(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5734404
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】ブラインド内蔵サッシのスラット操作機構
(51)【国際特許分類】
E06B 9/322 20060101AFI20150528BHJP
E06B 9/264 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
E06B9/322
E06B9/264 A
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-262287(P2013-262287)
(22)【出願日】2013年12月19日
【審査請求日】2013年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101776
【氏名又は名称】アルメタックス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 茂紀
(72)【発明者】
【氏名】藤井 哲也
(72)【発明者】
【氏名】高木 浩二
(72)【発明者】
【氏名】横山 匡芳
【審査官】
佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−222920(JP,A)
【文献】
特開2010−222924(JP,A)
【文献】
特開2005−188067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/264
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁の窓開口部に設置されるサッシ枠と、
前記サッシ枠の枠内に取り付けられて屋外側に開放される障子と、
前記障子よりも屋内側の位置で前記サッシ枠の枠内に取り付けられる網戸と、を備え、
前記障子は、外障子と内障子とが互いに離間した状態に組み付けられる二重構造をなし、
前記外障子と前記内障子との間に、複数枚のスラットを有するブラインドが、スラット調整手段とともに収容されてなるブラインド内蔵サッシにおいて、
前記サッシ枠の一部に、前記網戸よりも屋内側から操作可能な駆動手段が設けられ、
前記障子の一部に、該障子を閉じた状態で前記駆動手段に係合する従動手段が設けられ、
屋内側からの操作による前記駆動手段の動作が、前記係合箇所を経由して従動手段に伝達され、
前記従動手段の動作が、前記障子に設けられた連系手段を介して前記スラット調整手段に伝達されるように構成されたことを特徴とするブラインド内蔵サッシのスラット操作機構。
【請求項2】
請求項1に記載のブラインド内蔵サッシのスラット操作機構において、
前記サッシ枠の一辺を構成する枠材に、操作ボックスが、前記サッシ枠の枠内に張り出すようにして取り付けられるとともに、
前記網戸が、前記操作ボックスと略同一面をなすようにして、前記サッシ枠の枠内に取り付けられ、
前記操作ボックスに前記駆動手段が設けられたことを特徴とするブラインド内蔵サッシのスラット操作機構。
【請求項3】
請求項1または2に記載のブラインド内蔵サッシのスラット操作機構において、
前記サッシ枠の下辺を構成する下枠材に操作ボックスが取り付けられて、
前記操作ボックスに前記駆動手段が設けられる一方、
前記障子の下辺を構成する下框に前記従動手段が設けられ、
前記障子の上辺を構成する上框に、前記ブラインドのスラット調整手段を内蔵したヘッドボックスが取り付けられ、
前記障子の片側縦辺を構成する縦框に沿って、前記連系手段が配設されたことを特徴とするブラインド内蔵サッシのスラット操作機構。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のブラインド内蔵サッシのスラット操作機構において、
前記駆動手段は、前記サッシ枠の屋内外方向に軸心を向けて配置された駆動軸部材を具備し、
前記従動手段は、前記障子の屋内外方向に軸心を向けて配置された従動軸部材を具備し、
前記障子を閉じた状態で、前記駆動軸部材と前記従動軸部材とが同軸状に継手係合され、
前記駆動軸部材の回転動作が前記従動軸部材の回転動作に伝達されることを特徴とするブラインド内蔵サッシのスラット操作機構。
【請求項5】
請求項4に記載のブラインド内蔵サッシのスラット操作機構において、
前記駆動手段は、前記サッシ枠の屋内側見付面と平行な面内で所定範囲を摺動しうるように設けられた操作具と、
前記操作具の摺動動作を前記駆動軸部材の回転動作に変換するラック・アンド・ピニオンと、を具備することを特徴とするブラインド内蔵サッシのスラット操作機構。
【請求項6】
請求項4に記載のブラインド内蔵サッシのスラット操作機構において、
前記駆動手段は、前記サッシ枠の屋内側見付面と平行な面内で所定範囲を回転しうるように設けられた操作具を具備し、
前記駆動軸部材が前記操作具の回転軸と同軸状に結合されて、前記操作具と一体的に回転することを特徴とするブラインド内蔵サッシのスラット操作機構。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか1項に記載のブラインド内蔵サッシのスラット操作機構において、
前記連系手段は、前記従動軸部材の回転動作が、前記従動軸部材に直接または間接的に連結されたベルト車を介して、前記スラット調整手段に伝達されるものであることを特徴とするブラインド内蔵サッシのスラット操作機構。
【請求項8】
請求項4〜6のいずれか1項に記載のブラインド内蔵サッシのスラット操作機構において、
前記連系手段は、前記従動軸部材の回転動作が、前記従動軸部材に同軸状に連結されたフレキシブルワイヤを介して、前記スラット調整手段に伝達されるものであることを特徴とするブラインド内蔵サッシのスラット操作機構。
【請求項9】
請求項4〜6のいずれか1項に記載のブラインド内蔵サッシのスラット操作機構において、
前記連系手段は、前記従動軸部材の回転動作が、複数個の歯車と、軸回りに回転可能な連系ロッドとを組み合わせて構成される連系装置を介して、前記スラット調整手段に伝達されるものであることを特徴とするブラインド内蔵サッシのスラット操作機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉可能な障子に複数枚の窓ガラスが互いに離間して取り付けられ、それら窓ガラスの間にブラインドが組み込まれてなるブラインド内蔵サッシにおいて、ブラインドのスラットを屋内側から操作するためのスラット操作機構に関する。
【背景技術】
【0002】
窓開口部における断熱性、気密性、防音性等を高めるための建具として、窓枠に内外二重のガラス障子を開閉可能に建て込んだ二重ガラスサッシが公知である。この種の二重ガラスサッシにおいては、遮光や採光調節のために、しばしば内外のガラス障子の間にブラインドが取り付けられる。
【0003】
図15〜
図17は、本出願人が特許文献1、2等において開示しているブラインド内蔵型の二重ガラスサッシ(以下、「ブラインド内蔵サッシ」と呼ぶ。)9の概略的構成を示す。このブラインド内蔵サッシ9は、建物外壁の開口部に取り付けられたサッシ枠(窓枠)92の枠内に、ブラインド96を内蔵した障子93が、屋外側に縦(竪)すべり出し方式で開閉するように取り付けられたものである。障子93を開閉するためのオペレータハンドル912が、サッシ枠92の下枠材925の屋内側に設置されており、このオペレータハンドル912を開放側に操作すると、障子93の下框935に連結されたステー914が屋外側に迫り出して、障子93の戸先部分が屋外側へと開放される。
【0004】
障子93は、外障子94と内障子95とが互いに離間して対向するように組み付けられている。外障子94は、アルミ押出型材からなる外障子框体941に複層ガラス940を嵌め込んで構成され、内障子95は、アルミ押出型材からなる内障子框体951に単板ガラス950を嵌め込んで構成され、外障子框体941と内障子框体951とがヒンジ金物等を介して互いに接離可能に連結されている。
【0005】
ブラインド96は、内障子95の上框952に添設されたヘッドボックス962から、2本の昇降コード963および2組のラダーコード964を介して、外障子94と内障子95との間に形成された空間に吊持されている。昇降コード963は、ヘッドボックス962の内部から内障子95の上角部へ引き回され、さらに、内障子95の片側の縦框955の内部を経由して下方へと延長され、該縦框955の屋内側見付面に設けられた昇降用スライダ965に接続されている。また、ラダーコード964は、ヘッドボックス962の内部に収容されたスラット吊下ロッド967に係着されている。スラット吊下ロッド967の端部には伝動コード968が懸装され、その伝動コード968が内障子95の片側の縦框955の内部を経由して下方へと引き回され、該縦框955の屋内側見付面に設けられたスラット調整ツマミ969に接続されている。そして、これら昇降用スライダ965やスラット調整ツマミ969を屋内側から手動で操作することにより、障子93の開閉状態にかかわらず、昇降コード963やラダーコード964を動かして、障子93に内蔵されたブラインド96のスラット960を昇降させたり、スラット960の傾斜角度を調整したりすることができる。
【0006】
なお、障子に内蔵されたブラインドの操作機構としては、例えば特許文献3に開示されているように、ブラインドのヘッドボックス内に組み込まれた被駆動機構を、マグネットを用いてガラス越しに駆動するようにした構成も公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−222920号公報
【特許文献2】特開2010−222924号公報
【特許文献3】特開2005−188067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記従来のブラインド内蔵サッシにおいて、防虫のためにサッシ枠に網戸を取り付けようとすると、当然ながら、その網戸は障子よりも屋内側に配置されてサッシ枠の開口面を塞ぐことになる。すると、屋内側からは障子に設けられた昇降用スライダやスラット調整ツマミに直接、触れられなくなって、障子に内蔵されたブラインドの操作ができなくなってしまう。
【0009】
この問題を解決するには、網戸をサッシ枠に対して着脱式にするか、または網戸が屋内側に開閉されるようにして、ブラインドを操作する都度、網戸を着脱あるいは開閉することが考えられる。(前述した特許文献1、2においても、ブラインド内蔵サッシの実施形態を示す図面中に網戸が記載されているが、その網戸は、ブラインド操作の都度、着脱されることを想定したものである。)
しかしながら、ブラインドを操作する度に、いちいち網戸を動かすのは甚だ不便であるし、サッシ枠や網戸の構造も複雑になってしまう。本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、サッシ枠に網戸が取り付けられていても、網戸を動かすことなく、障子に内蔵されたブラインドのスラットを屋内側から操作することのできるブラインドのスラット操作機構を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明が適用されるのは、壁の窓開口部に設置されるサッシ枠と、前記サッシ枠の枠内に取り付けられて屋外側に開放される障子と、前記障子よりも屋内側の位置で前記サッシ枠の枠内に取り付けられる網戸と、を備え、前記障子は、外障子と内障子とが互いに離間した状態に組み付けられる二重構造をなし、前記外障子と前記内障子との間に、複数枚のスラットを有するブラインドが、スラット調整手段とともに収容されてなるブラインド内蔵サッシである。
【0011】
本発明における障子の開閉方式については、主として縦すべり出し方式や開き方式(片開きまたは両開き)を想定している。ただし、障子を開く際に、障子全体が障子を閉じた位置よりもいくらか屋外側に移動する(障子を開く際に、障子の一部が障子を閉じた位置よりも屋内側に迫り出さない)方式であるならば、必ずしも前記方式に限定されるものではなく、例えば横引き、突き出し、横すべり出し、上げ下げ等の開閉方式と組み合わせたものであってもよい。
【0012】
また、本発明におけるブラインドについては、細帯状のスラットをラダーコードで繋いで上下方向に昇降させる一般的な横型のベネチアンブラインドを想定しているが、内外二重構造の障子に組み込まれて、スラットあるいはこれに準じた遮光部材を動かして調整することができるならば、これに限らず、例えば縦型のブラインドや、ブラインドに類する他の遮光装置等も採用可能である。また、スラット調整手段は、スラットの傾斜角度を変化させるための機械的手段であり、ブラインドの基本的構造に応じて適宜、設定される。
【0013】
そして、そのようなブラインド内蔵サッシのためのスラット操作機構として本発明が採用した構成は、前記サッシ枠の一部に、前記網戸よりも屋内側から操作可能な駆動手段が設けられ、前記障子の一部に、該障子を閉じた状態で前記駆動手段に係合する従動手段が設けられ、屋内側からの操作による前記駆動手段の動作が、前記係合箇所を経由して従動手段に伝達され、前記従動手段の動作が、前記障子に設けられた連系手段を介して前記スラット調整手段に伝達されるものとして特徴づけられる。
【0014】
この構成によれば、屋内側から駆動手段を操作すると、その動作が障子に設けられた従動手段へと網戸越しに伝達され、さらに適宜の連系手段を介してスラット調整手段に伝達されることになるので、障子を閉じた状態でも、屋内側からのスラット調整操作が可能になる。
【0015】
さらに、本発明は、前記スラット操作機構において、前記サッシ枠の一辺を構成する枠材に、操作ボックスが、前記サッシ枠の枠内に張り出すようにして取り付けられるとともに、前記網戸が、前記操作ボックスと略同一面をなすようにして、前記サッシ枠の枠内に取り付けられ、前記操作ボックスに前記駆動手段が設けられた構成を採用する。
【0016】
この構成は、屋内側からサッシ枠や障子の見付面がほとんど見えなくなるようにして、極力、大きな開口面積を確保するように構成した、いわゆるフレームレスタイプのサッシ枠に、駆動手段を組み付けるためものである。サッシ枠の一辺または一部に、網戸と同程度の厚さを有する操作ボックスを付設して、その操作ボックスに駆動手段を組み付ければ、サッシの有効開口面積をあまり減らすことなく、サッシ枠の厚みも増やさずに、スッキリとした美観を維持したままで、屋内側からのスラット調整操作を可能にすることができる。
【0017】
さらに、本発明は、前記スラット操作機構において、前記サッシ枠の下辺を構成する下枠材に操作ボックスが取り付けられて、前記操作ボックスに前記駆動手段が設けられる一方、前記障子の下辺を構成する下框に前記従動手段が設けられ、前記障子の上辺を構成する上框に、前記ブラインドのスラット調整手段を内蔵したヘッドボックスが取り付けられ、前記障子の片側縦辺を構成する縦框に沿って、前記連系手段が配設された構成を採用する。この構成によれば、特に横型のベネチアンブラインドを内蔵した、高さのあるサッシにおいて、好ましい操作性を得ることができる。
【0018】
さらに、本発明は、前記駆動手段と前記従動手段との係合態様に関して、前記駆動手段が、前記サッシ枠の屋内外方向に軸心を向けて配置された駆動軸部材を具備し、前記従動手段が、前記障子の屋内外方向に軸心を向けて配置された従動軸部材を具備し、前記障子を閉じた状態で、前記駆動軸部材と前記従動軸部材とが同軸状に継手係合され、前記駆動軸部材の回転動作が前記従動軸部材の回転動作に伝達される、との構成を採用する。
【0019】
この構成を採用した場合には、駆動軸部材の一端を、サッシ枠(またはサッシ枠に付設した操作ボックス)の屋外側に露呈するように凸設または凹設させる一方、従動軸部材の一端を障子の框体の屋内側に露呈するように凹設または凸設させることにより、駆動軸部材と前記従動軸部材とを、コンパクトな係合形態で、円滑に、かつ精度よく係合させることが可能になる。
【0020】
さらに、本発明における駆動手段の具体的構成に関しては、前記サッシ枠の屋内側見付面と平行な面内で所定範囲を摺動しうるように設けられた操作具(操作スライダ)と、前記操作スライダの摺動動作を前記駆動軸部材の回転動作に変換するラック・アンド・ピニオンと、を具備するものとすることができる。
【0021】
あるいは、前記駆動手段が、前記サッシ枠の屋内側見付面と平行な面内で所定範囲を回転しうるように設けられた操作具(操作ダイヤルまたは操作レバー)を具備し、前記駆動軸部材が前記操作具の回転軸と同軸状に結合されて、前記操作具と一体的に回転するものとすることもできる。
【0022】
また、本発明における連系手段の具体的構成に関しては、前記従動軸部材の回転動作が、例えば、前記従動軸部材に直接または間接的に連結されたベルト車(プーリーに、ベルト以外のワイヤやロープ、コード等を懸装したものも含む。)や、前記従動軸部材に同軸状に連結されたフレキシブルワイヤや、複数個の歯車と軸回りに回転可能な連系ロッドとを組み合わせて構成される連系装置等を介して、前記スラット調整手段に伝達されるものとすることができる。
【発明の効果】
【0023】
前述のように構成される本発明のブラインド内蔵サッシのスラット操作機構は、サッシ枠に設けられた駆動手段と、障子に設けられた従動手段とが、障子を閉じた状態で互いに係合するように構成されており、しかも、駆動手段は網戸よりも屋内側から操作可能に設けられている。したがって、網戸を閉じた状態でも、屋内側から駆動手段を操作することにより、その動作を従動手段へと伝達させ、さらに従動手段に連結された連系手段を経由させて、ブラインドのスラット調整手段を動作させることができる。かかる構成を採用することにより、内外二重構造を有する障子にブラインドを組み込んだブラインド内蔵サッシの使い勝手が大きく向上することとなる。また、何らかの事情で網戸が取り外されている場合でも、操作機構には何ら影響を受けず、まったく同様にして操作することができる。
【0024】
さらに、サッシ枠の一辺を構成する枠材に、操作ボックスを、サッシ枠の枠内に張り出すようにして取り付け、その操作ボックスと略同一面をなすようにして網戸を取り付け、その操作ボックスに駆動手段を設けた場合には、サッシの有効開口面積をあまり減らすことなく、また、サッシ枠の厚みも増やさずに、スッキリとした美観を維持したままで、屋内側からのスラット調整操作を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明が適用されるブラインド内蔵サッシの全閉状態における屋内側正面図である。
【
図2】
図1のブラインド内蔵サッシの半開状態における屋外側正面図である。
【
図3】
図1のブラインド内蔵サッシの全閉状態における部分縦断面図である。
【
図4】
図1のブラインド内蔵サッシの全閉状態におけるサッシ中間部分の横断面図である。
【
図5】
図1のブラインド内蔵サッシの全閉から全開までの開閉状態を説明する横断面略図である。
【
図6】
図1〜
図5のブラインド内蔵サッシに組み込まれるスラット操作機構(第1実施形態)の要部を示す、内障子の屋内側正面図(a)および左側面図(b)である。
【
図7】同じく、スラット操作機構(第1実施形態)の要部を示す、サッシ下部の横断面図である。
【
図8】同じく、スラット操作機構(第1実施形態)の要部を示す、サッシ上部の横断面図である。
【
図9】
図1〜
図5のブラインド内蔵サッシに組み込まれるスラット操作機構(第2実施形態)の要部を示す、内障子の屋内側正面図(a)および左側面図(b)である。
【
図10】同じく、スラット操作機構(第2実施形態)の要部を示す、サッシ下部の横断面図である。
【
図11】同じく、スラット操作機構(第2実施形態)の要部を示す、サッシ上部の横断面図である。
【
図12】
図1〜
図5のブラインド内蔵サッシに組み込まれるスラット操作機構(第3実施形態)の要部を示す、内障子の屋内側正面図(a)および左側面図(b)である。
【
図13】同じく、スラット操作機構(第3実施形態)の要部を示す、サッシ下部の横断面図である。
【
図14】同じく、スラット操作機構(第3実施形態)の要部を示す、サッシ上部の横断面図である。
【
図15】従来の構成にかかるブラインド内蔵サッシの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
図1〜
図5は、本発明が適用されるブラインド内蔵サッシの全体的な構成例を示す。例示のブラインド内蔵サッシ1は、建物外壁の窓開口部に設置されるサッシ枠2と、該サッシ枠2の枠内に取り付けられて屋外側に開放される障子3とを備えており、さらに、サッシ枠2における障子3よりも屋内側の位置には網戸7が取り付けられている。
【0027】
サッシ枠2は、アルミ押出型材からなる枠材を縦長の矩形に組み付けて構成されている。例示のサッシ枠2は、屋内側から見たときに、特にサッシ枠2の上辺を構成する上枠材22および左右の側辺を構成する縦枠材23、24の見付幅が極力小さくなる断面形状を採用した、いわゆるフレームレスタイプのサッシ枠である。
【0028】
障子3は、サッシ枠2の枠内に収容され、屋外側に縦(竪)すべり出し方式で開閉するように取り付けられている。障子3の四周を構成する框体の、屋内側見付面の周縁部にはシールパッキン31が取り付けられており、このシールパッキン31を介して、障子3とサッシ枠2との当接箇所が気密・水密的に封止される。
【0029】
サッシ枠2の下辺を構成する下枠材25の屋内側には、障子3を開閉するためのオペレータハンドル12が取り付けられている。このオペレータハンドル12を開放側に操作すると、
図5(a)〜(c)に示すように、障子3に連結されたステー14が屋外側に迫り出して、障子3の戸先部分が屋外側へと開放される。オペレータハンドル12を用いて障子3を開閉するこの操作は、網戸7を閉じたまま、網戸7よりも屋内側から行うことができる。
【0030】
障子3は、外障子4と内障子5とが互いに離間して対向するように組み付けられた二重構造を有している。例示形態にかかる外障子4は、アルミ押出型材を略矩形に組み付けてなる外障子框体41に、複層ガラス40を嵌め込んで構成されている。また、例示形態にかかる内障子5は、合成樹脂型材を略矩形に組み付けてなる内障子框体51に、単板ガラス50を嵌め込んで構成されている。
【0031】
外障子框体41と内障子框体51とは、障子3自体の戸先側に位置する外障子4の縦框43および内障子5の縦框53に取り付けられたヒンジ金物32を介して、互いに接離可能に連結されている。つまり、
図5(d)に示すように、外障子4と内障子5とを一体的に開いた状態から、内障子5が、ヒンジ金物32を支軸として、外障子4とは反対の開き勝手で屋内側へと開放されることになる。このような構成を採用することにより、必要に応じて障子3の内側、すなわち外障子4と内障子5との対向面を屋内側から掃除したり、後述するブラインドの手入れをしたりすることができる。内障子5を外障子4に対して閉じると、外障子框体41の屋内側見付面の周縁部に取り付けられたシールパッキン46が、内障子框体51の屋外側見付面に当接して、障子3の内部空間が気密・水密的に封止される。また、内障子5と外障子4とを閉じ合わせている際には、框材等の適所に設けられた適宜のロック部材(図示せず)等を利用して、閉じ合わせた状態をロックしておくことができる。
【0032】
例示のブラインド内蔵サッシ1におけるブラインド6は、複数枚のスラット60を横向きに重ねて吊り下げる一般的なベネチアンブラインドであり、外障子4と内障子5とによって挟まれた空間に取り付けられている。ブラインド6は、上部に配置されるヘッドボックス62と、ヘッドボックス62から吊り下げられる左右一対の昇降コード63と、2本の紐体が梯子状に編成されてヘッドボックス62から吊り下げされる左右一対のラダーコード64と、ラダーコード64に載架される複数枚のスラット60と、昇降コード63およびラダーコード64の下端に取り付けられたボトムレール65とを備えている。
【0033】
ヘッドボックス62は、上方に開口した略溝形断面の部材で、ブラインド6の略全幅にわたり、内障子框体51の上辺を構成する上框52の、ガラス50よりも屋外側の下面に添設されている。ヘッドボックス62の内部には、スラット昇降手段と、スラット60の傾斜角度を変化させるスラット調整手段とが組み込まれている。
【0034】
例示形態におけるスラット昇降手段は、スラット60を昇降させるための昇降コード63を任意の位置に停止させて拘束する昇降規制部材(図示せず)を備えている。この昇降規制部材は、昇降コード63の余長部分に挟着された状態で、通常時はヘッドボックス62の片端部に嵌め込まれている。例示のブラインド内蔵サッシ1は、日常的にはブラインド6をあまり頻繁には昇降させないという想定で開口部に建て込まれるようになっており、ブラインド6を昇降させる際には、
図5(d)に示したように、内障子5と外障子4とを開いた状態で、ヘッドボックス62に嵌め込まれている昇降規制部材を一旦、取り外し、昇降コード63を引いてボトムレール65を任意の高さに停止させる、という使い方をするように構成されている。
【0035】
スラット調整手段は、ラダーコード64が係着されるスラット吊下ロッド67を備えている。このスラット吊下ロッド67は、多角形断面(例示の形態では六角形)の棒状体からなり、該棒状体が、ヘッドボックス62の長手方向に沿ってヘッドボックス62の内部に配置され、適宜の軸受部材を介して軸回り正逆双方向に回転可能に保持されている。スラット吊下ロッド67には、左右一対の巻上ドラム68を介して、ラダーコード64を構成する前後一対の紐体の上端部が係着されている。そして、後述する駆動手段の動作がスラット吊下ロッド67に伝達されると、スラット吊下ロッド67が正逆いずれかの方向に回転して、ラダーコード64を構成する前後の紐体を互いに上下反対向きに昇降させることにより、スラット60の傾斜角度が変化する。
【0036】
網戸7は、サッシ枠2の屋内側の最小開口面よりもひと回り大きい網戸框体71と、その内側に張設された網体70とを具備しており、網戸框体71がサッシ枠2の屋内寄りの位置に屋外側から嵌め込まれている。例示の形態における網戸7は、それ自体が頻繁に着脱あるいは開閉されないという想定で、メンテナンスなど必要な場合にのみ取り外しできる適宜の取着手段を介して、サッシ枠2に固定されている。網戸框体71の上辺部および左右の縦辺部は、サッシ枠2に直接、添設されているが、網戸框体71の下辺部は、サッシ枠2の下枠材25に添設された操作ボックス26の上面に載置された状態で、該操作ボックス26に取り付けられている。
【0037】
操作ボックス26は、後述する駆動手段をフレームレスタイプのサッシ枠2に組み付けるために用意された部材である。操作ボックス26は、略矩形の中空断面を有し、サッシ枠2の開口幅の略全体にわたって、サッシ枠2の下枠材25の上面に添設されている。操作ボックス26と網戸框体71とは、互いの見込寸法(屋内外方向の厚み)を略合致させる形状に形成されており、したがって、網戸7と操作ボックス26とは、互いの設置面が略同一面をなすように設置される。
【0038】
本発明の要部は、前述のような構造のブラインド内蔵サッシ1において、サッシ枠2の一部に網戸7よりも屋内側から操作可能な駆動手段が設けられ、障子3の一部には該障子3を閉じた状態で駆動手段に係合する従動手段が設けられ、駆動手段を屋内側から操作すると、その動作が従動手段に伝達され、さらに適宜の連系手段を介してスラット調整手段に伝達されるように構成された点にある。以下、駆動手段、従動手段、および連系手段を組み合わせて構成されるスラット操作機構の実施の形態について、複数の例を示して説明する。
【0039】
(第1実施形態)
図6〜
図8は、
図1〜
図5に示したブラインド内蔵サッシ1に組み込まれるスラット操作機構の第1実施形態を示す。この形態では、サッシ枠2の下枠材25に添設された操作ボックス26に駆動手段が設けられる一方、内障子5の下框55に従動手段が設けられ、さらに、内障子5の片側縦辺を構成する縦框53に沿って連系手段が配設されている。
【0040】
駆動手段は、操作ボックス26の屋内側見付面に設けられた操作具としての操作スライダ811と、操作ボックス26内に、屋内外方向に軸心を向けて配置された駆動軸部材82と、操作スライダ811の動作を駆動軸部材82に伝達するラック・アンド・ピニオン83と、を具備している。
【0041】
操作ボックス26の屋内側見付面には、横長のスライダ案内溝27が形成されており、指先で摘まみ易い適宜の形状を有する操作スライダ811が、このスライダ案内溝27に係合された状態で、左右方向に所定範囲を摺動しうるように保持されている。
【0042】
ラック・アンド・ピニオン83は、横方向に直線状に延びる噛み合い歯を有するラック部材831と、ラック部材831に噛み合う全円形の小歯車832と、それらを収容するケース部材833とを組み合わせて構成されている。ケース部材833は操作ボックス26内に組み付けられており、ケース部材833の略上半部に形成された横長の空間に、操作スライダ811に連結されたラック部材831が横方向に移動可能に収容されている。また、ケース部材833の略下半部には略円筒状の空間が形成されて、その内部に小歯車832が適宜の軸受部材(図示せず)を介して正逆双方向に回転可能に収容されている。この小歯車832は、それ自体が駆動軸部材82を兼ねるものとなっており、小歯車832の軸心部分の屋外側端面が操作ボックス26の屋外側見付面に凸設または凹設するように露呈して、従動手段との係合箇所を構成している。このような構成により、屋内側から操作スライダ811を左右方向に動かすと、その動作がラック・アンド・ピニオン83を介して駆動軸部材82の回転動作に変換されることとなる。
【0043】
従動手段は、障子3を閉じた状態で駆動軸部材82に係合される従動軸部材84を具備している。この従動軸部材84は、屋内外方向に軸心を向けて内障子5の下框55を貫通するように配置され、適宜の軸受部材(図示せず)を介して正逆双方向に回転可能に保持されている。従動軸部材84の屋内側端面は内障子5の下框55の屋内側見付面に凹設または凸設するように露呈して、障子3を閉じると駆動軸部材82の屋外側端面と同軸状に継手係合される。両軸部材を継手係合する形態としては、例えば、両軸部材の端部にそれぞれ、多角形状の凸部と凹部、突起と溝、鋸歯状の噛合部等を設けるなどして互いに空転しないように嵌合させる、公知一般の軸継手構造等を採用することができる。両軸部材を確実に係合させるために、適宜の位置合わせ手段や付勢手段を併用してもよい。かかる構成により、操作スライダ811の操作によって生じた駆動軸部材82の回転動作が直接、従動軸部材84に伝達されて、従動軸部材84の回転動作になる。
【0044】
連系手段は、内障子5の下框55に沿って配置される第1連系ロッド851と、内障子5の縦框に沿って配置されるベルト車86とを具備している。
【0045】
第1連系ロッド851は、内障子5の下框55に設けられた適宜の軸受部材を介して、軸回り正逆双方向に回転可能に保持されている。第1連系ロッド851の一端部は、従動軸部材84の屋外側端部にかさ歯車852を介して連結されており、他端部は、内障子5の縦框53の外側方まで延設されている。
【0046】
ベルト車86は、第1連系ロッド851の他端部に取り付けられた第1連系プーリー861と、スラット吊下ロッド67の一端部を内障子5の縦框53の外側方まで延設させて、その他端部に取り付けられた第2連系プーリー862と、それら第1連系プーリー861および第2連系プーリー862に懸装された無端のワイヤベルト863と、ワイヤベルト863を適切に展張させるために内障子5の縦框53の外側面に取り付けられたテンションローラー864と、を組み合わせて、ワイヤベルト863が正逆双方向に回転しうるように構成されている。
【0047】
これらの構成により、従動軸部材84の回転動作が、軸心の向きを90度変えて第1連系ロッド851の軸方向の回転動作に変換され、さらにベルト車86を経由してスラット吊下ロッド67の回転へと伝達される。こうして、スラット吊下ロッド67が回転することにより、ラダーコード64を構成する前後の紐体が互いに上下反対向きに昇降して、スラット60の傾斜角度が変化することとなる。
【0048】
(第2実施形態)
図9〜
図11は、スラット操作機構の第1実施形態を示す。このスラット操作機構も、
図1〜
図5に示したようなブラインド内蔵サッシ1に組み込まれるものであって、サッシ枠2の下枠材25に添設された操作ボックス26に駆動手段が設けられる一方、内障子5の下框55に従動手段が設けられ、さらに、内障子5の片側縦辺を構成する縦框53に沿って連系手段が配設されている。
【0049】
駆動手段は、前述の第1実施形態にかかる構成と同一である。すなわち、操作ボックス26の屋内側見付面に設けられた操作具としての操作スライダ811と、操作ボックス26内に、屋内外方向に軸心を向けて配置された駆動軸部材82と、操作スライダ811の動作を駆動軸部材82に伝達するラック・アンド・ピニオン83と、を具備し、屋内側から操作スライダ811を左右方向に動かすと、その動作がラック・アンド・ピニオン83を介して駆動軸部材82の回転動作に変換されるように構成されている。
【0050】
従動手段も、前述の第1実施形態にかかる構成と同一である。すなわち、屋内外方向に軸心を向けて内障子5の下框55を貫通する従動軸部材84を具備しており、この従動軸部材84の屋内側端面が、障子3を閉じると、駆動軸部材82の屋外側端面と同軸状に継手係合される。
【0051】
連系手段は、この第2実施形態においては、1本のフレキシブルワイヤ87によって構成される。フレキシブルワイヤ87は、その下端部が、適宜の継手部材を介して、従動軸部材84の屋外側端部に同軸状に連結されている。フレキシブルワイヤ87は、その連結箇所から湾曲されつつ内障子5の下框55に沿って側方へ引き回され、さらに内障子5の下角部から縦框に沿うようにして上方へと延設され、さらに内障子5の上角部からヘッドボックス62の内部に引き込まれており、その上端部は、適宜の継手部材を介して、スラット吊下ロッド67の一端部に同軸状に連結されている。内障子5の縦框53には、フレキシブルワイヤ87を回転自在に把持するガイドホルダ(図示せず)が数カ所に取り付けられて、フレキシブルワイヤ87の直立姿勢を保持している。
【0052】
このような構成により、操作スライダ811の操作によって生じた駆動軸部材82の回転動作が、従動軸部材84の回転動作から、フレキシブルワイヤ87の回転動作を経由し、スラット吊下ロッド67の回転動作として伝達されることにより、スラット60の傾斜角度が変化することとなる。
【0053】
(第3実施形態)
図12〜
図14は、スラット操作機構の第3実施形態を示す。このスラット操作機構も、
図1〜
図5に示したようなブラインド内蔵サッシ1に組み込まれるものであって、サッシ枠2の下枠材25に添設された操作ボックス26に駆動手段が設けられる一方、内障子5の下框55に従動手段が設けられ、さらに、内障子5の片側縦辺を構成する縦框53に沿って連系手段が配設されている。
【0054】
駆動手段は、操作ボックス26の屋内側見付面に設けられた操作具としての操作レバー812と、操作ボックス26内に、屋内外方向に軸心を向けて配置された駆動軸部材82と、を具備している。操作レバー812は、その軸部が操作ボックス26を貫通して駆動軸部材82の屋内側端部に結合されており、適宜の軸受部材(図示せず)を介して、正逆双方向に回転可能に保持されている。駆動軸部材82の屋外側端面は、操作ボックス26の屋外側見付面に凸設または凹設するように露呈して、従動手段との係合箇所を構成している。屋内側から操作レバー812を左右方向に動かすと、それと一体になって駆動軸部材82が左右方向に回転する。
【0055】
従動手段は、前述の第1実施形態および第2実施形態にかかる構成と同一である。すなわち、屋内外方向に軸心を向けて内障子5の下框55を貫通する従動軸部材84を具備しており、この従動軸部材84の屋内側端面が、障子3を閉じると、駆動軸部材82の屋外側端面と同軸状に継手係合される。
【0056】
連系手段は、内障子5の下框55に沿って配置される第1連系ロッド851と、内障子5の縦框53に沿って配置される第2連系ロッド881とを具備している。
第1連系ロッド851は、内障子5の下框55に設けられた適宜の軸受部材を介して、軸回り正逆双方向に回転可能に保持されている。第1連系ロッド851の一端部は、従動軸部材84の屋外側端部にかさ歯車852を介して連結されており、他端部は、内障子5の縦框53の外側方まで延設されている。
【0057】
第2連系ロッド881は、内障子5の縦框53に設けられた適宜の軸受部材を介して、軸回り正逆双方向に回転可能に保持されている。第2連系ロッド881の下端部は、第1連系ロッド851の他端部にかさ歯車882を介して連結されている。
【0058】
第2連系ロッド881の上端部は、ヘッドボックス62の側方まで延設され、スラット吊下ロッド67の一端部を内障子5の縦框53の外側方まで延設させた、その端部に、かさ歯車883を介して連結されている。
【0059】
これらの構成により、従動軸部材84の回転動作が、軸心の向きを90度変えて第1連系ロッド851の軸方向の回転動作に変換され、さらに軸心を縦方向に変えて第2連系ロッド881の軸方向の回転動作に変換され、さらに軸心の向きを90度変えてスラット吊下ロッド67の回転へと伝達される。こうして、スラット吊下ロッド67が回転することにより、スラット60の傾斜角度が変化することとなる。
【0060】
(その他の実施形態)
前記各実施形態のような構成を採用することにより、網戸7を閉じた状態でも、屋内側から操作スライダ811や操作レバー812等の操作具を操作して、スラット調整手段を動作させることができる。ただし、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、各部位の構成を、例えば以下のように適宜、改変するなどして実施することができる。
【0061】
ブラインド内蔵サッシ自体の構成に関しては、屋外側に開放される内外二重構造の障子と、その屋内側に取り付けられる網戸とを具備するものである限り、全体が縦長以外の正面形状をなしていてもよいし、サッシ枠や障子の詳細な断面形状、障子の開閉方式等が前記実施形態とは異なるものであってもよい。
【0062】
障子に内蔵されるブラインドに関しては、内障子側ではなく、外障子側に取り付けられていてもよい。その場合は、従動手段および連系手段が外障子側に設けられるか、内障子側に設けられた従動手段から外障子側に設けられた連系手段へと動作が伝達される構成を採用するのが好ましい。
【0063】
また、スラット昇降手段やスラット調整手段の詳細な構成が、前記実施形態とは異なるものであってもよい。さらに、スラット昇降手段をスラット調整手段と組み合わせてコンパクトに一体化できるならば、屋内側からの操作でスラットの昇降までできるように構成してもよい。
【0064】
駆動手段および従動手段の配置に関し、前記各実施形態では縦長のサッシにおける操作性に配慮して、駆動手段および従動手段をサッシの下部に設けたが、これに限らず、例えばサッシの全体形状が横長であるような場合は、駆動手段および従動手段を左右いずれかの側部(縦枠材および縦框)に設けてもよいし、サッシが低い位置に設置される場合は、駆動手段および従動手段をサッシの上部(上枠材および上框)に設けてもよい。さらに、駆動手段と操作部とを離隔して設け、両者を適宜の動力伝達機構を介して連結してもよい。
【0065】
操作ボックスに関しては、前述した駆動手段および従動手段の配置に合わせて、サッシ枠の縦枠材や上枠材に添設してもよい。また、前記各実施形態ではフレームレスタイプのサッシ枠に駆動手段を組み付けるために操作ボックスを採用しているが、サッシ枠とそれに重なる障子の框材の屋内側見付寸法に余裕があるなどの場合は、操作ボックスを利用せず、サッシ枠に直接、駆動手段を組み付けるように構成してもよい。
【0066】
駆動手段については、スライダやレバー以外にも、ダイヤル、回転ハンドル、引き紐など、屋内側からの操作によって回転動作や往復動作を発生させ得る公知の機構を適宜、採用することができる。また、従動手段および連系手段についても、駆動手段の機構や、それら相互の位置関係、サッシの全体的形状などに応じて、例えば
図15〜
図17に示した伝動コードを利用する構成に準じた機構など、機械的動作を合理的に伝達させ得る各種公知の機構を適宜、組み合わせて採用することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 ブラインド内蔵サッシ
12 オペレータハンドル
2 サッシ枠
25 下枠材
26 操作ボックス
3 障子
4 外障子
5 内障子
52 内障子の上框
53、54 内障子の縦框
55 内障子の下框
6 ブラインド
60 スラット
62 ヘッドボックス
63 昇降コード
64 ラダーコード
67 スラット吊下ロッド
7 網戸
811 操作スライダ(操作具)
812 操作レバー(操作具)
82 駆動軸部材
83 ラック・アンド・ピニオン
84 従動軸部材
86 ベルト車
87 フレキシブルワイヤ
851 第1連系ロッド
852 かさ歯車
881 第2連系ロッド
882 かさ歯車
883 かさ歯車
【要約】
【課題】サッシ枠に網戸が取り付けられていても、網戸を動かすことなく、障子に内蔵されたブラインドのスラットを屋内側から操作することのできるブラインドのスラット操作機構を提案する。
【解決手段】サッシ枠2の一部に、網戸7よりも屋内側から操作可能な駆動手段を設け、障子3の一部に、該障子3を閉じた状態で駆動手段に係合する従動手段を設け、屋内側からの操作による駆動手段の動作が、前記係合箇所を経由して従動手段に伝達され、さらに従動手段の動作が、障子3に設けられた適宜の連系手段を介して、ブラインド6自体のスラット調整手段に伝達されるように構成する。
【選択図】
図3