(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5734448
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】微粉砕機の動作特性を監視するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B02C 23/00 20060101AFI20150528BHJP
B02C 15/04 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
B02C23/00 Z
B02C15/04
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-538771(P2013-538771)
(86)(22)【出願日】2011年10月28日
(65)【公表番号】特表2013-542073(P2013-542073A)
(43)【公表日】2013年11月21日
(86)【国際出願番号】US2011058252
(87)【国際公開番号】WO2012064523
(87)【国際公開日】20120518
【審査請求日】2013年7月5日
(31)【優先権主張番号】12/941,502
(32)【優先日】2010年11月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503416353
【氏名又は名称】アルストム テクノロジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ロバート エフ. マーフィー
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ピー. サットン
(72)【発明者】
【氏名】レベッカ リン トビアシュ
(72)【発明者】
【氏名】シン キー プーン
【審査官】
筑波 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第07182283(US,B1)
【文献】
特開平06−091187(JP,A)
【文献】
特開平04−284857(JP,A)
【文献】
米国特許第03905557(US,A)
【文献】
実開昭63−028134(JP,U)
【文献】
特開平01−284344(JP,A)
【文献】
特開2003−340299(JP,A)
【文献】
特開2009−222265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 15/00−15/16
B02C 23/00−23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粉砕機の動作状態をモニタリングするためのシステムであって、
前記微粉砕機に対して配置されている少なくとも1つのセンタインタフェースモジュールであって、当該センサインタフェースモジュールが対応する前記微粉砕機に取り付けられた1つまたは複数のセンサによって生成された情報を受け取るように構成された少なくとも1つのセンサインタフェースモジュールと、
前記微粉砕機に対して設けられた前記少なくとも1つのセンサインタフェースモジュールと通信するオペレータコントロールステーションであって、前記センサインタフェースモジュールが前記センサから受け取った前記信号に関するデータを前記センサインタフェースモジュールから受け取るように構成されたオペレータコントロールステーションと
を有し、
前記オペレータコントロールステーションは、前記微粉砕機の少なくとも1つの動作特性を示す動作情報を生成し、前記動作特性の劣化が生じているか否かを判定するために前記動作情報を追跡するように構成されており、
前記微粉砕機は、当該微粉砕機内から石炭を輸送するための石炭パイプを含み、
前記センサには、前記石炭パイプ中に流れる空気の流れをモニタリングするためのエアフローメータと、当該石炭パイプ中に流れる空気中に含まれる水分量をモニタリングするための湿分計とが含まれており、
前記オペレータコントロールステーションは、前記センサインタフェースモジュールから受け取った、前記エアフローメータに関する前記データと前記湿分計に関する前記データとを変換し、前記石炭パイプ内の空気流量および湿分を追跡するように構成されており、
さらに、前記石炭パイプ内における石炭が詰まる前に対応するため、前記空気流量および前記湿分のうち一方または双方が所定のレベルに達した場合、前記オペレータコントロールステーションは警報を出力するように構成されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記センサのうち1つは、前記微粉砕機の一部を構成するバネ付勢装置に結合されたロードセルであり、
前記ロードセルは、前記微粉砕機に対して設けられた前記少なくとも1つのセンサインタフェースモジュールと通信し、前記バネ付勢システムに与えられた力を検出するように構成されており、
前記オペレータコントロールステーションは、前記少なくとも1つのセンサインタフェースモジュールから、前記ロードセルによって検出された前記力に対応するデータを受け取り、前記微粉砕機の一部を構成する1つまたは複数のジャーナル粉砕盤にかかる負荷を検出するために、受け取った前記データを処理し、
前記ロードセルは、前記バネ付勢システムに与えられた実際の力を検出するように設けられている、
請求項1記載の、微粉砕機の動作状態をモニタリングするためのシステム。
【請求項3】
前記微粉砕機は、少なくとも3つの粉砕盤と少なくとも3つのバネ付勢装置とを含み、
各バネ付勢装置はそれぞれ、前記粉砕盤のうち1つと通信し、
各バネ付勢装置はそれぞれ、各バネ付勢装置に結合された、前記ロードセルのうち1つを備え、かつ、前記少なくとも1つのセンサインタフェースモジュールと通信し、
前記オペレータコントロールステーションは、受け取った前記データを比較し、前記微粉砕機の動作状態が損傷を与える状態であることを示す、前記粉砕盤にかかる負荷の不均等の有無を判定する、
請求項2記載の、微粉砕機の動作状態をモニタリングするためのシステム。
【請求項4】
前記微粉砕機は伝動装置を含み、
前記センサは、各伝動装置に取り付けられた少なくとも1つの加速度計を含み、
前記オペレータコントロールステーションは、前記ロードセルによって検出された力に相当する、受け取った前記データと、前記加速度計によって検出された振動に相当する、受け取ったデータとを用いて、前記伝動装置の摩耗の不均等状態および劣化の不均等状態のうち少なくとも1つを示す情報を生成する、
請求項3記載の、微粉砕機の動作状態をモニタリングするためのシステム。
【請求項5】
前記微粉砕機に油貯蔵器が連通されており、
前記センサには、各貯蔵器ごとに配置されたフロートスイッチが含まれ、
前記貯蔵器内における油面が所定のレベルを下回ったことを、前記センサインタフェースモジュールから受け取った、前記フロートスイッチに関するデータが示した場合、前記オペレータコントロールステーションは警報を出力するように構成されている、
請求項1記載の、微粉砕機の動作状態をモニタリングするためのシステム。
【請求項6】
前記1つまたは複数のセンサには、各微粉砕機の一部を構成するアウトレットに配置されたCOセンサと、当該アウトレットに対して配置された温度センサとが含まれ、
前記オペレータコントロールステーションは、各センサインタフェースモジュールから受け取った、前記COセンサに関するデータと前記温度センサに関するデータとを、アウトレットCOレベルとアウトレット温度レベルとに変換し、当該アウトレットCOレベルとアウトレット温度レベルとを追跡するように構成されており、
前記オペレータコントロールステーションはさらに、前記アウトレットCOレベルおよび前記アウトレット温度レベルのうち一方または双方が所定のレベルに達した場合に警報を出力するように構成されている、
請求項1記載の、微粉砕機の動作状態をモニタリングするためのシステム。
【請求項7】
前記オペレータコントロールステーションはタッチスクリーンディスプレイを含む、
請求項1記載の、微粉砕機の動作状態をモニタリングするためのシステム。
【請求項8】
1つまたは複数の微粉砕機の動作状態をモニタリングする方法であって、
前記各微粉砕機に取り付けられた1つまたは複数のセンサによって検出されたデータを入力として受け取る、前記各微粉砕機に対して配置される少なくとも1つのセンサインタフェースモジュールを設置する第1のステップと、
前記センサインタフェースモジュールにおいて前記データを受け取る第2のステップと、
前記センサインタフェースモジュールは、必要に応じて前記データを変換するように動作する第3のステップと、
前記センサインタフェースモジュールと通信し前記微粉砕機の少なくとも1つの動作特性を示す動作情報を生成するオペレータコントロールステーションを設置する第4のステップと、
前記動作特性の劣化が生じているか否かを判定するために、前記オペレータコントロールステーションは或る時間にわたって前記動作情報をモニタリングおよび比較する第5のステップと
を有する方法において、
前記微粉砕機は、当該微粉砕機内から石炭を輸送するための石炭パイプを含み、
前記センサには、前記石炭パイプ中に流れる空気の流れをモニタリングするためのエアフローメータと、当該石炭パイプ中に流れる空気中に含まれる水分量をモニタリングするための湿分計とが含まれており、
前記第3のステップにおいて、前記オペレータコントロールステーションは、前記センサインタフェースモジュールから受け取った、前記エアフローメータに関する前記データと前記湿分計に関する前記データとを変換し、前記石炭パイプ内の空気流量および湿分を追跡し、
前記方法はさらに、
前記石炭パイプ内における石炭が詰まる前に対応するため、前記空気流量および前記湿分のうち一方または双方が所定のレベルに達した場合、前記オペレータコントロールステーションは警報を出力する第6のステップ
を有することを特徴とする方法。
【請求項9】
前記微粉砕機は、少なくとも1つのジャーナルアセンブリを含み、
前記センサには、前記ジャーナルアセンブリのローラアセンブリまたは潤滑用の油貯蔵器に配置された熱電対が含まれ、
前記熱電対から受け取ったデータと、当該オペレータコントロールステーションに記憶された履歴温度データとの比較結果に応じて、前記オペレータコントロールステーションは警報を出力するように構成されている、
請求項1記載の、微粉砕機の動作状態をモニタリングするためのシステム。
【請求項10】
前記微粉砕機の軸受のハウジング(106)に加速度計(106)が設置されており、
前記オペレータコントロールステーションは、前記加速度計(106)により求められた振動レベルと、当該オペレータコントロールステーションに記憶された履歴振動レベルまたは予め定められた設定値との比較結果に応じて、警報を出力するように構成されている、
請求項1ないし7および9のいずれか1項記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には微粉砕機の動作および保守に関し、より具体的には、1つまたは複数の微粉砕機の有害な動作特性を予測および/または有害な動作特性に対応するために、当該微粉砕機の動作上の種々の観点をモニタリングできるようにするシステムおよび方法に関する。
【0002】
背景技術
石炭は、多くの発電設備において燃料として用いられている。石炭を発電設備に投入する前に、典型的には石炭を粉砕処理し、このことにより、石炭の大きさを、粒度が比較的高い塊から細かい粉体に低減させる。このような処理を行うのは、有効表面積を増大させることによって石炭の反応性を向上させ、石炭表面の水分を低減し、発電設備の一部である炉内へ石炭を輸送するのをより容易にするためである。
【0003】
石炭は微粉砕機によって、上述のような細かい粉体に変換される。この微粉砕機には複数の異なる種類があり、たとえば、ボールミル微粉砕機、ローラミル微粉砕機またはボールレース型微粉砕機、衝撃式微粉砕ミルまたはハンマー型微粉砕ミル、および磨砕型微粉砕機がある。微粉砕工程は、発電系統の中で最初の工程であり、一般的には所要時間が長い。微粉砕機は、所要発電量に応じた正確な量の石炭を乾燥および破砕するのに使用される。微粉砕機の動作に不具合が生じると、石炭の粉砕量が不十分になるか、または、発電設備の炉内に供給される粉砕石炭が無い状態になってしまう。本願明細書では全体的に、ローラミル微粉砕機を一例として説明するが、本願発明はこの型の微粉砕機に限定されることはない。というのも、本願発明が属する技術分野の知識を有する者に公知である他の種類の微粉砕機にも同様に、本願発明を適用できるからである。
【0004】
さらに、微粉砕機から出された石炭の粒度が所望の粒度でない場合、燃焼が不十分となり、これによって、発電設備にて使用されるボイラの一部である伝熱面に未燃焼の石炭や大きい石炭が固着してしまう。従来、微粉砕機の性能のモニタリングは、手動の検査によって行われていた。多くの場合、このようなモニタリングは不十分であることが判明している。現在のところ、微粉砕機に入ろうとする混入鉄が適切に排出されるか否かを当該微粉砕機が検出する内蔵機能や、予め定められた最小サイズより大きい断片の混入鉄がいつ来るかを微粉砕機が特定する内蔵機能は存在しない。ローラミル微粉砕機では、混入鉄が放出されないと、この混入鉄が粉砕ローラにも、微粉砕機の本体およびボールにも衝撃を繰り返し与え、これらの部品が潜在的に損傷して、微粉砕機の構造的な完全性が損なわれてしまう。通常は、オペレータが微粉砕機の音を聞くことにより、混入鉄の有無を検出する。このような検出の信頼性は非常に低い。
【0005】
大部分の皿形ミル微粉砕機では、石炭を粉砕するために、相互間の間隔が約120°である3つのローラが使用される。この粉砕を行うのに必要な圧縮力の大部分は、付勢されたバネによって供給される。このバネの付勢が適切に設定されないと、すべてのローラが石炭に与える力が等しくならず、このことにより、損傷の原因となる振動状況が潜在的に生じ、かつ、微粉砕機の粉砕能力や粒度の性能が低下してしまう。さらに、現在のところ、粉砕ローラが摩耗や損傷したか否かを検出する手段は存在しない。また現在は、軸受の致命的な不具合や、微粉砕機全体に過負荷がかかっていることを示す振動を検出する手段も存在しない。微粉砕機には基本的に、上記のような数多くの動作上の問題が生じるが、上記例以外にも多くの問題があり、これらの問題を検出するための現在の手段は時代遅れで古い。現在は、微粉砕機に火が生じているか否かを迅速に検出できる方法は存在しない。このような火は微粉砕機に損傷を与え、作業員の安全に関わる問題を引き起こすことになる。現在はまた、石炭流の損失が生じたか否かを高信頼性で判定できる方法も存在しない。石炭流の損失により、微粉砕機内部の化学量論組成が燃料リッチ状態の動作領域から燃料リーン状態の動作領域に変化してしまう。
【0006】
発明の概要
ここで示す側面では、各微粉砕機ごとにまたは各微粉砕機の近傍に少なくとも1つ配置されたセンサインタフェースモジュールを含む複数の微粉砕機の動作状態を監視するためのシステムを提供する。前記センサインタフェースモジュールは、各センサインタフェースモジュールに対応する微粉砕機に取り付けられた1つまたは複数のセンサによって生成された情報を受信するように動作する。1つのオペレータコントロールステーションが、前記センサから受け取った信号に関するデータを前記センサインタフェースモジュールから受信するために、複数の当該センサインタフェースモジュールと通信するように構成されている。オペレータコントロールステーションはさらに、微粉砕機の少なくとも1つの動作特性を示す動作情報を生成し、かつ、当該動作特性の劣化が生じたか否かを判定するために前記動作情報を追跡するように構成されている。
【0007】
さらに別の側面では、微粉砕機を監視するための上述のシステムは、微粉砕機の一部を構成するバネ付勢装置に結合されたロードセルを含み、当該ロードセルは、前記センサインタフェースモジュールと通信し、当該バネ付勢システムに加えられた力を検出するように構成されている。この実施形態では、オペレータコントロールステーションは前記センサインタフェースモジュールから、前記ロードセルによって検出された力に相当するデータを受け取る。前記オペレータコントロールステーションは、受け取った前記データを解析し、前記微粉砕機の一部を構成する1つまたは複数のジャーナル研削盤にかかる負荷を示す情報を含むレポートを生成するように構成されている。ローラミル微粉砕機は一般的に、少なくとも3つの研削盤と、少なくとも3つのバネ付勢装置とを含む。各バネ付勢装置は前記研削盤のうち1つと通信し、これに結合されたロードセルを有する。前記オペレータコントロールステーションは、受け取った前記データを比較し、研削盤にかかる負荷が等しくないか否か、ひいては、前記微粉砕機内部の動作状態が不利な状態であることを示すか否かを判定する。
【0008】
さらに別の側面では、微粉砕機の出火の有無を検出するのは困難である。本発明では、微粉砕機の一部を構成するアウトレットにCOセンサが配置され、当該アウトレットに、または当該アウトレットの近傍に温度センサが配置されている。前記オペレータコントロールステーションは、前記センサインタフェースモジュールから受け取った、前記COセンサおよび前記温度センサに関するデータを、前記アウトレットのアウトレットCOレベルとアウトレット温度レベルとに変換し、当該アウトレットCOレベルおよびアウトレット温度レベルを追跡する。前記アウトレットCOレベルおよび前記アウトレット温度レベルのうち一方または双方が、予め定められたレベルに達した場合、前記オペレータコントロールステーションは警報を出力する。
【0009】
さらに別の側面では、前記微粉砕機は、当該微粉砕機内から石炭を輸送するための石炭パイプを含む。エアフローメータが、前記石炭パイプを通る空気の流れをモニタリングし、当該石炭パイプに流れる空気中に含まれる水分量をモニタリングするために湿分計が設けられている。前記オペレータコントロールステーションは、前記センサインタフェースモジュールから受け取った、前記エアフローメータおよび前記湿分計に関するデータを変換し、前記石炭パイプ内に流れる空気流と、当該石炭パイプ内の湿分とを追跡する。前記アウトレット空気流量および前記湿分のうち一方または双方が、予め定められたレベルに達した場合、前記オペレータコントロールステーションは警報を作動させる。
【0010】
さらに別の側面では、複数の微粉砕機の動作状態をモニタリングする方法は、前記複数の各微粉砕機にそれぞれ取り付けられるかまたは各微粉砕機の近傍にそれぞれ取り付けられたセンサインタフェースモジュールを設けるステップを有し、前記センサインタフェースモジュールは、前記複数の各微粉砕機にそれぞれ取り付けられるかまたは各微粉砕機の近傍にそれぞれ取り付けられた1つまたは複数のセンサによって検出されたデータを入力として受け取る。センサによって生成されたデータはセンサインタフェースモジュールにおいて受信され、必要な場合には、前記データはこのセンサインタフェースモジュールにおいて更に変換され、必要な場合には、アナログデータからデジタルデータに変換される。オペレータコントロールステーションが前記センサインタフェースモジュールと通信するように設けられている。前記オペレータコントロールステーションは、当該オペレータコントロールステーションがモニタリングしている前記複数の各微粉砕機の少なくとも1つの動作特性を示す動作情報を生成し、前記微粉砕機の動作特性に劣化が生じている場合には、この劣化の程度を求めるために、時間的な動作情報をモニタリングおよび比較する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施例の微粉砕機の断面の一部を示す図である。
【
図2】微粉砕機と通信するセンサインタフェースモジュール、および、当該センサインタフェースモジュールと通信するオペレータコントロールステーションを概略的に示す図である。
【
図3】微粉砕機と通信するセンサインタフェースモジュール、および、当該センサインタフェースモジュールと通信するオペレータコントロールステーションを概略的に示す図であり、ここでは、オペレータコントロールステーションの詳細を示す。
【
図4】モニタリング対象である6つの微粉砕機を表示する、オペレータコントロールステーションに設置されたディスプレイのスクリーンを示す図である。
【0012】
詳細な説明
図1に示された微粉砕機には、全体として符号20を示す。前記微粉砕機20は一例として、ローラミル型微粉砕機である。以下の記載では、このローラミル型微粉砕機を参酌して説明を行うが、本願発明はこの型の微粉砕機に限定されることはない。というのも本願発明は、衝撃式微粉砕機やハンマー型微粉砕機、磨砕型微粉砕機等である他の型の微粉砕機にも適用できるからである。
【0013】
前記微粉砕機20は土台22によって支持されており、この土台上に配置されたハウジング24を含む。前記ハウジング24は前記微粉砕機20を支持する。図中の実施形態では、前記ハウジング24内に駆動装置30が配置されている。この駆動装置30は、ウォームギヤ34を回転させる、モータ駆動されるウォーム駆動装置32を含み、前記ウォームギヤ34はシャフト36に駆動可能および回転可能に係合されている。ここでは、モータ駆動されるウォーム駆動装置32を図示および説明しているが、本発明はこのモータ駆動されるウォーム駆動装置32に限定されない。というのも、本発明のより全般的な範囲から逸脱することなく、このモータ駆動されるウォーム駆動装置を、モータ駆動される或る伝動装置に置き換えることができるからだ。前記シャフト36には石炭粉砕ボール40が結合されている。3つのローラアセンブリ46が相互に等間隔で、約120°離れて配置されており(そのうち1つのみを示す)、かつ、回転する前記石炭粉砕ボール40に近接して配置されている。前記ローラアセンブリ46はそれぞれ、前記ハウジング24によって支持されているジャーナルアセンブリ50の一部である。このジャーナルアセンブリには1つのローラアセンブリ46が含まれており、このローラアセンブリ46が、粉砕ローラ54を回転可能に支持している。前記ローラアセンブリ46は、動作中に当該ローラアセンブリの向きを変えるためのローラピボット軸56に取り付けられており、このローラピボット軸56を中心として回転する。
【0014】
前記ローラアセンブリ46から支持アーム60が延在している。この支持アーム60からねじロッド63が延在しており、このねじロッド63は、当該ねじロッド63の一端に取り付けられたバネ台62を有する。このバネ台62にバネ64が係合されており、バネ台62は支持アーム60に係合されている。前記ハウジング24にバネキャップ70が結合されており、前記バネ64は前記バネ台62と前記バネキャップとの間に介挿されている。動作中には、前記支持アーム60を介して伝達された、ローラ54に与えられる粉砕力が、予め付勢されたバネ力を上回るほど十分である場合、前記ロールアセンブリの向きが変えられる。
【0015】
分離器ハウジング80が前記ローラアセンブリ52を囲むように設置されており、ミルハウジング24によって支持されている。図中の実施形態では、中央供給インレット84が前記分離器ハウジング80内にまで延在している。この中央供給インレット84は更に分離器コーン部82内まで延在しており、インレット84は原材料を、粉砕皿40内部の中央に堆積させる。すると、この原材料は遠心力によって半径方向に、ボールの粉砕領域へ均質に分配され、この粉砕領域において前記原材料は粉砕ローラ54によって破砕される。材料がより良好なコンシステンシーになるまで繰り返し破砕および粉砕される間、通常は空気である移送ガスがミルハウジング内に送られ、細かくなった粒子は上方に、前記分離器ハウジング80内へ搬送される。十分に細かくなった粒子はアウトレットパイプ90を通って移送され、それに対し、より大きい粒子は分離器コーン部82を介して戻され、さらに粉砕される。
【0016】
図2には、3つのセンサインタフェースモジュール92がそれぞれ1つの微粉砕機20に対して設けられているのが示されている。以下でさらに詳細に説明するが、各センサインタフェースモジュール90は入力として、各センサインタフェースモジュールに対して設置された微粉砕機20に取り付けられた1つまたは複数のセンサによって生成された情報を受け取るように構成されている。センサインタフェースモジュール90は微粉砕機20に取り付けるか、または微粉砕機20の近傍に取り付けることができる。1つより多くの微粉砕機20に対して設けられたセンサインタフェースモジュール92をまとめて収容することも可能である。以下で詳細に説明するが、たとえばロードセル、加速度計、熱電対および流量計等である種々の種類のセンサを微粉砕機20に取り付け、これらのセンサをセンサインタフェースモジュール90によってモニタリングすることができる。センサの種類は、上記具体例に限定されない。上述の各センサを単独で、または組み合わせて使用して、当該センサの取付先である微粉砕機20の動作特性をモニタリングすることができる。図中の実施形態では、前記3つのセンサインタフェースモジュール90は共に、1つのオペレータコントロールステーション92と通信する。このオペレータコントロールステーション92は、TCP/IPまたはCANリンク等を介して前記各センサインタフェースモジュール90と通信する。以下でさらに詳細に説明するが、オペレータコントロールステーション92はさらに、微粉砕機20の少なくとも1つの動作特性を示す動作情報を生成し、かつ、当該動作特性の劣化が生じているか否かを判定するために前記動作情報を追跡するように構成されている。ここで使用されている「動作特性」との用語は、微粉砕機の任意の動作状態を意味する用語として広義に解すべきであり、温度、振動、部品にかかる負荷、気体および/または固体の流量、および湿分レベル等が含まれるが、これらに限定されない。微粉砕機20に対して設けられたセンサインタフェースモジュール90が1つである構成を示したが、本発明はこれに限定されることはない。というのも、本発明のより一般的な側面から逸脱することなく、各微粉砕機に対して設けられるセンサインタフェースモジュールの数を1つより多くできるからである。また、ここで図示および記載したオペレータコントロールステーションは1つであるが、本発明はこれに限定されない。というのも、本発明のより一般的な側面から逸脱することなく、複数の微粉砕機をモニタリングするために使用されるオペレータコントロールステーションを1つより多くできるからである。
【0017】
各センサインタフェースモジュール90は、微粉砕機20に対して設けられたセンサによって生成され当該センサから受け取られた情報の信号変換および/またはアナログデジタル変換を行うように構成することができる。さらに、前記センサインタフェースモジュール90は、たとえば前記センサから受け取った情報の平均値、最大値、最小値、2乗平均値(RMS)を求める処理等、基本的な信号処理を行うこともできる。
【0018】
図3を参照すると、同図中の実施形態では各微粉砕機20が、各微粉砕機20に対して設けられた2つのセンサインタフェースモジュール90を有する。
図3に示された6つのセンサインタフェースモジュール90はすべて、1つのオペレータコントロールステーション92と通信する。図中の実施形態では、オペレータコントロールステーション92はMODBUS94を含み、これは各センサインタフェースモジュール90と通信する。MODBUS94は各センサインタフェースモジュール90から、センサによって検出された情報を示すデータを受け取って収集する。MODBUS94はさらに、実行エンジン96とも通信する。この実行エンジン96はMODBUS94からデータを受け取り、統計的計算等の計算やデータ操作を行うことができるが、これに限定されない。さらに、オペレータコントロールステーション92によってモニタリングされている微粉砕機20に問題があることを、受け取った前記データが示す場合には、前記実行エンジン96が警報を生成するように構成されている。前記実行エンジン96はサーバ98と通信する。前記実行エンジン96が受信および/または生成したデータは、履歴用にサーバ98に記憶される。さらに、前記実行エンジン96からサーバ98へ、かつサーバ98から実行エンジン96へ、コンフィギュレーションデータも転送される。
【0019】
図3を参照すると、前記オペレータコントロールステーション92はさらにユーザインタフェース100を含む。図中の実施形態では、このユーザインタフェース100はタッチスクリーンディスプレイである。このタッチスクリーンディスプレイ100はとりわけ、警報、実行時データ、履歴データ、実行時イベント、履歴イベントおよび診断結果を表示することができる。
図4の構成では、オペレータコントロールステーション92の動作中に、前記タッチスクリーンディスプレイ100がモニタリング対象である微粉砕機を表すアイコン102を示すことができる。これらのアイコン102は、各微粉砕機の動作状態を表すことができる。たとえばアイコン102は、微粉砕機が円滑に動作しているか否か、または遮断されているか否かを示すことができる。さらに、微粉砕機の動作状態を示すために、前記アイコン102は色を変えることもできる。たとえば、緑色は通常運転を表し、オレンジ色は警告を表し、黄色は、受け取っているデータに問題があることを表し、灰色は、微粉砕機がオフラインであることを表すことができる。しかし、本発明はこれらの構成に限定されない。というのも、本発明のより一般的な側面から逸脱することなく、微粉砕機の任意の数の動作状態を表すために、任意の数の色を使用できるからである。さらに、微粉砕機の動作状態の表し方を変えることもでき、たとえば点滅アイコンを用いることもできる。
【0020】
前記タッチスクリーンディスプレイ100はまた、前記センサインタフェースモジュール90から受け取ったアナログ信号のグラフィックのようなものを表示することもできる。現在および過去のデータおよび情報を表示することもできる。オペレータコントロールステーション92は、複数の異なるレベルのセキュリティプロトコルを使用することもできる。たとえば、微粉砕機の状態をタッチスクリーンディスプレイ100上で見るためには、セキュリティプロトコルは必要ないが、微粉砕機のオペレータが必要とするデータおよび/または情報等である、特定のデータおよび/または情報を見たり表示させるよう要求するためには、パスワードやカード読取り、指紋スキャナ等のセキュリティプロトコルを必要とすることが考えられるが、セキュリティプロトコルはこれらの具体例に限定されない。システム構成、設定量または他のパラメータの変更を行うためには、より高レベルのセキュリティプロトコルを必要とすることが考えられる。ここではタッチスクリーンディスプレイを図示および説明したが、本発明はこれに限定されない。というのも、本発明に包含され得る、当業者に公知の適切な任意のディスプレイを使用できるからである。
【0021】
以下説明するように、上述のセンサと、センサインタフェースモジュール90と、オペレータコントロールステーション92とを組み合わせて使用することにより、微粉砕機の種々の動作特性をモニタリングおよび予測することができる。たとえば、
図1および2を参照すると、粉砕ローラ54にかかる負荷のモニタリングは、当該粉砕ローラにかかる負荷を分散させるために使用される、当該粉砕ローラに対して設けられたバネ64に、ロードセル110を取り付けることによって実現することができる。さらに、加速度計112を伝動装置104に設置することもできる。前記ロードセル102から受け取る負荷データと、前記伝動装置102に設置された加速度計104から受け取る振動データとをモニタリングすることにより、オペレータコントロールステーション92は、前記複数の粉砕ローラ54(
図1)にかかる負荷が等しくないか否かを検出することができる。前記オペレータコントロールステーション92は、前記複数の粉砕ローラにかかる負荷の差が所定値を超えたことを示す警報を出力することができる。前記複数の粉砕ロールにかかる負荷が等しくないことを特定できないと、微粉砕機の伝動装置102に生じる摩耗、および、微粉砕機のモータ(図示されていない)に生じる摩耗が不均等になり、微粉砕機の伝動装置104に取り付けられた主垂直軸36は損傷してしまう。粉砕ローラにかかる負荷が不均等になっている状態で微粉砕機が動作することにより生じる振動負荷は、部品の摩耗を早めて部品の寿命を短縮させる原因となり、微粉砕機の容量が減少し、石炭が漏れてしまう。
【0022】
上述の警報がとることができる形態は数多く存在し、たとえば、聴覚的な警報を鳴らしたり、視覚的な警報を用いたりすることができる。さらに、テキストメッセージを送信したり、電話をかけたり、Eメールを送信することもできる。また、上述の警報を任意に組み合わせて用いることもできる。
【0023】
微粉砕機は、部品を回転させ、および/または動かすことを容易にするため、数多くの軸受を用いる。これら数多くの軸受の状態をモニタリングするために、これらの軸受が組み込まれたハウジング106に加速度計106が設置されている。これらの加速度計はセンサインタフェースモジュール90によってモニタリングされ、センサインタフェースモジュール90は、当該加速度計から受け取ったデータを前記オペレータコントロールステーション92へ送信する。オペレータコントロールステーション92は、このデータを振動レベルに変換し、この振動レベルと、当該オペレータコントロールステーションに記憶された履歴振動データと比較するか、または、予め定められた設定値と比較するように構成されている。このことにより、通常の軸受の劣化をモニタリングし、軸受の不具合を予測することができる。さらに、損傷を引き起こす軸受の動作が検出された場合、オペレータコントロールステーションは警報を出力する。オペレータコントロールステーション92は、ある程度の時間にわたって軸受の振動レベルを追跡し、グラフィック表示するように構成されている。再び
図1を参照すると、複数のジャーナルアセンブリ50はそれぞれ、ローラアセンブリ46を潤滑するための油貯蔵器51を含む。ここでは1つのジャーナルアセンブリ50のみを示す。このローラアセンブリの一部を成す軸受の温度をモニタリングするために、ローラアセンブリ46に熱電対53が設置されている。この熱電対53はセンサインタフェースモジュール90によってモニタリングされ、センサインタフェースモジュール90は、当該熱電対から受け取ったデータを前記オペレータコントロールステーション92へ送信する。オペレータコントロールステーション92は、熱電対53から受け取ったデータを温度情報に変換し、この温度情報と、当該オペレータコントロールステーションに記憶された履歴温度情報とを比較するように構成されている。
【0024】
微粉砕機は典型的には、モータと伝動装置104とによって駆動される。一般的に、部品の不具合、および、部品の不具合の始まりは、伝動装置内における振動が増大する原因となる。上述のモニタリングシステムは、伝動装置の振動を測定するために、当該伝動装置に取り付けられた加速度計112を含むことができる。伝動装置に取り付けられた加速度計により検出された加速度データは、モニタリング対象である微粉砕機20に対して設けられたセンサインタフェースモジュール90によって受け取られる。前記センサインタフェースモジュール90は、加速度計から受け取ったデータをオペレータコントロールステーション92へ送信する。オペレータコントロールステーション92は、このデータを振動レベルに変換し、この振動レベルと、当該オペレータコントロールステーションに記憶された履歴振動データと比較するか、または、予め定められた設定値と比較するように構成されている。伝動装置に損傷を与える振動状態が検出されると、オペレータコントロールステーションによって警報を出力することができる。さらに、オペレータコントロールステーション92は、ある程度の時間にわたって伝動装置の振動レベルを追跡し、グラフィック表示するように構成されている。
【0025】
微粉砕機は典型的には、1つまたは複数のアウトレットパイプ90を使用するが、このアウトレットパイプ90は、粉砕された石炭が詰まりやすい傾向にある。詰まる可能性を最小限にするために、上述のシステムはアウトレットパイプ90内部にエアフローセンサ114と湿分センサ116とを用いることができる。空気流量と湿分とをモニタリングすることにより、アウトレットパイプ90が詰まる前に対応することができる。したがって、微粉砕機に対して設けられたセンサインタフェースモジュール90は、エアフローセンサ114と湿分センサ116とからそれぞれデータを受け取る。このデータはオペレータコントロールステーション92へ転送され、ここで、このデータと設定値および履歴データと比較することができる。空気流量データおよび/または湿分データが所定のレベルに達すると、オペレータコントロールステーション92は警報を出力することができる。
【0026】
微粉砕機の動作中には、粉砕された石炭が着火し、これによって微粉砕機内部が発火してしまう期間がある。歴史的には、微粉砕機の発火は目視によって検出され、この発火を良好に検出できるのは、しばしば、発火が始まってから後であることが多い。このような発火によって微粉砕機が損傷を受け、作業員に安全上重大な危険が及ぶことがある。上述のシステムは、微粉砕機からのCOエミッションをモニタリングしたり、微粉砕機内部の温度上昇を検出するために、一酸化炭素センサ118および/またはアウトレット温度センサ120を有することができる。この構成に対応して、微粉砕機に対して設置されたセンサインタフェースモジュール90は、前記COセンサおよび/または温度センサからデータを受け取り、これらに関する情報をオペレータコントロールステーション92へ送信し、ここで、前記情報と、設定値や履歴データとを比較することができる。COレベルおよび/または温度レベルが所定のレベルを超えると、オペレータコントロールステーションは警報を出力することができる。図中の実施形態にて示したセンサの位置は図解のために示したものである。というのも、センサの具体的な位置は、微粉砕機の種類、最適なセンサ位置および/または微粉砕機の設置や構成に依存して変わってくるからである。
【0027】
上述のように、微粉砕機は一般的に数多くの軸受を使用し、かつ、伝動装置104も使用する。これらの部品は通常、油によって潤滑される。この潤滑に用いられるものとして、典型的には油貯蔵器122が設けられており、この油貯蔵器122内の油面が維持される。この油貯蔵器122内の油面を維持できなくなると、伝動装置104および/または軸受の潤滑が不十分となり、このことにより、これらの部品の甚大な不具合の危険性が生じ、ひいては、微粉砕機の甚大な不具合の危険性が生じる油貯蔵器122内に油面センサ124を有することができる。この油面センサ124はたとえば、油面が所定のレベルまで低下したときに作動されるフロートスイッチ等であるが、これに限定されない。この構成に対応して、微粉砕機に対して設置されたセンサインタフェースモジュール90は、当該フロートスイッチが作動されたとの入力を受け取り、この情報をオペレータコントロールステーション92へ送信する。前記貯蔵器内の油面が所定のレベルを下回ったと警告するため、前記オペレータコントロールステーションは警報を出力することができる。
【0028】
さらに、本願発明は、微粉砕機に任意の数の異なるセンサを設置したり、任意の数の種類のセンサを設置することができ、これらのセンサは上述のセンサインタフェースモジュールと通信することができると広く解釈すべきである。センサの種類および位置は、微粉砕機の何の動作特性をモニタリングするかに依存する。
【0029】
種々の実施例を参照して本発明を説明したが、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく種々の変更を施したり、上記実施例の構成要素と同等のものに置き換えることが可能であることは明らかである。さらに、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく、特定の状況や材料を本発明の思想に合わせて、種々の変更を施すことも可能である。よって本発明は、本発明を実施するのに最良の態様として開示した特定の実施形態に限定されるわけではなく、本発明は、特許請求の範囲内に含まれるすべての実施形態を含むものである。