特許第5734597号(P5734597)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5734597
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】収容体の封止構造
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20150528BHJP
【FI】
   H01M2/10 U
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2010-177706(P2010-177706)
(22)【出願日】2010年8月6日
(65)【公開番号】特開2012-35869(P2012-35869A)
(43)【公開日】2012年2月23日
【審査請求日】2013年8月2日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000129231
【氏名又は名称】株式会社ガスター
(74)【代理人】
【識別番号】100096806
【弁理士】
【氏名又は名称】岡▲崎▼ 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100098796
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 全
(74)【代理人】
【識別番号】100121647
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 和孝
(72)【発明者】
【氏名】小泉 俊之
【審査官】 藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−100357(JP,U)
【文献】 特開平01−226557(JP,A)
【文献】 実開昭63−190069(JP,U)
【文献】 特開2002−110117(JP,A)
【文献】 特開平10−040892(JP,A)
【文献】 実開昭51−081925(JP,U)
【文献】 特許第3459338(JP,B2)
【文献】 特開昭46−001489(JP,A)
【文献】 特許第4234777(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
B65D 51/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容体の開口部にシール部材を介して密着する内蓋と、
前記内蓋に対して接近・離間する方向に移動可能であり、前記内蓋に対向するように連結された外蓋と、
を備え、
前記外蓋は、前記内蓋との間に前記離間する方向に付勢力を発揮する弾性部材が配置され、かつ、前記内蓋に対して相対的に回転自在とされており、
前記外蓋又は前記収容体のいずれか一方は、前記回転方向に平行な溝部を有し、いずれか他方は、前記内蓋を前記開口部に当て、前記外蓋を前記内蓋側に接近させた状態で回転させることで、前記溝部に挿入して係止されるようにした係止部を有しており、
前記係止部を前記溝部の内壁に接触させずに前記外蓋が回転可能なように、前記溝部の幅は、これに対応する前記係止部の幅に比べて大きく、
前記収容体は、風呂釜の壁面に略円形状の前記開口部を有するようにした電池収容部であって、その内壁には外部に臨む段部が形成されており、
前記外蓋は、前記段部に当接するようにして前記電池収容部に取り付けられ、さらに、前記取り付けられた状態における正面視が、シャワー器具の散水部の最大径に比べて大きい直径を有する略円形状である
ことを特徴とする収容体の封止構造。
【請求項2】
前記係止部は、前記外蓋の周側面に突出して形成された突出部と、この突出部から僅かに出た突起とからなり、
前記溝部は、前記収容体の開口部の内壁に形成され、
前記開口部の内壁には、前記突出部を前記溝部に完全に挿入した際に、前記突起と係合する係合部が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の収容体の封止構造。
【請求項3】
前記壁面は略垂直であり、
前記溝部は、前記内壁に形成されると共に、浸入した水が溜まらないように侵入水を導く排水路を有し、
前記外蓋と前記内蓋との間には、浸入した水を前記内壁に落下させる落下路が設けられている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の収容体の封止構造。
【請求項4】
前記内蓋には乾燥剤が配置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の収容体の封止構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被対象物の出し入れが可能な収容容器ないし収容部の封止構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、薬瓶、食品保存用容器、電気製品収容部などの密封が必要な収容体については、蓋体を収容体に対してねじ回すことにより、収容体の開口部と蓋体との間にあるゴムパキッン等で密封している。
浴室内で浴槽に隣設されるバランス型風呂釜の電池収容部も、密封が必要な収容体の一例であり、図12(a)は従来のバランス型風呂釜1の部分斜視図、図12(b)はその風呂釜1に設けられた電池収容部4に対して着脱可能な蓋体2を開けた図である。
【0003】
この風呂釜1は、漏電等の危険を避けるために電池5で、表示部3や、図示しないイグナイタ、フレームロッドなどの電装品に駆動電流を供給している。そして、この電池5は交換が容易なように正面に開口した電池収容部4に収容され、この電池収容部4は水が侵入しないように蓋体2で封止されている。また、蓋体2と電池収容部4の開口部との間にゴムパッキン7を配置して密封し、さらに、この風呂釜1では庇部6を設けて、シャワーの水が蓋体2ないし電池収容部4にかからないようにされている。
【0004】
具体的に、蓋体2はビス8で電池収容部4の開口部に止められているが、この際、使用者は、封止度を高めるために、ビス8を回しながらゴムパッキン7を圧縮する必要がある。このため、ビス8には回し易いようにローレット(切り込み)が設けられている。
なお、バランス型風呂釜1は比較的に狭い浴室に設置される場合が多く、使用者の臀部等の柔らかい体の部分がローレットのあるビス8に接触して傷となる場合があり、庇部6は、この体がビス8に接触することを防止する役割も果たしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】意匠登録第836553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような収容体の封止構造に関しては、ゴムパッキンが圧縮変形するように蓋体やビスをねじ回して、はじめて効果の高い密閉が可能となる。このため、蓋体やビスを回すためには相当な力が必要であり、中途半端な力で回した場合、封止度に支障が生じてしまう。また、力を入れて蓋体が閉まった場合、反対に蓋体を開ける際は、蓋体が開け難いことが多い。このようなことから、老人などの非力な者にとっての蓋体の開閉作業は困難なものになっていた。
なお、収容体の確実な封止を考慮すれば、図13のような封止構造を採用することも考えられる。すなわち、図13の蓋体2Aは略円柱形状であり、その周側面の全周の窪みに、若干はみ出すようにOリングシール9が収容されている。そして、取っ手5を使って、蓋体2Aを電池収容部4の開口部に挿入したり、引き抜いたりする構造である。しかし、図13の構造では、蓋体2Aを引き抜く時に、電池収容部4の内部空間の負圧により非常に大きな力が必要であり、また、そのために大型の取っ手5を用いる必要もある。
【0007】
本発明はこのような問題を解決するためのもので、収容体の封止を確実なものにすると共に、非力な者であっても容易に蓋体を開閉できる収容体の封止構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、請求項1の発明によれば、収容体の開口部にシール部材を介して密着する内蓋と、前記内蓋に対して接近・離間する方向に移動可能であり、前記内蓋に対向するように連結された外蓋と、を備え、前記外蓋は、前記内蓋との間に前記離間する方向に付勢力を発揮する弾性部材が配置され、かつ、前記内蓋に対して相対的に回転自在とされており、前記外蓋又は前記収容体のいずれか一方は、前記回転方向に平行な溝部を有し、いずれか他方は、前記内蓋を前記開口部に当て、前記外蓋を前記内蓋側に接近させた状態で前記回転させることで、前記溝部に挿入して係止されるようにした係止部を有しており、前記係止部を前記溝部の内壁に接触させずに前記外蓋が回転可能なように、前記溝部の幅は、これに対応する前記係止部の幅に比べて大きく、前記収容体は、風呂釜の壁面に略円形状の前記開口部を有するようにした電池収容部であって、その内壁には外部に臨む段部が形成されており、前記外蓋は、前記段部に当接するようにして前記電池収容部に取り付けられ、さらに、前記取り付けられた状態における正面視が、シャワー器具の散水部の最大径に比べて大きい直径を有する略円形状である収容体の封止構造により達成される。
【0009】
請求項1の構成によれば、収容体の開口部にシール部材を介して密着する内蓋を有するため、内蓋で収容体を封止できる。
そして、内蓋に対して接近・離間する方向に移動可能であり、内蓋に対向するように連結される外蓋を有するが、この外蓋は、内蓋との間に、離間する方向に付勢力を発揮する弾性部材が配置されている。このため、外蓋を弾性部材の付勢力に抗しながら内蓋に接近させれば、弾性部材の付勢力により内蓋を収容体の開口部に押し付けることができ、これにより、収容体の封止度を高めることができる。
そして、弾性部材によって内蓋を収容体の開口部に押し付けた状態で、外蓋を収容体に取り付ければ、この高い封止度を維持することができる。
【0010】
この点、請求項1の構成によれば、外蓋または収容体のいずれか一方には溝部が設けられると共に、いずれか他方には、溝部に係止される係止部が設けられているため、係止部と溝部とを係止させて、外蓋を収容体に取り付けることができる。
そして、この係止部は、内蓋を開口部に当て、外蓋を内蓋側に接近させた状態で回転させることで、溝部に係止されるが、この外蓋を内蓋側に接近させた状態では、弾性部材の付勢力が発揮されている。したがって、係止部を溝部に係止すれば、弾性部材の付勢力により、内蓋を開口部に押し付けることができる。
【0011】
さらに、外蓋は内蓋に対して相対的に回転自在であり、溝部は外蓋の回転方向に平行である。このため、蓋体をねじ込んで収容体に螺着させるような力は必要とせず、すなわち、シール部材の回転方向に関する抵抗を受けずに外蓋を回転させて、溝部と係止部とを係止させ、容易に外蓋を収容体に取り付けることができる。
また、係止部を溝部に挿入させる場合と反対側に外蓋を回転させれば、係止部は溝部から外れ、係止部と溝部との係止状態は解除される。そうすると、使用者は弾性部材の付勢力を利用して外蓋、及びこれに連結された内蓋を容易に取り外すことができる。
しかも、溝部の幅は、これに対応する係止部の幅に比べて大きい。したがって、係止部と溝部との間で摩擦抵抗が生じないように外蓋を回転させることができ、係止部と溝部とを容易に係脱できる。なお、このように溝部の幅が係止部の幅より大きくても、外蓋から手を放せば、弾性部材の付勢力により、係止部は溝部の内壁に押し付けられて係止されるため、外蓋をガタつくことなく収容体に固定できる。
この際、前記係止部は、前記外蓋の周側面に突出して形成された突出部と、この突出部から僅かに出た突起とからなり、前記溝部は、前記収容体の開口部の内壁に形成され、前記開口部の内壁には、前記突出部を前記溝部に完全に挿入した際に、前記突起と係合する係合部が形成されていることが好ましい。
【0013】
また、請求項1の構成によれば、収容体は風呂釜の壁面に開口部を有する電池収容部であって、その内壁には外部に臨む段部が設けられており、外蓋は段部に当接するようにして電池収容部に取り付けられている。このため、シャワーから散水された水が、もしも、外蓋の周縁と風呂釜の壁面との間の隙間から勢いよく侵入したとしても、一旦、段部にあたる。したがって、シャワーから散水された水がシール部材に直接当たることを回避できる。
なお、電池収容部の開口部は略円形状であり、外蓋も正面視が略円形状であるため、外蓋を段部に当接するように取り付けても、外蓋を回転させることができる。
さらに、外蓋の円形状の直径はシャワー器具の散水部の最大径に比べて大きい。このため、シャワーから散水された水が、外蓋の全周縁の隙間から直接入るようなことはない。すなわち、一部の隙間に勢いよく水が入ることはあっても、少なくとも全ての隙間から水が勢いよく入ることはない。したがって、シャワーの水が勢いよく侵入して、高い水圧がシール部材にかかるような状況を有効に回避できる。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1又は2の構成において、前記壁面は略垂直であり、前記溝部は、前記内壁に形成されると共に、浸入した水が溜まらないように侵入水を導く排水路を有し、前記外蓋と前記内蓋との間には、浸入した水を前記内壁に落下させる落下路が設けられていることを特徴とする。
請求項3の構成によれば、開口部のある壁面は略垂直であり、さらに、その開口部の内壁に溝部が形成され、その溝部には浸入水が溜まらないように排水路が設けられている。このため、開口部に浸入してきた水は外部に抜け易い。
さらに、外蓋と内蓋との間には、浸入した水を内壁に落下させる落下路が設けられているため、浸入してきた水を開口部内壁を介して、外部に抜くことができる。
換言すれば、これらの水抜き用の構成は「収容体の内側に高い水圧がかからない構成」である。したがって、請求項1の「外蓋の直径がシャワー器具の散水部の最大系に比べて大きい」という高い水圧がシール部材にかかることを回避するための構成と相まって、高い水圧がシール部材にかかる事態を確実に防止できる。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1ないしのいずれかの構成において、前記内蓋には乾燥剤が配置されていることを特徴とする。従って、乾燥剤で収容体内の湿気を除去できる。
【発明の効果】
【0016】
以上、本発明によれば、収容体の封止を確実なものにすると共に、非力な者であっても容易に蓋体を開閉できる収容体の封止構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施形態に係る風呂釜の概略斜視図。
図2図1の風呂釜の主な構成を示す系統図。
図3図1の蓋体を開けて電池収容部を正面斜めから視認した概略斜視図。
図4図1の蓋体の側面図。
図5】外蓋に関する図であり、図5(a)は外蓋の背面図、図5(b)は図5(a)のB−B断面図、図5(c)は図5(a)のE方向の矢視図。
図6】内蓋に関する図であり、図6(a)は内蓋の正面図、図6(b)は図6(a)のC−C断面図。
図7】蓋体を電池収容部に取り付けようとする説明図。
図8図1の概略A−A断面図。
図9図8のF−F部分の拡大図。
図10】本発明の第2の実施形態に係る収容体とその蓋体の概略縦断面図。
図11】本発明の第2の実施形態の変形例に係る収容体とその蓋体の概略縦断面図。
図12】従来のバランス型風呂釜であり、図12(a)はその部分斜視図、図12(b)はその電池収容部に対して着脱可能な蓋体を開けた図。
図13】従来の収容体のその他の封止構造例。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。なお、以下に説明する各図面において同一の符号が付されている箇所は共通する構成である。
また、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0019】
図1は本発明の第1の実施形態に係る収容体50及びその蓋体60を備える風呂釜10の概略斜視図、図2図1の風呂釜10の主な構成を示す系統図である。
風呂釜10は、浴室内に設置されるバランス式風呂釜10であり、その側面SIが循環金具19を用いて浴槽に直接連結される。
本実施形態の風呂釜10はシャワー器具37が接続された複合式燃焼装置とされ、図2に示すように、風呂の追焚き用のバーナ40と給湯用のバーナ41を備えており、それぞれ風呂用の熱交換器42と給湯用の熱交換器34とを加熱して、風呂の追焚きと給湯の二つの機能を備えている。
【0020】
このような風呂釜10は、図1に示すように、合成樹脂により全体が略矩形状に形成された化粧パネルを有しており、その上面の正面側には、器具栓つまみ11、出湯栓切り替えレバー12、湯温調整つまみ15、シャワー管13、出湯管14が取り付けられている。また、正面の下側には、能力切替えつまみ16、ガス栓と接続されるガス入口17、水抜き栓18が取り付けられている。そして、正面の上側には、風呂釜の各電装品に電力を供給するための電池を収容する収容体(以下、「電池収容部」という)50を封止する蓋体60が取り付けられている。
【0021】
器具栓つまみ11は、点火をすると共に、燃料ガスの各配管への供給を適宜選択するためのものである。具体的には、図2に示すように、器具栓装置20と接続されており、器具栓装置20は磁力により吸着される金属で構成した電磁弁23を備えている。この電磁弁23は、スプリングを利用してガス入口17と出口との境界を開閉するようになっている。そして、器具栓装置20の動きを検知する検知手段としてのマイクロスイッチ22が配置されており、このマイクロスイッチ22は制御部30に接続されている。
これにより、使用者が器具栓つまみ11を押し込んで、電磁弁23を下降させると上記境界が開き、ガス入口17から導入された燃料ガスは、ガス出口からパイロットバーナ25に供給される。そして、制御部30は、マイクロスイッチ22の動作に基づいて、点火装置(イグナイタ)28に指示を与え、電極(点火プラグ)27により燃料ガスに点火されることによって、パイロットバーナ25が燃焼して口火が点く。
また、この器具栓つまみ11は、追焚き機能と給湯機能のいずれかを選択するつまみにもなっており、器具栓装置20は、ケース内の弁体21により、燃料ガスを給湯用ガス管29或いは風呂用ガス管26のいずれに送るかを選択できるようになっている。
【0022】
湯温調整つまみ15は、給湯時の湯の温度を調節するためのものであり、図2に示すように、ダイヤフラムケース32と接続され、給湯用熱交換器34を通る管路39の流水量と、給湯用熱交換器34のバイパス管である管路38の流水量を調整している。
ダイヤフラムケース32は、ダイヤフラム33により高圧側と低圧側に区分けされており、出湯栓が開かれた時には、低圧側が給湯用熱交換器34内の圧損等の分だけ高圧側より圧力が下がる。これにより、出湯栓が開かれて給水管35に通水があると、ダイヤフラム33は上記圧力差に基づいて動く。この動きを受けて、水圧自動ガス弁36の弁体は、内蔵スプリングの付勢力に抗して動き、燃料ガスをガス管29に送り、燃料ガスが流れるようになっている。なお、ダイヤフラムケース32の下端には水抜き栓18が設けられている。
【0023】
出湯栓切り替えレバー12は、給湯機能を利用してシャワー管13と出湯管14のいずれかへの湯の供給を選択するためのものであり、ダイヤフラムケース32を介して分岐された2つの管路38,39が合流した下流に設けられている。
能力切替えつまみ16は、燃焼する給湯用バーナ41の数を変更するためのものである。すなわち、給湯用バーナ41は複数のバーナーで構成されており、ガスガバナ43により、各バーナーへ供給する燃料ガスが制御されている。
【0024】
なお、このような風呂釜10には、種々の安全装置が設けられており、機器内の温度が異常に上昇した時のための過熱防止装置(温度ヒューズ)44、機器内部のバーナーの炎が消えた時のためのフレームロッド45、給湯用熱交換器34の温度が異常に上昇した時のための給湯過熱防止装置(ハイリミットスイッチ)46、給湯熱交換器内の水圧が異常に上昇した時のための過圧防止安全装置(過圧逃し弁)47が設けられている。
【0025】
以上のような点火装置28などの風呂釜10の追焚き及び給湯機能を発揮させるための機械器具類(上記種々の安全装置などの付随する機械器具類を含む)は、制御部30と電気的に接続され、制御部30は各電装品の情報に基づいて各機械器具類を制御している。
そして、制御部30は、電池収容部50内に収容された電池と電気的に接続されており、電池は制御部30を介して各機械器具類に電力を供給するようになっている。なお、本実施形態の電池には、単1で1.5Vの複数本の乾電池が利用されている。
また、制御部30は、図1の前方に張り出した庇部24の上面に配置された表示部49とも電気的に接続されており、この表示部49には電池寿命に関する情報(電池交換マークなど)が表示される。これにより、使用者は表示部49の情報に基づいて、電池収容部50を封止する蓋体60を開けて、電池を交換するようになっている。なお、庇部24は、電池収容部50に水が出来るだけかからないようにする役割を有し、このため、電池収容部50は正面の上側であって、庇部24の直下に配置されている。
【0026】
次に、この電池収容部50及びこれを封止するための蓋体60について、詳細に説明する。
〔電池収容部(収容体)の概要〕
図3は、蓋体60を開けて電池収容部50を正面斜めから視認した概略斜視図、図4は蓋体60の側面図である。
電池収容部50は蓋体60による開閉が可能な収容体であって、例えば合成樹脂により形成され、図3に示すように、上下に交換可能な乾電池が収容されるようになっている。
すなわち、電池収容部50は、風呂釜正面の垂直な壁面FRに開口した開口部53を有し、蓋体60を開けて、開口部53から手を入れて電池が交換可能になっている。
なお、本発明において、開口部とは、蓋体との相対的関係における観念であって、壁面と同一面の穴だけを意味するものではなく、蓋を閉めた際に蓋体60が電池収容部50に入り込む領域及びその周辺を含む。
【0027】
図3の開口部53は正面視が円形状であり、その内壁53aには蓋体60を取り付るための係止手段である溝部57が形成されている。
また、内壁53aについては、開口部53に取り付けた際の蓋体60の厚み寸法(図4の摘み部61の突出寸法を除くD1より少し小さい寸法)分だけ奥まった位置において、開口部53の内壁全周が半径方向の内側に向けて突出した環状の枠部、乃至、内側に向けたフランジ部(以下、「枠部」という)53bを有している。本実施形態の場合、開口部53は、壁面FRから電池の設置領域50aに向けて垂直に屈曲して内壁53aが形成され、この内壁53aが開口部53の円形状の半径方向に向けて垂直に屈曲して環状の枠部53bが形成されている。
【0028】
そして、この枠部53bの外部を向いた面には、シール部材55が設けられている。シール部材55は、蓋体60の後述する内蓋62が密着して、封止度合いを高めるための部材であり、例えば単発泡(ゴムパッキン)で形成されている。
本実施形態の場合、シール部材55はリング状であり、後述する図7に示す弾性部材80の付勢力により内蓋62で押圧された際、水が浸入しないように潰される。具体的には、図7に示すように、枠部53bは、全周に溝が形成されて環状の凹部87を有し、この環状の凹部87に、その開口面からはみ出すようしてシール部材55が挿入されている。凹部87は、シール部材55を挿入し易いように、開口端縁を面取り加工(C面カット)してテーパー面89とされている。
なお、シール部材55は、枠部53bではなく、内蓋60側に設けられていてもよい。また、本発明の枠部53bは、内蓋60の形状に対応すれば、図示した形状に限られるものではなく、例えば、内壁53aから内側に傾斜するように突出しても構わない。
【0029】
〔蓋体の概要〕
蓋体60は、後述する弾性部材を除いて例えば合成樹脂により形成され、蓋を着脱し易くするための摘み部61を除き、風呂釜正面の壁面FRから突出しないように、開口部53に埋め込まれるようになっている。そして、蓋体60は、互いに対向する内蓋62と外蓋64を有している。以下、内蓋62と外蓋64を、図5ないし図8を中心に説明する。
図5(a)は外蓋64の背面図(内蓋側の面)、図5(b)は図5(a)のB−B断面図、図5(c)は図5(a)のE方向矢視図である。また、図6(a)は内蓋62の正面図(外蓋側の面)、図6(b)は図6(a)のC−C断面図である。また、図7は、蓋体60を電池収容部50に取り付けようとする説明図であり、図1のA−A線の位置に対応した概略断面となっている。また、図8は蓋体60を電池収容部50に取り付けた後の図であって、図1の概略A−A断面図である(一点鎖線で囲った図は後述する溝部57及び係止部82付近の拡大図)。なお、溝部57及び係止部82は図1のA−A線では断面とならないが、理解の便宜のため、図7及び図8において、溝部57及び係止部82を断面として図示している。また、図9図8のF−F部分の拡大図である。
【0030】
〔内蓋の構成〕
内蓋62は、電池収容部50を実際に封止するための蓋であって、開口部53にシール部材55を介して密着するようになっている。
本実施形態の内蓋62は、図6及び図3に示すように、開口部53の形状に合わせて、正面視及び背面視が円形状とされており、開口部53の直径よりも僅かに小さな直径L1を有し、電池収容部50を封止した状態で、その周縁部が枠部53bに設けられたシール部材55に当接するようになっている。
具体的には、内蓋62の背面(電池の設置領域50a側の面)62aの周縁部には、全周に窪み部66が形成され、窪み部66は背面視においてリング状とされ、その中に凸部69が全周にわたって形成されている(凸部69は全体的に厚みを有するリング状となる)。そして、図8及び図9に示すように、環状のシール部材55は、蓋体60を取り付けた状態で、この凸部69に押圧されて変形する。ここで、凸部69は、幅W3がシール部材55の幅W4に比べて小さく、シール部材55の一部(本実施形態では幅W4方向の中央部)のみを押圧するようになっている。このため、内蓋62で電池収容部を密封してその内側が負圧となっても、蓋体50を外す際にその負圧状態を解除し易くして、蓋体50の取り外しが容易となる。なお、製造時において凹部87にシール部材55を容易に挿入するための上述したテーパー面89は、凸部69に押圧されて幅方向に膨らんだシール部材55の逃げ部ともなる。
また、図9に示すように、窪み部66の深さD2と凸部69の突出寸法とは同様であり、内蓋62と枠状部53bとを接触させた際、シール部材55は、凹部87からはみ出した部分55a(図7参照)が窪み部66に入るようになっている。
【0031】
〔外蓋の構成〕
外蓋64は、図5及び図1に示すように、電池収容部50に取り付けられた状態における正面視および背面視が略円形状とされている。
そして、この外蓋64の周端部77は板状とされている。一方、図7図8図3に示すように、電池収容部50の開口部53の内壁53aには、外部に臨む段部59が形成されている。そして、図8に示すように、段部59に周端部77の背面側(内蓋側)が当接した状態で、外蓋54は、摘み部61を除いて開口部53に埋め込まれるようになっている。これにより、シャワー器具37の水を勢いよく吹き付けられても、水が段部59にあたって、それ以上奥に水圧がかかることを防止している。
なお、段部59は、環状の枠部53bと同様に、内壁53aの全周が内側に向けて突出して形成されているが、その突出幅は枠部53bに比べて小さく、内蓋背面62aのシール部材55への押圧を阻害するものではない。すなわち、外蓋64は、内蓋62に比べて、周端部77の分だけ半径が大きな円形状とされている。
【0032】
また、外蓋64は、正面(外部側)に摘み部61を有している。摘み部61は、電池収容部50から蓋体60を摘み出すのではなく、主に、外蓋64を回転させる役割を有し、本実施形態の場合、図1及び図4に示すように、電池収容部50に蓋体60が取り付けられた状態において、縦方向に山形に突出し、その突出した側面に凹部61aを有している。なお、裸の使用者が接触して衝突し難いように、摘み部61は壁面FRから極力突出しないことが好ましい。
【0033】
〔内蓋及び外蓋の構成と、その連結構造等〕
このような内蓋62と外蓋64とは、互いに接近・離間する方向に移動可能なように連結され、かつ、上記接近・離間する方向と交差する回転方向について、相対的に回転自在な構成とされている。
先ず、内蓋62は、図6及び図7に示すように、正面(外蓋側の面)62bの周縁部に、外蓋64側に延びると共に、中心OP1から所定の半径r3を有する円弧上に沿って断続的に配列された複数の突起部67を有している。この複数の突起部67の夫々の先端には、鉤状部67a(本実施形態の場合、外側に向けて曲がった鉤状)が設けられている。
一方、外蓋64は、図5及び図7に示すように、背面(内蓋側の面)64aの周縁部に、内蓋62側に延びると共に、中心OP2から所定の半径R3を有する円弧上に沿って形成された突起部68を有している。なお、この外蓋64側の突起部68については、全周にわたって設けられ、全体が略円筒体状(背面視がリング状)に形成されている。また、この突起部68の先端には、鉤状部68a(本実施形態の場合、内側に向けて曲がった鉤状)が設けられている。
そして、図7に示すように、内蓋62と外蓋64とが連結された状態において、内蓋62側の突起部67及び鉤状部67aと、外蓋64側の突起部68及び鉤状部68aとは、互いに対応して配置されている。すなわち、突起部67は突起部68に比べて内側に配置される(半径R3>半径r3)と共に、互いを離間させるように移動させた場合、鉤状部67aと鉤状部68aとが係止されるようになっている。
【0034】
このようにして、内蓋62と外蓋64とは、互いに接近離間する方向に移動可能であって、かつ、連結されている。また、突起部67と突起部68とは、中心から異なる半径を有する円弧上に形成され、相対的な回転(図のRE方向の回転)を可能としている。そして、内蓋62或いは外蓋64の少なくともいずれか一方の突起部が全体的に円筒体状とされることで、相対的に回転したとしても、その連結が外れることはない。
なお、本実施形態では、突起部67,68は周縁部に配置されているが、互いに対応して配置されれば、これに限られるものではない。
【0035】
また、内蓋62と外蓋64とは、図5図8に示すように、互いの方向に延びた壁部70,75を夫々に有しており、この壁部70,75は、相対的に半径方向に移動しようとした際に接触することで、互いの半径方向の移動を防止している。
具体的には、内蓋62は、図6に示すように、正面62bの突起部67より内側であって、中心OP1から半径r1を有する円弧上に沿って壁部70が設けられ、壁部70は全体が円筒状に形成されている。なお、図6(a)において、壁部70に付した平行斜線は、理解の便宜のためであって断面ではない。そして、平行斜線と平行斜線との間には、円筒状体が切り欠かれたようになっており、後述する浸入水の排水通路としての落下路89とされている。
一方、外蓋64は、図5に示すように、背面64aの突起部68より内側に、中心OP2から半径R1を有する円弧上に沿って、複数の壁部75が設けられている。
そして、壁部70と複数の壁部75とは、外蓋64が内蓋62に対して相対的に回転して、当該回転方向REとは異なる方向に移動しようとした際、少なくとも2箇所以上の対向する位置で、壁部70と壁部75とが接触するように配置されている。
【0036】
ここで、図7及び図8に示すように、内蓋62と外蓋64との間には、離間する方向(図のX方向)に付勢力を発揮する弾性部材80が配置されている。
本実施形態の弾性部材80は、断面が円形状の金属製コイルスプリングで形成されており、これにより、外蓋64を図1のRE方向に回転させる際、その回転に対する摩擦を小さくすることができる。
また、弾性部材80は、内蓋62と外蓋64との間の中央領域に、両蓋に接合されずに配置され、内蓋62及び外蓋64の夫々に向って設けられた凸部71,72が、弾性部材80の半径方向の余計な動きを規制している。
そして、弾性部材80は、図7に示すように、内蓋62と外蓋64とが最も離れた状態においても、上記離間する方向(X方向)に付勢力を発揮し、これにより、鉤状部67aと鉤状部68aとが係止されるようになっている。
【0037】
そして、弾性部材80は、蓋体60を電池収容部50に取り付けた状態において、図8に示すように外蓋64と内蓋62とが接近する方向に圧縮されるため、内蓋62を枠部53bに押し付けて、シール部材55を凸部69で圧縮させ、これにより、収容体の封止度を高めることができる。
また、弾性部材80は、蓋体60を電池収容部50から取り外す際には、外蓋64と内蓋62とが離間する方向に付勢力を発揮するため、外蓋64を外部に向けて弾き出す動作をする。このため、蓋体60を開ける際、摘み部61が小さくても、蓋体60を電池収容部50から取り出し易くなる。
【0038】
なお、図8に示すように、外蓋64と内蓋62との間は、水が侵入する空間が多い一方、上述のように、外蓋64と内蓋62との間には複数の突起部67,68、壁部70,75、凸部71,72が設けられている。このため、内蓋62及び/又は外蓋64は、その対向面に、浸入水を開口部の内壁53aに向けて落下させるための複数の落下路89が設けられている。具体的に、落下路89は、図5図6に示すように、断続的に配置された複数の突起部67同士の間、円筒状の壁部70に形成された切り欠き(平行斜線間)、断続的に配置された複数の凸部71,72同士の間により形成されている。そして、図8のように蓋体60を電池収容部50に取り付けた状態において、外蓋64と内蓋62との間は、少なくとも上部空間と下部空間とが連通するように形成され、外蓋64の周端と垂直面FRとの隙間Sであって、上側の隙間S1と下側のS2とが、外蓋64と内蓋62との間を介して連通するようになっている。
【0039】
〔蓋体と電池収容部(収容体)との取付け構造など〕
次に、蓋体60を電池収容部50に取り付ける構造を説明する。
図3乃至図8に示すように、外蓋64又は電池収容部50のいずれか一方には、外蓋64の回転方向(図3のRE方向)に平行な複数の溝部57が設けられている。
一方、外蓋64又は電池収容部50のいずれか他方には、内蓋62を開口部53の枠部53bに当て、外蓋64を内蓋側に接近させた状態で、RE方向に回転させることで、溝部57に挿入して係止されるようにした複数の係止部82が設けられている。
係止部82は、図の場合、外蓋64の略円筒体状の突起部68の外側側面(外蓋の周側面)に突出して形成された凸部(以下、「突出部」という)であり、図5に示すように4箇所に形成されている。なお、本発明の係止部は、外蓋64を開口部53に押し込んでからRE方向に回転させ、これにより溝部57に挿入及び係止できる形状でれば、図のような凸部形状に限られるものではない。例えば、U字状を構成する一対の壁部に挟まれた溝部に対して、同じくU字状を構成する一対の壁部の内いずれか一方の壁部が挿入及び係止される構成であってもよい。
【0040】
溝部57は、図8に示すように、内蓋62と外蓋64とが接近離間する方向(図のX方向)に対して略垂直な内壁57aを有し、図3の場合、開口部53の内壁53aに4箇所形成されている(2箇所は図示せず)。具体的には、水が勢いよく奥に当たることを防止する上記段部59に複数の切り欠き部59aが形成され、溝部57はこの切り欠き部59aと繋がっている。
すなわち、切り欠き部59aは、図4の外蓋64の突出部82を溝部57まで導くガイド溝であり、外蓋64の突出部82の位置に対応して4箇所形成され、かつ、突出部82の長さL2よりも若干大きな長さL3を有する。
これにより、使用者が外蓋64を電池収容部50に固定させる際、突出部82を切り欠き部59aを通過させた後、外蓋64を図3のRE方向(つまり、内蓋と外蓋とが接近離間する方向と交差する方向)のうち、図3では時計回りに回転させれば、溝部57はその回転方向REと平行であるため、突出部82を容易に溝部57に挿入できる。
なお、この際の外蓋64の回転は、少なくとも1回転することはなく、好ましくは、片手を楽にひねることができる1/4回転以下であって、本実施形態では切り込み部59aを通過した後、10°程度回転させて、突出部82の図8のX方向(内蓋と外蓋との接近離間方向)の側面全体を溝部57に係止させるようになっている。
そして、逆に、外蓋64を外す場合は、突出部82を図3の切り欠き部59aの位置までくるように外蓋64をRE方向のうち反時計回りに回転させれば、弾性部材80の付勢力で突出部82は切り欠き部59aを通り抜け、埋め込まれていた外蓋64は、開口部53からポンと飛び出すようにして収容体から外れる。
【0041】
さらに、溝部57は、図8に示すように、その幅W1が、これに対応する突出部82の幅W2に比べて大きく形成されている。このため、突出部82を図8の点線のように溝部57の内壁に接触させないように(摩擦抵抗が生じないように)して、外蓋64を容易に回転させることができる。そして、溝部57の幅W1が突出部82の幅W2より大きくても、外蓋64から手を放せば、弾性部材80の付勢力により、図8のように突出部82は溝部57の内壁57aに押し付けられて係止されるようになっている。
【0042】
そして、このように外蓋64を開口部53に取付けた状態において、外蓋64の露出面は図1に示すように円形状とされ、この円形状の直径L4(図5参照)が、図8に示すように、シャワー器具(シャワーヘッド)37の散水部の最大径L5に比べて大きくなっている。この点、シャワーの水は、外蓋64の周端と垂直面FRとの隙間Sに、水平方向Hから侵入した場合、勢いよく侵入することになる。しかし、外蓋64の露出面の方が大きいため、仮に図8の上側の隙間S1に水が水平方向Hから浸入したとしても、図8の下側の隙間S2に水が水平方向Hから浸入することはあり得ない。したがって、シャワーの水が勢いよく浸入して、電池収容部50内の水圧が上がることを有効に防止できる。
しかも、上述したように、水が侵入しても、その水は図6に示す落下路89を通って、図3の開口部53の内壁53aに落下する。そして、図3の内壁53aに形成された溝部57は、内側に浸入してきた水が溜まらないように侵入水を導く排水路85を有している。具体的には、開口部53は、垂直な壁面FRに開口しているため、排水路85は下側の溝部57に設けられ、溝部57から壁面FRに向って段部59を切り欠くようにして形成されている。このため、例えば図8の上側の隙間S1に水が浸入したとしても、図8の下側の隙間S2から侵入水を排出し、シール部材55に高い水圧がかかって、水が電池の設置領域50aに侵入することを確実に防止できる。なお、図3の開口部53及びその内壁53aは正面視が円形であり、内壁53aの上半分についた水は落下するため、上半分に配置された溝部57には排水路85は形成されていない。
【0043】
ところで、この排水路85には浸入水を排水させる機能だけではなく、突出部82を溝部57に確実に挿入したことを使用者に報知するためのクリック感を与える機能も有する。すなわち、図5(c)に示すように、下側にある突出部82は、略四角柱体から僅かな突起82aが出て、図5(c)ではL字状のような形態になっている。そして、この突起82aは、下側にある突出部82を溝部57に完全に挿入すると、溝部57につながった切り欠き状の排水路85に軽く引っかかるようになっている。
【0044】
本発明の第1の実施形態は以上のように構成され、外蓋64を弾性部材80の付勢力に抗しながら内蓋64に接近させて電池収容部50に取り付け、弾性部材80の付勢力により内蓋62を開口部53に押し付け、封止度を高めることができる。
そして、外蓋64は内蓋62と相対的に回転自在であり、外蓋64と電池収容部50とを係止するための溝部57は外蓋64の回転方向REに平行である。したがって、外蓋64を回転させる際、回転方向REに関する抵抗は弾性部材80との摩擦だけであり、外蓋64を容易に回転させて溝部57と突出部82とを係止できる。
また、突出部82を溝部57に挿入させる場合と反対側に外蓋64を回転させれば、突出部82と溝部57との係止状態は解除され、使用者は弾性部材80の付勢力で蓋体60を容易に取り外すことができる。
なお、蓋体60を電池収容部50に固定する際、使用者はシール部材55の弾性力や、弾性部材80の付勢力に抗して、外蓋64を内蓋62側に押す必要があるが、この押す動作は、例えばシール部材55の弾性力に抗しながらねじ込むような動作に比べて楽である。したがって、非力な者であっても、容易に蓋の開け閉めができる。
【0045】
図10は、本発明の第2の実施形態に係る収容体100とその蓋体110の概略縦断面図である。
図10において、図1ないし図9の収容体の例である電池収容部50及びその蓋体60と同一の符号を付した箇所は同様の構成であるから、重複する説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
本第2の実施形態の収容体100は、食品を保存するための食品保存用容器であり、食品を保存するのに適した構成とされている。
【0046】
すなわち、収容体100は、少なくとも開口部が円筒状であって、その外側の側面上端部100aに、外蓋64の回転方向と平行である溝部57が形成されている。
そして、蓋体110のうち外蓋64は、上から見た平面視が略円形状であり、収容体100の上端部100aを覆うように被せられ、上端部100aを覆う外周部112の内面に、半径方向の内側に向って突出した突出部82が設けられている。この突出部82が溝部57と係止するようになっている。
このように、第2の実施形態では、蓋体110を収容体100に被せて、収容体100の外部に露出した側面側で、蓋体110と収容体100とを係止させる構造とすることで、収容したジャムなどの食品が、外蓋64と内蓋62との間に入り難くしている。
なお、収容体100の開口端部には、溝部57につなげるように切り欠くことで、突出部82を溝部57に導くためのガイド109が形成されている。
また、外蓋64は、片手で外周部112を把持できる程度の大きさであり、外周部112にローレット状突起を設けて、蓋を回転し易くさせている。
【0047】
そして、内蓋62及び外蓋64に設けられた突起部113,114は、図7の突起部67,68と同様の機能を有するが、全体的に円筒形状であって、第1の実施形態のような落下路89が形成されていない点で異なる。また、収容体100側にも第1の実施形態のような排水路85は形成されていない。
すなわち、第2の実施形態では、水が例えば上から容器内に入らないように蓋を被せる構成とし、少なくともまとまった水が蓋内部に浸入しないことを前提に構成されている。これに対して、第1の実施形態では、図8に示すように、裸の使用者が接触することに鑑みて、蓋体60の表面と壁面FRとが同一面になるようにし、このため壁面FRとの間に隙間Sが生じるようになり、この隙間Sから水が浸入することを前提に、様々な対策を講じている。
【0048】
そして、第2の実施形態の場合、シール部材108は、収容体100側ではなく内蓋62に設けられている。このシール部材108は、内蓋62に液状パッキン剤を塗布した後、乾燥硬化させて形成されている。このようにして、収容体100を洗浄する際にシール部材55に水が含有することを防止している。
また、第2の実施形態の場合、弾性部材105は、第1の実施形態と同様に内蓋62と外蓋64とが離間する方向に付勢力を働かせているが、樹脂製の内蓋62或いは外蓋64のいずれか一方と一体成型された板バネ状とされている。本実施形態の板バネ状の弾性部材105は、内蓋62と一体成型され、外蓋64とは所定の面積からなる一部分107でのみ接触(接続はされていない)している。これにより、外蓋64を回転させる際、外蓋64と弾性部材105との摩擦を小さくしている。
【0049】
図11は、本発明の第2の実施形態の変形例に係る収容体120とその蓋体130の概略縦断面図である。
図11において、図10の収容体100及びその蓋体110と同一の符号を付した箇所は同様の構成であるから、重複する説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
この変形例に係る収容体120は、薬剤を保存するための所謂薬瓶であり、薬を保存するに適した構成とされている。
【0050】
先ず、収容体120は所定の厚みを有するガラスで形成されている。
また、内蓋62は、収容体120の内部空間S1側に、例えば通気性のよい袋にシリカゲルを充填してなる乾燥剤124を有している。具体的には、乾燥剤124が内部空間S1に落下しないように、内蓋62には乾燥剤124を支持する板状部材132が形成され、この板状部材132が複数の貫通孔132aを有することで、乾燥剤124を収容する空間と内部空間S1とを連通させている。
【0051】
また、本変形例の弾性部材126は、樹脂製の外蓋64と一体成型された板バネ状の第1及び第2のバネ126a,126bで構成され、第1のバネ126aと第2のバネ126bとは、中心OP3を中心に対称に配置されている。これにより、バランスよく、内蓋62と外蓋64とが接近離間する方向に付勢力が発揮できる。
なお、本変形例の場合、溝部57は外蓋64に、突出部82は収容体120に、それぞれ設けられており、また、突出部82を溝部57まで導くための切り欠きからなるガイド109は、外蓋64に形成されている。
【0052】
なお、上記各実施形態では、収容体の例として風呂釜の電池収容部、食品保存用容器、薬瓶を説明したが、本発明は、封止が必要な収容体であればこれらに限られるものではなく、例えばパソコンの基盤収容部、時計の電池収容部などであってもよい。
また、突出部82に僅かな突起82aを設ける場合には、対向する突出部82にも設けることが好ましく、少なくとも1対以上(本願は1対)あることが好ましい。
また、切り欠き状の排水路85は、排水路の機能と僅かな突起82aが軽く引っかかる係合機能とを兼ねるようにしたが、僅かな突起82aを突出部82の例えば中央部分に設け、開口部内壁53aに突起82aが軽く引っかかる専用の係合部を設けても構わない。
また、僅かな突起82aを設ける場合には、段落0041で記載した溝部57の幅W1に対応する突出部82の幅W2は、突起82aを加味した幅W2とする(溝部57の内壁に接触しないように、突起82aを含む突出部82を溝部57に挿入できる構成とする)。
【符号の説明】
【0053】
50・・・電池収容部(収容体)、53・・・開口部、57・・・溝部、62・・・内蓋、64・・・外蓋、80・・・弾性部材、82・・・係止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13