(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記チョップドストランド繊維がガラス繊維ガラスチョップドストランド繊維であり、かつ、当該研磨用品が1つまたは複数のガラスウエブ補強材を含む、請求項1に記載の研磨用品。
25体積%〜40体積%の前記有機結合材、50体積%〜60体積%の前記研磨材、0.5体積%〜10体積%の前記マイクロファイバー、3体積%〜6体積%のチョップドストランド繊維、および、1体積%〜10体積%のマンガン化合物を含む、請求項1に記載の研磨用品。
前記マンガン化合物が約1体積%〜約10体積%の範囲内の量で前記研磨用品に存在し、かつ、2体積%〜8体積%のチョップドストランド繊維が前記研磨用品に存在する、請求項9に記載の方法。
前記チョップドストランド繊維がガラス繊維ガラスチョップドストランド繊維であり、かつ、前記研磨用品が1つまたは複数のガラスウエブ補強材を含む、請求項9に記載の方法。
前記研磨用品が、25体積%〜40体積%の前記有機結合材、50体積%〜60体積%の前記研磨材、0.5体積%〜10体積%の前記マイクロファイバー、3体積%〜6体積%の前記チョップドストランド繊維、および、1体積%〜10体積%のマンガン化合物を含む、請求項9に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、研磨性能を損なうことを伴わない、研磨加工用具のための改善された補強技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの実施形態は、有機結合材(例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂またはゴム)と、有機結合材に分散される研磨材と、有機結合材に均一に分散されるマイクロファイバーとを含む組成物を提供する。マイクロファイバーは個別フィラメントであり、例えば、鉱物綿繊維、スラグウール繊維、ロックウール繊維、ストーンウール繊維、ガラス繊維(特に、粉砕ガラス繊維)、セラミック繊維、粉砕玄武岩繊維、炭素繊維、アラミド繊維およびポリアミド繊維、ならびに、それらの組合せを含む場合がある。マイクロファイバーは、例えば、約1000μm未満の平均長さを有することができる。1つの特定の場合において、マイクロファイバーは、約100μm〜500μmの範囲における平均長さ、および、約10ミクロン未満の直径を有する。いくつかの実施形態において、チョップドストランド繊維(例えば、ガラス繊維のチョップドストランド繊維)もまた存在する。多くの場合において、本組成物はさらに、研磨期間中に生じる温度でマイクロファイバーと化学反応することができる、少なくとも1つが活性フィラーである1つまたは複数のフィラーを含む。活性フィラーおよびマイクロファイバーのこれらの化学反応により、様々な研磨プロセス上の利点(例えば、改善されたホィール寿命、より大きいG比、および/または、研磨具面の抗負荷)が提供される。好適な活性フィラーの例には、マンガン化合物、銀化合物、ホウ素化合物、リン化合物およびそれらの組合せが含まれる。1つの具体的なそのような場合において、1つまたは複数の活性フィラーには、二塩化マンガンが含まれる。マイクロファイバーと化学反応しない他のフィラーもまた配合される場合がある。
【0006】
上記組成物は、例えば、10体積%〜50体積%の有機結合材、30体積%〜65体積%の研磨材、および、1体積%〜20体積%のマイクロファイバーを含む場合がある。別の特定の場合において、上記組成物は、25体積%〜40体積%の有機結合材、50体積%〜60体積%の研磨材、および、2体積%〜10体積%のマイクロファイバーを含む。別の特定の場合において、上記組成物は、30体積%〜40体積%の有機結合材、50体積%〜60体積%の研磨材、および、3体積%〜8体積%のマイクロファイバーを含む。いくつかの場合において、上記組成物はまた、チョップドストランド繊維を、例えば、約0.1体積%〜約10体積%の範囲内の量で、例えば、約2体積%〜約8体積%の範囲内の量で含有する。
【0007】
別の実施形態において、上記組成物は、被加工品の研磨加工において使用される研磨用品の形態である。1つのそのような場合において、研磨用品は、研磨加工のためのホィールまたは他の好適な形態物である。典型的には、上記組成物は、砥粒が三次元の有機結合マトリックに保持される結合型研磨用品(例えば、ホィールまたは別のタイプの用具)である。
【0008】
1つの局面において、研磨用品は、有機結合材と、有機結合材に分散される研磨材と、有機結合材に分散されるチョップドストランド繊維と、有機結合材に均一に分散される鉱物綿マイクロファイバーであって、前記マイクロファイバーは個別フィラメントであるマイクロファイバーと、1つまたは複数のフィラーとを含む。具体的な実施において、1つまたは複数のフィラーには、マンガン化合物が含まれる。いくつかの場合において、研磨用品は、チョップドストランド繊維と、鉱物綿マイクロファイバーと、マンガン化合物と、必要な場合には他のフィラー(例えば、石灰および黄鉄鉱など)とを含有し、それにもかかわらず、研磨用品はカリウム塩(例えば、硫酸カリウムおよび/または塩化カリウム)を含まない。
【0009】
本発明の別の実施形態は、被加工品を研磨加工する方法を提供する。本方法は、被加工品を、研磨加工を容易にすることができる機械に装着すること、および、研磨用品を前記機械に作動可能に取り付けることを含む。研磨用品は、有機結合材と、有機結合材に分散される研磨材と、有機結合材に均一に分散されるマイクロファイバーであって、マイクロファイバーは、例えば、平均長さが、例えば、約1000μm未満である個別フィラメントである、マイクロファイバーとを含む。研磨用品はさらに、有機結合材に分散されるチョップドストランド繊維を含む場合がある。具体的な実施において、研磨用品は、例えば、マンガン化合物を含む1つまたは複数のフィラーを含有する。いくつかの場合において、研磨用品はカリウム塩を除外する。本方法は、研磨用品を被加工品の表面に接触させることにより継続する。
【0010】
上記研磨用品は、例えば、1つまたは複数のガラス繊維補強材を含有して補強(例えば、内部補強)することができる。例えば、研磨用品は、有機結合材と、有機結合材に分散される研磨材と、有機結合材に均一に分散される鉱物綿マイクロファイバーであって、前記マイクロファイバーは個別フィラメントである、マイクロファイバーと、マンガン化合物を含む1つまたは複数のフィラーと、少なくとも1つのガラスウエブ補強材とを含む。
【0011】
本発明の様々な局面は、研磨用品の形態である組成物、例えば、改善された強度(例えば、用具を特徴づけるバースト速度によって反映されるような強度)および耐衝撃性を示す研磨ホィールまたは他の結合型研磨具などを提供し、したがって、本発明の実施形態による用具は頑強であり、破損しにくい。本発明の実施形態による研磨具はまた、改善されたホィール摩耗速度、G比、および、より長い用具寿命を示す。本明細書中に開示される結合型用品の様々な例が、良好な熱衝撃抵抗性を示すことができ、熱による亀裂形成がほとんどまたは全く認められない。ガラスウエブ補強材と、必要な場合にはチョップドストランド繊維とを含有する研磨用品は典型的には、改善された衝撃特性を示す。
【0012】
本明細書中に記載される特徴および利点は包括的ではなく、特に、多くのさらなる特徴および利点が、図面、明細書および請求項を考慮して当業者には明らかであろう。そのうえ、本明細書において使用される言語は、読みやすさおよび教授目的のために主に選択されており、発明の主題の範囲を限定するために選択されていないことに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0014】
前記で述べられたように、チョップドストランド繊維を、強度および耐衝撃性を増大させるために、密な樹脂に基づく研磨ホィールにおいて使用することができ、この場合、乾燥状態の研磨ホィール用ミックスへのチョップドストランド繊維の配合が一般には、チョップドストランド繊維、樹脂、フィラーおよび砥粒を指定の時間にわたってブレンドすることによって達成される。しかしながら、ブレンド時間または混合時間が、使用可能なミックスの性質を達成することにおいて重要な役割を果たす。不十分な混合は、鋳型における充填および展開を困難にする不均一なミックスをもたらし、より低い性状および大きい変動性を伴う不均質な複合材につながる。他方で、過度な混合は、ミックスに再分散することができない「毛玉(fuzz ball)」(多数のチョップドストランド繊維のクラスター)の形成を引き起こす。そのうえ、チョップドストランド自体は事実上、結合してまとまったフィラメントの束である。どちらの場合においても、そのようなクラスターまたは束は事実上、研磨ミックスの均質性を低下させ、鋳型内に移し、広げることをより困難にする。さらに、そのようなクラスターまたは束が複合材の中に存在することは、複合材性状(例えば、強度および弾性率など)を低下させ、性状の変動性を増大させる。加えて、ガラス(例えば、チョップドストランドまたはそのクラスターなど)の大きい濃度は、研磨ホィールの寿命に対する悪影響を有する。ホィールにおけるチョップドストランド繊維のレベルを増大することはまた、研磨性能(例えば、G比および/またはWWRによって測定されるような研磨性能)を低下させる可能性がある。
【0015】
本発明の1つの特定の実施形態において、マイクロファイバー補強された複合材を製造することは、個別フィラメントを好適な結合材(例えば、有機樹脂)およびフィラーの乾燥ブレンド物の中に完全に分散させることを伴う。完全な分散は、例えば、マイクロファイバー、結合材およびフィラーの十分にブレンド/混合された組合せ物の成形および硬化の後における最大の複合材性状(例えば、強度など)によって規定され得る。例えば、不良な混合は低い強度をもたらし、しかし、良好な混合は大きい強度をもたらす。分散を評価するための別の方法が、非分散物(例えば、混合前の元のマイクロファイバーと似ている物質)を、ふるい分け技術を使用して単離し、重量測定することによってである。実際、マイクロファイバー補強材の分散を、成形および硬化を行う前のミックスの(例えば、顕微鏡を用いた、または用いない)目視検査により評価することができる。本開示に照らして明らかであろうように、不完全な、または、他の場合には不十分なマイクロファイバー分散は一般には、より低い複合材性状および研磨性能をもたらす。
【0016】
本発明の様々な実施形態によれば、マイクロファイバーは、大きい引張弾性率を有する小さくて、短い個別フィラメントであり、無機または有機のどちらも可能である。1つの例において、マイクロファイバーは鉱物綿マイクロファイバーであり、これはまた、スラグウールマイクロファイバーまたはロックウールマイクロファイバーとして知られている。利用することができる他のマイクロファイバーの例には、粉砕ガラス繊維、粉砕玄武岩繊維、セラミック繊維、炭素繊維、アラミド繊維またはパルプ状アラミド繊維、ポリアミド繊維または芳香族ポリアミド繊維が含まれるが、これらに限定されない。
【0017】
本発明の1つの特定の実施形態では、約4,000ミクロン以下である平均長さ、および、40ミクロン以下のフィラメント直径、および、少なくとも10の補強アスペクト比(長さ対直径またはL/d)を有する無機の個別フィラメントであるマイクロファイバーが使用される。例えば、約100ミクロンの平均長さおよび約10ミクロンのフィラメント直径は10の補強アスペクト比をもたらす。約5ミクロンのフィラメント直径を伴う約50ミクロンのフィラメント長さは10の補強アスペクト比を有する。同様に、約2ミクロンのフィラメント直径を伴う約20のフィラメント長さは10の補強アスペクト比を有する。
【0018】
加えて、この例示的マイクロファイバーは、(例えば、800℃を超える)高い融解温度または分解温度、約50GPaを超える引張弾性率を有しており、接着性被覆をほとんどまたは全く有しない。好ましくは、マイクロファイバーは離散フィラメントとして高分散性であり、かつ、繊維束形成に対して抵抗性である。典型的には、マイクロファイバーは、使用されている結合材(例えば、有機樹脂)に化学結合するであろう。
【0019】
対照的に、チョップドストランド繊維およびその変化物は、接着剤によってまとめられた複数のフィラメントを含んでおり、10未満のアスペクト比を有する。しかしながら、いくつかのチョップドストランド繊維は離散フィラメントに粉砕することができ、または、他の場合には解体することができ、そのようなフィラメントを本発明の実施形態に従ってマイクロファイバーとして使用することができる。いくつかのそのような場合においては、生じたフィラメントが、(例えば、フィラメントをチョップドストランドまたは束においてまとめる接着剤または結合剤を除くために要求される加熱プロセスのために)粉砕/解体プロセスによって著しく弱化させられることがある。したがって、結合剤組成物において使用されるマイクロファイバーのタイプは、将来の用途および所望される強度特性に依存するであろう。
【0020】
鉱物綿マイクロファイバーは、個別フィラメントの形態において、約0.4体積パーセント〜数体積パーセントの範囲内の量で、例えば、約0.4vol.%〜約12vol.%の範囲内の量で、本明細書中に記載される組成物および/または用具に存在することができる。本発明の局面によるいくつかの研磨用品は鉱物綿マイクロファイバーを約0.5vol%〜約10vol%の量で含有する。具体的な実施において、研磨用品は、鉱物綿マイクロファイバーを、約0.8体積パーセント〜約8体積パーセントの範囲内の量で、例えば、約0.8体積%〜約4体積%の範囲内の量で含有する。
【0021】
1つのそのような実施形態において、本発明における使用のために好適なマイクロファイバーは鉱物綿繊維であり、例えば、Sloss Industries Corporation(AL)から入手可能な、PMF(登録商標)の名称で販売される鉱物綿繊維などである。類似する鉱物綿繊維が、Fibertech Inc(MA)から鉱物綿FLMの製品呼称で入手可能である。Fibertechはまた、ガラス繊維(例えば、Microglass9110およびMicroglass9132)を販売する。これらのガラス繊維、同様にまた、類似する特質を有する他の天然に存在するか、または合成された鉱物繊維またはガラス質の個別フィラメント繊維(例えば、ストーンウール繊維、ガラス繊維およびセラミック繊維)も同様に使用することができる。鉱物綿には一般に、鉱物または金属酸化物から作製される繊維が含まれる。補強された研磨具の結合剤において本発明の1つの実施形態に従って使用することができるマイクロファイバーのための1つの例示的組成物および一組の性状が表1および表2にそれぞれまとめられる。数多くの他のマイクロファイバー組成物および性状セットが本開示に照らして明らかであろうし、本発明は、いずれかの特定の1つまたはサブセットに限定されることは意図されない。
【0024】
組成物はさらに、チョップドストランド繊維を含むことができ、例えば、ガラス繊維のチョップドストランド繊維(例えば、上記で記載されるガラス繊維のチョップドストランド繊維など)を含むことができる。チョップドストランド繊維は、例えば、3mm〜4mmの長さを有することができ、ただし、この場合、それぞれのストランドが、サイズ剤、バインダーまたは被覆物として知られている接着剤によってまとめられる複数のフィラメントから形成される。フィラメントの数およびフィラメント直径は、製造プロセスに依存して変化し得るが、典型的には1束あたり400本〜6000本のフィラメントからなり、フィラメント直径が10ミクロン以上である。平均補強アスペクト比が3未満である。利用することができるチョップドストランド繊維材の一例が183Cratec(登録商標)として示される(これは、Owens Corningから入手可能である)。
【0025】
組成物または研磨用品の総体積に基づいて、チョップドストランド繊維は、数体積パーセントに相当するレベルで添加される場合がある。より大きいレベルまたはより少ないレベルを、例えば、完成した研磨用品における所望される性状(耐衝撃性)に基づいて選択することができる。いくつかの実施形態において、研磨用品は、1つまたは複数のそのような所望される性状を提供するために決定される最小レベルのチョップドストランド繊維を含有する。具体的な実施において、チョップドストランド繊維は、約0vol.%〜約10vol.%の量で、例えば、約0.1vol.%〜約10vol.%の量で、例えば、約2vol.%〜約8vol.%の量で、例えば、約3vol.%〜約6vol.%の量で存在する。
【0026】
本発明の実施形態に従って構成される研磨具の結合剤において使用することができる結合材は、有機樹脂(例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂およびシアナートエステル樹脂、ならびに、他の好適な熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂など)を含む。1つの特定の実施形態において、ポリフェノール樹脂が使用される(例えば、ノボラック樹脂など)。使用することができる樹脂の具体的な例には、下記のものが含まれる:Durez Corporation(TX)によって下記のカタログ/製品番号:29722、29344および29717で販売される樹脂;Dynea Oy(フィンランド)によってPeracit(登録商標)の商品名で販売され、下記のカタログ/製品番号8522G、8723Gおよび8680Gで入手可能な樹脂;ならびに、Hexion Specialty Chemicals(OH)によってRutaphen(登録商標)の商品名で販売され、下記のカタログ/製品番号9507P、8686SPおよび8431SPで入手可能な樹脂。数多くの他の好適な結合材が、本開示に照らして明らかであろう(例えば、ゴム)。本発明は、いずれかの特定の1つまたはサブセットに限定されることは意図されない。
【0027】
本発明の実施形態に従って構成される研磨具を製造するために使用することができる研磨材には、市販の材料、例えば、アルミナ(例えば、押出しボーキサイト、焼結アルミナおよびゾルゲル焼結アルミナ、溶融アルミナ)、炭化ケイ素およびアルミナ−ジルコニアの各粒子が含まれる。超砥粒、例えば、ダイヤモンドおよび立方晶窒化ホウ素(cBN)もまた、与えられた適用に依存して使用される場合がある。1つの特定の実施形態において、研磨粒子は1600kg/mm2〜2500kg/mm2の間のヌープ硬度を有し、かつ、約10ミリメートル〜3000ミクロンの間のサイズ、または、一層より具体的には約5ミリメートル〜約2000ミクロンの間のサイズを有する。2つ以上のタイプの砥粒の組合せもまた利用することができる。1つの場合において、研磨具が作製される組成物は、約50重量%以上の研磨材を含む。
【0028】
具体的な実施形態において、組成物はさらに、少なくとも1つのフィラーが研磨期間中に生じる温度でマイクロファイバーと化学反応することができる1つまたは複数の活性フィラーを含む。1つのそのような場合において、マイクロファイバーと反応し得る活性フィラーが、マンガン化合物、銀化合物、ホウ素化合物、リン化合物およびそれらの任意の組合せから選択される。具体的な実施において、利用される活性フィラーはマンガン化合物である:例えば、ハロゲン化マンガン(例えば、二塩化マンガンなど)、マンガンを含有する金属化合物錯塩、および、1つまたは複数のマンガン化合物を含有する組合せなどである。組成物および/または研磨用品に存在するマンガン化合物系活性フィラーの量は、約1vol.%〜約10vol.%の範囲内が可能であり、例えば、約2vol.%〜約4vol.%の範囲内が可能である。他の量を利用することができる。
【0029】
したがって、マイクロファイバー(例えば、鉱物綿マクロファイバー)および活性フィラーの混合物を含む研磨用品用組成物が提供される。この組成物の利点には、例えば、強度および研磨性能の両方における改善が含まれる。
【0030】
マイクロファイバーと化学反応しない他のフィラーもまた配合される場合がある。これらのさらなるフィラーは、当業者に知られている従来の機構(例えば、樹脂分解、被加工品分解、研磨剤分解、抗負荷性および潤滑など)を介してマイクロファイバーの分散を容易にするために、または、研磨性能を高めるために添加される場合がある。好適な例には、黄鉄鉱、硫化亜鉛、氷晶石、フッ化カルシウム、フッ化カリウムアルミニウム、フロロホウ酸カリウム(potassium floroborate)、硫酸カリウム、塩化カリウムおよびそれらの組合せが含まれる。
【0031】
研磨用品の製造期間中において、フィラーは多くの場合、マイクロファイバーを分散させるために、また、プレス成形サイクル期間中の潤滑を提供するために、また、硬化処理期間中の水分または揮発物を吸収するために、また、その他のために、加工助剤として作用する化合物の組合せを含有するフィラー「パッケージ」(これはまた、本明細書中ではフィラー「成分」として示される)として提供される。そのようなフィラーは、この技術分野では知られているように、例えば、完成した研磨用品と、被加工品との間の摩擦を低下させること、使用される砥粒を保護すること、および/または、他の利点を提供することが可能である。本明細書中に記載される組成物および/または用品において用いることができるフィラー成分には、例えば、石灰、黄鉄鉱、硫酸カリウム(K2SO4)、塩化カリウム(KCl)、硫化亜鉛、氷晶石、フッ化カルシウム、フッ化カリウムアルミニウム、フロロホウ酸カリウム、それらの組合せ、同様にまた、活性フィラー(例えば、上記で議論されるマンガン化合物など)などが含まれる。本明細書中に記載されるいくつかの局面において、フィラーパッケージはカリウム塩を除外する。
【0032】
1つの実施において、組成物および/または研磨用品は、砥粒、有機結合剤、有機結合剤に均一に分散される鉱物綿マクロファイバーであって、鉱物綿マクロファイバーは個別フィラメントであるである、鉱物綿マクロファイバー、チョップドストランド繊維、マンガン化合物、および、場合により他のフィラーを含む。しかしながら、組成物および/または研磨用品はカリウム塩(例えば、硫酸カリウムおよび/または塩化カリウムなど)を除外する。カリウム塩を本明細書中に記載される組成物および/または研磨用品のいくつかから省くことにより、硫酸カリウムおよび/または他のカリウム塩を含有する比較用具に対して、用具の高まった研磨性能がもたらされ得ることが発見された。本明細書中で使用されるように、用語「比較の」は、調べられている量、特性および/または化合物もしくは成分を除いてすべての点で、実験中の用品または組成物と類似している用品または組成物を示す。
【0033】
具体的な実施において、組成物または研磨用品は、(組成物または研磨用品の総体積に基づいて)約10vol%〜約50vol%(例えば、約38vol%〜約41vol%)の有機結合剤、約30vol%〜約65vol%(例えば、約49vol%〜約59vol%)の砥粒、約0.4vol%〜約12vol%(例えば、約0.8vol%〜約8vol%)の鉱物綿マクロファイバー、約0vol%〜約10vol%(例えば、約0.1vol%〜約10vol%、例えば、約2vol%〜約8vol%、または、約3vol%〜約6vol%)のチョップドストランド繊維、および、約1vol%〜約10vol%(例えば、約2vol%〜約4vol%)のマンガン化合物系活性フィラーを含む。
【0034】
必要な場合には、1つまたは複数の他のフィラー(例えば、上記で記載されるようなもの、例えば、石灰、鉄黄鉄鉱、硫酸カリウムおよび塩化カリウムなど)もまた存在する。使用される好適な量を、この技術分野では知られているように選択することができる。いくつかの場合において、カリウム塩の体積%は0である。
【0035】
また、必要な場合には、組成物または研磨用品はさらに、フィラーとして作用することができる二次的な砥粒を含むことができる。例には、この技術分野では知られているように、炭化ケイ素および褐色溶融アルミナなどが含まれる。
【0036】
本明細書中に記載される研磨用品のいくつかは、砥粒、結合剤、個別フィラメントであるマイクロファイバー(例えば、鉱物綿マクロファイバー)、活性フィラー(例えば、マンガン化合物)、1つまたは複数の補強材、および、場合によりチョップドストランド繊維を含有することができる。本明細書中で使用されるように、「補強された」または「補強」などの用語は、結合型研磨具を作製するために用いられる結合材および研磨材とは異なる補強用材料の別個の層または挿入物あるいは他のそのような成分を示す。「内部補強」または「内部補強された(される)」などの用語は、これらの成分が用具の本体内にあるか、または、用具の本体に埋め込まれることを示す。補強技術および補強材料に関する背景的詳細が、例えば、米国特許第3,838,543号(1974年10月1日発行、Lakhani)に記載される(これはその全体において参照によって本明細書中に組み込まれる)。補強されたホィールもまた、米国特許第6,749,496号(Mota他、2004年6月15日発行)および同第6,942,561号(Mota他、2005年9月13日発行)に記載される(これらはともに、それらの全体において参照によって本明細書中に組み込まれる)。
【0037】
多くの場合において、内部補強された研磨ホィールは、ナイロン、炭素、ガラスまたは綿の布地から切断されたディスクを含む。具体的な実施において、研磨用品は、ウエブの形態であるガラス繊維補強材、例えば、ガラスの非常に細かい繊維から織られる材料(これはまた、本明細書中ではガラスクロスとして示される)を含む。1つ、2つ、または、3つ以上のそのようなガラス繊維ウエブを使用することができ、それらを任意の好適な様式で結合型研磨具において配置することができる。
【0038】
利用されるガラス繊維は、Eガラス(1wt%未満のアルカリ酸化物を有するアルミノホウケイ酸ガラス)が可能である。他のタイプのガラス繊維、例えば、Aガラス(ホウ素酸化物をほとんどまたは全く有しないアルカリ石灰ガラス)、E−CRガラス(1wt%未満のアルカリ酸化物を有し、大きい耐酸性を有するアルミノ石灰ケイ酸塩)、Cガラス(大きいホウ素酸化物含有量を有し、例えば、ガラスのステープルファイバーのために使用されるアルカリ石灰ガラス)、Dガラス(大きい誘電率を有するホウケイ酸ガラス)、Rガラス(MgOおよびCaOを有さず、大きい機械的要件を有するアルミノケイ酸塩ガラス)、および、Sガラス(CaOを有しないが、大きいMgO含有量を有し、大きい引張り強さを有するアルミノケイ酸塩ガラス)、ならびに、ガラス繊維ウエブなどを使用することができる。
【0039】
研磨用品の形態での組成物は、多孔性を、例えば、与えられた適用のために好適なレベルで含むことができる。具体的な例において、多孔性は30体積%未満であり、例えば、約2体積%〜約8体積%の範囲内である。
【0040】
何らかの特定の解釈に固定されることを望まないが、マンガン化合物が鉱物綿マクロファイバーと化学的に相互作用して、それにより、多数の研磨プロセス上の利益(例えば、増大した用具強度および研磨性能など)および/またはホィール寿命上の利益を提供すると考えられる。チョップドストランド繊維とは対比して、マイクロファイバー(例えば、鉱物綿繊維、粉砕ガラス繊維または粉砕玄武岩繊維)の大きいアスペクト比は、増大した表面積をもたらし、それにより、用いられた活性フィラー(1つまたは複数)との相乗的反応を生じさせる。非常に低い被覆レベルを伴う離散フィラメントが1つまたは複数のマンガン化合物と併せて存在することにより、大きい被覆レベルを伴う繊維束とは対照的に、最適な複合材上の利益および研磨性能上の利益が提供される。そのうえ、カリウム塩(例えば、塩化カリウムまたは硫酸カリウムなど)の存在がマンガン塩および離散フィラメントのこの「相乗的」相互作用を妨害することが認められた。ガラスウエブ補強材および/またはチョップドストランド繊維を含有する研磨用品は典型的には、改善された衝撃特性を示す。(繊維束とは対照的に)個別フィラメントである鉱物綿マクロファイバーを、好ましくは活性フィラー(例えば、マンガン化合物)の存在下、(束にされた)チョップドストランド繊維および/または繊維ウエブ製造物(補強材)と組み合わせることにより、増大した用具強度、増大した研磨性能、および/または、改善された用具寿命、同様にまた、高まった耐衝撃性がもたらされ、これにより、研磨用品の破損しやすい傾向が軽減される。
【0041】
マイクロファイバー補強された研磨複合材の多数の例が今回、本発明の実施形態に従って構成される研磨具複合材の特徴および利点をさらに明らかにするために提供される。特に、実施例1は、鉱物綿を含む場合および含まない場合の結合剤棒材およびミックス棒材の複合体性状を明らかにする;実施例2は複合体性状をミックス特性の関数として明らかにする;実施例3は研磨性能データをミックス特性の関数として明らかにする;実施例4は、研磨性能を、鉱物綿を含む場合および含まない場合の活性フィラーの関数として明らかにする。実施例5は、マンガン化合物系活性フィラーを鉱物綿マイクロファイバーに添加することによって得られる、研磨性能に対する相乗効果を、マンガン化合物系活性フィラーをチョップドストランド繊維に添加することに対して比較する。実施例6は、研磨性能を、鉱物綿マイクロファイバーがガラス系チョップドストランド繊維との組合せで使用される活性フィラーの関数として明らかにする。
【実施例】
【0042】
実施例1
実施例1(これは、表3、表4および表5を含む)は、鉱物綿繊維を含む場合および含まない場合の結合剤棒材および複合材棒材の性状を明らかにする。結合剤棒材は研磨剤を全く含有せず、これに対して、複合材棒材は研磨剤を含み、研磨ホィール用組成物を反映することに留意されたい。表3において認められ得るように、8個のサンプル結合剤組成物の成分が(体積パーセントまたはvol%で)提供される。これらの結合剤サンプルのいくつかは補強材を全く含まない(サンプル#1およびサンプル#5);いくつかは粉砕ガラス繊維またはチョップドストランド繊維を含む(サンプル#3、サンプル#4、サンプル#7およびサンプル#8);いくつかは、Sloss PMF(登録商標)鉱物綿を本発明の1つの実施形態に従って含む(サンプル#2およびサンプル#6)。他のタイプの個別フィラメント繊維(例えば、セラミック繊維またはガラス繊維)が、本開示に照らして明らかであろうように、同様に使用される場合がある。結合剤における褐色溶融アルミナ(220グリット)がこれらの結合剤サンプルではフィラーとして使用され、しかし、これはまた、二次的な研磨剤として作用する場合があること(一次研磨剤は、例えば、押出しボーキサイト(16グリット)であってもよい)に留意されたい。さらに、Saran(商標)506は、Dow Chemical Companyによって製造されるポリ塩化ビニリデン結合剤であること、褐色溶融アルミナが Washington Millsから得られたことに留意されたい。
【0043】
【表3】
【0044】
表3のサンプル結合剤1〜サンプル結合剤4の一組について、それらの組成は、使用された補強材のタイプを除いて同等である。補強材が何ら存在しないサンプル1およびサンプル5において、フィラー(この場合には褐色溶融アルミナ)のvol%をそれに従って増大させた。同様に、表3のサンプル5〜サンプル8の一組について、それらの組成は、使用された補強材のタイプを除いて同等である。
【0045】
表4は、表3の8個のサンプルのそれぞれについての応力および弾性係数(E−Mod)を含めて、結合剤棒材(研磨剤なし)の性状を明らかにする。
【0046】
【表4】
【0047】
表5は、表3の8個のサンプルのそれぞれについての応力および弾性係数(E−Mod)を含めて、(研磨剤(例えば、押出しボーキサイトなど)に加えて表3の結合剤を含む)複合材棒材の性状を明らかにする。表4および表5のそれぞれにおいて認められ得るように、鉱物綿により補強された結合剤/複合材(サンプル2およびサンプル6)は、示される他のサンプルに対してより大きい強さを有する。
【0048】
【表5】
【0049】
これらの研磨複合材サンプル(1〜8)のそれぞれにおいて、約44vol%が、(研磨剤を除いて、記される結合剤成分を含む)結合剤であり、約56vol%が研磨剤である(例えば、押出しボーキサイトまたは他の好適な砥粒)。加えて、少量ではあるが、十分な量のフルフラール(研磨剤全体の約1vol%以下)を、研磨粒子を湿らすために使用した。これらのサンプル組成物(1〜8)を、成形前に2時間にわたって時効処理したフルフラール湿潤化砥粒とブレンドした。それぞれの混合物を前もって重量測定し、その後、3個取り金型(26mm×102.5mm)(1.5mm×114.5mm)の中に移し、160℃で45分間、140kg/cm2の下で熱間プレスし、その後、200℃での対流オーブンにおける18時間の硬化を続けた。得られた複合材棒材を、ASTM手順D790−03を使用して3点曲げ(5:1のスパン対深さ比)で試験した。
【0050】
実施例2
実施例2(これは、表6、表7および表8を含む)は、複合材性状をミックス特性の関数として明らかにする。表6において認められ得るように、8個のサンプル組成物の成分が(vol%で)提供される。サンプルAは補強材を全く含まず、サンプルB〜サンプルHは、Sloss PMF(登録商標)鉱物綿を本発明の1つの実施形態に従って含む。他のタイプの単フィラメントマイクロファイバー(例えば、セラミック繊維またはガラス繊維)が前記のように同様に使用される場合がある。サンプルAの結合材は炭化ケイ素(220グリット)をフィラーとして含み、サンプルB〜サンプルHの結合剤は褐色溶融アルミナ(220グリット)をフィラーとして使用する。前記で記されたように、そのようなフィラーは分散を助けており、これはまた、二次的な研磨剤として働く場合がある。サンプルA〜サンプルHのそれぞれにおいて、使用される一次研磨剤は褐色溶融アルミナの60グリットおよび80グリットの組合せである。1つの一次研磨剤グリットは同様に結合剤と混合することができ、かつ、所望される除去速度および表面仕上げなどの要因に依存して、グリットサイズにおいて(例えば、6グリットから220グリットまで)変化する場合があることに留意されたい。
【0051】
【表6】
【0052】
認められ得るように、サンプルB〜サンプルHは組成において同等である。補強材が全く存在しないサンプルAにおいて、他の結合剤成分のvol%が、示されるようにそれに従って増大する。
【0053】
【表7】
【0054】
表7は、サンプルのそれぞれについて使用された混合手法を示す。サンプルAおよびサンプルBはそれぞれ、パドルを使用するHobartタイプのミキサーにより30分間混合した。サンプルCは、ホイスク(wisk)を使用するHobartタイプのミキサーにより30分間混合した。サンプルDは、パドルを使用するHobartタイプのミキサーにより30分間混合し、その後、Interlator(または他の好適なハンマーミル装置)により6500rpmで処理した。サンプルEはEirichタイプのミキサーにより15分間混合した。サンプルFはInterlatorにより3500rpmで処理した。サンプルGはInterlatorにより6500rpmで処理した。サンプルHはEirichタイプのミキサーにより15分間混合し、その後、Interlatorにより3500rpmで処理した。分散試験を、非分散の鉱物綿の量をサンプルB〜サンプルHのそれぞれについて測定するために使用した。分散試験は下記の通りであった:100グラムのミックスを、Rototap法を使用して1分間振とうし、その後、20番ふるいによるふるい分けを行った後で生じる残渣の量。認められ得るように、サンプルBは、0.9グラムの残渣の鉱物綿がふるいのふるい網に残っていることが認められ、サンプルCは、0.6グラムの残渣が残っていることが認められ、サンプルEは、0.5グラムの残渣が残っていることが認められた。サンプルD、サンプルF、サンプルGおよびサンプルHのそれぞれは、有意な残留繊維がふるいのふるい網に残っていなかった。したがって、鉱物綿の所望される分散に依存して、様々な混合技術を利用することができる。
【0055】
サンプル組成物(A〜H)を、成形前に2時間にわたって時効処理したフルフラール湿潤化砥粒とブレンドした。それぞれの混合物を前もって重量測定し、その後、3個取り金型(26mm×102.5mm)(1.5mm×114.5mm)の中に移し、160℃で45分間、140kg/cm2の下で熱間プレスし、その後、200℃での対流オーブンにおける18時間の硬化を続けた。得られた複合材棒材を、ASTM手順D790−03を使用して3点曲げ(5:1のスパン対深さ比)で試験した。
【0056】
【表8】
【0057】
図1は、サンプルA〜サンプルHのそれぞれについての複合材強度の1元配置ANOVA分析である。表8は平均および標準偏差を明らかにする。標準誤差は誤差分散のプールされた推定量を使用する。認められ得るように、(本発明の実施形態に従って鉱物綿によりそれぞれが補強される)サンプルB〜サンプルHのそれぞれについての複合材強度は、補強されないサンプルAの複合材強度よりも有意に良好である。
【0058】
実施例3
実施例3(これは表9および表10を含む)は、研磨性能をミックス特性の関数として明らかにする。表9において認められ得るように、2つのサンプル配合物の成分が(vol%で)提供される。これらの配合物は、配合物1が45分間混合され、配合物2が15分間混合されたことを除いて同一である(使用された混合方法も同様に、記されるような混合時間を除いて同一であった)。それぞれの配合物が、Sloss PMF(登録商標)鉱物綿を本発明の1つの実施形態に従って含む。他のタイプの単フィラメントマイクロファイバー(例えば、ガラス繊維またはセラミック繊維)が前記のように同様に使用される場合がある。
【0059】
【表9】
【0060】
表9からまた認められ得るように、本発明の1つの実施形態に従って構成されるマイクロファイバー補強された研磨複合材の製造シーケンスは、5つの工程、すなわち、結合剤調製、混合、複合材調製、鋳型充填および冷間プレス成形、ならびに、硬化を含む。結合剤特性評価を結合剤調製工程および混合工程の後で行った。前記で議論されたように、結合剤特性を評価するための1つの方法が、Rototap法から得られる非分散鉱物綿の重量パーセントを求めるために分散試験を行うことである。この特定の場合において、Rototap法は、50g〜100gの結合剤サンプルを40メッシュのふるい網に加えること、その後、5分間のRototap撹拌の後での40メッシュのふるい網における残渣の量を測定することを含んでいた。工程3で両方の配合物において使用された研磨剤は押出しボーキサイト(16グリット)であった。褐色溶融アルミナ(220グリット)が工程1の結合剤調製においてフィラーとして使用されるが、これは、前記で説明されたように二次的研磨剤として作用する場合がある。Varcum94−906は、Durez Corporationから入手可能なフルフロール(Furfurol)系レゾールであることに留意されたい。
【0061】
表10は、配合物1および配合物2の両方から作製される補強された研磨ホィールの研磨性能を、0.75秒/切削、1.0秒/切削および1.2秒/切削を含む様々な切削速度において明らかにする。
【0062】
【表10】
【0063】
認められ得るように、配合物1の物質除去速度(MRR)(これは立方インチ/分で測定される)が配合物2の物質除去速度と比較的類似していた。しかしながら、配合物1のホィール摩耗速度(WWR)(これは立方インチ/分で測定される)が配合物2のホィール摩耗速度よりも一貫して低い。さらに、配合物1のG比(これは、MRRをWWRによって除することによって算出される)が配合物2のG比よりも一貫して大きいことに留意されたい。配合物1の例示的結合剤は45分間混合され、配合物2は15分間混合されたことを表9から思い出してほしい。したがって、混合時間が、研磨性能に対する直接的な相関を有する。この特定の例において、配合物2について使用された15分の混合時間は、配合物1の改善された性能およびその45分の混合時間と比較したとき、事実上、短すぎた。
【0064】
実施例4
実施例4(これは、表11、表12および表13を含む)は、研磨性能を、鉱物綿を含む場合および含まない場合の活性フィラーの関数として明らかにする。表11において認められ得るように、4個のサンプル複合材の成分が(vol%で)提供される。複合材サンプルAおよび複合材サンプルBは、サンプルAがチョップドストランド繊維を含み、褐色溶融アルミナ(220グリット)またはSloss PMF(登録商標)鉱物綿を含まないことを除いて同一である。一方、サンプルBは、Sloss PMF(登録商標)鉱物綿および褐色溶融アルミナ(220グリット)を含み、チョップドストランド繊維を含まない。複合材密度(これはグラム/立方センチメートルで測定される)が、サンプルAに対して、サンプルBについてはわずかにより大きい。複合材サンプルCおよび複合材サンプルDは、サンプルCがチョップドストランド繊維を含み、Sloss PMF(登録商標)鉱物綿を含まないことを除いて同一である。一方、サンプルDは、Sloss PMF(登録商標)鉱物綿を含み、チョップドストランド繊維を含まない。複合材密度が、サンプルDに対して、サンプルCについてはわずかにより大きい。加えて、少量ではあるが、十分な量のフルフラール(研磨剤全体の約1vol%以下)を、研磨粒子を湿らすために使用し、この場合における研磨粒子が、サンプルCおよびサンプルDについてはアルミナ粒子であり、サンプルAおよびサンプルBについてはアルミナ−ジルコニア粒子であった。
【0065】
【表11】
【0066】
表12は、鉱物綿および例示的活性フィラーの二塩化マンガン(MKC−S、Washington Millsから入手可能)の混合物からともに作製されたサンプルBおよびサンプルDの間において、また、鉱物綿のチョップドストランド繊維を用いて作製されたサンプルAおよびサンプルCの間において研磨性能を比較するために行われた試験によって明らかにする。
【0067】
【表12】
【0068】
認められ得るように、それぞれのサンプルから作製された研磨ホィールを、スラブとして示される様々な被加工品を研磨するために使用した。より詳細には、サンプルAおよびサンプルBを、オーステナイト系ステンレス鋼およびフェライト系ステンレス鋼から作製されたスラブに対して試験し、サンプルCおよびサンプルDを、オーステナイト系ステンレス鋼および炭素鋼から作製されたスラブに対して試験した。表12においてさらに認められ得るように、鉱物綿および二塩化マンガンを使用した場合、サンプルBおよびサンプルDは、(鉱物綿の代わりにチョップドストランド繊維を用いて作製された)サンプルAおよびサンプルCに対して約27%〜36%の改善をもたらした。このことは、鉱物綿と、フィラー(この場合には二塩化マンガン)との間における肯定的な反応に起因する研磨性能における改善を明瞭に示す。そのような肯定的な反応が、チョップドストランドおよび二塩化マンガンの組合せに関しては何ら生じなかった。表13は、複合材A〜複合材Dが試験された条件を列挙する。
【0069】
【表13】
【0070】
実施例5
実験を、ホィールの研磨性能に対する繊維タイプの影響およびMKCSのレベルを詳しく調べるために着手した。ホィールを実施例4の場合のように調製し、ホィールは、存在する繊維のタイプおよびMKCSのレベルに関して異なるだけであった。具体的には、ホィールは8vol%の(ガラス)チョップドストランド繊維(CSF)または8vol%の鉱物綿(MW)マイクロファイバーのどちらかを含んでいた。それぞれのカテゴリーについて、MKCSのレベルは0vol%または3.42vol%のどちらかであった。
【0071】
表14において認められるように、8vol%のCSFを含有するホィールについてのG比が、MKCSが(MKCSを何ら伴わない場合の330kg/dm3から、MKCSを伴う場合の296kg/dm3にまで)添加されたときには約10%低下した。逆の傾向が、鉱物綿を用いて調製されたホィールに関して認められ、この場合、MKCSを添加することにより、(0レベルのMKCSにおける311kg/dm3から、3.42vol%のMKCSが添加されたときの385kg/dm3への)G比における約20%の増大がもたらされた。このことは、MKCSが、2つの繊維タイプと、異なる様式で相互作用すること、および、相乗効果が、MWマイクロファイバーをMKCSと組み合わせることによって得られることを明瞭に明らかにする。そのような効果が、MKCS−CSFの組合せに関しては全く認められなかった。それどころか、MKCSを、CSFを含有する組成物に添加することは、G比に対する負の影響を有していた。
【0072】
【表14】
【0073】
実施例6
実施例6(これは表15および
図2を含む)は、研磨性能を、鉱物綿およびチョップドストランド繊維との組合せでの活性フィラーの関数として明らかにする。表15において認められ得るように、8個のサンプル複合材の成分が(vol%で)提供される。
すべてのサンプル(Exp1〜Exp8)が、同じタイプおよび量の砥粒を含んでいた。2つのレベルのガラス繊維チョップドストランド繊維(CSF)を用いた:6体積%の高レベル(Exp1、Exp2、Exp5およびExp6)および4体積%の低レベル(Exp3、Exp4、Exp7およびExp8)。
【0074】
すべての場合において、結合剤は、(有機)樹脂、Sloss PMF(登録商標)鉱物綿(MW)マイクロファイバー、鉄化合物(黄鉄鉱)、石灰、および、活性フィラーの二塩化マンガン(MKCS)を含んでいた。Exp5〜Exp8のサンプルはまた、硫酸カリウムフィラーを含んでいたが、残りのサンプル(Exp1〜Exp4)は硫酸カリウムフィラーを含まなかった。
【0075】
鉱物綿マイクロファイバーと、マンガン化合物系活性フィラーとの間における相乗作用が、低レベルの(ガラス繊維)CSFを有するサンプルでは特に著しかった。ガラス繊維レベルが増大するにつれ、MKCS/MWの利点がそれほど顕著にならなかった。これらの結果は、マンガン化合物系活性フィラーが、MWマイクロファイバーに関して提供するのと同じ利点をガラスCSFに関しては提供しないことを明らかにする。
【0076】
データはまた、硫酸カリウムを添加した場合(Exp5〜Exp8)、累積G比に対する悪影響があったことを示した。一般に、最大累積G比(これは除去金属(lbs)/ホィール摩耗(lbs)として定義される)の値が、硫酸カリウムを含有しなかったサンプルについて認められ、このことが(ガラス繊維)CSFの低レベルにおいて特に著しかった。(例えば、Exp3およびExp4を参照されたい)。MKCSの効果との比較において、硫酸カリウムは研磨性能における増大を全くもたらさなかったか、または、低下した研磨性能をもたらした。
【0077】
これらの結果は、研磨性能が、MKCSおよびMWを増大させるにつれ増大したこと、および、これら2つの成分に関して認められる相乗効果が、ガラス繊維のチョップドストランド繊維または他のフィラー(例えば、硫酸カリウム)にまで及ばなかったことを明らかにした。これらの実験は、MWおよびMKCSの組合せが研磨ホィールにおいて使用されるとき、予想外の性能上の利点が存在することを示した。
【0078】
データはまた、カリウム塩が、より大きいレベルのガラスチョップドストランド繊維、鉱物綿マイクロファイバーおよびマンガン化合物を含む組成物においては性能に対する増大した効果を有しており、鉱物綿マイクロファイバー、マンガン化合物、および、より低いレベルのチョップドストランド繊維を含む組成物においてはそれほど効果を有していないことを示している。
【0079】
【表15】
【0080】
本発明の実施形態の前記記載は例示および記述のために示されている。包括的であること、または、発明を開示されたその厳密な形態に限定することは意図されない。多くの改変および変化が、本開示に照らして可能である。発明の範囲は、この詳細な記載によってではなく、むしろ、本明細書に添付された請求項によって限定されることが意図される。