【実施例】
【0042】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明を、これら実施例に限定するものでないことはいうまでもない。
【0043】
実施例1
攪拌器、圧力ゲージ、温度計、ガス導入管、ガスパージラインを備えた容量2000mlのSUS製オートクレーブに、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン266.8g、1−アダマンタノール159.9g(1.05mol)、純度95重量%の水酸化カリウム6.40g(0.11mol)を仕込み、攪拌下に約60分間窒素ガスを流し、容器内を窒素にて置換した。次いで、反応容器を密封し、容器内にアセチレンガスを1.8kg/cm
2の圧力で圧入した。次いで、ゲージ圧力を1.8kg/cm
2に保ちながら徐々に昇温し、反応容器内温が121℃を越えてから約1.9時間反応させた。この間、反応容器内温が160℃を越えないように制御し、逐次アセチレンガスを補充して反応容器内の圧力は常に1.8kg/cm
2に保った。反応終了後、残留するアセチレンガスをパージして反応液を採取し、ガスクロ分析を行った結果、1−アダマンタノールの転化率は97.9%であり、1−アダマンチルビニルエーテルの選択率は97.3%であった。吸収されたアセチレンの体積(反応液中への溶解分を含む)は28.0リットルであり、理論量に対して120%であったことから、ビニル化に有効に利用されたアセチレンは81%であった。
【0044】
実施例2
攪拌器、圧力ゲージ、温度計、ガス導入管、ガスパージラインを備えた容量2000mlのSUS製オートクレーブに、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン266.4g、1−アダマンタノール159.7g(1.05mol)、純度98重量%のt−ブトキシカリウム12.4g(0.11mol)を仕込み、攪拌下に約60分間窒素ガスを流し、容器内を窒素にて置換した。次いで、反応容器を密封し、容器内にアセチレンガスを1.8kg/cm
2の圧力で圧入した。次いで、ゲージ圧力を1.8kg/cm
2に保ちながら徐々に昇温し、反応容器内温が133℃を越えてから約4.5時間反応させた。この間、反応容器内温が145℃を越えないように制御し、逐次アセチレンガスを補充して反応容器内の圧力は常に1.8kg/cm
2に保った。反応終了後、残留するアセチレンガスをパージして反応液を採取し、ガスクロ分析を行った結果、1−アダマンタノールの転化率は98.1%であり、1−アダマンチルビニルエーテルの選択率は96.8%であった。吸収されたアセチレンの体積(反応液中への溶解分を含む)は28.7リットルであり、理論量に対して123%であったことから、ビニル化に有効に利用されたアセチレンは79%であった。
【0045】
実施例3
攪拌器、圧力ゲージ、温度計、ガス導入管、ガスパージラインを備えた容量2000mlのSUS製オートクレーブに、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン266.4g、1−アダマンタノール160.3g(1.05mol)、純度98重量%のt−ブトキシカリウム12.4g(0.11mol)を仕込み、攪拌下に約60分間窒素ガスを流し、容器内を窒素にて置換した。次いで、反応容器を密封し、容器内にアセチレンガスを1.8kg/cm
2の圧力で圧入した。次いで、ゲージ圧力を1.8kg/cm
2に保ちながら徐々に昇温し、反応容器内温が158℃を越えてから約1.8時間反応させた。この間、反応容器内温が175℃を越えないように制御し、逐次アセチレンガスを補充して反応容器内の圧力は常に1.8kg/cm
2に保った。反応終了後、残留するアセチレンガスをパージして反応液482.5gを得た。ガスクロ分析の結果、1−アダマンタノールの転化率は99.9%であり、1−アダマンチルビニルエーテルの選択率は97.1%であった。吸収されたアセチレンの体積(反応液中への溶解分を含む)は31.4リットルであり、理論量に対して135%であったことから、ビニル化に有効に利用されたアセチレンは72%であった。
【0046】
実施例4
攪拌器、圧力ゲージ、温度計、ガス導入管、ガスパージラインを備えた容量2000mlのSUS製オートクレーブに、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン478.0g、1−アダマンタノール288.4g(1.88mol)、純度98重量%のt−ブトキシカリウム22.4g(0.20mol)を仕込み、攪拌下に約60分間窒素ガスを流し、容器内を窒素にて置換した。次いで、反応容器を密封し、容器内にアセチレンガスを1.8kg/cm
2の圧力で圧入した。次いで、ゲージ圧力を1.8kg/cm
2に保ちながら徐々に昇温し、反応容器内温が155℃を越えてから約8.5時間反応させた。この間、反応容器内温が165℃を越えないように制御し、逐次アセチレンガスを補充して反応容器内の圧力は常に1.8kg/cm
2に保った。反応終了後、残留するアセチレンガスをパージして反応液874.9gを得た。ガスクロ分析の結果、1−アダマンタノールの転化率は99.8%であり、1−アダマンチルビニルエーテルの選択率は98.3%であった。吸収されたアセチレンの体積(反応液中への溶解分を含む)は70.5リットルであり、理論量に対して168%であったことから、ビニル化に有効に利用されたアセチレンは59%であった。
【0047】
実施例3及び4で得られた反応液を一つにまとめ、減圧蒸留、再沈殿及び再結晶操作による通常の精製を経て、451.4gの乾燥結晶を得た。NMRによる分析の結果、高純度の1−アダマンチルビニルエーテルであった(ガスグロマトグラフィーによる純度99.7%、収率86.7%)。
【0048】
得られた1−アダマンチルビニルエーテルのNMR測定結果を示す。
1H−NMR(CDCl
3、TMS、400MHz):δppm 1.59−1.83(m,12H),2.18(brs,3H),4.02(dd,1H,J=6.2,0.7Hz),4.42(dd,1H,J=13.7,0.7Hz),6.59(dd,1H,J=13.7,6.2Hz)
13C−NMR(CDCl
3、100MHz):δppm 30.6,36.2,41.8,75.3,90.3,145.0
【0049】
実施例5
攪拌器、圧力ゲージ、温度計、ガス導入管、ガスパージラインを備えた容量2000mlのSUS製オートクレーブに、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン345.1g、1−アダマンタノール75.0g(0.49mol)、純度95重量%の水酸化カリウム2.89g(0.05mol)を仕込み、攪拌下に約60分間窒素ガスを流し、容器内を窒素にて置換した。次いで、反応容器を密封し、容器内にアセチレンガスを1.8kg/cm
2の圧力で圧入した。次いで、ゲージ圧力を1.8kg/cm
2に保ちながら徐々に昇温し、反応容器内温が137℃を越えてから約3.7時間反応させた。この間、反応容器内温が146℃を越えないように制御し、逐次アセチレンガスを補充して反応容器内の圧力は常に1.8kg/cm
2に保った。反応終了後、残留するアセチレンガスをパージして反応液を採取し、ガスクロ分析を行った結果、1−アダマンタノールの転化率は56.8%であり、1−アダマンチルビニルエーテルの選択率は55.9%であった。吸収されたアセチレンの体積(反応液中への溶解分を含む)は13.0リットルであり、理論量に対して119%であったことから、ビニル化に有効に利用されたアセチレンは47%であった。
【0050】
実施例6
攪拌器、圧力ゲージ、温度計、ガス導入管、ガスパージラインを備えた容量2000mlのSUS製オートクレーブに、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン376.7g、1−アダマンタノール250.5g(1.65mol)、純度95重量%の水酸化カリウム11.1g(0.19mol)を仕込み、攪拌下に約60分間窒素ガスを流し、容器内を窒素にて置換した。次いで、昇温しながら反応容器内の雰囲気を窒素ガスからアセチレンガスに切り替え、容器内温が147℃に達してから流速0.3ml/分にて、大気圧下にアセチレンガスを通気した。この時点を起点として、約62時間反応させた。尚この間、反応速度の低下を防ぐために、途中で水酸化カリウム11.8g(0.20mol)を追加し、反応容器内温が160℃を越えないように制御した。反応終了後、残留するアセチレンガスをパージして反応液686.2gを得た。ガスクロ分析の結果、1−アダマンタノールの転化率は97.2%であり、1−アダマンチルビニルエーテルの選択率は97.1%であった。実施例6において、通気したアセチレンの総量は1107Lであったが、所望により、未反応のアセチレンを再び反応槽に循環させる方法をとることで、有効にアセチレンを再利用し正味の消費量を抑制することも出来る。
【0051】
実施例7
攪拌器、圧力ゲージ、温度計、ガス導入管、ガスパージラインを備えた容量2000mlのSUS製オートクレーブに、1,3−ジメチルテトラヒドロピリミジ−2−オン265.3g、1−アダマンタノール161.1g(1.06mol)、純度95重量%の水酸化カリウム6.37g(0.11mol)を仕込み、攪拌下に約60分間窒素ガスを流し、容器内を窒素にて置換した。次いで、反応容器を密封し、容器内にアセチレンガスを1.8kg/cm
2の圧力で圧入した。次いで、ゲージ圧力を1.8kg/cm
2に保ちながら徐々に昇温し、反応容器内温が132℃を越えてから約6.8時間反応させた。この間、反応容器内温が146℃を越えないように制御し、逐次アセチレンガスを補充して反応容器内の圧力は常に1.8kg/cm
2に保った。反応を停止後、残留するアセチレンガスをパージして反応液を採取し、ガスクロ分析を行った結果、1−アダマンタノールの転化率は50.0%であり、1−アダマンチルビニルエーテルの選択率は49.7%であった。吸収されたアセチレンの体積(反応液中への溶解分を含む)は17.7リットルであり、理論量に対して75%であったことから、ビニル化に有効に利用されたアセチレンは66%であった。
【0052】
実施例8
攪拌器、圧力ゲージ、温度計、ガス導入管、ガスパージラインを備えた容量2000mlのSUS製オートクレーブに、トリエチレングリコールジメチルエーテル266.8g、1−アダマンタノール155.8g(1.02mol)、純度95重量%の水酸化カリウム6.39g(0.11mol)を仕込み、攪拌下に約60分間窒素ガスを流し、容器内を窒素にて置換した。次いで、反応容器を密封し、容器内にアセチレンガスを1.8kg/cm
2の圧力で圧入した。次いで、ゲージ圧力を1.8kg/cm
2に保ちながら徐々に昇温し、反応容器内温が137℃を越えてから約19.2時間反応させた。この間、反応容器内温が170℃を越えないように制御し、逐次アセチレンガスを補充して反応容器内の圧力は常に1.8kg/cm
2に保った。反応終了後、残留するアセチレンガスをパージして反応液を採取し、ガスクロ分析を行った結果、1−アダマンタノールの転化率は77.5%であり、1−アダマンチルビニルエーテルの選択率は77.1%であった。吸収されたアセチレンの体積(反応液中への溶解分を含む)は23.3リットルであり、理論量に対して103%であったことから、ビニル化に有効に利用されたアセチレンは75%であった。
【0053】
実施例9
攪拌器、圧力ゲージ、温度計、ガス導入管、ガスパージラインを備えた容量2000mlのSUS製オートクレーブに、テトラエチレングリコールジメチルエーテル265.5g、1−アダマンタノール160.1g(1.05mol)、純度95重量%の水酸化カリウム6.39g(0.11mol)を仕込み、攪拌下に約60分間窒素ガスを流し、容器内を窒素にて置換した。次いで、反応容器を密封し、容器内にアセチレンガスを1.8kg/cm
2の圧力で圧入した。次いで、ゲージ圧力を1.8kg/cm
2に保ちながら徐々に昇温し、反応容器内温が137℃を越えてから約13.3時間反応させた。この間、反応容器内温が146℃を越えないように制御し、逐次アセチレンガスを補充して反応容器内の圧力は常に1.8kg/cm
2に保った。反応を停止後、残留するアセチレンガスをパージして反応液を採取し、ガスクロ分析を行った結果、1−アダマンタノールの転化率は37.4%であり、1−アダマンチルビニルエーテルの選択率は36.8%であった。吸収されたアセチレンの体積(反応液中への溶解分を含む)は13.3リットルであり、理論量に対して57%であったことから、ビニル化に有効に利用されたアセチレンは65%であった。
【0054】
実施例10
攪拌器、圧力ゲージ、温度計、ガス導入管、ガスパージラインを備えた容量2000mlのSUS製オートクレーブに、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン395.8g、1−アダマンタノール25.1g(0.16mol)、純度95重量%の水酸化カリウム0.98g(0.02mol)を仕込み、攪拌下に約60分間窒素ガスを流し、容器内を窒素にて置換した。次いで、反応容器を密封し、容器内にアセチレンガスを1.8kg/cm
2の圧力で圧入した。次いで、ゲージ圧力を1.8kg/cm
2に保ちながら徐々に昇温し、反応容器内温が137℃を越えてから約4.3時間反応させた。この間、反応容器内温が147℃を越えないように制御し、逐次アセチレンガスを補充して反応容器内の圧力は常に1.8kg/cm
2に保った。反応終了後、残留するアセチレンガスをパージして反応液を採取し、ガスクロ分析を行った結果、1−アダマンタノールの転化率は27.8%であり、1−アダマンチルビニルエーテルの選択率は27.1%であった。吸収されたアセチレンの体積(反応液中への溶解分を含む)は3.6リットルであり、理論量に対して98%であったことから、ビニル化に有効に利用されたアセチレンは28%であった。
【0055】
実施例11
攪拌器、圧力ゲージ、温度計、ガス導入管、ガスパージラインを備えた容量2000mlのSUS製オートクレーブに、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン260.7g、1−メチルシクロヘキサノール80.5g(純度96%、0.68mol)、純度95重量%の水酸化カリウム20.5g(0.35mol)を仕込み、攪拌下に約60分間窒素ガスを流し、容器内を窒素にて置換した。次いで、反応容器を密封し、容器内にアセチレンガスを1.8kg/cm
2の圧力で圧入した。次いで、ゲージ圧力を1.8kg/cm
2に保ちながら徐々に昇温し、反応容器内温が130℃を越えてから約9.4時間反応させた。この間、反応容器内温が145℃を越えないように制御し、逐次アセチレンガスを補充して反応容器内の圧力は常に1.8kg/cm
2に保った。反応を停止後、残留するアセチレンガスをパージして反応液を採取し、ガスクロ分析を行った結果、1−メチルシクロヘキサノールの転化率は30.5%であり、1−メチルシクロヘキシルビニルエーテルの選択率は29.4%であった。吸収されたアセチレンの体積(反応液中への溶解分を含む)は5.9リットルであり、理論量に対して39%であったことから、ビニル化に有効に利用されたアセチレンは76%であった。
【0056】
実施例11で得られた反応液の一部(反応液全量に対して38.9%)を分取し、反応溶媒を水洗除去後、大気圧下に蒸留し、165℃で留出した留分3.0gを集めた。NMRによる分析の結果、下記式(7)で示される1−メチルシクロヘキシルビニルエーテルであった。
【0057】
得られた1−メチルシクロヘキシルビニルエーテルのNMR測定結果を示す。
1H−NMR(CDCl
3、TMS、400MHz):δppm 1.21(s,3H;d),1.24−1.78(m,10H;e,f,g),4.03(dd,1H,J=6.2,0.3Hz;Ha
1),4.43(dd,1H,J=13.8,0.4Hz;Ha
2),6.44(dd,1H,J=13.7,6.2Hz;Hb)
13C−NMR(CDCl
3、100MHz):δppm 21.0(f),24.5(g),24.6(d),35.9(e),75.9(c),89.9(a),144.8(b)
【0058】
実施例12
攪拌器、圧力ゲージ、温度計、ガス導入管、ガスパージラインを備えた容量2000mlのSUS製オートクレーブに、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン337.2g、1−メチルシクロヘキサノール13.8g(純度96%、0.12mol)、純度95重量%の水酸化カリウム3.6g(0.06mol)を仕込み、攪拌下に約60分間窒素ガスを流し、容器内を窒素にて置換した。次いで、反応容器を密封し、容器内にアセチレンガスを1.8kg/cm
2の圧力で圧入した。次いで、ゲージ圧力を1.8kg/cm
2に保ちながら徐々に昇温し、反応容器内温が130℃を越えてから約0.9時間反応させた。この間、反応容器内温が145℃を越えないように制御し、逐次アセチレンガスを補充して反応容器内の圧力は常に1.8kg/cm
2に保った。反応を停止後、残留するアセチレンガスをパージして反応液を採取し、ガスクロ分析を行った結果、1−メチルシクロヘキサノールの転化率は8.3%であり、1−メチルシクロヘキシルビニルエーテルの選択率は8.3%であった。吸収されたアセチレンの体積(反応液中への溶解分を含む)は1.1リットルであり、理論量に対して42%であったことから、ビニル化に有効に利用されたアセチレンは20%であった。
【0059】
実施例13
攪拌器、圧力ゲージ、温度計、ガス導入管、ガスパージラインを備えた容量2000mlのSUS製オートクレーブに、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン266.8g、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール160.2g(純度99%、1.08mol)、純度95重量%の水酸化カリウム29.3g(0.50mol)を仕込み、攪拌下に約60分間窒素ガスを流し、容器内を窒素にて置換した。次いで、反応容器を密封し、容器内にアセチレンガスを1.8kg/cm
2の圧力で圧入した。次いで、ゲージ圧力を1.8kg/cm
2に保ちながら徐々に昇温し、反応容器内温が150℃を越えてから約11.7時間反応させた。この間、反応容器内温が161℃を越えないように制御し、逐次アセチレンガスを補充して反応容器内の圧力は常に1.8kg/cm
2に保った。反応を停止後、残留するアセチレンガスをパージして反応液を採取し、ガスクロ分析を行った結果、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールの転化率は62.7%であり、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールモノビニルエーテルの選択率は38.9%、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールジビニルエーテルの選択率は4.2%であった。吸収されたアセチレンの体積(反応液中への溶解分を含む)は34.1リットルであり、理論量に対して70%であったことから、ビニル化に有効に利用されたアセチレンは61%であった。
【0060】
実施例14
攪拌器、圧力ゲージ、温度計、ガス導入管、ガスパージラインを備えた容量2000mlのSUS製オートクレーブに、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン401.2g、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール45.0g(純度99%、0.30mol)、純度95重量%の水酸化カリウム8.1g(0.14mol)を仕込み、攪拌下に約60分間窒素ガスを流し、容器内を窒素にて置換した。次いで、反応容器を密封し、容器内にアセチレンガスを1.8kg/cm
2の圧力で圧入した。次いで、ゲージ圧力を1.8kg/cm
2に保ちながら徐々に昇温し、反応容器内温が150℃を越えてから約1.7時間反応させた。この間、反応容器内温が161℃を越えないように制御し、逐次アセチレンガスを補充して反応容器内の圧力は常に1.8kg/cm
2に保った。反応を停止後、残留するアセチレンガスをパージして反応液を採取し、ガスクロ分析を行った結果、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールの転化率は59.4%であり、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールモノビニルエーテルの選択率は14.8%、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールジビニルエーテルの選択率は2.7%であった。吸収されたアセチレンの体積(反応液中への溶解分を含む)は10.0リットルであり、理論量に対して73%であったことから、ビニル化に有効に利用されたアセチレンは24%であった。
【0061】
比較例1
攪拌器、圧力ゲージ、温度計、ガス導入管、ガスパージラインを備えた容量2000mlのSUS製オートクレーブに、N−メチル−2−ピロリドン266.6g、1−アダマンタノール160.3g(1.05mol)、純度95重量%の水酸化カリウム6.38g(0.11mol)を仕込み、攪拌下に約60分間窒素ガスを流し、容器内を窒素にて置換した。次いで、反応容器を密封し、容器内にアセチレンガスを1.8kg/cm
2の圧力で圧入した。次いで、ゲージ圧力を1.8kg/cm
2に保ちながら徐々に昇温し、反応容器内温が136℃を越えてから約4.0時間反応させた。この間、反応容器内温が143℃を越えないように制御し、逐次アセチレンガスを補充して反応容器内の圧力は常に1.8kg/cm
2に保った。反応を停止後、残留するアセチレンガスをパージして反応液を採取し、ガスクロ分析を行った結果、1−アダマンタノールの転化率は1.3%であり、1−アダマンチルビニルエーテルの選択率は0.8%であった。吸収されたアセチレンの体積(反応液中への溶解分を含む)は2.3リットルであり、理論量に対して10%であったことから、ビニル化に有効に利用されたアセチレンは8%であった。
【0062】
比較例2
攪拌器、圧力ゲージ、温度計、ガス導入管、ガスパージラインを備えた容量2000mlのSUS製オートクレーブに、ジメチルスルホキシド267.8g、1−アダマンタノール159.9g(1.05mol)、純度95重量%の水酸化カリウム6.35g(0.11mol)を仕込み、攪拌下に約60分間窒素ガスを流し、容器内を窒素にて置換した。次いで、反応容器を密封し、容器内にアセチレンガスを1.8kg/cm
2の圧力で圧入した。次いで、ゲージ圧力を1.8kg/cm
2に保ちながら徐々に昇温し、反応容器内温が118℃を越えてから約5時間反応させた。この間、反応容器内温が165℃を越えないように制御し、逐次アセチレンガスを補充して反応容器内の圧力は常に1.8kg/cm
2に保った。反応を停止後、残留するアセチレンガスをパージして反応液を採取し、ガスクロ分析を行った結果、1−アダマンタノールの転化率は11.3%であり、1−アダマンチルビニルエーテルの選択率は10.9%であった。吸収されたアセチレンの体積(反応液中への溶解分を含む)は13.8リットルであり、理論量に対して59%であったことから、ビニル化に有効に利用されたアセチレンは18%であった。
【0063】
【表1】
【0064】
上記表1の比較例2の結果から明らかなように、従来のアルコールとアセチレンの反応において、多くの刊行物中に代表的に記載されているジメチルスルホキシドを使用した場合には、消費したアセチレンの量に対して十分なアルコールの転化が得られず、効率的でない。また比較例1の結果より、N−メチル−2−ピロリドンを使用した場合には、同様にアルコールの転化が十分でなく、更に低アセチレン圧下においては有意なアセチレンの吸収を示さない。
【0065】
一方、本発明のビニルエーテルの製造方法を用いた実施例1〜14では、反応性の低い第3級アルコールを、低アセチレン圧下で、短時間かつ効率的にビニル化することができ、高純度のビニルエーテルを得ることができる。