(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
結合剤(BM)が、10〜200mg KOH/gのOH価を有する少なくとも1つの成分を含有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
プライマー(P)を、硬化後に1μm〜15μmの乾燥層厚が得られるようなウェット層厚で適用することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
工程段階(d)によって、プライマー(P)層とトップコート(D)層とを一緒に硬化させることを、150〜280℃のピーク金属温度(PMT)で実施することを特徴とする、請求項8に記載の方法。
コーティングされる金属基材が、鉄、鋼、亜鉛または亜鉛合金、マグネシウムまたはマグネシウム合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金の群から選択されることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄され且つ随意に前処理剤で処理された金属表面を腐食防止コーティングするための新規の方法に関する。
【0002】
殊に、殊に通常且つ公知の使用金属(Gebrauchsmetall)、例えば亜鉛、アルミニウム、または光沢があり、めっきされた、電解亜鉛めっきされ且つリン含有の鋼製の金属テープまたはコイル上で、コイルコーティング法(Roempp Lexikon Lacke und Druckfarben, Georg Thieme Verlag, Stuttgart, New York, 1998, 617ページ, "Walzlackierung",および55ページ,"Bandbeschichtung")を用いて、しっかりと付着した腐食防止コーティングを得るためには、通常、該金属テープの表面を前処理することが必須である。しかし、これはコイルコーティング法における追加的な工程段階を意味し、経済的且つ技術的な理由から、それをなくすことが望まれる。
【0003】
公知のとおり、プライマー層が、金属表面とその上に存在するコーティングとの間の付着促進に役立つ。それらは特定の範囲で、防食に寄与することもできる。通常、それらは、結合剤含有の、着色され且つ溶剤含有の熱硬化性コーティング材料から製造され、前記コーティング材料は、その付着促進に関して、またはその防食への寄与に関して、最適化されている。
【0004】
腐食防止コーティングの製造のために、有利にはリン含有のコーティング剤を使用する。この場合、殊に、リンまたはホスホン酸基を有する結合剤および/または添加剤を含有するコーティング剤が使用され、なぜなら、これらは、未処理もしくは不充分にしか前処理されていない金属表面上での特に良好な防食を確実にするからである。
【0005】
WO02/24973号A2は、リン酸グリセリンを含有する、金属表面のリン酸処理に役立つコーティング剤用の添加剤を記載している。WO02/24973号A2によるリン酸処理剤は、結合剤を含有せず、従って、金属基材とその上に存在する層との間の付着促進剤としては非常に限定的にしか適していない。通常、そのようにリン酸処理された金属表面は、付着促進のために、別途のプライマー層が上にコーティングされ、その後、トップコートが施与される。
【0006】
WO2005/000575号A1内には、特定の酸化金属表面のための前処理剤が記載されており、それは殊に、生物活性な材料を不動化するために使用され、低分子の酸であるリン酸エステルHO
2POR
1OR
2またはホスホン酸エステルHO
2PR
1OR
2を含有し、その際、エステル基R
1および/またはR
2は2〜40個の炭素原子を有する脂肪族または芳香族単位であってよく、他方でさらなる官能基を有していてよい。WO2005/000575号A1による前処理剤は、結合剤を含有せず、従って、金属基材とその上に存在する層との間の付着促進剤としては非常に限定的にしか適していない。WO2005/000575号A1による前処理剤は、結合剤を含有せず、従って、金属基材とその上に存在する層との間の付着促進剤としては非常に限定的にしか適していない。
【0007】
WO2005/056697号A1は、放射線硬化性コーティング剤を記載しており、それは、モノリン酸またはポリリン酸の酸エステルを含有し、そのエステル基が放射線硬化性基を有する。これらのコーティング剤は、好ましくはコイルコーティング被覆におけるプライマーとして使用され、且つ、良好な基材および中間層付着性を有している。これらのコーティング剤の欠点は、コイルコーティングの過程で化学線放射源を準備しなければならないこと、および、コイルコーティング法において、テープの速度を、この放射線源の出力に、手間をかけて合わせなければならないことである。
【0008】
WO2007/020220号A1には、コイルコーティング被覆のための熱硬化性プライマーが記載されており、それは、コモノマー単位として、ホスホン酸基またはリン酸基を有するエチレン性不飽和モノマーを含有できる腐食防止ポリマーを含有する。
【0009】
これらのコーティング剤は、良好な防食特性および基板付着性を有するのだが、上記の腐食防止ポリマーは製造に手間がかかる。
【0010】
WO2008/017647号A1には、コイルコーティング被覆のための熱硬化性プライマーが記載されており、それはホスフィン酸誘導体を腐食防止成分として含有し、該ホスフィン酸誘導体HO
2PR
1R
2は、ヒドロキシル基で官能化され得る1〜30個の炭素原子を有するアルキル基R
1および/またはR
2を有することができる。これらのコーティング剤は、良好な防食特性および基板付着性を有するのだが、上記の腐食防止ポリマーは製造に手間がかかる。
【0011】
課題と解決
従って、本発明の課題は、新規の熱硬化性コーティング材およびその施与方法であって、殊に該コーティング材をコイルコーティング法におけるプライマーとして使用する際、従来技術の欠点をもはや有さず、良好な基材付着性および良好な防食性を、良好な中間層付着性と共にみちびくものを提供することである。さらには、該方法によって使用されるプライマーおよび殊に腐食防止成分は、それ自体容易に製造され、貯蔵安定性であり、且つ、特に容易且つ問題なく、殊にコイルコーティング法において施与されるべきである。
【0012】
この新規の方法は、前処理されていない金属表面上、殊に使用金属、例えば亜鉛、アルミニウム、または光沢があり、めっきされた、電解亜鉛めっきされ且つリン含有の鋼の表面上でも特に高い付着性と共に良好な防食性を有し、それと共に、その上に存在するコーティングへの特に高い中間層付着性を有し、結合層中で殊に白色腐食に対する抜群の防食作用および薄い層でも高い弾力性を有する、プライマー塗装を特にもたらすべきである。
【0013】
それに応じて、金属表面の腐食防止コーティングのための方法であって、第一の段階(1)において、金属表面を洗浄し、且つ随意に前処理剤で処理し、且つ、第二の段階(2)において、段階(1)により洗浄され且つ随意に前処理された金属表面を、少なくとも1つの結合剤(BM)および少なくとも1つの架橋剤(V)、並びに腐食防止成分(A)を含有するプライマー(P)でコーティングし、その際、(A)は、ホスホン酸、モノリン酸および/またはポリリン酸、殊にポリリン酸、もしくはその無水物、および/またはそのエステルと、少なくとも2つのヒドロキシル基を有する少なくとも1つの化合物(B)との酸エステル化生成物である、前記方法が見出された。
【0014】
従来技術に鑑み、本発明の基礎をなす課題を、本発明による方法を用いて解決することができることは、意外であり、且つ当業者にとって予想外であった。
【0015】
殊に、本発明による方法で製造されたプライマー層は、殊に使用金属、例えば亜鉛、アルミニウム、または光沢があり、めっきされた、電解亜鉛めっきされ且つリン含有の鋼の表面上で、特に高い基板付着性および防食作用を有し、それと共に、その上に存在するコーティングへの特に高い中間層付着性を有し、複合層においても、殊に白色腐食に対する抜群の防食作用を有し、且つ、高い弾力性を有する。
【0016】
本発明の説明
腐食防止成分(A)
本発明による方法において使用されるプライマー(P)は、少なくとも1つのリン含有腐食防止成分(A)を含有し、前記(A)は、ホスホン酸、リン酸および/またはポリリン酸、殊にポリリン酸、もしくはその無水物、および/またはそのエステルと、少なくとも2つのヒドロキシル基を有する少なくとも1つの化合物(B)との酸エステル化生成物である。
【0017】
好ましく使用されるポリリン酸は、二リン酸を有利には70〜95質量%、好ましくは70〜90質量%、および殊に75〜86質量%の、計算上の含有率で含有する。
【0018】
有利には、リン含有成分(A)は、その総量に対して1〜30質量%、殊に2〜25質量%のリンを含有する。
【0019】
適した化合物(B)の例は、アルカンジオール、アルカントリオール、より高級のアルカンポリオール、芳香族ジオール、例えばヒドロキノン、芳香族ポリオール、例えばピロガロール、フロログルシンまたはヒドロヒドロキノン、ポリアルキレンオキシドジオールまたはポリオール、例えばジエチレングリコールまたはトリエチレングリコールである。
【0020】
好ましくは、化合物(B)は、2〜40、特に好ましくは2〜30、およびとりわけ特に好ましくは2〜20個の炭素原子を有し、それはヘテロ原子、例えば殊に窒素、硫黄または特に好ましくは酸素によって分離されていてもよい。
【0021】
特に好ましくは、化合物(B)は少なくとも2つの末端のヒドロキシル基を、最長の炭素鎖上のα位およびω位に有し、その際、(B)はさらなるヒドロキシル基を有してよい。
【0022】
とりわけ特に好ましくは、化合物(B)は、2〜40個の炭素原子を有し、最長の炭素鎖上のα位およびω位にヒドロキシル基を有するアルカンジオール、アルカントリオールおよび/またはアルカントリオールであり、例えば殊にグリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、および、最長の炭素鎖上のα位およびω位にヒドロキシル基を有するアルカンの、より高級のポリオールである。
【0023】
化合物(B)として、本発明のためにとりわけ特に重要なのは、2〜20個の炭素原子を有し、最長の炭素鎖上のα位およびω位にヒドロキシル基を有する、アルカンジオールおよび/またはアルカントリオールであり、例えば殊にエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールおよびトリメチロールプロパンである。
【0024】
好ましくは、腐食防止成分(A)は、ホスホン酸、リン酸および/またはポリリン酸、殊にポリリン酸、もしくはその無水物および/またはそのエステルと、成分(B)とのエステル化によって、そのエステル化生成物がまだ遊離した酸基を有するように製造される。とりわけ特に好ましくは上で挙げられたポリリン酸、またはその無水物を成分(B)とのエステル化のために使用し、その際、成分(B)は、ホスフェート単位に対して好ましくは1:3〜3:1のモル比、殊に、1:2〜2:1のモル比で使用される。
【0025】
腐食防止成分(A)は、プライマー(P)中で、プライマー(P)の固体含有率に対して好ましくは0.5質量%〜15質量%の割合、殊に、1質量%〜10質量%の割合で含有される。
【0026】
プライマー(P)のさらなる成分
プライマー(P)中の結合剤(BM)
結合剤成分は、1つまたはそれより多くの結合剤(BM)からなることができる。一般に、どの結合剤(BM)が適しているかは、当業者に公知である。殊に、コイルコーティングに際した使用のために適した結合剤(BM)は、例えばWO2007/020220号A1内に記載されているもの、(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、部分的に鹸化したポリビニルエステル、ポリエステル、アルキド樹脂、ポリラクトン、ポリカーボネート、ポリエーテル、エポキシ樹脂(液体であるか、または液体成分を含有してもよい)、エポキシ樹脂−アミン付加物、ポリウレア、ポリアミド、ポリイミドまたはポリウレタンである。当然のことながら、異なる結合剤(BM)の混合物も、それが混合によって望ましくない作用を生じないという限り、使用することができる。
【0027】
好ましくは、ポリエステルが結合剤(BM)として使用される。適したポリエステルは、殊に、低分子ジカルボン酸とジアルコールとの縮合物である。適したジカルボン酸の例は、脂肪族ジカルボン酸、例えばアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、脂肪族ジカルボン酸、例えばダイマー脂肪酸、即ち不飽和脂肪酸同士の反応生成物、脂環式ジカルボン酸、例えば1,4−または1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸、例えばイソフタル酸、テレフタル酸またはフタル酸を含む。当然のことながら、ジカルボン酸の誘導体も使用することができる。無水物、例えばフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物またはテトラヒドロフタル酸無水物が特に適している。
【0028】
適したジアルコールの例は、脂肪族アルコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1−メチルプロパンジオール−1,3,2−ブチル−2−エチルプロパンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、脂環式アルコール、例えば1,4−または1,3−シクロヘキサンジメタノール、TCD−アルコールおよびビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタンもしくは−プロパンおよびダイマージオール (水素化ダイマー脂肪酸)を含む。当然のことながら、公知のように、アルコールの誘導体、例えばエステル、殊に相応のメチルエステルまたはエチルエステルを使用することもできる。直鎖のポリエステル結合剤(BM)の他に、分枝鎖のポリエステル結合剤(BM)を使用することもできる。分枝鎖の生成のために適したモノマーは、トリカルボン酸またはその無水物、例えばトリメリット酸無水物またはトリメシン酸およびトリアルコール、例えばトリメチロールアルカン、例えばトリメチロールエタンまたはトリメチロールプロパンを含む。
【0029】
結合剤(BM)として使用されるポリエステルのDIN53240によるOH価(OHZ)は通常、約5〜200mg KOH/g、好ましくは10〜120mg KOH/g、特に好ましくは12〜80mg KOH/g、および例えば約20mg KOH/gである。結合剤(BM)として使用されるポリエステルによる数平均分子量Mnは通常、500〜10000g/mol、好ましくは1000〜8000g/mol、および特に好ましくは2000〜6000g/molである。
【0030】
数平均分子量Mnは、総括的な方法、例えば凝固点降下法、メンブレン−または蒸気圧浸透圧法によって測定でき、好ましくは、分子あたりの末端基の数がわかる場合は、末端基の測定によって算出される。
【0031】
本発明によるプライマーは、プライマー(P)の固体含有率に対して15〜60質量%、好ましくは20〜50質量%の結合剤(BM)を含有する。殊に、コイルコーティング法のためには、プライマー(O)の固体含有率に対して30〜45質量%の結合剤(BM)が適している。
【0032】
架橋剤(V)およびプライマー(P)中のさらなる成分
上記のポリマーを熱架橋させるための架橋剤(V)は、当業者に公知である。
【0033】
好ましいヒドロキシ基含有ポリマーの架橋のためには、架橋剤(V)として、好ましくはメラミン樹脂および/またはアミノプラスト樹脂が使用される。好ましいヒドロキシ基含有ポリマーの架橋のためにとりわけ特に好ましいのは、メラミン誘導体、例えばヘキサブトキシメチルメラミンおよび殊に高反応性ヘキサメトキシメチルメラミン、および/または随意に変性されたアミノプラスト樹脂である。かかる架橋剤(V)は市販である (例えばLuwipal(登録商標)、BASF AG)。
【0034】
好ましいヒドロキシ基含有ポリマーのための架橋剤(V)として、さらには随意にブロックされたポリイソシアネート、殊にジイソシアネートのオリゴマー、例えばトリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、エチルエチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネートまたは非環式脂肪族ジイソシアネートであって、その炭素鎖中に環式基を含有するもの、例えば、ダイマー脂肪酸から誘導されるジイソシアネート、例えばHenkel社から商品名DDI1410で販売されているもの、および特許文献WO97/49745号およびWO97/49747号内に記載されているものを使用することができる。後者は、本発明の範疇では、その2つの排他的にアルキル基に結合されたイソシアネート基に基づき、その環式基にもかかわらず、非環式の脂肪族ジイソシアネートとみなされる。上記のジイソシアネートのうち、ヘキサメチレンジイソシアネートが特に好ましく使用される。好ましくは、イソシアヌレート基、ウレア基、ウレタン基、ビウレット基、ウレトジオン基、イミノオキサジアジンジオン基、カルボジイミド基および/またはアロファネート基を含有するオリゴマーが使用される。ポリイソシアネートのブロックの際、イソシアネート基とブロック剤とが反応し、前記ブロック剤はより高温への加熱の際に再度分離する。適したブロック剤の例は、例えばDE−A−19914896号、第12段落および13段落内に記載されている。架橋の促進のために、有利には、公知のとおり、適した触媒が添加される。結合剤(BM)中の不揮発分の割合に対して、架橋剤(V)の割合は、結合剤(BM)に対して好ましくは5〜60質量%、特に好ましくは10〜50質量%である。
【0035】
プライマー(P)は、さらに、有利には無機の充填剤、および/または無機の色素および/または効果顔料および/また伝導性顔料を含有する。顔料および充填材は、例えばWO2007/020220号A1内に記載されている。
【0036】
殊に、基材の起伏を埋めるため、および/またはプライマー(P)から製造された層の耐衝撃性を高めるために役立つ古典的な充填材は、有利には、チョーク、水酸化物、例えば水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウム、並びに層状シリケート、例えばタルク、カオリンであり、ここで、タルクが特に好ましい。
【0037】
色素および/または効果顔料として、有利には無機顔料、例えば殊に白色顔料および黒色顔料が使用される。好ましい白色顔料は、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物および殊にチタン酸化物並びに硫酸バリウムである。好ましい黒色顔料は、鉄酸化物および殊にグラファイトおよびカーボンブラックである。
【0038】
伝導性顔料として、有利にはリン化物、バナジウム炭化物、チタン窒化物、およびモリブデン硫化物が使用される。かかる添加物は、例えば形成されるコーティングの溶接性の改善のために役立つ。好ましくは伝導性顔料として、Zn、Al、Si、Mn、Cr、Niまたは殊にFeの金属リン化物が使用され、例えばWO03/062327号A1内に記載されている。特に好ましくは、亜鉛末が伝導性顔料として使用される。プライマー(P)内に含有される充填材は、有利には、硬化した一体の前処理層の厚さを上回らない平均粒径を有する。好ましくは、充填材の粒子の上限は、EN ISO 1524:2002に準拠して測定して15μm未満、特に好ましくは12μm未満、および殊に10μm未満である。本発明により使用されるプライマー(P)は、プライマー(P)の不揮発性成分に対して、有利には10〜80質量%、特に好ましくは15〜70質量%、および殊に20〜60質量%の充填材を含有する。
【0039】
本発明によるリン含有腐食防止成分(A)の他に、プライマー(P)は、有利には無機の防食顔料、例えば殊にリン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、リン酸亜鉛アルミニウム、酸化モリブデン、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛カルシウム、メタホウ酸亜鉛またはメタホウ酸バリウム一水和物を含有できる。本発明の特に好ましい実施態様において、かかる防食顔料は、金属イオンで変性されたアモルファスの二酸化ケイ素と組み合わせて使用される。有利には、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ランタノイド金属イオン、並びに亜鉛およびアルミニウムイオンからなる群から金属イオンが選択され、ここで、カルシウムイオンが特に好ましい。カルシウムイオンで変性されたアモルファスの二酸化ケイ素は、市販品として、Marke Shieldex(登録商標) (Grace GmbH & Co. KG社)として入手できる。さらには、防食顔料調製物の成分として、さらに、ダイマー、オリゴマーまたはポリマーの、アルミニウムまたはチタンのアルコキシドを、随意にリン含有化合物との付加物として、例えばWO03/062328号A1内に記載されているように、使用することができる。
【0040】
防食顔料は、有利には、硬化した一体の前処理層の厚さを上回らない平均粒径を有する。好ましくは、防食顔料の粒子の上限は、EN ISO 1524:2002に準拠して測定して15μm未満、特に好ましくは12μm未満、および殊に10μm未満である。
【0041】
さらには、上記の無機の防食顔料の代わりまたはその他に、さらに有機の、有利には低分子および/または随意にポリマーの防食剤が追加的な防食成分として存在してよい。特に好ましくはジカルボン酸混合物であり、殊にアルカンジカルボン酸混合物、有利にはC
4−、C
5−、およびC
6−のジカルボン酸からのものである(例えばBASF SE社製のSokolan DCS)。
【0042】
プライマー(P)中の溶剤の量は、本発明による組成物の望ましい特性および望ましい適用方法によって当業者に選択される。組成物は、最初は濃縮物として製造され、現場で初めて所望の濃度に希釈されてもよい。
【0043】
当業者は、原理上可能な溶剤について、工程条件および使用される成分の性質によって、適した選択をする。水と相容性であり得る有機溶剤の例は、エーテル、ポリエーテル、例えばポリエチレングリコール、エーテルアルコール、例えばブチルグリコールまたはメトキシプロパノール、エーテルグリコールアセテート、例えばブチルグリコールアセテート、メトキシイソプロピルアセテート、ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノールおよびジアセトンアルコール、有機カーボネート、例えばプロピレンカーボネートを含む。さらには、疎水性の溶剤、例えば殊にベンジン、および芳香族化合物のフラクションが使用され、その際、かかる溶剤は、むしろ添加剤というより、特定の塗装特性の調節のために使用される。
【0044】
コーティング剤(B)中の揮発性成分(BL)の量は広く変化でき、その際、コーティング剤(B)の揮発性成分(BL)対不揮発性成分の比は通常、10:1〜1:10、有利には5:1〜1:5、特に好ましくは4:1〜1:4である。
【0045】
揮発性成分(BL)の質量割合は、プライマー(P)の総質量に対して15〜80質量%、有利には20〜70質量%、特に好ましくは30〜60質量%である。
【0046】
プライマー(P)は、さらに、1つまたはそれより多くの助剤および/または添加剤を含んでよい。かかる助剤および/または添加剤は、層の特性の微調整のために役立つ。その量は、通常、プライマー(P)の総質量に対して30質量%を上回らない、有利にはその割合は20質量%を上回らない。
【0047】
適した添加剤の例は、色素および/または効果顔料、熱硬化または化学線硬化用の反応希釈剤、流動助剤、UV吸収剤、光保護剤、ラジカル捕捉剤、ラジカル重合用の開始剤、熱架橋用の触媒、光開始剤および光共開始剤、スリップ剤、重合阻害剤、泡止め剤、乳化剤、脱気剤、湿潤剤および分散剤、付着促進剤、流動剤、膜形成助剤、流動性制御添加剤(増粘剤)、防火剤、乾燥剤、皮張り防止剤、他の腐食防止剤、ワックスおよび艶消し剤、例えば教科書「Lackadditive」、Johan Bieleman著, Wiley−VCH, Weinheim, New York, 1998またはドイツ国特許出願DE−A19914896号、第13段落、56行目〜第15段落、54行目から公知のものである。
【0048】
通常、リン含有腐食防止成分(A)に追加的に使用される、適した他の腐食防止剤は、例えばWO2007/020220号A1号内に記載されており、且つ、ホスホン酸、アミノホスホネート、有機および無機のリン酸塩、例えばリン酸亜鉛、リン酸カルシウム、およびリン酸マグネシウム、ビニルホスホン酸およびその塩、カルボン酸およびその塩およびエステル、アルカノールアミンおよびアミン、ベンゾトリアゾールおよびその構造誘導体、例えばトリルトリアゾール(Tolytriazol)、アセチレン誘導体、例えばN,N−ジメチル−2−プロピン−1−アミン、N,N−ジエチル−2−プロピン−1−アミン、1,1−ジメチル−2−プロピニル−1−アミン、N,N−ジエチル−4−アミノ−2−ブチン−1−オール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、3−ヘキシン−2,5−ジオール、2−ブチン−1,4−ジオールエトキシレート、2−ブチン−1,4−ジオール、2−ブチン−1,4−ジオールプロポキシレート、プロパルギルアルコール、プロパルギルアルコールエトキシレート、プロパルギルアルコールプロポキシレート、プロピンスルホン酸およびその塩、アルデヒド、アミン−およびナトリウムで中和された、アルキルアルコールのリン酸エステル、アミンカルボキシレート、アミノフェノールおよびニトロフェノール、アミノアルコール、アミノベンズイミダゾール、アミノイミダゾリン、アミノトリアゾール、ベンズイミダゾールアミン、ベンゾチアゾール、種々のアルカノールアミンとのホウ酸エステル、例えばホウ酸ジエタノールアミンエステル、ブチンジオール、キノリン誘導体、ジベンジルスルホキシド、ジカルボン酸およびそのエステル、ジイソブテニルコハク酸、ジチオホスホン酸、脂肪アミンおよび脂肪酸アミド、グアニジン誘導体、尿素およびその誘導体、ラウリルピリジニウムクロリド、マレイン酸アミド、メルカプトベンズイミダゾール、N−2−エチルヘキシル−3−アミノスルホプロピオン酸、ホスホニウム塩、フタル酸アミド、ポリエーテルアミン、スルホニウム塩、スルホン酸、例えばメタンスルホン酸、チオエーテル、チオウレア、チウラムジスルフィド、ケイ皮酸およびその誘導体の群から選択できる。
【0049】
コーティング剤(B)を、成分を溶剤としっかりと混合することによって製造する。適した混合および分散度は当業者に公知である。
【0050】
本発明によるプライマー(P)並びに次の層の施与および調整
本発明による方法の段階(1)において、コーティングされるべき金属表面を洗浄し、随意に前処理剤でコーティングする。金属質の表面処理、例えば電解亜鉛めっきまたは金属表面の融解亜鉛めっきの直後に工程段階(1)が行われる場合、プライマー(P)を通常、金属テープを洗浄することなく塗布できる。コーティングされるべき金属テープがプライマー(P)でのコーティング前に保管されおよび/または輸送される場合、通常、それは防食オイルで覆われているか、または他のやりかたで汚染されており、従って方法工程(1)の前に金属テープを洗浄する必要がある。その洗浄を、当業者に公知の方法によって通常の洗浄剤を用いて行うことができる。
【0051】
金属テープ上へのプライマー(P)の塗布を、吹き付け、流し塗り、または有利にはロール塗布によって行うことができる。
【0052】
好ましいロール塗装の際、回転している取り込みロール(ピックアップロール)を、プライマー(P)の溜まりに浸し、且つ、施与されるべきプライマー(P)を受け渡す。これが、該取り込みロールから、直接的に、または少なくとも1つの移送ロールを介して、回転している施与ロールに移される。これから、プライマー(P)が、順方向または反対方向でぬぐい取られることによって、金属テープ上に移される。本発明によれば、反対方向のぬぐい取りまたは「反転ローラーコーティング法」が有利であり、好ましく利用される。有利には、前記施与ロールは、テープ速度の110〜125%である回転速度を有し、且つ前記取り込みロールは、テープ速度の20〜40%である回転速度を有している。しかし、プライマー(P)を、2つのロールの間にある隙間に直接ポンピングすることもでき、それは「ニップフィード法」とも称される。
【0053】
金属テープの速度は、段階(2)におけるプライマー(P)についての乾燥条件および/または硬化条件に相応して、当業者が選択する。通常、テープ走行速度は、10〜200m/分、好ましくは12〜160m/分、特に好ましくは14〜140m/分が有効であることが示されている。金属テープ上の、プライマー(P)から形成された層を乾燥させるために、即ち、プライマー(P)の揮発成分を除去するために、段階(1)によってコーティングされた金属テープを適した装置を用いて加熱する。加熱を、対流熱交換、近赤外線または遠赤外線の照射によって、および/または適した金属基材、殊に鉄の際には電気誘導によって行うことができる。溶剤の除去は、ガス流との接触によって行うこともでき、その場合、先述の加熱と組み合わせることが可能である。
【0054】
プライマー(P)の乾燥および/または硬化は、有利には金属上で生じるピーク温度(例えば無接触式の赤外線測定によって、または温度指示片(Temperaturindikatorstreifen)によって測定できるピーク金属温度(PMT))、少なくとも80℃、特に好ましくは少なくとも100℃、およびとりわけ特に好ましくは少なくとも120℃、殊にPMT値120〜300℃、好ましくは140〜280℃、および特に好ましくは150〜260℃で実施され、その際、金属テープの速度、ひいては、テープコーティング装置の乾燥領域内での滞留時間は、当業者に公知のとおり、乾燥領域を出た後に、プライマー(P)から形成された層内の揮発性成分が特定の残留含有率に調節され得るように、調節される。
【0055】
工程段階(2)によって製造された、プライマー(P)の乾燥層の厚さは、通常、1〜15μm、好ましくは2〜12μm、特に好ましくは3〜10μmである。
【0056】
工程段階(2)と、コイルコーティング法における次の工程段階との間に、プライマー(P)の乾燥層を備えた金属テープを再度巻き取り、且つ、単数または複数のさらなる層を、後の時点で初めて塗布する。
【0057】
コイルコーティング法の次の工程段階において、工程段階(2)によって製造された、プライマー(P)の乾燥層に、好ましくは1つまたはそれより多くのトップコート(D)を塗布し、その際、トップコート(D)としては、原則的に全ての、金属テープコーティングのために適したコーティング剤が適している。
【0058】
トップコート(D)の塗布を、吹き付け、流し塗り、または有利には上記のロール塗布によって行うことができる。
【0059】
有利には、色づけのためと同様に、機械的な負荷並びにコーティングされた金属テープへの天候の影響に対する保護のために用意される、高い柔軟性を有する着色トップコート(D)を塗布する。かかるトップコート(D)は、例えばEP−A1−1335945号またはEP−A1−1556451号内に記載されている。本発明のさらに好ましい実施態様において、トップコート(D)は、色づけされたベース塗料層と、最後のクリア塗料層との2層構造を有することができる。かかる2層の、金属テープのコーティングのために適したトップコート系は、例えばDE−A−10059853号およびWO−A−2005/016985号内に記載されている。
【0060】
最後の工程段階において、工程段階(2)において塗布され且つ乾燥された、プライマー(P)層を、次の工程段階(3)において施与されたトップコート(D)層と一緒に硬化させ、即ち、架橋させ、その際、プライマー(P)の乾燥層からの残留湿分、並びにトップコート(D)からの溶剤が一緒に除去される。架橋は、コーティング剤(B)中で使用される結合剤(BM)並びにトップコート層(D)中で使用される結合剤の性質次第であり、通常、熱的に行われ、その際、先述の方法によってコーティングされた金属テープを、適した装置を用いて加熱する。加熱を、近赤外線または遠赤外線の照射によって、適した金属基材、殊に鉄の際には電気誘導によって、および有利には対流熱交換によって行うことができる。溶剤の除去は、ガス流との接触によって行うこともでき、その場合、先述の加熱と組み合わせることが可能である。
【0061】
架橋のために必要な温度は、殊にプライマー(P)中およびトップコート層(D)中で使用される結合剤次第である。好ましくは、架橋は、金属上で生じるピーク温度(PMT)少なくとも80℃、特に好ましくは少なくとも100℃、およびとりわけ特に好ましくは少なくとも120℃で実施される。殊に、PMT値120〜300℃、好ましくは140〜280℃、特に好ましくは150〜260℃で架橋が行われる。その際、金属テープの速度、ひいては、テープコーティング装置のオーブン領域内での滞留時間は、当業者に公知のとおり、有利には、プライマー(P)から形成される層中、およびトップコート(D)から形成される層中の架橋が、オーブン領域を出た後に、充分に完全であるように調整される。有利には、架橋時間は10秒から2分である。例えば対流熱交換を用いたオーブンが使用される場合、好ましいテープ走行速度の際、約30〜50mの長さの循環空気オーブンが必要である。この場合、循環空気の温度は当然、PMTより高く、且つ、350℃までであってよい。
【0062】
そのように製造された、プライマー(P)およびトップコート(D)に基づく硬化層の層結合物の厚さは通常、2〜60μm、好ましくは4〜50μm、特に好ましくは6〜40μmである。
【0063】
本発明による方法によって製造された層結合物を、殊に、鉄、鋼、亜鉛または亜鉛合金、例えば亜鉛−アルミニウム合金、例えばGalvalume(登録商標)およびGalfan(登録商標)または亜鉛マグネシウム合金、マグネシウムまたはマグネシウム合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金の表面上に塗布することができる。
【0064】
本発明による方法によって製造された層結合物を備えた金属テープを、例えば切り離し、変形、溶接、および/または接合を用いて、金属成形体に加工することができる。従って、本発明によって製造された金属テープを用いて製造される成形体も、本発明の対象である。「成形体」という用語は、コーティングされた薄板、箔、またはテープと同様に、そこから得られた金属の構成部品も含むべきである。
【0065】
かかる構成部品は、殊に、パネル、フェーシング、またはライニングのために使用できるものである。例は、自動車のボディまたはその部品、トラックの車体、二輪車、例えばオートバイまたは自転車のフレーム、またはかかる乗り物のための部品、例えばフェンダーまたはパネル、家庭用電化製品、例えば洗濯機、食器洗い機、洗濯乾燥機、ガスおよび電気調理器、電子レンジ、冷凍庫または冷蔵庫のためのパネル、工業用装置または設備のためのパネル、例えば機械、スイッチキャビネット、コンピュータのケース、または建築分野におけるかかる構成要素、例えば壁部材、ファサード部材、天井部材、窓またはドアの輪郭または隔壁、金属材料製の家具、例えば金属のキャビネット、金属の棚、家具の部品または金具を含む。さらには、該構成部品は、液体または他の物質を貯蔵するための中空体、例えば容器、箱、またはタンクであってもよい。
【0066】
以下の実施例により、本発明を具体的に示す。
【0067】
実施例
実施例1: 本発明によるコーティング剤のリン含有成分A1の製造
1441gのポリリン酸(ポリリン酸105、製造元 thermPhos Bv.)を、攪拌釜に装入し、41℃に加熱した。冷却しながら、1059gのエチレングリコールを4.75時間にわたって、温度が60℃を上回らないように滴下した。引き続き、該反応混合物をさらに4時間、48℃で攪拌した。
【0068】
得られた材料混合物は、リン酸のエチレングリコールエステルA1と、約20%の未反応のエチレングリコールとからなった。
【0069】
実施例2〜5: 本発明によるコーティング剤のリン含有成分A2〜A5の製造
以下のリン含有成分A2〜A5を、実施例1に記載された方法によって製造し、その際、比較しうるモル分率の出発材料が使用された:
【表1】
【0070】
得られた物質混合物は、リン酸のジ(トリ)オールエステルA2〜A5と、未反応のジ(トリ)オールとからなる。
【0071】
実施例6〜10: 本発明によるコーティング剤および比較用試料の製造
ポリエステル結合剤としての、プライマー(P)の固形分に対して24質量%のURALAC(登録商標)SN905 (製造元: DSM社)と液体エポキシAraldite(登録商標) GY 2600 (製造元: Huntsman社)との混合物、5質量%の、架橋剤としてのメラミン樹脂、着色顔料および防食剤を含有する、市販のコイルコーティングプライマー COILTEC(登録商標) Top Universal P CFに、リン含有成分A1〜A5を、生じる本発明によるコーティング剤がプライマー(P)の固体に対して0.6質量%のリン含有率を有するような量で添加した。
【0072】
【表2】
【0073】
比較用試料V1として、未変性のコイルコーティングプライマーCOILTEC(登録商標) Top Universal P CF (製造元 BASF Coatings GmbH)を使用した。
【0074】
実施例11〜15: 本発明によるプライマーおよび次のトップコートコーティングの製造および試験
基材として、脱脂され、前処理されていない、Sorte Z (OEHDG 4、製造元 Chemetall)の鋼製の薄鋼板を使用した。実施例6〜10並びに比較用試料V1によるコーティング材料を、基材上に、バーコーティングを用いて、循環空気乾燥機内で、循環空気温度365℃、且つ目標温度243℃での硬化後に、乾燥層厚5μmが得られるようなウェット層厚で適用した。
【0075】
この後、該プライマーコーティングを、ポリエステル/メラミン樹脂に基づく市販のコイルコーティングトップコート(Polyceram(登録商標) PlusP、製造元: BASF Coatings GmbH)で、循環空気乾燥機内で、循環空気温度365℃、且つ目標温度243℃での硬化後に、20μmの乾燥層厚が得られるように上塗りした。これによりコーティングHB6〜HB10、並びにVB1(市販のコイルコーティングプライマーと市販のコイルコーティングトップコートとの、前処理なしの組み合わせ)が得られた。さらなる比較試験において、市販のコイルコーティングプライマーと市販のコイルコーティングトップコートとの組み合わせのコーティングVB2を、市販の前処理剤(Gardobond TP 10475、製造元 Chemetall GmbH)をコーティングされた薄板上に製造した。
【0076】
コイルコーティングプライマーコーティングとコイルコーティングトップコートコーティングとによる構成物の試験:
得られた層構造物について、以下の試験を実施した:
MEK−試験:
室温への冷却後、得られたプライマーコーティングを、メチルエチルケトンを吸い込ませた綿球を用いて、DIN EN ISO 13523−11に準拠して、往復させた。
【0077】
テープ試験:
基材上のコイルコーティングプライマーとコイルコーティングトップコートとによる層結合物の付着性の測定を、DIN EN ISO 13523−7に準拠して行った。
【0078】
腐食試験(K−試験):
プライマーコーティングの腐食防止作用を試験するために、コーティングに傷をつけ、且つ360時間の塩水噴霧試験に供した。腐食負荷の終了後、その板を視覚的に評価した。傷の切り込みを、DIN EN 13523もしくはDIN EN ISO 9227に準拠してmmで測定した。
【0079】
T型曲げ試験(T−Bend−Test):
コイルコーティングプライマーとコイルコーティングトップコートとによる層結合物の柔軟性の測定のために、DIN EN 13523−7に準拠して実施した。
【0080】
コイルコーティングプライマーコーティングとコイルコーティングトップコートコーティングとによる構成物の試験結果:
【表3】