(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用できる実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態では、後述するイメージセンサユニットと、このイメージセンサユニットが適用される画像読取装置および画像形成装置について説明する。なお、以下に説明する各図では、必要に応じてイメージセンサユニットの主走査方向をX方向、副走査方向をY方向、主走査方向および副走査方向に直交する方向をZ方向で示している。画像読取装置および画像形成装置では、イメージセンサユニットが読取対象物としての原稿Dに光を照射し、反射光を電気信号に変換することで画像を読み取る(反射読取)。なお、読取対象物は原稿Dに限られず、その他の読取対象物に対しても適用可能である。また、透過読取であっても適用可能である。
【0012】
ここで、画像読取装置または画像形成装置の一例である多機能プリンタ(MFP;Multi Function Printer)の構造について
図1を参照して説明する。
図1は、大型原稿に対応したMFP100の外観を示す斜視図である。
図1に示すように、MFP100は、シートフィード方式のイメージスキャナーとしてA0サイズやA1サイズなどの大型な原稿Dからの反射光を読み取る画像読取手段としての画像読取部110と、記録媒体としてのロール紙R(記録紙)に原稿Dの画像を形成(印刷)する画像形成手段としての画像形成部210とを備えている。
【0013】
画像読取部110はいわゆるイメージスキャナーの機能を有するものであり、例えば以下のように構成される。画像読取部110は、筐体120と、給紙口130と、原稿排紙口140と、原稿回収ユニット150と、シート回収ユニット160と、イメージセンサユニット1と、原稿搬送ローラ101とを備えている。
【0014】
イメージセンサユニット1は、例えば密着型イメージセンサ(CIS;Contact Image Sensor)ユニットである。イメージセンサユニット1は、筐体120内に固定されている。
画像読取部110では、給紙口130から筐体120内に差し込まれた原稿Dは、駆動機構により回転駆動される原稿搬送ローラ101によって挟まれつつ所定の搬送速度でイメージセンサユニット1に対して相対的に搬送される。イメージセンサユニット1は搬送されている原稿Dを光学的に読み取って、後述するセンサチップ30により電気信号に変換することで、画像の読み取り動作を行う。画像が読み取られた原稿Dは、原稿搬送ローラ101によって搬送され原稿排紙口140から排紙される。原稿排紙口140から排紙された原稿Dは、筐体120の背面に配置された原稿回収ユニット150によって回収される。
【0015】
図2は画像形成部210の構造を示す概略図である。
画像形成部210はいわゆるプリンタの機能を有するものであり、筐体120内部に収容され例えば以下のように構成される。画像形成部210は、ロール紙Rと、シート搬送ローラ220と、プリンタヘッド230とを備えている。プリンタヘッド230は、例えばシアンC、マゼンタM、イエローY、黒Kのインクを備えたインクタンク240(240c、240m、240y、240k)と、これらのインクタンク240にそれぞれ設けられた吐出ヘッド250(250c、250m、250y、250k)から構成される。また、画像形成部210は、プリンタヘッドスライドシャフト260と、プリンタヘッド駆動モータ270と、プリンタヘッド230に取り付けられたベルト280とを有している。さらに、
図1に示すように、画像形成部210には、印刷されたシートSが排紙されるシート排紙口290を備えている。
【0016】
画像形成部210では、連続したロール紙Rの一端であるシートSは、駆動機構により回転駆動されるシート搬送ローラ220によって挟まれつつ印刷位置まで搬送方向F2に搬送される。プリンタヘッド230は、プリンタヘッド駆動モータ270によりベルト280を機械的に動かすことで、プリンタヘッドスライドシャフト260に沿って印刷方向(X方向)に移動しつつ電気信号に基づいてシートSに対して印刷を行う。印刷終了まで上述した動作を繰り返した後、印刷されたシートSはX方向に沿って切断される。切断されたシートSはシート搬送ローラ220によってシート排紙口290から排紙される。シート排紙口290から排紙されたシートSは、筐体120の下側に配置されたシート回収ユニット160によって回収される。
なお、画像形成部210としてインクジェット方式による画像形成装置を説明したが、電子写真方式、熱転写方式、ドットインパクト方式などどのような方式であっても構わない。
【0017】
(第1の実施形態)
次に、
図3および
図4を参照して、イメージセンサユニット1の各構成部材について説明する。
図3は、イメージセンサユニット1を備えた画像読取部110の一部の構成を示す断面図である。
図4は、イメージセンサユニット1の分解斜視図である。
イメージセンサユニット1は、カバーガラス2、光源3、集光体としてのロッドレンズアレイ6、センサ基板部91、光電変換素子としてのセンサチップ30およびこれらを収容する支持体としてのフレーム7などを備えている。これらの構成部材のうち、カバーガラス2およびフレーム7は、大型の原稿Dの読取長に対応させて主走査方向に長く形成されている。
【0018】
フレーム7は、イメージセンサユニット1の各構成部材を収容する。フレーム7は、矩形状であって、イメージセンサユニット1の構成部材を位置決めして支持するために、内部が複数の凹凸状に形成されている。
カバーガラス2は、フレーム7内に塵が侵入するのを防止する。カバーガラス2は平板状であって、フレーム7の上部に固定される。
【0019】
光源3(3a、3b)は、原稿Dを照明する。光源3a、3bはそれぞれ、カバーガラス2の下方であって、ロッドレンズアレイ6を中心に対称な位置に固定される。
図4に示すように、光源3は、例えば赤R、緑G、青Bの3色の波長を持つ発光素子4r、4g、4bと、発光素子4r、4g、4bを実装する基板5とを有している。発光素子4r、4g、4bは、例えばLEDチップであり、主走査方向に長く形成された基板5に所定の順番でそれぞれ間隔をあけて実装されている。本実施形態の光源3a、3bはそれぞれ、通常の大きさの原稿(例えばA4、A3サイズ)を読み取るイメージセンサユニットに用いられる基板を主走査方向に複数配列して構成されている。
【0020】
ロッドレンズアレイ6は、原稿Dからの反射光をセンサ基板10に実装されたセンサチップ30に結像するための光学部材である。ロッドレンズアレイ6は、光源3aと光源3bとの中央位置に配置される。ロッドレンズアレイ6の入射面6aと出射面6bとの間で形成される光軸(
図3に示す一点鎖線)の延長線上にセンサチップ30が位置する。ロッドレンズアレイ6は、正立等倍結像型の結像素子(ロッドレンズ)を主走査方向に複数配列して構成されている。本実施形態のロッドレンズアレイ6は、通常の大きさの原稿を読み取るイメージセンサユニットに用いられるロッドレンズアレイを主走査方向に複数配列して構成されている。
なお、集光体には各種マイクロレンズアレイなど、従来公知の各種集光機能を有する光学部材が適用できる。
【0021】
センサ基板部91は、複数のセンサ基板10を有している。センサ基板10は、ロッドレンズアレイ6により結像された反射光を電気信号に変換するセンサチップ30を主走査方向(長手方向)に複数実装する。センサ基板部91は、フレーム7の下部に固定される。本実施形態のセンサ基板部91は、通常の大きさのセンサ基板10を主走査方向に複数配列し、接続することで所定の読取長に構成されている。この際、センサ基板10同士を後述する方法で接続することにより、センサチップ30の破損を防止することができる。
【0022】
上述したように構成されるイメージセンサユニット1を備えたMFP100が原稿Dの読み取りを行う場合、画像読取部110は原稿搬送ローラ101によって所定の搬送速度で搬送方向F1に搬送される原稿Dに対し、イメージセンサユニット1の光源3a、3bの発光素子4r、4g、4bを順次、点灯駆動させて光を照射させる。光源3a、3bから照射された光は、ロッドレンズアレイ6を挟んだ2方向から原稿Dの読み取り面に対して出射され、主走査方向に亘ってライン状に均一に照射される。この照射された光が原稿Dによって反射されることで、ロッドレンズアレイ6を介してセンサチップ30の後述するフォトダイオード31上に結像される。この結像された反射光は、センサチップ30により電気信号に変換された後、図示しない信号処理部において処理される。
【0023】
このようにして画像読取部110は、R、G、Bの反射光を1走査ライン分読み取ることで、原稿Dの主走査方向における1走査ラインの読み取り動作を完了する。1走査ラインの読み取り動作終了後、原稿Dの副走査方向への移動に伴い、上述した動作と同様に次の1走査ライン分の読み取り動作を行う。このように、画像読取部110は、原稿Dを搬送方向F1に搬送しながら1走査ライン分ずつ読み取り動作を繰り返すことで、原稿D全面の画像読み取りを行う。
【0024】
次に、センサ基板部91の構成について説明する。以下では、2つのセンサ基板10を主走査方向に直線状に接続する場合について説明する。
図5Aは、センサ基板部91の平面図である。
図5Bは、
図5Aのうち、センサ基板部91の接続部を拡大した平面図である。
図5Cは、
図5Bに示すI−I線断面図である。
図5Aに示すように、センサ基板10A、10Bは主走査方向に長い矩形状をした平板状に形成されている。センサ基板10A、10Bは、例えばセラミック基板、ガラスエポキシ基板などを用いることができる。
【0025】
センサ基板10A、10Bの実装面11A、11B上にはそれぞれ複数(
図5Aではそれぞれ4つ)のセンサチップ30(30
1〜30
4、30
5〜30
8)が、センサ基板10A、10B上に主走査方向(長手方向)に直線状に配列された状態で実装されている。なお、
図5Cに示すように、各センサチップ30(30
1〜30
8)は、各実装面11A、11B上に、例えば熱硬化型の接着剤12によって固定されている。
【0026】
図6は、センサチップ30の構成を示す平面図である。
センサチップ30は、受光素子としての複数のフォトダイオード31、複数のパッド32、図示しない回路パターンなどを備えている。フォトダイオード31は、反射光を検出する役割を有し、主走査方向に直線状にそれぞれ等ピッチpで配列されている。フォトダイオード31は、センサチップ30の主走査方向における全長に亘って配列されている。すなわち、センサチップ30のそれぞれ左右端に位置するフォトダイオード31A、31Bは、センサチップ30の主走査方向における最先端部33(33A、33B)にそれぞれ近接して配置されている。
【0027】
一方、パッド32は、反射光を検出するためのスタート信号の入出力を行う入出力パッド32A、32Bをはじめとしてそれぞれ各種役割を有している。入出力パッド32A、32Bは、隣接するセンサチップ30の入出力パッド32A、32Bにワイヤボンディングによって金属細線で接続される。この接続はセンサ基板10上の図示しない回路パターンを介して接続してもかまわない。各々のセンサ基板の最初のセンサチップ30のスタート信号の入力は外部から行われる。入出力パッド32A、32Bは、フォトダイオード31A、31Bよりもセンサチップ30の最先端部33A、33Bから離れて配置されている。また、センサチップ30上の図示しないアナログ出力回路やシフトレジスタなどの回路パターンとセンサ基板10上の図示しない所望の回路パターンとは、パッド32を介して金属細線で接続される。
【0028】
図5A〜
図5Cに戻り、センサ基板10とセンサチップ30との配置について更に説明する。なお、本実施形態では以下の説明における右側とは、主走査方向におけるセンサ基板10B側をいい、左側とは主走査方向におけるセンサ基板10A側をいうものとする。
まず、センサ基板10Aについて説明する。センサ基板10Aは、センサ基板10Bとの接続部である右側の側端部13には、センサ基板10Aの一部が右側に突出するように2つの凸部14(14a、14b)が形成されている。具体的には、
図5Bに示すように、凸部14(14a、14b)は、側端部13のうち副走査方向(幅方向)に離間した両側から、それぞれ実装面11Aに平行に右側に向かって突出している。したがって、側端部13のうち副走査方向における中央部には、センサ基板10Aの内側に凹んだ凹部15が形成される。ここで、凸部14(14a、14b)の右側先端が、センサ基板10Aで最も右側に位置する最側端部16(16a、16b)となる。
【0029】
また、凸部14の突出量、すなわち最側端部16から凹部15の基端17までの距離L1A(
図5Cを参照)は、後述するセンサ基板10Bの凸部19の突出量と同一である。また、凸部14aと凸部14bとの間隔、ここでは凹部15a内の副走査方向の寸法L2Aは、後述するセンサ基板10Bの凸部19a、19bを嵌め込むことができる寸法に形成されている。
【0030】
次に、センサ基板10Aに対するセンサチップ30の実装位置について説明する。ここでは、画素欠落に影響を与えると共に破損が生じる虞のあるセンサチップ30
4、すなわち隣接するセンサ基板10B側に近接したセンサチップ30
4について説明する。
【0031】
本実施形態では、センサチップ30
4は、右側の最先端部33Bが上述したセンサ基板10Aの最側端部16よりも主走査方向において内側(左側)に位置し、主走査方向において側端部13(凹部15の基端17)を超えて外側(右側)に位置した状態で固定されている。このように、センサチップ30
4の最先端部33Bが、センサ基板10Aの最側端部16よりも主走査方向(長手方向)において内側に位置することで、ハンドリング時や保管時においてセンサ基板10Aと障害物が接触した場合でも、センサチップ30
4よりもセンサ基板10Aの凸部14a、14bが最初に接触するために、センサチップ30
4を保護し、その破損を防止することができる。また、
図5Bに示すように平面視で見て、センサチップ30
4の最先端部33Bは、副走査方向において凸部14aと凸部14bの間に位置し、凸部14a、14bによって囲まれるために、破損の防止の効果を更に高めることができる。
【0032】
次に、センサ基板10Bについて説明する。センサ基板10Bは、センサ基板10Aとの接続部である左側の側端部18には、センサ基板10B一部が左側に突出するように2つの凸部19(19a、19b)が形成されている。具体的には、
図5Bに示すように、凸部19(19a、19b)は、側端部18のうち副走査方向(幅方向)に離間した中央寄りの両側から、それぞれ実装面11Bに平行に左側に向かって突出している。したがって、側端部18のうち副走査方向における中央部には、センサ基板10Bの内側に凹んだ凹部20が形成され、副走査方向における両側には切欠部21(21a、21b)が形成される。ここで、凸部19(19a、19b)の左側先端が、センサ基板10Bで最も左側に位置する最側端部22(22a、22b)となる。
【0033】
また、凸部19の突出量、すなわち最側端部22から凹部20の基端23までの距離L1B(
図5Cを参照)は、隣接するセンサ基板10Aの凸部14の突出量L1Aと同一である。また、最側端部22(22a、22b)から切欠部21(21a、21b)の基端24(24a、24b)までの距離も、突出量L1Aと同一である。更に、凸部19aと凸部19bとの間隔、ここでは
図5Bに示すように凸部19a、19bまでを含めた副走査方向の寸法L2Bは、上述したように隣接するセンサ基板10Aの側端部13の凹部15に嵌め込むことができる寸法に形成されている。
【0034】
次に、センサ基板10Bに対するセンサチップ30の実装位置について説明する。ここでは、画素欠落に影響を与えると共に破損が生じる虞のあるセンサチップ30
5、すなわち隣接するセンサ基板10A側に近接するセンサチップ30
5について説明する。
【0035】
本実施形態では、センサチップ30
5は、左側の最先端部33Aが上述したセンサ基板10Bの最側端部22よりも主走査方向において内側(右側)に位置し、主走査方向において側端部18(凹部20の基端23)を超えて外側(左側)に位置した状態で固定されている。このように、センサチップ30
5の最先端部33Aが、センサ基板10Bの最側端部22よりも主走査方向(長手方向)において内側に位置することで、ハンドリング時や保管時においてセンサ基板10Bと障害物が接触する場合でも、センサチップ30
5よりもセンサ基板10Bの凸部19a、19bが最初に接触するために、センサチップ30
5を保護し、その破損を防止することができる。また、
図5Bに示すように平面視で見て、センサチップ30
5の最先端部33Aは、副走査方向において凸部19aと凸部19bの間に位置し、凸部19a、19bによって囲まれるために、破損の防止の効果を更に高めることができる。
【0036】
次に、上述したセンサ基板10A、10Bを接続する方法について説明する。センサ基板10A、10Bを接続するには、組立者が金属顕微鏡や実体顕微鏡を用いて観察しながら行う方法がある。以下では、組立者が金属顕微鏡を用いて観察しながら接続する場合について説明する。
【0037】
まず、組立者は、センサチップ30
1〜30
4およびセンサチップ30
5〜30
8が実装された上述したセンサ基板10A、10Bを予め製造する。
次に、組立者は、保持具を用いて、
図5Aに示すように、センサ基板10Aの側端部13とセンサ基板10Bの側端部18とを互いに対向させた状態で保持する。この際、組立者は、センサ基板10Aのセンサチップ30
1〜30
4と、センサ基板10Bのセンサチップ30
5〜30
8とが直線になるように調整する。
【0038】
次に、組立者は、保持具を動かし、センサチップ30
1〜30
4とセンサチップ30
5〜30
8とが直線になるように維持しながら、センサ基板10A、10Bを徐々に近接させる。
更に、近接させることで、
図7Aに示すように、センサ基板10Bの凸部19a、19bは、センサ基板10Aの凹部15に嵌め込まれる。一方、センサ基板10Aの凸部14a、14bは、センサ基板10Bの切欠部21a、21bに嵌め込まれる。このように、凸部19a、19bと凹部15とが嵌め込まれ、凸部14a、14bと切欠部21a、21bとが嵌め込まれることで、それぞれが接続手段として作用する。このため、副走査方向におけるセンサチップ30の位置を精度よく決定できるばかりでなく、センサ基板10Aとセンサ基板10Bとの接続と、センサチップ30
4とセンサチップ30
5との位置決めを同時に行うことができる。
【0039】
図7Bは、
図7Aのセンサ基板10Aとセンサ基板10Bとの接続部分を拡大した図である。
図7Bに示すように、組立者は、センサ基板10Aのセンサチップ30
4のフォトダイオード31Bと、センサ基板10Bのセンサチップ30
5のフォトダイオード31Aとの間隔が、フォトダイオード31のピッチpと同距離になるように調整を行う。
上述したように、センサチップ30
4の最先端部33Bはセンサ基板10Aの凹部15の基端17よりも外側に位置し、センサチップ30
5の最先端部33Aはセンサ基板10Bの凹部20の基端23よりも外側に位置する。したがって、平面視で凹部15と凹部20との囲まれる空間には、センサチップ30以外にセンサチップ30に接触する障害物がないため、障害物に阻害されずセンサチップ30間隔を精度よく決定することができる。
【0040】
なお、センサチップ30
4のフォトダイオード31Bとセンサチップ30
5のフォトダイオード31Aとの間隔はピッチpと同距離である場合に限られず、予め決められた所定の距離であればピッチp以上の距離であってもよい。すなわち、センサチップ30
4のフォトダイオード31Bとセンサチップ30
5のフォトダイオード31Aとの間隔が所定の距離でさえすれば、イメージセンサユニット1で画像を読み取った後に、所定の距離に基づいて画像を補間することができるためである。
【0041】
また、
図7Bに示すように、センサチップ30
4のフォトダイオード31Bとセンサチップ30
5のフォトダイオード31Aとの距離がピッチpあるいは所定の距離となる状態では、センサチップ30
4の最先端部33Bとセンサチップ30
5の最先端部33Aとの間に隙間(
図7Bに示す距離q)が生じる。この隙間の距離qは、凸部14の最側端部16と切欠部21の基端24との距離rおよび凸部19の最側端部22と凹部15の基端17との距離sよりも小さいように設定されている。したがって、センサチップ30
4のフォトダイオード31Bとセンサチップ30
5のフォトダイオード31Aとの距離がピッチpあるいは所定の距離に調整される前に、凸部14の最側端部16と切欠部21の基端24または凸部19の最側端部22と凹部15の基端17が接触してしまうことが防止される。
【0042】
センサ基板10間の距離の調整が完了した後、組立者は、固定部材26を各実装面11A、11Bに固定する。
図8Aは、固定部材26によりセンサ基板10A、10Bを固定した状態を示す平面図である。また、
図8Bは、
図8Aに示すII−II線を切断した断面図である。
図8Cは、
図8Aに示すIII−III線を切断した断面図である。
図8Aおよび
図8Bに示すように、本実施形態の固定部材26は、矩形状をした平板状に形成され、センサ基板10A、10Bの副走査方向(幅方向)の両側である2カ所で固定されている。具体的には、固定部材26は、主走査方向(長手方向)においてセンサ基板10Aとセンサ基板10Bとの間に隙間を有してセンサ基板10Aの実装面11Aおよびセンサ基板10Bの実装面11Bに跨った状態で、ねじ28を用いて各実装面11A、11Bに固定される。したがって、固定部材26は、センサ基板10間の距離が保持された状態で、センサ基板10同士を接続する。
【0043】
また、
図8Bに示すように、センサ基板10Aの実装面11Aおよびセンサ基板10Bの実装面11Bに当接する固定部材26の当接面27は、平坦面に形成されている。したがって、センサ基板10Aの実装面11Aおよびセンサ基板10Bの実装面11Bを面一の状態で保持できるために、実装面11Aおよび実装面11Bにそれぞれ実装されるセンサチップ30
1〜センサチップ30
8も同様に面一に保持することができる。
【0044】
更に、固定部材26は、少なくともセンサ基板10A、10Bの線膨脹係数以下の材質により形成されている。固定部材26は、センサ基板10Aの実装面11Aおよびセンサ基板10Bの実装面11Bに固定されているために、固定部材26の伸縮がセンサチップ30
4のフォトダイオード31Bとセンサチップ30
5のフォトダイオード31Aとの距離に影響を与えてしまう。そのため、固定部材26をセンサ基板10A、10Bの材質の線膨張係数以下の材質で形成することで、フォトダイオード31b、31a間の距離の変動を低減させることができる。すなわち、イメージセンサユニット1を使用しない状態で保管する場合において、保管場所の温度が低下した場合であっても、固定部材26の主走査方向における収縮を少なくすることで、センサチップ30
4、30
5同士の接触を防止することができる。
【0045】
また、
図8Cに示すように、センサチップ30
4とセンサチップ30
5とが対向する部位の下側には、センサ基板10A、10Bが配置されておらず、上述した凹部15および凹部20による空間29が形成される。空間29を形成することで、センサチップ30
4とセンサチップ30
5との間で、面一が維持できず実装面11と直交する方向に段差が生じた場合であっても、低い方のセンサチップ30がセンサ基板10の実装面11と接触してしまうことを防止することができる。
【0046】
その後、組立者は、
図7Bに示す状態で、センサ基板10Aのセンサチップ30
4の入出力パッド32Bおよびセンサ基板10Bのセンサチップ30
5の入出力パッド32Aをワイヤボンディングによって金属細線を用いて電気的に接続する。この際、パッド32A、32Bの下方には、
図8Cで示した空間29は存在しておらず、センサ基板10A、10Bの実装面11A、11Bが存在している。より具体的には、センサ基板10A、10Bとセンサチップ30
4、30
5とを固定する接着剤12が存在している。そのため、ワイヤボンディングによってパッド32A、32Bが加圧されたとしても、接着剤12およびセンサ基板10A、10Bによってその力を支持することができるため、センサチップ30
4、30
5への負荷を低減することができる。したがって、センサチップ30
4、30
5をセンサ基板10A、10Bに実装する場合、入出力パッド32A、32Bは接着剤12が塗布される範囲(
図8Cに示す領域T)内に位置するように固定する。また、ワイヤボンディングによる金属細線を用いた電気的な接続は、組立者が、センサチップ30
1〜30
4およびセンサチップ30
5〜30
8をセンサ基板10A、10B上に実装した直後に行ってもかまわない。
【0047】
次に、組立者は、センサ基板10A、10Bを接続したセンサ基板部91を
図4に示すフレーム7に組み込みフレーム7にねじや接着剤で固定することで、イメージセンサユニット1を製造する。このように、製造されたイメージセンサユニット1は、上述したようにセンサチップ30
4、30
5間がピッチpあるいは所定の距離に維持されているために、画素欠落がなく画像を読み取ることができる。
【0048】
このように、本実施形態はセンサ基板10A、10Bに実装されているセンサチップ30
4、30
5の最先端部33B、33Aを、センサ基板10A、10Bの最側端部16、22よりも内側に位置させている。したがって、ハンドリング時や保管時においてセンサ基板10A、10Bと障害物が接触した場合でも、センサチップ30
4、30
5よりもセンサ基板10A、10Bの最側端部16、22を有する凸部14、19に接触するために、センサチップ30
4、30
5を保護し、その破損を防止することができる。
【0049】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、2つのセンサ基板10A、10Bを接続する場合について説明した。本実施形態では、3つのセンサ基板40A、40B、40Cを接続する場合について説明する。
図9は、本実施形態に係るセンサ基板部92の構成を示す平面図である。センサ基板40A、40B、40Cの実装面上にはそれぞれ複数(
図9ではそれぞれ4つ)のセンサチップ50(50
1〜50
4、50
5〜50
8、50
9〜50
12)が、センサ基板40A、40B、40C上に主走査方向(長手方向)に直線状に配列された状態で実装されている。
【0050】
図9に示すように、3つのセンサ基板のうち主走査方向における両側のセンサ基板40Aおよびセンサ基板40Cは、第1の実施形態のセンサ基板10Aと同様な構成である。
図9では、第1の実施形態と同様な構成は、同一符号を付している。
すなわち、センサ基板40A、40Cのそれぞれセンサ基板40Bに隣接する側端部13には、副走査方向における両側からセンサ基板40Bに向かって突出する凸部14が形成され、その間に凹部15が形成される。また、センサ基板40A、40Cに実装されているセンサチップ50
4、50
9の最先端部33(33B、33A)は、それぞれ凸部14の最側端部16よりも主走査方向において内側に位置すると共に、凹部15の基端17よりも主走査方向において外側に位置している。
【0051】
一方、センサ基板40Bは、副走査方向の中心線cに対して線対称な形状に形成されている。すなわち、センサ基板40Bは、主走査方向における両側の側端部18のうち副走査方向における中央寄り両側から、それぞれセンサ基板40A、40Cに向かって突出する凸部19が形成され、その間に凹部20が形成されている。また、センサ基板40Bに実装されているセンサチップ50
5、50
8の最先端部33(33A、33B)は、それぞれ各凸部19の最側端部22よりも主走査方向において内側に位置すると共に、凹部20の基端23よりも主走査方向において外側に位置している。
【0052】
したがって、ハンドリング時や保管時においてセンサ基板40A、40B、40Cと障害物が接触した場合でも、センサチップ50
4、50
5、50
8、50
9よりもセンサ基板40A、40B、40Cの最側端部16、22が最初に接触するために、センサチップ50
4、50
5、50
8、50
9を保護し、その破損を防止することができる。なお、センサ基板40A、40B、40Cの組立方法は、第1の実施形態と同様であり、その説明を省略する。
【0053】
以上、本発明を種々の実施形態と共に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。
例えば、上述した第2の実施形態では、3つのセンサ基板40A、40B、40Cを接続する場合について説明したが、この場合に限られず、4つ以上のセンサ基板を接続する場合でも、同様に適用することができる。
また、上述した実施形態では、センサ基板10Aおよびセンサ基板10Bは、2つの凸部14(14a、14b)および2つの凸部19(19a、19b)を形成する場合について説明したが、少なくとも2つの凸部が形成されていればよく、例えば2つ以上の凸部が形成されていてもよい。
また、画像読取装置はシートフィード方式のイメージスキャナーに限られず、フラットベッド方式のイメージスキャナー構成のイメージスキャナーであっても同様に適用することができる。
【0054】
また、本実施形態では、個々のセンサチップ30(センサチップ50)を主走査方向(長手方向)に直線状、具体的には一直線状に配列する場合について説明した。しかしながら、この場合に限られず、個々のセンサチップを千鳥状に配列する場合でも、同様に適用することができる。
図10は、他の実施形態のセンサ基板部93の平面図である。センサ基板60A、60B、60Cの実装面上にはそれぞれ複数(
図10ではそれぞれ4つ)のセンサチップ70(70
1〜70
4、70
5〜70
8、70
9〜70
12)が、センサ基板60A、60B、60C上に実装されている。
図10では、センサ基板60A上に実装された個々のセンサチップ70
1〜70
4が、交互に幅方向にずれることで千鳥状に配列されている。また、センサ基板60B、60Cも同様に、個々のセンサチップ70
5〜70
8、70
9〜70
12が、千鳥状に配列されている。このように、直線状に配列するとは、一直線状に限られず、直線状と近似できる千鳥状に配列する場合も含むものである。
【0055】
また、本実施形態では、隣接するセンサ基板10(センサ基板40)同士を接続する際、センサチップ30
1〜30
4、30
5〜30
8(センサチップ50
1〜50
4、50
5〜50
8、50
9〜50
12)が直線、具体的には一直線になるように接続する場合について説明した。しかしながら、この場合に限られず、センサ基板上の複数のセンサチップを一つのセンサチップとして見た際、センサチップが千鳥状になるようにセンサ基板同士を接続する場合でも、同様に適用することができる。
図11は、他の実施形態のセンサ基板部94の平面図である。センサ基板80A、80B、80Cの実装面上にはそれぞれ複数(
図11ではそれぞれ4つ)のセンサチップ90(90
1〜90
4、90
5〜90
8、90
9〜90
12)が、センサ基板80A、80B、80C上に一直線状に配列された状態で実装されている。
図11では、センサ基板80A上に実装されたセンサチップ90
1〜90
4と、センサ基板80B上に実装されたセンサチップ90
5〜90
8とが、副走査方向にずれている。また、センサ基板80B上に実装されたセンサチップ90
5〜90
8と、センサ基板80C上に実装されたセンサチップ90
9〜90
12とが、副走査方向にずれている。したがって、センサ基板80A、80B、80Cを接続する際、センサチップ90
1〜90
4、90
5〜90
8、90
9〜90
12をそれぞれ一つのセンサチップとして見た場合に、センサチップが千鳥状になるようにセンサ基板同士が接続される。