(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
左側境界縁(l)と右側境界縁(r)とを有し、少なくとも1つの主支持材と、主支持材の上面(O)上の自己接着剤の第1の層とを含むフライングロール交換用接着テープであって、前記主支持材の下面(U)が、剥離された結合の領域で接着性残留物が主支持材(H)の下面にも基材にも残らないように再度剥離することが可能である接着結合を基材に対して行うのに好適な剥離系(TS)を担持し、
剥離系(TS)が、接着テープの長手方向(x方向)に延在する複数のセグメント(S)からなる複数回分断されたストリップの形態で構成され、個々のセグメント(S)が、接着テープ(K)の長手方向に接着テープ(K)自体よりも小さい広がりを有し、
かつ剥離系(TS)が、主支持材(H)に損傷を被ることなく剥離プロセスを起こすのに適したものである、
前記接着テープ。
各セグメントの境界縁が、曲線(F)により表現可能であり、この曲線(F)は、前記接着テープの長手方向に位置するx軸と、このx軸に対して垂直でかつ左側から右側の方向を向くy軸とを有する右手系デカルト(直交)座標系に関して、以下の条件、すなわち ・最も右側の位置にある点E1(x1/ymax)(「極値」)
または最も右側の位置にある複数の点を含みかつ点E1a(x1a/ymax)およびE1b(x1b/ymax)(ただしx1a<x1b)により画定される領域B1(「極値領域」)、
・x方向で最も小さい位置にある点E2(xmin/y2)
またはx方向で最も小さい位置にある複数の点を含みかつ点E2a(xmin/y2a)およびE2b(xmin/y2b)(ただしy2a<y2b)により画定される領域B2、
・x方向で最も遠い位置にある点E3(xmax/y3)
またはx方向で最も遠い位置にある複数の点を含みかつ点E3a(xmax/y3a)およびE3b(xmax/y3b)(ただしy3a<y3b)により画定される領域B3、
・点E2またはE2bと点E1またはE1aとにより画定される上昇曲線部分(Fs)、
・点E1またはE1bと点E3またはE3bとにより画定される下降曲線部分(Ff)、
この際、セグメント(S)の50%超において、上昇曲線部分(Fs)の傾斜が下降曲線部分(Ff)の傾斜よりも小さく、この際、曲線部分の傾斜とは、曲線部分を画定する2つの曲線点を通る直線(傾斜直線)の傾斜の量を表す、
を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の接着テープ。
前記接着テープ(K)の横方向(すなわちy方向)における前記セグメント(S)により形成されたストリップの広がりが、その方向の前記接着テープ(K)の広がりよりも小さい、すなわち前記接着テープの幅よりも小さいことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の接着テープ。
前記ストリップが、それぞれ同じセグメント(S)が並べられた列と、各セグメント(S)間のそれぞれ同じ間隔とから構成され、この際、セグメント(S)はx方向に相前後して配置されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の接着テープ。
前記セグメントが、それぞれ、その上面およびその下面のそれぞれに接着剤の層を備えたさらなる支持材(T)(「セグメント支持材」)を含み、この際、セグメント支持材(T)が、平面的に分割可能もしくは層間剥離可能であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の接着テープ。
前記セグメント支持材(T)が、少なくとも2つの紙層の結合体、少なくとも2つのフィルム層の結合体、または少なくとも1つの紙層と少なくとも1つのフィルム層との結合体であることを特徴とする、請求項10に記載の接着テープ。
第1の接着剤層を形成する接着剤が、アクリレート系、天然ゴム系、または合成ゴム系の接着剤であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の接着テープ。
前記主支持材の下面が、前記複数回分断されたストリップの外側に、剥離された結合の領域で接着性残留物が前記主支持材の下面にも前記基材上にも残らないように再度剥離することが可能である接着結合を前記基材上にもたらすのに好適な1つ以上のさらなる剥離系を担持することを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の接着テープ。
ロールに巻回されたフラットウェブ材料のフライングロール交換時に2つのフラットウェブを結合するにあたり、接着性面が生じないように再度分離可能な接着結合を達成するのに好適な少なくとも1つの剥離系(TS)を含む接着テープ(K)により、新しいロールの最上側フラットウェブ巻き(11)をその下にあるフラットウェブ巻き(12)に固定し、この際、走行するフラットウェブ(13)と結合するのに必要とされる自己接着剤(M)の部分が接着テープ(K)の上面(OK)上に露出されるようにし、その後、こうして装備された新しいロールを、ほぼ完全に巻解された旧被交換ロールの隣に置き、そのロールと実質的に同一の回転速度に加速し、次に、旧いフラットウェブ(13)に押圧し、ここで、接着テープ(K)の露出された自己接着剤(M)が、実質的に等しいウェブ速度において旧いフラットウェブ(13)に接着し、同時に、下側フラットウェブ層(12)上への最上側フラットウェブ層(11)の結合(この結合は、剥離系(TS)を利用してもたらされたものである)が、剥離プロセス後に接着性領域が露出されないように平面的に剥離を起こす方法であって、請求項1〜18のいずれか一項に記載のセグメント化された剥離系を有する接着テープが使用されることを特徴とする前記方法。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1aは、上方から見た接着テープの斜視図である。
図1bは、下方から見た接着テープの斜視図である。
【
図1c】
図1cは、長手方向(x方向)の接着テープの断面図である。
【
図1d】
図1dは、横方向(y方向)の接着テープの断面図である。
【
図2】
図2a及び2bは、セグメントの周期的な列及びセグメントの中間間隙の周期的な列を含む接着テープの斜視図である。
【
図3】
図3a〜3hは、本発明の接着テープに適したセグメント形状の例を示す。
【
図4a】
図4aは、セグメントの対称的な曲線形状の例を示す。
【
図4b】
図4bは、セグメントの対称的な曲線形状の例を示す。
【
図4c】
図4cは、セグメントの対称的な曲線形状の例を示す。
【
図4d】
図4dは、セグメントの対称的な曲線形状の例を示す。
【
図5】
図5a及びbは、セグメントの非対称的な曲線形状の例を示す。
【
図5c】
図5cは、セグメントの非対称的な曲線形状の例を示す。
【
図6】
図6は、セグメントの非対称的な曲線形状の例を示す。
【
図7】
図7a及びbは、ロール上に巻回されたフラットウェブ材料のフライングロール交換において2つのフラットウェブを結合するための方法を概略的に示す。
【0027】
接着テープ(K)は、先ず第一に、自己接着剤(M)が上面(O
H)上に設けられた主支持材(H)を含む(
図1aおよび1bには別個には示されていない)。接着テープ(K)の上面(O
K)および主支持材(H)の上面(O
H)は、同一の側(上側)に位置し、またこれは、接着テープ(K)および主支持材(H)の下面(U
K、U
H)についてもしかりである(いずれの場合も下側)(これに関しては
図1cを参照されたい)。
【0028】
図1aは、自己接着剤を備えた接着テープ(K)の上面(O
K)が
図1aの図で上側に位置するように、上方から見た接着テープの図を示す。接着テープの下面(U
K)上には複数のセグメント(S)からなる剥離系(TS)が存在する。
図1aでは、この剥離系(TS)は、接着テープの下側すなわち目視不能な領域に位置するので、直線の破線でその径路だけが図解的に示される(特に、セグメント化は示されない)。
【0029】
接着テープは、巻回してロール(W)にすることができ、すなわち、接着テープ(K)の上面(O
K)は、それぞれの巻きの外側を、また、接着テープ(K)の下面(U
K)は、それぞれの巻きの内側となる(
図1cをも併行して参照されたい)。
図1cは、接着テープ(K)の表面(O
K)には、場合によりカバー(A)、特に剥離材料からなるカバー(A)を設け得ることを示す。これは、特に、接着テープの扱いを可能にするのに適し、また特に、接着テープが巻回された時に接着テープの各層の間に剥離作用をもたらすのに適しているものである(
図1dでも同様に、このカバー(A)が示されている)。カバー(A)は、特にシリコーンで処理された材料、好ましくはシリコーン処理紙からなる。
【0030】
さらに、接着テープ(K)に関連して、上記のデカルト(直交)座標交差系が示され、そのx軸(横軸)は、接着テープの長手方向に延在し、その際、その軸はロールの巻き(W)の方向に向いており(x方向)、y軸(縦軸)は、接着テープの左側の縁(l
K)から接着テープの右側の縁(r
K)の方向を向き(y方向)、z軸(垂直軸)は、接着テープ(K)の上面(O
K)から下面(U
K)の方向を向く(z方向)。
【0031】
接着テープKは、左側縁(l
K)と右側縁(r
K)とを有し、この縁の表記は、ロール巻き(W)の方向に接着テープ(K)の上面(O
K)を見た場合のことである。
【0032】
接着テープの寸法は、原理的には(しかし絶対的にではない)、主支持材の寸法によって決まるので、接着テープ(K)の左側縁および右側縁(l
K、r
K)は、一般的には、主支持材(H)のものに通常一致する。
【0033】
ここで接着テープを180°回転させると[回転(D)]、
図1bに示す図が得られる。
図1bは、接着テープ(K)の下面(U
K)の眺めを示しているので、この場合、剥離系(S)は目視可能に配置されている(主支持材の平面の上方)。剥離系は、x軸に平行な直線(r
TS)によってその右側に、および(l
TS)によって左側に画定される。
同様に、この図では、主支持材の平面の上方にロール巻き(W)が存在する。
【0034】
ここで、座標系は、数学的に周知の描写に合致する。
【0035】
上記の方向の定義のさらなる結果として、ロール巻きを巻解す時、接着テープの巻解し方向はx方向に合致することがわかる。
【0036】
図1dは、本発明を限定するものと解釈すべきではない任意に選択された実施形態をもとに、例として、本発明による接着テープの断面図を示し、視線方向は正のx方向に合致する。参照記号は、上記の定義に対応する。
図1dはまた、オプションとして装備されたカバー(A)も示す。このカバーは、接着テープの長手方向に、つまりx方向、それゆえ接着テープ縁の長手方向(r
K、l
K)に平行に延在する、切断線または所定の破断個所(P)、特に、ミシン目穿孔、切り口、スリットおよび類似の手段の形態のものを設けることにより、2つの部分(A
1)および(A
2)に分割可能であるか、あるいは分割可能なように用意することができる。
【0037】
接着テープ(K)を使用に際して手で処理する場合は、カバー材料が切断線またはミシン目穿孔(P)を有していると有利である。これによって、生ずる分割片を相互に無関係に取り去ることができる。特に接着テープを後で自動のまたは自動化されたプロセスにおいて接着する場合は、カバー材料は切断線なしで存在することもできる。手による接着の場合には、カバー材料は紙であることが望ましい。紙であれば、手で裂け目を入れることができるからである。特に自動貼付の場合には、カバー材料をフィルム製とすることもできる。この場合は、カバーを含む接着テープが機械切断されるからである。しかし、この場合も、相応に処理された、特にシリコーン処理された紙製のカバーを使用することが望ましい。フィルムは―特にその高い伸張性によって―接着テープの切断の際に問題を起こす可能性があるからである。
【0038】
下面に接着される剥離系(TS)は、接着テープ(K)の右側の長さ方向の縁(r
K)に面一に配置できる。しかし、本発明をフライングロール交換に用いる場合は、剥離系(TS)をこの長さ方向の縁(r
K)からある距離(V)をおいて配置すると非常に有利であることが判明している[この場合、この距離は、各セグメントの最も右側に位置する極値点を結んだ線、従って剥離系の境界直線(r
TS)に基づく]。
【0039】
本発明による接着テープは―特に、例えば機械的なプロセス実行用の検出機能のような特定の機能を実現するために―図には表示されていない別の層を含むことが可能であり、これもまた、本発明の対象に一緒に含まれる。
【0040】
接着テープ(K)の断面の模式的図による説明に関しては、剥離系(TS)の構造は、ここの説明においては関連のないものであるため、ここでは重要ではない。すなわち本発明による接着テープの剥離系は、ここで示すものとは別の構造を有することができる。
図1dは、後で具体的な実施形態を説明するのに使用されるが、本発明の一般的な構造を説明するこの箇所では、この具体的な実施形態に限定する意図は明らかにない。参照符号(O
T、U
T、M
O、TおよびM
U)については、この後の説明で言及する。
【0041】
有利な一実施形態では、剥離系は、各々同じセグメントがX方向に並んだ列である。すなわち、セグメントの重心が直線(基線(X))上に存在するように(相前後して配置されるように)する。非常に好ましくは、この基線はx方向に延在するが、この基線がx軸に対して特に鋭角で延びること、その結果、剥離系が接着テープ上に斜めに配置されることも可能である。
【0042】
また、セグメント間に同じ間隙(セグメント間の距離)を設けることも有利である。非常に好ましくは、x方向の個々のセグメント間の間隙は、いずれの場合もx方向のそれぞれのセグメントの広がりよりも小さい。
【0043】
剥離系は、また、幾何学的形態がそれぞれ同一のセグメントからなる分断されたストリップの形態に設けることが好適に可能であるが、この際、セグメントの重心が、x方向に延びる単一の直線上に位置するのではなく、2本以上の直線上に位置するようにセグメントの配置がずらされる。
【0044】
この場合、セグメントの形状およびサイズと、セグメント間の間隔と、剥離系の相互の位置(直接隣接する、剥離系間に間隔を設ける・・・)と、その個数とによって、接着テープの接着特性を優秀に調整できる。
【0045】
この場合、特に、セグメントの周期的な列、好ましくはそれと同時にセグメントの中間間隙の周期的な列が有利である。このような配置の例が
図2aおよび2bに表現される。ただし、そこに表現されるセグメントの幾何学的形態によって不必要に制限を設ける意図はない。
【0046】
好ましい一変形形態では、x方向の個々のセグメントの広がりは、x方向の接着テープの広がりよりも数倍小さい。
【0047】
好ましくは、追加としてまたは他の選択肢として、接着テープ(K)の横方向(すなわちy方向)におけるセグメント(S)により形成されたストリップの広がりは、その方向の接着テープ(K)の広がりよりも小さい(すなわち、接着テープの幅よりも小さい)。
【0048】
本発明の1つの実施形態は、セグメントが異なる幾何学的形態を有するような剥離系を備える。この場合、特に、それぞれ同一のセグメントの2つ以上の群が存在し、そのセグメントの重心を、すべて、x方向に延びる1つの直線上に配置することができる。本発明は、さらに、このようなセグメントの重心が、x方向に延びる単一の直線上に位置するのではなく、2つ以上の直線上に位置するような実施形態をも含む。
【0049】
この場合、非常に好ましい実施形態は、幾何学的形態が同一のセグメントの重心が、それぞれ、x方向に延びる1つの直線上に位置するという特徴を有する。
【0050】
特に、この場合も、セグメントの周期的な列を有する剥離系が有利である。
【0051】
セグメントは、異なる形態を有することができる。第1の変形実施形態では、先行技術から公知のような連続的な剥離系ストリップを使用するのではなく、ストリップを複数のセグメントに細分割して、特に、正方形もしくは長方形のセグメントとする。
【0052】
例として
図3a〜3hに示されるのは(ただし、それにより本発明の対象に関して限定することを意図するものではない)、本発明に係る接着テープに優れて適切ないくつかのさらなるセグメント形状である。
【0053】
特に有利な手法は、分割開始を大幅に防止するために、接着テープの長手方向に対して横方向のセグメントの境界縁の傾斜を最小限に抑えることである。
【0054】
セグメントの形状によって、対応する分割力が―材料に応じて―調整される。各セグメントの形状/幾何学的形態は、接着テープの横方向において、分割開始するためにはできるだけ低い力を必要とすることがよい。しかし、ロールの加速段階においてあまりに早く開放されて破れてしまうことがないようにするため、この力は小さ過ぎてもいけない。このことは、特に、ベルトの領域に特別な強度を必要とするベルト駆動の装置に当てはまる。
【0055】
従って、接着テープの巻解し方向に対して横方向には、セグメントの境界縁にできるだけ小さい傾斜を設けることが特に有利である。それによって、分割開始の傾向が最小化される。特に、これは、セグメントを、右側―スプライス操作において剥離が開始される側―において、先を尖らしてあるいは丸めて頂点の形に形成することによって実現できる。セグメントの幅は、特に十分な接着面積を形成するために、右側から連続的に広くしていくことが有利である。
【0056】
有利なセグメント形状は、特に、
・最も右側の位置にある頂点E
1(x
1/y
max)(「極値」)
または最も右側の位置にある複数の点を含みかつ点E
1a(x
1a/y
max)およびE
1b(x
1b/y
max)(ただしx
1a<x
1b)により画定される領域B
1(「極値領域」)、
・x方向で最も小さい位置にある頂点E
2(x
min/y
2)
またはx方向で最も小さい位置にある複数の点を含みかつ点E
2a(x
min/y
2a)およびE
2b(x
min/y
2b)(ただしy
2a<y
2b)により画定される領域B
2、
・x方向で最も遠い位置にある頂点E
3(x
max/y
3)
またはx方向で最も遠い位置にある複数の点を含みかつ点E
3a(x
max/y
3a)およびE
3b(x
max/y
3b)(ただし
y3a<
y3b)により画定される領域B
3、
・点E
2またはE
2bと点E
1またはE
1aとにより画定される上昇曲線部分(F
s)、
・点E
1またはE
1bと点E
3またはE
3bとにより画定される下降曲線部分(F
f)、
を含むことを特徴とする。
【0057】
この類の曲線形状の例を
図4a〜4dに示す。
図4aおよび4b(比較的急な縁径路)ならびに4c(比較的平坦な縁径路)は、頂点(E
1、E
2、E
3)を有する異なる幅のセグメントを示しており、
図4cは、頂点領域(B
1、B
2、B
3)を有するこの類の実施形態を示している。
【0058】
本発明はまた、
図4a(または
図4bもしくは4c)から出発して、点E
1、E
2、および/またはE
3のうちの1つまたは2つを領域B
1、B
2、またはB
3で置き換えた曲線(F)、すなわち、
図4aの実施形態と
図4dの実施形態との(または
図4bもしくは4cの実施形態と
図4dの実施形態との)いわば「混合幾何学的形態」も包含する。
【0059】
好ましい一変形実施形態では、セグメントは、x軸に平行に延在する鏡軸に対して鏡面対称でありうる。
【0060】
上昇曲線部分および/または下降曲線部分は、少なくともそれらの一部の範囲が直線的もしくは実質的に直線的に延在するように形成することができる。しかし、それらは、(互いに独立して)、1つ以上の変曲点を有するように形成することもできる。
【0061】
極端な場合、曲線の形状は、下降部分が垂直(y軸に平行)に延在するかまたは1つ以上の細分化部分で垂直に延在するようなものである。
【0062】
本発明の有利な一実施形態では、上昇曲線部分は単調増加しおよび/または下降曲線部分は単調減少する。この変形形態の一発展形態は、曲線部分が狭義に単調増加または減少することを特徴とする。
【0063】
本発明の別の形態は、曲線部分が径路変化における単調性を示さず、従って上昇曲線部分および/または下降曲線部分において局所的な最高点および最低点(および/または局所的な最高領域および/または最低領域)が出現するように形成される。しかし、この場合、対応する曲線部分全域にわたり、全体として、本発明が指定する規定の上昇または下降が出現するならば、従って、それぞれの当該曲線部分について、全体として上昇または下降が確認できるならば、本発明が充足されたことになる。
【0064】
また、上昇曲線部分または下降曲線部分の径路に変曲点および/または鞍点が存在してもよい。
【0065】
最も右側に位置する点E
1(「極値」)を通る曲線の径路は―好ましい態様として―その曲線が、少なくともその極値領域においては微分可能であるように、従ってその極値を通る径路が「丸い」曲線径路という特徴を有するように形成できる。しかし、その曲線径路は、曲線がその位置において微分可能ではないように、従ってその極値において尖った先端が存在するように形成することもできる。
【0066】
上昇曲線部分から極値領域への移行部分および/または極値領域から下降曲線部分への移行部分も、それぞれ、微分可能な、または微分可能でない曲線径路によって特徴付けることができる。極値領域では、この場合、第1次導関数が単調ではあるが狭義には単調でなく変化することが成り立つ(第1次導関数の値が極値領域のすべての点でゼロである)。
【0067】
曲線(F)の左側領域(頂点E
2およびE
3の間の曲線の左手側径路)も、特に、常に微分可能であるように(すなわち、この領域の径路全体にわたり微分可能であるように)形成することも可能である。特に、頂点E
2およびE
3の領域の曲線の径路も、丸めて延ばすことが有利である。しかしながら、反対に、ここで、それぞれまたは両点の一方において、尖った先端を設けることも可能である。
【0068】
特に有利な実施形態は、y軸に平行に延在する軸に対してセグメントが鏡面対称でないものである。この場合、特に好ましいのは、接着テープの長手方向のx軸と、このx軸に垂直でかつ左側から右側の方向を向くy軸とを有する右手系デカルト(直交)座標系に関して、特に、以下の条件を満たす曲線Fにより各セグメントの境界縁を表すことが可能な形態である。
・最も右側の位置にある点E
1(x
1/y
max)(「極値」)
または最も右側の位置にある複数の点を含みかつ点E
1a(x
1a/y
max)およびE
1b(x
1b/y
max)(ただしx
1a<x
1b)により画定される領域B
1(「極値領域」)、
・x方向で最も小さい位置にある頂点E
2(x
min/y
2)
またはx方向で最も小さい位置にある複数の点を含みかつ点E
2a(x
min/y
2a)およびE
2b(x
min/y
2b)(ただしy
2a<y
2b)により画定される領域B
2、
・x方向で最も遠い位置にある頂点E
3(x
max/y
3)
またはx方向で最も遠い位置にある複数の点を含みかつ点E
3a(x
max/y
3a)およびE
3b(x
max/y
3b)(ただしy
3a<y
3b)により画定される領域B
3、
・点E
2またはE
2bと点E
1またはE
1aとにより画定される上昇曲線部分(F
s)、
・点E
1またはE
1bと点E
3またはE
3bとにより画定される下降曲線部分(F
f)、
およびセグメント(S)の大多数において、上昇曲線部分(F
s)の傾斜が下降曲線部分(F
f)の傾斜よりも小さい。
【0069】
所定の曲線部分(セグメントの境界縁の所定部分)の傾斜という用語は、本明細書においては、その曲線部分の境界となる2つの曲線点を通る直線の傾斜の量と理解される。
【0070】
従って、曲線部分の傾斜は、特に数学的には、その曲線部分をその第1次導関数のリーマン積分として表現し得る限り、その曲線部分の第1次導関数の平均値に等しい。
【0071】
図5aは、本発明に係る接着テープのそのような一実施形態として優れたものとして挙げられるセグメントの実施形態を示している。
【0072】
その曲線は、最も右側に位置する点E
1(x
1/y
max)(「極値」)と、さらに、x方向において最も小さい位置にある頂点E
2(x
min/y
2)と、x方向において最も遠くに位置する頂点E
3(x
max/y
3)とを有する。点E
2およびE
1によって、上昇曲線部分(F
s)が画定され、点E
1およびE
3によって、下降曲線部分(F
f)が画定される。上昇曲線部分(F
s)(曲線部分がより平坦に延びている)における傾斜は、下降曲線部分(F
f)(ここでは曲線部分がより急傾斜で延びている)における傾斜よりも小さい。
【0073】
図5bは、このセグメントの別の発展形態を示す。この場合、左側の(頂点E
2とE
3との間の)曲線部分F
lが、x軸にほぼ(従って少なくとも細分化部分においては)平行に延びている。
【0074】
1つの好ましい態様においては、特に最後に述べた実施形態について、点E
2およびE
3が同じy値を有する(従って、これらの頂点がx軸から同じ距離だけ離れている)。
【0075】
本発明のさらなる有利な実施形態を
図5cに示す。この場合、曲線は、最も右側に位置する複数の点を含む極値領域B
1と、さらに、x方向において最も小さい位置にある複数の点を含む領域B
2と、さらに、x方向において最も遠くに位置する複数の点を含む領域B
3とを有する。ここで、極値領域B
1は点E
1a(x
1a/y
max)およびE
1b(x
1b/y
max)によって画定され、この場合点E
1aは点E
1bよりもx方向において小さい位置にあり(従ってx
1a<x
1b)、領域B
2は点E
2a(x
min/y
2a)およびE
2b(x
min/y
2b)によって画定され、この場合点E
2aは点E
2bよりも左側にあり(従ってy
2a<y
2b)、領域B
3は点E
3a(x
max/y
3a)およびE
3b(x
max/y
3b)によって画定され、この場合点E
3aは点E
3bよりも左側にある(従ってy
3a<y
3b)。
【0076】
この実施形態においては、上昇曲線部分(F
s)は、領域B
2の最も右側に位置する点E
2bと、極値領域B
1のx方向において最も小さい位置にある点E
1aとによって画定される。下降曲線部分(F
f)は、極値領域B
1のx方向において最も遠くに位置する点E
1bと、領域B
3の最も右側に位置する点E
3bとによって画定される。また、この場合も、本発明によれば、上昇曲線部分(F
s)における傾斜が下降曲線部分(F
f)における傾斜よりも小さいことが成り立つ。
【0077】
領域B
1およびB
2に関して
図5cに示されるように、領域B
1、B
2および/またはB
3のすべての点は、y方向において最も遠くに(最も右側に)位置し、x方向において最も小さい位置にあり、あるいは、x方向において最も遠くに位置することができる。その結果、この各領域の点は、x軸またはy軸に平行な直線を表す。この場合、境界の点は、その隣接点が対応する方向においてはもはや最も遠くに位置することがないような点である。しかし、領域B
3について例示されるように、その領域の内部に、対応する方向において最も遠くに位置しない点が存在することも可能である。
【0078】
図5aを基礎として、点E
1、E
2および/またはE
3の1つまたは2つを、領域B
1、B
2またはB
3に置き換えたような曲線(F)、つまり、
図5aおよび
図5cの実施形態の言わば「混合幾何学的形態」も本発明の範囲内である。
【0079】
また、
図5bに表現されるような実施形態においても、点E
1、E
2および/またはE
3の1つまたは2つを領域B
1、B
2またはB
3に置き換えることもできる。
【0080】
本発明によれば、セグメントの大多数について、上昇曲線部分が、下降曲線部分よりも小さい傾斜を有する(より平坦に延びている)ようにすることが有利にできる。このため、これらのセグメントに対しても、従ってまた接着テープに対しても、y軸に平行に延びる鏡軸を見出すことはできない。
【0081】
好ましくは、セグメントの50%超、より好ましくは少なくとも75%、さらにより好ましくは少なくとも90%、理想的にはすべてのセグメントにおいて、上昇曲線部分がそれに続く下降曲線部分よりも小さい傾斜を有する(より平坦にに延在する)ということがあてはまる。
【0082】
セグメントの50%超、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも90%、理想的にはすべてのセグメントにおいて、セグメントの下降曲線部分の傾斜が、x方向に後続するセグメントの上昇曲線部分の傾斜よりも大きいということがあてはまると特に有利である。
【0083】
上昇曲線部分の数学的平均傾斜の量が下降曲線部分のものよりも小さいだけでなく、全セグメントの大多数において、特に有利にはすべてのセグメントにおいて、
上昇曲線部分の多数の曲線点で、曲線の傾斜の量(すなわち、この点における曲線の導関数の量)が、優先方向に後続する下降曲線部分の同一のy値の点における傾斜の量(導関数の値の大きさ)よりも小さいということがあてはまると、課題の解決に特に有利である。
【0084】
好ましくは、複数のセグメント、より好ましくは大多数のセグメント、さらに好ましくはすべてのセグメントが、上昇曲線部分において、それぞれ、1つ以上の細分化曲線部分を有し、その細分化曲線部分の各曲線点について、その位置におけるその曲線の傾斜の量(従ってこの点における曲線の導関数の値の量)が、優先方向に後続する下降曲線部分の同じy値の点における傾斜の量(導関数値の量)よりも小さいことが成り立つことが望ましい。
【0085】
1つまたは複数個の細分化曲線部分のy方向における広がり―y広がりとも呼称する―は、全体として、上昇曲線部分または優先方向に後続する下降曲線部分のy広がりのどちらが小さい方であるかに応じて、この2つのいずれかのy広がりの少なくとも50%、好ましくは75%、さらに好ましくは90%になることが望ましい。
【0086】
さらに、1つまたは複数個の細分化曲線部分のy広がりが、上昇曲線部分が小さい方のy広がりを有する場合であっても、全体として、上昇曲線部分のy広がりの少なくとも50%、好ましくは75%、さらに好ましくは90%になることが一層望ましい。
【0087】
好ましくは、主支持材を紙の支持材とすることができる。この紙については、物理的特性、特に引き裂き強度が重要である。この強度は、印刷機または他の加工機械におけるウェブの応力より高いのがよい。特にウェブ応力が低い機械の場合には、薄い紙も選択できる。材料は薄いほど機械を通る場合に障害になる率が低いので、これは加工工程にとって有利である。
【0088】
接着テープの下面における剥離系の性状
接着テープの下面における剥離系(TS)は、本発明によれば、主支持材と基材との間の接着結合をもたらすのに適したものである。この剥離系は、この系によってもたらされる接着結合を再剥離し得るように構成される。この場合、この再剥離は、接着テープの下面に、さらにその基材の上にも、剥離された接着結合の領域に接着性の残留物を残すことなく行われるものである。この剥離は、この場合、平面的に、すなわち、z方向において行われる(プロセス条件による不正確さまたは厚さの変動その他のためにz方向から僅かに逸れることが一緒に含まれる場合があり得るが、それは「z方向の剥離」という呼称と矛盾するものではない)。このため、分離された接着結合部分の平面領域には、接着テープの側にも基材の側にも、接着性または粘着性の面は残らない。
【0089】
接着接合の剥離は、接着テープの下面に、さらに基材の上にも、剥離された接着結合の領域に接着性の残留物を残すことなく行われるが、この場合、この接着接合の剥離は、特に、剥離系内部における(平面的な)分割過程(特に剥離系の単一層または単一体の層の平面的な分割)、系の2つの互いにラミネートされた層の層間剥離、または、剥離系が接着されていた基材からの系のいずれかの層の再分離、および/または、剥離系のいずれかの層を、本発明の接着テープの他のいずれかの層から再分離することを含む。
【0090】
図1dに図解されるような剥離系の形態においては、剥離系(TS)そのものを、支持材(T)―「セグメント支持材」または「分割可能な支持材」とも呼称する―を有する両面接着テープの形に構成することによって、上記の接着接合の剥離を実現する。この支持材(T)は、その上面(O
T)およびその下面(U
T)にそれぞれ接着剤の層(M
O、M
U)を備えている。
【0091】
セグメント支持材は、第1の構成形態においては、対応する力の作用において平面的に分割することが可能な単一体(単層)の支持材である。この場合、この剥離系による接着結合は、このセグメント支持材がz方向において平面的に分割することによって、特に、セグメント支持材の面に関してほぼ中心で分割することによって、再剥離させることができる。この場合、それぞれの接着剤の層は、分割後に残るセグメント支持材の平坦な残留物によって、非接着性となるようにカバーされる。
【0092】
セグメント支持材は多層構成も可能である。この場合は、支持材層の1つの層が分割可能である。
【0093】
本明細書においては、従って、その面の広がりに平行に分割し得るような支持材、特に、スプライス操作における要求に基づいて実際に分割するような支持材を「分割可能」という。「ほぼ中心での分割」ということは、本発明の主旨においては、分割において、ほぼ等しい厚さの平坦な支持材残部が分割生成物として発生することを意味する。これは、明らかに異なる厚さの(平坦な)支持材残部が分割生成物として発生するほぼ非中心での分割とは対照的である。特に、単一体の支持材のほぼ中心での分割は、分割生成物が対応する接着剤を確実に非接着性となるようにカバーするという特徴を備えるべきである。非対称の分割の場合には、場合によって、平坦な支持材残部が薄くなり過ぎ、この薄い支持材残部の側で、非接着性のカバーが確保されなくなる可能性がある。
【0094】
分割可能な支持材としては、すべての分割可能な平坦な支持材材料を使用できる。特に、容易に分割する紙、クラフト紙、紙複合系(例えば二重紙(Duplexpapiere)および糊付け紙系)、複合フィルム系(例えば糊付けフィルム系)、ポリマー複合系(例えば共押出ポリマー複合系)、およびポリマー不織布材料などがある。
【0095】
引張力を受けなければならない支持材より明らかに低い分割強度を備えた分割可能な支持材を使用することが有利である。特に、両方の材料ウェブを互いに結合するのに、接着テープの主平面における本来の引張力を受ける支持材または支持材層より(すなわち主支持材Hより)明らかに引き裂き伝播抵抗が低い分割可能な支持材を用いることが望ましい。従って、セグメント支持材は、主支持材が破壊される前に分割する。1つまたは複数の分割可能な系は紙に基づくものであることが望ましい。これについては、例えば、特に以下のような紙または紙複合系が挙げられる。すなわち、
―糊付けした高圧縮紙、
―容易に分割可能な紙系、例えば、湿潤強力でない紙、
―クラフト紙(例えば、両面平滑クラフト紙―特に、厚さ55μmおよび単位面積重量65g/m
2のクラフト紙が適していることが判明している)、
―二重紙
(規定どおり一緒にラミネートした紙。分割過程はきわめて均質一様に拡がる。応力のピーク値、例えば不均質な圧縮による応力のピーク値を全く生じない。この紙は壁紙およびフィルターの製造に用いられる)、
―分割の力が接着点の大きさによって決定されるような分割可能な系(このような分割可能な系が例えば特許文献8に記載されている)、
である。
【0096】
剥離系の上側の接着剤および下側の接着剤は高い接着力を有するべきである。それぞれの表面(支持材および基材)におけるこの自己接着剤の接着力が、分割可能な支持材の分割に必要な力よりも大きくなることが特に望ましい。有利な分割可能な支持材は、好ましくは15〜70cN/cmの分割強度、特に22〜60cN/cm、さらに好ましくは25〜50cN/cmの分割強度を有する。分割強度およびその測定については特許文献9を参照できる。
【0097】
接着テープのこの実施形態の変形態様が、剥離系の支持材(T)を、単層としてかつ平面的に分割可能に形成するのではなく、相互に平面的に(z方向に)分離可能な(層間剥離可能な)2つの層の形に形成することによって得られる。これは、特に、紙−紙ラミネート、またはフィルム−フィルムラミネート、あるいはまた紙とフィルムとのラミネートとすることができる。これについては、例えば、特に以下のような紙および/またはフィルムベースのラミネート系または複合系が挙げられる。すなわち、
―二重紙
(規定どおり一緒にラミネートした紙。分割過程はきわめて均質一様に拡がる。応力のピーク値、例えば不均質な圧縮による応力のピーク値を全く生じない。この紙は壁紙およびフィルターの製造に用いられる)、
―分割の力が接着点の大きさによって決定されるような分割可能な系(このような系が例えば特許文献8に記載されている)、
である。
【0098】
特に、再パルプ化可能な接着テープ用としては、2枚の紙のラミネートが有利である。このタイプの紙のラミネートの例として次のものがある。すなわち、
―規定どおり一緒にラミネートした高圧縮紙(特に高い分割強度を有する紙)である。糊付けは、例えばデンプン、デンプン含有誘導体、メチルセルロースベースの壁紙用糊(「tesa(登録商標)Kleister(糊)」、テサ(tesa)アーゲー、ハンブルク;「Methylan(登録商標)」、ヘンケル カーゲーアーアー(Henkel KgaA)、デュッセルドルフ)、あるいはまたポリビニルアルコール誘導体ベースの壁紙用糊を用いて行うことができる。このようなラミネート系が、例えば特許文献10に記載されている。
【0099】
ラミネートは、また、2枚のポリマー層のラミネート、紙とポリマー層とのラミネート、あるいはフィルムとポリマー層とのラミネートから構成することも可能である。この場合、ポリマーは、特に、印刷技術、例えばグラビア印刷、スクリーン印刷等のような印刷技術によって塗布し得るものである。ここで、ポリマーとしては、特に硬化性ポリマー組成物が挙げられるが、塗布後に溶剤が除去されて層が生成される溶剤含有組成物も使用できる。さらには、加温状態では軟化し、従って塗布し得るのに十分な粘度を有するが、使用温度においては十分に安定な層として存在するポリマー組成物も使用できる。
【0100】
このような剥離系による接着結合は、セグメント支持材の両方の層を平面的に互いに脱着(層間剥離)することによって再剥離できる。それぞれの接着剤の層は、剥離後に残るセグメント支持材の平坦な層によって、非接着性となるようにカバーされる。
【0101】
しかし、この実施態様は、支持材(T)が他の材料から2つの層に剥離可能に構成されるすべての他の接着テープをも包含する。この場合、支持材の材料を、特にそれぞれの用途に適合させる。このタイプの剥離系の中心概念は、分割可能な系の分割の過程が、1つの層の内部で起きるのではなく、互いに剥離可能な2つの層の間において起きるという点にある。従って、例えば、紙の支持材から繊維が引き抜かれることはなく、層を剥離するのに必要な力を正確に規定できる。同様に、接着テープの長期の保存によって、層の剥離に必要な力が大きく変化することもない。2つの層の結合の方式は、任意の形で、あるいは好ましくは以下に述べるように実施できる。この場合も、使用するラミネートのセグメント支持材は、両方の材料ウェブを互いに結合するのに、接着テープの主平面における本来の引張力を受ける支持材または支持材層よりも(すなわち主支持材よりも)、(層間剥離過程に関連して)「引き裂き伝播抵抗」が明らかに低いものであることが望ましい。このため、この剥離系は、主支持材またはいずれかのセグメント支持材層が破壊される前に層間剥離することができる。すなわち、この場合、この剥離系は少なくとも2つの層から構成され、この2つの層は、規定の力の作用の下で層間剥離、つまり相互に剥離する。フライングロール交換の際に、この規定の力は超過される。このような系の例は共押出フィルムである。
【0102】
この場合、ラミネートまたは2つの支持材層の系の剥離強度は、特に、平面的に分割する単一体の支持材の分割強度について前記に示したものと同様の数値を有する。
【0103】
上記のような剥離系の利点は、剥離系の剥離に必要な力が常に一定のままであり、その結果、フライングロール交換を制御された条件の下で行うことが可能になり、接着テープの機能不全が回避される点にある。
【0104】
剥離可能な2つの層は、例えば付着力に基づいて互いに付着させることができる。この場合、両方の層は任意の材料から構成することが可能であり、その際、それぞれの材料特性に基づいて、異なる強さの付着力が層間に作用する。層間に規定の付着力を得るために適切な材料を選択することが当業者には可能である。接着テープに、法線方向に、すなわち接着テープの主平面にほぼ垂直に力を加えると、この力が付着力よりも大きくなった瞬間に2つの層は相互に剥離する。分割後には、この層の片方が、それぞれ自己接着剤を覆っているので、この接着剤は非接着性となるようにカバーされている。これによって、2つの層を、経時的に変化しない画定された力で相互に剥離し得ることが保証される。2つの層は付着力に基づいて相互に付着するので、付加的な接着層は省略でき、従って接着テープの全厚さを低減できる。
【0105】
剥離系のさらに別の実施形態においては、剥離系が、その上面またはその下面に、基材上への接着に使用される接着剤(再脱着可能な接着剤)を有する。この実施形態の最も簡単な形態においては、再脱着可能な接着剤の層そのものが(単独で)該系を構成する。しかし、このような系は、例えば、1つの支持材と、その支持材のもう一方の面上の別の接着剤層とによって多層構成にすることもできる(この別の接着剤層は同様に再脱着可能な(自己)接着剤とすることができる)。
【0106】
この実施形態においては、再脱着可能な接着剤系の層は、それが、接着後に硬化し、あるいは別の方法でその接着特性を失い、その結果、最初に得られた接着接合はそのまま残るが、基材面から再脱着した後はその接着剤層はもはや粘着性を持たないで存在するものである(このような意味における接着剤として、最初に接着作用が働くが、その後は非接着性および/または非粘着性の形で存在し得るあらゆる組成物、特にポリマー組成物が挙げられる)。この場合、再脱着可能な接着剤系は剥離系の上面に設けることができるので、接着結合の解除は、特に接着テープ本体の側で(従って特にその主支持材に対して)起きる。しかし、再脱着可能な自己接着剤を剥離系の下面に設けることも可能である。この場合は、接着結合の解除が基材の側で起きることになる。最初の場合には、系は、基材上に接着面が露出することがないまま残り、第2の場合には、接着テープ上において接着面が露出することはない(剥離系が単に再脱着可能な接着剤系のみから構成される場合、あるいは、剥離系が上側および下側の両方に再脱着可能な接着剤系を有する場合は、剥離の位置は、主支持材への接着力または基材への接着力のいずれが強いかによって決まる)。脱着過程後には、脱着された接着面の領域の両表面は非粘着性の形で存在する。
【0107】
接着剤系の他に、別の―特に再脱着不可能な―接着剤の層を有する多層系の場合には、この別の接着剤の層が、恒久的な接着結合を行うことを可能にする。この恒久的な接着結合は、接着剤系の脱着が接着テープ側において起きる場合は基材に対する接着であり、接着剤系の層の脱着が基材側で生じる場合は接着テープに対する接着となる。
【0108】
この種の接着剤系用として、例えば、硬化性接着剤、硬化塗料、ポリマー(特に硬化性ポリマー)及び類似品が適しており、さらにまた、特に、室温(使用温度)においては非粘着性であるが、加熱すると接着操作が実現される、熱活性化可能な接着剤も適している。
【0109】
この系の再脱着可能な接着剤は、この場合、セグメント支持材、主支持材(H)、またはそれぞれの基材面上の全面に塗布できるが、本発明によれば、この接着剤を一部の面積部分にのみ塗布することも可能である。再脱着可能な接着剤は、印刷技術、特にスクリーン印刷またはグラビア印刷によって有利に塗布できる。
【0110】
本発明による接着テープのさらに別の実施形態は、上記のような再脱着可能な接着剤を、剥離系の形で、主支持材の下面に、特に前記の技術のいずれかによって塗布するというものである。
【0111】
接着テープの1つの優れた変形形態においては、前記の要件の下で層間剥離可能である、同一または異なる再脱着可能な接着剤の2つの層が存在する。この剥離系は、特に、これらの接着剤の層のみを含むような構造の形に構成できる。しかし、このような組成物層のラミネートを含む剥離系は別の層をも含むことができる。
【0112】
本発明によれば、接着テープの全幅にわたって、その下面に複数個の剥離系を分布させることができる。
【0113】
これは、一方では、接着テープの接着面積を増大させ、他方では、結合体の分割強度が向上するという利点を有する。この場合、異なる幾何学的形態のストリップを装備することも有意義である場合がある。
【0114】
接着テープ上に複数個の剥離系を設ける場合は、これを、同じ材料から構成することができる。すなわち、等しい分割力を有するようにできる。しかし、異なる材料からなる剥離系を設けること、従って剥離系が異なる分割力を有することも有利になる場合がある。
【0115】
接着テープの下面における第2の剥離系、場合によってはさらに別の剥離系も、第1の剥離系と同様に本発明に従って形成すること、特にすなわちセグメント化することが可能であり、好ましいが、他の幾何学的形態、最も簡単な場合は先行技術から周知の直線的ストリップにすることもできる。
【0116】
特に、紙加工工業において使用する場合は、プロセスに使用する本発明による接着テープのいくつかの構成要素、好ましくはほとんどの、さらに好ましくはすべての構成要素が再パルプ化可能であること、従って、特に水溶性または分散性であることが有利である。
【0117】
本発明による接着テープ(K)の接着剤層(M、M
O、M
U)用の接着剤、特に自己接着剤としては―個々の層に関して相互に無関係に選択可能なものとして―特に次のような材料が優れて使用可能である。すなわち、アクリレート(水溶性および/または非水溶性)、天然ゴム組成物、合成ゴム組成物、これらの組成物の混合物、共重合体および/またはブロック共重合体ベースの組成物、特にアクリレートおよび/または天然ゴムおよび/または合成ゴムおよび/またはスチレンベースの組成物を使用することができる。特に、分散系、ホットメルト性の(またホットメルト処理加工可能な)接着剤および/または溶剤ベースの接着剤を有利に使用できる。この場合、接着剤の選択は、本発明による接着テープのそれぞれ定められる用途分野を考慮して行われる(特に、フライングロール交換、静止状態でのロール交換、ロール端末接着、その他)。
【0118】
特に、セグメント支持材(T)への接着剤(M
O)と、スプライスされる基材上に後でもたらされる接着剤(M
U)とは共に自己接着剤とすることができるが、硬化性接着剤とすることも可能である。
【0119】
支持材に対する硬化性接着剤は、それをより薄い層厚で塗布することができ、従って系全体の厚さが低減するという利点を有する。スプライスされる基材上に貼付される側の接着剤(M
U)用としての硬化性接着剤は、特に接着が難しい基材面を確実に接着するという利点をもたらす。このタイプの接着剤は、例えば、水または他の溶剤、あるいは熱によって活性化される。これらの接着剤を使用する場合は、通常、接着剤を活性化しなければならず、接着テープを貼付して、その後接着剤を硬化するというように長い時間が必要になるが、それにも拘らず、これは、中央のスプライス準備によって頻繁に操作されるので、現代の生産サイクルにおいては通常効果的に実現できるのである。この場合、スプライスされるロールは前もって通常6〜8時間前に準備される。
【0120】
特にせん断強度が高い(自己)接着剤を使用することが有利である。また、接着性を定める別の量、例えばタック性(粘着性)、凝集性、粘度、架橋度等を、本発明に従ってそれぞれの使用目的に合うように最適化するのがよい。これは、当業者には周知の方法に従ってなすことができる。原則的には、本発明の基準を満たすすべての基本種の感圧接着剤を使用し得る点に留意されたい。
【0121】
本発明による接着テープのさらに別の有利な実施形態においては、接着テープに検出可能な層を付加的に設けるか、かつ/または、すでに述べた層の少なくとも1つに検出可能な標識を備える。これによって、(スプライス)工程中に、適切な検出装置によって接着テープを検出することが可能になり、これによって、特に工程の自動制御を実現できる。検出可能な標識を適切に選択すると、この標識によって、(yes/no情報以外の)付加的な情報の伝送も可能になる。
【0122】
層の検出は光学的および/または電磁的に行うのが望ましい。例えば、1つの層に光学的に認識可能なパターンを装備することができる。このパターンは、機械通過の際に適切なセンサによって確認可能なものである。同様に、1つの層が、電磁的に検出可能な標識、例えば、電磁センサによって確認可能な金属化部分を含むことができる。この少なくとも1つの層の検出可能性に基づいて、例えば、このタイプの接着テープが装着された紙ロールの加速の際に、その接着テープが検出され、従って、旧いロールのウェブの端末とのスプライス操作または結合操作を正しい時点に作動させることができる。さらに、紙ウェブを、いわゆる刷り損じ紙選別機(Makulaturweiche, Reject divider)において別に処理する際には、この接着テープを検出して、スプライス結合を含むその部分を選別できる。従って、接着テープが、これまでは付加的に貼付されたラベルまたは標識の機能を担うことになる。このラベルまたは標識は、先行技術においてはウェブ状材料のロールに手で装着されていたが、これは、ラベルが間違った位置に貼付されることによる機能不良をまねく場合が多かった。従って、この接着テープの検出可能性に基づいて、接着の正確な位置の自動的な確認が可能になり、この結合部分の切り離しもしくは選別が常に正しい位置において自律自動的に行い得ることが保証される。この検出可能な接着テープによって、さらに、ロールの回転速度から、プロセスの経過に関する情報を得ることが可能になる。接着テープの動きから、例えば、ウェブの輸送速度を直接導出することができるからである。
【0123】
簡単な方式においては、検出可能な層は金属箔、特にアルミニウムである。検出可能な層、例えばアルミニウム箔は、例えば6〜12μmの厚さを有する。同様に、検出可能な層を、金属化処理したまたは金属部分を備えた紙のフィルムとすることも可能である。1つの層が金属箔である場合は、他の層は、アクリレート分散系、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ラテックス、ポリビニルアクリレート(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)の形で、あるいはこれらの材料の共重合体として作ることが好ましい。このような材料の組合せによって、前記の引き裂き伝播抵抗を、好適に規定されるように調整できる。この場合、接着テープを長期保管しても、これらの材料間の付着力は変化せずにそのままであるので、この強度値にはなんらの変化も生じない。金属箔および別の層には、それぞれ、その外側に自己接着剤が塗布されることは当然理解される。この自己接着剤は、水溶性または非水溶性のアクリレート系自己接着剤であることが望ましい。同様に、例えば、天然ゴム組成物および合成ゴム組成物、並びに前記の化合物の分散系も使用可能である。
【0124】
さらに、検出可能な層を支持体の上に装着することが有利である場合がある。この場合は、支持体の片側に検出可能な層を配置し、それに適した自己接着剤を支持体のもう一方の側に塗布する。支持体は紙またはフィルム製とすることができる。支持体は、特に、平滑で、白色の漂白クラフト紙とすることができる。
【0125】
接着テープの特徴および寸法
以下のすべての(寸法の)データは、値を具体的に示すために1つの図面とそれに示される実施形態とを参照するとしても、曲線Fの実際の曲線形状には関係なく成り立つ。その場合、提示される値は、記載される実施形態に関して特に有利に当てはまるが、これに限定されるものではない。
【0126】
接着テープの下面における剥離系の幅(従ってy方向の広がり)は、右側の剥離系境界縁(r
k)の最も右側に突出するように突き出ている縁領域から、左側の剥離系境界縁(l
k)、あるいは、この縁が直線に延びていない場合は、左側の剥離系境界縁(l
k)の最も左側に突き出ている端部領域まで測定して、接着テープ(K)の幅、従ってそのy方向の広がりよりも小さいことが特に有利である。
【0127】
1つの好ましい態様においては、接着テープが、上記の幅の概念に関して、その下面における剥離系の少なくとも2倍の幅を有する。
【0128】
接着テープの幅(右側(r
K)および左側(l
K)の接着テープ境界縁間のy方向の距離)は、30〜120mm、好ましくは40〜80mm、特に好ましくは50mmとするのが有利である。
【0129】
セグメントのy方向における広がりは、5〜30mm、好ましくは10〜20mmの範囲、特に好ましくは15mmとするのが好適である。
【0130】
剥離系の右側の境界の直線(r
TS)と剥離系の左側の境界の直線(l
TS)との間の、基線(X)に垂直な方向の距離、従って剥離系の幅は、好ましくは40mmまで、さらに好ましくは20〜30mm、特に好ましくは15〜25mmである。同一のセグメントのみが1本の基線上に配置される剥離系の場合には、y方向における好ましい広がりは、個々のセグメントのy広がりに等しい15mmである。
【0131】
上昇曲線部分(図における符号「F
s」)のx方向の広がりの対下降曲線部分(図における符号「F
f」)のx方向の広がりの比は、10:1〜(1.25):1の限界範囲内、好ましくは7:1〜(1.5):1の限界範囲内、特に好ましくは5:1〜2:1の限界範囲内にあることが有利である。
【0132】
上昇曲線部分(図における符号「F
s」)のx方向の広がりが、10〜40mm、好ましくは15〜30mm、特に好ましくは20〜25mmであれば非常に有利である。
【0133】
さらに、下降曲線部分(図における符号「F
f」)のx方向の広がりは、5〜30mm、好ましくは8〜20mm、特に好ましくは10〜12.5mmであることが望ましい。
【0134】
上昇曲線部分の傾斜をできる限り平坦にすることが有利であるが、原理的には、任意の値を選択することが可能である。
【0135】
曲線(F)の上昇曲線部分(F
s)における傾斜直線(G
s)とx軸とに挟まれた鋭角(α)は、好ましくは45°まで、特に18°〜40°、特に好ましくは30°〜35°、理想的には33°である。
【0136】
上昇曲線部分および下降曲線部分の傾斜は、非対称的な(y軸に対する平行線に関して非鏡面対称的な)セグメント境界縁形状の場合には、互いに独立して次のように規定することが望ましい(具体的な理解のためには
図6参照。ただし、以下に述べるデータの一般的な説明に関して、
図6に表現される曲線形状によって限定を加える意図は全くない)。
【0137】
曲線(F)の上昇曲線部分(F
s)の傾斜直線(G
s)[その傾斜が、上昇曲線部分(F
s)の各点における曲線(F)の第1次導関数の値全体の算術平均の量に等しい直線]と、x軸とによって挟まれる鋭角(α)は、好ましくは45°まで、さらに好ましくは18〜40°、特に好ましくは30〜35°、最良の値としては33°である。
【0138】
曲線(F)の下降曲線部分(F
f)の傾斜直線(G
f)[その勾配が、下降曲線部分(F
f)の各点における曲線(F)の第1次導関数の値全体の算術平均の量に等しい直線]と、x軸とによって挟まれる鋭角(β)は、曲線(F)の上昇曲線部分(F
s)における傾斜直線(G
s)とx軸とによって挟まれる鋭角(α)より大きい(回転方向を考慮せずに角度のそれぞれの量に基づく)。曲線(F)の下降曲線部分(F
f)における傾斜直線(G
f)とx軸とによって挟まれる鋭角(β)は、好ましくは30〜90°、さらに好ましくは50〜85°、特に好ましくは60〜80°、最良の値としては76°である。
【0139】
基線から下降曲線部分(F
f)における傾斜直線(G
f)への回転方向は、通常、基線から上昇曲線部分(F
s)における傾斜直線(G
s)への回転方向に対して反対向きである。この場合、曲線(F)の上昇曲線部分(F
s)における傾斜直線(G
s)と、基線(X)とによって挟まれる鋭角(α)は特に優先方向(v)に向かって開いており、従って、頂点は優先方向と反対向きの方向にある。
【0140】
しかし、両方の回転方向が同じ方向に向けられるような実施形態も、本発明の対象に含まれる(特に、両角度(α、β)が優先方向と反対方向に頂点を有する場合。この場合は、曲線形状(F)は、x方向に「突き出た」頂点(極値)を有するようなセグメント形状に合致する)。
【0141】
かなり前の方ですでに述べたように、下面に接着される剥離系(TS)は、接着テープ(K)の右側の長さ方向の縁(r
K)に面一になるように、あるいは、この縁から距離(V)だけ後退して配置できる(距離V=0)。本発明をフライングロール交換に使用する場合は、剥離系(TS)を、15mmまでの距離(V)、好ましくは0.5〜7mm、さらに好ましくは1.5〜4mm、特に好ましくは2〜3.5mmの距離(V)だけ後退して配置すると非常に有利であることが判明している。面一であることまたは上記の距離の値は、特に、接着テープ(K)の右側の境界端部(r
K)と、セグメントの最も右側に位置する極値によって画定される剥離系の境界直線(r
TS)との間の距離に基づくものである(
図1bおよび1d並びに2aおよび2b参照)。
【0142】
実験から明らかになったように、高速下での成功裏のプロセス実行にとっては、分割操作のための力を分割ストリップの分割可能支持材に導入することが有利である。そうしなければ、制御されない局所的な引き裂きプロセス(上記では「引き裂き」と呼称)が生じる恐れがあるからである。この目的のために、長さ方向の縁からの分割ストリップの距離によって画定される接着テープの張り出る部分が、力の導入補助部として役立つのである。この場合、この距離がある特定の大きさに達すると、引き裂きを特に成功裏に回避することができた。
【0143】
しかし、この後退量が大き過ぎると(特に3.5mmより大きいと)、スプライス接着テープの張り出る前方部分が巻き返る場合が増え、同様に、実験でも確認されたように、スプライス操作中の制御されない挙動をまねく。
【0144】
場合によっては設けられるカバー材料(A)における切断線もしくは所定の破断個所(P)は、接着テープの左側の境界縁(l
K)から好ましくは20〜40mmの距離に設けることができる。
【0145】
以下の寸法を有する接着テープが特に優れて適していることが判明している。
【0146】
以下のデータが、(製造条件による)精度公差を伴うことは自明である。これは、およそ5%と推測される。
【0147】
接着テープは、50mmの幅(y方向の広がり)を有し、
図1bに記載のように、それぞれ同一のセグメントが連続して並べられた列を備えた剥離系を含む。その基線(X)は接着テープのx軸に相当する。下面に接着される剥離系(TS)の接着テープ(K)の右側の長さ方向の縁(r
K)からの後退量は2mmである。
【0148】
セグメントのy方向の広がりは15mmである。
【0149】
それぞれの上昇曲線部分(F
s)のx方向の広がりは25mmであり、それぞれの下降曲線部分(F
f)のx方向の広がりは5mmである。
【0150】
曲線(F)の上昇曲線部分(F
s)における傾斜直線(G
s)と基線(X)とによって挟まれる鋭角(α)は33°である。曲線(F)の下降曲線部分(F
f)における傾斜直線(G
f)と基線(X)とによって挟まれる鋭角(β)は、76°であり、角度(α)と反対向きの回転方向を有する(
図6の描写に対応する)。
【0151】
本発明による接着テープは、接着テープロールを巻解す際の問題点を回避するのに、あるいはそれを少なくとも大幅に軽減するのに優れて適している。このため、「ロール」に巻回された本発明の接着テープ、いわゆる巻きロールも、本発明の対象である。このタイプの巻物については、その巻物が厳密に見ればアルキメデスらせんである場合でも、通常「ロール」または「接着テープロール」の用語が用いられる。本明細書においては、ロール、接着テープロール、巻きロール、または巻物と言う場合は、これらの用語によって、その巻物の側断面がアルキメデスらせんの形を有するような接着テープの巻き付けを意味するものとする(これについては
図1c参照)。
【0152】
巻回される接着テープが、接着テープ自体についてすでに述べたように、カバー材料で被覆された巻きロールが特に有利である。
【0153】
本発明の対象は、さらに、本発明による接着テープを用いたフライングロール交換の方法である。
【0154】
ロール上に巻回されたフラットウェブ材料のフライングロール交換において、2つのフラットウェブを結合するための本発明による方法を
図7aおよび7bに模式的に示す。ただし、この図解によって本発明の対象に不必要な限定を加える意図はない。
【0155】
本発明による方法においては、新しいロールの最上層のフラットウェブの巻き(11)(特にその端部またはその端部領域)が、接着テープ(K)によって、その下に位置するフラットウェブの巻き(12)に固定される。この下側の巻き(12)への固定は、走行するフラットウェブ(13)と結合するのに必要な自己接着剤(M)の部分が開放されるように行われる(
図7a参照)。ここで、接着テープ(K)は、接着性の面を含まない形に再剥離可能な接着結合の達成に適合した少なくとも1つの剥離系(TS)を含む。これに引き続いて、そのように装備された新しいロールが、ほとんど完全に巻解された旧い被交換ロールの隣に置かれて、これとほぼ等しい回転速度に加速され、続いて、旧いフラットウェブ(13)に対して押圧される。ここで、接着テープ(K)の開放された自己接着剤(M)が、ほぼ等しいウェブ速度において旧いフラットウェブ(13)と接着し、一方、同時に、最上層のフラットウェブの層(最後の巻き層)(11)の、その下に位置するフラットウェブの層(12)への(剥離系(TS)が形成している)接着が、剥離過程後に接着性の領域が開放されることがないような形に平面的に剥離する。ここで、本発明による接着テープが用いられている。最上層のフラットウェブ層(11)の、その下に位置するフラットウェブ層(12)との接着の剥離は、この場合特に、本発明による接着テープ(K)に関してすでに述べた剥離機構(
図7b参照)のいずれかに従って行われる。
【0156】
図7aおよび7bにおいては―これによって本発明の思想を不必要に制限する意図は毛頭ないが―例示として、分割支持材(T)を含む剥離系(TS)が記載されている。この分割支持材(T)は下側(M
U)および上側(M
O)の接着剤を有する(これに関しては、このタイプの剥離系に関する前記の説明も参照されたい)。剥離過程はセグメント支持材(T)の分割によって起こる。この場合、接着剤(M
O、M
U)は、分割支持材(T)の分割生成物(T
1、T
2)によって非接着性となるようにカバーされている。
【0157】
本発明による方法の別の発展態様においては、接着テープが、走行するフラットウェブに対して直角に接着される。本発明による方法の他の有利な変形態様においては、接着テープの接着を、走行するフラットウェブに対して30°までの鋭角、特に10°までの鋭角においても行うことができる。
【0158】
その場合、剥離過程[最上のフラットウェブ層(11)の、その下に位置するフラットウェブ層(12)との接着の剥離]は―特に、走行するフラットウェブに対して直角に接着された接着テープの場合には―基線に対して横方向に起きる。すなわち、分割または剥離過程が、セグメント(S)の極値または極値領域(E
1、B
1)において開始され、y軸の負の方向に進行する。
【0159】
スプライス法の場合は、本発明による接着テープ(K)は、新しいフラットウェブのロールの最上のフラットウェブ層(11)の終端部の下側において(あるいは、最上のフラットウェブの巻きの終端から僅かな距離をおいて)、接着テープ(K)の一部は露出したまま残るように、直線的に、新しいフラットウェブのロールに接着される。一方、接着テープの下面(U
K)は、剥離系(TS)[具体的には、剥離系(TS)の接着剤(M
U)を備えた対応する接着テープの実施形態用のもの。ここでは個別には記述しない]を介して、その下に位置するフラットウェブ層に接着し、それによって最上のウェブ層(特に最上層のウェブ層の終端部)を固定する。この場合、場合によっては、最初に、オプションとして自己接着剤(M)の上に装着されていたカバー(A)の一部分(A
2)のみが取り外されており、その結果、スプライス操作に必要な自己接着剤の部分はまだカバー(A
1)によって覆われたままであって、この状態では、ロールは、露出した接着性の面を有していない。これに続いて、スプライス操作の準備を完結するために、場合によってはなお残存している残りのカバー(A
1)を取り外す。さらに引き続いて、そのように装備された新しいロールを、ほとんど完全に巻解された旧い被交換ロールの隣に配置して、これとほぼ等しい回転速度に加速し、続いて旧いウェブ(13)に対して押圧する。ここで、接着テープ(K)の開放された自己接着剤(M)が、ほぼ等しいウェブ速度において旧いウェブ(13)と接着し、一方、同時に、剥離系(TS)が、最上のフラットウェブの層(11)と、その下に位置するフラットウェブの層(12)との間の接着を剥離する。この場合、最上のフラットウェブ層(11)を、その下に位置するフラットウェブの巻き(12)にそれまで繋いでいた接着部分の領域の両面には、非接着性の状態がそのまま残っている。
【0160】
従って、接着テープ(K)が走行するウェブ(13)と接触した後は、接着テープ(K)の剥離系(TS)による剥離過程が起きることになり、それによって、新しいロールの最上層のフラットウェブの巻き(11)が解き放たれ、かつ、粘着性の残留物が開放されたまま残ることはもはやない。
【0161】
フラットウェブは、特に、紙のウェブ、および/またはフィルムのウェブ、および/または繊維材料のウェブ(織物、編物、不織布その他)である。
【0162】
発明の利点
様々な幾何学的形態(それぞれ同一の剥離系: 等しい厚さの平面的に分割する紙)について、径路(分割プロセスの径路長)に応じて分割力を測定したところ、相関して、以下の結果に到達した。
【0163】
セグメントの幾何学的形態は、最大値(力のピーク)および径路の両方に関して、分割力に影響を及ぼすことが確認できた。
【0164】
分割力[分割開始のための力(分割プロセスの初期の力)および力の最大値]だけを考慮に入れた場合、
図3fおよび3hに相当するセグメントの幾何学的形態が好ましい。両セグメントの場合、分割は、非常に小さい力で開始され、そのうえ、セグメント全体を分割するのに消費される全仕事量は、
図4a、4b、および3hに相当する幾何学的形態を有するセグメントと比較して最も少ない。
【0165】
しかしながら、
図4aに従うセグメントを選択するほうが良好であるが、この場合、有利には、幅がより狭いものを選択する。このセグメント形状の場合は、分割開始のための力は、非常に小さく、しかも消費される全分割仕事量も同様に、傾斜が適度でありかつ表面積が小さいので全体として少ない。
【0166】
このうえなく良好な手法は、図(非対称)に相当するセグメントを使用することである。この場合、この種の接着テープを接着テープロールから巻解す時に、
図5bの場合に従って同様に優れた結果を達成することができ(全てのセグメント例の中で最も低い値)、しかもこの際、機能不全はかなりより一層少なくなる。
【0167】
本発明に係る接着テープにより、そのような接着テープをロール(巻回ロール)から巻解す時に特にみられるような、下面に装備された剥離系の意図しない分割開始を大幅に回避することができる。このような分割開始プロセスは、特に、接着テープの下面に設けられたストリップ型剥離系で観測される。
【0168】
先行技術では、これは、ドット状接着結合の提供により解消された。剥離過程時、このドット状接着結合により主支持材から紙の層が引き裂かれるので、剥離時に、接着性の領域は残らない。しかしながら、そのような系は、結合面積が小さく、これは、接着ロールを加速した時の結合の信頼性に関しては不利であり、さらに、平坦な部分が引き抜かれる結果として主支持材が損傷を受けるので、その安定性が低下し、結果的に、プロセスの信頼性(欠陥がないこと)の低下を甘受せざるをえなくなる。結合ドットを大きく設計するほど、主支持材の受ける損傷が大きくなり、それに応じて、スプライスプロセス時の欠陥率が大きくなる。したがって、先行技術によれば、接着ドッドが可能な限り小さくされそして主支持材の全表面上にこのような接着点を分布させた形態のスプライス接着テープのみが知られている。
【0169】
本発明による接着テープにより、特に剥離系のセグメント化の結果として、以下のことを可能にする、十分な結合面積(セグメントの領域で)を有する分割ストリップを提供することに初めて成功した。
・スプライス接着テープを確実にかつ破壊を起こすことなく扱うすることを可能にする。特に、巻解し時の分割開始の傾向は、該セグメントの幾何学的形態により最小限に抑えられる。意図しない幾つかの分割開始が起こったとしても、これはその特定のセグメントに限定される。
・新しいロールの確実な結合を可能にする。この結合は、ロールを加速する時でさえも確実に保持される。該セグメントの大きさおよび幾何学的形態を介して、所要の結合力を調節することが可能である。
・剥離(分割)中、信頼性のある欠陥のない挙動が保証される。
【0170】
すなわち、該セグメントの形状によって、対応する分割力を―材料に応じて―優れて調整でき、従って要求プロフィルに合わせることが可能である。各セグメントの形状もしくは幾何学的形態は、接着テープの横方向(y方向)において、分割開始するためにできるだけ低い力を必要とすることが有利である。しかし、ロールの加速段階においてあまりに早く開放されて破れてしまうことがないようにするため、この力は小さ過ぎてもいけない。このことは、特に、ベルトの領域に特別な強度を必要とするベルト駆動の装置に当てはまる。
【0171】
上記のセグメントは、接着テープの巻解し方向に対して横方向には、分割開始の傾向を最小化するように、できるだけ小さい傾斜が設けられる。それにも拘らず、セグメントの非対称性によって、十分な接着面積が確保され、y方向に反対向きの分割過程の最適の進行が可能になる。
【0172】
しかし―それにも拘らず1つのセグメントにおいて早過ぎる分割開始が生じるとしても―セグメント化によって、分割開始が、その特定のセグメントに限定されたままであり、セグメント化されているためにすぐには継続して進行し得ないことが同時に保証される。相応の個数のセグメントの場合には、個々のセグメントの単なる初期的損傷は、使用される接着テープ部分上のセグメントの全体量によって無視し得ることを期待できる。
【0173】
本発明による接着テープは、想定された使用目的に対して卓越して優れた適性を示す。