【文献】
Sim Siong Fong 他5名,Characterization of the Coal Derived Humic Acids from Mukah, Sarawak as Soil Conditioner,J. Braz. Chem. Soc.,Sociedade Brasileira de Quimica,2006年 2月24日,Vol.17, No.3,pp. 582-587
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記アルカリ性水溶液が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムから選ばれるアルカリ性化合物を含有する水溶液である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の土壌中の陽イオン交換容量の測定方法。
上記アルカリ性抽出液の吸光度を400〜650nmから選ばれる少なくとも一つの波長において測定する請求項1乃至8のいずれか1項に記載の土壌中の陽イオン交換容量の測定方法。
土壌中の陽イオン交換容量の測定に使用する土壌分析器であって、測定する土壌の秤量値、pHをデータとして入力するデータ入力手段と、腐植物質を含有するアルカリ性抽出液の腐植物質の吸収波長における吸光度を測定する吸光度測定手段と、測定する土壌のpHが7.0以下の場合に利用する上記腐植物質の吸収波長における所定重量当たりの土壌からの上記アルカリ性抽出液の吸光度と陽イオン交換容量との相関関係を示す関係式である(陽イオン交換容量(meq/100g土壌))=A7×(吸光度)+B7及び/又は上記腐植物質の吸収波長における上記吸光度と腐植物質の含有量との相関関係を示す関係式である(腐植物質の含有量(重量%))=A1×(吸光度)+B1と腐植物質の含有量と陽イオン交換容量との相関関係を示す関係式である(陽イオン交換容量(meq/100g土壌))=A3×(腐植物質の含有量(重量%))+B3又は(陽イオン交換容量(meq/100g土壌))=A5×(腐植物質の含有量(重量%))+B5と、測定する土壌がアルカリ性である場合に利用する上記腐植物質の吸収波長における上記吸光度と陽イオン交換容量との相関関係を示す関係式である(陽イオン交換容量(meq/100g土壌))=A8×(吸光度)+B8及び/又は上記腐植物質の吸収波長における上記吸光度と腐植物質の含有量との相関関係を示す関係式である(腐植物質の含有量(重量%))=A2×(吸光度)+B2と腐植物質の含有量と陽イオン交換容量との相関関係を示す関係式である(陽イオン交換容量(meq/100g土壌))=A4×(腐植物質の含有量(重量%))+B4又は(陽イオン交換容量(meq/100g土壌))=A6×(腐植物質の含有量(重量%))+B6とを記憶する記憶手段と、上記データ入力手段に入力された測定する土壌のpHにより利用する関係式を上記記憶手段に記憶された上記関係式の中から選定する選定手段と、上記吸光度測定手段によって測定された吸光度のデータを必要に応じて上記データ入力手段に入力された上記土壌の秤量値により所定重量当たりの吸光度に換算して上記選定手段により選定された関係式に代入して陽イオン交換容量を求める演算手段と、該演算手段により得られた陽イオン交換容量の値を表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする土壌分析器。
上記記憶手段が、測定する土壌のpHが7.0以下の場合に利用する腐植物質の吸収波長における所定重量当たりの土壌からの上記アルカリ性抽出液の吸光度と腐植物質の含有量との相関関係を示す関係式である(腐植物質の含有量(重量%))=A1×(吸光度)+B1、測定する土壌のpHが7.0以下の場合に利用する腐植物質の含有量と陽イオン交換容量との相関関係を示す関係式である(陽イオン交換容量(meq/100g土壌))=A3×(腐植物質の含有量(重量%))+B3又は(陽イオン交換容量(meq/100g土壌))=A5×(腐植物質の含有量(重量%))+B5及び/又は測定する土壌のpHが7.0以下の場合に利用する腐植物質の吸収波長における上記吸光度と陽イオン交換容量との相関関係を示す関係式である(陽イオン交換容量(meq/100g土壌))=A7×(吸光度)+B7、測定する土壌がアルカリ性である場合に利用する腐植物質の吸収波長における上記吸光度と腐植物質の含有量との相関関係を示す関係式である(腐植物質の含有量(重量%))=A2×(吸光度)+B2、測定する土壌がアルカリ性である場合に利用する腐植物質の含有量と陽イオン交換容量との相関関係を示す関係式である(陽イオン交換容量(meq/100g土壌))=A4×(腐植物質の含有量(重量%))+B4又は(陽イオン交換容量(meq/100g土壌))=A6×(腐植物質の含有量(重量%))+B6及び/又は測定する土壌がアルカリ性である場合に利用する腐植物質の吸収波長における上記吸光度と陽イオン交換容量との相関関係を示す関係式である(陽イオン交換容量(meq/100g土壌))=A8×(吸光度)+B8を記憶し、上記演算手段が上記吸光度測定手段によって測定された吸光度のデータ及び必要に応じて上記秤量値から腐植物質の含有量を算出し、更に、該腐植物質の含有量の算出値又は腐植物質の吸収波長における上記吸光度から陽イオン交換容量を算出し、上記表示部が上記演算手段により得られた陽イオン交換容量の値と、上記腐植物質の含有量の算出値を表示するように構成された請求項10に記載の土壌分析器。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の土壌中の陽イオン交換容量の測定方法をより詳細に説明する。本発明の測定方法は、土壌中の腐植物質の含有量に対応する指標値を測定し、その測定値を陽イオン交換容量に換算することによって、土壌中の陽イオン交換容量を測定するものである。ここで、土壌中の腐植物質の含有量に対応する指標値としては、適宜溶液を利用して土壌中の腐植物質を抽出して抽出液を得た場合であれば、例えば、その抽出液の所定波長における吸光度、抽出液を発色させて予め準備しておいた比色表などを利用した目視観察による簡易定量値又は発色させた抽出液の所定波長における吸光度、抽出液のガスクロマトグラフィ、液体クロマトグラフィによる定量分析値、その抽出液の所定波長での励起により得られる蛍光スペクトルもしくは蛍光強度などを挙げることができ、1つの分析法ではなく、複数を組み合わせることも可能である。また、後述する実施例に挙げるように、腐植物質の含有量を測定するために使用されている土壌分析器を利用して抽出液の腐植物質の含有量を測定値として得、この測定値を指標値とすることもできる。
【0013】
本発明の土壌中の陽イオン交換容量の測定方法としては、土壌中の腐植物質を抽出して抽出液を得、その抽出液の所定波長における吸光度を腐植物質の含有量に対応する指標値として測定する方法がより好適である。より具体的には、測定試料となる土壌(以下、「測定する土壌」、「測定に供する土壌」、「測定土壌」と称することもある)を秤量し、これにアルカリ性水溶液を添加して、アルカリ性水溶液中に腐植物質を含む抽出成分を抽出してアルカリ性抽出液を得た後、腐植物質の吸収波長におけるアルカリ性抽出液の吸光度を測定し、その測定値を陽イオン交換容量に換算する土壌中の陽イオン交換容量の測定方法が好適である。ここで、抽出方法としては、例えば、測定試料となる土壌を秤量し、適宜容器に入れ、これにアルカリ性水溶液を添加した後、適宜器材により手動で撹拌したり、攪拌機を利用して攪拌したり、容器に蓋をして振とう機又は手動で振とうすることによって、アルカリ性水溶液中に腐植物質を含む抽出成分を抽出してもよいが、抽出効率の精度、再現性などを考慮すると、攪拌機、振とう機などの機器を利用して1〜5分間程度、特に2〜4分間程度攪拌又は振とうすることが望ましい。また、アルカリ性抽出液は、ろ過をした後、ろ液を必要に応じて適宜濃度に希釈して、吸光度を測定すると好適である。より具体的には、後述する実施例において実施した抽出方法(
図4の分析フローチャート参照)がより好適である。
【0014】
また、上記アルカリ性水溶液としては、その種類が特に制限されるものではないが、アルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムなどが挙げられ、上記アルカリ性水溶液がこれらのアルカリ性化合物を1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて含有する水溶液であるとより好適である。なお、アルカリ性水溶液におけるアルカリ性化合物の濃度は、特に制限されるものではなく、水溶液を所望のpHに調整できるように適宜選定することができる。そして、上記アルカリ性水溶液のpHは、7.0を超え、且つ14.0未満であるが、抽出効率、再現性などを考慮すれば、好ましくは8.0を超え、且つ13.9未満、より好ましくは8.0を超え、且つ13.5未満、更に好ましくは8.5を超え、且つ13.2未満であり、エタノールなどのアルコール類を添加してもよい。本発明におけるアルカリ性水溶液は、更に具体的には、腐植物質の測定方法である熊田法の抽出液として使用される0.1M水酸化ナトリウム/ピロリン酸ナトリウム混液、適宜濃度に調製した水酸化ナトリウムなどの上記アルカリ性化合物によって、精製水をpH調整した水溶液などが挙げられる。
【0015】
そして、アルカリ性抽出液の測定波長は、腐植物質の吸収波長であれば、適宜波長を選択して吸光度測定をすることができるが、測定精度、再現性などを考慮すれば、中でも400〜650nmから選ばれる少なくとも一つの波長において測定すると好適であり、より好ましくは500〜550nmから選ばれる少なくとも一つの波長である。なお、測定に供する土壌は、特に制限されるものではないが、再現性、測定精度などを考慮すると、測定に供する土壌としては中性〜酸性土壌がより好適である。また、測定に供する土壌の量、抽出工程に使用するアルカリ性水溶液の量、吸光度測定時における希釈倍率などは、特に制限されるものではなく、例えば、後述する実施例に準じて適宜選定することができる。
【0016】
吸光度の測定値を陽イオン交換容量に換算する方法として、より具体的には、腐植物質の吸収波長における所定重量当たりの土壌からの上記アルカリ性抽出液の吸光度と土壌中の陽イオン交換容量との相関関係を示す標準曲線又は関係式を求め、標準曲線又は関係式により上記吸光度の測定値を土壌中の陽イオン交換容量に換算する方法などが挙げられる。更に具体的には、予め定めておいた測定波長における所定重量当たりの土壌からのアルカリ性抽出液の吸光度と陽イオン交換容量との関係を予め求めておき、これらの関係を示す標準曲線として検量線を作成しておき、吸光度の測定値を測定に供した測定土壌の秤量値から必要に応じて土壌の所定重量当たりの吸光度に換算した値を検量線に当てはめることによって、吸光度の測定値を陽イオン交換容量に換算するか、検量線から吸光度と陽イオン交換容量との関係を示す関係式を求めておき、その関係式の吸光度として吸光度の測定値を測定に供した測定土壌の秤量値から必要に応じて土壌の所定重量当たりの吸光度に換算した値を代入することによって、吸光度の測定値を陽イオン交換容量に換算する方法などが挙げられる。
【0017】
より更に具体的には、少なくとも3点、好ましくは少なくとも4点の陽イオン交換容量の値が既知のpHが7.0以下の土壌サンプル及び少なくとも1点、好ましくは少なくとも2点の陽イオン交換容量の値が既知のアルカリ性土壌サンプルについて、腐植物質の一の吸収波長を測定波長として所定重量当たりの土壌からの上記アルカリ性抽出液の吸光度をそれぞれ測定し、pHが7.0以下の土壌サンプルにおける吸光度の各測定値と各測定値にそれぞれ対応する陽イオン交換容量の値とから、例えば最小二乗法などの適宜方法により、測定する土壌のpHが7.0以下の場合に利用する上記測定波長における上記吸光度と陽イオン交換容量との関係式である(陽イオン交換容量(me
q/100g土壌))=A
7×(吸光度)+B
7におけるA
7及びB
7の値を求めると共に、全土壌サンプルにおける吸光度の各測定値と各測定値にそれぞれ対応する陽イオン交換容量の値とから、例えば最小二乗法などの適宜方法により、測定する土壌がアルカリ性である場合に利用する上記測定波長における上記吸光度と陽イオン交換容量との関係式である(陽イオン交換容量(me
q/100g土壌))=A
8×(吸光度)+B
8におけるA
8及びB
8の値を求める方法を挙げることができる。なお、pHが7.0以下の土壌サンプル、アルカリ性土壌サンプルのサンプル数の上限は特に制限されるものではないが、測定効率などを考慮すれば、pHが7.0以下の土壌サンプルのサンプル数の上限としては20点程度、アルカリ性土壌サンプルのサンプル数の上限としては10点程度が好適である。また、pHが7.0以下の土壌サンプルのサンプル数とアルカリ性土壌サンプルのサンプル数の比率も特に制限されるものではないが、pHが7.0以下の土壌サンプルのサンプル数がアルカリ性土壌サンプルのサンプル数の1.5〜3倍程度とすると、より好適である。pHが7.0以下の土壌サンプル、アルカリ性土壌サンプルのサンプル数の好適な上限、サンプル数の好適な比率については、以下に説明する他の換算方法におけるサンプル数についても同様である。ここで、本発明において、「土壌サンプル」とは、陽イオン交換容量、腐植物質の含有量が知られ、上記アルカリ性抽出液の所定波長における上記吸光度、腐植物質の含有量、陽イオン交換容量の相関関係を示す検量線、関係式を求めるための分析値、測定値の標準とする標準試料として使用する土壌の意味であり、「全土壌サンプル」は、pHが7.0以下の土壌サンプルとアルカリ性土壌サンプルを合わせたものである。そして、腐植物質の含有量が既知のpHが7.0以下の土壌サンプル、アルカリ性土壌サンプルのサンプル数は、換言すれば上記のような関係式、後述するような関係式を導き出すのに十分に多い母集団となるような数である。また、測定に供する物質が土壌である場合、測定値のバラツキが大きいことから、後述する実施例で得られる式のように、上記各式を例えば(陽イオン交換容量(me
q/100g土壌))=(A
7±a
7)×(吸光度)+(B
7±b
7)、(陽イオン交換容量(me
q/100g土壌))=(A
8±a
8)×(吸光度)+(B
7±b
7)とし、同様にしてA
7,A
8、B
7,B
8、a
7,a
8、b
7,b
8の値を求めても好適である。なお、これらの式としてより具体的には、例えば後述する実施例により得られた式を挙げることができる。
【0018】
また、他の換算方法としては、上記吸光度から土壌中の腐植物質の含有量を算出し、その算出値を陽イオン交換容量に換算する方法なども挙げられる。更に具体的には、予め定めておいた測定波長における所定重量当たりの土壌からのアルカリ性抽出液の吸光度と腐植物質の含有量との関係を予め求めておき、これらの関係を示す標準曲線として検量線を作成しておき、吸光度の測定値を測定に供した土壌の秤量値から必要に応じて土壌の所定重量当たりの吸光度に換算した値を検量線に当てはめることによって、吸光度の測定値から腐植物質の含有量を求めるか、検量線から吸光度と腐植物質の含有量との関係を示す関係式を求めておき、その関係式の吸光度として吸光度の測定値を測定に供した土壌の秤量値から必要に応じて土壌の所定重量当たりの吸光度に換算した値を代入することによって、吸光度の測定値から腐植物質の含有量を算出し、更に、腐植物質の含有量と陽イオン交換容量との関係を予め求めておき、これらの関係を示す標準曲線として検量線を作成しておき、吸光度の測定値から求めた腐植物質の含有量の算出値を検量線に当てはめることによって、腐植物質の算出値を陽イオン交換容量に換算するか、検量線から腐植物質の含有量と陽イオン交換容量との関係を示す関係式を求めておき、その関係式の腐植物質の含有量として吸光度の測定値から算出した腐植物質の含有量の算出値を代入することによって、吸光度の測定値を腐植物質の含有量に換算した後、更に、陽イオン交換容量に換算する方法などが挙げられる。このように、吸光度から土壌中の腐植物質の含有量を算出すると、その算出値は上述したように例えば野菜生産者にとって重要な土壌情報とすることができる。
【0019】
より具体的には、少なくとも3点、好ましくは少なくとも4点の腐植物質の含有量が既知のpHが7.0以下の土壌サンプル及び少なくとも1点、好ましくは少なくとも2点の腐植物質の含有量が既知のアルカリ性土壌サンプルについて、腐植物質の一の吸収波長を測定波長として所定重量当たりの土壌からのアルカリ性抽出液の吸光度をそれぞれ測定し、pHが7.0以下の土壌サンプルにおける吸光度の各測定値と各測定値にそれぞれ対応する腐植物質の含有量とから、例えば最小二乗法などの適宜方法により、測定する土壌のpHが7.0以下の場合に利用する上記測定波長における上記吸光度と腐植物質の含有量との関係式である(腐植物質の含有量(重量%))=A
1×(吸光度)+B
1におけるA
1及びB
1の値を求めると共に、全土壌サンプルにおける吸光度の各測定値と各測定値にそれぞれ対応する腐植物質の含有量とから、例えば最小二乗法などの適宜方法により、測定する土壌がアルカリ性である場合に利用する上記測定波長における上記吸光度と腐植物質の含有量との関係式である(腐植物質の含有量(重量%))=A
2×(吸光度)+B
2におけるA
2及びB
2の値を求め、更に、少なくとも3点、好ましくは少なくとも4点の陽イオン交換容量の値が既知のpHが7.0以下の土壌サンプル及び少なくとも1点、好ましくは少なくとも2点の陽イオン交換容量の値が既知のアルカリ性土壌サンプルについて、上記測定波長における所定重量当たりの土壌からのアルカリ性抽出液の吸光度をそれぞれ測定し、pHが7.0以下の土壌サンプルにおける上記吸光度の各測定値から上記(腐植物質の含有量(重量%))=A
1×(吸光度)+B
1により算出した腐植物質の含有量の各算出値と各算出値にそれぞれ対応する陽イオン交換容量の値とから、例えば最小二乗法などの適宜方法により、測定する土壌のpHが7.0以下の場合に利用する腐植物質の含有量と陽イオン交換容量との関係式である(陽イオン交換容量(me
q/100g土壌))=A
3×(腐植物質の含有量(重量%))+B
3におけるA
3及びB
3の値を求めると共に、全土壌サンプルにおける上記吸光度の各測定値から上記(腐植物質の含有量(重量%))=A
2×(吸光度)+B
2により算出した腐植物質の含有量の各算出値と各算出値にそれぞれ対応する陽イオン交換容量の値とから、例えば最小二乗法などの適宜方法により、測定する土壌がアルカリ性である場合に利用する腐植物質の含有量と陽イオン交換容量との関係式である(陽イオン交換容量(me
q/100g土壌))=A
4×(腐植物質の含有量(重量%))+B
4におけるA
4及びB
4の値を求める方法が挙げられる。また、上述したような測定値のバラツキの観点から上記各式を例えば(腐植物質の含有量(重量%))=(A
1±a
1)×(吸光度)+(B
1±b
1)、(腐植物質の含有量(重量%))=(A
2±a
2)×(吸光度)+(B
2±b
2)、(陽イオン交換容量(me
q/100g土壌))=(A
3±a
3)×腐植物質の含有量(重量%)+(B
3±b
3)、(陽イオン交換容量(me
q/100g土壌))=(A
4±a
4)×腐植物質の含有量(重量%)+(B
4±b
4)とし、同様にしてA
1〜A
4、B
1〜B
4、a
1〜a
4、b
1〜b
4の値を求めても好適である。これらの式としてより具体的には、例えば後述する実施例により得られた式を挙げることができる。
【0020】
又は、少なくとも3点、好ましくは少なくとも4点の腐植物質の含有量及び陽イオン交換容量の値が既知のpHが7.0以下の土壌サンプル及び少なくとも1点、好ましくは少なくとも2点の腐植物質の含有量及び陽イオン交換容量の値が既知のアルカリ性土壌サンプルについて、上記腐植物質の一の吸収波長を測定波長として所定重量当たりの土壌からのアルカリ性抽出液の吸光度をそれぞれ測定し、pHが7.0以下の土壌サンプルにおける上記吸光度の各測定値と各測定値にそれぞれ対応する腐植物質の含有量とから、例えば最小二乗法などの適宜方法により、測定する土壌のpHが7.0以下の場合に利用する上記測定波長における上記吸光度と腐植物質の含有量との関係式である(腐植物質の含有量(重量%))=A
1’×(吸光度)+B
1’におけるA
1’及びB
1’の値を求めると共に、全土壌サンプルにおける上記吸光度の各測定値と各測定値にそれぞれ対応する腐植物質の含有量とから、例えば最小二乗法などの適宜方法により、測定する土壌がアルカリ性である場合に利用する上記測定波長における上記吸光度と腐植物質の含有量との関係式である(腐植物質の含有量(重量%))=A
2’×(吸光度)+B
2’におけるA
2’及びB
2’の値を求め、上記吸光度の各測定値から上記(腐植物質の含有量(重量%))=A
1’×(吸光度)+B
1’により算出した腐植物質の含有量の各算出値と上記吸光度の各測定値にそれぞれ対応する陽イオン交換容量の値とから、例えば最小二乗法などの適宜方法により、測定する土壌のpHが7.0以下の場合に利用する腐植物質の含有量と陽イオン交換容量との関係式である(陽イオン交換容量(me
q/100g土壌))=A
3’×(腐植物質の含有量(重量%))+B
3’におけるA
3’及びB
3’の値を求めると共に、全土壌サンプルにおける上記吸光度の各測定値から上記(腐植物質の含有量(重量%))=A
2’×(吸光度)+B
2’により算出した腐植物質の含有量の各算出値と上記吸光度の各測定値にそれぞれ対応する陽イオン交換容量の値とから、例えば最小二乗法などの適宜方法により、測定する土壌がアルカリ性である場合に利用する腐植物質の含有量と陽イオン交換容量との関係式である(陽イオン交換容量(me
q/100g土壌))=A
4’×(腐植物質の含有量(重量%))+B
4’におけるA
4’及びB
4’の値を求めることもできる。なお、この場合も上記各式をバラツキを含めた式としてもよい点については上記同様である。
【0021】
次に、上述した腐植物質の含有量の測定値を指標値として提供する土壌分析器の場合、土壌分析器内の機能によって、土壌のアルカリ性抽出液の吸光度から腐植物質の含有量を算出し、測定値として表示するものである。従って、更に他の換算方法としては、土壌中の腐植物質の含有量を測定する土壌分析器を使用して、上記土壌中の腐植物質の含有量の測定値を得、その測定値を陽イオン交換容量に換算する方法なども挙げられる。更に具体的には、予め腐植物質の含有量と陽イオン交換容量との関係を予め求めておき、これらの関係を示す標準曲線として検量線を作成しておき、土壌分析器により得られた試料土壌の腐植物質の含有量の測定値を検量線に当てはめることによって、腐植物質の含有量の測定値を陽イオン交換容量に換算するか、検量線から腐植物質の含有量と陽イオン交換容量との関係を示す関係式を求めておき、その関係式の腐植物質の含有量として腐植物質の含有量の測定値を代入することによって、腐植物質の含有量の測定値を陽イオン交換容量に換算する方法などが挙げられる。
【0022】
より具体的には、上記土壌分析器に少なくとも3点、好ましくは少なくとも4点の陽イオン交換容量の値が既知のpHが7.0以下の土壌サンプル及び少なくとも1点、好ましくは少なくとも2点の陽イオン交換容量の値が既知のアルカリ性土壌サンプルについて、上記腐植物質の吸収波長における所定重量当たりの土壌からのアルカリ性抽出液の吸光度をそれぞれ測定して上記土壌中の腐植物質の含有量の各測定値を得、pHが7.0以下の土壌サンプルにおける上記腐植物質の含有量の各測定値と各測定値にそれぞれ対応する陽イオン交換容量の値とから、例えば最小二乗法などの適宜方法により、測定する土壌のpHが7.0以下の場合に利用する腐植物質の含有量と陽イオン交換容量との関係式である(陽イオン交換容量(me
q/100g土壌))=A
5×(腐植物質の含有量(重量%))+B
5におけるA
5及びB
5の値を求めると共に、全土壌サンプルにおける上記腐植物質の含有量の各測定値と各測定値にそれぞれ対応する陽イオン交換容量の値とから、例えば最小二乗法などの適宜方法により、測定する土壌がアルカリ性である場合に利用する腐植物質の含有量と陽イオン交換容量との関係式である(陽イオン交換容量(me
q/100g土壌))=A
6×(腐植物質の含有量(重量%))+B
6におけるA
6及びB
6の値を求める方法などが挙げられる。なお、この場合も上記各式をバラツキを含めた(陽イオン交換容量(me
q/100g土壌))=(A
5±a
5)×(腐植物質の含有量(重量%))+(B
5±b
5)、(陽イオン交換容量(me
q/100g土壌))=(A
6±a
6)×(腐植物質の含有量(重量%))+(B
6±b
6)とし、同様にしてA
5,A
6、B
5,B
6、a
5,a
6、b
5,b
6の値を求めても好適である。
【0023】
上記のようにして腐植物質の含有量の各測定値と各測定値にそれぞれ対応する陽イオン交換容量の値とから、最小二乗法によりpHが7.0以下の土壌に利用する腐植物質の含有量と陽イオン交換容量の関係式である(陽イオン交換容量(me
q/100g土壌))=(A
5±a
5)×(腐植物質の含有量(重量%))+(B
5±b
5)としては、例えば、下記式(1)が挙げられ、予め測定しておいた測定土壌のpHが7.0以下、即ち測定土壌が酸性土壌又は中性土壌であれば、この下記式(1)に測定土壌中の腐植物質の含有量の測定値を代入すれば、測定土壌中の陽イオン交換容量を計算することができる。
【0025】
上記(1)式によって算出される値は、幅を有するため、測定する土壌が酸性土壌又は中性土壌である場合に、1の値(中心値)を求めるには、(陽イオン交換容量(me
q/100g土壌))=A
5×(腐植物質の含有量(重量%))+B
5として、例えば下記(3)式に測定土壌中の腐植物質の含有量の測定値を代入すれば、測定土壌中の陽イオン交換容量を計算することができる。
【0027】
なお、上記式(3)によって算出される土壌中の陽イオン交換容量の測定値によって、試料土壌中の陽イオン交換容量を評価、判断する場合、上記式(3)により算出された試料土壌中の陽イオン交換容量の測定値は、±20%の振れ幅を有するものとして評価、判断することが望ましい。
【0028】
一方、アルカリ性土壌に利用する上記測定波長における腐植物質の含有量と陽イオン交換容量の関係式である(陽イオン交換容量(me
q/100g土壌))=(A
6±a
6)×(腐植物質の含有量(重量%))+(B
6±b
6)としては、下記式(2)が挙げられ、予め測定しておいた測定土壌のpHがアルカリ性土壌、即ち、測定土壌pH>7.0であれば、測定土壌中の腐植物質の含有量の測定値を下記式(2)に代入すれば、測定土壌中の陽イオン交換容量を計算することができる。
【0030】
上記(2)式によって算出される値も、上記(1)式の場合と同様に幅を有するため、測定土壌がアルカリ性土壌である場合に1の値(中心値)を求めるには、(陽イオン交換容量(me
q/100g土壌))=A
6×(腐植物質の含有量(重量%))+B
6として下記(4)式に測定土壌中の腐植物質の含有量の測定値を代入すれば、測定土壌中の陽イオン交換容量を計算することができる。
【0032】
上記式(4)によって算出される土壌中の陽イオン交換容量の測定値によって、測定土壌中の陽イオン交換容量を評価、判断する場合、上記式(4)により算出された試料土壌中の陽イオン交換容量の測定値は、±30%の振れ幅を有するものとして評価、判断することが望ましい。
【0033】
本発明の土壌中の陽イオン交換容量の測定方法は、例えば、コンピュータや電卓などを利用して、数値を算出することもできるが、本発明の土壌分析器を利用すると、例えば、土壌の採取現場でその土壌中の陽イオン交換容量を簡単、且つ迅速に求めることができる。本発明の土壌分析器は、上述したように、土壌中の陽イオン交換容量の測定に使用する土壌分析器であって、測定する土壌の秤量値、pHをデータとして入力するデータ入力手段と、腐植物質を含有するアルカリ性抽出液の腐植物質の吸収波長における吸光度を測定する吸光度測定手段と、測定する土壌のpHが7.0以下の場合に利用する上記腐植物質の吸収波長における所定重量当たりの土壌からの上記アルカリ性抽出液の吸光度と陽イオン交換容量との相関関係を示す関係式及び/又は上記腐植物質の吸収波長における上記吸光度と腐植物質の含有量との相関関係を示す関係式と腐植物質の含有量と陽イオン交換容量との相関関係を示す関係式と、測定する土壌がアルカリ性である場合に利用する上記腐植物質の吸収波長における上記吸光度と陽イオン交換容量との相関関係を示す関係式及び/又は上記腐植物質の吸収波長における上記吸光度と腐植物質の含有量との相関関係を示す関係式と腐植物質の含有量と陽イオン交換容量との相関関係を示す関係式とを記憶する記憶手段と、上記データ入力手段に入力された測定する土壌のpHにより利用する関係式を上記記憶手段に記憶された上記関係式の中から選定する選定手段と、上記吸光度測定手段によって測定された吸光度のデータを必要に応じて上記データ入力手段に入力された上記土壌の秤量値により所定重量当たりの吸光度に換算して上記選定手段により選定された関係式に代入して陽イオン交換容量を求める演算手段と、該演算手段により得られた陽イオン交換容量の値を表示する表示手段と、を備えたものである。なお、本発明の土壌分析器における上記各関係式は、本発明の測定方法の上記各関係式と同様にして求めることができる。
【0034】
以下、本発明の土壌分析器の一構成例を
図1及び
図2を用いて、より詳細に説明する。
図1は、本発明の一構成例である土壌分析器1の正面(一部断面)図であり、
図2は、土壌分析器1の右側面(一部断面)図である。この土壌分析器1は、分析器本体ケース1aの表面に、表示手段として表示部2、データ入力手段として入力用ボタン3a,3b,3c,3dを備えている。そして、吸光度測定手段として、光照射部4、受光部5、セル6、セル固定部6aを備えている。なお、図中7は、吸光度を測定するアルカリ性抽出液である。この土壌分析器1は、分析器本体ケース1a内に図示しないCPU(中央処理装置)を内蔵しており、このCPUに記憶手段と選定手段と演算手段が備えられている。また、分析器本体ケース1a内には、図示しない電気供給手段(乾電池、電源コードなど)が備えられ、図示しない電源スイッチによりON、OFF操作が行えるように構成されている。
【0035】
分析器本体ケース1aは、その材質が特に制限されるものではなく、公知の土壌分析器のケース材料として使用されている材料を適宜選定して形成することができる。表示部2は、演算手段により得られた陽イオン交換容量の値と共に、後述するように吸光度から算出される腐植物質の含有量も表示されるように構成されている。また、分析を行う前には、入力用ボタン3a,3b,3c,3dによる入力データが表示され、データの確認ができるように構成されている。入力用ボタン3a,3b,3c,3dは、夫々、条件決定ボタン3a、入力開始ボタン3b、条件・数値選択ボタン3c、条件・数値選択ボタン3dのように構成されており、分析を行う前には入力開始ボタン3bを押して入力する条件である測定土壌の秤量値と測定土壌のpH値のどちらか一方を条件・数値選択ボタン3c,3dにより選択し、入力する条件を条件決定ボタン3aにより決定し、例えば条件として測定土壌の秤量値を選択した場合には、測定土壌の秤量値を条件・数値選択ボタン3c,3dにより選択することが出来るようになり、同様に条件として測定土壌のpHを選択した場合には、測定土壌のpHを条件・数値選択ボタン3c,3dにより選択することが出来るようになり、夫々の数値を選択した後に条件決定ボタン3aを押すことにより選択された数値を決定してCPUの記憶手段に条件と数値を記憶することが出来る。
【0036】
光照射部4はLEDで構成されており、図示しない電気供給手段及びCPUに接続されており、測定を行う際には条件決定ボタン3aを押すことにより分析に必要な時間セル6を通し受光部5に光を照射することができる。受光部5は光照射部4からセル6を通し照射された光を受け、この光の量に相当する電気信号に変換することができる。セル6は形状は特に限定されるものではないが、光照射部4から照射された光を80%以上透過し、且つ、照射された光を乱反射させたり散乱させたりしないものが望ましく、受光部5に透過した光がセル6を設置しない場合の光照射部4からの光量を電気信号に変換したときの数値を255としたとすると、セル6を設置した時の光照射部4からの光量を電気信号に変換した時の数値が100以上と成ることが望ましい。また、セル6の材質についても特に限定されるものではないが、アルコールや水に溶解し少なくとも1時間以内に形状が変化したり、アルコールや水の測定波長における吸光度を変化させないものが望ましい。また、光照射部4から照射された光を80%以上透過し、且つ、照射された光を乱反射させたり散乱させたりしないものが望ましく、受光部5に透過した光がセル6を設置しない場合の光照射部4からの光量を電気信号に変換したときの数値を255としたとすると、セル6を設置した時の光照射部4からの光量を電気信号に変換した時の数値が100以上と成ることが望ましい。セル固定部6aは、セル6を固定、狭持可能で、且つセル6の光透過部分を光が透過するように光路を有するように構成されている。
【0037】
この土壌分析器1の記憶手段には、上述した本発明の土壌分析器の記憶手段が記憶する関係式として、(a)測定する土壌のpHが7.0以下の場合に利用する腐植物質の吸収波長における所定重量当たりの土壌からのアルカリ性抽出液の吸光度と腐植物質の含有量との相関関係を示す関係式、例えば上記(腐植物質の含有量(重量%))=A
1×(吸光度)+B
1、より具体的には、例えば後述する実施例の式(5)、(b)測定する土壌のpHが7.0以下の場合に利用する腐植物質の含有量と陽イオン交換容量との相関関係を示す関係式、例えば上記(陽イオン交換容量(me
q/100g土壌))=A
3×(腐植物質の含有量(重量%))+B
3、より具体的には、例えば後述する実施例の式(8)、(c)測定する土壌がアルカリ性である場合に利用する腐植物質の吸収波長における所定重量当たりの土壌からのアルカリ性抽出液の吸光度と腐植物質の含有量との相関関係を示す関係式、例えば上記(腐植物質の含有量(重量%))=A
2×(吸光度)+B
2、より具体的には、例えば後述する実施例の式(6)、(d)測定する土壌がアルカリ性である場合に利用する腐植物質の含有量と陽イオン交換容量との相関関係を示す関係式、例えば上記(陽イオン交換容量(me
q/100g土壌))=A
4×(腐植物質の含有量(重量%))+B
4、より具体的には、例えば後述する実施例の式(7)が記憶されている。このような(a)〜(d)の関係式は、例えば後述する実施例2のようにして求めることができる。また、本発明の土壌分析器の記憶手段に記憶される関係式としては、(e)測定する土壌のpHが7.0以下の場合に利用する腐植物質の吸収波長における所定重量当たりの土壌からのアルカリ性抽出液の吸光度と陽イオン交換容量との相関関係を示す関係式、例えば上記(陽イオン交換容量(me
q/100g土壌))=A
7×(吸光度)+B
7、より具体的には、例えば後述する実施例の式(10)又は実施例の式(12)、(f)測定する土壌がアルカリ性である場合に利用する腐植物質の吸収波長における所定重量当たりの土壌からのアルカリ性抽出液の吸光度と陽イオン交換容量との相関関係を示す関係式、例えば上記(陽イオン交換容量(me
q/100g土壌))=A
8×(吸光度)+B
8、より具体的には、例えば後述する実施例の式(9)又は実施例の式(11)であってもよく、(a)〜(d)の関係式に代えて、(e)、(f)の関係式を記憶させてもよく、又は、(a)、(b)、(e)、(f)の関係式を記憶させてもよく、又は、(a)〜(f)の関係式を記憶させてもよい。なお、(e)、(f)の関係式は、例えば後述する実施例2、3のようにして求めることができる。また、土壌分析器1の記憶手段には、これらの関係式の他、後述するように、入力データ、測定された吸光度のデータ(測定データ)なども記憶されるように構成されている。
【0038】
更に、図示しないCPUは、データ入力手段に入力された測定する土壌のpHにより利用する関係式を記憶手段に記憶された関係式の中から選定する選定手段と、吸光度測定手段によって測定された吸光度のデータを必要に応じてデータ入力手段に入力された測定土壌の秤量値により所定重量当たりの吸光度に換算して選定手段により選定された関係式に代入して陽イオン交換容量を求める演算手段とが備えられている。なお、この土壌分析器1の場合、演算手段によって、上述した演算の他、後述するように純水(ブランク)の吸光度の測定値とアルカリ性抽出液の吸光度の測定値とからアルカリ性抽出液の吸光度も演算される。なお、測定波長の選択は、装置側で行ってもよく、選択された波長を照射できるLEDのみ発光させたり、選択されたLEDと選択されないLEDを発光させる時間をずらし、受光部において光を計測する時間を前記選択された波長を照射できるLEDの発光している時間のみと同期させることにより、装置側で選択できる。又は、CPUに、入力用ボタン3a,3b,3c,3dによって入力された波長に従って、光照射部4の波長を制御する制御手段を備えることによって行ってもよい。
【0039】
この土壌分析器1によれば、測定土壌からのアルカリ性抽出液7を入れたセル6を土壌分析器1に設置し、入力ボタン3a,3b,3c,3dにより測定を開始すれば、光照射部4から照射された光を受光部5により測定することができる。具体的には、予めセル6に純水を入れ、光源4から照射された光を受光部5により測定された数値(ブランク値)を測定しておき、そのブランク値を図示しない記憶手段に記憶させておき、次いでセル6に測定土壌からのアルカリ性抽出液7を入れ、アルカリ性抽出液7の照射された光の波長の透過光強度を測定し、図示しない演算手段により上記ブランク値とアルカリ性抽出液7の透過光強度の測定値とからアルカリ性抽出液7の吸光度のデータを得、図示しない記憶手段にその吸光度のデータを記憶することができる。そして、記憶手段が例えば上記(a)〜(d)の関係式、又は(a)、(b)、(e)、(f)、又は(a)〜(f)の関係式を記憶しているのであれば、このアルカリ性抽出液7の吸光度のデータ及び必要に応じて上記秤量値を基に、腐植物質の含有量と陽イオン交換容量を演算し、表示部2に演算された腐植物質の含有量と陽イオン交換容量を表示する。即ち、図示しない演算手段が吸光度測定手段によって測定された吸光度のデータ及び必要に応じて上記秤量値から腐植物質の含有量を算出し、更に、腐植物質の含有量の算出値又は吸光度のデータ及び必要に応じて上記秤量値から陽イオン交換容量を算出し、表示部2が演算手段により得られた陽イオン交換容量の値と、上記腐植物質の含有量の算出値を表示するように構成されている。なお、分析を行う前には、上述したように入力用ボタン3a,3b,3c,3dにより、測定土壌の秤量値、pHをそれぞれ入力することができる。
【0040】
なお、本発明の土壌分析器は、上記構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更することができる。
【実施例】
【0041】
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0042】
実施例に用いた土壌(土壌サンプル)の名称、土質、土壌が用いられている栽培方法を下記表1に示す。これらの土壌約10gを秤量し、これに純水25mlを加え、30分間、振とう器(全農型振とう機)により振とうした。振とう後の液を3分ほど静置した後、pHメーター(HANNA Instruments社;pH211 Microprocessor pH Meter)によりpHを測定した。結果を表1に併記する。
【0043】
【表1】
【0044】
[実施例1]
各土壌中の腐植物質を、熊田法に準じて、以下の手順により測定した。
図4に測定方法のフローチャートを示す。
1)土壌0.50gを量り採り、アルカリ性抽出液として0.1M水酸化ナトリウム/ピロリン酸ナトリウム混液(pH13)5ミリリットル中に加えた。
2)この混合液を、振とう器(全農型振とう機)により3分間振とうした。
3)ろ紙(No.2)によりろ過し、このろ液0.5ミリリットルを採取し、これに純水を加え12倍に希釈した。
4)希釈液を土壌分析器(全農型土壌分析器ZA−II)により分析し、各土壌中の腐植物質の含有量(重量%、以下wt%とする)の測定値を得た。
【0045】
上記土壌の陽イオン交換容量(CEC)(me
q/100g土壌、以下me/100gsoilとする)は、ショーレンベルガー法により抽出し、インドフェノール法により分析した。即ち、土壌約1gを秤量した。これを交換試薬10ミリリットルに分散するように加え、15分間静置した。15分間静置後、漏斗とろ紙によりろ過した。前記漏斗に洗浄液5ミリリットルを加え、洗浄液をろ過した。洗浄液がろ過された後、更に洗浄液5ミリリットルを加え、この洗浄液をろ過した。洗浄液がろ過され、ろ紙上に残った土壌表面がひび割れるまでろ過を続けた。20分経過してもろ紙上に残った土壌表面がひび割れない場合には、加圧器を用い、前記洗浄液のろ過を行った。前記漏斗の先を塞ぎ、液が漏れないようにした後、抽出試薬10ミリリットルを加えて15分間の抽出を行った。15分間の抽出を行った後、漏斗の先を開き抽出液を20ミリリットル容のビーカーにろ過した。このろ液を抽出ろ液とした。抽出ろ液2ミリリットルを試験管に採取し、これに純水23ミリリットルを加えよく撹拌し、これを希釈ろ液とした。希釈ろ液0.2ミリリットルを別の試験管に採取し、これに純水2.8ミリリットルを加え、約3ミリリットルの測定試薬を作成した。前記測定試薬とは別に、純水3ミリリットルを試験管に採取し、標準試薬とした。標準試薬、測定試薬にそれぞれ発色試薬を加えよく撹拌した。撹拌後20分間静置し、発色液を加えた標準試薬を標準として、土壌分析器(全農型土壌分析器ZA−II)により分析した。土壌のCEC測定について、
図3に測定のフローチャートを示す。
【0046】
[実施例2]
上記実施例1の希釈液を光路長10mmのセルに入れ、ブランクとして純水を利用し、分光光度計(Shimadzu;UV−2400PC)により、脱気処理は行わず、温度22〜25℃の室温において524nm、632nmの波長において吸光度(OD)を測定した。
【0047】
[実施例3]
上記実施例1の希釈液を注射器に吸い込み、合同会社土づくり推進機構製の土壌分析器MO−01用光学セル(セル長さ8mm)に規定量注入し、土壌分析器MO−01により、温度22〜25℃の室温において524nm、632nmの波長において吸光度(OD)を測定した。
【0048】
上記実施例1、実施例2、実施例3及びショーレンベルガー法によるCEC測定の結果を下記表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
上記実施例1で測定した土壌中の腐植物質の含有量とショーレンベルガー法により抽出した陽イオン交換容量との関係をグラフにプロットしたところ
図5の結果を得た。このグラフによれば、両者間に一次の相関関係が認められ、相関係数R
2=0.72となり、腐植物質の含有量とCEC値との間に相関があることが示された。また、最小二乗法により下記(4)式の関係式が得られた。なお、バラツキを考慮すると下記(2)式の関係式が得られた。
【0051】
【数5】
【0052】
更に、測定土壌(土壌サンプル)として土壌pHが7.0以下の土壌(酸性〜中性土壌)のみを選定して同様にグラフを作成したところ
図6の結果を得、相関係数R
2=0.89となり、アルカリ性土壌の結果を加えたときより高い相関があることが示された。また、最小二乗法により下記(3)式の関係式が得られた。なお、バラツキを考慮すると下記(1)式の関係式が得られた。
【0053】
【数6】
【0054】
これらの結果から、測定土壌中の腐植物質の含有量を測定し、その含有量からその土壌の持つ陽イオン交換容量(CEC)を簡易的に算出できることが示され、特に酸性土壌〜中性土壌(pH7.0以下の土壌)において有効であることが認められた。即ち、上記実施例1の結果によれば、例えば、野菜生産現場などの土壌採取現場において採取した測定土壌が酸性土壌〜中性土壌(pH7.0以下の土壌)であれば、上記(1)式又は上記(3)式に上記土壌分析器による測定土壌中の腐植物質含有量の測定値を代入することによって、野菜生産現場などで採取した土壌のpHが7.0以下である場合の土壌中の陽イオン交換容量(CEC)を求めることができ、一方、測定土壌がアルカリ性土壌(pH>7.0)であれば、上記(2)式又は上記(4)式に上記土壌分析器による測定土壌中の腐植物質含有量の測定値を代入することによって、野菜生産現場などなどで採取した土壌がアルカリ性土壌である場合の土壌中の陽イオン交換容量(CEC)を求められることが認められた。
【0055】
次に、上記実施例2において波長524nmで測定したpHが7.0以下の各土壌のアルカリ性抽出液の土壌0.50g当たりの吸光度(OD
524nm)と上記実施例1においてそれぞれ対応するpHが7.0以下の各土壌中の腐植物質の含有量の測定値との関係をグラフにプロットしたところ
図7の結果を得た。このグラフによれば、pHが7.0以下の土壌のアルカリ性抽出液の土壌0.50g当たりの吸光度(OD
524nm)と土壌中の腐植物質の含有量の測定値との相関関係は、相関係数R
2=0.89となり、吸光度と腐植物質の含有量との関係式を最小二乗法により求めたところ下記(5)式が得られた。また、上記実施例2において波長524nmで測定した全土壌のアルカリ性抽出液の土壌0.50g当たりの吸光度(OD
524nm)と上記実施例1においてそれぞれ対応する全土壌の各土壌の腐植物質の含有量の測定値との関係を求めたところ、相関係数R
2=0.99となり、吸光度と腐植物質の含有量との関係式を最小二乗法により求めたところ下記(6)式が得られた。そこで、上記実施例2において波長524nmで測定したアルカリ性抽出液の土壌0.50g当たりの吸光度(OD
524nm)を、pH7.0以下の土壌については下記式(5)、アルカリ性土壌については下記式(6)に代入して、腐植物質の含有量を算出した。結果を上記表2に併記する。
腐植物質の含有量(重量%)=14.9×(OD
524nm)+0.97・・・(5)
腐植物質の含有量(重量%)=9.8×(OD
524nm)+0.96・・・(6)
【0056】
更に、実施例2の吸光度の測定値から得られた腐植物質の含有量とショーレンベルガー法により抽出した陽イオン交換容量との関係をグラフにプロットしたところ、両者間に一次の相関関係が認められ、相関係数R
2=0.67となり、吸光度(OD
524nm)から算出された腐植物質の含有量とCEC値との間に相関があることが示された。また、最小二乗法により下記関係式(7)が得られた。更に、中性〜酸性土壌では、相関係数R
2=0.80となり、吸光度(OD
524nm)から算出された腐植物質の含有量とCEC値との間に相関があることが示された。また、最小二乗法により下記関係式(8)が得られた。従って、測定土壌が酸性土壌〜中性土壌(pH7.0以下の土壌)であれば、下記関係式(8)に吸光度(OD
524nm)から算出された腐植物質の含有量を代入することによって、測定土壌中の陽イオン交換容量(CEC)を求めることができ、測定土壌がアルカリ性土壌(pH>7.0)であれば、下記関係式(7)に吸光度(OD
524nm)から算出された腐植物質の含有量を代入することによって、測定土壌中の陽イオン交換容量(CEC)を求めることができる。
【0057】
【数7】
【0058】
即ち、上記実施例2の結果によれば、例えば、野菜生産現場などの土壌採取現場において採取した測定土壌が酸性土壌〜中性土壌(pH7.0以下の土壌)であれば、上記(5)式に測定土壌のアルカリ性抽出液の土壌0.50g当たりの波長524nmにおける吸光度の分光光度計による測定値(OD
524nm)を代入することによって、測定土壌の腐植物質の含有量を算出することができ、その腐植物質の含有量の算出値を上記式(8)に代入することによって、野菜生産現場などで採取した土壌のpHが7.0以下である場合の土壌中の陽イオン交換容量(CEC)を求めることができ、一方、測定土壌がアルカリ性土壌(pH>7.0)であれば、測定土壌のアルカリ性抽出液の土壌0.50g当たりの波長524nmにおける吸光度の分光光度計による測定値(OD
524nm)を上記式(6)に代入することによって、測定土壌の腐植物質の含有量を算出することができ、その腐植物質の含有量の算出値を上記(7)式に代入することによって、野菜生産現場などで採取した土壌がアルカリ性である場合の土壌中の陽イオン交換容量(CEC)を求められることが認められた。
【0059】
更に、上記実施例2において波長524nmで測定したアルカリ性抽出液の土壌0.50g当たりの吸光度(OD
524nm)とショーレンベルガー法により抽出した陽イオン交換容量との関係をグラフにプロットしたところ、両者間に一次の相関関係が認められ、相関係数R
2=0.70となり、最小二乗法により下記関係式(9)が得られた。また更に、測定土壌(土壌サンプル)として中性〜酸性土壌のみを選定して同様にグラフを作成したところ、相関係数R
2=0.80となり、最小二乗法により下記関係式(10)が得られた。従って、測定土壌が酸性土壌〜中性土壌(pH7.0以下の土壌)であれば、下記関係式(10)に吸光度の測定値を代入することによって、測定土壌中の陽イオン交換容量(CEC)を求めることができ、測定土壌がアルカリ性土壌(pH>7.0)であれば、下記関係式(9)に吸光度の測定値を代入することによって、試料土壌中の陽イオン交換容量(CEC)を求めることができる。即ち、この実施例2の結果によれば、例えば、野菜生産現場などの土壌採取現場において採取した測定土壌が酸性土壌〜中性土壌(pH7.0以下の土壌)であれば、下記(10)式に測定土壌のアルカリ性抽出液の土壌0.50g当たりの波長524nmにおける吸光度の分光光度計による測定値(OD
524nm)を代入することによって、野菜生産現場などで採取した土壌のpHが7.0以下である場合の土壌中の陽イオン交換容量(CEC)を求めることができ、一方、測定土壌がアルカリ性土壌(pH>7.0)であれば、測定土壌のアルカリ性抽出液の土壌0.50g当たりの波長524nmにおける吸光度の分光光度計による測定値(OD
524nm)を下記式(9)に代入することによって、野菜生産現場などで採取した土壌がアルカリ性である場合の土壌中の陽イオン交換容量(CEC)を求められることが認められた。
CEC(me
q/100g土壌)=86×OD
524nm+11.9・・・(9)
CEC(me
q/100g土壌)=88.5×OD
524nm+11.0・・(10)
【0060】
次に、上記実施例3において波長524nmで測定したアルカリ性抽出液の土壌0.50g当たりの吸光度(OD
524nm)とショーレンベルガー法により抽出した陽イオン交換容量との関係をグラフにプロットしたところ
図8の結果を得た。このグラフによれば、両者間に一次の相関関係が認められ、相関係数R
2=0.62となり、最小二乗法により下記関係式(11)が得られた。また更に、試料土壌として中性〜酸性土壌のみを選定して同様にグラフを作成したところ
図9の結果を得、相関係数R
2=0.78となり、最小二乗法により下記関係式(12)が得られた。従って、測定土壌が酸性土壌〜中性土壌(pH7.0以下の土壌)であれば、下記関係式(12)に吸光度の測定値を代入することによって、測定土壌中の陽イオン交換容量(CEC)を求めることができ、測定土壌がアルカリ性土壌(pH>7.0)であれば、下記関係式(11)に吸光度の測定値を代入することによって、測定土壌中の陽イオン交換容量(CEC)を求めることができる。
CEC(me
q/100g土壌)=103×OD
524nm+12.1・・・(11)
CEC(me
q/100g土壌)=109×OD
524nm+11.0・・・(12)
【0061】
即ち、実施例3の結果によれば、例えば、野菜生産現場などの土壌採取現場において採取した測定土壌が酸性土壌〜中性土壌(pH7.0以下の土壌)であれば、上記(12)式に測定土壌のアルカリ性抽出液の土壌0.50g当たりの波長524nmにおける吸光度の上記土壌分析器による測定値(OD
524nm)を代入することによって、野菜生産現場などで採取した土壌のpHが7.0以下である場合の土壌中の陽イオン交換容量(CEC)を求めることができ、一方、測定土壌がアルカリ性土壌(pH>7.0)であれば、測定土壌のアルカリ性抽出液の土壌0.50g当たりの波長524nmにおける吸光度の上記土壌分析器による測定値(OD
524nm)を上記式(11)に代入することによって、野菜生産現場などで採取した土壌がアルカリ性である場合の土壌中の陽イオン交換容量(CEC)を求められることが認められた。
【0062】
以上の結果から、土壌に含まれる腐植物質の含有量に対応する指標値からその土壌の持つ陽イオン交換容量(CEC)を簡易的に算出できることが示された。なお、本発明の土壌中の陽イオン交換容量の測定方法は、上述したように、例えば、野菜生産現場などにおける肥料の使用量の決定に際し、土壌中の陽イオン交換容量の測定を分析センターなどに依頼しなくても、野菜生産者などが各自でその土壌採取現場において土壌中の陽イオン交換容量を求め、その場で肥料の使用量を決定することも可能とするものであり、そのような簡易判定に利用するには、上記実施例における腐植物質の含有量に対応する指標値の測定値と陽イオン交換容量の測定値とは、十分な相関関係を有するものである。上記実施例1〜3のCEC測定方法によれば、従来法で2時間〜数日程度かかっていたCECの測定時間が、5分程度に短縮できた。更に工程がかなり少なくなることから、野菜生産現場においても十分実施が可能であるといえる。
【0063】
そして、本発明の土壌分析器の一構成例として上述した土壌分析器1(
図1,2参照)の吸光度の測定波長を524nmとし、セル長さが10mm、測定土壌のpHが7.0以下の場合に測定土壌のアルカリ性抽出液の土壌0.50g当たりの波長524nmにおける吸光度(OD
524nm)と腐植物質の含有量との相関関係を示す下記関係式(5)、算出された腐植物質の含有量と陽イオン交換容量との相関関係を示す下記関係式(8)、測定土壌がアルカリ性土壌の場合に測定土壌のアルカリ性抽出液の土壌0.50g当たりの波長524nmにおける吸光度(OD
524nm)と腐植物質の含有量との相関関係を示す下記関係式(6)、算出された腐植物質の含有量と陽イオン交換容量との相関関係を示す下記関係式(7)を記憶手段に記憶させ、表示部2(
図1,2参照)に演算手段によって得られた腐植物質の含有量とCEC値が表示されるように構成することによって、この簡易的なCECの測定方法を実施することが可能であることが確認された。なお、土壌分析器に搭載する関係式は、測定波長、セル長さ、土壌分析器の仕様などにより、適宜変更することできる。
【0064】
【数8】