動方法。
【請求項5】
前記フレームの使用時間が増加するように、前記第1データのビット値が変更されて前記第2データが生成されることを特徴とする請求項に記載の有機電界発光表示装置の駆動方法。
【請求項6】
1フレームに含まれる複数のサブフィールドの走査期間に走査線に走査信号を供給するための走査駆動部と、
第2データを用いてデータ信号を生成するためのデータ駆動部と、
前記データ信号に対応して発光する画素と、
有機発光ダイオードの劣化が補償されるように、発光時間に対応するビット変更値が格納された複数のルックアップテーブルを具備する劣化補償部と、
外部から供給される第1データを画素ごとに累積加算して累積データを生成し、前記累積データと前記ルックアップテーブルのうちの特定のルックアップテーブルに格納された前記ビット変更値を用いて前記第2データを生成するためのタイミング制御部とを備え、
前記劣化補償部は、
前記複数のルックアップテーブルと、
前記複数のルックアップテーブルのうちの前記特定のルックアップテーブルを前記タイミング制御部に接続させるための選択部とを備え、
前記タイミング制御部は、パネルに形成された前記画素と発光時間に対応する輝度減少率の特性が類似した前記特定のルックアップテーブルが選択されるように、劣化制御信号を前記選択部に供給することを特徴とする有機電界発光表示装置。
【請求項7】
前記タイミング制御部は、
前記画素各々の前記累積データを計算するための制御部と、
前記累積データを格納するためのメモリとを備えることを特徴とする請求項に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記特定の画素に供給される第1データが入力された場合、前記特定の画素の前記累積データを用いて前記特定の画素の発光時間を抽出し、抽出された発光時間に対応する前記ビット変更値を前記特定のルックアップテーブルから抽出して前記第2データを生成することを特徴とする請求項に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1データに前記ビット変更値を加算して前記第2データを生成することを特徴とする請求項に記載の有機電界発光表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光表示装置及びその駆動方法に関し、特に、均一な輝度の映像を表示できるようにした有機電界発光表示装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、陰極線管(Cathode Ray Tube)の欠点である重量と体積を減らすことが可能な各種平板表示装置が開発されている。平板表示装置には、液晶表示装置(Liquid Crystal Display)、電界放出表示装置(Field Emission Display)、プラズマ表示パネル(Plasma Display Panel)、及び有機電界発光表示装置(Organic Light Emitting Display)などがある。
【0003】
平板表示装置のうち、有機電界発光表示装置は、電子と正孔との再結合により光を発生する有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode:OLED)を用いて画像を表示する。このような有機電界発光表示装置は、速い応答速度を有し、かつ、低消費電力で駆動されるという利点がある。
【0004】
図1は、従来の有機電界発光表示装置の画素を示す回路図である。
【0005】
図1に示すように、有機電界発光表示装置の画素4は、有機発光ダイオードOLEDと、データ線Dm及び走査線Snに接続され、有機発光ダイオードOLEDを制御するための画素回路2とを備える。
【0006】
有機発光ダイオードOLEDのアノード電極は画素回路2に接続され、カソード電極は第2電源ELVSSに接続される。この有機発光ダイオードOLEDは、画素回路2から供給される電流に対応して所定輝度の光を生成する。
【0007】
画素回路2は、走査線Snに走査信号が供給されたとき、データ線Dmに供給されるデータ信号に対応して、有機発光ダイオードOLEDに供給される電流量を制御する。このため、画素回路2は、第1電源ELVDDと有機発光ダイオードOLEDとの間に接続された第2トランジスタM2と、第2トランジスタM2、データ線Dm及び走査線Snの間に接続された第1トランジスタM1と、第2トランジスタM2のゲート電極と第1電極との間に接続されたストレージキャパシタCとを備える。
【0008】
第1トランジスタM1のゲート電極は走査線Snに接続され、第1電極はデータ線Dmに接続される。また、第1トランジスタM1の第2電極はストレージキャパシタCの一方の端子に接続される。ここで、第1電極は、ソース電極及びドレイン電極のいずれか1つに設定され、第2電極は、第1電極とは異なる電極に設定される。例えば、第1電極がソース電極に設定されると、第2電極はドレイン電極に設定される。走査線Sn及びデータ線Dmに接続された第1トランジスタM1は、走査線Snから走査信号が供給されたときターンオンされ、データ線Dmから供給されるデータ信号をストレージキャパシタCに供給する。このとき、ストレージキャパシタCは、データ信号に対応する電圧を充電する。
【0009】
第2トランジスタM2のゲート電極はストレージキャパシタCの一方の端子に接続され、第1電極はストレージキャパシタCの他方の端子及び第1電源ELVDDに接続される。また、第2トランジスタM2の第2電極は有機発光ダイオードOLEDのアノード電極に接続される。この第2トランジスタM2は、ストレージキャパシタCに格納された電圧値に対応して、第1電源ELVDDから有機発光ダイオードOLEDを経由して第2電源ELVSSに供給される電流量を制御する。このとき、有機発光ダイオードOLEDは、第2トランジスタM2から供給される電流量に対応する光を生成する。
【0010】
実際に、有機発光表示装置の画素4は、上述した過程を繰り返して所定輝度の画像を表示する。一方、第2トランジスタM2がスイッチとして動作するデジタル駆動では、第1電源ELVDDと第2電源ELVSSが有機発光ダイオードOLEDにそのまま供給され、これにより、有機発光ダイオードOLEDは、定電圧駆動により発光する。このようなデジタル駆動は、第2トランジスタM2の閾値電圧のばらつきに関係なく画像を表示できるという利点がある。
【0011】
しかしながら、デジタル駆動では、有機発光ダイオードOLEDに定電圧が印加されるため、有機発光ダイオードOLEDの劣化が早く、これにより、均一な輝度の映像を表示できない問題が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明の目的は、均一な輝度の映像を表示できるようにした有機電界発光表示装置及びその駆動方法を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の実施例による1フレームを複数のサブフレームに分けて駆動する有機電界発光表示装置の駆動方法において、有機発光ダイオードの劣化が補償できるように、発光時間に対応した互いに異なるビット変更値が複数のルックアップテーブルにそれぞれ格納されるステップと、前記複数のルックアップテーブルから特定のルックアップテーブルが選択されるステップと、画素各々の発光時間が格納されるステップと、前記画素のうちの特定の画素に供給される第1データが入力されたとき、前記特定の画素の発光時間に対応して、前記特定のルックアップテーブルからビット変更値を抽出するステップと、前記抽出されたビット変更値を用いて前記特定の画素に供給される第1データのビット値を変更して第2データを生成するステップとを含む。
【0014】
好ましくは、前記特定のルックアップテーブルが選択されるステップは、パネルのエージング過程時に発光時間に対応した輝度減少率を測定するステップと、前記複数のルックアップテーブルのうち、前記測定された輝度減少率に最も類似した特性を有する前記特定のルックアップテーブルを選択するステップとを含む。前記画素の発光時間は、前記第1データを累積加算して測定される。前記ビット変更値は、前記画素の発光時間に対応して、前記第1データに加算するビット値である。前記第1データは、前記有機発光ダイオードが劣化する前の期間において、前記1フレーム期間中の一部期間のみを使用するようにビット値が設定される。前記フレームの使用時間が増加するように、前記第1データのビット値が変更されて前記第2データが生成される。
【0015】
本発明の実施例による有機電界発光表示装置は、1フレームに含まれる複数のサブフィールドの走査期間に走査線に走査信号を供給するための走査駆動部と、第2データを用いてデータ信号を生成するためのデータ駆動部と、前記データ信号に対応して発光する画素と、有機発光ダイオードの劣化が補償されるように、発光時間に対応するビット変更値が格納された複数のルックアップテーブルを具備する劣化補償部と、外部から供給される第1データを画素ごとに累積加算して累積データを生成し、前記累積データと前記ルックアップテーブルのうちの特定のルックアップテーブルに格納された前記ビット変更値を用いて前記第2データを生成するためのタイミング制御部とを備える。
【0016】
好ましくは、前記劣化補償部は、前記複数のルックアップテーブルと、前記複数のルックアップテーブルのうちの特定のルックアップテーブルを前記タイミング制御部に接続させるための選択部とを備える。前記タイミング制御部は、パネルに形成された前記画素と発光時間に対応する輝度減少率の特性が類似した前記特定のルックアップテーブルが選択されるように、劣化制御信号を前記選択部に供給する。前記タイミング制御部は、前記画素各々の累積データを計算するための制御部と、前記累積データを格納するためのメモリとを備える。前記制御部は、前記特定の画素に供給される第1データが入力された場合、前記特定の画素の累積データを用いて前記特定の画素の発光時間を抽出し、抽出された発光時間に対応する前記ビット変更値を前記特定のルックアップテーブルから抽出して前記第2データを生成する。前記制御部は、前記第1データに前記ビット変更値を加算して前記第2データを生成する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の有機電界発光表示装置及びその駆動方法によれば、有機発光ダイオードの劣化が補償できるように、第1データのビットを変更して第2データを生成する。そして、第2データを用いてデータ信号を生成することにより、有機発光ダイオードの劣化を補償することができる。また、本願発明では、複数のルックアップテーブルを予め格納し、格納されたルックアップテーブルのいずれか1つを選択して第2データを生成する。この場合、有機発光ダイオードの劣化に対応して、変更されるべきビット変更値を生成する過程が省かれるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】従来の有機電界発光表示装置の画素を示す図である。
図2】有機発光ダイオードの輝度特性の実施例を示す図である。
図3】画素の発光時間に対応した輝度を示す図である。
図4(a)】本発明の劣化補償原理を示す図である。
図4(b)】本発明の劣化補償原理を示す図である。
図5】本発明の実施例による有機電界発光表示装置を示す図である。
図6図5における劣化補償部及びタイミング制御部を示す図である。
図7】工程ばらつきに対応した輝度特性を示すグラフの図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を容易に実施できる好ましい実施例を、添付した図2図7を参照して詳細に説明する。
【0020】
図2は、有機発光ダイオードの輝度特性の実施例を示す図である。図2において、X軸は時間を表し、Y軸は輝度を表す。ここで、Y軸の輝度は、初期の輝度を「1」に設定する。
【0021】
図2に示すように、デジタル駆動時に、有機発光ダイオードは、時間の経過とともに劣化し、これにより、輝度が減少する特性が現れる。実際に、約5万時間程度発光した有機発光ダイオードは、初期に比べて約37%程度の輝度で発光する。このように、有機発光ダイオードが劣化すると、所望する輝度の映像を表示できない問題が発生する。
【0022】
図3は、画素の発光時間に対応した輝度を示す図である。
【0023】
図3に示すように、有機発光ダイオードの劣化進行速度は使用時間に比例する。このため、発光の多かった画素に備えられる有機発光ダイオードは、発光の少なかった画素に備えられる有機発光ダイオードに比べて劣化が早く進む。例えば、「B」の画素が多く発光した場合、一定時間後、「B」の画素は、最高階調(例えば、1023階調)の実現時に初期の輝度に比べて0.5の輝度を有する。また、「B」の画素より少なく発光した「A」の画素は、最高階調の実現時に初期の輝度に比べて0.7の輝度を有する。このように、画素「A」、「B」が互いに異なる輝度を発光した場合、均一な輝度の映像を表示できない問題が発生する。
【0024】
このような問題を解決するために、本発明では、劣化した画素の輝度を高めることで補償する。つまり、本発明では、画素から所望する輝度の光が生成されるようにデータのビット値を調整し、有機発光ダイオードの劣化を補償する。ここで、本発明は、デジタル駆動により動作するため、データのビット値が調整されると、1フレームの発光時間が調整される。
【0025】
図4(a)及び図4(b)は、本発明の実施例による劣化補償原理を示す図である。
【0026】
図4(a)に示すように、まず、1フレーム期間をTに設定した場合、初期状態(有機発光ダイオードが劣化していない状態)において、画素は、0.7Tの期間の間発光する。つまり、初期状態において、画素が最高階調で発光した場合、1フレーム期間T中の70%の期間の間発光する。
【0027】
次に、図4(b)のように、画素の各々に備えられる有機発光ダイオードの劣化に対応して画素の発光時間を増加させる。すると、画素の各々に備えられた有機発光ダイオードの劣化が補償され、均一な輝度の画像を表示することができる。例えば、「A」の画素が最高階調で発光した場合、0.8Tの期間の間発光し、「B」の画素が最高階調で発光した場合、0.9Tの期間の間発光するように発光時間を調整することができる。
【0028】
1フレーム期間Tにおいて、画素の発光時間を制御するために、データのビット値が変化する。例えば、初期状態において、最大階調に対応するビット値が「01111111」に設定可能である。また、画素の各々に備えられる有機発光ダイオードの劣化に対応してビット値を増加させると、図4(b)のように、画素各々の発光時間が増加するようになる。
【0029】
図5は、本発明の実施例による有機電界発光表示装置を示す図である。
【0030】
図5に示すように、本発明の実施例による有機電界発光表示装置は、走査線S1〜Sn及びデータ線D1〜Dmに接続する複数の画素40を具備する画素部30と、走査線S1〜Snを駆動するための走査駆動部10と、データ線D1〜Dmを駆動するためのデータ駆動部20と、走査駆動部10及びデータ駆動部20を制御するためのタイミング制御部50と、画素40の各々に備えられた有機発光ダイオードの劣化を補償するための劣化補償部60とを備える。
【0031】
画素40は、外部から第1電源ELVDD及び第2電源ELVSSを受ける。第1電源ELVDD及び第1電源ELVDDより低い電圧に設定される第2電源ELVSSを受けた画素40の各々は、データ信号に対応して、第1電源ELVDDから有機発光ダイオードOLEDを経由して第2電源ELVSSに流れる電流量を制御しながら、所定輝度の光を生成する。
【0032】
走査駆動部10は、1フレームに含まれる複数のサブフレームの走査期間ごとに走査線S1〜Snに走査信号を供給する。走査線S1〜Snに走査信号が供給されると、画素40が水平ライン単位で選択される。
【0033】
データ駆動部20は、走査信号に同期するようにデータ線D1〜Dmにデータ信号を供給する。ここで、データ駆動部20は、データ信号として、画素40が発光する第1データ信号と、画素40が非発光となる第2データ信号とを供給する。すると、サブフレームに含まれる発光期間において、第1データ信号を受信した画素40が所定期間(サブフレーム期間)発光しながら、所定輝度の映像が表示される。
【0034】
タイミング制御部50は、外部から供給される同期信号(図示せず)に対応して、データ駆動制御信号DCS及び走査駆動制御信号SCSを生成する。タイミング制御部50で生成されたデータ駆動制御信号DCSはデータ駆動部20に供給され、走査駆動制御信号SCSは走査駆動部10に供給される。
【0035】
また、タイミング制御部50は、各々の画素40に対応する第1データData1を累積(または加算)して累積データを生成し、生成された累積データをメモリ(図示せず)に格納する。ここで、メモリに格納された累積データは、各画素40ごとの発光時間情報が含まれる。以後、タイミング制御部50は、劣化補償部60及び累積データを参照して、各画素40に備えられた有機発光ダイオードの劣化が補償できるように、第1データData1のビットを変更して第2データData2を生成し、生成された第2データData2をデータ駆動部20に供給する。
【0036】
劣化補償部60には、画素40の発光時間に対応したビット変更値が格納される。ここで、ビット変更値は、発光時間に対応して劣化が補償できるように、変更されるべきビット値を意味する。例えば、劣化補償部60には、1000時間の画素40の発光時間に対応して、「00000001」のビット変更値が格納可能である。タイミング制御部50は、画素40が1000時間発光した場合、現在入力されている第1データData1にビット変更値を加算して第2データData2を生成することができる。
【0037】
一方、劣化補償部60は、輝度特性に対応して、ビット変更値が格納される複数のルックアップテーブル(Lookup Table)(以下、「LUT」という。)を具備し、タイミング制御部50から供給される劣化制御信号ICSに対応して、複数のLUTのいずれか1つのLUTが選択される。これに関する詳細な説明は後述する。
【0038】
図6は、図5における劣化補償部及びタイミング制御部を示す図である。
【0039】
図6に示すように、本発明の実施例による劣化補償部60は、選択部62と、複数のLUT611,612,・・・61iとを備える。
【0040】
LUT611,612,・・・61iの各々には、画素40の発光時間に対応したビット変更値が格納される。ここで、LUT611,612,・・・61iの各々に格納される画素40の発光時間に対応するビット変更値は互いに異なるように設定される。
【0041】
詳細には、発光時間に対応する画素40の輝度減少率は、パネルの工程条件などによって異なるように設定される。例えば、有機発光ダイオードOLEDに印加される電圧、すなわち、工程条件によって有機発光ダイオードOLEDの抵抗が変更された場合、図7のように、画素40の発光時間に対応して輝度変化が異なるように設定される。したがって、本願発明では、複数の工程条件の変化に対応して、複数のLUT611,612,・・・61iを備える。
【0042】
例えば、第1LUT611は、有機発光ダイオードOLEDに印加される電圧が0.1V変化したときの発光時間に対応したビット変更値を格納し、第2LUT612は、有機発光ダイオードOLEDに印加される電圧が0.2V変化したときの発光時間に対応したビット変更値を格納することができる。また、第iLUT61iは、有機発光ダイオードOLEDに印加される電圧が0.5V変化したときの発光時間に対応したビット変更値を格納することができる。
【0043】
選択部62は、タイミング制御部50から劣化制御信号ICSを受信し、劣化制御信号ICSに対応して、複数のLUT611〜612iのいずれか1つのLUT(611〜612iのいずれか1つ)をタイミング制御部50に接続させる。
【0044】
本発明の実施例によるタイミング制御部50は、制御部51と、メモリ52とを備える。実際に、タイミング制御部50には、同期信号を生成するための構成がさらに備えられているが、説明の便宜上、制御部51及びメモリ52のみを示すものとする。
【0045】
制御部51は、外部から供給される第1データData1を累積加算して累積データを生成し、生成された累積データをメモリ52に格納する。そして、制御部51は、選択部62を経由して接続されたLUT(LUT1〜LUTiのいずれか1つ)のビット変更値を用いて第2データData2を生成し、生成された第2データData2をデータ駆動部20に供給する。
【0046】
詳細には、特定の画素40に供給される第1データData1を受信した制御部51は、特定の画素40に対応する累積データを参考にして特定の画素40の発光時間を検出する。特定の画素40の発光時間を検出した制御部51は、LUT(LUT1〜LUTiのいずれか1つ)から発光時間に対応したビット変更値を抽出する。ビット変更値を抽出した制御部51は、ビット変更値と第1データData1を加算して第2データData2を生成し、生成された第2データData2をデータ駆動部20に供給する。
【0047】
一方、制御部51は、劣化制御信号ICSを生成し、生成された劣化制御信号ICSを選択部62に供給する。詳細には、パネルは、工程過程を経た後、所定のエージング(aging)過程を経由する。エージング過程時に、画素40は、所定時間発光状態に設定される。一般的に、エージング過程時に、発光時間に対応した画素40の輝度変化が測定され、このような輝度測定資料は、工程条件などを設定する資料として用いられる。
【0048】
制御部51は、エージング過程時に測定される画素40の輝度特性に対応して劣化制御信号ICSを生成する。詳細には、エージング過程時に測定される画素40の輝度特性(発光時間に対応した輝度減少率)は、制御部51にフィードバックされる。制御部51は、複数のLUT(LUT1〜LUTi)のうち、画素40の輝度特性に類似したLUT(LUT1〜LUTiのいずれか1つ)が選択されるように、劣化制御信号ICSを選択部62に供給する。
【0049】
このような本願発明の有機電界発光表示装置の動作過程を説明すると、まず、制御部51は、エージング過程時に測定される画素40の輝度特性に対応して劣化制御信号ICSを生成し、生成された劣化制御信号ICSを選択部62に供給する。
【0050】
次に、制御部51は、各画素40ごとに第1データData1を累積加算して累積データを生成し、生成された累積データをメモリ52に格納する。また、制御部51は、特定の画素の第1データData1が入力されたとき、メモリ52から特定の画素の発光時間を検出し、検出された発光時間に対応したビット変更値を劣化補償部60から抽出する。ビット変更値を抽出した制御部51は、第1データData1のビット値を変更して第2データData2を生成し、生成された第2データData2をデータ駆動部20に供給する。
【0051】
データ駆動部20は、第2データData2を用いてデータ信号を生成し、生成されたデータ信号を特定の画素に供給する。
【0052】
この場合、特定の画素に供給されたデータ信号は、第2データData2によって生成されるため、すなわち、特定の画素の有機発光ダイオードの劣化が補償されるようにデータ信号が供給されるため、有機発光ダイオードの劣化に関係なく所望する輝度の映像を表示することができる。
【符号の説明】
【0053】
10 走査駆動部
20 データ駆動部
30 画素部
40 画素
50 タイミング制御部
51 制御部
52 メモリ
60 劣化補償部
62 選択部
611,612,・・・61i ルックアップテーブル(LUT)
図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図5
図6
図7