(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示されている電子部品実装装置では、断面T字状のレール部材を使用しているために、下記の三つの問題があった。
第1の問題は、断面T字状のレール部材やガイド部材は高価であるために、電子部品実装装置の製造コストが高くなってしまうという問題である。これらの部材が高価になる理由は、形状が複雑であり、しかも、高い剛性が必要だからである。
【0006】
第2の問題は、前記レール部材とガイド部材とは、剛性が高くなるように形成しなければならないために、重量が重くなるという問題である。特に、ガイド部材が重く形成されると、テープフィーダを持ち運ぶ作業者の負担が大きくなる。
【0007】
第3の問題は、ガイド部材が誤ってレール部材の上に載せられてしまうおそれがあるという問題である。この理由は、テープフィーダを取付けるときに二つのレール部材の間に逆T字状のガイド部材を挿入しなければならず、この作業は煩雑で、操作を誤り易いからである。前記ガイド部材がレール部材の上に載ると、テープフィーダの位置が高くなるから、テープフィーダの前端部に吸着ノズルが衝突するおそれがある。
【0008】
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、低コスト化と軽量化とを図りながら、実装動作を中断させることなく、簡単にかつ正確にフィーダを挿抜できる電子部品実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明に係る電子部品実装装置は、基台と、前記基台上でプリント配線板を搬送するプリント配線板搬送部と、複数のフィーダを有する部品供給部と、前記フィーダから電子部品を前記プリント配線板に移動させる部品移動部とを備え、前記部品供給部は、前記フィーダを長手方向に挿抜できるように構成されているとともに、フィーダが挿抜されるときの移動路を形成する下部ガイドおよび上部ガイドを有し、前記下部ガイドと前記上部ガイドは、前記フィーダが上下方向から挟まれ、かつ長手方向に移動自在に嵌合する形状に形成されているものである。ここでいうフィーダは、テープフィーダ、バルクフィーダおよびスティックフィーダーを含む。
【0010】
本発明は、上記発明において、前記上部ガイドは、前記フィーダの上端部が嵌合する嵌合位置と、前記移動路が上方に開放される退避位置との間で移動可能であることを特徴とするものである。
【0011】
本発明は、上記発明において、前記上部ガイドは、前記フィーダが前記部品供給部に挿入されるときのフィーダの進行方向前側となる一端部を支点にして上方に回動可能に形成され、前記部品供給部は、前記嵌合位置にある前記上部ガイドの回動端部に上方から近接する開閉カバーを備えていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明は、上記発明において、前記フィーダにおける前記上部ガイドに嵌合する嵌合部は、前記フィーダにおける把持用ハンドルとして機能する形状に形成された部分に設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
本発明は、上記発明において、前記フィーダにおける前記下部ガイドに嵌合する嵌合部は、前記フィーダが前記部品供給部に挿入されるときのフィーダの進行方向前側の端部と、前記フィーダの長手方向の中央部とに設けられ、前記フィーダが前記部品供給部に挿入されるときのフィーダの進行方向後側の端部には、テープ用リールを支持するブラケットが設けられ、前記ブラケットは、前記下部ガイドの上に載せられるように形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
本発明は、上記発明において、前記フィーダは、フィーダ支持用台車に挿抜可能に取付けられているとともに、このフィーダ支持用台車を介して前記基台に装着され、前記下部ガイドおよび上部ガイドは、前記フィーダ支持用台車に設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明において、フィーダは、挿抜時に下部ガイドと上部ガイドとによって支えられ、上下方向および左右方向(複数のフィーダが並ぶ方向)への移動が規制される。また、フィーダを移動路内に挿入するためには、下部ガイドと上部ガイドとの両方にフィーダが嵌合しなければならない。このため、フィーダが移動路の外に誤って挿入されるようなことを確実に防ぐことができる。
【0016】
したがって、本発明に係る電子部品実装装置は、実装動作を停止させることなく保全を図りながらフィーダを交換することができるものとなる。
下部ガイドに必要な機能は、フィーダの下方への移動を規制する機能と、左右方向への移動を規制する機能である。上部ガイドに必要な機能は、フィーダの上方への移動を規制する機能と、左右方向への移動を規制する機能である。
【0017】
このため、下部ガイドと上部ガイドは、断面形状が凹形や凸形などの単純な形状に形成することができる。このような下部ガイドと上部ガイドや、これらのガイドに嵌合するフィーダ側の嵌合部は、断面T字状に形成する場合と較べると安価に形成できるし、軽量となるように形成することができる。
したがって、本発明によれば、製造コストを低く抑えるとともに、軽量化を図りながら、フィーダを実装動作を中断させることなく、簡単にかつ正確に挿抜できる電子部品実装装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る電子部品実装装置の一実施の形態を
図1〜
図16によって詳細に説明する。この実施の形態においては、フィーダとしてテープフィーダを用いる場合の一例を示す。
図1に示す電子部品実装装置1は、平面視において長方形状を呈する基台2と、この基台2の長手方向の中央部に設けられたプリント配線板用搬送部3と、基台2の長手方向の両端部に設けられた部品供給部4と、基台2の上方に設けられた部品移動部5とを備えている。この明細書においては、基台2の前記長手方向をY方向といい、この方向とは直交する水平方向であって前記プリント配線板用搬送部3の搬送方向をX方向という。
【0020】
前記プリント配線板用搬送部3は、Y方向に並ぶ2台のコンベア装置6によって構成されている。これらのコンベア装置6は、プリント配線板7をそれぞれX方向に搬送するものである。これらのコンベア装置6の動作は、電子部品実装装置1の制御装置(図示せず)によって制御される。
【0021】
前記部品供給部4には、後述する複数のテープフィーダ11が取付けられている。テープフィーダ11は、詳細は後述するが、
図15に示すように、テープ用リール12から部品収納用テープ13を間欠的に引き出して部品移動部5の吸着位置に送るものである。部品収納用テープ13には、所定の間隔をおいて電子部品14が収納されている。
この実施の形態によるテープフィーダ11は、
図2に示すように、後述するテープフィーダ支持用台車15に挿抜可能に支持され、この台車15を介して前記部品供給部4(基台2)に取付けられている。
【0022】
この実施の形態による前記部品供給部4は、前記テープフィーダ支持用台車15を含めて構成されている。この部品供給部4は、前記テープフィーダ支持用台車15が着脱可能に接続される制御用コネクタ(図示せず)を備えている。このコネクタは、前記テープフィーダ支持用台車15が部品供給部4に取付けられた状態で各テープフィーダ11の制御系を電子部品実装装置1の制御装置に接続するためのものである。
【0023】
テープフィーダ支持用台車15は、
図4に示すように、キャスター15aを有する脚部15bと、この脚部15bの上端部に位置するテープフィーダ用支持台15cと、このテープフィーダ用支持台15cの下方に位置するリール保持部15dなどによって構成されている。テープフィーダ11は、前記支持台15cに挿抜可能に取付けられている。
【0024】
前記部品移動部5は、
図1に示すように、基台2のX方向の両端部上に設けられた一対のYレールユニット16と、これらのYレールユニット16にY方向に移動自在に支持された2台のXレールユニット17と、これらのXレールユニット17,17にそれぞれX方向に移動自在に支持されたヘッドユニット18などによって構成されている。ヘッドユニット18は、複数の吸着ヘッド(図示せず)を備えている。これらの吸着ヘッドは、前記電子部品を吸着ノズルによって吸着する機能と、吸着ノズルを上下方向に移動させる機能と、吸着ノズルを上下方向の軸線を中心として回転させる機能とを有している。この部品移動部5に用いられている各駆動装置の動作は、電子部品実装装置1の制御装置によって制御される。
【0025】
前記テープフィーダ11は、
図3に示すように、Y方向に長く形成されており、Y方向に平行移動させてテープフィーダ支持用台車15に対して挿抜されるものである。以下においては、このテープフィーダ11がテープフィーダ支持用台車15に挿入されるときのテープフィーダ11の進行方向前側の端部(
図3においては左上側の端部)をテープフィーダ11の前端部といい、この端部とは反対側の端部をテープフィーダ11の後端部という。
【0026】
テープフィーダ11の前端部には、2本の第1の位置決めピン21,21と、テープ駆動用回転体22と、第1の下部スライダ23とが設けられている。前記第1の位置決めピン21は、テープフィーダ11の前方に向けて突出している。この第1の位置決めピン21は、
図8に示すように、テープフィーダ支持用台車15の前部支持板24に形成された穴24aに嵌合し、テープフィーダ支持用台車15に対するテープフィーダ11の位置を決める。
【0027】
前記回転体22は、前記テープ13を送るためのもので、図示していないモータによる駆動によって所定の角度ずつ回転する。
前記第1の下部スライダ23は、テープフィーダ11をテープフィーダ支持用台車15に対して取付けまたは取外す際の挿抜時にテープフィーダ11の前部を支えるためのものである。この第1の下部スライダ23は、テープフィーダ11の長手方向に延びるプラスチック製の突条によって構成されている。
【0028】
この第1の下部スライダ23は、
図8に示すように、前記挿抜時に前記台車15の前側下部ガイド25にテープフィーダ11の長手方向に移動自在に嵌合するように形成されている。前記前側下部ガイド25は、
図4および
図6に示すように、Y方向に延びる一対の突条25aによって構成されている。これらの突条25aは、前記第1の下部スライダ23をX方向の両側から挟むように位置付けられている。なお、突条25aは、断面略T字状に形成されているが、テープフィーダ11の上方への移動を規制する必要がないために、プラスチック材料で形成することができる。
【0029】
また、突条25aは、隣接する他のテープフィーダ11の第1の下部スライダ23を保持する前側下部ガイド25としても用いられている。
テープフィーダ11毎の前側下部ガイド25は、予め定めた本数ずつ一体成形によって一体に形成され、テープフィーダ支持用台車15の支持台15cに取付けられている。
【0030】
テープフィーダ11の長手方向の中央部であって下端部には、
図3に示すように、第2の位置決めピン31と、クランプ部材32と、コネクタ33と、第2の下部スライダ34とが設けられている。
第2の位置決めピン31は、前記第1の位置決めピン21と協働してテープフィーダ11の位置決めを行うためのものである。この第2の位置決めピン31は、
図8に示すように、前記支持台15cに設けられた係合部35の穴35aに嵌合するように形成されている。
【0031】
前記クランプ部材32は、テープフィーダ11がテープフィーダ支持用台車15から外れることを規制するためのものである。このクランプ部材32は、
図8に示すように、前記係合部35に圧縮コイルばね36のばね力で押し付けられて係合するように形成されている。また、このクランプ部材32の後端部には、ワイヤ37を介してクランプ解除用ハンドル38(
図3参照)が接続されている。クランプ解除用ハンドル38は、テープフィーダ11の後端部であって上部に上下方向へ揺動自在に支持されており、オペレータ(図示せず)が手で把持して操作できるように構成されている。このクランプ解除用ハンドル38を前記圧縮コイルばね36のばね力に抗して下げることによって、前記クランプ部材32と係合部35との係合が解除される。
【0032】
前記コネクタ33は、テープフィーダ11を電子部品実装装置1に電気的に接続するためのものである。このコネクタ33は、
図8に示すように、テープフィーダ11がテープフィーダ支持用台車15に取付けられることにより前記支持台15c側のコネクタ39に接続される。また、前記コネクタ33は、テープフィーダ11が前記台車15から引き抜かれることによって、前記支持台15c側のコネクタ39から外れる。
【0033】
前記第2の下部スライダ34は、テープフィーダ11の前記挿抜時に前記第1の下部スライダ23と協働してテープフィーダ11の下部を支えるためのものである。この実施の形態においては、この第2の下部スライダ34と、上述した第1の下部スライダ23とによって、請求項5記載の発明でいう「下部ガイドに嵌合する嵌合部」が構成されている。
この第2の下部スライダ34は、テープフィーダ11の長手方向に延びる突条によって構成されている。この第2の下部スライダ34は、テープフィーダ11の電装品用ケース40(
図8参照)に一体に形成されている。
【0034】
また、この第2の下部スライダ34は、
図7および
図9に示すように、テープフィーダ11の前記挿抜時に前記台車15の後側下部ガイド41にテープフィーダ11の長手方向へ移動自在に嵌合するように形成されている。後側下部ガイド41は、
図7および
図10に示すように、前記第2の下部スライダ34をX方向(複数のテープフィーダ11が並ぶ方向)の両側から挟むように位置する一対の突条41aを有し、上方に向けて開放する凹形状に形成されている。
【0035】
これらの突条41aは、
図6および
図7に示すように、隣接する他の突条との間に第2の下部スライダ34が嵌合可能な隙間が形成される状態でテープフィーダ11の数量分だけX方向に並べて設けられている。すなわち、突条41aは、隣接する他のテープフィーダ11の第2の下部スライダ34を保持する後側下部ガイド41としても機能する。
これらの後側下部ガイド41の複数の突条41aは、
図11に示すように、予め定めた本数ずつ一体成形によって一体に形成されている。
図11に示す成形体41Aは、複数形成され、
図6に示すように、X方向に並べられて支持台15cに取付けられている。
【0036】
前記後側下部ガイド41の前後方向の長さは、テープフィーダ11がテープフィーダ支持用台車15上で前進している途中で第2の下部スライダ34が前方に外れるような長さに形成されている。すなわち、後側下部ガイド41の前端部41bは、
図8に示すように、テープフィーダ11がテープフィーダ支持用台車15に装着された状態において、第2の下部スライダ34より後方(
図8において左方)に位置している。
【0037】
この実施の形態による前記支持台15cには、
図6および
図8に示すように、前記後側下部ガイド41よりテープフィーダ11の前側に、補助ガイド42と遊動防止用の押圧子43とが設けられている。補助ガイド41は、テープフィーダ11第2の下部スライダ34をX方向の両側から挟む一対の突条42aを用いて構成されており、上方に向けて開放する凹形状に形成されている。前記押圧子43は、前記一対の突条42aどうしの間に位置し、圧縮コイルばね44のばね力で第2の下部スライダ34を上方に押すように構成されている。
【0038】
テープフィーダ11の後端部、すなわちテープフィーダ11が部品供給部4に挿入されるときのテープフィーダ11の進行方向後側の端部には、
図3に示すように、テープリール支持用のブラケット45が設けられている。この支持用ブラケット45は、
図3に示すように、テープフィーダ11の後部フレーム11aに下方へ突出するように取付けられている。この実施の形態による支持用ブラケット45は、
図8に示すように、第2の下部スライダ34が後側下部ガイド41からテープフィーダ11の前側に外れた状態において、前記後側下部ガイド41の上に載せられるように形成されている。すなわち、この支持用ブラケット45は、実質的に第3の下部スライダを構成している。
【0039】
テープフィーダ11の長手方向の中央部であって上端部には、
図3に示すように、把持用のハンドル51が設けられている。このハンドル51は、オペレータがテープフィーダ11を運搬するときに手で把持するためのものである。このハンドル51の上端部には、テープフィーダ11の挿抜時にテープフィーダ11の上部を支えるため上部スライダ52が設けられている。
【0040】
この上部スライダ52は、
図12に示すように、テープフィーダ11の長手方向に延びる突条を構成するように形成されている。この実施の形態による上部スライダ52は、前記ハンドル51の上端部に一体成形により一体に形成されている。この上部スライダ52は、
図12に示すように、テープフィーダ11の前記挿抜時に後述する上部ガイド53にテープフィーダ11の長手方向へ移動自在に嵌合する。この実施の形態においては、この上部スライダ52によって、請求項4記載の発明でいう「上部ガイドに嵌合する嵌合部」が構成されている。
【0041】
上部ガイド53は、
図7および
図13に示すように、上部スライダ52をX方向の両側から挟むように位置する一対の突条53aを有し、下方に向けて開放する凹形状に形成されている。この上部ガイド53は、テープフィーダ11の上方でX方向に延びる上側支持部材54に取付けられている。
これらの突条53aは、
図6および
図7に示すように、隣接する他の突条53aとの間に上部スライダ52が嵌合可能な隙間が形成される状態でテープフィーダ11の数量分だけX方向に並べて設けられている。すなわち、突条53aは、隣接する他のテープフィーダ11の上部スライダ52を保持する上部ガイド53としても機能する。
【0042】
上部ガイド53を形成する突条53aは、前記後側下部ガイド41の突条41aと同様に、複数本ずつ一体成形によって一体に形成されている。この複数の突条53aを有する成形体は、前記上側支持部材54に固定されている。上部ガイド53は、
図7に示すように、上側支持部材54に支持された状態で前記後側下部ガイド41の鉛直方向上方に位置付けられている。このため、この上部ガイド53と前記後側下部ガイド41との間には、テープフィーダ11が挿抜されるときの移動路55(
図6参照)が形成される。
【0043】
前記上部ガイド53の前後方向の長さは、テープフィーダ11がテープフィーダ支持用台車15上で前進している途中で上部スライダ52が前方に外れるような長さに形成されている。すなわち、上部ガイド53の前端部53bは、
図14に示すように、テープフィーダ11がテープフィーダ支持用台車15に装着された状態において、上部スライダ52より後方(
図14において左方)に位置している。
【0044】
前記上側支持部材54は、
図5および
図6に示すように、前記上部ガイド53が取付けられた支持板56と、この支持板56のX方向の両端部から下方に延びる側板57とを備えている。前記両側板57は、前記支持台15cの上端部に支軸58を介して回動自在に支持されている。上側支持部材54の回動時の軸線方向は、X方向と平行な方向である。前記支軸58は、前記両側板57の前端部を回動自在に支持している。この実施の形態による両側板57の回動端部と前記支持台15cとの間には、緩衝用のガスダンパ59が設けられている。すなわち、上側支持部材54に取付られた前記上部ガイド53は、前記上部スライダ52(テープフィーダ11の上端部)が嵌合する嵌合位置(
図4,6参照)と、前記移動路55が上方に開放される退避位置(
図5参照)との間で移動可能である。上部ガイド53は、
図5に示すように前記退避位置に移動した状態においては、突条53aが上下方向に延びるようになる。
【0045】
嵌合位置に位置している上側支持部材54の近傍には、
図12に示すように、開閉カバー61が設けられている。この開閉カバー61は、
図2に示すように、この電子部品実装装置1の一対のYレールユニット16の間であってテープフィーダー11の上方に形成された開口62を開閉するためのものである。この開閉カバー61の下端部は、
図12に示すように、前記嵌合位置にある前記上部ガイド53の回動端部に上方から近接するように形成されている。
【0046】
次に、上述したように構成された電子部品実装装置1の動作を
図16に示すフローチャートによって説明する。この電子部品実装装置1は、自動運転中にテープフィーダ11において部品切れが発生した場合は、ステップS1〜S2に示すように、オペレータに部品切れを通知する。そして、ステップS3において、電子部品実装装置1は、代替部品の有無を判別する。
【0047】
代替部品がある場合、電子部品実装装置1は、ステップS4に進み、代替部品を使用するようにして自動運転を継続する。オペレータは、この自動運転を継続している途中で部品切れとなったテープフィーダ11を交換し、電子部品14を補充する(ステップS5)。このときにテープフィーダ11を交換するためには、先ず、テープフィーダ11のクランプ解除用ハンドル38を操作してクランプ部材32による係合を解除し、このテープフィーダ11をテープフィーダ支持用台車15から後方に抜き出す。
【0048】
この抜き出し時には、前記第1の下部スライダ23が前側下部ガイド25に嵌合し、第2の下部スライダ34が後側下部ガイド41に嵌合する。また、上部スライダ52が上部ガイド53に嵌合する。このため、テープフィーダ11は、上下方向と左右方向への移動が規制された状態で略水平に引き出される。
【0049】
新しいテープフィーダ11を装着するときは、先ず、第2の下部スライダ34を後側下部ガイド41に嵌合させるとともに、上部スライダ52を上部ガイド53に嵌合させる。そして、この状態でテープフィーダ11を前進させる。テープフィーダ11を前進させているときは、前記各ガイドと各スライダとの嵌合によってテープフィーダ11の上下方向と左右方向(X方向であって複数のテープフィーダ11が並ぶ方向)への移動が規制され、テープフィーダ11が略水平の状態に保たれる。テープフィーダ11は、第1の位置決めピン21が前記前部支持板24に嵌合するとともに第2の位置決めピン31が前記係合部35に嵌合した状態で停止する。この状態でクランプ部材32が係合部35に係合するようになり、テープフィーダ11がテープフィーダ支持用台車15に位置決めされた状態で固定される。
【0050】
このように電子部品14が補充された後は、ステップS6において、補充した電子部品14もプリント配線板7に搭載する。
前記ステップS3で代替部品がないと判別された場合は、電子部品実装装置1は、ステップS7において、他の部品の生産(実装)を行うか否かを判別する。他の部品を生産する場合は、ステップS8に示すように、電子部品実装装置1は、部品切れとなった電子部品14の搭載はスキップして他の電子部品14を搭載し、自動運転を継続する。この自動運転中にオペレータが電子部品14を補充した場合は、ステップS6に進み、補充した電子部品14も搭載する。
【0051】
ステップS7で他の電子部品14を生産しない場合は、ステップS9でエラー動作を行って停止する。その後、オペレータが電子部品14を補充した場合は、ステップS10で運転を再開した後にステップS6に進み、補充した電子部品14を搭載する。
【0052】
上述したように構成された電子部品実装装置1のテープフィーダ11は、テープフィーダ支持用台車15に対して挿抜されるときに前側下部ガイド25、後側下部ガイド41と上部ガイド53とによって支えられ、上下方向および左右方向への移動が規制される。また、テープフィーダ11を前記移動路55内に挿入するためには、後側下部ガイド41と上部ガイド53との両方にテープフィーダ11が嵌合しなければならない。このため、テープフィーダ11が移動路55の外に誤って挿入されるようなことを確実に防ぐことができる。
このため、この実施の形態による電子部品実装装置1は、実装動作を停止させることなく保全を図りながらテープフィーダ11を交換することができるものとなる。
【0053】
前側下部ガイド25と後側下部ガイド41に必要な機能は、テープフィーダ11の下方への移動を規制する機能と、前記左右方向への移動を規制する機能である。上部ガイド53に必要な機能は、テープフィーダ11の上方への移動を規制する機能と、左右方向への移動を規制する機能である。このため、前側下部ガイド25、後側下部ガイド41と上部ガイド53は、この実施の形態で示したような断面形状が凹形や凸形などの単純な形状に形成することができる。
【0054】
このような前側下部ガイド25、後側下部ガイド41および上部ガイド53や、これらのガイドに嵌合するテープフィーダ11側の嵌合部は、テープフィーダ11の上下方向への移動を規制する断面T字状に形成する場合と較べると、安価に形成できるし、軽量となるように形成することができる。
したがって、この実施の形態によれば、製造コストを低く抑えるとともに、軽量化を図りながら、テープフィーダ11を実装動作を中断させることなく、簡単にかつ正確に挿抜できる電子部品実装装置を提供することができる。
【0055】
この実施の形態による電子部品実装装置1の前記上部ガイド53は、前記テープフィーダ11の上端部(上部スライダ52)が嵌合する嵌合位置と、前記移動路55が上方に開放される退避位置との間で移動可能である。このため、上部ガイド53が退避位置に位置している状態においては、嵌合位置にある上部ガイド53より上端部が高く位置するような大型のテープフィーダを取付けることが可能になる。すなわち、この実施の形態によれば、必要に応じて既存の大型のテープフィーダを使用可能な電子部品実装装置を提供することができる。
【0056】
この実施の形態による上部ガイド53の前端部53bは、テープフィーダ11がテープフィーダ支持用台車15に装着された状態において、上部スライダ52より後方に位置している。このため、上側支持部材54を退避位置から嵌合位置に下ろすときに上部ガイド53がテープフィーダ11に当たることがない。したがって、この実施の形態による電子部品実装装置1は、上側支持部材54を嵌合位置に下ろすときにテープフィーダ11を破損させることがないものである。
【0057】
この実施の形態による前記上部ガイド53(上側支持部材54)は、前記テープフィーダ11の前側となる一端部を支点にして上方に回動可能に形成されている。また、前記部品供給部4は、前記嵌合位置にある前記上部ガイド53の回動端部に上方から近接する開閉カバー61を備えている。
このため、開閉カバー61が閉じている状態においては、上部ガイド53の上方への移動が開閉カバー61によって規制される。したがって、この実施の形態による電子部品実装装置1は、実装中に上部ガイド53を不用意に退避位置に移動させてしまうことを未然に防ぐことが可能なものである。
【0058】
この実施の形態による前記テープフィーダ11の上部スライダ52は、テープフィーダ11の把持用ハンドル51に設けられている。このため、専ら上部スライダ52として機能する部材を装備する必要がないから、上部スライダ52を備えているにもかかわらずテープフィーダ11をコンパクトに形成することができる。なお、上部スライダ52は、把持用ハンドル51に設ける他に、図示してはいないが、テープフィーダ11における把持用ハンドルとして機能する形状に形成された部分に設けることができる。
【0059】
この実施の形態による前記テープフィーダ11の下部スライダ(23,34)は、前記テープフィーダ11の前端部と、前記テープフィーダ11の長手方向の中央部とに設けられている。前記テープフィーダ11の後端部には、テープ用リール12を支持するブラケット45が設けられている。このブラケット34は、前記後側下部ガイド41の上に載せられるように形成されている。
前記ブラケット45は、テープフィーダ11を前記移動路55に挿入するときに、前記テープフィーダ11の後端部が下がることを規制する。このため、テープフィーダ11を前記移動路55に挿入しているときにテープフィーダ11の前端部が上がることがないから、この前端部と吸着ノズルとの接触を確実に防ぐことができる。
【0060】
この実施の形態による前記テープフィーダ11は、テープフィーダ支持用台車15に挿抜可能に取付けられているとともに、このテープフィーダ支持用台車15を介して前記基台2に装着されている。また、前記前側下部ガイド25および後側下部ガイド41と上部ガイド53とは、前記テープフィーダ支持用台車15に設けられている。
【0061】
前記前側下部ガイド25および後側下部ガイド41と上部ガイド53とは、テープフィーダ11の上下方向への移動を規制することが可能な断面T字状に形成する場合と較べると、重量が軽いものである。
このため、この実施の形態による電子部品実装装置1に用いるテープフィーダ支持用台車15は、実装中にテープフィーダ11を挿抜できる構成を採っているにもかかわらず、軽く移動できるものとなる。
【0062】
なお、上述した実施の形態において、テープフィーダ支持用台車15を使用してテープフィーダ11が取付けられる電子部品実装装置1を示した。しかし、本発明に係る電子部品実装装置は、このような限定にとらわれることはない。すなわち、本発明は、テープフィーダ11が基台2上のテープフィーダ用支持台に直接取付けられる構造の電子部品実装装置にも適用することができる。
上述した実施の形態においては、フィーダとしてテープフィーダ11を用いる例を示した。しかし、フィーダとしては、図示してはいないが、例えばバルクフィーダやスティックフィーダなどを用いることができる。